以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に3台の室内機が冷媒配管で並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、3個の液側閉鎖弁27a~27cと3個のガス側閉鎖弁28a~28cを有する1台の室外機2と、3台の室内機5a~5cの室内機を有する。
液管8aの一端は室内機5aの液管接続部52aに接続され、液管8aの他端は室外機2の液側閉鎖弁27aに接続されている。また、液管8bの一端は室内機5bの液管接続部52bに接続され、液管8bの他端は室外機2の液側閉鎖弁27bに接続されている。そして、液管8cの一端は室内機5cの液管接続部52cに接続され、液管8cの他端は室外機2の液側閉鎖弁27cに接続されている。
ガス管9aの一端は室内機5aのガス管接続部53aに接続され、ガス管9aの他端は室外機2のガス側閉鎖弁28aに接続されている。また、ガス管9bの一端は室内機5bのガス管接続部53bに接続され、ガス管9bの他端は室外機2のガス側閉鎖弁28bに接続されている。そして、ガス管9cの一端は室内機5cのガス管接続部53cに接続され、ガス管9cの他端は室外機2のガス側閉鎖弁28cに接続されている。
以上のように、室外機2に室内機5a~5cが液管8a~8cおよびガス管9a~9cでそれぞれ接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。
<室外機2の構成>
室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、3個の膨張弁24a~24cと、アキュムレータ25と、室外ファン26と、上述した3個の液側閉鎖弁27a~27cおよび3個のガス側閉鎖弁28a~28cと、室外機制御手段200を備えている。そして、室外ファン26および室外機制御手段200を除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出口と四方弁22のポートaが吐出管41で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側とアキュムレータ25の冷媒流出側が吸入管42で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。上述したように、ポートaと圧縮機21の冷媒吐出口が吐出管41で接続されている。ポートbと室外熱交換器23の一方の冷媒出入口が冷媒配管43で接続されている。ポートcとアキュムレータ25の冷媒流入側が冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdには室外機ガス管45の一端が接続されている。
室外機ガス管45の他端には、3本の室外機ガス分管45a~45cの各々の一端が接続されている。室外機ガス分管45aの他端はガス側閉鎖弁28aに接続されている。室外機ガス分管45bの他端はガス側閉鎖弁28bに接続されている。室外機ガス分管45cの他端はガス側閉鎖弁28cに接続されている。
室外熱交換器23は、室外ファン26の回転により図示しない吸込口から室外機2の内部に取り込まれた外気と冷媒を熱交換させる。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口には室外機液管44の一端が接続されている。室外熱交換器23は、冷媒回路10が冷房サイクルとなる場合は凝縮器として機能し、冷媒回路10が暖房サイクルとなる場合は蒸発器として機能する。
室外機液管44の他端には、3本の室外機液分管44a~44cの各々の一端が接続されている。室外機液分管44aの他端は液側閉鎖弁27aに接続されている。室外機液分管44bの他端は液側閉鎖弁27bに接続されている。室外機液分管44cの他端は液側閉鎖弁27cに接続されている。
3個の膨張弁24a~24cは、各々が図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整される。膨張弁24aは室外機液分管44aに設けられる。膨張弁24bは室外機液分管44bに設けられる。膨張弁24cは室外機液分管44cに設けられる。膨張弁24a~24cの開度をそれぞれ調整することによって、室内機5a~室内機5cに流れる冷媒量がそれぞれ調整される。
アキュムレータ25は、上述したように、冷媒流入側と四方弁22のポートcが冷媒配管46で接続され、冷媒流出側と圧縮機21の冷媒吸入口が吸入管42で接続されている。アキュムレータ25は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを吸入管42を介して圧縮機21に吸入させる。
室外ファン26は、室外熱交換器23の近傍に配置される樹脂材で形成されたプロペラファンであり、図示しないファンモータによって室外ファン26が回転することで、室外機2に設けられた図示しない吸込口から室外機2の内部に外気を取り込み、室外熱交換器23を流れる冷媒と熱交換した外気を室外機2に設けられた図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。
