以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態による学習支援システム1の概略構成図(システム構成図)である。同図に示すように、サーバ装置100と、複数の端末装置200とが、ネットワークNを介して相互に通信可能に設定されることにより、学習支援システム1が構成される。
サーバ装置100は、ネットワークNに接続されたサーバ用コンピュータであり、そのサーバ用コンピュータにおいて所定のサーバ用プログラムが動作することにより、サーバ機能を実現するものである。本実施形態において、サーバ装置100は、学習支援システム1により学校における協働学習や一斉学習等を支援する事業者等によって提供され得る。
端末装置200は、ネットワークNに接続され、サーバ装置100にアクセス可能なコンピュータである。本実施形態では、先生が使用するものを先生端末210といい、生徒が使用するものを生徒端末220という。先生端末210と生徒端末220は、学習支援システム1におけるアクセス権限や利用可能な機能等が異なるものの、ハードウェア構成を変える必要はない。同じ一台の端末装置200であっても、先生が先生のIDでログインすれば、先生端末210として機能し、生徒が生徒のIDでログインすれば、生徒端末220として機能する。すなわち、ログインするユーザのIDや区分に応じて、端末装置200の役割が決定される。本実施形態において、先生端末210は、先生が授業の準備及び授業中に使用することが想定されている。生徒端末220は、生徒が授業中に使用することが想定されている。
本実施形態において、端末装置200は、好適にはタブレットコンピュータ(以下「タブレット端末」という。)が想定される。そこで、以下においては、理解を容易にするべく、端末装置200がタブレット端末である実施の形態を例にとって説明する。しかしながら、本発明において、端末装置200はタブレット端末に限られるものではなく、PC(パーソナルコンピュータ。ノートパソコンを含む。)を採用してもよいことは言うまでもない。特に、先生が授業の準備の際に、後述するワークシートを作成する場合には、先生端末210としてPCを用いることが想定される。また、本実施形態では、学習支援システム1が、学校の授業で利用される場合について説明するが、本学習支援システム1は学校に限らず、塾や予備校、通信講座など、種々の場面における学習に利用することが可能である。その場合には、端末装置200は、タブレット端末やPCの他に、家庭用ゲーム機器(携帯型ゲーム機を含む)、携帯電話機(いわゆるフィーチャーフォン)、スマートフォン(多機能携帯電話機)、携帯情報端末(Personal Digital Assistant;PDA)、携帯音楽プレイヤ、電子書籍リーダ、その他のコンピュータ機器を採用してもよい。
ネットワークNは、例えばインターネットや学校内に構築するLAN(local area network)等を含む情報処理に係る通信回線又は通信網であり、その具体的な構成は、サーバ装置100と端末装置200との間でデータの送受信が可能なように構成されていれば特に制限されず、有線であるか無線であるかも問わない。また、ネットワークNは、複数種の通信回線や通信網及び種々のネットワーク機器を含んで構成され得る。例えば、ネットワークNは、端末装置200に無線接続される基地局や無線LANのアクセスポイント(WiFiルータ等)、基地局に接続された移動体通信網、アクセスポイントからルータやモデムを介して接続された電話回線、ケーブルテレビ回線又は光通信回線などの公衆回線、サーバ装置100に接続されたインターネット、移動体通信網や公衆回線とインターネットを接続するゲートウェイ装置を含む。
図2は、本実施形態におけるサーバ装置100の好適な一実施形態を示す概略構成図(システムブロック図)である。同図に示すように、サーバ装置100は、CPUやMPUといった演算処理部(プロセッサ)101、記憶装置としてのROM102及びRAM103、入力部105及び外部メモリ106が接続された外部インターフェース104、ディスプレイモニタ111が接続された画像処理部107、ディスク又はメモリデバイス等が収容又は接続されるスロットドライブ108、スピーカ装置112が接続された音声処理部109、並びに、ネットワークインターフェース110を備え、これらが、例えば、内部バス、外部バス、及び拡張バスを含むシステムバスといった伝送路120を介して互いに接続されて構成される。なお、入力部105、外部メモリ106、ディスプレイモニタ111、スピーカ装置112等の入出力を担うデバイス装置は、必要に応じて適宜省略してもよいし、それらを備える場合であっても、それらは伝送路120に常時接続されていなくてもよい。
演算処理部101は、サーバ装置100全体の動作を制御し、上述した他の構成要素との間で制御信号及び情報信号(データ)の送受信を行うとともに、学習支援の実行に必要な各種の演算処理を行う。そのため、演算処理部101は、いわゆるレジスタ等の高速アクセス可能な記憶領域に対して、数値演算ユニット等を用いた加減乗除等の算術演算、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算等、更に必要に応じて、飽和演算、三角関数演算、ベクトル演算等を行うことが可能なように構成されている。
また、ROM102には、一般に、電源投入後、最初に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録されており、これが実行されることにより、スロットドライブ108に収容又は接続されるディスクやメモリデバイスに記録されたサーバ用プログラムや学習支援プログラムが、演算処理部101によって一旦RAM103に読み出され、そのプログラムが演算処理部101によって実行される。さらに、ROM102には、サーバ装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムやその他の各種データが記録されている。
