JP6531236B1 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

Abstract

化粧パネルのデザイン性を改善しつつ天井に平行な流れ場を形成して快適性も確保し、且つ結露やスマッジングの発生も抑制する。空気調和機の室内機は、天井空間内に設けられる室内機本体と、この室内機本体の下面に取り付けられ吸込口と、空調した空気を室内に吹き出す吹出口を有する化粧パネルと、該化粧パネルの前記吹出口に設けられ送風方向を変えるルーバとを備える。前記化粧パネルは、前記吹出口の外側に設けられ略水平な平面部に形成された外枠と、前記外枠の前記平面部に設けられ、鉛直下方に突出する突起部を備え、前記突起部の下端は前記ルーバの下端よりも鉛直上方に位置し、前記吹出口の内側の流路壁面を形成する内側流路壁面の下端は、前記ルーバの下端よりも鉛直下方に位置する。

Description

本発明は化粧パネルを備える空気調和機の室内機に係り、特に天井埋込型の室内機に関するものである。

例えば、天井埋込型の空気調和機の室内機における冷房運転時に、低温の吹出し空気（冷気）が化粧パネルの外枠に直接あたると、化粧パネルの外枠周辺に結露が発生し易い。また、低温の吹出し空気が室内の天井面に速い速度で当たると、天井面に微小な結露が生じて湿った状態となり、この部分に吹出し空気中の微細な浮遊粉塵などが付着すると天井面が汚れた状態となる、いわゆるスマッジングが発生し易い。

このような問題を解決する従来技術としては、例えば、特開平８−２５４３２５号公報（特許文献１）に記載されたものがある。この特許文献１に記載の空気調和機の室内機は、化粧パネルに設けられた吹出口の内壁に沿って吹出される風の向きを化粧パネルの下面から離すための段差を設け、冷風を斜め下に広がるように吹出し、天井面にスマッジングが発生し難くなるようにすると共に、化粧パネルの外枠への結露防止を図っている。

また、他の従来技術として、特開２００３−２２７６４８号公報（特許文献２）に記載のものがある。この特許文献２のものでは、化粧パネルの吹出口の壁面が、吹出口の下方に向ってある曲率をなす曲面部と、この曲面部に続く平面部から形成され、また前記平面部の端部から天井面と垂直をなす垂直部と、前記垂直部に続く化粧パネルの外縁部にかけての平面部から形成され、前記垂直部には断熱部材を設けている。前記垂直部に断熱部材を設けることで、防露ヒータを不要とし、化粧パネルの吹出口周辺部での結露や露付きを防止している。

特開平８−２５４３２５号公報 特開２００３−２２７６４８号公報

空気調和機の冷房運転においては、快適性の観点から、冷気を直接人にあてないように、天井に平行な流れ場を形成する必要がある。一方、空気調和機の室内機の化粧パネルは室内のインテリアと調和するように、デザイン性を改善することが重要である。そのためには化粧パネルのデザインは、極力シンプルにする必要がある。具体的には、化粧パネルの外枠を天井面と平行な水平面とすることで、シンプルなデザインとなる。

図８は、化粧パネルのデザイン性を改善した空気調和機の室内機の吹出口５付近の断面図である。この図８に示すものは、デザイン性を改善するため、化粧パネル３の外枠３ａを、平面部１４を有する構成としたものである。このように、前記外枠３ａにデザイン性の良い平面部１４を有する構造の化粧パネル３を設置した場合、ルーバ６の角度を調節し、破線矢印で示すように、低温の吹出し空気（冷気）を吹出口５から水平に吹き出すと、化粧パネル３の外枠３ａの平面部１４と、化粧パネル３の外枠３ａに近い天井１００の天井面１００ａに冷気が直接あたる。その結果、化粧パネル３には結露が発生し、化粧パネル３に近い天井面１００ａにはスマッジング（汚れ）が発生する課題がある。

なお、図８において、３ｂは化粧パネル３の内枠、１３は吹出し流路で、この吹出し流路１３における前記吹出口５は、前記化粧パネル３の部分に設けられている内側流路壁面１６と外側流路壁面１７により形成されている。１６ａは前記内側流路壁１６の下端、１７ａは前記外側流路壁面１７の曲面部、６ａは前記ルーバ６の下端、３ａａは前記外枠３ａの端部である。

