以下、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を説明する概要図である。
画像形成装置100は、例えばカラー画像形成でタンデム方式と称される二次転写機構を有する電子写真方式の画像形成装置である。以下、画像形成装置100を例に説明する。
画像形成装置100は、中間転写ユニット(図示せず)を有する。中間転写ユニットは、無端ベルトの中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14乃至16に掛けられ、図1の場合、時計回りに回転する。
中間転写体クリーニングユニット17は、作像プロセスが行われた後、中間転写ベルト10の上に残留するトナーを除去する。
作像装置20は、クリーニングユニット13と、帯電ユニット18と、除電ユニット19と、現像ユニット29と、感光体ユニット40と、を有する。
画像形成装置100は、図1の場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色(以下、適宜括弧内に示した記号で色を表す場合がある)に対応して別々の作像装置20を有する。
作像装置20は、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15の間に設置される。各色の作像装置20は、中間転写ベルト10の搬送方向に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の順で設置されている。
作像装置20は、画像形成装置100に対して脱着が可能である。作像装置20の詳細は、後述する。
光ビーム走査装置21は、各色の感光体ユニット40の感光体ドラムに画像形成のための光ビームを照射する。
二次転写ユニット22は、2つのローラ23と、二次転写ベルト24と、を有する。
二次転写ベルト24は、無端ベルトであり、2つのローラ23に掛けられ、回転する。ローラ23及び二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を押し上げて、第3の支持ローラ16に押し当てるように設置される。
二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10の上に形成された画像を、記録媒体へ転写する。記録媒体は、例えば紙、又はプラスチックシート等である。以下、記録媒体が紙の場合を例に説明する。
定着ユニット25は、定着のプロセスを行う。定着ユニット25には、トナー像が転写された記録媒体が送られる。定着ユニット25は、定着ベルト26、及び加圧ローラ27を有する。定着ベルト26は、無端ベルトである。定着ベルト26、及び加圧ローラ27は、定着ベルト26に、加圧ローラ27を押し当てるように設置される。定着ユニット25は、加熱を行う。
シート反転ユニット28は、送られてきた記録媒体の表面と裏面を反転させる。シート反転ユニット28は、表面に画像形成した後、裏面に画像形成する場合に用いられる。
自動給紙装置(ADF(Auto Document Feeder))400は、操作ユニット(図示せず)のスタートボタンが押され、かつ、給紙台30の上に記録媒体がある場合、記録媒体をコンタクトガラス32の上に搬送する。自動給紙装置400は、給紙台30の上に記録媒体がない場合、ユーザによって置かれたコンタクトガラス32の上の記録媒体を読み取るために、画像読み取りユニット300を起動させる。
画像読み取りユニット300は、第1のキャリッジ33と、第2のキャリッジ34と、結像レンズ35と、CCD(Charge Coupled Device)36と、光源(図示せず)と、を有する。
画像読み取りユニット300は、コンタクトガラス32の上の記録媒体を読み取るために、第1のキャリッジ33、及び第2のキャリッジ34を動作させる。
第1のキャリッジ33にある光源は、コンタクトガラス32に向かって発光する。第1のキャリッジ33にある光源からの光は、コンタクトガラス32の上の記録媒体で反射する。
反射した光は、第1のキャリッジ33にある第1のミラー(図示せず)で、第2のキャリッジ34に向かって反射する。第2のキャリッジ34に向かって反射した光は、結像レンズ35を通して、読み取りセンサであるCCD36に結像する。
画像形成装置100は、CCD36で得た情報に基づいてY、M、C、及びK等の各色に対応する画像データを作成する。
画像形成装置100は、操作ユニット(図示せず)のスタートボタンが押された場合、PC(Personal Computer)300等の外部装置(図示せず)から画像形成の指示があった場合、中間転写ベルト10の回転を開始する。また、画像形成装置100は、ファクシミリの出力指示があった場合、中間転写ベルト10の回転を開始する。
中間転写ベルト10の回転が開始された場合、作像装置20は、作像プロセスを開始する。トナー画像が転写された記録媒体は、定着ユニット25に送られる。定着ユニット25は、定着のプロセスを行うことによって、記録媒体に画像が画像形成される。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42と、給紙ユニット43と、分離ローラ45と、搬送コロユニット46と、を有する。給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44を有する場合がある。搬送コロユニット46は、搬送ローラ47を有する。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42のうち1つを選択する。給紙テーブル200は、選択した給紙ローラ42を回転させる。
給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44のうち1つを選択し、給紙トレイ44から記録媒体を送る。送り出された記録媒体は、分離ローラ45によって1枚に分離され、搬送コロユニット46に入れられる。
搬送コロユニット46は、搬送ローラ47によって記録媒体を画像形成装置100に送る。
記録媒体は、搬送コロユニット48によってレジストローラ49に送られる。レジストローラ49に送られた記録媒体は、レジストローラ49に突き当てて止められる。記録媒体は、トナー画像が二次転写ユニット22に進入する際に、所定の位置に転写が行われるタイミングで二次転写ユニット22に搬送される。
記録媒体は、手差しトレイ51から送られてもよい。手差しトレイ51から記録媒体を送る場合、画像形成装置100は、給紙ローラ50、及び給紙ローラ52を回転させる。
給紙ローラ50及び給紙ローラ52は、手差しトレイ51上にある複数の記録媒体から1枚の記録媒体に分離させる。給紙ローラ50、及び給紙ローラ52は、分離させた記録媒体を給紙路53へ送る。給紙路53に送られた記録媒体は、レジストローラ49に送られる。記録媒体がレジストローラ49に送られた以降の処理は、給紙テーブル200から記録媒体を送る場合と同様である。
記録媒体は、定着ユニット25によって定着され、排出される。定着ユニット25から排出された記録媒体は、切換爪55によって排出ローラ56に送られる。排出ローラ56は、送られてきた記録媒体を排紙トレイ57に送る。
また、切換爪55は、定着ユニット25から排出された記録媒体をシート反転ユニット28に送ってもよい。シート反転ユニット28は、送られてきた記録媒体の表面と裏面を反転させる。反転させられた記録媒体は、表面と同様に裏面に画像形成、いわゆる両面印刷が行われ、排紙トレイ57へ送られる。
一方、中間転写ベルト10に残るトナーは、中間転写体クリーニングユニット17によって除去される。画像形成装置100は、中間転写ベルト10に残るトナーが除去されると、次の画像形成に備える。
なお、画像形成装置100は、図1の構成に限られない。画像形成装置100は、5色以上の色を用いて画像形成を行ってもよい。画像形成装置100が5色以上の色を用いる場合、画像形成装置100は、用いる色の数に合わせて作像装置20の有する数が変更される。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置による画像形成プロセスの一例を説明する概要図である。
画像形成装置100は、中間転写ベルト10と、各色に対応した作像装置20と、各色に対応した光ビーム走査装置21と、中間転写体クリーニングユニット17と、二次転写ユニット22と、を有する。
光ビーム走査装置21から、作像装置20に光ビームが入射される。光ビーム走査装置21の詳細は、後述する。
作像装置20は、入射された光ビームに基づいて作像プロセスを行う。電子写真の画像形成のプロセスは、帯電、露光、現像、転写、及び定着の5つのプロセスが行われる。作像プロセスは、帯電、露光、現像、及び転写である。
作像装置20は、作像プロセスで、各色のトナー画像を中間転写ベルト10に形成する。各色の作像装置20が形成した各色のトナー画像を順に重ねて、4色のカラーのトナー画像が形成される。
作像装置20の感光体ユニット40には、画像データに基づいて変調された光ビームが入射される。
帯電ユニット18は、帯電のプロセスを行う。帯電のプロセスは、帯電ユニット18が感光体ユニット40の表面を帯電させるプロセスである。
帯電した感光体ユニット40は、光ビームにより露光のプロセスが行われる。露光のプロセスは、感光体ユニット40の表面に静電潜像を形成するプロセスである。
現像ユニット29は、現像のプロセスを行う。現像のプロセスは、感光体ユニット40に形成された静電潜像に対してトナーを付着させ、トナー画像を形成するプロセスである。現像ユニット29には、トナーボトル(図示せず)からトナーの供給が行われる。
トナー画像は、転写器62によって中間転写ベルト10の上に転写される。
作像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10の上で重ねられ、1つのトナー画像として記録媒体に転写される。
転写の後、除電ユニット19は、感光体ユニット40の除電を行い、クリーニングユニット13は、トナー画像の除去を行う。
転写されたトナー画像が二次転写ユニット22に進入する際、媒体は、二次転写ユニット22に送られる。二次転写ユニット22に送られた記録媒体に、中間転写ベルト10の上のトナー画像が転写される。
二次転写ユニット22は、中間転写ベルト10に形成された4色のカラーのトナー画像を記録媒体に転写する。その後、定着ユニット25が定着のプロセスを行う。
中間転写体クリーニングユニット17は、転写プロセスの後、4色のカラーのトナー画像を除去する。
<光走査装置>
図3は、本実施形態に係る光走査装置の構成の一例を説明する概要図である。図3は、図2の光ビーム走査装置21を上から見た上面図である。光ビーム走査装置21は、各色の光ビーム走査装置21とも同じ構成である。
光走査装置は、例えば光ビーム走査装置21である。光ビーム走査装置21は、光学要素21−1、及び書込処理装置21−2を有する。以下、光ビーム走査装置21を例に説明する。
光学要素21−1は、ポリゴンミラー11、fθレンズ12、LD(Laser Diode)制御ボード31、折り返しミラー37、及び同期ミラー38等である。光学要素21−1は、同期レンズ39、シリンダレンズ41、同期センサ54等である。
書込処理装置21−2は、光学要素21−1の各要素を制御信号で制御し、光ビームの走査を制御する。書込処理装置21−2の詳細は、後述する。
LD制御ボード31は、光ビームを発光させる光源を有する。光源は、例えばLDである。以下、光源がLDの場合を例に説明する。
LD制御ボード31の光源は、画像形成装置100に入力される画像データに基づいて点灯が制御される。LD制御ボード31から発光された光ビームは、シリンダレンズ41を通り、ポリゴンミラー11で反射する。ポリゴンミラー11は、モータ(図示せず)によって回転し、入射してきた光ビームを偏向させる。
ポリゴンミラー11で反射した光は、fθレンズ12を通り、折り返しミラー37に向かう。折り返しミラー37で反射した光は、各色の作像装置20に入射し、感光体ユニット40の上を走査する。
主走査方向の書き出しである端部では、fθレンズ12を通った光は、同期ミラー38で反射し、同期レンズ39を通って、同期センサ54に入射する。同期センサ54は、入射する光から主走査方向の書き出し開始のタイミングを検出する。