さらに、RAM103は、サーバ用プログラム、学習支援プログラム、及び、各種データを一時的に記憶するためのものであり、上記の如く、読み出されたサーバ用プログラムや学習支援プログラム、その他、学習の進行や複数の端末装置200間の通信に必要なデータ等がRAM103に保持される。さらに、演算処理部101は、RAM103に変数領域を設定し、その変数領域に格納された値に対しても数値演算ユニットを用いた直接演算を行ったり、或いは、RAM103に格納された値をレジスタに一旦複製又は移設格納してそのレジスタに対しても直接演算を行ったり、さらには、それらの演算結果をRAM103に書き戻したりといった処理を行う。
また、外部インターフェース104を介して接続された入力部105は、サーバ装置100を用いて問題や教材を含む講座を提供する事業者側のユーザが行う各種の操作入力を受け付けるものであり、入力部105としては、キーボード、タッチパッド、タッチパネルの他、例えば、音声入力装置を採用することができ、種々の操作入力、決定操作、取消操作、メニュー表示等の指示入力を行うことが可能であれば、デバイスの種類は特に制限されない。
さらに、RAM103や、外部インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、サーバ装置100の作動状況、各端末装置200のアクセス状況、各端末装置200における学習の進行状況や過去の成績等を示すデータ、端末装置200間の通信のログ(記録)のデータ等が書き換え可能に記憶される。
また、画像処理部107は、スロットドライブ108から読み出された各種データを、演算処理部101により、又は、画像処理部107自体により加工処理した後、その処理後の画像情報をフレームメモリ等に記録する。このフレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され、画像処理部107に接続されるディスプレイモニタ111へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。また、学習支援に関する画像情報は、演算処理部101との協働処理等によって、画像処理部107及び/又は演算処理部101から各端末装置200へ送出される。
またさらに、音声処理部109は、スロットドライブ108から読み出された各種データを音声信号に変換し、音声処理部109に接続されたスピーカ装置112から出力する。また、学習支援に関する音声情報(キャラクタの声や効果音など)は、演算処理部101との協働処理等によって、音声処理部109及び/又は演算処理部101から各端末装置200へ送出される。
さらにまた、ネットワークインターフェース110は、サーバ装置100をネットワークNへ接続するためのものであり、例えば、LANの構築に使用される諸規格に準拠するもの、アナログモデム、ISDNモデム、ADSLモデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネット等に接続するためのケーブルモデム等、及び、これらを、伝送路120を介して演算処理部101と接続するための通信インターフェース回路とから構成される。
なお、サーバ装置100は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成される、いわゆるクラウドコンピューティングの形態のものであってもよい。また、単一のコンピュータが複数のサーバ機能を備えるようなものでもよい。
サーバ装置100のハードウェア構成は、上述したとおりであるが、図3は、図1及び図2に示すサーバ装置100を機能的な観点から示す概略構成図(機能構成図)である。サーバ装置100は、端末装置200からの指示等に応じて、学習を支援するためのものであり、そのための機能として、少なくともサーバ通信部131、サーバ記憶部132、及びサーバ処理部133を備える。
サーバ通信部131は、サーバ装置100とネットワークNとの間で通信を行うものであり、端末装置200等から受信したデータを、サーバ処理部133に供給するとともに、サーバ処理部133から供給されたデータを、端末装置200へ送信する機能を有する。かかるサーバ通信部131は、具体的には、少なくとも上述した図2に示すネットワークインターフェース110から構成される。
また、サーバ記憶部132は、各種プログラムや各種データを記憶するためのものであり、具体的には、上述した、図2に示すROM102、RAM103、外部メモリ106、及びスロットドライブ108の少なくとも何れか1つから構成され得る。ここで、サーバ記憶部132に記憶される学習支援プログラムは、後述する処理手順を実行する学習支援アプリケーションのプログラムであり、サーバ記憶部132には、かかる学習支援に係る表示データや各種演算結果のデータも記録される。
本実施形態では、サーバ記憶部132に、ワークシートが記憶される。ワークシートとは、学習支援システム1を用いて協働学習ないし一斉学習を行う際のテンプレートとなるデータであり、詳細は後述する。
サーバ処理部133は、図2に示す演算処理部101から構成されており、演算処理部101による制御指令に基づいて後述の各機能モジュールによる処理が実行される。すなわち、演算処理部101が、本実施形態におけるサーバ処理部133として機能する。本実施形態における学習支援を例にして更に説明すれば、機能モジュールとして、ワークシート配信部134、解答収集部135、共有情報配信部136、集計処理部137、操作受付部1371、更新情報配信部1372及び評価処理部138を備える。これらの各部(機能モジュール)は、演算処理部101のプロセッサで実行される上記各種プログラムにより実現され、或いは、ファームウェアとして演算処理部101に実装されていてもよい。なお、これらの各部の動作については、後述する。
図4は、図1に示す端末装置200の概略構成図であり、機能的な観点を含む機能構成図でもある。なお、端末装置200の好適なシステム構成(ハードウェア構成)は、図2に示すサーバ装置100のシステム構成と共通する構成を備えることに加え、例えば、デジタルカメラやタッチパネル等を含んでいる。本実施形態において、端末装置200は、上述の如く、例えばタブレット端末であり、図4に示すように、端末通信部231、端末記憶部232、操作部233、表示部234、及び端末処理部235を備えている。
