JP6533671B2 - 回転繰出し式筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、回転カムを回転させる操作によりリフィール前端の筆記部を出没させるようにした回転繰出し式筆記具に関するものである。
従来、この種の筆記具には、例えば特許文献1に記載されるように、軸筒(10)と、該軸筒内で前後方向へスライドするスライド駒(21)と、前記スライド駒から前方へ突出するリフィール支持軸(スペーサ部材21c)と、該リフィール支持軸の前端側に接続されたリフィール(31,32)と、前記リフィール支持軸に環状に装着されて前記リフィール支持軸及び前記スライド駒を軸筒後方へ付勢するコイルバネ(付勢部材40)と、軸筒内で前記スライド駒及び前記リフィール支持軸を前後方向へ案内するガイド中駒(スペーサ部材21c周りの部材)と、軸筒内で前記ガイド中駒に相対し回動する傾斜面を前記スライド駒に摺接させて該スライド駒を前進させる回転カム(50)とを備えた回転繰出し式筆記具がある。
この従来技術において、前記スライド駒は丸孔を有しており、前記リフィール支持軸は、前記丸孔に挿入され該丸孔内で乗り越え嵌合して固定されていた。また、前記ガイド中駒は、前記リフィール支持軸を前方から挿入するための有底孔を有するとともに、該有底孔の後部側の側壁に、前記スライド駒を側方へ突出させるための窓孔を有していた。
ところで、前記従来の回転繰出し式筆記具の組立方法では、前記ガイド中駒の前記有底孔に、前記スライド駒及び前記コイルバネを予め装着し、この状態を保持したまま、前記有底孔に対し前方から前記リフィール支持軸を挿入して、該リフィール支持軸の後端側を、前記コイルバネに挿入した後、さらに前記スライド駒の丸孔に挿入し該丸孔内で乗り越え嵌合させていた。
このため、前記ガイド中駒に前記スライド駒及び前記コイルバネを装着した状態を保持するのが困難であったり、前記リフィール支持軸の後端側を前記コイルバネや前記スライド駒に挿入する作業が困難であったり等、組立作業上の困難を有していた。特に筆記具全体をより細身化する場合には、前記組立作業上の困難が顕著となるため、改善が求められる。
また、前記リフィール支持軸を、スライド駒の丸孔内で乗り越え嵌合する際に、スライド駒が弾性的に膨張するため、前記ガイド中駒における前記有底孔の内径を予め大き目に設定する必要があり、このことも筆記具全体の細身化を妨げる一因となっていた。
特開2009−154458号公報
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、組立性を向上するとともに細身化が可能な回転繰出し式筆記具を提供することにある。
上記課題を解決するための一手段は、軸筒内でスライドするスライド駒と、前記スライド駒から前方へ突出するリフィール支持軸とを備え、回転カムの回転により前記スライド駒及び前記リフィール支持軸を前進させて、前記リフィール支持軸に支持されたリフィールの筆記部を軸筒前端から突出させるようにした回転繰出し式筆記具において、前記スライド駒には、前記リフィール支持軸の後端側に嵌り合う嵌合凹部が設けられ、該嵌合凹部は、前記リフィール支持軸に対する略直交方向から前記リフィール支持軸を挿入可能な凹状に形成され、前記リフィール支持軸は、嵌合軸部と、該嵌合軸部の外壁面から突出するリブとを有し、前記嵌合軸部の外周部には、前記嵌合凹部への挿入方向に対する直交方向の両側に、略平行に平坦面部が設けられ、前記嵌合凹部は、前記平坦面部に対し略平行する平坦状の開口縁部を有し、前記開口縁部から挿入した前記嵌合軸部を、前記開口縁部よりも奥側の筒状凹部に嵌め合せるとともに、前記開口縁部に前記リブを嵌め合せていることを特徴とする。
本発明は、以上説明したように構成されているので、組立性を向上するとともに当該回転繰出し式筆記具の細身化も可能になる。