なお、主走査方向は、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向である。副走査方向は、記録媒体の搬送方向である。以下、主走査方向、及び副走査方向は、同様に記載する。
<ハードウェア構成>
図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)100D1と、記憶装置100D2と、制御装置100D3と、を有する。画像形成装置100は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)100D4と、I/F(interface)100D5と、を有する。画像形成装置100の有する各ハードウェアは、バス(Bus)によって接続され、相互にデータを送受信する。
CPU100D1は、画像形成装置100の行う各処理を実現するための演算、及び各装置の制御を行う。
記憶装置100D2は、CPU100D1、及びASIC100D4が用いるデータ、プログラム、及び設定等を記憶する。記憶装置100D2は、いわゆるメモリ(Memory)等である。
制御装置100D3は、画像形成装置100の有する図1の定着ユニット25等の各装置をCPU100D1、及びASIC100D4の制御に基づいて動作させる。
ASIC100D4は、画像形成装置100の行う各処理を実行する電子回路である。
I/F100D5は、画像形成装置100にデータ、パラメータ、及びユーザによる操作等を入出力するためのインタフェースである。I/F100D5は、ネットワークに接続するためのコネクタ、又は入力装置等である。
画像形成装置100は、制御装置100D3、ASIC100D4、及びI/F100D5を有する。画像形成装置100は、制御装置100D3、ASIC100D4、及びI/F100D5を複数有する構成でもよい。
なお、ハードウェア構成は、図4の構成に限られない。例えば画像形成装置100は、CPU100D1を複数有する構成であってもよい。また、各ハードウェアの接続は、バスによる接続に限られない。例えばバスに代えてシリアルI/F等による接続のハードウェアがあってもよい。
また、ASIC100D4は、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)であってもよい。
<機能構成>
(1)画像形成装置の機能構成
図5は本実施形態に係る画像形成装置100の機能構成の一例を説明する機能ブロック図である。
画像形成装置100は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色版で作像する。図示するように、各色版は、1版を4個の光源を発光させて露光処理を行う。
画像形成装置100は、画像展開部260と、第1書込み制御部210と、第2書込み制御部220と、光源ドライバ部230と、マルチLD(Laser Diode)240とを有する。
画像展開部260は、プリンタアプリの場合、いわゆるコントローラ(Controller)となる機能を有する。画像展開部260は、コピーアプリの場合、スキャナ等となる機能を有する。画像展開部260は、第1書込み制御部210と第2書込み制御部220に画素データ(604、608)を入力するための展開処理を行う。
画像展開部260は、後段の処理が可能な形式に画像データのフォーマットを変換する処理等を行う。具体的には、画像展開部260は、画像データをブラック、マゼンタ、シアン、及びイエローの画素データ(604、608)に変換する。
画像展開部260は、第1書込み制御部210と、第2書込み制御部220に画素データ(604、608)を送信する。
本実施形態では、画像展開部260が、第1の書込み制御部210に送信する画素データを第1の色群に属する画素データ604とし、第2の書込み制御部220に送信する画素データを第2の色群に属する画素データ608とする。
例えば、第1の色群に属する画素データ604が全色の画素データ、つまりブラック、マセンダ、シアン、及びイエローの画素データであり、第2の色群に属する画素データ608が、一部の色の画素データ、例えばシアンとイエローであってもよい。或いは、第1の色群に属する画素データ604が一部の色の画素データであり、第2の色群に属する画素データ608がその他の色の画素データであってもよい。例えば、第1の色群がブラック及びマセンダであり、第2の色群がイエロー及びシアンであってもよい。
第1書込み制御部210、及び、第2書込み制御部220は、画像展開部260から受信した画素データ(604、608)について、光源ドライバ部230等の露光を行う機能が読取り可能な形式である露光データに変換する処理を行う。
なお、第1書込み制御部210は、画像展開部260から受信した画素データ604のうち、一部の色の画素データ604についてのみ光源ドライバ部230等の露光を行う機能が読取り可能な形式である露光データに変換する処理を行ってもよい。図5の例では、第1書込み制御部210は4色の画素データ604を受信しているが、ブラック(K)とマゼンタ(M)の画素データ604に対して変換処理を行っている。
第1書込み制御部210と、第2書込み制御部220はカスケード接続されており、第1書込み制御部210は、第2書込み制御部220に対するマスターとして動作する。第2書込み制御部220は、第1書込み制御部210からの指示を受けて書込み制御を行うスレーブとして動作する。
第1書込み制御部210は、エンジン制御部250等からスタートトリガ信号(STTRIG)601を受信し、書込み制御を開始する。また、第1書込み制御部210は、第2書込み制御部220に対してマスターのスタートトリガ信号(M−STOUT)605を送信する。
第2書込み制御部220は、マスターのスタートトリガ信号(M−STOUT)605に基づいて、書込み制御を開始する。
エンジン制御部250は、画像形成装置100の有する各装置を制御し、装置全体の制御を行う。エンジン制御部250は、例えばモータ、クラッチ、及び電源等のI/O(input/output)制御と、電源制御等と、を行う。
光源ドライバ部230(230a〜230p)は、光源であるマルチレーザダイオード240(以下、マルチLD240)の発光を制御する。光源ドライバ部230は、露光を行うためのいわゆるドライバ(Driver)である。
なお、光源は、レーザダイオードに限られない。光源は、例えばレーザダイオードアレイ(Laser Diode Array)等でもよい。光源は、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、又はラインヘッド(line scan head)等でもよい。
マルチLD240(240a〜240d)は、光源ドライバ部230の指示に基づいて発光する。図5では、マルチLD240は、各色4個の光源を有する。例えば、マルチLD240aは、光源ドライバ部230aから光源ドライバ部230dの指示に基づいて、ブラックの画素データ604に対する発光処理を行う。マルチLD240は、他の色についても同じ処理を行う。
図5の例では、画像形成装置100は、色毎に4個のLD、合計16個のLDを有する。なお、LDには、マルチLDに加えて、シングルLD、LDアレイ等の種類がある。
(2)書込み制御部の機能構成
図6は、本実施形態に係る書込み制御部の機能構成の一例を示す図である。
第1書込み制御部210、及び、第2書込み制御部220は、それぞれ、パラメータ制御部(217、227)と、ビデオ入力部(211、221)と、画像処理部(212、222)と、スキュー補正部(213、223)と、スキュー補正部(213、223)のラインメモリ(214、224)と、階調変換部(215a、215b、225a、225b)と、画素カウント部(216、226)と、ビデオ入力部(211、221)のラインメモリ(218、228)とを有する。
ビデオ入力部(211、221)は、画像展開部260と相互にデータ、及び、信号の送受信を行う。具体的には、ビデオ入力部(211、221)は、画像展開部260に、ページの先端を示す同期信号であるMFSYNC信号(602、606)、ラインの先端を示すパルス形式の同期信号であるMLSYNC信号(603、607)を送信する。ビデオ入力部(211、221)は、画像展開部260から、色毎の画素データ(604、608)を受信する。
画像展開部260は、画素データ(604、608)を送信する時に、MFSYNC信号(602、606)とMLSYNC信号(603、607)に合わせて画素データ(604、608)を送信する。
図6に示す例では、マスターである第1書込み制御部210のビデオ入力部211は、4色全ての画素データ604を受信する。一方、スレーブである第2書込み制御部220のビデオ入力部221は、第2書込み制御部220を介して発光の処理をする2色(C、Y)の画素データ608を受信する。
マスターのビデオ入力部211は、エンジン制御部250からスタートトリガ信号(STTRIG)601を受信する。マスターのビデオ入力部211は、STTRIG信号601を受信すると、マスターにおけるスタートトリガ信号(M−STOUT)605を生成する。M−STOUT信号605は、マスターであるビデオ入力部211のMFSYNC信号(以下、M−MFSYNC信号)602と、MLSYNC信号(以下、M−MLSYNC信号)603との起点となる。
スレーブのビデオ入力部221は、M−STOUT信号605をマスターのビデオ入力部211から受信する。スレーブのビデオ入力部221は、M−STOUT信号605を受信するとスレーブにおけるスタートトリガ信号(S−STOUT)610を生成する。S−STOUT信号610は、スレーブであるビデオ入力部221のMFSYNC信号(以下、S−MFSYNC信号)606と、MLSYNC信号(以下、S−MLSYNC信号)607との起点となる。
画像展開部260とマスターのビデオ入力部211は同一の動作クロックで動作している。画像展開部260は、画素データ604を、M−MFSYNC信号602とM−MLSYNC信号603とに従って、マスターのビデオ入力部211に送信する。
一方、スレーブのビデオ入力部221は、画像展開部260と非同期である。スレーブのビデオ入力部211は、外部から別の動作クロックの供給を受ける。
このため、画像展開部260と、スレーブのビデオ入力部221とは、外部から供給を受けている外部転送用クロックの周波数に転送クロックを合わせて、画像展開部260は、画素データ608をスレーブのビデオ入力部221に送信する。
画像展開部260は、同時に異なる転送クロックで画素データ(604、608)を送信ことが望ましい。この際の転送レートの低下を回避するため、画素データ608を画像展開部260のラインメモリ201に格納後に、スレーブのビデオ入力部221に送信する。
また、スレーブのビデオ入力部221は、スレーブのビデオ入力部221の動作クロックに基づいて動作している。画像展開部260から外部転送用クロックの周波数に同期した画素データ608を受信すると、スレーブのビデオ入力部221は、画素データ608の処理を開始する前に、スレーブのビデオ入力部221の動作クロックの周波数に動作クロックを合わせる。
このため、スレーブのビデオ入力部221は、画像展開部260から受信した画素データ608をスレーブのビデオ入力部221のラインメモリ228に一旦格納し、スレーブのビデオ入力部221の動作クロックに基づいて画素データ608を読み出すことで、動作周波数の変換を行う。
なお、マスターのビデオ入力部211は、画像展開部260と同一の動作周波数で動作しているため、動作周波数の変換は不要である。マスターのビデオ入力部211は、同一の動作周波数により、ラインメモリ218の書込みと、読み出しの動作を行ってもよい。
ビデオ入力部(211、221)は、ラインメモリ(218、228)に、画像展開部260から受信した画素データ(604、608)を格納する。例えば、第1書込み制御部210と第2書込み部220にて、ジャギー補正のようなラインメモリを必要とする処理を行う場合に、画素データ(604、608)をビデオ入力部(211、221)のラインメモリ(218、228)に格納する。また、ビデオ入力部(211、221)は、内部パターンの付加、トリミング処理等の画像処理を行う場合がある。
画像処理部(212、222)は、内部パターンの付加、トリミング処理、及びジャギー補正等の画像処理を行う場合がある。
