JP6534197B1 - ヘッドレストスティおよびヘッドレスト - Google Patents
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Abstract
Description
座席の種類、形状およびサイズも、シートバックにヘッドレストを有するものであれば任意である。
ヘッドレストスティの構造は、枕部に埋設されるブリッジ部と、ブリッジ部の両端にそれぞれ連結された左右一対の脚部とを有している。
ヘッドレストスティの形状は略逆U字形状である。
ブリッジ部は、パイプ材である。
このうち、パイプ材からなるブリッジ部の形状としては、略逆U字形状である。
また、パイプ材からなるブリッジ部の場合、各脚部とブリッジ部との連結部分と、ブリッジ部の屈曲部分とのうち、少なくとも何れか一方は、各断面がそれぞれ長円形で、各長軸が座席の前後方向に延びるように設けてもよい。このように構成すれば、断面円形の丸パイプから形成されたブリッジ部や、この長円形の長軸方向を(座席の)左右方向に向けたブリッジ部とした場合に比べて、断面係数が大きく高剛性となるため、例えば急停車時、着座乗員の頭部が枕部にぶつかって、ブリッジ部の上述した部分に大きな曲げモーメントが作用しても、ブリッジ部は変形しにくい。
2本の脚部のうちの少なくとも1本には、複数のノッチを長さ方向に所定ピッチで形成してもよい。これらのノッチには、シートバックからのヘッドレストの高さを調節する調節機構の掛止爪が掛止される。
各脚部の厚さは任意である。また、左右の脚部の厚さを異ならせてもよい。例えば、強度が必要な複数のノッチが形成された側の脚部を厚肉とし、ノッチが無い側の脚部を薄肉としてもよい。
メッキの溶液に含まれる金属は限定されない。例えば、亜鉛、ニッケル、クロムなどを採用することができる。
メッキ処理されるのは脚部のみで、ブリッジ部はメッキ処理されない。
各脚部のうち、メッキ処理される領域は、その表面のみでも、その他の部分を含めてもよい。
連結強度をさらに高めるため、各連結部分(スリーブ付きの場合にはスリーブごと)に、カシメを行う。
ブリッジ部用のパイプの太さ(外径)は任意であるものの、脚部の直径より小径にすれば、ヘッドレストスティの軽量化が図れる。
その場合、ブリッジ部のパイプ径と脚部のパイプ径との比率は任意である。例えば、脚部のパイプ径の50〜90%でもよい。
ブリッジ部は、各脚部より薄肉な金属パイプから設けてもよい。この場合には、屈曲部分にスリーブを内篏して補強した方が好ましい。
このような形状に脚部とブリッジ部との連結部分を付形する方法としては、カシメを採用する。
また、ブリッジ部のうち、脚部との連結側の端部は、例えば、縮径化または拡径化することで、脚部との連結が可能な直径としなければならない。
クッション体は、例えば、ブリッジ部が配された表皮の内部空間に射出材料を射出して設けることができる。その他、あらかじめ設けたクッション体を、ブリッジ部が収納された表皮の中に詰め込んでもよい。また、ブリッジ部の外周面へのクッション体の接着、または紐などによるブリッジ部への締結でもよい。
カシメ用空間の形成方法は任意である。例えば、表皮内への射出成型材料の注入量を調整する方法などを採用することができる。その他、例えば、表皮の素材に対して低接着力の材料を選択的に使用し、表皮の各挿通孔に各脚部の上端部を差し込んだとき、各挿通孔の形成部の裏面からその周辺のクッション体の一部分が剥がして内方へ押し込むことにより、各カシメ用空間を現出するようにしてもよい。
カシメ具としては、例えば、ペンチ、ヤットコなどの手動式のものを採用することができる。その他、アクチュエータによりカシメ力を作用させる自動カシメ装置でもよい。
また、このようにヘッドレストスティを3分割したことで、枕部の作製後に各脚部をブリッジ部の両端部に連結することが可能となり、ヘッドレスト(特に枕部の)作製中の各脚部のメッキ面へのキズの発生を抑制することができる。さらには、このブリッジ部と各脚部との連結作業を、例えば海外を含めた出荷先(現地)の組立工場で行うことも可能となり、その際には、ヘッドレストをコンパクトに箱詰めでき、輸送コストの低減を図ることができる。
その後、例えば出荷直前に表皮の各挿通孔に、少なくとも表面がメッキ処理された各脚部の上端部を挿通して、各脚部とブリッジ部とをそれぞれ連結してから、各挿通孔を介して、対応するカシメ用空間にカシメ具を挿入し、各脚部とブリッジ部との連結部分をそれぞれカシメる。
このように、枕部の内部に各カシメ用空間を形成し、これらのカシメ用空間内で各脚部とブリッジ部とを連結してカシメるように構成したため、メッキ剥がれを伴うカシメ痕は表皮により隠される。その結果、ヘッドレストスティが3分割されたものでありながら、製造されたヘッドレストは、デザイン的および強度的にも従来品とそん色がない。
