以下、図面を参照して本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
従来から、エアマットレスを構成するエアセルの圧切替えにおいて、短時間でエアセルの内圧が大きく変化することによって、リウマチ等を患っている利用者が疼痛を感じるおそれがあった。
そこで、圧切替え1回当たりのエアセル内圧変化量を少なくしたり、圧切替え頻度を少なくしたりといった、利用者が疼痛を感じなくするための方法が行われている。
しかし、この方法では、圧切替え時の給気又は排気の動作中における単位時間当たりのエアセル内圧変化量は少なくならない。そのため、利用者は依然として疼痛を感じてしまうといった問題が生じていた。
また、エアセルに対して給気を行うポンプの出力を切り替えるといった技術がある。この技術は、ポンプの動作音が利用者にとって不快に感じることがあるため、動作音を低減させる技術である。したがって、ポンプの出力の切替え時に、利用者の疼痛が考慮されていなかった。
このような課題を解決するための制御装置等について、以下詳細な実施形態に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の一例であり、当該内容に発明が限定されるものではない。
[1.全体の構成]
図1は、本実施形態におけるベッドシステム1を模式的に説明する図である。ベッドシステム1は、図1(a)に示すように、ベッド装置であるベッド本体20にマットレス10が載置されている。
なお、マットレス10は、本実施形態ではエアセルで構成されたエアマットレスである。マットレス10は、エアマットレス以外にも、例えば、ウレタンマットレスであってもよいし、ウレタンとエアセルとを組み合わせたハイブリッド型のマットレスであってもよい。また、マットレス10は、ポリエステル繊維構造体、ゲル、スプリングなどの寝具に使われる弾性体であってもよい。
ベッドシステム1は、利用者Pが利用する。例えば、ベッド本体20(マットレス10)に横たわったときに、図1(a)の左側が頭側、右側が足側となる。また、利用者Pは、標準的なサイズを想定すれば、利用者Pの背中が背ボトムの位置となり、利用者の腰が湾曲ボトムや、腰ボトムの位置となる。具体的には、標準的な利用者の場合、大転子の位置が、マットレス10(ベッド本体20)の足側端部から概ね980mmの位置になる。
ここで、利用者は、ベッドシステムを利用するもののうち、例えばベッド装置(マットレス)を実際に利用する者をいう。例えば、利用者は、病院や施設に入院する患者、要介護者や、家庭においてベッド装置(マットレス)に横たわる者をいう。
また、本実施形態において、スタッフと言った場合は、利用者をサポートする者をいう。例えば、スタッフは、病院における医師、看護師や、施設における介護スタッフ、家庭における利用者の家族等を含むものである。
また、本実施形態において、操作者といった場合は、ベッドシステムを操作する者をいう。操作者は主にスタッフであるが、利用者が操作する場合は操作者に利用者が含まれる。
一般的なベッド本体20のサイズとしては、標準的な利用者(身長140~170cm程度)を想定し、短手である幅方向が910mm、長手である長さ方向が1910mmである。ベッド本体のサイズは、実施形態を説明するための一例であり、例えばより小さいミニサイズ(ベッド本体の長さ方向が1800mm)や、より大きいロングサイズ(例えば、ベッド本体の長さが2050mm)といったサイズであってもよい。また、ベッド本体20のサイズが変われば、利用者の位置も相対的に変化する。
ベッド本体20や、マットレス10の大きさに応じて、利用者の部位の場所(位置)が変化する。ベッド本体20(マットレス10)の大きさが変化した場合の利用者の位置は、当業者であれば本開示の内容に基づいて容易に理解することが可能である。
また、本実施形態における利用者の体位は、利用者の位置と、利用者の姿勢を含むものである。利用者の位置は、マットレス10における位置(寝位置)である。利用者の姿勢は、利用者がマットレス10において寝ているときの姿勢(寝姿勢)をいう。また、体位は、例えば端座位や長座位といった寝ていないときの姿勢を含んでもよい。
[2.ベッド本体の構成]
ベッド本体20の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
ベッド本体20は、上からボトム22と、上部フレーム24と、下部フレーム26とを備えており、上部フレーム24と、下部フレーム26との間に昇降機構28を有している。
ボトム22は、図1(b)に示すように、利用者がベッド本体20に横臥したときの頭側から足側にかけて、背ボトム22a(back section)と、腰ボトム(seat section)として湾曲ボトム22bと、膝ボトム22c(upper leg section)と、足ボトム22d(lower leg section)とを有している。ここで、ボトム22の各ボトムは、それぞれ単体又は連動して回動可能である。
なお、湾曲ボトム22bは、背ボトム22aの上昇と共に、ボトムが湾曲することで利用者を支持することができる。また、湾曲ボトム22bは、背ボトム22aの上昇/下降とともに、湾曲しながら伸縮する仕組みであってもよい。なお、湾曲ボトムは、出願人がキューマラインボトム(キューマボトム)として、製品化しているものである。
また、一例として、背ボトム22aの長さ(ベッド本体20の長手方向に水平の長さ)は、約640mm、湾曲ボトム22bの長さは約340mm、膝ボトム22cの長さは375mm、足ボトム22dの長さは約555mである。
各ボトムは、例えば駆動装置(アクチュエータ)が接続されている。ボトム22は、駆動装置が動作することで、回動可能となっている。なお、ボトム22は、各ボトムに駆動装置を接続しなくても、例えばリンク機構を利用することで、1つの駆動装置で複数のボトムを動作させることが可能である。また、ボトム22は、隣接するボトムを連結することで、連動して動作する。
また、ベッド本体20は、各ボトムを回動することで、背上げ動作、膝上げ動作、足下げ動作といった動きを実現する。また、ベッド本体20は、背上げ動作と、膝上げ動作(足下げ動作)とを連動してもよい。