画像処理部(212、222)は、コントローラ310から転送される画像に重畳するテストパターン、偽造防止用パターン、及びプロッタ制御部単体で生成する各調整用パターン等を生成できる。調整用パターンは濃度調整用パターン、色ずれ補正用パターン、及びブレード捲れ回避用パターン(感光体全露光パターン)の3種類がある。
スキュー補正部(213、223)は、画像処理部(212、222)で処理された画素データ(604、608)に、スキュー補正を行う。画像処理されたデータは複数のスキュー補正用のラインメモリ(214、224)に格納される。スキュー補正部(213、223)は、画像位置に応じて読み出すスキュー補正用のラインメモリ(214、224)を切り替えることでスキュー補正処理を行う。スキュー補正部(213、223)は、ラインメモリ(214、224)への書込みと読み出し処理の際に、動作クロックの周波数変換を行うこともできる。
スキュー補正部(213、223)は、ラインメモリ(214、224)から画素データ(604、608)を読み出す際のライン周期を書込み時の1/N(Nは自然数)とし、1つのラインメモリからN回データを読み出すことで、スキュー補正後のデータの副走査方向の解像度がN倍となった高密度データとすることができる(N倍の倍密処理)。
なお、倍密処理については、ビデオ入力部(211、221)のラインメモリ(218、228)を用いて行う構成でも良い。ビデオ入力部(211、221)の出力データバス数をラインメモリ(218、228)の書込み時のN倍とし、1つのデータをN個のラインメモリ(218、228)に書込み、同時に読み出す。これによって、ビデオ入力部(211、221)の出力データは副走査方向の解像度がN倍となった高密度データとすることができる(N倍の倍密処理)。
このとき、ビデオ入力部(211、221)以降は倍密処理を実施せず、倍密後の解像度(発光解像度)で各処理を実施する。
階調変換部(215、225)は、スキュー補正された画素データ(604、608)の階調変換を行う。
マスターの画素カウント部216は、画像処理した画素データ量を計測する。マスターの画素カウント部216では、マスターの画像処理部212で処理された後の画素データ604をカウントすることができる。つまり、画像転送に重畳するテストパターン、及び偽造防止用パターン等の第1書込み制御部210単体で生成する各調整用パターンを含んだ画素数をカウントできる。
このため、トナー消費量を正確に推定することができる。より正確にトナー消費量を推定するため、マスターの画素カウント部216に入力される画素データ604に対して階調変換によるトナー消費の変動を考慮してトナー消費量を推定してもよい。図6の例では、スレーブの画素カウント部226は動作しないが、マスターの画素カウント部216と同様の動作をしてもよい。
パラメータ制御部(217、227)は、エンジン制御部250等の外部の制御機能と接続して記憶しているパラメータを書き換えることができる。
パラメータ制御部(217、227)は、FF(Flip−Flop)、SRAM(Static Random Access Memory)、又はFIFO(First In First Out memory)などを用いてパラメータを記憶する。また、パラメータ制御部(217、227)は、外部メモリ330を用いて記憶領域を拡大してもよい。
なお、単色印刷、特にモノクロ印刷を行う場合、スレーブとして動作している第2書込み制御部220は動作しない。マスターとして動作する第1書込み制御部210のみ動作する。画像形成装置100は、第2書込み制御部220が不要な動作をしないように停止処理を行う。
これにより、マスターのビデオ入力部211から、第2書込み制御部220がM−STOUT信号605を受信した場合、同期検知信号が入力された場合、又は、画像展開部260がブラックの画素データ604を第2書込み制御部220に送信した場合等においても、第2書込み制御部220は不要な動作をしない。
なお、具体的な停止処理方法は、第2書込み制御部220の電源をオフにする、第2書込み制御部220をスリープモードにする、第2書込み制御部220をリセット状態にする、第2書込み制御部220への動作クロック及び/又は同期検知信号の供給を停止する、第2書込み制御部220内の機能部をオフにする(機能部のイネーブルをオフにする)、マスターのビデオ入力部211がM−STOUT信号605を送信しないようにする、又は、スレーブのビデオ入力部221がM−STOUT信号605を受信しても書込み動作を開始しないようにする、といった方法がある。
<動作手順>
(1)ビデオ入力部への画素データの入力
図7は、本実施形態に係るビデオ入力部(211、221)への画素データ(604、608)の入力に係る動作手順の一例を説明するための図である。
ステップS701で、コントローラ310は、PC(Personal Computer)300から画像データを受信する。コントローラ310は、画像データをビットマップデータに変換する。この際に、コントローラ310は、ページメモリ320を用いてもよい。
ステップS702で、画像展開部260は、ビットマップデータに変換された画像データを受信すると、画像データを色毎の画素データ(604、608)に展開する。
ステップS703で、エンジン制御部250は、印刷処理の起動に関する依頼を受信する。印刷処理の起動に関する依頼は、画像展開部260から受信してもよいし、別の機能部から受信してもよい。
ステップS704で、マスターのビデオ入力部211は、STTRIG信号601をエンジン制御部250から受信する。例えば、マスターのビデオ入力部211は、パラメータ制御部217経由でSTTRIG信号601を受信してもよい。
ステップS705で、マスターのビデオ入力部211は、M−STOUT信号605を生成する。
ステップS706で、マスターのビデオ入力部211は、M−MFSYNC信号602を画像展開部260に出力する。
ステップS707で、マスターのビデオ入力部211は、M−MLSYNC信号603を画像展開部260に出力する。
ステップS708で、画像展開部260は、M−MFSYNC信号602とM−MLSYNC信号603を受信すると、所定の待機時間fgtdly経過後に、色毎に展開された画素データ604をマスターのビデオ入力部211に送信する。画像展開部260は、全色(K、M、C、Y)の画素データ604をビデオ入力部211に送信する。
所定の待機時間fgtdlyは、画像展開部260の処理時間と、マスターのビデオ入力部211及びスレーブのビデオ入力部221が画素データ(604、608)を受信して、書込み処理が可能になるまでのタイミング差とから設定される値である。具体的には、所定の待機時間fgtdlyは、マスターのビデオ入力部211が画素データ604を画像展開部260から受信し、書込み処理を開始するタイミングと、スレーブのビデオ入力部221が、画素データ608を画像展開部260から受信し、書込み処理を開始するタイミングとが一致するように設定される。なお、所定の待機時間fgtdlyは色毎に設定されもよい。
その後、第1書込み制御部210は、受信した色の画素データ604の書込み処理を行う。本実施形態では第1書込み制御部210は、ブラック(K)とマゼンダ(M)の画素データ604の書込み処理を行い、潜像を形成する。なお、本実施形態では、シアン(C)とイエロー(Y)の画素データ604は、画素カウント部216での画素カウントに用いられるだけであり、潜像形成には用いられない。
次にスレーブのビデオ入力部221に関する手順を説明する。
ステップ709で、スレーブのビデオ入力部221は、カスケード接続されているマスターのビデオ入力部211から、M−STOUT信号605を受信する。
ステップS710で、スレーブのビデオ入力部221は、S−STOUT信号610を生成する。また、スレーブのビデオ入力部221は、S−STOUT信号610を起点として、S−MFSYNC信号606と、S−MLSYNC信号607とを生成する。
ステップS711で、スレーブのビデオ入力部221は、S−MFSYNC信号606を画像展開部260に送信する。
ステップS712で、スレーブのビデオ入力部221は、S−MLSYNC信号607を画像展開部260に送信する。
ステップS713で、画像展開部260は、S−MFSYNC信号606とS−MLSYNC信号607を受信すると、所定の待機時間fgtdly経過後に、スレーブのビデオ入力部221に送信する画素データ608、すなわち本実施形態ではシアンとイエロー(C、Y)をスレーブのビデオ入力部221に送信するために画素データ608をラインメモリ201に書込む処理を開始する。本実施形態では、この処理を開始するタイミングを、画像展開部260が画素データ608を第2書込み制御部220に送信を開始するタイミングとする。
画像展開部260は、シアンとイエローの画素データ608をラインメモリ201に書き込んだ後、ラインメモリ201から読み出す。画像展開部260とスレーブのビデオ入力部221の間でデータを送受信する際には、外部転送用クロックに同期するための周波数変換が必要なため、この処理を実施する。
画像展開部260が、ラインメモリ201にスレーブのビデオ入力部221に送信する画素データ608を、書込み後に読み出しを行うことによりS−MLSYNC信号607が送信される間隔に相当する時間(1ライン分)の処理遅延が生じる。
ステップS714で、画像展開部260は、シアンとイエロー(C、Y)の画素データ608をビデオ入力部221に送信する。
ステップS715で、スレーブのビデオ入力部221は、受信したシアン(C)とイエロー(Y)の画素データ608をラインメモリ228に書込み、さらに読み出す。スレーブのビデオ入力部221の動作クロックに合わせるための周波数変換が必要なためである。スレーブのビデオ入力部221が、受信したシアン(C)とイエロー(Y)の画素データ608を、ラインメモリ228に書込み、さらに読み出すことによりS−MLSYNC信号607が送信される間隔に相当する時間(1ライン分)の処理遅延が生じる。
本実施形態では、スレーブのビデオ入力部221が、画素データをラインメモリ228から読み出しを開始するタイミングを、第2の書込み制御部220が書込み処理を開始するタイミングとする。
第2書込み制御部220は、受信した色の画素データ608の書込み処理を行う。本実施形態では、第2書込み制御部220は、シアン(C)とイエロー(Y)の画素データ608の書込み処理を行い、潜像を形成する。 なお、本実施形態では、M−MLSYNC信号603の送信間隔とS−MLSYNC信号607の送信間隔は同じである。
つまり、スレーブのビデオ入力部221に送信される画素データ608については、マスターのビデオ入力部211に送信される画素データ604と比較して、MLSYNC信号(603、607)が送信される間隔の2倍に相当する時間(2ライン分)の処理遅延が生じる。
ここで、色毎の書込み処理を開始するタイミングをそろえるため、画像展開部260は、マスターのビデオ入力部211にのみ送信するブラック(K)とマゼンダ(M)の画素データ604の待機時間fgtdlyと、スレーブのビデオ入力部221に送信するイエロー(Y)とシアン(C)の画素データ608の待機時間fgtdlyを調整する。
具体的には、画像展開部260は、イエロー(Y)とシアン(C)の画素データ608の待機時間fgtdlyを、ブラック(K)とマゼンダ(M)の画素データ604の待機時間fgtdlyよりMLSYNC信号(603、607)信号が送信される間隔の2倍に相当する時間短くなるように設定する。
ここで、ブラック(K)とマゼンダ(M)の待機時間fgtdlyの起点と、イエロー(Y)とシアン(C)の待機時間fgtdlyの起点とは同じである。
なお、MFSYNC信号(602、606)とMLSYNC信号(603、607)は色毎に生成される。
上述した例では、スレーブのビデオ入力部221に送信される画素データ608については、マスターのビデオ入力部211に送信される画素データ604と比較して、MLSYNC信号(603、607)が送信される間隔の2倍に相当する時間分の処理遅延が生じるが、待機時間fgtdlyを調整するため、全ての色について同じタイミングで発光処理を行うことができる。
(2)各種信号の送信タイミング。
図8は、本実施形態に係るマスターのビデオ入力部211と、スレーブのビデオ入力部221等により生成される信号の送信タイミングの一例を示す図である。