本発明に係る回転繰出し式筆記具の一例を示す内部構造図である。 リフィール支持軸の一例を示す側面図である。 スライド駒の一例を示し、(a)は側面図、(b)は(a)に対する左側面図、(c)は(a)に対する上面図、(d)は(a)に対する下面図である。 リフィール支持軸に対しスライド駒を嵌め合せようとしている状態を示す側面図である。 図4における(V)−(V)線に沿う断面図であり、(a)と(b)はリフィール支持軸にスライド駒を装着する前と後の状態を示す。 ガイド中駒の一例を示す側面図である。 同ガイド中駒を前方から視た図である。 図6における(VIII)‐(VIII)線に沿う断面図である。 図6における(IX)‐(IX)線に沿う断面図である。 ガイド中駒に対し支持軸ユニットを装着しようとしている状態を示し、ガイド中駒は図6における(X)‐(X)線断面である。 回転カムの一例を示す側面図である。 図11における(XII)‐(XII)線に沿う断面図である。
本実施の形態の第一の特徴は、軸筒内でスライドするスライド駒と、前記スライド駒から前方へ突出するリフィール支持軸とを備え、回転カムの回転により前記スライド駒及び前記リフィール支持軸を前進させて、前記リフィール支持軸に支持されたリフィールの筆記部を軸筒前端から突出させるようにした回転繰出し式筆記具において、前記スライド駒には、前記リフィール支持軸の後端側に嵌り合う嵌合凹部が設けられ、該嵌合凹部は、前記リフィール支持軸に対する略直交方向から前記リフィール支持軸を挿入可能な凹状に形成されている(図3〜図5参照)。
この構成によれば、リフィール支持軸に対し、略直交する方向からスライド駒を接続することができ、組立性が良好な上、スライド駒の小型化が可能であり、ひいては、当該回転繰出し式筆記具を細身化することができる。
第二の特徴として、より組立性を向上するために、前記嵌合凹部は、前記リフィール支持軸を挿入するための開口縁部の幅を、前記リフィール支持軸の外径よりも小さく設定するとともに、該開口縁部よりも奥側の幅を該開口縁部の前記幅よりも大きく設定しており、前記開口縁部が弾性的に拡げられて前記リフィール支持軸が前記開口縁部内に挿入されるように構成してある(図3参照)。
第三の特徴として、前記リフィール支持軸は、嵌合軸部と、該嵌合軸部の外壁面から突出するリブとを有し、前記嵌合凹部は、開口縁部から挿入した前記嵌合軸部を、前記開口縁部よりも奥側の凹部本体に嵌め合せるとともに、前記開口縁部に前記リブを嵌め合せている(図5参照)。
この構成によれば、嵌合凹部の凹部本体にリフィール支持軸の嵌合軸部が嵌り合った状態で、該嵌合凹部の開口縁部には、リフィール支持軸のリブが嵌り合う。このため、スライド駒が、回転カムから受ける押圧力等により、前記開口縁部を狭めるようにして変形するようなことを防ぐことができ、ひいては、リフィール支持軸とスライド駒との接続部分の耐久性を向上するとともに、該接続部分のさらなる細身化が可能になる。
また、以下の実施例では、前記リフィール支持軸に対する略直交方向から前記スライド駒の嵌合凹部を嵌め合わせる工程を含む回転繰出し式筆記具の製造方法も開示している。
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書中、「前方」とは、筆記部(ボールペンチップ42)の先端方向を意味し、「後方」とは、その逆方向を意味する。また、「径外方向」とは、筆記具の軸筒の径方向において中心部から離れる方向を意味し、「径内方向」とは、その逆方向を意味する。
図1は、本発明に係る回転繰出し式筆記具の一例を示す。
この回転繰出し式筆記具Aは、軸筒10と、該軸筒10内で前後方向へスライドするスライド駒20と、スライド駒20の前端側に接続されたリフィール支持軸30と、該リフィール支持軸30の前端側に接続されたリフィール40と、前記リフィール支持軸30に環状に装着されて前記リフィール支持軸30及び前記スライド駒20を軸筒後方へ付勢するコイルバネ50と、軸筒10内でスライド駒20及びリフィール支持軸30を前後方向へ案内するガイド中駒60と、軸筒10内でガイド中駒60に相対し回動する上り傾斜面72a(図11参照)をスライド駒20に摺接させて該スライド駒20を前進させる回転カム70とを備え、前進した際のスライド駒20を上り傾斜面72aの前端側の係止凹部72cに係止して、リフィール40前端の筆記部(ボールペンチップ42)を突出状態に維持するように構成される。