端末通信部231は、所定の周波数帯を感受帯域とするアンテナを含む通信インターフェース回路を備え、端末装置200を、無線通信ネットワークを介してネットワークNに接続する。その場合の通信形態としては、特に制限されず、例えば、通信用の基地局やアクセスポイント等により割り当てられるチャネルを介して、その基地局やアクセスポイントとの間でWCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)方式やWiFi(Wireless Fidelity)方式等による無線信号回線を確立し、基地局やアクセスポイントとの間で通信を行う。そして、端末通信部231は、端末処理部235から供給されたデータをサーバ装置100に送信するとともに、サーバ装置100から受信したデータを端末処理部235に供給する。
端末記憶部232は、例えば、フラッシュメモリ、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも何れか1つを備え、端末処理部235での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。これらのうち、ドライバプログラムとしては、例えば、操作部233を制御するための入力デバイスドライバプログラム、表示部234を制御するための出力デバイスドライバプログラム等が挙げられる。また、アプリケーションプログラムとしては、各単元の解説やテスト問題、その採点結果など、学習に係るデータの取得及び表示を行うためのプログラム等を例示することができる。さらに、データとしては、学習の進行状況や過去の成績に係る表示データ等が挙げられる。なお、端末記憶部232は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
操作部233は、例えば、上述したサーバ装置100の入力部105と同等の構成のものを例示することができる。本実施形態においては、操作部233として、例えば、タッチパネルを用いる。しかし、端末装置200の操作が可能であり、プレイヤが文字、数字等を入力することができるものであれば、どのようなデバイスでもよい。例えば、キーボードやマウス、タッチパッド等を用いてもよい。
タッチパネルは、表示部234の画面に対応する形状及び大きさの略矩形の検出面を備えており、この検出面上に物体が接触した場合に、当該物体の接触位置を検出する。本実施形態では、タッチパネルは、物体の接触位置を所定の時間間隔で順次検出する。タッチパネルの検出面は、表示部234の画面と重なるよう配置されている。また、タッチパネルは、必ずしも物体が検出面に接触した場合だけ物体の位置を検出するのではなく、検出面上の検出可能範囲まで物体が近接した場合に、当該物体の検出面に対する位置を検出するようにしてもよい。タッチパネルは、例えば、静電容量式や感圧式、光学式など、検出面上における物体の位置を検出可能なデバイスであれば、どのような方式のものであってもよい。
ユーザは、自分の指やスタイラス等の物体をタッチパネルに接触させて操作入力を行う。ユーザにより操作部233が操作されると、操作部233は、その操作に対応する信号を発生し、その信号を端末処理部235に供給する。端末装置200は、ユーザによる操作信号を、上記の端末通信部231を介してサーバ装置100へ送信することにより、学習の支援処理に必要な動作を要求する。
また、表示部234は、端末処理部235から供給された映像データに応じた映像、画像データに応じた画像等を表示するものであり、後述する端末装置200の画面の主要部を構成する。かかる表示部234としては、テキスト、映像、画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等が挙げられる。
さらに、端末処理部235は、CPUやMPUといった一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備え、端末装置200全体の動作を統括制御するものであり、例えば、上述したサーバ装置100の演算処理部101と同等の構成のものを例示することができる。また、端末処理部235は、端末装置200の各種処理が、端末記憶部232に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に沿って、且つ、操作部233の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、端末通信部231、表示部234等の動作を制御する。
この端末処理部235は、上記の各種プログラムによって実現される、又は、ファームウェアとして端末装置200に実装された機能モジュールとして、少なくとも操作制御部236と表示制御部237とを備えている。操作制御部236は、タッチパネルへの入力を制御する。表示制御部237は、サーバ装置100から受信したワークシートの情報や共有の場に関する情報などに基づいて、個人領域64及び共有領域65を含む画面情報を生成し、表示部234への表示や音声などの出力を制御する。
このように構成された学習支援システム1において実施される学習支援処理の実施形態について、以下に説明する。ここでは、学校の授業で学習支援システム1を利用する実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係る学習支援システム1の処理シーケンスを示す図である。
授業などで学習支援システム1を利用する場合には、まず授業を開始したときなどに、先生と生徒が各自の端末装置200から自分のログインIDを入力するなどして、学習支援システム1にログインし、各端末装置200とサーバ装置100との間の通信を確立する(S51)。本実施形態のように学習支援システム1を学校の授業で利用する場合、各端末装置200とサーバ装置100との間はリアルタイム通信により接続されることが好ましい。図5は、先生が先生端末210を使用し、生徒Aが生徒端末220Aを使用し、生徒Bが生徒端末220Bを使用する場合を例示している。
ログイン後、授業に使うワークシートを端末装置200に取り込む。例えば、先生が先生端末210から、サーバ記憶部132に記憶されている複数のワークシートの中からその日の授業に使うワークシートWを選択する(S52)。また、生徒が自ら生徒端末220からワークシートWを選択することもできる。好適には、教科や単元(大単元と小単元)、学習コースごとに、学習課題に沿ったワークシートがサーバ記憶部132に記憶されているが、これに限られない。ワークシートは、学習支援システム1の提供者ないし運用者が予め用意したものの他、先生が自ら作成することも可能である。