冷媒配管46におけるアキュムレータ25の冷媒流入側近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34が設けられている。
室外機液管44における室外熱交換器23の近傍には、室外熱交換器23が凝縮器として機能する際に室外熱交換器23から流出する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23が蒸発器として機能する際に室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、つまり、室外熱交換器23の温度(以降、室外熱交温度と記載する)を検出する室外熱交温度検出手段である冷媒温度センサ35が設けられている。また、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ38が設けられている。
室外機液分管44aにおける膨張弁24aと液側閉鎖弁27aの間には、室外機液分管44aを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36aが設けられている。室外機液分管44bにおける膨張弁24bと液側閉鎖弁27bの間には、室外機液分管44bを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36bが設けられている。室外機液分管44cにおける膨張弁24cと液側閉鎖弁27cの間には、室外機液分管44cを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36cが設けられている。
室外機ガス分管45aには、室外機ガス分管45aを流れる冷媒の温度を検出するガス側温度センサ37aが設けられている。室外機ガス分管45bには、室外機ガス分管45bを流れる冷媒の温度を検出するガス側温度センサ37bが設けられている。室外機ガス分管45cには、室外機ガス分管45cを流れる冷媒の温度を検出するガス側温度センサ37cが設けられている。
また、室外機2には、本発明の制御手段である室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、図1(B)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン26の駆動状態、室内機5aや室内機5b、5cから送信される運転情報(運転/停止情報や設定温度情報等を含む)等を記憶する。通信部230は、各室内機との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、室内機5a~5cから送信される運転開始/停止を示す運転状態や運転情報(冷房/暖房といった運転モードや設定温度等)を含んだ信号が通信部230を介して入力される。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、膨張弁24a~24cの開度調整、圧縮機21や室外ファン26の駆動制御を行う。
<室内機5a~5cの構成>
次に、室内機5a~5cについて説明する。室内機5a~5cは、室内熱交換器51a~51cと、液管接続部52a~52cと、ガス管接続部53a~53cと、室内ファン54a~54cを備えている。そして、室内ファン54a~54cを除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50a~50cを構成している。
尚、室内機5a~5cは全て同じ構成を有するため、以下の説明では室内機5aについてのみ各構成の説明を行い、室内機5b、5cの各構成については説明を省略する。尚、図1(A)では、室内機5aの各構成装置に付与した各番号の末尾をaからbあるいはcにそれぞれ変更したものが、室内機5aの各構成装置と対応する室内機5b、5cの各構成装置となる。
また、本実施形態の室内機5a~5cは全て同じ定格能力(以降、能力と記載する)を有するものである。従って、室内機5a~5cのいずれか2台が運転している場合の定格能力の合計値(以降、合計能力と記載する)は、いずれか1台のみ運転している場合の能力の2倍となり、全ての室内機5a~5cが運転している場合の合計能力は、いずれか1台のみ運転している場合の能力の3倍となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と、室内ファン54aの回転により室内機5aに備えられた図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51aの一方の冷媒出入口と液管接続部52aが室内機液管71aで接続されている。室内熱交換器51aの他方の冷媒出入口とガス管接続部53aが室内機ガス管72aで接続されている。尚、液管接続部52aやガス管接続部53aには、各冷媒配管が溶接やフレアナット等によって接続されている。