軸筒10は、前軸11と、該前軸11内の後部側に接続された支持筒12と、該支持筒12の後部側に回転自在に接続された後軸13とから一体筒状に形成される。
前軸11は、中心部を前後に貫通した略筒状に形成され、その前端側の部分を先細状に形成するとともに、最前端部に、リフィール40を出没するための開口部11aを有する。
支持筒12は、後半部側を後方へ突出した状態で、その前半部側を前軸11内の後部側に挿入した略筒状の部材である。
この支持筒12の前半部側は、前軸11に対し、抜き差し可能且つ回転不能に嵌合している。例えば、軸筒10内のリフィール40を交換する際等に、支持筒12が前軸11に対し後方へ抜かれる。
また、支持筒12の後半部側は、後軸13の前端側に挿入され、後軸13を回転可能に支持している。
すなわち、後軸13は、支持筒12の後半部側に支持されることで、前軸11及び支持筒12に対し回転可能である。この後軸13の後端側の外周には、クリップ部13aが設けられる。また、後軸13の後端側の内部には、回転カム70が一体回転可能に嵌り合っている。
スライド駒20は、回転カム70に係合する係合部21と、リフィール支持軸30の後端側に嵌め合せられる嵌合凹部22とを一体に具備して構成される(図3参照)。
係合部21は、後方を頂部21aとした山形状に形成され、頂部21a側の部分を回転カム70の上り傾斜面72a及び下り傾斜面72b(図11参照)に滑らせて移動する。この係合部21の周面部21bは、後軸13の内周面に摺接する。
嵌合凹部22は、リフィール支持軸30に対し略直交する方向から嵌り合う凹状に形成されている。
詳細に説明すれば、この嵌合凹部22は、リフィール支持軸30を挿入するための開口縁部22aと、該開口縁部22aから挿入されるリフィール支持軸30の外周部(詳細には嵌合軸部32a)に嵌り合う筒状凹部22bとを有し、開口縁部22aが弾性的に拡げられてリフィール支持軸30が開口縁部22a内の筒状凹部22b内に挿入されるようにしてある
開口縁部22aは、リフィール支持軸30の二つのリブ32b,32b(図4及び図5参照)のうちの一方に嵌り合うように、その幅寸法w(図3参照)を設定している。
筒状凹部22bは、開口縁部22aの奥側に設けられた略円筒面状の凹部である。この筒状凹部22bの内径は、開口縁部22aの幅wよりも大きく設定される。
また、筒状凹部22bの奥側の内壁面には、リフィール支持軸30の二つのリブのうちの他方に嵌り合うように、凹部22cが設けられる。
リフィール支持軸30は、長尺円柱状の軸本体30aの前端側に、リフィール40の後端側に接続されるリフィール接続部31を有し、後端側に、スライド駒20を嵌め合せるための駒接続部32を有する(図4参照)。
リフィール接続部31は、リフィール40の後端側に挿入可能な円柱状に形成される。該リフィール接続部31の外周面には、周方向に間隔を置いて縦リブ31aが設けられる。これら縦リブ31aは、リフィール40内壁面に圧接される。
また、リフィール接続部31の後端側には、環状鍔部31bが設けられる。この環状鍔部31bは、リフィール40の後端部に当接する。
駒接続部32は、スライド駒20の筒状凹部22bに嵌り合う嵌合軸部32aと、該嵌合軸部32aの外壁面から突出して前後方向へ延びる二つのリブ32b,32bとを有する。なお、リブ32bの他例としては、前後方向に対し交差する方向へ延びるリブや、図示例以外の形状のリブ等とすることも可能である。
嵌合軸部32aは、図4及び図5に示すように、リフィール支持軸30の後端側を部分的に縮径することで形成された略軸状の部位である。
この嵌合軸部32aの外周部において、スライド駒20への挿入方向に対する直交方向の両側には、平坦面部32a1,32a1(図5参照)が略平行に設けられる。これら平坦面部32a1,32a1は、嵌合軸部32aを、スライド駒20の嵌合凹部22内へ挿入する際の抵抗を軽減して、その挿入作業を容易にする。
二つのリブ32b,32bは、嵌合軸部32aの外周部において、スライド駒20に対する挿入方向側と、その反対側とにそれぞれ設けられる(図5参照)。一方のリブ32bは、スライド駒20内の開口縁部22aに嵌り合う。また、他方のリブ32bは、スライド駒20内の筒状凹部22b奥側の凹部22cに嵌り合う。