マルチLD(240a、240b)がポリゴンミラー11の各面の先端付近に配置された同期センサ54に、レーザ光を照射した時に、ポリゴンミラー11は、ポリゴンミラー先端同期検知信号(DETP_a、DETP_b)を出力する。
マスターである第1書込み制御部210は、出力されるDETP_aとDETP_bとを基準に、第1書込み制御部210の黒とマゼンダとの動作の基準となるラインクリア信号609(lclre_K、lclre_M)を生成する。第1書込み制御部210は、ラインクリア信号609(lclre_K、lclre_M)からシアンと黄色との動作の基準となるラインクリア信号609(lclre_C、lclre_Y)を生成する。
なお、DETP_a、DETP_bとラインクリア信号609(lclre_K、lclre_M、lclre_C、lclre_Y)とは同じ周期で出力される。マスターである第1書込み制御部210の各色の機能部は、ラインクリア信号609(lclre_K、lclre_M、lclre_C、lclre_Y)を基準に動作の開始と終了を行う。
マルチLD(240c、240d)がポリゴンミラー11の各面の先端付近に配置された同期センサ54に、レーザ光を照射した時に、ポリゴンミラー11は、ポリゴンミラー先端同期検知信号(DETP_c、DETP_d)を出力する。
スレーブである第2書込み制御部220は、出力されるDETP_cとDETP_dとを基準に、第2書込み制御部220のシアンと黄色との動作の基準となるラインクリア信号609(lclre_C、lclre_Y)を生成する。なお、DETP_cと、DETP_dと、ラインクリア信号609(lclre_C、lclre_Y)とは同じ周期で出力される。スレーブである第2書込み制御部220の各色の機能部は、ラインクリア信号609(lclre_C、lclre_Y)を基準に動作の開始と終了を行う。
本実施形態では、色毎に4つのLDを用いて4ライン同時に書き込む場合を想定している。本実施形態では、lclre信号609は、23,088clk(=5,772clk×4)毎に生成される。ここで、clkはクロックを意味する。
マスターのビデオ入力部211は、エンジン制御部250からSTTRIG信号601を受信すると、STTRIG信号601の受信後に発生するlclre信号609のタイミング後にM−STOUT信号605を生成する。
STTRIG信号601は、各色に共通の基準信号であり、lclre信号609と非同期の信号である。
マスターのビデオ入力部211は、STTRIG信号601を受信すると基準となる1つの色のlclre信号609(例えば、lclre_K)を選択し、受信タイミングを測定する。
その後、マスターのビデオ入力部211は、全色のlclre信号609が無効になっているタイミングで、マスターのスタートトリガ信号(M−STOUT)605を生成する。
なお、lclre信号609が無効になっているタイミングとは、lclre信号609が受信されてから、次のlclre信号609が受信されるまでの期間である。
これにより、STTRIG信号601の生成タイミングにより、色間のタイミングずれが生じるのを避けることができる。
M−STOUT信号605は、スレーブである第2書込み制御部220に入力される。M−STOUT信号605は、第2書込み制御部220のスタートトリガ信号となる。
具体的には、マスターのビデオ入力部211は、lclre#1とlclre#2との間でSTTRIG信号601を受信した場合、lclre#2とlclre#3との間の中央辺りにM−STOUT信号605を生成する。
すなわち、M−STOUT信号605は、STTRIG信号601を受信した後のlclre信号609の後のタイミングで生成される。このため、ビデオ入力部211が、STTRIG信号601を受信してからM−STOUT信号605を生成するまでの遅延の時間を安定化できる。
M−STOUT信号605は、マスターのビデオ入力部211がM−MFSYNC信号602と、M−MLSYNC信号603とを生成する起点となる。マスターのビデオ入力部211は、M−STOUT信号605を生成した後のlclre信号609の後のタイミングから、M−MFSYNC信号602とM−MLSYNC信号603の生成を開始する。本実施形態では、M−MFSYNC#1信号602は、lclre#3信号609が生成されてから、7clk(クロック)経過後に生成され、印刷するページが変わると後続のM−MFSYNC#2が生成される。また、M−MLSYNC#1信号603は、lclre信号609が生成されてから、71clk経過後に生成され、5,772clk毎に生成される。一走査当たり4ラインが処理されるため、lclre信号609が生成される間隔に、4つのM−MLSYNC信号603が生成される。
図8の例では、lclre#3とlclre#4の間に、M−MLSYNC#1〜M−MLSYNC#4が生成される。
スレーブのビデオ入力部221は、マスターのビデオ入力部211からM−STOUT信号605を受信すると、次のlclre信号609の後のタイミング後にS−STOUT信号610を生成する。
マスターのlclre信号609(lclre_K、lclre_M、lclre_C、lclre_Y)とスレーブのlclre信号609(lclre_C、lclre_Y)が全て無効になっているタイミングに、マスターのM−STOUT信号605を生成するようにタイミングを調整する。
M−STOUT信号605は、スレーブのlclre信号609(lclre_C、lclre_Y)と非同期であるが、M−STOUT信号605は、マスターのlclre信号609(lclre_K、lclre_M、lclre_C、lclre_Y)とスレーブのlclre信号609(lclre_C、lclre_Y)が全て無効になっているタイミングに生成されるため、色間のタイミングずれが発生しない。
マスターである第1書込み制御部210と、スレーブである第2書込み制御部220では、共通のSTOUT信号生成回路を用いる。このため、M−STOUT信号605を生成してから、S−STOUT信号610を生成するまで、lclre信号の送信間隔の1周期分の遅延が発生する。
スレーブのビデオ入力部221は、M−STOUT信号605を受信すると、基準となる1つのlclre信号609(例えば、lclre_C)を用いて受信タイミングを測定する。そして、スレーブのビデオ入力部221は、lclre信号609(lclre_C、lclre_Y)が無効になっているタイミングに、スレーブのビデオ入力部221は、スタートトリガ信号(S−STOUT信号610)を生成する。
具体的には、スレーブのビデオ入力部221は、lclre#2とlclre#3の間でM−STOUT信号605を受信した場合、lclre#3とlclre#4との間の中央辺りにS−STOUT信号610を生成する。すなわちS−STOUT信号610は、M−STOUT信号605を受信した後のlclre信号609の後のタイミングで生成される。このため、S−STOUT信号610が生成されるまでの処理遅延の時間を安定化できる。
S−STOUT信号610は、スレーブのビデオ入力部221がS−MFSYNC信号606と、S−MLSYNC信号607とを生成する起点となる。スレーブのビデオ入力部221は、S−STOUT信号610を生成した後のlclre信号609の後のタイミングから、S−MFSYNC信号606とS−MLSYNC信号607の生成を開始する。
S−MFSYNC信号606及びS−MLSYNC信号607が生成される周期は、M−MFSYNC信号602及びM−MLSYNC信号603が生成される周期と同じである。
なお、一走査当たりにNライン処理される場合、つまり色毎にN個のLDを用いて処理をされる場合、lclre信号609が生成される間隔に、N個のM−MLSYNC信号603とN個のS−MLSYNC信号607が生成される。
(3)マスターのビデオ入力部211にのみ送信される画素データの送信手順
図9を用いて、マスターのビデオ入力部211へのみ送信される画素データ604の送信手順を説明する。具体的には、画像展開部260から、マスターのビデオ入力部211へのみ送信される画素データ604が、マスターのビデオ入力部221に受信されるタイミングの一例が示されている。本実施形態で、ブラック(K)とマゼンダ(M)の画素データ604が、画像展開部260から、マスターのビデオ入力部211へ送信する際の送信されるタイミングが示されている。
図9の最初のlclre信号609(lclre#m)が、図8のlclre#3に対応する。つまり、lclre#mは、マスターのビデオ入力部211が、M−STOUT信号605を起点として、M−MFSYNC信号602と、M−MLSYNC信号603との生成を開始したタイミングを表す。
画像展開部260は、マスターのビデオ入力部211から1ページの画像の転送開始の起点となるM−MFSYNC信号602を受信する。図9では、画像展開部260が、lclre#mを受信してから7clk後に、マスターのビデオ入力部211からM−MFSYNC#1を受信する様子を示している。
次に、画像展開部260は、マスターのビデオ入力部211からM−MLSYNC信号603を受信する。M−MLSYNC信号603は、1ラインの画像転送開始の起点となる。図9では、画像展開部260が、lclre#mを受信してから71clk後に、マスターのビデオ入力部211からM−MLSYNC#1を受信し、以降5,772clk毎にM−MLSYNC信号603を受信する。
画像展開部260は、コントローラ310から受信した画像データを処理する。このため、マスターのビデオ入力部211が、画像展開部260から画素データ604を受信するまで、所定の時間が必要である。画像展開部260による処理時間、つまり、画像展開部260は、ビデオ入力部(211、221)が待機する待機時間fgtdlyを、設定している。ここで、fgtdlyは色毎に設定され得る。
なお、本実施形態では、待機時間fgtdlyを待機時間に対応するクロック数、若しくは、MLSYNC信号(603、607)が送信される間隔(ライン数)として記載しているが、適用すべきクロック周期と、MLSYNC信号が送信される間隔と、が決定されれば、時間に変換できることは勿論である。
マスターのビデオ入力部211にのみ入力される色に関連する待機時間fgtdlyの設定方法について説明する。図6の例で、ブラック(K)とマゼンダ(M)がマスターのビデオ入力部211にのみ入力される色である。
画像展開部260は、lclre#mを起点として、待機時間fgtdly待機した後に、画素データ604と、画素データ604に同期したゲート信号をマスターのビデオ入力部211に送信する。
図9では、主走査ゲートのゲート信号をIPLGATE、副走査ゲートのゲート信号をIPFGATEとして示している。ゲート信号とは、アクティベートされている間には、入力信号を接続先にそのまま出力し、アクティベートされていない間には、入力信号を接続先に出力しない信号である。このため、ゲート信号が、アクティベートされている間に、画像展開部260は、マスターのビデオ入力部211に画素データ604を送信する。
マスターのビデオ入力部211が、ポリゴン面の1走査で4ラインの画素データ604を同時に書き込めるように、画像展開部260は、lclre信号609間に4ライン分の画素データ604を送信する。図9では、画像展開部260は、IPFGATE#1がアクティベートされている期間であって、IPLGATE#1〜IPLGATE#4がアクティベートされているのと同じタイミングで、画素データ604であるデータ800〜データ803をマスターのビデオ入力部211に送信する。
ここで、IPLENDはデータの送信期間の終わりを示す信号であり、例えばIPLEND#2が、データ801の送信期間の終わりを示す。
マスターのビデオ入力部211は、画像展開部260から画素データ604を4ライン分受信してから、ラインメモリ218に書き込み、4ラインを同時に読み出す。したがって、IPLGATEがアクティベートされる期間と画素データ604を受信する期間とが一致している。
画像展開部260が、画素データ604を4ラインずつ、マスターのビデオ入力部211に送信するためには、待機時間fgtdlyの終わりは、lclre信号609のタイミングに合っている必要がある。より具体的には、画像展開部260は、lclre信号609の周期のn倍だけ待機した後、n+1番目のlclre信号609後の最初のM−MLSYNC信号603の受信に応じて、画素データ604の送信を開始する。