室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
室内ファン54aは、室内熱交換器51aの近傍に配置される樹脂材で形成されたクロスフローファンであり、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を室内機5aに備えられた図示しない吹出口から室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ61aが備えられている。
<冷媒回路10の動作>
次に、本実施形態の空気調和装置1が空調運転を行うときの冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作を、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、まず、室内機5a~5cが暖房運転を行う場合について説明し、次に、室内機5a~5cが冷房運転あるいは除霜運転を行う場合について説明する。ここで、図1(A)における実線矢印は、冷媒回路10における暖房運転時の冷媒の流れを示している。また、図1(A)における破線矢印は、冷媒回路10における冷房運転時あるいは除霜運転時の冷媒の流れを示している。
<暖房運転>
空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四方弁22が図1(A)に実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するように、また、ポートbとポートcが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10が図1(A)に実線矢印で示す方向に冷媒が流れる状態となり、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器51a~51cがそれぞれ凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は吐出管41から四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管45を流れて室外機ガス分管45a~45cに分流する。室外機ガス分管45a~45cに分流した冷媒は、ガス側閉鎖弁28a~28cを介してガス管9a~9cに流入する。
ガス管9aを流れる冷媒は、室内機5aのガス管接続部53aを介して室内機5aに流入する。室内機5aに流入した冷媒は、室内機ガス管72aを流れて室内熱交換器51aに流入し、室内ファン54aの回転により室内機5aの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。また、ガス管9bを流れる冷媒は、室内機5bのガス管接続部53bを介して室内機5bに流入する。室内機5bに流入した冷媒は、室内機ガス管72bを流れて室内熱交換器51bに流入し、室内ファン54bの回転により室内機5bの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。そして、ガス管9cを流れる冷媒は、室内機5cのガス管接続部53cを介して室内機5cに流入する。室内機5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72cを流れて室内熱交換器51cに流入し、室内ファン54cの回転により室内機5cの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。
このように、室内熱交換器51a~51cがそれぞれ凝縮器として機能し、室内熱交換器51a~51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない室内機5a~5cの吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a~5cが設置された各部屋の暖房が行われる。
室内熱交換器51aから流出した冷媒は室内機液管71aを流れ、液管接続部52aを介して液管8aに流出する。液管8aを流れる冷媒は、液側閉鎖弁27aを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁27aから室外機液分管44aに流入する。また、室内熱交換器51bから流出した冷媒は室内機液管71bを流れ、液管接続部52bを介して液管8bに流出する。液管8bを流れる冷媒は、液側閉鎖弁27bを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁27bから室外機液分管44bに流入する。また、室内熱交換器51cから流出した冷媒は室内機液管71cを流れ、液管接続部52cを介して液管8cに流出する。液管8cを流れる冷媒は、液側閉鎖弁27cを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁27cから室外機液分管44cに流入する。