図1(b)に示すように、ベッド本体20は、背ボトム22aが湾曲ボトム22b側を中心側として回動して上昇することで、背上げ動作を実現する。このとき、背ボトム22aが上がった角度α(水平から背ボトム22aが持ち上がった角度α)を背上げ角度αという。
また、背ボトム22aが上昇すると、湾曲ボトム22bは背ボトム22aと連動して湾曲する。湾曲ボトム22bは、湾曲することにより、利用者の腰に添う形状となり、利用者を支持することができる。背ボトム22aと、湾曲ボトム22bとは、例えばお互いの連結部により連結している。
また、ベッド本体20は、膝ボトム22cを湾曲ボトム22b側の端部を中心に回動することで、膝上げ動作を実現する。このとき、膝ボトム22cが上がった角度β(水平から膝ボトム22c上がった角度β)を膝上げ角度βという。
なお、足ボトム22dは、膝ボトム22cの動きと連動してもよい。この場合、膝上げ角度の代わりに足上げ角度(足下げ角度)を利用してもよい。
なお、図1(c)に示すように、ベッド本体20は、湾曲ボトム22bの代わりに腰ボトム22eにより構成されてもよい。この場合、一例として、背ボトム22aの長さは約785mm、腰ボトム22eの長さは約195mmとなる。腰ボトム22eは、一般的に回動せず、利用者の腰部(臀部)を支持している。
ボトム22は、上部フレーム24により支持されている。上部フレーム24は、ボトム22を支持する形状であればよい。また、下部フレーム26は、ボトム22を支持する上部フレーム24を支持する形状であればよい。
昇降機構28は、上部フレーム24の高さを調整するものであり、ベッド本体20の高さを調整する。ここで、ベッド本体20の高さは一般的には設置されている面(地上面)から上部フレーム24までの高さ(床高)をいう。なお、ベッド本体20の高さとしては、地上面からボトム22までの高さであってもよい。
昇降機構28は、例えば、リンク機構や、アクチュエータとった駆動装置(駆動機構)により実現する。
図2は、ベッド本体20の動作を説明する図である。ベッド本体20は、各ボトムを駆動するための駆動部を有している。
背ボトム駆動部32は、背ボトム22aを上昇させることができる。例えば、背ボトム駆動部32は、アクチュエータであり、アクチュエータのロッド先端にリンク機構を介して背ボトム22aを接続する。
膝ボトム駆動部34は、膝ボトム22cを上昇させることができる。例えば、膝ボトム駆動部34は、アクチュエータであり、アクチュエータのロッド先端にリンク機構を介して膝ボトム22cを接続する。
また、各駆動部は、駆動制御部40と接続している。駆動制御部40は、背ボトム駆動部32、膝ボトム駆動部34を制御するボトム制御部42と、高さ駆動部36を制御する高さ制御部44として機能する。
ボトム制御部42は、背ボトム駆動部32を制御することにより、背上げ機能を実現し、背ボトム22aを上昇させる。具体的には、ボトム制御部42は、背ボトム駆動部32の一例であるアクチュエータのロッドを進出させる。背ボトム駆動部32は、アクチュエータのロッドが進出したことにより、リンク機構を介して駆動力を背ボトム22aに加える。背ボトム22aは、駆動力が加わったことにより、背ボトム22aの頭側を支点として回動し、足側が上昇する。
このとき、背ボトム22aに連結されている湾曲ボトム22bも併せて上昇する。例えば、湾曲ボトム22bの一端側が背ボトム22aと連結し、他端側が上部フレーム24に連結している。また、湾曲ボトム22bは湾曲可能であり、背ボトム22aの上昇と共に湾曲しつつ背ボトム22a側の端部が上昇してもよい。また、湾曲ボトム22bは伸縮可能に構成されてもよい。
ボトム制御部42は、膝ボトム駆動部34を制御することにより、膝上げ機能を実現し、膝ボトム22cを上昇させる。具体的には、ボトム制御部42は、膝ボトム駆動部34の一例であるアクチュエータのロッドを進出させる。膝ボトム駆動部34は、アクチュエータのロッドが進出したことにより、リンク機構を介して駆動力を膝ボトム22cに加える。膝ボトム22cは、駆動力が加わったことにより、膝ボトム22cの湾曲ボトム22b側を支点として回動し、足ボトム22d側が上昇する。
このとき、足ボトム22dが、膝ボトム22cと連動して回動してもよい。例えば、足ボトム22dが、膝ボトム22cとリンク機構を介して接続している場合、膝ボトム22cの足ボトム22d側が上昇することで、足ボトム22dの膝ボトム22c側の一端が上昇する。足ボトム22dは、一端が上昇することで、ベッド本体20の足側にある他端が下降する。このとき、足ボトム22dの他端は、上部フレーム24より下に下降するが、上部フレーム24に連結してもよい。
また、高さ制御部44は、高さ駆動部36を制御することにより、ベッド本体20の上昇、下降の機能を実現し、上部フレーム24を高くしたり低くしたりすることができる。
例えば、高さ駆動部36は、上部フレーム24と、下部フレーム26との間に設けられている。そして、高さ駆動部36の一例としてアクチュエータの一端を下部フレーム26に設ける。そして、高さ駆動部36は、アクチュエータのロッドが進出することで、リンク機構を介して上部フレーム24が押し上げられて上昇する。これにより、ベッド本体20の床高が上昇する。
なお、駆動制御部40により、各駆動部に対して上述した動作と逆の動作をする制御を行えば、逆の動作となる。すなわち、駆動部は、アクチュエータのロッドを退入させることで、背下げ動作、膝下げ動作、床高の下降といった動作を行う。
[3.マットレスの構成]
マットレス10の構成について説明する。図3は、マットレス10の構成を模式的に示した分解図である。
マットレス10は、全体がカバー(トップカバー100及びボトムカバー102)で覆われている。トップカバー100及びボトムカバー102は着脱可能に構成されている。なお、トップカバー100と、ボトムカバー102とが一体に形成されていてもよい。
また、マットレス10のカバーの中は、上層からトップウレタン110と、メインセル120と、サブセル130と、ボトムクッション140とを含んでいる。