上記の特許文献１や２に記載されている技術を用いれば、上述の結露とスマッジングを抑制することはできる。しかし、特許文献１や２に記載されたものでは、天井に平行な流れ場を形成させるための配慮が為されておらず、水平面をもつ化粧パネル外枠によるデザイン性の改善と天井に平行な流れ場を形成することによる快適性確保の両立の観点で課題がある。

本発明の目的は、化粧パネルのデザイン性を改善しつつ天井に平行な流れ場を形成して快適性も確保し、且つ結露やスマッジングの発生も抑制することができる空気調和機の室内機を得ることにある。

上記目的を達成するため、本発明は、天井空間内に設けられる室内機本体と、この室内機本体の下面に取り付けられ吸込口と、空調した空気を室内に吹き出す吹出口を有する化粧パネルと、該化粧パネルの前記吹出口に設けられ送風方向を変えるルーバとを備える空気調和機の室内機において、前記化粧パネルは、前記吹出口の外側に設けられ略水平な平面部に形成された外枠と、前記外枠の前記平面部に設けられ、鉛直下方に突出する突起部を備え、前記突起部の下端は前記ルーバの下端よりも鉛直上方に位置し、前記吹出口の内側の流路壁面を形成する内側流路壁面の下端は、前記ルーバの下端よりも鉛直下方に位置することを特徴とする。

本発明によれば、化粧パネルのデザイン性を改善しつつ天井に平行な流れ場を形成して快適性も確保し、且つ結露やスマッジングの発生も抑制することができる空気調和機の室内機を得ることができる効果がある。

本発明の空気調和機の室内機の実施例１を示す縦断面図。 図１に示す吹出口付近の要部断面図。 本発明の空気調和機の室内機の実施例２を示す図で、図２に相当する要部断面図。 本発明の空気調和機の室内機の実施例３を示す図で、図２に相当する要部断面図。 本発明の空気調和機の室内機の実施例４を示す図で、図２に相当する要部断面図。 図５に示す実施例４において、突起部の鉛直方向の高さＨ、吹出口の幅Ｗ、及び化粧パネルの外枠端部から吹出し空気流れの天井面への再付着点Ｘまでの距離Ｌについて説明する図。 吹出口の幅に対する突起部の高さの比Ｈ／Ｗと、吹出口の幅に対する化粧パネルの外枠端部から吹出し空気流れの天井面への再付着点Ｘまでの距離の比Ｌ／Ｗとの関係を説明する線図。 化粧パネルのデザイン性を改善した空気調和機の室内機の吹出口付近の断面図。

以下、本発明の空気調和機の室内機の具体的実施例を図面に基づいて説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。

本発明の空気調和機の室内機の実施例１を、図１および図２を用いて説明する。図１は本発明の空気調和機の室内機の実施例１を示す縦断面図、図２は図１に示す吹出口付近の要部断面図である。

図１において、空気調和機の室内機１は、天井１００の空間内に設けられる室内機本体２と、この室内機本体２の下面に取り付けられた化粧パネル３（パネルの一例）を備えている。なお、特に説明のない場合には、鉛直方向（重力方向）を「下」、鉛直方向の反対方向を「上」と表す。前記化粧パネル３にはその中央に吸込口４と、空調した空気を室内に吹き出す吹出口５が設けられている。また、前記化粧パネル３の前記吹出口５には送風方向を変えるルーバ６が設けられている。前記吸込口４には吸込フィルタ４ａや吸込グリル４ｂが設けられている。

前記室内機本体２は、筐体７と、この筐体７内の中央に設けられたターボファン（遠心ファン）等のファン８と、このファン８を回転させるモータ９と、前記ファン８の外側を囲むように設けられた概略ロの字形の熱交換器１０、この熱交換器１０の下部を覆うように設けられ熱交換器１０で発生するドレンを捕集するドレンパン１１、前記ファン８の吸込側と吐出側を仕切ると共に前記吸込口４から吸い込まれた空気をファン８に導くベルマウス１２等を備えている。

