JP2017142016A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】暖房運転時に暖房能力が十分に発揮できていない室内機があるか否かを精度良く判断できる空気調和装置を提供する。【解決手段】CPUは、取り込んだ吐出圧力Phを用いて高圧飽和温度Thsを求め、求めた高圧飽和温度Thsと取り込んだ熱交出口温度Toを用いて、室内機の冷媒過冷却度SCを求めるとともに、求めた高圧飽和温度Thsと取り込んだ吸込温度Tsを用いて、室内機の最大冷媒過冷却度SCmを求める。次に、CPUは、求めた室内機の冷媒過冷却度SCを最大冷媒過冷却度SCmで除した過冷却度比SCrが閾過冷却度比Rscより大きいか否かを判断する。過冷却度比SCrが閾過冷却度比Rscより大きければ、CPUは、当該室内機で暖房能力が発揮できていないと判断し、不暖房解消制御を実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、少なくとも1台の室外機に複数台の室内機が冷媒配管で接続された空気調和装置に関する。
従来、少なくとも1台の室外機に複数台の室内機が液管とガス管で接続された空気調和装置は、各室内機が高低差をもって設置され、かつ、室外機が各室内機より高い位置に設置される場合がある。このように設置された空気調和装置が暖房運転を行うときは、以下に記載する理由により低い位置に設置された室内機で十分な暖房能力が得られない恐れがある。
暖房運転では、各室内機の室内熱交換器で凝縮し液管に流入した液冷媒を、各室内機より高い位置に設置された室外機に向かい重力に逆らって流す必要がある。このため、低い位置に設置された室内機の室内膨張弁の下流側(室外機側)における液冷媒の圧力は、高い位置に設置された室内機の室内膨張弁の下流側における液冷媒の圧力よりも高くなる。
従って、低い位置に設置された室内機の室内膨張弁の上流側(室内熱交換器側)の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差が、高い位置に設置された室内機の室内膨張弁の上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差に比べて小さくなる。室内膨張弁の上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差が小さいほど室内膨張弁を流れる冷媒量が少なくなるので、高い位置に設置された室内機に多くの冷媒が流れる一方、低い位置に設置された室内機に流れる冷媒量が減少して当該室内機で十分な暖房能力が得られない恐れがある。
そこで、以上説明した状態で設置される空気調和装置で暖房運転を行うときは、低い位置に設置された室内機で暖房能力が発揮されているか否かをできる限り正確に把握し、暖房能力が十分に発揮されていないことが判明した場合は、当該室内機で暖房能力を向上させる制御(以下、不暖房解消制御)を行う必要がある。
特許文献1に記載のマルチ型空気調和機は、暖房運転時に各室内機における冷媒過冷却度が目標値となるように各室内膨張弁の開度が調整されるものである。このマルチ空気調和機において、複数台の室内機が高低差をもって設置されている場合に、暖房運転開始から一定時間経過後に冷媒過冷却度が目標値より高い値となっている室内機があれば、当該室内機で液冷媒が滞留して十分な暖房能力が発揮できていないと判断し、不暖房解消制御を行っている。
特開2011−158118号公報
ところで、空気調和装置が暖房運転を行っているときに各室内機の凝縮温度が低いときは、各室内機が高低差をもって設置され、かつ、室外機が各室内機より高い位置に設置される場合であっても、各室内機における冷媒過冷却度が全て目標値となっている場合がある。
例えば、図2に示すように、10階建てのビルの各階に室内機が設置されるとともに、屋上に室外機が設置される空気調和装置で暖房運転を行い、このときの条件が、各室内機の凝縮温度に相当する高圧飽和温度が30℃、外気温度が−20℃、暖房運転の設定温度が24℃であり、このときに冷媒過冷却度が15deg以上となっている室内機が存在すれば、当該室内機で暖房能力が十分に発揮できていないと判断するものとする。この場合、図2に記載のある通り、各室内機における冷媒過冷却度(図2では、冷媒過冷却度はSCa、SCb、およびSCcで表している)がいずれも15deg未満であるので、全ての室内機で暖房能力が十分に発揮できていると判断する。
しかし、実際は、1階に設置されている室内機において、室内熱交換器から流出する冷媒温度である熱交出口温度と室内機に吸い込まれる室内空気の温度である吸込温度が同じ20℃となっている。これは、1階に設置されている室内機で液冷媒が滞留して室内熱交換器の冷媒出口側の冷媒温度が室内空気温度になじんでしまっているためであり、この室内機では暖房能力が十分に発揮できていない可能性を示すものである。
以上説明したように、冷媒過冷却度が目標値に達しているか否かで室内機で暖房能力が発揮されているか否かを判断するものでは、低い位置に設置された室内機で実際に暖房能力が十分に発揮できていない場合であっても、暖房能力が発揮できていると誤判断する恐れがあった。