なお、本実施の好ましい一例では、組付け時の方向性をなくして生産性を向上するために、前記のように、リブ32bを二つ設けたが、他例として、前記凹部22cに対応する一方のリブ32bを省くとともに、凹部22cを省くことも可能である。
リフィール40は、長尺円筒状のインク収容管41の前端側に、ボールペンチップ42を接続してなるボールペンリフィールである。
コイルバネ50は、金属製の圧縮コイルバネであり、リフィール支持軸30における環状鍔部31bよりも後側に環状に装着される。このコイルバネ50の後端部は、リフィール支持軸30後端側に装着されるスライド駒20の前端部により受けられる。
そして、スライド駒20とリフィール支持軸30とコイルバネ50とは、一体的な支持軸ユニット1として構成される(図10参照)。
詳細に説明すれば、支持軸ユニット1は、リフィール支持軸30における環状鍔部31bよりも後側にコイルバネ50が環状に装着され、同リフィール支持軸30におけるコイルバネ50よりも後側にスライド駒20が嵌合されることで、分離しないように一体化される。
また、ガイド中駒60は、後軸13内の後部側に挿入された長尺状の部材である。このガイド中駒60の前端側は、支持筒12の後端側に固定される(図1参照)。また、同ガイド中駒60は、後軸13と一体的な回転カム70に対し回転自在に嵌り合う。したがって、前軸11に相対し後軸13を回転させれば、後軸13内では、ガイド中駒60に相対し回転カム70が回転することになる。
このガイド中駒60の外周部には、軸筒軸方向に対し略直交する方向から支持軸ユニット1を挿入可能な凹状のガイド溝61が複数設けられる。
また、このガイド中駒60の後端側には、後方向きに係合突起62が突出している(図6参照)。この係合突起62は、回転カム70に対し回転可能に嵌り合う。
そして、ガイド中駒60におけるガイド溝61よりも前側には、リフィール40の側面に摺接してリフィール40の進退を案内するリフィールガイド片63が設けられる。
また、ガイド溝61は、前後方向へわたって連続する溝本体61aと、該溝本体61aの前端側に位置する係止突起61bとから構成される。
このガイド溝61の後端部には、リフィール支持軸30の後端部を受ける壁面状の受け部61a1が設けられる。
また、ガイド溝61の前方側は、支持軸ユニット1が挿入されるように開放している(図7参照)。
そして、このガイド溝61は、支持軸ユニット1におけるリフィール接続部31よりも後側に位置するとともにコイルバネ50全体を含む部分を、軸筒軸方向に対し略直交する方向から溝本体61a内に挿入して、スライド駒20及びリフィール支持軸30を進退可能に嵌め合わせるとともに、係止突起61bによりコイルバネ50の前端縁を係止する(図10参照)。
溝本体61aは、側方に開口部を有する断面略コ字状の溝であり、前後方向へ長尺状に連続している(図6、図9及び図10参照)。この溝本体61aは、スライド駒20の嵌合凹部22側の外面形状にならって形成され、図9に示す一例によれば、断面略矩形凹状に形成される。
係止突起61bは、溝本体61aの前端側の内壁から溝内側へ突出する断面凹状の突起であり、その内部に、リフィール支持軸30の軸本体30aを、遊びを有する状態で挿入する。この係止突起61bの後端面は、コイルバネ50の前端部に当接する。
ガイド溝61内において、係止突起61bを有する部分は、図7に示すように、開口縁側の寸法Bが、その奥側の寸法A及び軸本体30aの外径よりも小さく設定される。
図10に示すように、支持軸ユニット1をガイド中駒60のガイド溝61に挿入する際、治具等によってコイルバネ50の前端側が収縮され、該コイルバネ50の前端部が、係止突起61bの後端面に係止されるとともに、ガイド溝61における前記寸法Bの部分がリフィール支持軸30により弾性的に押し広げられて、ガイド溝61内に支持軸ユニット1が嵌め合せられる。なお、図10によれば、右側のコイルバネ50のみを収縮させた状態を示すが、左側のコイルバネ50も同様にして収縮される。
