以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、屋外に設置される1台の室外機に、建物の各部屋に設置される3台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、屋外に設置される1台の室外機2と、建物の各部屋に設置され、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された3台の室内機5a〜5cとを備えている。詳細には、液管8は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が分岐して室内機5a〜5cの各液管接続部53a〜53cに、それぞれ接続されている。また、ガス管9は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が分岐して室内機5a〜5cの各ガス管接続部54a〜54cに、それぞれ接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路100が構成されている。
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、流路切替手段である四方弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、液管8の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管9の一端が接続された閉鎖弁26と、冷媒貯留器であるアキュムレータ28と、第1室外ファン27aおよび第2室外ファン27bの2台のファンからなる室外ファン27を備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaに吐出管41で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ28の冷媒流出側に吸入管42で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、前述したように圧縮機21の冷媒吐出側に吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ28の冷媒流入側と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン27の回転により室外機2内部に取り込まれた外気とを熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、前述したように四方弁22のポートbに冷媒配管43で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管44で閉鎖弁25に接続されている。
室外膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外膨張弁24は電子膨張弁であり、その開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量を調整する。室外膨張弁24の開度は、空気調和装置1が冷房運転を行っている場合は全開とされる。また、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、後述する吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じてその開度を制御することで、吐出温度が性能上限値を超えないようにしている。
室外ファン27は、前述したように第1室外ファン27aと第2室外ファン27bからなる。第1室外ファン27aと第2室外ファン27bは各々樹脂材で同一形状に形成されており、室外熱交換器23の近傍に上下方向に並べて配置されかつ第1室外ファン27aが下側に配置されている。第1室外ファン27aと第2室外ファン27bは、各々が図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。尚、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bは、別々に回転/停止させることが可能とされており、また、各々の回転数を異ならせることもできる。
アキュムレータ28は、前述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管42で接続されている。アキュムレータ28は、冷媒配管46からアキュムレータ28内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34が設けられている。
室外機液管44における室外熱交換器23と室外膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度あるいは室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が設けられている。
また、室外機2には、室外機制御手段200が設けられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240を備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27の制御状態等を記憶している。通信部230は、室内機5a〜5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果をセンサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機5a〜5cから送信される制御信号を通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り換え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室外膨張弁24の開度調整を行う。