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、暖房運転時に暖房能力が十分に発揮できていない室内機があるか否かを精度良く判断できる空気調和装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、圧縮機と圧縮機から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段を有する室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁と室内熱交換器が凝縮器として機能しているときに室内熱交換器から流出する冷媒の温度である熱交出口温度を検出する液側温度検出手段を有する複数台の室内機を有し、室外機が複数台の室内機より上方に設置されるとともに複数台の室内機の設置場所に高低差があるものである。また、複数台の室内機は流入する空気の温度を検出する吸込温度検出手段を有する。そして、室内熱交換器が凝縮器として機能しているときに、複数台の室内機毎に吐出圧力と熱交出口温度を用いて冷媒過冷却度を算出するとともに、吐出圧力と吸込温度を用いて最大冷媒過冷却度を算出し、冷媒過冷却度を最大冷媒過冷却度で除した過冷却度比が予め定められた閾過冷却度比より大きい場合は、当該室内機で暖房能力が発揮できていないと判断する制御手段を有する。
上記のように構成した本発明の空気調和装置によれば、暖房運転時に暖房能力が十分に発揮できていない室内機があるか否かを精度良く判断できる。
本発明の実施形態における、空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室外機制御手段および室内機制御手段のブロック図である。 本発明の実施形態における、室内機および室外機の設置状態と、各室内機の運転状態を表す図面である。 本発明の実施形態における、室外機制御部での処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、建物の屋上に設置される1台の室外機に、建物の各階に設置される10台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)および図2に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、10階建ての建物の屋上に設置される1台の室外機2と、建物の各階に設置され、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された10台の室内機を備えている。詳細には、液管8は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が分岐して各室内機の液管接続部(室内機5a〜5cでは、液管接続部53a〜53c)に、それぞれ接続されている。また、ガス管9は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が分岐して各室内機のガス管接続部(室内機5a〜5cでは、ガス管接続部54a〜54c)に、それぞれ接続されている。以上により、空気調和装置1の冷媒回路100が構成されている。
尚、図1(A)および図2では、10台の室内機のうち10階に設置される室内機5aと5階に設置される室内機5bと1階に設置される室内機5cのみを示している。
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、液管8の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管9の一端が接続された閉鎖弁26と、冷媒貯留器であるアキュムレータ28と、室外ファン27とを備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaに吐出管41で接続されており、また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ28の冷媒流出側に吸入管42で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側に吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口に冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ28の冷媒流入側に冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26に室外機ガス管45で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbに冷媒配管43で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管44で閉鎖弁25に接続されている。
室外膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外膨張弁24は電子膨張弁であり、その開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量を調整する。室外膨張弁24の開度は、空気調和装置1が冷房運転を行っている場合は全開とされる。また、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、後述する吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じてその開度を制御することで、吐出温度が性能上限値を超えないようにしている。