図12は、本実施形態に係るワークシートの一例を示す図である。同図に示すとおり、各ワークシートは同じ形式のデータ構造を有している。本実施形態に係るワークシートは、教科名や単元名に関する基礎データと設問に関する設問データとを含むものとして構成される。設問を複数設ける場合、1つのワークシートには、問題数に応じた複数の設問データが含まれる。
各設問データは、問題文に関する第1の情報と、解答入力用のオブジェクトに関する第2の情報と、解答を集計するためのキーに関する第3の情報とを含んで構成されている。第1の情報は、当該設問の問題文が記述されている。第2の情報は、設問に応じて設けられる解答記入欄に相当するものであり、解答を入力するためのオブジェクトに関する情報が記述されている。第3の情報は、設問に応じて設けられるものであり、典型的には、複数の生徒から集めた解答を集計してグループ分けするためのキーワードなどの情報である。
図5に戻り、ワークシートWが選択されると、ワークシート配信部134は、選択されたワークシートWをサーバ装置100から各端末装置200に配信する(S53)。ワークシートは、クラス単位や班単位など、指定ないし設定された一群に所属する端末装置200に配信される。図5の例では、先生端末210、生徒端末220A,220B,・・・に配信される。
ここでは、先生または生徒の一人が選んだワークシートWが、クラスや班の全員に配信されるものとしたが、これに限られない。例えば、先生の指示に従って、生徒の一人一人がサーバ装置100からワークシートWをダウンロードするものとしてもよい。また、ステップS51で先生や生徒がログインしたときに、当該先生や生徒の学年、クラス、班、学習コース、ログインした日時などの情報に基づいて、学習に使うワークシートWが自動的に選択され、サーバ装置100から端末装置200にダウンロードされるものとしてもよい。
各端末装置200がワークシートWを受信すると、図6に例示するような、生徒が自分の解答(意見等を含む)を入力するための画面60が端末装置200の表示部234に表示される。
図6は、生徒が自分の解答を入力するための画面60の一例を示す図である。同図に示すとおり、画面60は、ヘッダ領域61と、ワーク領域62とを含む。
ヘッダ領域61は、単元名(大単元名と小単元名など)やワークシート名などを表す表題を含む。また、テキストの入力や付箋の挿入といった機能を選択するためのアイコン状のオブジェクト群などを含み得る。単元名やワークシート名などに関する情報は、ワークシートWの基礎データに含まれている情報を利用することができる。
ワーク領域62は、設問切替タグ領域63と、個人領域64と、共有領域65とを含む。
設問切替タグ領域63は、設問の数に応じた設問タグが含まれる。図6においては、設問切替タグ領域63に、設問1に切り替えるためのタグ631と、設問2に切り替えるためのタグ632とが含まれる。これは、図12において、ワークシートWには、設問データが2つ含まれていることに対応する。設問追加ボタン633は、ワークシートWに設問を追加するためのボタンであり、先生端末210のみに表示されることが好ましい。
個人領域64は、端末装置200を使用するユーザ個人の専用の場であり、それぞれのユーザに対してユーザ固有の内容を表示する領域である。すなわち、ユーザが個人の解答を作成するエリアである。生徒端末220においては、生徒が自分の解答を入力する際に用いられる領域である。個人領域64は、設問の問題文641と、解答を入力するためのオブジェクト642とが配置される。この問題文641に関する情報は、ワークシートWの各設問データに第1の情報として含まれている。
生徒は、設問に対して、テキストやマーカーなどを用いてオブジェクト642に解答を入力する。この解答を入力するためのオブジェクト642に関する情報も、ワークシートWに含まれている。図6に示す例では、オブジェクト642として、テキストデータを入力するためのテキストボックスが表示されている。これは、図12において、設問1に関する設問データの第2の情報に、文字数200文字のテキストボックスがオブジェクトとして記述されていることに対応する。生徒は、生徒端末220に内蔵されたソフトウェアキーボードや手書き文字認識ツールを使って、テキストボックス内にテキストデータを入力する。後述する協働学習及び一斉学習の際に各生徒から集めた解答を一覧表示するため、テキストボックス内に入力されている文字数をカウントする文字数カウンタ643を備え、入力されるテキストデータの文字数を制限することができる。
また、個人領域64の左端に、個人領域タブ640が付加されている。ユーザがこの個人領域タブ640を左右に動かすことによって、個人領域64の横幅を任意の幅に変更させることができる。すなわち、個人領域タブ640を端末装置200の表示画面の右端まで移動させた場合には、図9に示すように、画面60から個人領域64がなくなり、画面60の右端に個人領域タブ640が表示され、画面のほぼ全体を共有領域65が占めることになる。後述する協働学習・一斉学習の際に複数の生徒の解答をまとめて表示させるときには、この表示形式を用いることが好ましい。他方、個人領域タブ640を画面左方向に移動させた場合には、それに応じて、個人領域64が左方向に引き出されることになる。
本実施形態に係る協働学習・一斉学習において、生徒はまず各自の解答を端末装置200に入力することが求められる。このとき、生徒が個人領域64に解答を入力できるように、表示画面が構成されていることが好ましい。しかし、これに限られず、生徒が各自、共有領域65に解答を直接入力することができるように、表示画面が構成されていてもよい。
個人領域64の幅は、設問の種類、問題文の長さ、及び、解答入力欄を構成するオブジェクト642の内容等に基づいて、推奨される幅を表示制御部237が自動的に算出することが好ましい。この場合、例えば、個人領域タブ640を生徒がタップしたときに、当該推奨される幅に個人領域64の幅が自動的に調整される。
共有領域65は、例えば、班単位ないしクラス単位で情報を共有するために用いられる領域であり、班ないしクラスに所属する複数の生徒の解答を表示して、協働学習や一斉学習を通して意見をまとめるための領域である。本実施例では、仮想的に設けられる共有の場の少なくとも一部が、共有領域65に表示される。