室外機液分管44a~44cを流れる冷媒は、膨張弁24a~24cによりそれぞれ減圧されて室外機液管44で合流する。室外機液管44で合流した冷媒は、室外機液管44を流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン26の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。
室外熱交換器23から冷媒配管43に流出した冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<冷房運転/除霜運転>
空気調和装置1が冷房運転あるいは除霜運転を行う場合、四方弁22が図1(A)に破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbが連通するように、また、ポートcとポートdが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10が図1(A)に破線矢印で示す方向に冷媒が流れる状態となり、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに、室内熱交換器51a~51cがそれぞれ蒸発器として機能する冷房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は吐出管41から四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を流れて室外熱交換器23に流入する。冷房運転の場合は、室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン26の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。一方、除霜運転の場合は、室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外熱交換器23に発生している霜を溶かす。尚、除霜運転の際は、室外ファン24は停止している。
室外熱交換器23から室外機液管44に流出した冷媒は、室外機液分管44a~44cに分流する。室外機液分管44aに流入した冷媒は、全開とされている膨張弁24aを通過し、閉鎖弁27aを介して液管8aに流入する。室外機液分管44bに流入した冷媒は、全開とされている膨張弁24bを通過し、閉鎖弁27bを介して液管8bに流入する。室外機液分管44cに流入した冷媒は、全開とされている膨張弁24cを通過し、閉鎖弁27cを介して液管8cに流入する。
液管8aを流れる冷媒は、室内機5aの液管接続部52aを介して室内機5aに流入する。液管8bを流れる冷媒は、室内機5bの液管接続部52bを介して室内機5bに流入する。液管8cを流れる冷媒は、室内機5cの液管接続部52cを介して室内機5cに流入する。
冷房運転では、室内機5aに流入した冷媒は、室内機液管71aを流れて室内熱交換器51aに流入し、室内ファン54aの回転により室内機5aの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。また、室内機5bに流入した冷媒は、室内機液管71bを流れて室内熱交換器51bに流入し、室内ファン54bの回転により室内機5bの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。また、室内機5cに流入した冷媒は、室内機液管71cを流れて室内熱交換器51cに流入し、室内ファン54cの回転により室内機5cの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、室内熱交換器51a~51cがそれぞれ蒸発器として機能し、室内熱交換器51a~51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない室内機5a~5cの吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a~5cが設置された各部屋の冷房が行われる。
一方、除霜運転では、室内機5a~5cにおいて室内ファン54a~54cが停止しているので、室内機5a~5cの室内熱交換器51a~51cに流入した冷媒は、室内熱交換器51a~51cでほとんど室内空気と熱交換を行わない。
室内熱交換器51aから流出した冷媒は室内機ガス管72aを流れ、ガス管接続部53aを介してガス管9aに流出する。ガス管9aを流れる冷媒は、ガス側閉鎖弁28aを介して室外機2に流入し、ガス側閉鎖弁28aから室外機ガス分管45aに流入する。また、室内熱交換器51bから流出した冷媒は室内機ガス管72bを流れ、ガス管接続部53bを介してガス管9bに流出する。ガス管9bを流れる冷媒は、ガス側閉鎖弁28bを介して室外機2に流入し、ガス側閉鎖弁28bから室外機ガス分管45bに流入する。そして、室内熱交換器51cから流出した冷媒は室内機ガス管72cを流れ、ガス管接続部53cを介してガス管9cに流出する。ガス管9cを流れる冷媒は、ガス側閉鎖弁28cを介して室外機2に流入し、ガス側閉鎖弁28cから室外機ガス分管45cに流入する。