待機時間fgtdlyをM−MLSYNC信号603の送信間隔数を用いて表すと、n個のlclre信号609の送信間隔は「4 × n」(M−MLSYNC信号間隔)であるため、待機時間fgtdlyは「4 × n +1」(M−MLSYNC信号間隔)となる。
このため、待機時間fgtdlyは、以下のようになる。
マスターのビデオ入力部211にのみ入力される色の画素データ604を画像展開部260からマスターのビデオ入力部211に送信する際の画像展開部260の待機時間は、
fgtdly = ( 4 × n + 1) × M−MLSYNC信号603が送信される間隔のクロック数 × クロック周期 (nは自然数)となる。
画像展開部260は、4の倍数のM−MLSYNC信号603を受信し、次のM−MLSYNC信号603を受信したことに応じて、マスターのビデオ入力部211に画素データ604を送信する。
例えばn=16の場合、64個のM−MLSYNC信号603受信し、65個目のM−MLSYNC信号603の受信に応じて画像展開部260は、画素データ604をビデオ入力部211に送信する。
図9は、この場合の、画素データ604の送信タイミングを示している。
待機時間fgtdlyは、ラインの周期のための信号であるM−MLSYNC信号603の本数を単位に表しており、図9の例では、M−MLSYNC信号603は、5,772clk毎に送受信されるため、待機時間fgtdly=65 × 5,772clk × クロック周期となる。
なお、待機時間fgtdlyは、稼働するLD数に応じて変更される。稼働するLD数に応じてlclre信号609周期内のM−MLSYNC信号603の数も変わるためである。例えば、色毎に8個のLDが稼働する場合には、
fgtdly =( 8 × n +1) × M−MLSYNC信号603が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数)
となり、
色毎に10個のLDが稼働する場合には、
fgtdly =( 10 × n +1) × M−MLSYNC信号603が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数)
となる。
つまり、k個のLDが稼働する場合には、
fgtdly =( k × n +1) × M−MLSYNC信号603が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(k、nは自然数)となる。
なお、nは任意の値が設定され得るが、画像展開部260が画像を画素データ604に展開する時間と、スレーブのビデオ入力部221がS−MFSYNC信号606及び、S−MLSYNC信号607を送信するタイミングを考慮して決定される。
マスターのビデオ入力部211は、データ800〜データ803を受信した後、4つのデータ(データ800〜データ803)をまとめて、画像処理部212に送信する。
(4)マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221の両方に送信される画素データの送信手順
(4.1)概要
図10を用いて、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221への画素データ(604、608)の送信手順を説明する。なお、図9と共通する部分については、説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図10は、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221への画素データ(604、608)が、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221に受信されるタイミングの一例を示している。具体的には、画像展開部260から、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221との両方に送信される画素データ(604、608)の受信タイミングが示されている。本実施形態では、シアン(C)とイエロー(Y)の画素データ(604、608)が、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221に受信されるタイミングが示されている。
マスターのビデオ入力部211、及び、スレーブのビデオ入力部221は、まず1ページの画像の画素データ(604、608)の転送開始の起点となるM−MFSYNC信号602とS−MFSYNC信号606とを画像展開部260に送信する。
加えて、マスターのビデオ入力部211、及び、スレーブのビデオ入力部221は、1ラインの画像の転送の開始の起点となるM−MLSYNC信号603とS−MLSYNC信号607とを画像展開部260に送信する。
本実施形態では、色毎に4つのLDを用いて書き込む場合を想定している。lclre信号609当たり、4ラインのデータ書込みが必要となる。
このため、画像展開部260は、1つのlclre信号609に対して4本のM−MLSYNC信号603とS−MLSYNC信号607を受信する。
マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221は同期していないため、厳密には、M−MFSYNC信号602とS−MFSYNC信号606とは同期しておらず、M−MLSYNC信号603とS−MLSYNC信号607とは同期していない。
しかし、S−MFSYNC信号606とS−MLSYNC信号607とは、S−STOUT信号610をトリガに生成され、S−STOUT信号610はM−STOUT信号605をトリガに生成されているため、画像展開部260は、これらの信号をほぼ同じタイミングで受信している。このため、図10では、M−MFSYNC信号602とM−MLSYNC信号603とが示されており、S−MFSYNC信号606とS−MLSYNC信号607とは図示されていない。
図10のM−IPFGATE信号とS−IPFGATE信号は、図9のIPFGATE信号と対応する。図10のM−IPLGATE信号とS−IPLGATE信号は、図9のIPLGATE信号と対応する。図10のM−IPLEND信号とS−IPLEND信号は、図9のIPLEND信号と対応する。「M−」はマスター用、「S−」はスレーブ用の信号を表す。信号の用途については図9と同じである。
なお、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221は同期していないため、信号がアクティベートされるタイミングを微調整してもよい。例えば、M−IPFGATE信号、M−IPLGATE信号がアクティベートされるタイミングと、S−IPFGATE信号、S−IPLGATE信号がアクティベートされるタイミングは微調整されている。M−IPFGATE信号は、M−MFSYNC信号602の受信後、102clk経過後からアクティベートされるのに対して、S−IPFGATE信号は、S−MFSYNC信号606の受信後8clk経過後からアクティベートされる。また、M−IPLGATE信号は、M−MFSYNC信号602の受信後、134clk経過後からアクティベートされるのに対して、S−IPLGATE信号は、M−MFSYNC信号602の受信後26clk経過後からアクティベートされる。
図8と同様に、図9においても、ポリゴン面の1走査で4ラインのデータを同時に書き込めるように、4ライン分のデータがまとめられて処理がされる。
例えば、画像展開部260は、スレーブのビデオ入力部221に、lclre#m+16〜lclre#m+17の間に、S−IPFGATE信号とS−IPLGATE信号がアクティベートされている間にデータ1000〜データ1003の4ライン分の画素データ608をスレーブのビデオ入力部221に送信する。以降も同様に、画像展開部260は、4ライン分の画素データ608をスレーブのビデオ入力部221に送信する。
(4.2)スレーブ側の動作
スレーブのビデオ入力部221は、画像展開部260から、画素データ608を4ライン分受信し、ラインメモリ228に記憶してから、4ラインを同時に読み出し、画像処理部222に送信する。
ここで、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221の両方に入力される色の待機時間fgtdlyの設定方法について説明する。本実施形態では、シアン(C)とイエロー(Y)の待機時間fgtdlyの設定方法が示されている。
画像展開部260が画素データ608を送信する準備を完了してからスレーブのビデオ入力部221が画素データ608を受信するまでに最低でも2ライン分、つまりS−MLSYNC信号607が送信される間隔の2倍に相当する遅延が発生する。本実施形態では、5,772×2clk分の遅延が発生する。なお、ここで「画素データ608を送信する準備を完了する」タイミングとは、画像展開部260が、画像データを色毎に展開し、スレーブのビデオ入力部221に送信するためにラインメモリ201に画素データ608の書込みを開始するタイミングである。本実施形態では、画素データ608のラインメモリ201への書込みを開始したタイミングを、画素データ608の送信を開始したタイミングとする。
この遅延が発生する理由は以下の通りである。
画像展開部260は、外部転送用クロックの周波数で画素データを転送するため、スレーブのビデオ入力部221に送信する画素データ608をラインメモリ201に書き込んだ後、ラインメモリ201から読み出すことにより、1ライン分(5,772clk × クロック周期分)の遅延が発生する。
加えて、画像展開部260から画素データ608を受信した後、スレーブのビデオ入力部221は、外部転送用クロックの周波数をスレーブのビデオ入力部221の動作クロックの周波数に変更するため、受信した画素データ608を一旦ラインメモリ228に書き込んだ後に、ラインメモリ228から読み出し、スレーブの画像処理部222に送信する。この際に、同様に1ライン分(5,772clk × クロック周期分)の遅延が発生する。
なお、本実施形態では、スレーブのビデオ入力部221が、画素データのラインメモリ228からの読み出しを完了したタイミングを、第2の書込み制御部220が書込み処理を開始したタイミングとする。
この遅延は、マスターでは発生しない。マスターのビデオ入力部211と画像展開部260とは同期しており、動作クロックの周波数変更が不要なためである。
この2ライン分(5,772clk × クロック周期分 × 2)の遅延がスレーブで発生する。このため、マスターのビデオ入力部211にのみ入力された色の画素データ608と同じタイミングで、スレーブのビデオ入力部221に入力された画素データ608の書込み処理がなされるために以下の処理が必要である。画像展開部260は、スレーブのビデオ入力部221に入力される色の画素データ608をスレーブのビデオ入力部221に送信する準備が完了するまでの待機時間を、2ライン分(5,772 × 2 × クロック周期)短くする。つまり、以下のように設定する必要がある。
スレーブのビデオ入力部221に入力される色の画素データ608が送信されるまでの待機時間
fgtdly
= ((4 × n + 1)―2) × S−MLSYNC信号607が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数)
= (4 × n ―1) × S−MLSYNC信号607が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数)
例えば、n=16の場合、スレーブのビデオ入力部221に入力される色の待機時間fgtdlyは、「63 X S−MLSYNC信号607が送信される間隔のクロック数 × クロック周期」となる。若しくは、63 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔(ライン分)と表してもよい。
なお、待機時間fgtdlyの起点は、マスターのビデオ入力部211にのみ入力された色の画素データ604と同様に、lclre#mである。