前記ファン８により前記吸込口４から吸込グリル４ｂ及び吸込フィルタ４ａを介して吸い込まれた室内空気は、前記ファン８で昇圧されて吹出され、前記熱交換器１０を通過して熱交換器１０の冷媒配管内を流れる冷媒と熱交換して冷却或いは加熱された空調空気となる。この空調空気は、前記熱交換器１０の外側面と前記筐体７の内側面との間に形成される吹出し流路１３を通過後、前記化粧パネル３の吹出口５から室内に吹出される。前記吹出口５に設けられているルーバ６は吹出される空気の吹出し方向を下方に向けたり或いは水平方向に向けるように吹出し方向を調整するものである。なお、図１に示す矢印α，βは、前記吸込口４から吸い込まれ、ファン８及び熱交換器１０を通過後、前記吹出口５から室内に吹出される空気の流れを示している。

次に、図１に示す前記吹出口５付近の構成を、吹出口５付近の要部断面図である図２を用いて説明する。図２に示すように、化粧パネル３には、前記吹出口５の外側に設けられ略水平な平面部１４を有する外枠３ａが備えられ、前記外枠３ａには前記平面部１４に設けられ、鉛直下方に突出する断面が三角形状の突起部１５が設けられている。また、前記突起部１５の下端は前記ルーバ６の下端６ａ（ルーバ後縁部）よりも鉛直上方に位置するように構成されている。

前記化粧パネル３に設けられている前記吹出し流路１３の前記吹出口５は、内側流路壁面１６と外側流路壁面１７により形成されている。また、前記内側流路壁面１６の下端１６ａは前記ルーバ６の下端６ａよりも鉛直下方に位置するように構成されている。

前記外側流路壁面１７は、前記化粧パネル３の外枠３ａに形成されており、この外側流路壁面１７の下側は、前記平面部１４と滑らかに接続される曲面部１７ａに形成されている。

前記化粧パネル３の外枠３ａは、前記天井１００の天井面１００ａに密着して取り付けられる。本実施例では、前記化粧パネル３の外枠３ａに前記天井面１００ａと平行に水平な前記平面部１４を有することにより、前記化粧パネル３はシンプルな構成となり、デザイン性が改善される。

また、前記内側流路壁面１６の下端１６ａは前記ルーバ６の下端６ａよりも鉛直下方に位置するように構成され、更に前記内側流路壁面１６の下端側は、その下端１６ａを終端として、吹出し空気の流れを水平な方向に導くように曲面形状に形成されている。これにより、吹出し空気の流れを水平方向に効率良く導くことが可能になると共に、ルーバ６が前記吸込グリル４ｂや化粧パネル３の内枠３ｂから下方に突出しない構造になるため、この点からもデザイン性が改善される。

次に、図２を用いて、本実施例１の空気調和機の室内機の作用と効果を説明する。図２において、破線矢印で示す流れＡは、前記外側流路壁面１７に沿って流れ、前記吹出口５から吹出された後、前記突起部１５に当ってはく離するので、前記化粧パネル３の外枠３ａに直接吹出し空気（冷房運転時であれば冷気）があたることはない。一方、前記流れＡがはく離することにより、前記外枠３ａの端部３ａａ外側に渦Ｖが発生し、この渦Ｖの作用により、前記流れＡは、前記天井面１００ａにおける前記外枠３ａの端部３ａａから距離Ｌだけ離れた位置（再付着点Ｘ）に付着し、その後は天井面１００ａに平行な流れ場となる。

一方、破線矢印で示す流れＢは、前記内側流路壁面１６に沿う流れであるが、内側流路壁面１６の下端１６ａが前記ルーバ６の下端（後縁部）６ａよりも鉛直下方に位置しているので、流れＢは水平に吹き出される作用が促進させる。この流れＢは、前記流れＡに沿って流れるため、前記天井面１００ａに平行な流れ場を形成することができる。

以上説明したような流れ場を形成することにより、デザイン性を損なうことなく、天井面１００ａに平行な流れ場を形成できるので、冷房運転時であれば、冷気が直接人に当たるのを抑制でき、快適性を確保できる。

更に、化粧パネル３の外枠３ａにも、冷気が直接当たらないため、化粧パネル３の外枠３ａ周辺の結露を防止できる。また、化粧パネル３の外枠３ａから、前記距離Ｌ離れた位置の前記再付着点Ｘにおいて、前記流れＡが天井面１００ａに付着するが、再付着点Ｘの周辺の流速は低減されているから、前記天井面１００ａにスマッジングが発生するのも抑制することもできる。