次に、3台の室内機5a〜5cについて説明する。3台の室内機5a〜5cは、室内熱交換器51a〜51cと、室内膨張弁52a〜52cと、分岐した液管8の他端が接続された液管接続部53a〜53cと、分岐したガス管9の他端が接続されたガス管接続部54a〜54cと、室内ファン55a〜55cとを備えている。そして、室内ファン55a〜55cを除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室内機冷媒回路50a〜50cを構成している。
尚、室内機5a〜5cの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機5aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機5b、5cについては説明を省略する。また、図1では、室内機5aの構成装置に付与した番号の末尾をaからbあるいはcに変更したものが、室内機5aの構成装置と対応する室内機5b、5cの構成装置となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と後述する室内ファン55aの回転により図示しない吸込口から室内機5a内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部53aに室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部54aに室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53aやガス管接続部54aには、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは電子膨張弁であり、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合、その開度は、室内熱交換器51aの一方の冷媒出口(ガス管接続部54a側)における冷媒過熱度が目標過熱度となるように調整される。また、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合、その開度は、室内熱交換器51aの他方の冷媒出口(液管接続部53a側)における冷媒過冷却度が目標過冷却度となるように調整される。ここで、目標過熱度および目標過冷却度は、室内機5aで十分な暖房能力あるいは冷房能力が発揮されるための冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
室内ファン55aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機5aには各種のセンサが設けられている。室内機液管71aにおける室内熱交換器51aと室内膨張弁52aとの間には、室内熱交換器51aに流入あるいは室内熱交換器51aから流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ61aが設けられている。室内機ガス管72aには、室内熱交換器51aから流出あるいは室内熱交換器51aに流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62aが設けられている。そして、室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5a内に流入する室内空気の温度、すなわち吸込温度を検出する吸込温度センサ63aが設けられている。
次に、本実施形態の空気調和装置1が空調運転を行うときの、冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について図1(A)を用いて説明する。以下の説明では、まず、室内機5a〜5cが暖房運転を行う場合について説明し、次に、冷房運転を行う場合について説明する。最後に、室外熱交換器23や室外ファン27の除霜を行うための除霜運転について、室外機制御部200で行う処理も含めて説明する。
<暖房運転>
図1(A)に示すように、室内機5a〜5cが暖房運転を行う場合、室外機制御手段200のCPU210は、四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するよう、切り換える。これにより、冷媒回路100を冷媒が実線矢印で示す方向に循環するようになり、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能する。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管45、閉鎖弁26、ガス管9の順に流れて、ガス管接続部54a〜54cを介して室内機5a〜5cに流入する。室内機5a〜5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72a〜72cを流れて室内熱交換器51a〜51cに流入し、室内ファン55a〜55cの回転により室内機5a〜5c内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能し、室内熱交換器51a〜51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a〜5cが設置された室内の暖房が行われる。
室内熱交換器51a〜51cから流出した冷媒は室内機液管71a〜71cを流れ、室内膨張弁52a〜52cを通過して減圧される。減圧された冷媒は、室内機液管71a〜71cを流れ液管接続部53a〜53cを介して液管8に流出する。
液管8を流れる冷媒は、閉鎖弁25を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機液管44を流れ、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じた開度とされた室外膨張弁24を通過するときにさらに減圧される。室外機液管44から室外熱交換器23に流入した冷媒は、第1室外ファン27aおよび/または第2室外ファン27bの回転により室外機2内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から流出した冷媒は、冷媒配管43、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<冷房運転>