図6に示された例では、個人領域64に設問641が表示されるのみならず、共有領域65にも設問651が表示されている。また、ズームを調整することによって、共有領域64において共有の場全体を見ることができるようにするためのボタン状のオブジェクト655と、生徒から共有の場に投稿された複数の解答オブジェクトを所定の観点で並び替えるためのオブジェクト656を含んでいる。
また、図6には図示されていないが、ワーク領域62は、共有の場に投稿された複数の解答オブジェクトを集計するための集計パネル66と、生徒同士ないし先生と生徒の間で解答等を評価するための評価パネル67とをさらに含む。図6には、集計パネル66を引き出すための集計タグ660と、評価パネル67を引き出すための評価タグ670が表示されている。
図5に戻り、各端末装置200に、解答を入力するための画面60が表示されたとき、生徒は、個人領域64に配置されたオブジェクト642に、設問641に対する解答を入力する(S54)。例えば、図6は、テキストボックスに「兵十はうなぎをなんでとっていたのかな。もしかしたら、だれかにたべさせるためにとっていたのかな。」というテキストデータを入力している場面が例示されている。
生徒が入力した解答は、サーバ装置100の解答収集部135によって、リアルタイムで収集される。このとき、生徒端末220Aからサーバ装置100に対して、生徒Aが解答を入力しているオブジェクト642に関する情報と、当該オブジェクト642に入力された解答に関する情報と、生徒AのログインID又は生徒端末220Aの端末IDなど、生徒A又は生徒端末220Aを特定可能な情報とがサーバ装置10に収集される。そして、解答を入力し終えた後、生徒は、自分の記入した解答を共有の場に投稿する。図5では、まず生徒Aが解答の入力を終えて、自分の解答Aを共有の場に投稿し(S55)、その後、生徒Bが解答の入力を終えて、当該解答Bを共有の場に投稿した(S57)という実施例が想定されている。
図7は、生徒が入力した解答を、共有の場に投稿する処理の概略イメージを示した図である。同図に示すとおり、生徒が個人領域64に配置されたオブジェクト642(例えば、図8ではテキストボックス)に対して解答を入力した後、解答入力済みのオブジェクト642をスワイプ等して、生徒端末220の表示画面上で、個人領域64から共有領域65に移動させる(矢印X)。これにより、共有の場への投稿、すなわち、入力済みのオブジェクト642の表示ステータスが、生徒個人だけに表示されるクローズドな状態から、班ないしクラス全体に表示されるオープンな状態へと変更される。
このとき、本実施例では、共有の場に投稿された各生徒の解答は、共有の場という仮想空間内の投稿された任意の位置に配置されるように構成されている。そのため、生徒Aが解答を共有の場へ投稿したとき、解答収集部135は、生徒Aの解答がどの位置に投稿されたかを示す仮想的な座標などの位置情報を生徒端末220Aからリアルタイムで収集する。こうして、生徒Aの解答が共有の場にアップロードされる。
図8は、図5に示した例において、入力済みのオブジェクト642を共有の場に投稿する処理の具体的なイメージの一例を示した図である。同図に示すとおり、生徒は、オブジェクト642(ここでは、テキストボックス)に自分の解答を入力した後、入力済みのオブジェクト642を指やスタイラスなどで個人領域64から共有領域65に表示画面上で移動させることによって、解答を共有の場に投稿する。共有の場に投稿された解答は、例えば、図8に示すように、生徒Aが入力した解答6522に加え、投稿した生徒Aの名前6521「山田太郎」が付加された解答オブジェクト652の形式で表示される。
解答オブジェクト652は、さらに、先生がその解答に対して花丸を付けた回数を示す花丸アイコン6523と、他の生徒がその解答を評価した回数を示す拍手アイコン6524と、その解答に対して送られたメッセージの数を示すメッセージアイコン6525とを含む。先生が生徒Aの解答に花丸を付ける場合、先生端末210の共有領域65に表示された解答オブジェクト652A内の花丸アイコン6523をタップ(タッチすること)すると、生徒Aに花丸が与えられたことになり、生徒Aに与えられた花丸の数が花丸アイコン6523内に表示される。他の生徒が生徒Aの解答を評価する場合、各自の生徒端末220の共有領域65に表示された生徒Aの解答オブジェクト652A内の拍手アイコン6524をタップすると、生徒Aの解答に拍手が与えられたことになり、生徒Aの解答に与えられた拍手の数が拍手アイコン6524内に表示される。また、他の生徒が生徒Aの解答に対してメッセージを送る場合、各自の生徒端末220の共有領域65に表示された生徒Aの解答オブジェクト652A内のメッセージアイコン6525をタップすると、生徒Aの解答に対してメッセージを記入して送るための画面が表示される。メッセージアイコン6525には、他の生徒からの記入されたメッセージの数が表示される。
図5に戻り、生徒Aの解答が共有の場に投稿されると(S55)、その後、サーバ装置100の共有情報配信部136は、共有の場に投稿された生徒Aの解答を、先生端末210と生徒端末220Aに対して配信する(S56)。具体的には、生徒の名前と当該生徒が入力した解答を含む解答オブジェクト652A、及び、解答オブジェクト652Aの共有の場における位置情報などを含む共有の場に関する画面情報が、各端末装置200に配信される。
その後、生徒Bが解答を入力し終えて、解答を共有の場に投稿すると(S57)、生徒Bの解答を受信したサーバ装置100は、生徒Bの解答に基づいて共有の場に関する情報を更新し、更新後の共有の場に関する画面情報を、共有情報配信部136が各端末装置200に送信する(S58)。ここで、解答を共有の場に投稿する処理は、図8に示したものと同様、生徒Bが解答入力後にオブジェクト642を個人領域64から共有領域65にスワイプすることによって、共有の場への投稿、すなわち、共有の場へのアップロードと共有の場に関する画面情報の配信が行われる。