室外ファン27は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン27は、図示しないファンモータによって回転することで図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
アキュムレータ28は、上述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcに冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機21の冷媒吸入側に吸入管42で接続されている。アキュムレータ28は、冷媒配管46からアキュムレータ28の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段である吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ34とが設けられている。
室外機液管44における室外熱交換器23と室外膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度あるいは室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27の制御状態等を記憶している。通信部230は、室内機5a〜5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果をセンサ入力部240を介して取り込む。また、CPU210は、室内機5a〜5cから送信される制御信号を通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り換え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室外膨張弁24の開度調整を行う。
次に、10台の室内機について説明する。10台の室内機は構成が全て同じであるため、以下の説明では図2に示している3台の室内機5a〜5cについて説明する。3台の室内機5a〜5cは、室内熱交換器51a〜51cと、室内膨張弁52a〜52cと、分岐した液管8の他端が接続された液管接続部53a〜53cと、分岐したガス管9の他端が接続されたガス管接続部54a〜54cと、室内ファン55a〜55cとを備えている。そして、室内ファン55a〜55cを除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路100の一部をなす室内機冷媒回路50a〜50cを構成している。
次に、室内機5a〜5cの構成について詳細に説明する。尚、以下の説明では、室内機5aを例に挙げて詳細な説明を行い、その他の室内機5b、5cについては詳細な説明を省略する。また、図1では、室内機5aの構成装置に付与した番号の末尾をaからbおよびcにそれぞれ変更したものが、室外機5aの構成装置と対応する室内機5b、5cの構成装置となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と後述する室内ファン55aの回転により図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部53aに室内機液管71aで接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部54aに室内機ガス管72aで接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
尚、液管接続部53aやガス管接続部54aは、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内膨張弁52aは、室内機液管71aに設けられている。室内膨張弁52aは電子膨張弁であり、室内熱交換器51aが蒸発器として機能する場合すなわち室内機5aが冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(ガス管接続部54a側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内膨張弁52aは、室内熱交換器51aが凝縮器として機能する場合すなわち室内機5aが暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51aの冷媒出口(液管接続部53a側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5aで十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度およに冷媒過冷却度である。