図1(A)に示すように、室内機5a〜5cが冷房/除霜運転を行う場合、室外機制御手段200は、四方弁22を破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう、切り換える。これにより、冷媒回路100を冷媒が破線矢印で示す方向に循環するようになり、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに室内熱交換器51a〜51cが蒸発器として機能する。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、第1室外ファン27aおよび/または第2室外ファン27bの回転により室外機2内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から流出した冷媒は室外機液管44を流れ、全開とされている室外膨張弁24および閉鎖弁25を介して液管8に流出する。
液管8を流れ液管接続部53a〜53cを介して各室内機5a〜5cに流入した冷媒は、室内機液管71a〜71cを流れ、室内膨張弁52a〜52cを通過するときに減圧されて低圧の冷媒となる。室内機液管71a〜71cから室内熱交換器51a〜51cに流入した冷媒は、室内ファン55a〜55cの回転により室内機5a〜5c内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、室内熱交換器51a〜51cが蒸発器として機能し、室内熱交換器51a〜51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a〜5cが設置された室内の冷房が行われる。
室内熱交換器51a〜51cから流出した冷媒は室内機ガス管72a〜72cを流れガス管接続部54a〜54cを介してガス管9に流出する。ガス管9を流れ閉鎖弁26を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、吸入管42を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<除霜運転>
除霜運転は、背景技術で説明した逆サイクル除霜運転に相当し室外熱交換器23に発生した霜を融かす室外熱交除霜運転と、室外熱交除霜運転に引き続いて実行され、第1室外ファン27aや第2室外ファン27bおよびこれらに対応して設けられる図示しないベルマウスなどに発生した霜を融かすファン除霜運転で構成されている。
以下、図2に示すフローチャートを用いて、上述した室外熱交除霜運転およびファン除霜運転を行う際に室外機制御部200のCPU210が実行する処理について説明する。尚、室外熱交除霜運転およびファン除霜運転を行う際の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作については、室外ファン27の動作を除いて冷房運転時と同じであるため、詳細な説明を省略する。
図2に示すフローチャートは、CPU210が室外熱交除霜運転やファン除霜運転を行う際の処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く番号はステップ番号を表している。尚、図2では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路100の制御といった、空気調和装置1に関わる一般的な処理については説明を省略している。
CPU210は、暖房運転を行っているときに、除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する(ST1)。ここで、除霜運転開始条件とは、予め試験等を行って定められたものであり、室外熱交換器23での着霜量が暖房能力に支障をきたすレベルであることを示すものである。除霜運転開始条件の具体的な例としては、暖房運転時間(空気調和装置1を暖房運転で起動した時点、あるいは、除霜運転から暖房運転に復帰した時点から暖房運転を継続している時間)が30分経過したのち、熱交温度センサ35で検出した冷媒温度が外気温度センサ36で検出した外気温度よりも5℃以上低い状態が、10分以上継続した場合や、前回の除霜運転が終了してから所定時間(例:180分)が経過した場合、等である。
除霜運転開始条件が成立していない場合は(ST1−No)、CPU210は、現在行っている暖房運転を継続し(ST16)、ST1に処理を戻す。除霜運転開始条件が成立した場合は(ST1−Yes)、CPU210は、除霜運転準備処理を実行する(ST2)。ここで、除霜運転準備処理とは、室外ファン27を停止するとともに、冷媒回路100を暖房運転時の状態から冷房運転時の状態に切り替える処理を指す。具体的には、CPU210は、圧縮機21および室外ファン27を停止し、四方弁22を切り替えて、冷媒回路100を冷房運転時の状態とする。
次に、CPU210は、圧縮機21を所定回転数で起動して(ST3)室外熱交換器23を除霜する室外熱交除霜運転を開始する。室外熱交除霜運転を行っているときは、CPU210は室外ファン27を停止したままとしている。これにより、圧縮機21から吐出されて室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外熱交換器23で発生した霜を融かす。尚、室外熱交除霜運転を行うときの圧縮機21の所定回転数は、できる限り高い回転数(例えば、90rps)であることが望ましい。
次に、CPU210は、除霜運転終了条件が成立したか否かを判断する(ST4)。ここで、除霜運転終了条件とは、予め試験等を行って定められたものであり、室外熱交換器23で発生した霜が融解したと考えられる条件である。除霜運転終了条件の具体的な例としては、熱交温度センサ35で検出した室外熱交換器23から流出する冷媒温度が10℃以上となったか否か、や、室外熱交除霜運転を開始してから所定時間(例:10分)が経過したか否か、等である