枕部の作製後、少なくとも表面がメッキ処理された各脚部の上端部を各挿通孔に挿入し、これらをクッション体に埋設したブリッジ部に連結する。
その結果、従来は枕部の作製中、ブリッジ部と一体化した各脚部のメッキ面にキズが発生していたが、それを無くすことができる。こうして、請求項1に記載のヘッドレストスティを有したヘッドレストを製造することができる。
ヘッドレスト14は、着座乗員の頭部が当たる枕部17を本体とする。この枕部17は、その外装材である袋状の表皮18と、表皮18の内部空間に配された前記ブリッジ部16と、このブリッジ部16を埋設した状態で表皮18の内部空間に一体的に充填されるクッション体19とを有している。
ブリッジ部16は、直径(外径)12.7mm、厚さ2mmのステンレス製の直管を、所定形状に屈曲したものである。具体的には、ブリッジ部16は下向きコの字形に屈曲した中央杆20Aを有し、この中央杆20Aの両下端部に、斜め後方へ向けて外広がりした左右一対の側部杆20Bがそれぞれ一体的に連結されたものである。これらの側部杆20Bの下端部は、直下に向かってそれぞれ屈曲している。これらの直下部分の下端部には、対応する脚部15の上端部に嵌入される左右一対の縮径部(連結部分)21がそれぞれ形成されている。各縮径部21の下端部分は、対応する挿通孔18aから下方へ突出される。
各脚部15は、直径(外径)12.7mm、厚さ2mmのステンレス製の直管である。各脚部15の長さは同一である。このうち、図1中の右側の脚部15の内側面(左側面)には、長さ方向に所定ピッチで複数のノッチ15aが形成されている。これらのノッチ15aには、スティ保持具23が有する図示しない掛止爪が掛止される。
クッション体19は、発泡ウレタンフォーム製の枕状をした緩衝ブロックである。
図3に示すように、枕部17の下部内には、各挿通孔18aと連通する一対のカシメ用空間24がそれぞれ形成されている。各カシメ用空間24には、前記各縮径部21がそれぞれ露出している。
まず、ヘッドレストスティ10のブリッジ部16用の長尺な1本の直管と、各脚部15用の短尺で同一長さの2本の直管とをそれぞれ準備する(直管の準備工程)。
その後、長尺な直管を所定形状に屈曲してブリッジ部16を形成し(ブリッジ部形成工程)、また各短尺な直管を加工して、一対の脚部15をそれぞれ形成する(脚部形成工程)。
次いで、数10本の脚部15をまとめて吊下可能なメッキラック(ひっかけ)に、各脚部15をそれぞれ吊下し、これらをニッケルクロム溶液が貯液された電気メッキ槽の陰極バーに掛止する。これにより、各脚部15がニッケルクロム溶液にドブ漬けされる。この状態で通電することで、表面全体にニッケルクロムが電気メッキされる(脚部のメッキ工程)。
クッション体19の射出成形時には、まず表皮18の内部空間にヘッドレストスティ10のブリッジ部16を収納する。この状態で、表皮18の内部空間に発泡ウレタンの射出成形材料を注入し、これを発泡させて、枕形状のクッション体19を射出成形する。このとき、各挿通孔18aの内側に各カシメ用空間24が配設されるとともに、各挿通孔18aからはブリッジ部16の対応する縮径部21の先部がそれぞれ突出するように、表皮18への射出成型材料の注入量を調整する。こうして、表面が表皮18により被われて、ブリッジ部16が埋設された枕部17が作製される。なお、これらのカシメ用空間24は、必ずしも形成する必要はない。
メッキ処理された各脚部15とメッキ処理されていないブリッジ部16とは、所定の品質検査を施した後にそれぞれ保管される。
次いで、各挿通孔18aを介して、対応するカシメ用空間24にカシメ具25の先端部を挿入し、各脚部15とブリッジ部16との連結部分をそれぞれカシメる(図3参照)。その結果、従来は枕部17の作製中、ブリッジ部16と一体化した各脚部15のメッキ面にキズが発生していたものの、それを無くすことができる。
こうして製造されたヘッドレスト14は、その後、梱包されて所定の出荷先へ輸送される(出荷工程)。
さらに、図7に示すように、ヘッドレストスティ10Bの軽量化を図るため、ブリッジ部16Bを、各脚部15より薄肉なステンレスパイプ(例えば1.2mm)から設けてもよい。その際には、ブリッジ部16Bの屈曲部分に補強スリーブS1を内篏して補強した方が好ましい。
さらにまた、図示しないものの、ヘッドレストスティ10の軽量化対策として、ブリッジ部16のステンレスパイプの直径を、各脚部15のものの直径より小径にしてもよい。ただし、各脚部15の連結部分には、本来のサイズが必要である。