ここで、画像展開部260が画素データ608の送信の準備を完了してから、スレーブのビデオ入力部221が画素データ608を処理できるようになるまでに「2 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔」分の遅延が発生する。
「待機時間fgtdly=63 × S−MLSYNC信号が送信される間隔」と設定することにより、「65 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔」分の後に、スレーブのビデオ入力部221は画素データ608を処理することができるようになるため、スレーブの第2書込み制御部220による書込み処理が可能となる。
このため、第1書込み制御部210と第2書込み制御部220とは、マスターのビデオ入力部211にのみ入力された色(本実施形態ではブラック(K)とマゼンダ(M))と、スレーブのビデオ入力部221に入力された色(本実施形態では、シアン(C)とイエロー(Y))とを同時に書込み処理をすることができる。
待機時間fgtdlyは「63 × S−MLSYNC信号が送信される間隔」と設定されているため、画像展開部260は、スレーブのビデオ入力部221への画素データ608であるデータ1000〜データ1003を、「63 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔」分待機した後に、送信処理を開始する。画像展開部260とスレーブのビデオ入力部221におけるラインメモリ(201、228)への書込みと読み出し処理によりさらに2 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔分(2ライン分)の遅延を生じる。
このため、待機時間fgtdlyの起点から合計65 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔分(65ライン分)の時間が経過した後に、第2書込み制御部220は、画素データ608の書込み処理を開始する。図10を参照すると、画像展開部260がスレーブのビデオ入力部221へ送信するための色の画素データ608の送信処理を開始する待機時間fgtdlyを、マスターのビデオ入力部211にのみ送信する色の画素データ608の待機時間fgtdlyより2 × S−MLSYNC信号607送信される間隔分(2ライン分)短くする。
これにより、画像展開部260が65番目のM−MLSYNC信号(MLSYNC#65)を受信後に、第2書込み制御部220は、受信した画素データ608を処理できる状態になる。
図9と図10とを合わせて参照すると、第1書込み制御部で書込み処理される画素データ604(ブラック(K)及びマゼンダ(M))と、第2書込み制御部で書込み処理される画素データ608(イエロー(Y)及びシアン(C))は、65番目のM−MLSYNC信号(MLSYNC#65)を受信後のlclre#m+17の後に、画像処理部212及び画像処理部222が、それぞれデータ800〜803、及びデータ1000〜1003をラインメモリ(218、228)に書込み後、読み出しているのが分かる。
なお、上述した例では、スレーブ側にのみ発生する遅延を2 × S−MLSYNC信号607送信が送信される間隔分(2ライン分)としたが、2以上の任意の値を設定可能である。例えば、スレーブ側にのみ発生する遅延をp × S−MLSYNC信号607間隔分とした場合、待機時間fgtdlyは以下のようになる。
fgtdly = (( 4 × n +1) − p) × S−MLSYNC信号607が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数、pは2以上の自然数)
また、マスターのビデオ入力部211にのみ送信される画素データ604の待機時間と同様に、待機時間fgtdlyは起動するLDの数に依存する。起動するLDの数をkとした場合には、待機時間fgtdlyは以下のようになる。
fgtdly = (( k × n +1) − p) × S−MLSYNC信号607が送信される間隔のクロック数 × クロック周期(nは自然数、pは2以上の自然数、kはLD数)
なお、nは、画像展開部260の処理時間等に応じて設定可能であるが、画像展開部260が展開された画素データ608を送信できるように待機時間fgtdlyを設定する必要がある。
(4.3)マスター側の制御
次に、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221の両方に入力される色の画素データ(604、608)を、画像展開部260がマスターのビデオ入力部211に送信する手順について説明する。
本実施形態では、マスターのビデオ入力部211は全ての色の画素データ604を受信し、スレーブのビデオ入力部221は一部の色の画素データ608を受信している。
ここで、上述したように、マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部221に入力される色の画素データ(604、608)の画像展開部260における待機時間fgtdlyは「(4 × n −1) × S−MLSYNC信号607が送信される間隔」である。
マスターのビデオ入力部211とスレーブのビデオ入力部の両方に送信される画素データ(604、608)を、画像展開部260が、スレーブのビデオ入力部221に画素データ604を送信する場合には、2 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔分(2ライン分)の遅延が発生する。この遅延は、転送クロック周波数の変更、及び動作クロック周波数の変換のため、画素データ608をラインメモリ(201、228)に書込みかつ読み出すために生じる。一方、画像展開部260が、マスターのビデオ入力部211に画素データ604を入力する場合には、この遅延は発生しない。このため、マスターのビデオ入力部211が画素データ604を受信して処理を開始するための待機時間fgtdlyは「(4 × n −1) × S−MLSYNC信号が送信される間隔」となる。マスターの第1書込み制御部210が後段の処理を開始するタイミングが、2× S−MLSYNC信号607が送信される間隔分早くなる。つまり2 × 5,772clk × クロック周期分早くなる。
図10に示すように、マスターのビデオ入力部211向けの画素データ604であるデータ900とデータ901は、fgtdly=63ライン分(63 × 5,772clk × クロック周期)経過後に、送信されている。
マスターのビデオ入力部211は、画像展開部260から2ライン分の画素データ604である、データ900とデータ901とを受信し、次のlclreから、4ライン分のデータ、データ902〜データ905とを受信し、後段の画像処理部212に出力する。
なお、画素データ604は4ライン単位でマスターの画像処理部212により処理される。このため、マスターのビデオ入力部211は、受信された2ライン分の画素データ604を画像展開部260から受信し、2ライン分の空データを先頭に追加することで、4ライン分のデータを作成して、マスターの画像処理部212に出力する。
例えば、マスターのビデオ入力部211は、データ900とデータ901とをまず画像展開部260から受信し、マスターの画像処理部212は、次のlclreのタイミングで、空データ908、空データ909、データ900、データ901が設定された4ライン分のデータをマスターの画像処理部212に出力する。
空データには、ラインメモリ218から不定値を読み出して設定してもよい。ここで、ラインメモリ218から読み出した不定値のデータが後段に伝播しないよう、第1書込み制御部210は、ラインメモリ218に対して初期化処理を実行してもよい。
初期化機能とは、第1書込み制御部210の電源ON後にエンジン制御部250からの初期化命令に基づいてメモリの全領域に白データをライトする機能である。1ページの画像転送終了後に、次の画像転送に影響を与えないよう、自動でメモリの全領域に白データをライトしてもよい。この初期化機能により、マスターのビデオ入力部211の出力データの画像処理部212への転送タイミングが2ライン早まるものの、マスターの画像処理部212及び、マスターの画素カウント部216の処理に影響を与えることなく画素データ604を出力することができる。
ここで、スレーブ側の遅延により、マスターである第1書込み制御部210と、スレーブである第2書込み制御部220との間で書込みのタイミングが合っていない。具体的には、マスター側の画素データ604の出力タイミングが2 × S−MLSYNC信号607が送信される間隔分早くなる。
第1書込み制御部210は、以下の理由により、このタイミング差を無視してもよい。
本実施形態において、マスターのビデオ入力部211と、スレーブのビデオ入力部221との両方に画素データ(604、608)を送信する色は、マスターの画素カウント部216が、画素の数をカウントするために用いられる。2ライン分早くなってもトータルの画素データ数に影響がないため送信タイミングを無視しても問題は生じない。
なお、マスターのビデオ入力部211と、スレーブのビデオ入力部221との両方に画素データ(604、608)を送信する色、例えば本実施形態ではイエロー(Y)とシアン(C)を、マスターである第1書込み制御部210にて、書込み処理を行った後、マルチLD(240a、240b)により発光処理を行う場合には、第1書込み制御部210は、空データ908と空データ909が設定されている2ライン分の処理時間待機後に、画像展開部260から受信した画素データ604に書込み処理を行ってもよい。
<第2実施形態>
本実施形態では、書込み制御部(210、220)が、画像展開部260から画素データ(604、608)を受信した後に、書込み処理を行い、露光データ650を生成するまでの動作について説明する。以下の説明では、第1の書込み制御部210における動作を説明するが、第2の書込み制御部220でも同様の動作を行うことに留意されたい。
なお、第1実施形態と共通する部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
(1)第1の処理方法
図11は、第1書込み制御部210が、第1の処理方法において画素データ604を受信してから、露光データ650を生成し、光源ドライバ部230とマルチLD240が、発光処理を行うまでのタイミングを示す一例である。図11の処理は、図12以降に示す本実施形態の前提を説明するための図である。
(1.1)4つのLDを起動する場合
初めに、画像形成装置100が、色毎に4つのLDを起動する場合について説明する。
第1の書込み制御部210のビデオ入力部211は、lclre信号609のlclre#mのタイミングで、画像展開部260から画素データ604を受信する。ビデオ入力部211は、lclre信号609の周期内に4本のMLSYNC信号603を画像展開部260に送信し、画像展開部260から4つの画素データ604(Data4−1〜Data4−4)を受信する。
第1書込み制御部210は、受信した4つの画素データ604(Data4−1〜Data4−4)に対して書込み処理を実施する。
具体的には、ビデオ入力部211は、受信した画素データ604(Data4−1〜Data4−4)をラインメモリ218に格納し、ジャギー補正を行う。ここで、ジャギー補正とは紙上に印刷される画像でギザギザが発生するのを防ぐための処理である。具体的には、隣接する画素データ604の間で色を滑らかにするために画素データ604の値が補正される。
画像処理部212は、ビデオ入力部211が処理したデータ(Data4−1〜Data4−4)をビデオ入力部211から受信する。その後、画像処理部212は、色合わせ処理と位置合わせ処理を行う。ここで、色合わせ処理とは、異なる色の画素データ604間で出力する色を調整する処理であり、位置合せ処理とは、画素データ604を出力先である紙上のどの位置に印刷するか決定する処理である。
具体的には、位置合わせ処理とは、紙上の所定の位置に印刷する場合に、各色の感光体ユニット40のどの位置に静電潜像を形成するかを決定する処理である。ポリゴンミラー11と感光体ユニットと40はそれぞれ回転しているため、第1書込み制御部210は、ポリゴンミラー11と感光体ユニット40の回転状況に関する情報を取得し、紙上の所定の位置に印刷できるように位置合わせ処理を行う。