トップウレタン110は、エアセルの上に載置されるものであり、例えば、ウレタンシートにより構成されている。また、トップウレタン110と、側地であるトップカバー100の間にグライドシート115を設けている。グライドシート115は、摩擦抵抗が低くなる素材であり、トップカバー100と、トップウレタン110とを滑り易くするために設けられる。なお、グライドシート115は必要に応じて設ければよい。
メインセル120は、複数のエアセルが集まったエアセル群により構成されている。メインセル120は、送風チューブ(不図示)を介してポンプ180と接続している。メインセル120は、本体セルと表すこともある。
ポンプ180は、エアセルそれぞれに接続されている。例えば、ポンプ180は、メインセル120を構成するセルを1又は複数の系統(グループ)にわけ、送風チューブを接続する。そして、ポンプ180からメインセル120に給気することで、メインセル120を膨張させる。また、ポンプ180とメインセル120の間にも設けられている弁を解放したり、強制的に排気したりすることで、メインセル120から排気し、メインセル120を収縮させることができる。
すなわち、ポンプ180は、通常通り空気を吐出することでエアセルに給気することができる。また、ポンプ180は負圧による吸引する動作も行うことができる。すなわち、ポンプ180を負圧に切り替えることで、エアセルから空気を強制的に吸引することができる。
また、ポンプは、マットレス10におけるポンプ収納区画に収納されてもよい。例えば、図3では、マットレス10の隅部近傍にポンプを収容するための区画104が設けられている。なお、区画104は、ポンプカバーが設けられている。このように、ポンプ部が、マットレス10の中の一区画に設けられていることから、マットレス10として一体感がある状態にすることができる。
なお、ポンプ180は、マットレス10とは別に構成してもよい。この場合、マットレス10にポンプ180を収納する区間を有さなくてもよい。
また、ポンプ180は、制御装置と併せてポンプユニット182と構成されてもよい。ポンプユニット182は、ポンプ180、ポンプ180を制御する制御装置、動作に必要な情報やプログラムを記憶する記憶装置を含んでいる。例えば、ポンプユニット182に含まれる制御装置は、操作装置から入力された信号に応じて、ポンプ180の動作を制御することができる。
ここで、制御装置は、単なるCPUのような制御部だけでなく、他の制御する装置を含めてもよい。例えば、制御装置は、ポンプ180がダイヤフラムポンプや電磁ポンプである場合、当該ポンプを制御する電磁バルブや、それらを制御する駆動回路、ドライバ回路等が含まれてもよい。
また、制御装置に操作信号を出力する操作装置200(操作パネル)が接続されていてもよい。
なお、ポンプ180を制御する制御装置は、何れかにあればよい。本実施形態では、ポンプユニット182として、ポンプと一体に構成されているが、例えば操作装置200が制御装置の機能を有していてもよい。
サブセル130は、利用者の体位を変換したり、利用者の身体を支持したりするために利用されるエアセルである。サブセル130は、サポートセル、体位変換用セル、SFセルと表すこともある。サブセル130は、本実施形態では、メインセル120の下に配置されるが、メインセル120の上に配置されてもよいし、ボトムクッション140の下に配置されてもよい。サブセル130は、例えば、ベッド長手方向に沿って複数配置される。例えば、利用者の左右対象の位置に配置されてもよい。
ボトムクッション140は、メインセル120の下に配置される支持部材である。例えば、ウレタン、硬綿等の部材によって構成される。このボトムクッション140には、利用者の寝位置等を検知するセンサ部150が設けられている。
センサ部150は、静電容量センサを利用したセンサである。センサ部150は、陽極152と、GND基板の入ったケースが貼り付けられたGNDシート156とを有している。GNDシート156は、グランド(GND)電極として機能してもよい。
また、陽極152をボトムクッション140の上に配置するために、センサカバー154を設けている。例えば、センサカバー154は、陽極152を収納可能な形状、例えば、ポケットを有している。そして、陽極152をセンサカバー154のポケットに収納することで、陽極152の位置決めが行われる。
なお、センサカバー154は、陽極152をボトムクッション140(又はボトムクッションのカバ-)に固定するための防水カバーである。なお、陽極152の位置を決められればよいため、例えば他の方法で陽極152を固定してもよい。例えば、ボトムクッション140に陽極152を固定する部材や、凹みを形成してもよい。また、ボトムクッション140と陽極152とが動かないように一体に形成してもよい。
また、陽極152は、基板の入った部材であり、本開示では長円形のケースに格納されている。そして、陽極152は、裏側(設置したときに下側であるボトムクッション140に接する側)に導電シートを貼り付けて構成されている。
陽極152は、他の形状であってもよい。例えば、陽極152は、円形や、楕円形、矩形(長方形、正方形)、多角形といった何れかの形状であればよい。また、陽極152は、裏側に導電シートを設けている。なお、導電シートは、陽極152の裏側全体を覆うように構成してもよいし、陽極152の一部を覆うように構成してもよい。
また、陽極152と、GNDシート156とは、ボトムクッション140を挟んでいる。ここで、GNDシート156は、全体又は一部が導電シートにより機能する。すなわち、GNDシート156は全体が導電シートとして機能する素材(例えば、導電性インクが印刷されたシートや導電性繊維からなるシート)で構成されてもよい。また、GNDシート156は、何らかで構成されたシートの一部に導電シートが貼り付けられたり、埋め込まれたりしてもよい。
ここで、利用者がマットレス10の上に載ると、ボトムクッション140が変形することで、陽極152と、GNDシート156との距離が変化し、静電容量が変化する。この静電容量が変化したことを、後述する判定部1010が取得することで、利用者の体位や、位置を取得することができる。