除霜運転終了条件が成立していなければ(ST4−No)、CPU210は、ST3に処理を戻し圧縮機21を所定回転数で継続駆動して室外熱交除霜運転を継続する。除霜運転終了条件が成立していれば(ST4−Yes)、CPU210は、ファン除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する(ST5)。ここで、ファン除霜運転開始条件とは、予め試験等を行って定められたものであり、室外ファン27や図示しないベルマウスなどに霜が発生していると考えられる条件である。ファン除霜運転開始条件の具体的な例としては、室外熱交除霜運転を開始する直前に外気温度センサ36で検出した外気温度が所定温度範囲内の温度、例えば−10℃以上5℃以下である場合、である。
ファン除霜運転開始条件が成立していなければ(ST5−No)、CPU210は、ST14に処理を進める。ファン除霜運転開始条件が成立していれば(ST5−Yes)、CPU210は、自己が有するタイマーにてタイマー計測を開始し(ST6)、第1室外ファン27aのみを第1所定回転数で起動して(ST7)、第1室外ファン27aのファン除霜運転を開始する。尚、第1室外ファン27aのファン除霜運転を行うときの第1所定回転数は、例えば最小回転数(例えば、290rpm)であり、第1室外ファン27aを駆動させることによって、室外熱交換器23で加熱された温かい空気を第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに当てて、第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かす。
次に、CPU210は、ST6でタイマー計測を開始してから、つまり、第1室外ファン27aを起動させてから第1所定時間が経過したか否かを判断する(ST8)。ここで、第1所定時間は予め試験等を行って定められたものであり、第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かすのに必要な時間(例えば、45秒)である。
第1所定時間が経過していなければ(ST8−No)、CPU210は、ST7に処理を戻し第1室外ファン27aを第1所定回転数で継続駆動して第1室外ファン27aの除霜運転を継続する。第1所定時間が経過していれば(ST8−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットするとともに第1室外ファン27aを停止し(ST9)、再びタイマー計測を開始して(ST10)、第2室外ファン27bのみを第2所定回転数で起動して(ST11)、第2室外ファン27bの除霜運転を開始する。尚、第2室外ファン27bのファン除霜運転を行うときの第2所定回転数は、例えば第1所定回転数と同じく最小回転数(例えば、290rpm)であり、第2室外ファン27bを駆動させることによって、室外熱交換器23で加熱された温かい空気を第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに当てて、第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かす。
次に、CPU210は、ST10でタイマー計測を開始してから、つまり、第2室外ファン27bを起動させてから所定時間が経過したか否かを判断する(ST12)。ここで、所定時間は予め試験等を行って定められたものであり、第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かすのに必要な時間(例えば、45秒)である。
所定時間が経過していなければ(ST12−No)、CPU210は、ST11に処理を戻し第2室外ファン27bを所定回転数で継続駆動して第2室外ファン27bの除霜運転を継続する。所定時間が経過していれば(ST12−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットするとともに第2室外ファン27bを停止する(ST13)。
ここで、ファン除霜運転を行うときに、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bを同時に駆動して除霜を行わない理由と、第1室外ファン27a→第2室外ファン27bの順で駆動してファン除霜運転を行う理由について説明する。
まず、ファン除霜運転を行うときに、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bを同時に駆動して除霜を行わない理由について説明する。本発明のファン除霜運転は、前述したように、室外熱交除霜運転を完了させた後これに引き続いて実行される。具体的には、冷媒回路100を冷房運転時の状態として室外熱交換器23に高温高圧の冷媒を流入させて室外熱交換器23に発生した霜を融かし、この状態のまま(室外熱交換器23に高温高圧の冷媒が流入する状態のまま)で室外ファン27を起動する。
このとき、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bの両方を、例えば同じ最小回転数で起動すると、いずれか1台の室外ファンを起動する場合と比べて、室外熱交換器23に流入する外気量が多くなる。室外熱交換器23に流入する外気量が多くなれば、凝縮圧力ひいては凝縮温度が大きく低下するため、第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに当てる空気の温度が低くなる。この結果、ファン除霜運転を行っても第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに霜の溶け残りが生じる恐れがある。
これに対し、本発明のように、まずは第1室外ファン27aのみを第1所定回転数で起動して第1室外ファン27aとこれに対応するベルマウスなどを除霜し、次いで第2室外ファン27bのみを第2所定回転数で起動して第2室外ファン27bとこれに対応するベルマウスなどを除霜するようにすれば、一度に駆動している室外ファン27は1台となるので、室外熱交換器23に流入する外気量が第1室外ファン27aと第2室外ファン27bの両方とも駆動する場合と比べて少なくなる。これにより、凝縮圧力ひいては凝縮温度は室外ファン27を2台とも駆動する場合と比べて高くなるので、第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに当てる空気の温度が高くなり、第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに霜の溶け残りが生じることを防止できる。