このように、本実施例において、共有情報配信部136は、生徒が共有の場に解答オブジェクト652をアップロードしたことを契機として、当該生徒の生徒端末220に、共有の場に関する情報を配信する。そのため、例えば、生徒Aは、共有の場に解答オブジェクト652Aをアップロードするよりも以前は、共有領域65において共有の場を閲覧することができない。しかし、共有の場に解答オブジェクト652Aをアップロードした時点で、同じ班ないしクラス内の他者が共有の場にそれまでにアップロードした解答オブジェクト652を見ることができるようになる。さらに、解答オブジェクト652Aを共有の場にアップロードした時点以降は、共有の場の更新状況がリアルタイムに共有領域65に反映される。
ところで、共有情報配信部136が共有の場に関する情報を生徒端末220に配信するタイミング、すなわち、解答オブジェクト652の表示・非表示のタイミングの制御は、ワークシートの活用目的に応じて、先生が自由に設定することができる。例えば、常時、共有の場の更新状況がリアルタイムで各端末装置200に反映されるようにしてもよい。また、解答オブジェクト652を共有の場にアップロードしても、同じ班ないしクラス内の他者がアップロードした解答オブジェクト652を見ることはできず、先生が共有の場の表示を認めたときだけ、アップロードされた解答オブジェクト652を見ることができるものとしてもよい。
生徒が解答を共有の場に投稿した後、集計処理部137の制御により、生徒や先生が共有の場に集まった解答を並び替えたり、集計したり、評価したりすることによって、班(グループ)単位の協働学習ないしクラス単位の一斉学習が行われる(S59)。このとき、生徒や先生が共有の場に対して操作した内容を端末装置200から操作受付部1371が受け付ける。そして、受け付けた内容に基づいて、共有の場を更新し、更新された共有の場に関する画面情報を更新情報配信部1372が配信する。
例えば、班ごとに分かれて、同じ班に所属する生徒の解答を所定の順序で並び替えたり、キーワードを用いてグループ分けしたり、複数の解答を個別に比較したり、関連付けたり、1つのグループに統合したりしながら、共有の場を編集し、共有の場に配置された複数の解答を整理することができる。このとき、同じ班に所属する生徒は、各自の端末装置200の共有領域65において、同じ画面情報が共有される。班内の一人が共有の場を編集している間、他の生徒は共有の場を編集することができないように制御されることが好ましい。そして編集した結果は、同じ班のメンバー内で共有される。こうして、みんなの解答を集計しながら、班としての考え等をまとめていく。また、班内での話し合いを踏まえて、解答を見直したり、まとめたり、生徒同士で相互に評価し合うことができる。
図9は、複数の生徒が共有の場に解答を投稿したときに、端末装置200に表示される画面の一例を示す図である。同図に示す例では、個人領域タブ640が画面の右端に移動していて、個人領域64が表示されず、共有領域65が画面のほぼ全体を占めている。そして、共有領域65には、設問の問題文651と、C班に所属する複数の生徒の解答が、複数の解答オブジェクト652A〜Dの形で表示されている。
なお、上述のとおり、共有の場に投稿された解答を、各生徒が閲覧できるタイミングは、種々決定可能である。例えば、図5では、共有の場に解答を投稿した生徒に対して、共有の場に投稿された全ての解答を閲覧できるものとしたが、これに限られず、例えば、解答を共有の場に投稿したか否かに関わらず、先生が許可するまでは、解答を共有しないものとしてもよい。また、所定の班(グループ)のメンバーに対してのみ解答を共有するものとしてもよい。
図10は、共有の場に投稿された解答オブジェクト652の並び替え及び集計の一例を示す図である。図10は、生徒が集計タブ660を画面の左端に位置していた状態から右方向に引き出して、集計パネル66を表示させた状態である。集計パネル66には、生徒の解答を集計する際のキーワード661が登録されている。
図10では、キーワード661として、「うなぎ」661A、「楽しい」661B「病気」661C、「兵十」661Dの4つの言葉が登録されている。これらのキーワード661は、設問や解答入力用のオブジェクトとともに、ワークシートWの設問データに第3の情報として含まれている。すなわち、図12に示すように、ワークシートWに予め登録しておいた集計キーが、キーワード661として集計パネル66に表示される。また、投稿された解答オブジェクト652で頻出するキーワードを自動で判別して、それを利用してもよい。また、先生や生徒がその場で考えたキーワードを利用してもよい。
図10に示す例では、まず、共有領域65に表示されている複数の解答オブジェクト652A〜Hを並び替えて整列させている。生徒が、オブジェクト656から、所望の並び替え条件を選択することによって、共有の場に投稿された解答オブジェクト652の並び替え処理が行われる。すなわち、本実施例における並び替え処理とは、共有の場の任意の位置に投稿された複数の解答652の全部または一部を、所定の順序で並び替えて整列させる処理である。これにより、共有領域65においてばらばらの位置に表示された解答オブジェクト652を自動で並び替えて、整列させることができる。並び替えの条件としては、例えば、出席番号順、フィールドにおいた順番、選択肢順、ラベル順などの条件が考えられる。これらの条件を、例えば、プルダウン形式のオブジェクト656から選択するものとして構成することができる。
このようにして、班ないしクラスの解答オブジェクト652を所定の順序で整列させた上で、解答オブジェクト652を構成するテキストデータの中から各キーワード661に対応する用語を検出し、キーワードごとに色分け等により区別して表示することによって、誰がどのようなキーワードを使って解答しているかを効率的に判別できる。
また、集計パネル66において、各キーワード661A〜Dを含む解答を入力した生徒の氏名662が表示される。したがって、集計パネル66を参照することによって、C班に所属する生徒のうち、「山田太郎」「鈴木花子」ら6名が、「うなぎ」661Aというキーワードを解答に含んでいることが分かる。
集計パネル66はさらに、事前に用意しておいたキーワード661以外の言葉をキーワードとして、共有領域65中の解答オブジェクト652を検索して集計するためのキーワード入力ボックス66を含む。