なお、センサ部150に容易にアクセスできるように、ボトムカバー102は、センサ部150用の開口部(例えば、ファスナーを設けた開口部)を有していてもよい。
また、陽極152は、例えば利用者の臀部近傍になるように配置してもよい。すなわち、腰ボトム22eの上や、湾曲ボトム22bの足側近傍の位置に配置してもよい。また、本実施形態では、陽極152は左右2つに設けているが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
[4.セルの構成]
[4.1 メインセルとサブセルの構成]
つづいて、各セル(メインセル120、サブセル130)の構成について図4を参照して説明する。
メインセル120は、1又は複数の系統に分かれてポンプ180に送風チューブを介して接続する。例えば、図4では、メインセル120は、系統A~系統Cに分かれてポンプ180と接続する。具体的には、セル120Aは、送風チューブ184を介してポンプ180から空気が給気及び/又は排気される。そして、セル120Aは、系統Aに接続されており、他の系統Aのセルと同じように圧力が変化する。
ポンプ180は、例えば切替弁によって給排気する系統を切り替えることができる。ポンプ180は、系統毎に順次切り替えて空気を給気、排気してもよいし、各系統を連通して空気を全体に給気、排気してもよい。また、ポンプ180から、系統毎に送風チューブを接続してもよいし、全てのエアセルに別の送風チューブを接続してもよい。
また、図4では、系統をA~Cと3系統に分けているが、他の系統に分けてもよい。複数の系統に分けることが好ましい。また、一部の領域を別の系統としてもよい。例えば、ポンプ180は、利用者Pの頭側だけ、足側だけ別系統として空気を給排気してもよい。また、メインセル120は、全て同一系統で構成されてもよい。
サブセル130は、利用者Pの上半身(肩)を中心にサポートする上側サブセル130Sと、利用者Pの下半身(腰や大腿部)を中心にサポートする下側サブセル130Wを含んでいる。
また、サブセル130は、利用者Pの左右に配置される。上側サブセル130Sは、利用者が仰臥位のときの左側に位置する上側左サブセル130SLと、上側右サブセル130SRとを含んでいる。また、下側サブセル130Wは、利用者が仰臥位のときの左側に位置する下側左サブセル130WLと、下側右サブセル130WRとを含んでいる。
そして、サブセル130は、メインセル120とは、別系統でポンプ180に接続されている。例えば、上側左サブセル130SLに給排気する系統SSL、下側左サブセル130WLに給排気する系統SWL、上側右サブセル130SRに給排気する系統SSR、下側右サブセル130WRに給排気する系統SWRを有している。ポンプ180は、サブセル130にそれぞれ送風チューブを接続してもよいし、切替弁により給気、排気するサブセル130を切り替えてもよい。
なお、サブセル130の系統は、他の系統として構成してもよい。例えば、サブセル130は、上側左サブセル130SLと、下側右サブセル130WRといった対角にあるサブセルを同系統としてもよい。また、サブセル130は、上側左サブセル130SLと、下側左サブセル130WLといった左右の同じ側にあるサブセルを同系統としてもよい。
また、ポンプ180は、各系統に給排気する系統毎に別の送風チューブを接続し、それぞれ別に給排気してもよいし、切替弁を利用して切り替えて給排気してもよい。また、ポンプ180は、送風チューブと切替弁とを組み合わせて接続してもよい。
また、ポンプ180は、1つのポンプで構成されてもよいし、複数のポンプで構成されてもよい。
[4.2 サブセルの位置]
図5は、サブセル130と、ボトム22と、メインセルとの位置を説明するための図である。図5は、マットレス10を上面視した図である。上半身側に配置された上側サブセル130S(上側左サブセル130SL、上側右サブセル130SR)は、主に背ボトム22aから湾曲ボトム22bに亘って配置される。また、下半身側に配置された下側サブセル130W(下側左サブセル130WL、下側右サブセル130WR)は、湾曲ボトム22b、膝ボトム22c、足ボトム22dに亘って配置される。
ここで、上半身側に配置されるサブセル130(上側左サブセル130SL、上側右サブセル130SR)は、サブセル130が有する外側のR形状(図7では、マットレス10の中心よりに位置する側)が、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨外側縁に向かって沿うようにV字型に配置される。すなわち、マットレス10(ベッド本体20)を平面視したときに、マットレス10の中心部から、マットレスの外側(頭側の隅部)に向けて斜めになるように配置され、V字状となる。
ここで、利用者の腰椎の両脇から肩甲骨にかけての範囲は、ベッド本体20の幅方向が910mmの場合、好ましくは背ボトム22aの長手方向25%、短手方向中心から12%~45%の範囲となる。
具体的には、図5において、利用者の大転子の位置M01は足側端部から980mmと想定した場合、利用者の肩甲骨の位置M02は、大転子から465mmとなる。したがって、サブセル130のR形状(凸形状)は、以下の範囲(矩形領域M06)に含まれることが好ましい。
・一辺を肩甲骨位置M02から背ボトム22aの湾曲ボトム22b側の端部まで長さ(約160mm)
・他辺をマットレス10の中心から12%(中心から約59mm(M03からM04の長さ))の位置から45%の位置の長さ(約148mm(M04からM05の長さ))
また、湾曲ボトム22bではなく、腰ボトム22eを備えたベッド本体20に設置する場合、腰椎の両脇から肩甲骨にかけての範囲を、好ましくは背ボトム22aの長手方向40%、短手方向の中心から12%~45%とする。
この場合、背ボトムの肩甲骨位置M02から背ボトム22aの腰ボトム22e側の端部まで長さは、約320mmとなる。