室外機ガス分管45a~45cを流れる冷媒は、室外機ガス管45で合流する。室外機ガス管45を流れる冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<除霜運転終了条件>
次に、図2を用いて、除霜運転終了条件について説明する。この除霜運転終了条件は、図2(A)に示す除霜運転終了条件テーブル300として室外機制御手段200の記憶部220に予め記憶されているものである。尚、以下の説明では、運転している室内機5a~5cの合計能力の代わりに、室内機5a~5cの運転台数を用いる。これは、前述したように本実施形態の室内機5a~5cが全て同じ能力であることから、合計能力を運転台数と読み替えることができるために可能となる。
図2(A)に示すように、除霜運転終了条件テーブル300には、除霜運転を開始する時点(以降、除霜運転開始時点と記載する)で暖房運転を行っている室内機5a~5cの台数(単位:台。以降、運転室内機台数Dと記載する)と、除霜運転開始時点の外気温度(単位:℃。以降、外気温度Toと記載する)に応じて、除霜運転終了温度(単位:℃。以降、除霜運転終了温度Teと記載する)が定められている。
ここで、除霜運転開始時点とは、暖房運転中に除霜運転開始条件が成立した時点である。除霜運転開始条件とは、予め試験等を行って定められて記憶部220に記憶されているものであり、室外熱交換器23での着霜量が暖房運転に支障をきたすレベルであることを示すものである。尚、除霜運転開始条件としては、例えば、暖房運転が180分間継続されている場合や、暖房運転が30分間継続されたときの室外熱交温度Tsが外気温度Toよりも5℃以上低い状態が10分間継続した場合、等である。尚、暖房運転中に上記除霜運転開始条件が成立すれば、暖房運転を中断して除霜運転が実行される。
また、除霜運転終了温度Teとは、除霜運転時の室外熱交換器23の温度(単位:℃。以降、室外熱交温度Tcと記載する)の目標値であり、除霜運転を行って室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Te以上の温度となれば、室外熱交換器23で発生した霜が全て溶けたと判断して除霜運転を終了する温度である。尚、除霜運転開始時点の外気温度Toを用いるのは、室外熱交換器23で霜が発生しているときの実際の外気温度であることと、除霜運転時は室外ファン26を停止させるために外気温度Toを正確に検出できない恐れがあるためである。
具体的には、運転室内機台数Dが2台超(D>2)であるときに、外気温度Toが-20℃未満である場合の除霜運転終了温度Teが7℃、外気温度Toが10℃以上である場合の除霜運転終了温度Teが16℃と定められている。そして、外気温度Toが-20℃以上10℃未満である場合の除霜運転終了温度Teは、計算式:Te=0.3×To+13(℃)で求められる温度と定められている。
一方、運転室内機台数Dが2台以下(D≦2)であるときに、外気温度Toが-20℃未満である場合の除霜運転終了温度Teが5℃、外気温度Toが0℃以上である場合の除霜運転終了温度Teが13℃と定められている。そして、外気温度Toが-20℃以上0℃未満である場合の除霜運転終了温度Teは、計算式:Te=0.4×To+13(℃)で求められる温度と定められている。
以上説明した除霜運転終了条件テーブル300を図示したものが図2(B)である。図2(B)において、縦軸が除霜運転終了温度Teであり、横軸が外気温度である。そして、図2(B)のうち、上図は運転室内機台数Dが2台超(D>2)の場合を、下図は運転室内機台数Dが2台以下(D≦2)である場合を、それぞれ示している。いずれの図においても、除霜運転中に室外熱交温度Tcが、外気温度Toに対する除霜運転終了温度Teの変化を示す折れ線より上の温度となれば、除霜運転を終了する。
尚、上述した運転室内機台数Dが2台超であるとき、および、運転室内機台数Dが2台以下であるときの外気温度To=-20℃が、本発明の第1外気温度To1である。また、運転室内機台数Dが2台超であるときの外気温度To=10℃、および、運転室内機台数Dが2台以下であるときの外気温度To=0℃が、本実施形態の第2外気温度To2である。また、除霜運転終了条件テーブル300を区分する運転室内機台数D=2台が、本実施形態の閾台数である。
以上説明した各除霜運転終了温度Teのうち第1外気温度To1以上第外気温度To2未満では、上述したように、運転室内機台数Dと外気温度Toに応じて除霜運転終了温度Teを異ならせている。これは、以下に記載する理由による。
空気調和装置1が暖房運転を行っているときは、前述したように室外熱交換器23が蒸発器として機能する。このとき、外気温度Toより暖房運転時の室外熱交換器23の温度(単位:℃。以降、除霜運転時の室外熱交温度Tcと区別するために、暖房運転時の室外熱交温度をTsと記載する)が所定温度、例えば、5℃以上低くなると、室外熱交換器23に霜が発生する。