先生または生徒は、集計パネル66を利用して共有の場を編集し、授業を進めていく。する。すなわち、共有領域65に表示されている複数(班ないしクラス全員)の解答オブジェクト652を、いくつかの班に分けた後、各班に分かれて、班ごとのディスカッション等を行う。このとき、グループを作るボタン664を押すと、集計処理部137によるグルーピング処理が実施され、集計キーワード661による整理、集計結果などを利用して、自動的に所定数の班に分けられるように構成されている。
本実施例において、グルーピング処理とは、複数の解答をグループ分けする処理を含む。例えば、図10に示す例において、グループを作るボタン664を押したとき、集計キーワード661を軸に自動的にグルーピングが行われ、例えば、「うなぎ」という集計キーワードを含む6つの解答と、それ以外の解答という、2つのグループに分けられる。また、先生や生徒が、例えば、「うなぎ」と「兵十」という2つの集計キーワードを選択した上でグループを作るボタン664を押すと、これら2つの集計キーワードを含む解答(山田太郎の解答652Aと田中健一の解答652E)を、1つのグループにまとめて共有の場に表示させる。
このようにして、共有の場に投稿された複数の解答を並び替えたり、集計したり、グルーピングしたり、関連付けたりしながら、協働学習や一斉学習を進めていく。例えば、クラス全体の解答が共有の場に投稿された後、先生や生徒が集計パネル66を利用して共有の場に投稿されたクラス全員の解答を整理、集計し、いくつかの班にまとめる。その後、班毎に話し合いをして、各班の意見をまとめる。このとき、各グループ単位で共有の場を編集しながら話し合いをすることができる。班単位での協働学習において、共有の場には、同じ班のメンバーの解答のみが含まれるようにしてもよいし、クラス全員の解答が含まれるようにしてもよい。こうして、各班で話し合い、まとめた結果を、最後にクラス全員で共有することも可能である。
図11は、まとめオブジェクト658及び評価パネル67の一例を示す図である。
C班で話し合った結果は、まとめオブジェクト658として、共有の場に投稿される。まとめオブジェクト658は、同じ班に所属する生徒のうちの一人が、個人領域64でまとめても良いし、共有領域65で共有の場に直接まとめオブジェクト658を張り付けてもよい。先生や生徒は、まとめオブジェクト658に対して、花丸、拍手及びメッセージを送ることができる。
また、先生ないし生徒は、評価パネル67を用いて、他の生徒やグループの解答を評価する。評価パネル67に入力された情報に基づいて、評価処理部138が具体的な処理を行う。評価パネル67には、自分に対するコメントの情報が含まれている。評価パネル67には、解答オブジェクト671、自分に対して何人が拍手をしたかを表示する領域672、コメントのやり取りの履歴673、及び、コメントを入力するための入力欄674を含む。
次に、本実施形態において用いられる解答入力用のオブジェクトについて説明する。上述の実施形態では、解答入力用のオブジェクトとして、テキストボックスを用いる場合について説明したが、本発明は、テキストボックスに限定されるものではなく、種々のオブジェクトを用いることができる。例えば、以下に説明するとおり、解答入力用のオブジェクトとして、ラベル付きテキストボックス、付箋、選択肢、マーキング、画像などを採用できる。
図13は、ラベル付きテキストボックスオブジェクトの一例を示す図である。ラベル付きテキストボックスは、通常のテキストボックスに、集計や並び替えの際のキーワードとして利用可能なラベルを付加したオブジェクトである。同図には、「良かった点」というラベルが付いたオブジェクト642Aと、「悪かった点」というラベルが付いたオブジェクト642Bの2つのオブジェクトが個人領域64に表示されている。生徒は、2つのオブジェクト642A,642Bにそれぞれ解答を記入し、共有の場にそれぞれ投稿する。つまり、生徒がオブジェクト642Aに良かった点を記入した後、記入済みのオブジェクト642Aを共有領域65に移動させると、「良かった点」というラベルの付いた解答オブジェクトが共有の場に投稿される。また、生徒がオブジェクト642Bに悪かった点を記入した後、記入済みのオブジェクト642Bを共有領域65に移動させると、「悪かった点」というラベルの付いた解答オブジェクトが共有の場に投稿される。
共有の場に投稿されたラベル付きの解答オブジェクトは、ラベルの名称をキーワードとして、集計や並び替えをすることができる。ラベル付きテキストボックスをオブジェクトとして使用する場合、集計処理部137は、オブジェクトのラベル名を自動的に集計用のキーワード661に追加するように処理することができる。この場合には、ワークシートに含まれる集計キーに関する第3の情報の事前登録を省略してもよい。
図14は、付箋オブジェクトの一例を示す図である。付箋オブジェクトは、ユーザの指示に応じて付箋の数を増やすことができることが好ましい。この場合、ユーザは複数の付箋を共有の場に投稿できる。付箋は横書きの付箋642C,642D、縦書きの付箋642Eのほか、付箋紙の色、形状及びサイズを自由に変更できるようにしてもよい。このとき、共有の場に投稿された付箋は、個人領域64で記入したものと見た目(横書き・縦書き、付箋紙の色、形状、サイズ、文字のフォント等)が同じものであることが好ましい。
図15は、選択肢オブジェクトの一例を示す図である。選択肢オブジェクト642P1は、ユーザが選択肢を選んだ後、オブジェクトを共有の場に投稿すると、共有の場に、ユーザが選択した選択肢の内容が表示される。選択肢オブジェクトも、共有の場に投稿されると、選択肢をキーワードとして集計や並び替えをすることができる。すなわち、選択肢を集計キーとする場合には、ワークシートに含まれる第3の情報を省略してもよい。
また、同図は、複数のオブジェクトを組み合わせたプレートの一例を示す図でもある。本実施形態において、プレートとは、複数のオブジェクトを統合し、1つのオブジェクトとして扱うことができるようにしたものである。図15においては、6つの選択肢を含む選択肢オブジェクト642P1と、解答の理由を記入するためのテキストボックスオブジェクト642P2とが統合されて、1つのプレート642Pが構成されている。