そして、ガイド中駒60と、二つの支持軸ユニット1,1とは、一体ユニット状に構成される。
また、係合突起62(図10参照)は、ガイド中駒60において、複数のガイド溝61よりも後側にて後方へ突出する突起である。この係合突起62の基端側には、その前部側よりも縮径された環状の括れ部62aが設けられる。この括れ部62aには、回転カム70が環状に嵌り合う。回転カム70は、括れ部62aの外周を自在に回転する。
また、リフィールガイド片63は、ガイド中駒60において、係止突起61bよりも前方へ突出する突片である。このリフィールガイド片63は、リフィール支持軸30の前端側に嵌合されるリフィール40に対し、径方向の両側から近接又は接触するように一対に設けられる(図7参照)。このリフィールガイド片63は、リフィール40をリフィール支持軸30に着脱する際や、リフィール40を進退動作させる際に、当該リフィール40を前後方向へ案内する。
なお、他例としては、このリフィールガイド片63を省くことも可能である。
また、回転カム70は、略円筒状の筒部71と、該筒部71前端から略山形状に突出するカム本体72とから構成され(図11及び図12参照)、ガイド中駒60に相対し回転するように係合している。
筒部71は、後軸13の内周面にならう略円筒状に形成される。この筒部71の内壁面には、径内方向へ突出する環状支持突起71aと、該環状支持突起71aの後側の雌ネジ部71bとが設けられる。
環状支持突起71aには、ガイド中駒60が回転自在に嵌り合う。
雌ネジ部71bには、尾栓14(図1参照)が螺合接続される。該尾栓14は、回転カム70後端部との間に、クリップ部13aの基部を挟持する。
カム本体72は、図11に示すように、回転方向の一方側でスライド駒20を斜め前方へ滑らせる上り傾斜面72aと、回転方向の他方側でスライド駒20を斜め後方へ滑らせる下り傾斜面72bと、これら上り傾斜面72aと下り傾斜面72bとの間でスライド駒20に嵌り合う係止凹部72cと、下り傾斜面72bの後端から軸方向に沿って後方へ延設された回転規制面72dとを有する。
このカム本体72によれば、回転カム70がガイド中駒60に相対し一方向へ回転した際、スライド駒20は、上り傾斜面72aを滑って斜め前方へ移動した後、係止凹部72cに係止される。そして、回転カム70がさらに前記一方向へ回転すると、スライド駒20は、係止凹部72cから外れて、下り傾斜面72bを滑って斜め後方へ移動した後、回転規制面72dに沿って後方へ移動する。
また、回転カム70を逆方向へ回転しようとした場合には、スライド駒20が回転規制面72dに対し略垂直に当接するため、この逆方向への回転を阻むことができる。
次に、上記構成の回転繰出し式筆記具Aにおける製造方法上の特徴について説明する。
支持軸ユニット1を組み立てる際、先ず、リフィール支持軸30における環状鍔部31bよりも後側の部分に、その後方側からコイルバネ50が環状に装着される。
次に、同リフィール支持軸30におけるコイルバネ50よりも後側において、リフィール支持軸30に対し、略直交する方向からスライド駒20が嵌合される(図4参照)。
詳細に説明すれば、スライド駒20の嵌合凹部22へリフィール支持軸30の駒接続部32が挿入されるようにして嵌め合せられる(図5参照)。
この際、スライド駒20の嵌合凹部22は、駒接続部32の挿入により弾性的に拡がる。そして、駒接続部32の嵌合軸部32aが、嵌合凹部22の筒状凹部22bに嵌り合い、同時に、嵌合軸部32aの一方のリブ32bがスライド駒20の凹部22cに嵌り合い、さらに、嵌合軸部32aの他方のリブ32bが嵌合凹部22の開口縁部22aに嵌り合う。
したがって、スライド駒20が、回転カム70から受ける押圧力等により、開口縁部22a間を狭めるようにして変形するようなことを、リブ32bにより阻むことができる。
しかも、リフィール支持軸30に対し直交方向からスライド駒20を嵌め合せるようにしているため、例えば、リフィール支持軸を軸方向後方へ移動してスライド駒に嵌め合せるようにした従来技術に比べて、組立性が良好な上、細身な形状にすることができる。