以上説明したように、本実施例１によれば、化粧パネルのデザイン性を改善しつつ天井に平行な流れ場を形成して快適性も確保し、且つ結露やスマッジングの発生も抑制することができる空気調和機の室内機を得ることができる効果がある。

本発明の空気調和機の室内機の実施例２を、図３を用いて説明する。図３は本実施例２の空気調和機の室内機の吹出口付近の断面図である。なお、図３において、図１や図２と同様の符号を付した部分は同一或いは相当する部分であり、この実施例２の説明にあたっては、上述した実施例１と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。

図３に示すように、本実施例２においては、突起部１５の形状が実施例１のものと異なる形状としている。即ち、実施例１では前記突起部１５は、その断面が三角形状に形成されているが、本実施例２では、突起部１５は、その断面が四角（矩形）形状に形成されている点が異なっている。

本実施例の構成とすることにより、前記突起部１５は、前記外枠３ａの平面部１４に対して垂直の外側壁面１５ａと、前記平面部と平行な下面１５ｂを有する形状となり、更に、前記外側壁面１５ａと前記下面１５ｂにより、エッジ１５ｃが形成される。この結果、本実施例２においては、前記エッジ１５ｃの部分で、破線矢印で示す流れＡ２（外側流路壁面１７に沿って流れ、吹出口５から吹出された後、前記突起部１５に当る流れ）を確実にはく離させることができる。

このように、本実施例２によれば図２に示す実施例１に対し、前記突起部１５での剥離をより確実に発生させることができるので、上述した実施例１と同様の効果が得られる上に、化粧パネル３の外枠３ａ周辺の結露防止効果、及び天井面１００ａにおけるスマッジングの発生抑制効果を更に向上することができる。

本発明の空気調和機の室内機の実施例３を、図４を用いて説明する。図４は本実施例３の空気調和機の室内機の吹出口付近の断面図である。なお、図４において、図１〜図３と同様の符号を付した部分は同一或いは相当する部分であり、この実施例３の説明にあたっては、上述した実施例１、２と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。

図４に示すように、本実施例３においては、突起部１５の形状が実施例１、２のものと異なる形状としている。即ち、実施例１では前記突起部１５の断面を三角形状に、実施例２では四角形状に形成した例を説明したが、本実施例３では、突起部１５は、その断面が台形形状に形成されると共に、この台形形状の突起部１５は、前記外枠３ａの平面部１４との為す角度が鋭角となる外側壁面１５ａと、前記平面部１４と平行な下面１５ｂと、前記外側壁面１５ａと前記下面１５ｂにより形成された鋭角のエッジ１５ｃを有するように形成されている。他の構成は上述した実施例２と同様である。

本実施例３の構成とすることにより、前記外側壁面１５ａと前記下面１５ｂにより形成されるエッジ１５ｃの角度が鋭角となり、よりきわだつため、図４に示す破線矢印で示す流れＡ３（外側流路壁面１７に沿って流れ、吹出口５から吹出された後、前記突起部１５に当る流れ）を図３に示す実施例２のものより、更に確実にはく離させることができる。従って、実施例１もしくは２の効果をより確実に得ることができる。

このように、本実施例３によれば、実施例１、２のものに対し、前記突起部１５での剥離を更に確実に発生させることができるので、上述した実施例１、２と同様の効果が得られる上に、化粧パネル３の外枠３ａ周辺の結露防止効果、及び天井面１００ａにおけるスマッジングの発生抑制効果を更に向上することができる。

本発明の空気調和機の室内機の実施例４を、図５を用いて説明する。図５は本実施例４の空気調和機の室内機の吹出口付近の断面図である。なお、図５において、図１〜図３と同様の符号を付した部分は同一或いは相当する部分であり、この実施例４の説明にあたっては、上述した実施例１、２と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。

図５に示すように、本実施例４においては、突起部１５の形状は上記実施例２のものと同様に、その断面が四角（矩形）形状に形成されている。本実施例が上記実施例２と異なる点は、前記突起部１５の設置位置を、吹出口５における化粧パネル３の外枠３ａに形成されている外側流路壁面１７の曲面部１７ａから水平な平面部１４に変わる位置としていることである。本実施例４の構成とすることにより、流れ構造が変化する位置に前記突起部１５が設置されるので、流れＡ４（吹出口５から吹出された後、前記突起部１５に当る流れ）を確実にはく離させることができ、上記実施例２で説明した効果をより確実に得ることができる。