図8および図9に示すように、参考例2のヘッドレストスティ10Cの特徴は、各脚部15とブリッジ部16Cとの連結部分と、ブリッジ部16Cの各屈曲部分との各水平な断面がそれぞれ長円形で、各長軸が座席12の前後方向に延びるように設けられた点である(図8の部分拡大断面図を参照)。
ここでいう“断面”とは、ステンレスパイプ製のブリッジ部16の管軸に直交する断面(水平な断面)をいう。
その他の構成、作用および効果は、参考例1と略同じであるため、説明を省略する。
図10に示すように、この発明の参考例3のヘッドレストスティ10Dの特徴は、ブリッジ部16Dのうち、各脚部15との連結部分16aを除いた部分を、多数の長孔26付きのステンレス製の枠板から構成し、この枠板の水平配置される中間枠部(実施例1の中央杆20Aに該当)27においては、板幅方向を上下方向に向ける一方、その他の部分、すなわち斜め後方へ向けて外広がりした左右一対の側枠部(参考例1の側部杆20Bに該当)28にあっては、その板幅方向を前後方向に向けた点である。
その結果、例えば急停車時、着座乗員の頭部が枕部17にぶつかって、ブリッジ部16Dの各脚部15との連結部分およびブリッジ部16Dの各側枠部28にそれぞれ大きな曲げモーメントが作用しても、このブリッジ部16は変形しにくい。
また、ブリッジ部16Dの各脚部15との連結部分16aは、各脚部15の上端部を外嵌できるように、参考例1のブリッジ部16の該当部分により大径に形成されている。
その他の構成、作用および効果は、参考例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
図11に示すように、この発明の参考例4のヘッドレストスティ10Eの特徴は、ブリッジ部16Eの素材として他の合成樹脂に比べて高強度なポリアミド樹脂を採用することにより、ヘッドレストスティ10Eのさらなる軽量化を図った点である。
なお、これらの連結部分は、例えば接着剤によって互いの連結強度を高めてもよい。
また、図12に示すように、湾曲板30を省略した基枠29のみのブリッジ部16Fとしてもよい。
その他の構成、作用および効果は、参考例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
図13および図14に示すように、この発明の実施例5のヘッドレストスティ10Fの特徴は、左右一対の脚部15Aとして、対応する側部杆20Bとの連結部分(基端部)15bが拡径化されたものを採用し、各連結部分15bとブリッジ部16の連結では、各連結部分15bの管内に、対応する側部杆20Bの下端部を嵌入して、周方向に30°ピッチで前後2列の各箇所をスポット的にカシメることによって、合計12個のカシメ部15cを形成した点である。
これにより、ブリッジ部16と各脚部15Aとの連結強度(カシメ強度)が高まり、各脚部15Aが対応する側部杆20Bからさらに抜けにくくなる。
その他の構成、作用および効果は、参考例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
11 自動車(乗り物)、
12 座席、
13 シートバック、
14 ヘッドレスト、
15,15A 脚部、
16、16A〜16E ブリッジ部、
16a、16b 連結部分、
18 表皮、
18a 挿通孔、
19 クッション体、
21 縮径部(連結部分)、
24 カシメ用空間、
25 カシメ具。
Claims (3)
- 乗り物の座席のシートバックのヘッドレストに使用されるヘッドレストスティにおいて、
金属製の直管から形成されて、前記シートバックに支持される左右一対の脚部と、
金属製の管により形成され、その両端部がこれら一対の脚部の上端部にそれぞれ連結された略逆U字形状のブリッジ部とを備え、
これらのブリッジ部および一対の脚部にあって、一対の脚部のみは、少なくとも表面にメッキ処理が施されるとともに、
該ブリッジ部と該一対の脚部との2箇所の連結部分には、前記金属製の管同士が嵌合されて、この嵌合された管部分について管の周方向に複数箇所、かつその管の軸方向に複数箇所についてスポット的にカシメ加工が施されたヘッドレストスティ。 - 前記一対の脚部と上記ブリッジ部との連結部分および前記ブリッジ部の屈曲部分のうちの少なくともいずれか一方は、その断面が長円形でその長軸が前記座席の前後方向に延びるように設けられた請求項1に記載のヘッドレストスティ。
- 乗り物の座席のシートバックに取り付けられるヘッドレストにおいて、
請求項1または請求項2に記載のヘッドレストスティを用い、
前記ブリッジ部はクッション体に埋設され、該クッション体は表皮により被覆されるとともに、
前記一対の脚部は、この表皮から突出したヘッドレスト。
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