また、下側サブセル130Wは、利用者の臀部近傍に配置されることが好ましい。下側サブセル130Wは、利用者の腰、臀部、大腿部に亘って利用者に接することとなる。下側サブセル130Wの凹部(位置M07)が、概ね湾曲ボトム22b(又は腰ボトム)から膝ボトム22cにかけての位置になるように配置される。このように、凹部(位置M07)は、利用者の臀部近傍に位置するように配置されることが好ましい。
[5.機能構成]
図6は、ベッドシステム1(マットレス10)の機能構成を示す図である。図6(a)で示す機能は、マットレス10を制御する機能を説明するものであり、マットレス10を制御する制御装置により実現される。なお、図6(a)で示す機能は、ベッド本体20と、マットレス10とが連携されている場合は、ベッド本体20の制御装置で実現してもよい。
制御部1000は、マットレス10の全体を制御するための機能部である。制御部1000は、記憶部1300に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば1又は複数の演算装置(例えば、CPU(Central Processing Unit))により構成される。
また、制御部1000は、エアセルであるメインセル120や、サブセル130を制御することもできる。ここで、制御部1000がエアセルを制御するとは、エアセルの圧力を制御することをいう。また、エアセルの圧力が変化することにより、エアセルは膨張/収縮する。すなわち、制御部1000は、エアセルの大きさ(膨らみ)を制御することができる。
例えば、制御部1000が、ポンプ180を制御することで、各エアセルに空気を給気したり、排気したりする。これにより、制御部1000が、各エアセルの圧力を上昇させたり、低下させたりする制御のことをいう。また、制御部1000は、エアセルの圧力を低下させるときは、弁を解放することで排気してもよいし、ポンプ180を制御することで強制的に排気してもよい。
また、制御部1000は、記憶部1300からプログラムを読み出して実行することにより、判定部1010、体位変換部1020として機能してもよい。
判定部1010は、測定部1602により測定された情報や、検知部1600により検知した情報に基づき、利用者の状態を判定する。
判定部1010は、利用者の状態として、例えば利用者が在床しているか否か、利用者の位置(寝位置)、利用者の姿勢(寝姿勢)を含む利用者の体位を判定することができる。
例えば、判定部1010は、利用者が仰臥位、腹臥位、側臥位(右側臥位、左側臥位)であるかを判定してもよい。また、判定部1010は、利用者の寝位置がマットレスのどの位置にいるかを判定してもよい。また、判定部1010は、利用者の姿勢として座位(端座位、長座位)を判定してもよい。
更に、判定部1010は、マットレス上に利用者がいるか否か(利用者の有無)を判定する。すなわち、判定部1010は、利用者がマットレス10(ベッド本体20)に在床しているかを判定する。
体位変換部1020は、サブセル130を制御することにより、利用者の体位を変換する。例えば、図7のようにサブセル130が配置されている場合、下側右サブセル130WR→上側右サブセル130SR→上側左サブセル130SL→下側左サブセル130WLと、順次サブセルの膨張・収縮の制御を行う。このように、各サブセル130の膨縮を繰り返すことにより、小枕法による体位変換を行うことができる。
記憶部1300は、マットレス10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部1300は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
記憶部1300は、制御テーブル1310を記憶してもよい。制御テーブル1310は、例えばサブセル130の膨縮するタイミングである制御パターンを記憶する。体位変換部1020は、制御テーブル1310に記憶してある制御パターンに基づいて、サブセル130の膨縮動作のタイミングを制御する。
操作部1400は、操作者からの操作入力を受け付ける。例えば、1又は複数の操作ボタンや操作スイッチを備えている操作用リモコンや、操作画面が表示可能な接続された端末装置(例えば、スマートフォンやタブレットといった情報処理装置、他の医療システムで利用される端末装置等)等である。なお、本実施形態では操作装置200であってもよい。
操作部1400は、マットレス10を操作することができるが、併せてベッド本体20を操作できてもよい。また、操作部1400は、ベッド本体20の操作部に、マットレス10の操作が可能な操作スイッチとして追加されてもよい。
ここで、操作スイッチは、ユーザが操作を入力可能なものであればよい。例えば、操作スイッチは、ボタンや、切替えスイッチといったハードウェアスイッチ(ハードウェアキー)で実現してもよい。また、操作スイッチは、表示部1500と一体に構成されたタッチパネルを利用し、ソフトウェアにより表示されるソフトウェアスイッチ(ソフトウェアキー)で実現してもよい。
表示部1500は、操作者にマットレスの状態や、操作の状態を表示する。表示部1500は、LEDランプや、7セグメントを利用したLED、液晶ディスプレイ、有機ELパネル等といった何れかの表示装置である。また、表示部1500は、端末装置が接続される場合は当該端末装置の表示装置を利用する。また、表示部1500は、操作部1400に設けられてもよいし、タッチ操作可能なタッチパネルとして、操作部1400と一体に構成されてもよい。
報知部1550は、利用者や操作者に報知を行う。報知部1550は、例えばスピーカ等によりアラーム音や、警告音を出力したり、表示部1500に警告表示を行ったり、振動装置により振動を行ったり、発光装置によりフラッシュを行ったりすることで、種々の報知を行う。
検知部1600は、種々の状態を検知するセンサである。例えば、検知部1600は、圧力センサによりエアセルの圧力を検知したり、角度センサによりマットレス10の状態からベッド本体20の状態を検知したりすることができる。各センサは、マットレス10に内蔵されてもよいし、外部に設けてもよい。また、ベッド本体20に設けられたセンサが検知した値を取得してもよい。本実施形態では、例えばセンサ部150である。