なお、突起部１５の形状は、その断面が四角形状のものに限らず、図２に示す三角形状や図４に示す台形形状にしても良く、この場合、上記実施例１或いは実施例３で説明した効果をより確実に得ることができる。

本発明の空気調和機の室内機の実施例５を、図６及び図７を用いて説明する。図６は、図５に示す実施例４において、突起部の鉛直方向の高さＨ、吹出口の幅Ｗ、及び化粧パネルの外枠端部から吹出し空気流れの天井面への再付着点Ｘまでの距離Ｌについて説明する図、図７は、吹出口の幅に対する突起部の高さの比Ｈ／Ｗと、吹出口の幅に対する化粧パネルの外枠端部から吹出し空気流れの天井面への再付着点までの距離の比Ｌ／Ｗとの関係を説明する線図である。

図６は、突起部の鉛直方向の高さＨ、吹出口の幅Ｗ、及び化粧パネルの外枠端部から吹出し空気流れの天井面への再付着点Ｘまでの距離Ｌの各寸法について説明するための図であり、室内機としての基本的な形状は図５で説明したものと同様である。前記吹出口５の幅Ｗは、外側流路壁面１７の曲面部１７ａと外枠の平面部１４との交点（曲面部１７ａと突起部１５との交点）と、内側流路壁面１６の下端１６ａとの距離として定義する。距離Ｌは、前述したように、外枠３ａの端部３ａａから再付着点Ｘまでの長さである。

図７は、吹出口５の幅Ｗに対する突起部１５の鉛直方向の高さＨの比Ｈ／Ｗと、吹出口５の幅Ｗに対する化粧パネル３の外枠３ａの端部３ａａから再付着点Ｘまでの距離Ｌの比Ｌ／Ｗとの関係を、数値流体計算により調べた結果を示す線図である。

計算は、図１に示すような吹出口５を４個設けている一般的な天井埋込型の室内機を対象とし、ファン８の外径は４５０ｍｍで、ファン８の回転数を８６０ｒｐｍとした条件で、図６に示す前記突起部１５の高さＨをパラメータサーベイして実施した。前記突起部１５の形状は図６に示すように断面が四角形状としたものとし、突起部１５の高さＨと、外枠３ａの端部３ａａから再付着点Ｘまでの距離Ｌは、それぞれＷで無次元化して計算した。

その結果、図７に示すように、吹出口５の幅Ｗに対する突起部１５の高さＨの比Ｈ／Ｗを３％以上にすることにより、吹出口５の幅Ｗに対する化粧パネル３の外枠３ａの端部３ａａから再付着点Ｘまでの距離Ｌの比Ｌ／Ｗを顕著に増加できることを見出した。即ち、前記比Ｈ／Ｗを３％以上とすることで、前記距離Ｌの顕著な増加が見込めることがわかった。前記距離Ｌが大きくなるほど、再付着点Ｘ付近の流速は低減され、天井面１００ａに発生するスマッジングを大幅に低減することができる。

上述したように、前記比Ｈ／Ｗを３％以上とすることが望ましいが、前記比Ｈ／Ｗが６％以上になると、前記比Ｌ／Ｗの増加率は急激に低下することもわかった。また、前記突起部１５の高さを高くし過ぎると、デザイン性が低下すると共に、吹出口５から吹出される空調空気の流れ方向も下向きになるので、冷気が直接人に当り易くなり、快適性も低下する。従って、前記比Ｈ／Ｗは３％〜６％にすることが好ましい。

なお、本実施例５の説明では、上記実施例４のように、突起部１５を、外側流路壁面１７の曲面部１７ａから水平な平面部１４に代わる位置に設けたもので説明したが、上記実施例１〜３のように、前記突起部１５を外枠の平面部に設けているものに対しても、図７に示すものと同様に、前記比Ｈ／Ｗを３％以上、好ましくは３％〜６％とすることで、前記距離Ｌの顕著な増加が見込めるものである。