また、各色の画素位置がずれていると色ずれにより画質が低下するため、第1書込み制御部210は、位置合せ処理と同様に、ポリゴンミラー11と感光体ユニット40の回転状況に関する情報から紙上の所定の位置に対応する画素データ604に対応するデータが重なって印刷されるように色合わせ処理を行う。第1書込み制御部210は、色合わせ処理を実行する時に、各色のトナーの温度を考慮して色合わせ処理を行ってもよい。トナーの温度により印刷画像の紙への定着度合が変わるためである。なお、理想的には、位置合せの処理と色合わせの処理に用いるパラメータ等は、起動するLDの数に応じて調整することが望ましいが、該パラメータ等を起動するLDの数を変更する度に変更するのは、画像形成装置100の印刷開始までの処理遅延を考えると現実的ではない。
加えて、画像処理部212は、内部パターンの付加、及びトリミング処理等を行う。
内部パターンとは、スタンプ印刷や地紋印刷など画像データに含まれない画像等のことである。また、トリミング処理とは、画素データ604の余分な部分を削除して重要な部分を強調する処理である。なお、ジャギー補正については、画像処理部212で実行してもよい。
スキュー補正部213は、画像処理部212が処理したデータ(Data4−1〜Data4−4)を画像処理部212から受信する。その後、スキュー補正部213は、画像データの印刷時に生じる歪みを防止するために、スキュー補正を行う。
階調変換部(215a、215b)は、スキュー補正部213が処理したデータ(Data4−1〜Data4−4)を受信し、階調変換処理を行い、露光データ650を生成する。図11に示すように、lclre#m+3で露光データ650が生成され書込み処理が完了する。
ビデオ入力部211とスキュー補正部213とは、処理を行う時に、ラインメモリ(214、218)に書込みと読み出しをする。ラインメモリ(214、218)に書込みと読み出しの処理を行う度にlclre信号1周期分程度の処理遅延がかかることが想定されている。このため、本実施形態では、書込み処理の処理遅延をlclre信号609の2周期分として記載している。なお、書込み処理の処理遅延は2周期分より長くても、短くてもよい。また、第1書込み制御部210内の機能分担については一例を示しているに過ぎない。
光源ドライバ部230は、階調変換部(215a、215b)から4つの露光データ650(Data4−1〜Data4−4)を受け取り、マルチLD240を用いて発光処理する。この場合、マルチLD240は4つのLDを起動しているため4つの露光データを同時に処理することができる。光源ドライバ部230は、lclre#m+3のタイミングで露光データ650(Data4−1〜Data4−4)を受信し、lclre#m+4のタイミングで発光処理する。
(1.2)2つのLDを起動する場合
次に色毎に2つのLDを起動する場合について説明する。
ビデオ入力部211は、lclre信号609の周期内に2本のMLSYNC信号603を、画像展開部260に送信し、lclre信号609の周期内に2つの画素データ604を画像展開部260から受信する。
図11では、第1の書込み制御部210のビデオ入力部211は、lclre信号609のlclre#mのタイミングで、画像展開部260から2つの画素データ604(Data2−1〜Data2−2)を受信し、lclre信号609のlclre#m+1のタイミングで、同様に2つの画素データ604(Data2−3〜Data2−4)を受信する。
以降、画素データ604は、2つずつ(Data2−1〜Data2−2、Data2−3〜Data2−4)同時に、書込み処理、及び発光処理される。
書込み処理、及び発光処理の内容については4つのLDを起動する場合と同じであるため、説明を省略する。
最初に画像展開部260から受信した2つの画素データ604(Data2−1〜Data2−2)の書込み処理は、lclre#m+3のタイミングで完了し、露光データ650(Data2−1〜Data2−2)が生成される。光源ドライバ部230は、マルチLD240を用いてlclre#m+4のタイミングで画素データ604(Data2−1〜Data2−2)に対して発光処理を行う。
2番目に画像展開部260から受信した2つの画素データ604(Data2−3〜Data2−4)にも、lclre信号609の1周期分ずれて、同じ処理が施される。つまり、2番目に画像展開部260から受信した2つの画素データ604(Data2−3〜Data2−4)に対しては、lclre#m+4のタイミングで書込み処理が完了し、lclre#5のタイミングで発光処理が施される。
(1.3)1つのLDを起動する場合
次に色毎に1つのLDを起動する場合について説明する。
ビデオ入力部211は、lclre信号609の周期内に1本のMLSYNC信号603を、画像展開部260に送信し、lclre信号609の度に1つの画素データ604を画像展開部260から受信する。
図11では、第1の書込み制御部210のビデオ入力部211は、lclre信号609のlclre#mのタイミングで、画像展開部260から1つの画素データ604(Data1−1)を受信し、lclre信号609のlclre#m+1、lclre#m+2、及びlclre#m+3のタイミングでも、同様にそれぞれ1つのライン分の画素データ604(Data1−2、Data1−3、Data1−4)を受信する。
以降、画素データ604は、1つずつ(Data1−1、Data1−2、Data1−3、Data1−4)書込み処理がなされ、かつ発光処理される。
書込み処理、及び発光処理の内容については4つのLDを起動する場合と同じであるため、説明を省略する。
第1書込み制御部210は、最初に画像展開部260から受信した画素データ604(Data1−1)の書込み処理を、lclre#m+3のタイミングで完了し、露光データ650(Data1−1)を生成する。光源ドライバ部230は、マルチLD240を用いてlclre#m+4のタイミングで露光データ650(Data1−1)に対して発光処理を行う。
2番目以降に画像展開部260から受信した画素データ604(Data1−2、Data1−3、Data1−4)も、それぞれlclre信号609の1周期分ずれて、同じ処理が施される。つまり、2番目に画像展開部260から受信した画素データ604(Data1−2)は、lclre#m+4のタイミングで書込み処理が完了され、lclre#5のタイミングで発光処理が施され、3番目に画像展開部260から受信した画素データ604(Data1−3)は、lclre#m+5のタイミングで書込み処理が完了され、lclre#6のタイミングで発光処理が施される。また、4番目に画像展開部260から受信した画素データ604(Data1−4)は、lclre#m+6のタイミングで書込み処理が完了され、lclre#7のタイミングで発光処理が施される。
上述した、第1の処理方法によれば、第1の書込み制御部210は、画像展開部260から画素データ604を受信したタイミングで、書込み処理を開始している。また、第1の書込み制御部210は、起動されているLDの数により、同時に書込み処理を施す画素データ604の数が異なっている。
(2)第2の処理方法
図12は、第2の処理方法において、第1書込み制御部210が、画素データ604を受信してから、露光データ650を生成し、光源ドライバ部230とマルチLD240とが、発光処理を行うまでのタイミングを示す一例である。
第2の処理方法では、起動するLDの数によらず、同時に所定の数の画素データ604に対して、第1書込み制御部210が、同時に書込み処理を行う。
さらに、LD数に応じて発光処理待ち時間を変化することで、用紙上で同一の位置に作像されるように書込み処理行う。
図12に示す例では、第1書込み制御部210が、4つの画素データ604を同時に処理する処理タイミングを示している。
(2.1)4つのLDを起動する場合
第1の処理方法と同じであるため説明を省略する。光源ドライバ部230は、第1書込み制御部210により生成された露光データ650(Data4−1〜Data4−4)をマルチLD240により発光処理する。この場合、4つのLDが起動しているため、露光データ650は、lclre#m+3のタイミングで同時に発光処理される。マルチLD240による露光データ650(Data4−1〜Data4−4)への発光処理が完了するタイミングはlclre#m+4となる。
(2.2)2つのLDを起動する場合
ビデオ入力部211は、lclre#mのタイミングで画素データ604(Data2−1〜Data2−2)を受信し、lclre#m+1のタイミングで画素データ604(Data2−3〜Data2−4)を受信する。
第1書込み制御部210は、4つの画素データ604(Data2−1〜Data2−4)を受信した後に、4つの画素データ604(Data2−1〜Data2−4)に対して同時に書込み処理を行う。図12の例では、第1書込み制御部210は、lclre#m+2のタイミングで書込み処理を開始し、lclre#m+4のタイミングで露光データ650(Data2−1〜Data2−4)を生成し書込み処理を完了する。
光源ドライバ部230は、生成された露光データ650に対してマルチLD240を用いて発光処理を行う。この場合、起動しているLDの数が2のため、lclre#m+4のタイミングで最初の2つの露光データ650(Data2−1〜Data2−2)に発光処理が施され、lclre#m+5のタイミングで後の2つの露光データ650(Data2−3〜Data2−4)に発光処理が施される。
マルチLD240による露光データ650(Data4−1〜Data4−4)への発光処理が完了するタイミングはlclre#m+2となる。
(2.3)1つのLDを起動する場合
ビデオ入力部211は、lclre#mのタイミングで画素データ604(Data1−1)を受信し、lclre#m+1のタイミングで画素データ604(Data1−2)を受信し、lclre#m+2のタイミングで画素データ604(Data1−3)を受信し、lclre#m+3のタイミングで画素データ604(Data1−4)を受信する。
第1書込み制御部210は、4つの画素データ604(Data1−1〜Data1−4)を受信した後に、4つの画素データ604(Data1−1〜Data1−4)に対して同時に書込み処理を行う。図12の例では、第1書込み制御部210は、lclre#m+4のタイミングで書込み処理を開始し、lclre#m+6のタイミングで露光データ650(Data2−1〜Data2−4)を生成し書込み処理を完了する。
光源ドライバ部230は、生成された露光データ650に対してマルチLD240を用いて発光処理を行う。この場合、起動しているLDの数が1のため、lclre#m+6のタイミングで最初の露光データ650(Data1−1)に発光処理が施され、lclre#m+7のタイミングで次の露光データ650(Data1−2)に発光処理が施される。lclre#m+6のタイミングで3番目の露光データ650(Data1−3)に発光処理が施され、lclre#m+9のタイミングで4番目の露光データ650(Data1−4)に発光処理が施される。
マルチLD240による露光データ650(Data4−1〜Data4−4)への発光処理が完了するタイミングはlclre#m+10となる。
上述した、第2の処理方法によれば、起動するLDの数に関わらず所定の数の画素データ604を受信した後に、所定の数の画素データ604に対して同時に書込み処理が開始されるため、起動するLDの数に関わらず同じ露光データ650を生成することができる。
(3)第3の処理方法
(3.1)概要
図13乃至図14を用いて、本実施形態の第3の処理方法に係る書込み処理方法について説明する。第3の処理方法では、起動するLDの数によらず、用紙上で同一の位置に作像されるように書き込む処理を実施する。
起動するLDの数によらず、印刷データが生成される時間を一定にする必要がある場合がある。例えば、印刷用紙にトナーが付着するのに十分な時間が必要である場合、及び、厚紙等のある程度厚みがあるため高速で出力すると、紙ずれ、紙詰まりを引き起こす可能性が高い場合等である。
ポリゴンミラー11の回転数は画像形成装置100が起動中は、一定にすることが好ましい。ポリゴンミラー11の回転数を一定にした場合でも起動するLDの数によらず一定の速度で書込み及び発光処理をする方法について説明する。
図13は、露光データ650を用いて発光処理が施され、潜像が形成される様子の一例を示す図である。