なお、図6(a)の構成は、その他に必要な機能を備えてもよい。例えば、他の端末装置と通信を行うための通信部を備えてもよい。また、必要に応じた構成だけを備えてもよい。例えば、マットレス10は、少なくとも制御部1000、記憶部1300を有していればよく、操作部1400、表示部1500、報知部1550、検知部1600は必要に応じて備えればよい。
また、図6(a)は、システム1(マットレス10)の全体を説明する図である。例えば、具体的な構成の一例を図6(b)に示す。図6(b)のマットレス10は、ポンプユニット182に制御装置と、ポンプ(図3のポンプ180)とを含んでいる。そして、制御装置は、ポンプ180を制御することで、エアセルに空気を吐出したり、エアセルから空気を吸気したりし、エアセルの圧力を制御する。
また、ポンプユニット182は、制御装置として制御部1000及び記憶部1300を有している。また、ポンプユニット182は、操作装置200と、検知部1600と接続する。
操作装置200は、操作装置200自体を制御する制御部2000と、操作部2100と、表示部2200と、報知部2300とを有している。操作装置200は、制御部1000に操作信号を出力する。また、操作装置200は、制御部1000から受信した信号に基づき、表示を行ったり、報知を行ったりする。
また、検知部1600は、例えばセンサ部150であり、必要に応じて追加することが可能である。
ポンプユニット182、操作装置200、検知部1600は、必要な情報が送受信される。例えば、操作装置に制御部1000や、記憶部1300を備えている場合は、操作装置200が、直接ポンプ180を制御してもよい。
また、操作装置の代わりに、スマートフォン等の端末装置で実現してもよい。端末装置が、操作装置200として実現するようなアプリケーションをインストールし、実行することで実現可能となる。同様に、他の構成もマットレスと、他の制御装置とどちらで実現してもよい。
また、ポンプユニット182は、ベッド本体20と接続してもよい。ベッド本体20と接続することにより、例えばボトムの制御を行ったり、ボトム角度を検出したりすることが可能となる。
なお、ポンプユニット182は、制御装置(制御部1000及び記憶部1300)が、ポンプ180の制御基板に一体として構成されてもよいし、ポンプ180と接続した別構成であってもよい。
[6.エアセルの制御]
続いて、制御部1000が、ポンプ180を制御することにより、エアセルの内圧を制御する処理について説明する。
なお、本実施形態のポンプ180は、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、出力を可変的に切り替えられるポンプである。
[6.1 第1のエアセル制御]
図7は、制御部1000がエアセルの内圧を制御する第1のエアセル制御の処理を示す図である。
図7の処理は、制御部1000が、エアセルの内圧を制御するとき(ステップS102;Yes)、制御する対象のエアセルに応じて、ポンプ180の出力を切り替える。
具体的には、制御部1000は、制御するエアセルが通常のセル(例えば、メインセル120)の場合は第1の出力で制御する(ステップS104;通常セル→S106)。また、制御部1000は、制御するエアセルが特定のセル(例えば、サブセル130)の場合は、第2の出力で制御する(ステップS104;特定セル→S108)。
ここで、通常のセルがメインセル120の場合、ポンプ180は、図4の系統A、系統B、系統Cに対しては第1の出力で制御する。また、特定のセルがサブセル130の場合、ポンプ180は、図4の系統SSL、系統SWL、系統SWR、系統SSRに対しては第2の出力で制御する。
ここで、ポンプ180は、複数のレベル(段階)で出力できる。例えば、ポンプ180は、出力をポンプ180のDuty比比で63%、38%、25%、13%と4段階で切り替えて給気や、吸気(この場合は陰圧となる)することができる。
そして、ポンプ180は、第2の出力のとき、第1の出力より低い出力となる。これは、予め定められてもよいし、制御テーブル1310に記憶されてもよい。すなわち、第2の出力は、第1の出力より小さいDuty比比となる。
例えば、制御部1000は、メインセル120に対しては、ポンプ180を第1の出力(例えば、63%)となるように制御する。また、制御部1000は、サブセル130に対してはポンプ180を第2の出力(例えば、38%、25%、13%)となるように制御する。
また、通常のセルと、特定のセルとは異なる組み合わせであってもよい。例えば、特定のセルを、利用者が疼痛を感じた部位としてもよい。この場合、利用者は操作装置200を介して、疼痛を感じた部位を入力してもよい。制御部1000は、利用者が疼痛を感じた部位の近傍にあるエアセルを特定のセルとする。
また、制御部1000は、出力を更に複数切り替えてもよい。例えば、制御部1000は、通常のセル(メインセル120)に対してポンプ180の出力を第1の出力(例えば、63%)とする。また、制御部1000は、特定のセルとしてサブセル130に対してポンプ180の出力を第2の出力(例えば、38%)とする。また、制御部1000は、利用者から右上半身に疼痛があると入力された場合、上側右サブセル130SRに対して、ポンプ180の出力を第3の出力(例えば、13%)とする。
また、制御部1000は、体位変換中に、利用者から疼痛を感じた操作がされた場合(例えば、痛みボタンが操作されたり、停止操作がされたりした場合)、その操作に応じて痛みを感じた部位の近傍にあるサブセル130を特定する。
具体的には、上側右サブセル130SRを膨張しているときに、利用者から疼痛を感じた操作がされた場合、制御部1000は上側右サブセル130SRを特定のセルとする。
このように、第1のエアセル制御によれば、制御部1000は、サブセル130で体位変化を行う場合に、通常のメインセル120の空気を供給する第1出力より、出力が低い第2出力で空気が供給されるようにポンプ180を制御する。これにより、寝心地に影響する体位変換用のサブセルをゆっくり動かすといった効果が期待できる。