また、ガイド中駒60に対し支持軸ユニット1を組付ける際には、図10に示すように、ガイド中駒60のガイド溝61に対し、軸筒軸方向に対する略直交方向から支持軸ユニット1を挿入すればよく、組立性が良好である。
しかも、例えば、先にガイド中駒に装着したスライド駒に対し軸筒前方側からリフィール支持軸を挿入しようとした従来技術等では、ガイド中駒内にスライド駒が嵌合等のために弾性的に変形する空間を確保する必要があるが、本願発明では、前記空間を不要にできるので、より細身な形状にすることができる。
また、ガイド中駒60と、二つの支持軸ユニット1,1とは、容易に分離することのないように、一体ユニット状に構成されるため(図10参照)、組立性が良好な上、部品管理も容易である。
また、リフィール40交換のために、リフィール40がリフィール支持軸30から前方へ外される際、リフィール支持軸30にはスライド駒20から抜ける方向の力が作用するが、リフィール支持軸30の嵌合軸部32aを構成する凹状部分の後端壁(図4参照)に、スライド駒20の後端部が当接するため、スライド駒20からリフィール支持軸30が引き抜けてしまうようなことを防ぐことができる。
なお、図示例の回転繰出し式筆記具Aによれば、2本のリフィール40を選択的に出没させる態様としたが、他例としては、1本のリフィール40を出没させる態様や、3本以上のリフィール40を出没させる態様とすることも可能である。
また、図示例によれば、複数のリフィール40を全てボールペン用リフィールとしたが、他例としては、複数のリフィール40を、ボールペン用リフィールや、シャープペンシル用リフィール、入力ペン等の組み合わせとすることも可能である。
また、図示例によれば、カム本体72を、回転規制面72dを有する左右非対称形状にし、一方向のみの回転操作を可能にすることで、回転カム70全体を細身に形成したが、他例としては、カム本体72を左右対称の山形状に形成して双方向へ回転操作可能な態様とすることも可能である。
1:支持軸ユニット
10:軸筒
20:スライド駒
21:係合部
22:嵌合凹部
22a:開口縁部
22b:筒状凹部
30:リフィール支持軸
31:リフィール接続部
32:駒接続部
32a:嵌合軸部
32b:リブ
40:リフィール
50:コイルバネ
60:ガイド中駒
61:ガイド溝
61b:係止突起
70:回転カム
72:カム本体
72c:係止凹部
A:回転繰出し式筆記具

Claims (3)

  1. 軸筒内でスライドするスライド駒と、前記スライド駒から前方へ突出するリフィール支持軸とを備え、回転カムの回転により前記スライド駒及び前記リフィール支持軸を前進させて、前記リフィール支持軸に支持されたリフィールの筆記部を軸筒前端から突出させるようにした回転繰出し式筆記具において、
    前記スライド駒には、前記リフィール支持軸の後端側に嵌り合う嵌合凹部が設けられ、該嵌合凹部は、前記リフィール支持軸に対する略直交方向から前記リフィール支持軸を挿入可能な凹状に形成され
    前記リフィール支持軸は、嵌合軸部と、該嵌合軸部の外壁面から突出するリブとを有し、
    前記嵌合軸部の外周部には、前記嵌合凹部への挿入方向に対する直交方向の両側に、略平行に平坦面部が設けられ、
    前記嵌合凹部は、前記平坦面部に対し略平行する平坦状の開口縁部を有し、前記開口縁部から挿入した前記嵌合軸部を、前記開口縁部よりも奥側の筒状凹部に嵌め合せるとともに、前記開口縁部に前記リブを嵌め合せていることを特徴とする回転繰出し式筆記具。
  2. 前記嵌合軸部の外壁面には、前記リブと同形状の他のリブが、前記挿入方向側へ突出するように設けられ、
    前記筒状凹部の奥側の内壁面には、前記他のリブに嵌り合うように凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の回転繰出し式筆記具。
  3. 前記嵌合軸部は、前記リフィール支持軸の後端側を部分的に縮径していることを特徴とする請求項1又は2記載の回転繰出し式筆記具。
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