次に、第1室外ファン27a→第2室外ファン27bの順で駆動してファン除霜運転を行う理由について説明する。前述したように、ファン除霜運転は、室外熱交換器23で暖められた外気を、室外ファン27を駆動することによって室外ファン27aやベルマウスなどに当てることでなされる。暖められた空気は自然に上昇するため、先に第1室外ファン27aを起動して第1室外ファン27aとこれに対応するベルマウスなどを除霜しているときにこれらに当てられる暖かい空気の一部は、第1室外ファン27aの上方に配置されている第2室外ファン27bに向かって上昇する。
第1室外ファン27aから第2室外ファン27bに向かって上昇した暖かい空気によって、第2室外ファン27bとこれに対応するベルマウスなどに発生している霜が融かされる。従って、第1室外ファン27aを停止して第2室外ファン27bを起動して第2室外ファン27bとこれに対応するベルマウスなどの除霜運転を行うときにはこれらの着霜量が減少しているため、第2室外ファン27bとこれに対応するベルマウスなどの除霜がより確実に行える。尚、第1室外ファン27a→第2室外ファン27bの順で駆動してファン除霜運転を行う場合は、上述した効果が見込めることから、第1室外ファン27aを駆動して行うファン除霜運転の時間と比べて、第2室外ファン27bを駆動して行うファン除霜運転の時間を短く、例えば、30秒としてもよい。
ST5の処理においてファン除霜運転開始条件が成立していないと判断した場合、あるいは、ST13の処理を終えたCPU210は、暖房運転の再開処理を実行する(ST14)。ここで、運転再開処理とは、冷媒回路100を冷房(除霜)運転時の状態から暖房運転時の状態に切り替える処理を指す。具体的には、CPU210は、圧縮機21および室外ファン27(第2室外ファン27b)を停止し、四方弁22を切り替えて、冷媒回路100を暖房運転時の状態とする。そして、CPU210は、暖房運転を再開し(ST15)、ST1に処理を戻す。
以上説明したように、室外熱交除霜運転に引き続いて行うファン除霜運転において、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bの両方を同時に駆動させるのではなく、まず第1室外ファン27aのみ駆動しその後第2室外ファン27bを駆動させるので、凝縮温度が急激に低下せず第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに霜の溶け残りが生じることを防止できる。
次に、本発明の空気調和機の第2の実施形態について、図1および図3を用いて説明する。本実施形態における空気調和装置の構成や動作は、先に図1を用いて説明した第1の実施形態における空気調和装置1と同じであるため、詳細な説明を省略する。第1の実施形態と異なるのは、室外熱交除霜運転に引き続いて行うファン除霜運転において、第1室外ファン27aあるいは第2室外ファン27bのうちいずれか一方のみを所定時間駆動した後ファン除霜運転を終了し、次に室外熱交除霜運転を行ったときに引き続き行うファン除霜運転において、先のファン除霜運転で駆動した方とは異なる室外ファンのみを所定時間駆動させてファン除霜運転を終了する点である。
以下、主に図3を用いて、上述した第1の実施形態との相違点であるファン除霜運転に関わる処理について説明する。図3に示すフローチャートは、CPU210が室外熱交除霜運転やファン除霜運転を行う際の処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く番号はステップ番号を表している。尚、図3においても図2と同様に本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路100の制御といった、空気調和装置1に関わる一般的な処理については説明を省略している。
また、図3におけるST21〜ST24、および、ST21−Noの場合のST39の各処理は、図2におけるST1〜ST4、および、ST16と同じ処理である。また、ST37およびST38の各処理は図2におけるST14およびST15と同じ処理である。これらの処理については詳細な説明は省略し、以下の説明では、ST25〜ST36の処理について主に説明する。
ST24において除霜運転終了条件が成立している場合は(ST24−Yes)、CPU210は現在のフラグFが0であるか否かを判断する(ST25)。ここで、フラグFとは、これから行うファン除霜運転において第1室外ファン27aあるいは第2室外ファン27bのうちどちらの室外ファンを駆動するかを示すものである。フラグF=0であれば、暖房運転開始後初めてファン除霜運転を行うあるいは前回のファン除霜運転において第2室外ファン27bを駆動したことを示す、つまり、今回のファン除霜運転で駆動するのは第1室外ファン27aであることを示す。また、フラグF=1であれば、前回のファン除霜運転において第1室外ファン27aを駆動したことを示す、つまり、今回のファン除霜運転で駆動するのは第2室外ファン27bであることを示す。
本実施形態では、上述したように、暖房運転開始後初めてファン除霜運転を行うときに、第1室外ファン27aから駆動する場合を説明するが、先に第2室外ファン27bから駆動するようにしてもよい。尚、フラグFは、暖房運転終了時に0にリセットすることによって、暖房運転開始時は常に0となるようにされている。