図13は、LDにより書き込まれる縦方向の幅(副走査方向の幅)が20μm、lclre信号609の周期で2ポリゴン面を用いて発光処理を行い、潜像を形成する場合に、潜像データが印刷用紙700上に形成される範囲を示している。
4つのLDを起動して、潜像を形成する場合、lclre信号609の周期当たり副走査方向に以下の幅で潜像データが形成される。
4(LD数) × 2(ポリゴン面) ×20μm = 160μm
一方、1つのLDを起動して、潜像を形成する場合、lclre信号609の周期当たり副走査方向に以下の幅で潜像データが形成される。
1(LD数) × 2(ポリゴン面) ×20μm = 40μm
第3の処理方法では、第1書込み制御部210が起動するLDの数に応じた遅延調整量(GAVD)を設定し、起動するLDの数によらず一定の速度で潜像データを形成する。つまり、LDの数によらず所定時間当たりに形成される副走査方向の潜像データの幅が一定になるように調整される。
図14は、第3の処理方法における画素データ604を受信してから、露光データ650を生成し、発光処理を行うまでのタイミングを示す一例である。
起動するLDの数によらず、同じタイミングで発光処理を完了するため、ビデオ入力部211は、書込み処理を開始するまでの時間を調整する。
図14に示す例では、lclre#m+10のタイミングで発光処理が完了するように、遅延調整量が設定される。4つのLDを起動する場合には、lclre信号の6周期分の遅延調整量が設定される。また、2つのLDを起動する場合には、lclre信号の4周期分の遅延調整量が設定される。
(3.2)遅延調整量の設定方法(倍密処理無し)
遅延調整量の設定方法について説明する。遅延調整量は、第1書込み制御部210の処理容量と、起動中のLDの数、つまりマルチLD240の処理能力との差に基づいて設定される。具体的には、以下の式1のように表現される。
処理能力差=(第1書込み制御部210の処理容量) − (マルチLD240の処理能力) ・・・式1
第1書込み制御部210の処理容量は、同時に書込み処理を実行できる画素データ604の数である。本実施形態では、第1書込み制御部210の処理容量は最大4つのデータを同時に扱うことができるため4である。なお、第1書込み制御部210の処理容量は、データパス数と呼ばれてもよい。マルチLD240の処理能力は、起動中のLDの数である。本実施形態では、起動中のLDの数は、4、2、又は1である。
処理能力差が、マルチLD240で追加に処理しなければならない処理量となる。LD当たりの追加で処理しなければならない処理量は以下の式2のように表現される。
LD当たりの追加で処理しなければならない処理量 = {(第1書込み制御部210の処理容量) − (起動中のLD数)} /起動中のLD数 ・・・式2
画素データ604当たりの書込み処理遅延を乗じると、追加処理遅延となる。
追加処理遅延(倍密処理無し) = {(第1書込み制御部210の処理容量) − (起動中のLDの数)} /起動中のLD数 × 画素データ604当たりの書込み処理遅延・・・式3
1つのLDを起動した場合との処理時間の差である遅延調整量は以下のように表される。
遅延調整量 = 1つのLDを起動した場合の追加処理遅延 − 追加処理遅延(倍密処理無し)・・・式4
ここで、「1つのLDを起動した場合の追加処理遅延」は式3の起動中のLDの数に1を設定することにより求められる。
式4を整理すると、以下の式5になる。
遅延調整量 = (起動中のLD数 − 1)/起動中のLD数× 第1書込み制御部210の処理容量 × 画素データ604当たりの書込み処理遅延・・・式5
本実施形態では、画素データ604当たりの書込み処理遅延は、lclre信号609の2周期分に相当するとしている。
図15に起動するLD毎の追加処理遅延と遅延調整量とを示す。追加処理遅延は4つのLDを起動する場合は0、2つのLDを起動する場合はlclre信号609の2周期分、1つのLDを起動する場合はlclre信号609の6周期分である。
遅延補正量は、1つのLDを起動する場合と同じタイミングで発光処理を完了させるために設定される補正量であり、発光するLDの数が1より大きい場合に設定される。
4つのLDが発光する場合の遅延補正量はlclre信号609の6周期分と、2つのLDが発光する場合の遅延補正量はlclre信号609の4周期分となる。
これらの値が、第1書込み制御部210に設定される遅延調整量となる。
(3.3)遅延調整量の設定方法(倍密処理有り)
次に、スキュー補正部213において倍密処理が行われる場合の遅延調整量について説明する。画素データ604にN倍の倍密処理が行われる場合、第1書込み制御部210に入力される画素データ604のN倍の露光データ650が第1書込み制御部210から出力される。
ここで、倍密処理とは、副走査方向に同じN個の連続する露光データの生成を行う処理である。
このため、倍密処理が行われる場合には、マルチLD240は、画素データ604のN倍となった露光データ650を処理する。このため、第1書込み制御部210の処理能力とマルチLD240の処理能力との処理能力の差は、以下の式4で表される。
処理能力差(倍密処理有り)=(第1書込み制御部210の処理容量) × N(倍密処理) − (マルチLD240の処理能力) ・・・式6
ここで、マルチLD240の処理能力は、起動中のLDの数である。
(3.2)の倍密処理無しの場合と同様に、倍密処理を行う場合のLD当たりの追加に処理しなければならない処理量は、以下の式5で表される。
LD当たりの追加で処理しなければならない処理量(倍密処理有り) = {(第1書込み制御部210の処理容量)× N(倍密処理) − (起動中のLD数)} /起動中のLD数 ・・・式7
画素データ604当たりの書込み処理遅延を乗じると、倍密処理有りの場合の追加処理遅延となる。
追加処理遅延(倍密処理有り) = {(書込み制御部の処理容量) × N(倍密処理) − (起動中のLD数)} /起動中のLD数 × 画素データ604当たりの書込み処理遅延・・・式8
倍密処理無しで、1つのLDを起動した場合との処理時間の差である遅延調整量は以下の式9のように表される。
遅延調整量 = 1つのLDを起動した場合の追加処理遅延(倍密処理無し) − 追加処理遅延(倍密処理有り)・・・式9
ここで、式9を整理すると、以下の式10になる。
遅延調整量 = (起動中のLD数 − N)/起動中のLD数× 第1書込み制御部210の処理容量 × 画素データ604当たりの書込み処理遅延・・・式5
図16に、倍密処理の倍率N=2の場合の起動するLD毎の追加処理遅延と、遅延調整量を示す。
追加処理遅延は、4つのLDを起動する時に、倍密処理を行わない場合(N=1の場合)と比べて追加される処理遅延を表している。
追加処理遅延は、N=2で起動するLDの数が1の場合、lclre信号609の16周期分の追加処理遅延が発生することを示している。同様に、N=2で起動するLDの数が2の場合、lclre信号609の8周期分の追加処理遅延が発生することを示している。
倍密処理無しで、1つのLDを起動した場合との処理時間の差である遅延調整量は、倍密処理N=2で、4つのLDを起動した場合、lclre信号609の4周期分であり、2つのLDを起動した場合、遅延調整量は0である。また、倍密処理N=2で、1つのLDを起動した場合、遅延調整量は−8である。図16で遅延調整量がマイナスの値で示されるのは、図15の倍密処理無しで1つのLDを起動した場合のタイミングを前提にしているためである。
これらの値が、第1書込み制御部210に設定される遅延調整量となる。
本実施形態では、第1書込み制御部210が、ビデオ入力部211に遅延調整量を設定し、書込み処理を開始する前に処理遅延を調整することを想定しているが、第1書込み制御部210内の別の機能部に設定してもよい。
なお、第2実施形態において、第1書込み制御部210が、画像展開部260から画素データ604を受信するタイミングと量を調整することができることを留意すべきである。
例えば、4つのLDを起動する場合であっても、1つのLDを起動する場合と遅延量を調整するため、ビデオ入力部211は、lclre信号609の周期毎に4つの画素データ604を受信しないでもよい。この場合、ビデオ入力部211は、画素データ604の処理が必要なタイミングと周期とでMLSYNC信号603を送信することにより、調整してもよい。例えば、1つのlclre#mの周期内に4本のMLSYNC信号603を送信しつつ、lclre#m+1〜lclre#m+3にはMLSYNC信号603を送信せずに、画素データ604を取得しないでもよい。
画像展開部260から画素データ604を受信するタイミングと量を調整せず、ビデオ入力部211等で書込み処理の開始タイミングを調整できることは勿論である。
<第3実施形態>
画像形成装置100は、第1実施形態で説明した、画像展開部260における、カスケード接続における待機時間fgtdlyの設定と、第2実施形態で説明した、遅延調整量(GAVD)の設定を合わせて行うことができる。
例えば、2つのLDを起動し、第1書込み制御部210で書込み処理を行った後に、2倍の倍密処理を行った後に、発光処理を行う場合について説明する。
第1書込み制御部210にのみ送信される画素データ604の画像展開部260での待機時間fgtdlyは「2 × n+1」MLSYNC信号(603、607)送信間隔分となり、第2書込み制御部220に送信される画素データ608が画像展開部260での待機時間fgtdlyは「2 × n−1」MLSYNC信号(603、607)送信間隔分となる。これにより第1書込み制御部210と第2書込み制御部220とは同時に書込み処理を開始することができる。
また、第1書込み制御部210、第2書込み制御部220共に、2つのLDを起動して2倍密の処理を行うため、遅延調整量GAVDは、発生しない。ここで、遅延調整量GAVDは、倍密処理無しで1つのLDを起動する場合と比較して追加で必要となる処理遅延である。
<その他>
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
上述した実施形態では、遅延調整量(GAVD)は、倍密処理を行わない時に、1つのLDを起動した場合の遅延を基準として、遅延調整量を設定したが、別の遅延量の基準を設定してもよい。例えば、倍密処理を行わない時に、4つのLDを起動した場合の遅延を基準としてもよい。
その場合、倍密処理を行わない時の遅延調整量(GAVD)は、2つのLDを起動すると、−2となり、lclre信号609の2周期分早く処理を開始するように遅延を調整することを示す。また、この場合、1つのLDを起動すると、遅延調整量(GAVD)は、−6となり、lclre信号609の6周期分早く処理を開始するように遅延を調整することを示す。
遅延調整量(GAVD)の設定は、第1書込み制御部210が、画素データ604を、画像展開部260から受信する例を説明したが、画像展開部260を用いないダミー印刷等の場合(dfdlyln)においても同様に適用できる。
上記の実施形態では、光源を複数のLDから成るマルチLD240と記載したが、LD、マルチLD以外でもよい。例えば、面発光レーザ、マルチレーザアレイ、LEDA(Light‐emitting diode Array)でもよい。
上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、画像形成装置100に供給してもよい。そして、その画像形成装置100(またはCPUまたはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、上述の実施形態が、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、いずれかの実施の形態を構成することになる。ここで、記憶媒体は、記録媒体または非一時的な記憶媒体でもよい。
また、コンピュータ装置が読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に従って、コンピュータ装置上で起動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部または全部を行ってもよい。さらに、その処理によって前述した実施形態の機能が実現されてもよいことは言うまでもない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。