すなわち、制御部1000は、マットレスを構成する複数のエアセルのうち、1又は複数の特定のエアセルに対しては第2の出力で出力するようポンプ180を制御する。そして、特定のエアセル以外のエアセル(通常のエアセル)は、第1の出力で出力するようにポンプ180を制御する。
また、ポンプ180が出力を切り替える単位は、エアセル毎であってもよいし、系統毎であってもよい。例えば、複数のセルが1つの系統に接続され、当該系統が複数ある場合は、制御部1000は、系統毎に第1の出力、第2の出力とポンプ180を制御すればよい。
[6.2 第2のエアセル制御]
図8(a)は、制御部1000が実行する第2のエアセル制御を示す図である。制御部1000は、ポンプ180の制御(エアセルの内圧の制御)を、制御テーブル1310に基づいて実行する場合の図である。
図8(a)に示すように、制御部1000は、制御テーブル1310からポンプ180の出力を決定する(ステップS202)。
例えば、制御テーブル1310の一例を図8(b)に示す。制御テーブル1310は、例えば、利用者毎に、メインセル120と、サブセル130との出力をそれぞれ記憶している。なお、図8(b)に示すように、制御テーブル1310は、ユーザ毎に記憶してもよいし、単一のユーザだけを記憶してもよい。
例えば、制御部1000は、現在のユーザがAの場合、ポンプ180の出力が、メインセル120の場合「38%」、サブセル130の場合は「13%」となるように決定する。そして、制御部1000は、ステップS202により決定した出力に応じて各エアセルを制御する(ステップS204)。
なお、制御部1000は、利用者から出力を切り替える操作を受け付けた場合(ステップS206;Yes)、制御テーブル1310に記憶されている出力を変更する(ステップS208)。
そして、制御部1000は、エアセルの制御処理を実行中は、ステップS202から処理を繰り返し実行する(ステップS210;No)。
なお、第1のエアセル制御でも説明したように、制御テーブル1310に記憶する対象となるセルは、メインセル120、サブセル130だけでなく、他のエアセルを含めてもよい。
第2のエアセル制御処理によれば、利用者毎に応じてポンプ180の出力を可変的に切り替えることが可能となる。
[6.3 第3のエアセル制御]
図9は、制御部1000が実行する第3のエアセルの制御を示す図である。制御部1000は、本処理は、単独で実行してもよい。また、制御部1000は、他の処理を実行中に、ポンプ180が空気を供給したり、吸気したりするときに実行してもよい。この場合、制御部1000がポンプ180を制御しているときに、一定間隔で実行され、必要に応じて割り込み処理が発生してもよい。
まず、制御部1000は、ポンプ180を制御することでエアセルの内圧を制御中(すなわち、エアセルに対して膨縮動作を行っている)のとき(ステップ302;Yes)、エアセルの変化が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS304)。
例えば、制御部1000は、測定部1602により、エアセルの内圧値を取得したり、時間当たりの内圧の変化率を取得したりする。
そして、制御部1000は、エアセルの変化として、例えば、内圧値の変化量、内圧値の変化率、利用者の体圧変化量、体圧変化率を1又は複数取得する。そして、これらの取得した値が閾値を超えた場合には、ポンプの出力を1段階下げる(ステップS304;Yes→ステップS306)。
第3のエアセル制御処理は、ポンプ180が作動し、エアセルに対して空気が供給されたり、排気されたりするときに実行されることが好ましい。これにより、制御部1000がポンプ180を制御中であっても、利用者に対する負荷が大きいと判断されれば、より変化が小さくなるように、ポンプ180から空気を供給したり、排気したりする。
[7.動作例]
図10は、エアセルの内圧と経過時間とを模式的に示したものである。それぞれのグラフは、縦軸がエアセルの内圧値を示し、横軸が経過時間を示している。
例えば、図10(a)、図10(b)は、従来の圧力変化を示したグラフである。例えば、図10(a)に示すように、従来は単位時間のあたりの圧力変化が大きくなっている。したがって、従来は急な圧力変化を防止するために、図10(b)のように、エアセルの内圧を段階的に上昇させる制御が行われていた。しかし、それぞれ上昇する区間(グラフの傾き)は、図10(a)と変わらなかった。
そこで、本実施形態で示した制御では、図10(c)のように、単位時間の圧力変化を小さくする制御を行う。
また、図10(d)は、従来の空気を吸気する場合の圧力変化を示すグラフである。また、図10(e)は、本実施形態における圧力変化を示すグラフである。
このように、本実施形態によれば、制御部1000は、エアセルの圧切替え時等の空気を供給する動作、空気を排気(吸気)する動作において、単位時間当たりのエアセルの内圧変化量が少なくする制御を行う。これにより、エアセルに空気が供給されたり、エアセルから空気が吸気されたりするエアセルの膨縮時であっても、利用者は疼痛を感じにくくなる。
[8.官能評価]
本実施形態におけるエアセルの圧力制御について、官能評価の結果について図を参照して説明する。
エアセルを利用したマットレスを利用する利用者(例えば、マットレスの上で横たわる利用者)が、疼痛を感じる指標として、エアセル膨縮時に身体が押される感覚を評価した。利用者は、身体が押される感覚が強いほど、利用者は疼痛を感じやすいといえる。
ここで、基準として「寝られない位身体が押される感じがある」を「100」とする。また、「変化を感じない」を「0」とする。この基準に基づいて、健常者である被験者3名に対して、体位変換セル膨張時に身体が押される感覚をVASで評価した。
このときの官能評価の結果を図11に示す。図11(a)は、それぞれの指標を示している。図11(b)は、縦軸に身体が押される感覚の評価値と、横軸にポンプのDuty比(出力)とを表した相関関係を示すグラフである。
図11(a)の表によれば、ポンプDuty比が低い方が身体の押される感覚が小さくなる。したがって、ポンプDuty比が低いほど疼痛を感じにくくなるといえる。