ST25において、フラグF=0であれば(ST25−Yes)、CPU210は、ファン除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する(ST26)。ファン除霜運転開始条件が成立していなければ(ST26−No)、CPU210は、ST37に処理を進める。ファン除霜運転開始条件が成立していれば(ST26−Yes)、CPU210は、自己が有するタイマーにてタイマー計測を開始し(ST27)、第1室外ファン27aのみを第1所定回転数で起動して(ST28)、第1室外ファン27aの除霜運転を開始する。尚、第1室外ファン27aのファン除霜運転を行うときの第1所定回転数は、例えば最小回転数(例えば、290rpm)であり、第1室外ファン27aを駆動させることによって、室外熱交換器23で加熱された温かい空気を第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに当てて、第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かす。
次に、CPU210は、ST27でタイマー計測を開始してから、つまり、第1室外ファン27aを起動させてから第1所定時間が経過したか否かを判断する(ST29)。ここで、第1所定時間は予め試験等を行って定められたものであり、第1室外ファン27aや第1室外ファン27aに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かすのに必要な時間(例えば、90秒)である。
第1所定時間が経過していなければ(ST29−No)、CPU210は、ST28に処理を戻し第1室外ファン27aを第1所定回転数で継続駆動して第1室外ファン27aの除霜運転を継続する。第1所定時間が経過していれば(ST29−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットするとともに第1室外ファン27aを停止し(ST30)、フラグF=1として(ST31)ST37に処理を進める。
一方、ST25においてフラグF=0でない場合(ST25−No)、つまり、フラグF=1である場合は、CPU210は、タイマー計測を開始し(ST32)、第2室外ファン27bのみを第2所定回転数で起動して(ST33)、第2室外ファン27bの除霜運転を開始する。尚、第2室外ファン27bのファン除霜運転を行うときの第2所定回転数は、例えば第1所定回転数と同じく最小回転数(例えば、290rpm)であり、第2室外ファン27bを駆動させることによって、室外熱交換器23で加熱された温かい空気を第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに当てて、第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かす。
次に、CPU210は、ST32でタイマー計測を開始してから、つまり、第2室外ファン27bを起動させてから第2所定時間が経過したか否かを判断する(ST34)。ここで、第2所定時間は予め試験等を行って定められたものであり、第2室外ファン27bや第2室外ファン27bに対応するベルマウスなどに発生した霜を融かすのに必要な時間(例えば、90秒)である。
第2所定時間が経過していなければ(ST34−No)、CPU210は、ST33に処理を戻し第2室外ファン27bを第2所定回転数で継続駆動して第2室外ファン27bの除霜運転を継続する。第2所定時間が経過していれば(ST34−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットするとともに第2室外ファン27bを停止し(ST35)、フラグF=0として(ST36)ST37に処理を進める。
ここで、以上に説明したST25〜ST36の処理において、フラグFの値の判断を先に行い、フラグF=0である場合にファン除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する理由について説明する。前述したように、暖房運転開始時はフラグF=0となるようにし、暖房運転開始後に初めてファン除霜運転を行う場合はまず第1室外ファン27aのみを駆動している。従って、第1室外ファン27aを駆動する処理の前にファン除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する必要がある。
一方、ファン除霜運転開始条件が成立し、第1室外ファン27aのみを駆動して第1室外ファン27aおよびこれに対応するベルマウスなどの除霜を行うときは、第2室外ファン27bおよびこれに対応するベルマウスなどにも霜が発生していると考えられる。そこで、ST25においてフラグF=1であるときは、先にファン除霜運転開始条件が成立して第1室外ファン27aを駆動したということを示しているので、ファン除霜運転開始条件の成立を判断せずに第2室外ファン27bを駆動するようにしている。
以上説明したように、本実施形態では、室外熱交除霜運転に引き続いて行うファン除霜運転において、第1室外ファン27aと第2室外ファン27bの両方を同時に駆動させるのではなく、まず第1室外ファン27aのみ駆動してファン除霜運転を終了し、次にファン除霜運転を行うときに第2室外ファン27bのみ駆動する。これにより、1回のファン除霜運転において駆動する室外ファンが1台となるため、室外熱交換器23での通風量増加に起因する凝縮温度の大きな低下が起こらないので、第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに当てる空気の温度が、室外ファン27を2台とも駆動する場合と比べて高くなるので、霜の溶け残りが生じることを防止できる。
また、第1の実施形態では、1回のファン除霜運転でまず第1室外ファン27aのみ所定時間(45秒)駆動しこれに引き続いて第2室外ファン27bのみ所定時間(45秒)しているのに対し、本実施形態では、1回のファン除霜運転で第1室外ファン27aあるいは第2室外ファン27bのうちいずれか一方のみを所定時間(90秒)駆動している。これにより、ファン除霜運転時における1台の室外ファンの駆動時間を第1の実施形態の倍としても、これにかかる時間が、室外熱交除霜運転に引き続き第1室外ファン27aと第2室外ファン27bを順に駆動してファン除霜運転を行う場合に比べて長くなることはなく、より確実に第1室外ファン27aと第2室外ファン27b、および、これらに対応するベルマウスなどに霜の溶け残りが生じることを防止できる。