室内ファン55aは樹脂材で形成されており、室内熱交換器51aの近傍に配置されている。室内ファン55aは、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機5aには各種のセンサが設けられている。室内機液管71aにおける室内熱交換器51aと室内膨張弁52aとの間には、室内熱交換器51aに流入あるいは室内熱交換器51aから流出する冷媒の温度を検出する液側温度検出手段である液側温度センサ61aが設けられている。室内機ガス管72aには、室内熱交換器51aから流出あるいは室内熱交換器51aに流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62aが設けられている。室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの内部に流入する室内空気の温度、すなわち吸込温度を検出する吸込温度検出手段である吸込温度センサ63aが備えられている。室内機5aの図示しない吹出口付近には、室内熱交換器51aで冷媒と熱交換を行って室内機5aから室内に放出される空気の温度、すなわち吹出温度を検出する吹出温度センサ64aが備えられている。
また、室内機5aには、室内機制御手段500aが備えられている。室内機制御手段500aは、室内機5aの図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、図1(B)に示すように、CPU510aと、記憶部520aと、通信部530aと、センサ入力部540aとを備えている。
記憶部520aは、ROMやRAMで構成されており、室内機5aの制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、使用者による空調運転に関する設定情報等を記憶する。通信部530aは、室外機2および他の室内機5b、5cとの通信を行うインターフェイスである。センサ入力部540aは、室内機5aの各種センサでの検出結果を取り込んでCPU510aに出力する。
CPU510aは、前述した室内機5aの各センサでの検出結果をセンサ入力部540aを介して取り込む。また、CPU510aは、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した運転情報やタイマー運転設定等を含んだ信号を図示しないリモコン受光部を介して取り込む。また、CPU510aは、運転開始/停止信号や運転情報(設定温度や室内温度等)を含んだ制御信号を、通信部530aを介して室外機2に送信するとともに、室外機2が検出した吐出圧力等の情報を含む制御信号を通信部530aを介して室外機2から受信する。CPU510aは、取り込んだ検出結果やリモコンおよび室外機2から送信された信号に基づいて、室内膨張弁52aの開度調整や、室内ファン55aの駆動制御を行う。
尚、以上説明した室外機制御手段200と室内機制御手段500a〜500cとで、本発明の制御手段が構成される。
以上説明した空気調和装置1が、図2に示す建物600に設置されている。具体的には、室外機2が屋上(RF)に配置されており、室内機5aが10階、室内機5bが5階、室内機5cが1階に、それぞれ設置されている。そして、室外機2と室内機5a〜5cとは、上述した液管8とガス管9とで相互に接続されており、これら液管8とガス管9とは、図示しない建物600の壁面内や天井裏に埋設されている。尚、図2では、最上階(10階)に設置されている室内機5aと最下階(1階)に設置されている室内機5cとの高低差をHで表している。また、図示は省略しているが、図2に示す室内機5a〜5c以外の室内機は、2階〜4階、および、6階〜9階の各階に設置されている。
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、空気調和装置1が暖房運転を行う場合について説明し、冷房/除霜運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1(A)における矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。また、室内機における冷媒の流れや各部の動作については、図1(A)および図2に示す3台の室内機5a〜5cについてのみ記載するが、他の室内機についてもこれらと同様である。
図1(A)に示すように、空気調和装置1が暖房運転を行う場合、室外機制御手段200のCPU210は、四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するよう、切り換える。これにより、冷媒回路100が、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管45、閉鎖弁26、ガス管9、ガス管接続部54a〜54cの順に流れて室内機5a〜5cに流入する。室内機5a〜5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72a〜72cを流れて室内熱交換器51a〜51cに流入し、室内ファン55a〜55cの回転により室内機5a〜5cの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能し、室内熱交換器51a〜51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a〜5cが設置された室内の暖房が行われる。