また、妥当なポンプDuty比の範囲の基準を、VASの評価値50以下とすると、ポンプDuty比と、身体が押される感覚の評価値の関係から、47%以下が妥当な範囲であることが解った。
したがって、上述した実施形態において、制御部1000は、ポンプ180を制御するとき、第2の出力(例えば、サブセル130に対する出力)として、好ましくはポンプの能力が47%以下となるようにすることが好ましい。
また、図12は、体圧変化率(単位時間当たりの体圧変化量)を定量的に評価したものである。体圧変化率が低いほど、身体が押される感覚が弱くなるといえる。
体位変化セルを膨張させたときの経過時間と、体圧変化量の関係を図12(a)に示す。また、図12(b)は、縦軸に体圧変化量(mmHg)を、横軸に経過時間(sec)を示した相関関係を示したグラフである。
また、ポンプのDuty比と、体圧変化率(mmHg/sec)との関係を図12(c)に示す。また、図12(d)は、縦軸に体圧変化率(mmHg/Sec)を示したグラフである。
図12から解るように、ポンプDuty比の低い方が体圧変化率は低くなった。したがって、ポンプDuty比が低い方が、利用者の身体が押される感覚が弱くなると考えられる。
[9.効果]
このように、本実施形態によれば、制御部1000は、エアセルの圧切替え時等の空気を供給する動作、空気を排気(吸気)する動作において、単位時間当たりのエアセルの内圧変化量が少なくする制御を行う。これにより、エアセルに空気が供給されたり、エアセルから空気が吸気されたりするエアセルの膨縮時であっても、利用者は疼痛を感じにくくなる。
また、利用者が寝ている間に、エアセルの内圧変化が小さくなることから、マットレスの寝心地が向上する。とくに、利用者の寝心地に大きく影響するサブセルを利用した体位変換する場合に、サブセルの内圧変化を通常のメインセルより小さくすることで、寝心地を向上させることができる。
また、制御部1000により、ポンプ180の出力が適切に制御することができることから、利用者はポンプ180の騒音(動作音)を感じにくくなる。
また、制御部1000は、第1の出力は、第2の出力より大きい出力となるようにポンプ180を制御する。第1の出力は、例えばエアマットレス設置時、エアマットレス片付け時といった利用者が直接利用していない場面や、利用者の疼痛を気にしない場面に設定することができる。
[10.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の非一時的な記録媒体であれば何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。
[10.1 マットレスの構成]
上述した実施形態は、マットレスはエアセルとして説明したが、それ以外の構成であってもよい。例えば、図13に示すように、上カバー100a、下カバー102aの間にあるマットレスはウレタンマットレス122であってもよい。このとき、サブセル130は、図9に示すようにウレタンマットレス122の下に配置する。なお、サブセル130は、ウレタンマットレス122の上に配置してもよい。
[10.2 サブセルの配置]
上述した実施形態では、サブセル130は、エアマットレスを構成するメインセル120の下や、メインセル120の上といったマットレス内の設けることとして説明した。しかし、サブセル130は、マットレスと別構成であってもよい。
例えば、図14は、サブセル130が、マットレス10の下に配置されるアンダーレイ型となっている。この場合、マットレス10は、既存のマットレスであればよく、手軽に上述した実施形態のサブセル130を配置することができる。これにより、専用のマットレスを用意しなくても、既存のマットレスに手軽にサブセルによる体位変換機能を提供することができる。なお、サブセル130は、既存のマットレスの上に敷くオーバーレイ型であってもよい。
すなわち、サブセル130は、1枚のシートで構成されてもよい。例えば、図13のサブセルシート190は、複数の空間を有している。この空間に、ポンプ180から空気が供給されることにより、空間が膨張し、サブセルとして機能する。すなわち、ポンプ180から、シートに設けられた空間に空気が給排気されることで、空間が膨縮するため、サブセルと同様の機能を有する。
このように、シート状にサブセルを一体に形成したサブセルシート190の場合、サブセルシート190をマットレス10の下に設置するだけで同様の効果が期待できる。また、サブセルシート190は、マットレス10の上に設置してもよい。
[10.3 ボトム構成]
また、上述した実施形態では、ベッド本体のボトムの構成として、背ボトム、湾曲ボトム、膝ボトム、足ボトムを備えるものを中心に説明したが、当該構成に限定されるものではない。例えば、一般的に湾曲ボトムは、背ボトムの機能を有していてもよいし、腰ボトムの機能を有していてもよい。また、ボトムの構成のうち、足ボトムは、膝ボトムと一体の構成であってもよい。また、背ボトムが、複数に分割されることで、湾曲ボトムと同じ効果(例えば、分割された背ボトムのうち、足側にある背ボトムが利用者の腰を支持する効果)を奏する構成であってもよい。湾曲ボトムは、腰ボトムと表すこともできる。
[10.4 出力の切替]
上述した実施形態では、第1の出力と第2の出力とは、エアセルの場所に応じて切り替えることとして説明した。これ以外にも、例えば利用者が任意のタイミングを操作装置200で設定してもよい。
また、第1の出力、第2の出力は、機能毎に割り当てられてもよい。例えば、制御部1000は、背上げ動作時は第1の出力でポンプ180を制御し、体位変換時は第2の出力でポンプ180を制御してもよい。
また、第1の出力、第2の出力は、利用者の状態や時間で割り当てられてもよい。例えば、制御部1000は、利用者が就寝中はポンプ180を第2の出力で制御し、それ以外の場合はポンプ180を第1の出力で制御してもよい。また、例えば、制御部1000は、夜間はポンプ180を第2の出力で制御し、それ以外の場合(昼間等)はポンプ180を第1の出力で制御してもよい。