以上説明したように、本発明の各実施例の空気調和機の室内機によれば、化粧パネルは、吹出口の外側に設けられ略水平な平面部に形成された外枠と、この外枠の前記平面部に設けられ、鉛直下方に突出する突起部を備え、更に、前記突起部の下端はルーバの下端よりも鉛直上方に位置し、前記吹出口の内側の流路壁面を形成する内側流路壁面の下端は、前記ルーバの下端よりも鉛直下方に位置する構成としている。これにより、平面部をもつ化粧パネルのデザイン性を改善しつつ、天井に平行な流れ場を形成して快適性も確保し、且つ結露やスマッジングの発生も抑制することができる。

なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。

１：室内機、２：室内機本体、３：化粧パネル、３ａ：外枠、３ａａ：端部、３ｂ：内枠、４：吸込口、４ａ：吸込フィルタ、４ｂ：吸込グリル、５：吹出口、６：ルーバ、６ａ：下端（後縁部）、７筐体、８：ファン、９：モータ、１０：熱交換器、１１：ドレンパン、１２：ベルマウス、１３：吹出し流路、１４：平面部、１５：突起部、１５ａ：外側壁面、１５ｂ：下面、１５ｃ：エッジ、１６：内側流路壁面、１６ａ：下端、１７：外側流路壁面、１７ａ：曲面部、１００：天井、１００ａ：天井面、α，β，Ａ，Ａ２，Ａ３，Ａ４，Ｂ：流れ、Ｖ：渦、Ｘ：再付着点、Ｈ：突起部の高さ、Ｗ：吹出口の幅、Ｌ：外枠端部と再付着点Ｘとの距離。

Claims (9)

1. 天井に設けられる室内機本体と、この室内機本体の下面に取り付けられ吸込口と、空調した空気を室内に吹き出す吹出口を有するパネルと、該パネルの前記吹出口に設けられ送風方向を変えるルーバとを備える空気調和機の室内機において、
   前記パネルは、前記吹出口の外側に設けられ略水平な平面部に形成された外枠と、
   前記外枠の前記平面部に設けられ、鉛直下方に突出する突起部を備え、
   前記突起部の下端は前記ルーバの下端よりも鉛直上方に位置し、
   前記吹出口の内側の流路壁面を形成する内側流路壁面の下端は、前記ルーバの下端よりも鉛直下方に位置することを特徴とする空気調和機の室内機。
2. 請求項１に記載の空気調和機の室内機おいて、
   前記パネルに設けられている前記吹出口は前記内側流路壁面と外側流路壁面を有し、前記外側流路壁面には前記外枠の平面部に接続される曲面部が設けられていることを特徴とする空気調和機の室内機。
3. 請求項２に記載の空気調和機の室内機おいて、
   前記吹出口を形成している前記内側流路壁面の下端側は、吹出し空気の流れを水平な方向に導くように曲面形状に形成されていることを特徴とする空気調和機の室内機。
4. 請求項１に記載の空気調和機の室内機おいて、
   前記突起部は、その断面が三角形状に形成されていることを特徴とする空気調和機の室内機。
5. 請求項１に記載の空気調和機の室内機おいて、
   前記突起部は、その断面が四角形状に形成され、この四角形状の突起部は、前記外枠の平面部に対して垂直の外側壁面と、前記平面部と平行な下面と、前記外側壁面と前記下面により形成されたエッジを有することを特徴とする空気調和機の室内機。
6. 請求項１に記載の空気調和機の室内機において、
   前記突起部は。その断面が台形形状に形成され、この台形形状の突起部は、前記外枠の平面部との為す角度が鋭角となる外側壁面と、前記平面部と平行な下面と、前記外側壁面と前記下面により形成された鋭角のエッジを有することを特徴とする空気調和機の室内機。
7. 請求項２に記載の空気調和機の室内機において、
   前記突起部は、前記吹出口を形成している外側流路壁面における前記曲面部から前記平面部に変わる位置に設けられることを特徴とする空気調和機の室内機。
8. 請求項２に記載の空気調和機の室内機おいて、
   外側流路壁面の曲面部と外枠の平面部との交点と、内側流路壁面の下端との距離を前記吹出口の幅Ｗとして定義し、前記突起部の高さをＨとしたとき、
   前記吹出口の幅Ｗに対する前記突起部の高さＨの比Ｈ／Ｗを３％以上としたことを特徴とする空気調和機の室内機。
9. 請求項８に記載の空気調和機の室内機おいて、
   前記比Ｈ／Ｗが３％〜６％の範囲に構成されていることを特徴とする空気調和機の室内機。

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