室内熱交換器51a〜51cから流出した冷媒は室内機液管71a〜71cを流れ、室内膨張弁52a〜52cを通過して減圧される。減圧された冷媒は、室内機液管71a〜71c、液管接続部53a〜53cを流れて液管8に流入する。
液管8を流れる冷媒は、閉鎖弁25を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機液管44を流れ、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じた開度とされた室外膨張弁24を通過するときにさらに減圧される。室外機液管44から室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から流出した冷媒は、冷媒配管43、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
尚、空気調和装置1が冷房/除霜運転を行う場合、CPU210は、四方弁22を破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換える。これにより、冷媒回路100が、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに各室内機の室内熱交換器が蒸発器として機能する冷房サイクルとなる。
次に、図1乃至図3を用いて、本実施形態の空気調和装置1において、本発明に関わる冷媒回路の動作やその作用、および、効果について説明する。尚、室内熱交換器51a〜51cが凝縮器として機能するときの液側温度センサ61a〜61cが、本発明の熱交出口温度センサとなる。
図2に示すように、本実施形態の空気調和装置1では、室外機2が建物600の屋上に設置されるとともに各室内機が建物600の各階に設置されている。つまり、室外機2が各室内機より高い位置に設置されるとともに、10階に設置されている室内機5aと1階に設置されている室内機5cの設置場所に高低差Hがある設置となっている。この場合に、空気調和装置1で暖房運転を行ったときは、以下のような問題がある。
暖房運転では、圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、吐出管41から四方弁22を介して室外機ガス管45を流れて室外機2から流出し、各室内機の室内熱交換器に流入して凝縮する。このとき、室外機2が各室内機より高い位置に設置されているために、各室内熱交換器で凝縮し液管8に流出した液冷媒は、重力に逆らって室外機2に向かって液管8を流れることになる。
従って、1階に設置されている室内機5cの室内膨張弁52cの下流側(室外機2側)における液冷媒の圧力は、他の階に設置されている室内機の室内膨張弁の下流側における液冷媒の圧力よりも高くなるので、室内機5cの室内膨張弁52cの上流側(室内熱交換器51c側)の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差が、他の室内機の室内膨張弁の上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差に比べて小さくなる。
上記のような冷媒回路100の状態では、室内膨張弁の上流側の冷媒圧力と下流側の冷媒圧力の圧力差が小さいほど、室内膨張弁を流れる冷媒量が少なくなる。従って、1階に設置された室内機5cを流れる冷媒量は、他の室内機を流れる冷媒量と比べて少なくなる。このことは、1階(一番低い位置)に設置された室内機5cと10階(一番高い位置)に設置された室内機5aとの高低差Hが大きくなる程顕著になり、高低差が大きくなる(例えば、50m)と室内機5cから液管8に流出した液冷媒が室外機2に向かって流れなくなって液管8の下方に液冷媒が滞留する恐れがある。そして、液管8の下方に液冷媒が滞留すると、室内膨張弁5cを全開としても室内機5cに冷媒が流れずに室内機5cで暖房能力が発揮されない恐れあった。
そこで、本実施形態の空気調和装置1のように、室外機2が屋上に設置されるとともに各室内機が室外機2より低い位置に設置され、かつ、各室内機の設置位置に高低差がある場合、暖房運転時に低い位置に設置された室内機で暖房能力が発揮されているか否かをできる限り正確に把握し、暖房能力が十分に発揮されていないことが判明した場合は、当該室内機で暖房能力を向上させる不暖房解消制御)を行う必要がある。
従来の空気調和装置では、暖房運転開始から一定時間経過後に各室内機における冷媒過冷却度を算出しこれが予め定められた目標値に到達していない室内機、より具体的には、暖房能力が発揮できることが予めわかっている冷媒過冷却度の上限値(以降、性能補償上限値と記載する)より大きい室内機で、十分な暖房能力が得られていないと判断していた。しかし、この方法では、各室内熱交換器の凝縮温度が低い場合は、各室内機における冷媒過冷却度が全て性能補償上限値より小さい値となっている場合があり、低い位置に設置された室内機で実際に暖房能力が十分に発揮できていない場合であっても、暖房能力が発揮できていると誤判断する恐れがあった。