暖房運転中の室外熱交換器23における着霜量は、外気温度Toと室外熱交温度Tsの温度差に応じて変化する。具体的には、外気温度Toが同じである場合は、室外熱交温度Tsが低いほど着霜量が多くなる。また、室外熱交温度Tsが同じである場合は、外気温度Toが高いほど着霜量が多くなる。つまり、外気温度Toから室外熱交温度Tsを減じた温度差が大きいほど着霜量が多くなる。
ここで、暖房運転時の室外熱交温度Tsは、蒸発器として機能している室外熱交換器23での蒸発圧力と相関のある温度であり、蒸発圧力が上がれば室外熱交温度Tsも上がり、蒸発圧力が下がれば室外熱交温度Tsも下がる。そして、蒸発圧力は運転室内機台数Dに応じて変化する。
暖房運転時に凝縮器として機能する室内熱交換器の台数が多いと、室内熱交換器の凝縮能力が大きくなって凝縮圧力が低くなり、これに伴って蒸発圧力も低くなる、つまり、室外熱交温度Tsも下がる。これに対し、暖房運転時に凝縮器として機能する室内熱交換器の台数が少ないと、室内熱交換器の凝縮能力が小さくなって凝縮圧力が高くなり、これに伴って蒸発圧力も高くなる、つまり、室外熱交温度Tsも上がる。
本実施形態では、以上説明した外気温度Toおよび運転室内機台数Dと室外熱交換器23での着霜量の関係を考慮し、運転室内機台数Dが2台超である場合は外気温度Toが-20℃以上10℃未満、および、運転室内機台数Dが2台以下である場合は外気温度Toが-20℃以上0℃未満、のそれぞれで外気温度Toが高くなるにつれて除霜運転終了温度Teが高くなるようにしている。そして、運転室内機台数Dが2台超である場合の、外気温度Toが-20℃以上10℃未満で除霜運転終了温度Teを上昇させる度合(Te=0.3×To+13、の「0.3」)は、運転室内機台数Dが2台超である場合より室外熱交換器23での着霜量が少ないと考えられる運転室内機台数Dが2台以下である場合の、外気温度Toが-20℃以上0℃未満で除霜運転終了温度Teを上昇させる度合(Te=0.4×To+13、の「0.3」)よりも小さく設定している。
つまり、運転室内機台数Dが2台以下の場合は、室外熱交換器23での着霜量が少ないと考えて、除霜運転終了温度Te=5℃を下限温度として、運転室内機台数Dが2台超の場合よりも除霜運転終了温度Teを低くする。これにより、除霜運転終了温度Teを5℃以上として室外熱交換器23で発生した霜を確実に溶かしつつ、除霜運転を開始してから室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Teに到達するまでの時間が短くして無駄な除霜運転が行われることを防止できる。
一方、運転室内機台数Dが2台超の場合は、室外熱交換器23での着霜量が多いと考えて、除霜運転終了温度Teの下限温度を運転室内機台数Dが2台以下の場合の下限温度である5℃より高い7℃とし、かつ、運転室内機台数Dが2台以下の場合よりも除霜運転終了温度Teを高くする。これにより、運転室内機台数Dが2台以下の場合と比べて除霜運転を開始してから室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Teに到達するまでの時間が長くなり、かつ、運転室内機台数Dが2台以下の場合と比べて除霜運転時の室外熱交温度Tcが高くなるので、室外熱交換器23における霜の溶け残りを防止できる。
尚、各運転室内機台数Dにおける第1外気温度To1~第外気温度To2の間の、除霜運転終了温度Teの算出式(D>2のとき:Te=0.3×To+13、D≧2のとき:Te=0.4×To+13)は、予め試験等を行って求められるものであり、除霜運転中に室外熱交温度Tcがこれらの算出式で求めた除霜運転終了温度Te以上となれば、室外熱交換器23で発生した霜が完全に溶けることが判明しているものである。
尚、運転室内機台数Dに関わらず外気温度Toが-20℃未満であれば、それぞれ除霜運転終了温度Teを一定としている(D>2ではTe=7℃、D≦2ではTe=5℃)。これは、外気温度Toが-20℃より低いと空気中に含まれる水蒸気量が少ないために、室外熱交換器23における着霜量が少なくなることを考慮したものであり、外気温度Toが-20℃より低いときの除霜運転中に室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Te(7℃あるいは5℃)以上となれば、室外熱交換器23で発生した霜が完全に溶けることが予め試験等を行って判明しているものである。
また、運転室内機台数Dが2台超で外気温度Toが10℃以上の場合と、運転室内機台数Dが2台以下で外気温度Toが0℃以上の場合も、それぞれ除霜運転終了温度Teを一定としている(D>2ではTe=16℃、D≦2ではTe=13℃)。この場合の除霜運転終了温度Teも予め試験等を行って求められる温度であり、各運転室内機台数Dで外気温度Toが第2外気温度To2以上であるときの除霜運転中に室外熱交温度Tcが上記の除霜運転終了温度Te以上となれば、室外熱交換器23で発生した霜が完全に溶けることが判明している温度である。