同図に示す例では、生徒が、6つの選択肢の中から1つの選択肢642P3を選択し、さらに、当該選択肢を選んだ理由をテキストボックスに記入する。その後、生徒は、プレート642Pを個人領域64から共有領域65にスワイプで移動させることによって、共有の場への投稿を行う。共有の場へ投稿されたプレートは1つのオブジェクトとして扱われ、プレート単位で集計や並び替えが行われる。例えば、生徒が選択した選択肢642P3とテキストボックス642P2に記入した情報とが、まとめて扱われる。
例えば、図15のように、選択肢オブジェクトとテキストボックスオブジェクトを含んで構成されるプレートを集計する場合、選択肢をキーとしてプレート単位で集計や並び替えを行うことができる。そのため、例えば、同じ選択肢を選んだ生徒のプレートを並べて表示させて、当該選択肢を選んだ理由を比較するといったことが容易にできるようになる。また、キーワードに基づいてプレートを集計する場合には、テキストボックスに記入された文の中に当該キーワードを含む生徒のプレートを一覧表示させることができる。
図16は、テキストマーカーオブジェクトの一例を示す図である。テキストマーカーオブジェクトは、予め用意された文章等に対して、マーキングした箇所に関する情報が、共有の場に投稿される。
また、同図は、本実施形態におけるプレートの他の一例を示す図でもある。同図においては、テキストマーカーオブジェクト642Q1と、解答の理由を記入するためのテキストボックスオブジェクト642Q2とが統合されて、1つのプレート642Qが構成されている。
同図に示す例では、生徒が、予め用意されたテキストデータの所定箇所642Q3にマーカーで線を引いて、マーキングした理由をテキストボックスに入力する。その後、プレート642Qを共有の場へ投稿すると、共有領域65に、テキストデータの所定箇所642Q3にマーカーが引かれたものと、その理由を記入したテキストデータとが、一つのオブジェクトとしてまとめられて、解答した生徒の名前とともに表示される。このとき、テキストマーカーに対しては、マーキングした箇所に基づいて集計や並べ替えを行うことができる。
図17は、座標スタンプオブジェクトの一例を示す図である。座標スタンプオブジェクトは、予め用意された画像等に対して、ピンやスタンプを押すと、その座標の位置に関する情報が、共有の場に投稿される。
また、同図は、本実施形態におけるプレートの他の一例を示す図でもある。同図においては、座標スタンプオブジェクト642R1と、解答の理由を記入するためのテキストボックスオブジェクト642R2とが統合されて、1つのプレート642Rが構成されている。
同図に示す例では、生徒がスタンプパネル645の中からピンないしスタンプを選んだ後に、写真等の画像642R1上の所定の位置をタップすることによって、タップした位置に、選んだピンないしスタンプ642R3が付加される。生徒がプレート642Rを共有の場に投稿すると、ピンないしスタンプ642R3の位置の座標に加え、テキストボックスに入力したテキストデータが、まとめて共有の場にアップロードされ、これらが1つのオブジェクトとして扱われる。このとき、ピンないしスタンプ642R3の位置の座標に基づいて、プレートの集計、並び替えをすることができる。
図18は、他のアプリケーションの出力を解答の一部とする一例を示す図である。また、同図は、本実施形態におけるプレートの他の一例を示す図でもある。同図においては、個人領域64に、デジタル教材を起動するアイコン642S1が用意されている。このアイコン642S1からデジタル教材646を起動させ、生徒がデジタル教材646を利用して解答を導き出し、デジタル教材から出力された画像642S3を、個人領域64や共有領域65に配置することができる。このとき、共有領域65では、テキストボックスに記入されたテキストデータと、デジタル教材から出力された画像642S3とが統合されて、1つのプレート642Sが構成される。
図19は、画像オブジェクトの一例を示す図である。画像オブジェクト642Tは、ユーザが描いた図形、撮影ないし選択した写真、動画などの情報が、共有の場に投稿される。
以上説明したとおり、本実施形態においては、ワークシートを用いて協働学習・一斉学習を行うことで、話し合い活動等を通して、生徒同士が主体的に気づき合い、考えあい、高め合う本質的な協働学習を実現する。また、生徒の思考過程を瞬時に集計し、可視化することで、先生の授業づくりの効率化を図ることができる。
ここで、ワークシートは、設問に関する情報と、設問に対する解答をユーザが入力するためのオブジェクトに関する情報と、複数のユーザから収集した解答を集計するためのキーに関する情報とを関連付けたデータである。すなわち、設問の情報と、解答入力用のオブジェクトの情報と、解答集計用の切り口情報と、を関連付けるテンプレートに沿ったワークシートを利用することで、より効果的な協働学習・一斉学習を実現する。
タブレット端末などの端末装置200にワークシートが読み込まれると、ワークシートに含まれる設問に関する情報に基づいて、個人領域64ないし共有領域65に設問の問題文が表示される。また、ワークシートに含まれる解答入力用のオブジェクトの情報に基づいて、個人領域64に解答を入力するためのオブジェクトが表示される。当該オブジェクトにユーザが解答を入力したのち、共有の場に投稿すると、オブジェクトが入力した解答の内容とともに、グループないしクラス内の他の生徒や先生が使用する端末装置200の共有領域65に表示される。さらに、ワークシートに含まれる解答集計用の切り口情報に基づいて、キーワード等が集計パネル66に表示される。先生や生徒は、集計パネル66を利用することによって、効果的に協調学習・一斉学習を行うことが可能となる。
ワークシートは、学習支援システムの運営者等が提供するのみならず、先生が自らワークシートを作成したり、改変したりすることが可能である。また、学校内や地域内等で、学習効果の高いワークシートを共有することも可能である。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の実施の形態、及び、既に述べた変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変形が可能である。すなわち、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。また、上述の各処理フローは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。