<除霜運転時の制御の流れ>
次に、図3を用いて、空気調和装置1が暖房運転中に除霜運転を行うときの制御について説明する。図3は、空気調和装置1が暖房運転中に除霜運転を行う際の、室外機制御手段200のCPU210が行う処理の流れを示すフローチャートである。図3において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップの番号を表している。尚、図3は、本発明に関わる処理を中心に説明するものであり、これ以外の処理、例えば、空調運転時の使用者の要求に応じた圧縮機21の運転制御等といった、空気調和装置1の一般的な制御に関わる処理については説明を省略する。
空気調和装置1が暖房運転を行っているとき、室外機制御手段200のCPU210は、除霜運転開始条件が成立しているか否かを判断する(ST1)。ここで、除霜運転開始条件とは、前述したように、予め試験等を行って定められて記憶部220に記憶されているものであり、室外熱交換器23での着霜量が暖房運転に支障をきたすレベルであることを示すものである。
除霜運転開始条件が成立していなければ(ST1-No)、CPU210は、暖房運転を継続し(ST11)、ST1に処理を戻す。除霜運転開始条件が成立していれば(ST1-Yes)、CPU210は、運転室内機台数Dを記憶部220nより読みだす(ST2)。尚、記憶部220には、図示は省略するが、室内機5a~5cの運転状態(運転/停止)や運転モード(冷房/暖房)、設定温度等を記憶するテーブルが記憶されており、CPU210はこのテーブルにアクセスして運転室内機台数Dを読み出す。
次に、CPU210は、外気温度Toを取り込む(ST3)。具体的には、CPU210は、外気温度センサ38で検出した温度をセンサ入力部240を介して取り込み、取り込んだ外気温度Toを記憶部220に記憶する。
次に、CPU210は、ST2で読みだした運転室内機台数DとST3で取り込んだ外気温度Toを用い、記憶部220に記憶している除霜運転終了条件テーブル300を参照して除霜運転終了温度Teを抽出する(ST4)。
次に、CPU210は、除霜運転準備処理を行う(ST5)。ここで除霜運転準備処理とは、圧縮機21と室外ファン26を停止するとともに、通信部230を介して室内機5a~5cに対し室内ファン54a~54cを停止するよう指示して暖房運転を停止するとともに、四方弁22を切り替えて冷媒回路10を暖房サイクルから冷房サイクルに切り替えることである。
次に、CPU210は、圧縮機21を所定回転数、例えば70rpsで起動して(ST6)、除霜運転を開始する。尚、CPU210は、除霜運転を続けている間は、圧縮機21の回転数を上記所定回転数に維持する。
次に、CPU210は、室外熱交温度Tcを取り込む(ST7)。具体的には、CPU210は、冷媒温度センサ36で検出した冷媒温度をセンサ入力部240を介して取り込み、取り込んだ冷媒温度を室外熱交温度Tcとして記憶部220に記憶する。
次に、CPU210は、ST7で取り込んだ室外熱交温度Tcが、ST4で抽出した除霜運転終了温度Te以上であるか否かを判断する(ST8)。室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Te以上でなければ(ST8-No)、CPU210は、ST6に処理を戻して除霜運転を継続する。
室外熱交温度Tcが除霜運転終了温度Te以上であれば(ST8-Yes)、CPU210は、除霜運転を停止して運転再開処理を行う(ST9)。ここで、運転再開処理とは、圧縮機21を停止するとともに、四方弁22を切り替えて冷媒回路10を冷房サイクルから暖房サイクルに切り替えることである。
ST9の運転再開処理を終えたCPU210は、暖房運転を再開し(ST10)、ST1に処理を戻す。CPU210は、暖房運転再開時に圧縮機21および室外ファン26を室内機5a~5cで要求される能力に応じた回転数で駆動するとともに、通信部230を介して室内機5a~5cに対し室内ファン54a~54cを回転させるよう指示する。
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、暖房運転時の運転室内機台数Dと外気温度Toに応じて、除霜運転終了条件である除霜運転終了温度Teを異ならせる。これにより、暖房運転時の室外熱交換器23における着霜量に応じた除霜運転が行え、霜が全て溶けた後も除霜運転を続けるといった無駄がなくなるとともに、霜の溶け残りも防止できる。
尚、以上説明した実施形態では、暖房運転をしている室内機5a~5cの合計能力に代えて、暖房運転時の運転室内機台数Dを用いて除霜運転終了温度Teを決定した。しかし、複数台の室内機の各能力が異なる場合は、暖房運転時の運転室内機台数ではなく、そのとき暖房運転している室内機の合計能力を用いて除霜運転終了温度Teを決定すればよい。この場合、前述した閾台数に代えて閾合計能力を定めて、この閾合計能力以上または未満のそれぞれで外気温度Toに応じた除霜運転終了温度Teを定めればよい。