上述した、暖房運転時に全ての室内機で暖房能力が発揮できていると誤判断する状態について、図2に記載の例を用いて説明する。尚、以下の説明では、室内熱交換器51a〜51cの凝縮温度に相当し吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて求める高圧飽和温度をThs、室内機5a〜5cの室内熱交換器51a〜51cから流出する冷媒温度であり液側温度センサ61a〜61cで検出する熱交出口温度をTo(室内機5a〜5cに対して個別に言及する必要がある場合は、Toa〜Tocと記載)、室内機5a〜5cに流入する空気の温度であり吸込温度センサ63a〜63cで検出する吸込温度をTs(室内機5a〜5cに対して個別に言及する必要がある場合は、Tsa〜Tscと記載)、室内機5a〜5cの室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度をSC(室内機5a〜5cに対して個別に言及する必要がある場合は、SCa〜SCcと記載)とする。
また、高圧飽和温度Thsから室内機5a〜5cの吸込温度Tsを減じた最大冷媒過冷却度をSCm(室内機5a〜5cに対して個別に言及する必要がある場合は、SCma〜SCmcと記載)とする。
ここで、高圧飽和温度Thsから吸込温度Tsを減じた値を最大冷媒過冷却度SCmとしている理由は次の通りである。冷媒過冷却度SCは、高圧飽和温度Thsから室内機5a〜5cの熱交出口温度Toを減じて求める。一方、室内機5a〜5cに液冷媒が滞留している場合は、熱交出口温度Toが室温つまり吸込温度Tsになじんで同じ温度となる。暖房運転時は、熱交出口温度Toが吸込温度Tsより低くなることはないため、このときの冷媒過冷却度SCの値が取り得る最大値となる。
また、図2に記載の例では、外気温度センサ36で検出する暖房運転時の外気温度を−20℃、室内機5a〜5cでの暖房設定温度を24℃としている。さらには、暖房能力が発揮できていない室内機があるか否かを判断する際に使用する冷媒過冷却度の性能補償上限値をSCpとする。この性能補償上限値SCpは、予め試験等を行って定められるものであり、例えば、本実施形態では15degである。
以上説明した状態で空気調和装置1が暖房運転を行っているとき、室内機5a〜5cにおける各検出値や算出値は、図2に示すような値となる。まず、室内機5aでは、熱交出口温度Toaが28℃、吸込温度Tsaが24℃であり、冷媒過冷却度SCaは高圧飽和温度Ths−熱交出口温度Toa=2degとなる。つまり、冷媒過冷却度SCa=2deg<性能補償上限値=15degであるため、室内機5aでは暖房能力が十分に発揮されていると判断される。
次に、室内機5bでは、熱交出口温度Tobが27℃、吸込温度Tsbが23℃であり、冷媒過冷却度SCbは高圧飽和温度Ths−熱交出口温度Tob=3degとなる。つまり、冷媒過冷却度SCa=3deg<性能補償上限値=15degであるため、室内機5bでも暖房能力が十分に発揮されていると判断される。
そして、室内機5cでは、熱交出口温度Tocと吸込温度Tscがともに20℃であり、冷媒過冷却度SCcは高圧飽和温度Ths−熱交出口温度Toc=10degとなる。つまり、冷媒過冷却度SCb=10deg<性能補償上限値=15degであるため、室内機5cでも暖房能力が十分に発揮されていると判断される。
しかし、室内機5cでは、上述したように熱交出口温度Tocと吸込温度Tscがともに20℃となっている。熱交出口温度Tocと吸込温度Tscが同じ温度となっているということは室内機5cに液冷媒が滞留していることを示しており、室内機5cで暖房能力が十分に発揮されていない可能性を示すものである。従って、従来の空気調和装置のように、各室内機の冷媒過冷却度SCが性能補償上限値SCp以上となっているか否かで暖房能力が十分に発揮できているか否かを判断すると、実際は暖房能力が発揮できていない室内機も暖房能力が十分に発揮できていると誤判断する恐れがあった。
これに対し、本発明では、空気調和装置1が暖房運転を行うときに、室内機5a〜5cの室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口側における冷媒過冷却度SCと、高圧飽和温度Thsと吸込温度センサ63a〜63cで検出する吸込温度Tsを用いて求める最大冷媒過冷却度SCmを定期的(例えば、30秒毎)に算出する。そして、冷媒過冷却度SCを最大冷媒過冷却度SCmで除した値(以降、過冷却度比SCrと記載。また、室内機5a〜5cに対して個別に言及する必要がある場合はSCra〜SCrcと記載)が、予め定められた比率(以降、閾過冷却度比Rscと記載する)より大きいか否かで、当該室内機で暖房能力が発揮できているか否かを判断する。ここで、閾過冷却度比Rscは、予め試験等を行って求められて記憶部220に記憶されているものであり、暖房能力に支障をきたすことが判明している室内熱交換器51a〜51cにおける液冷媒の滞留量に対応する冷媒過冷却度を元に決定されており、例えば、本実施形態では0.5である。
前述したように、液冷媒が滞留している室内機における最大冷媒過冷却度SCmは、室内熱交換器の冷媒出口付近の室内機液管に滞留する冷媒温度つまり熱交出口温度Toが、室温つまり吸込温度Tsになじんで同じ温度となったときの冷媒過冷却度である。つまり、最大冷媒過冷却度SCmは当該室内機に液冷媒が滞留して暖房能力が発揮できていないときの冷媒過冷却度である。従って、最大冷媒過冷却度SCmに対する冷媒過冷却度SCの比率である過冷却度比SCrを見ることによって、室内機で暖房能力が十分に発揮できているか否かを正確に判断できる。
具体的には、図2に示すように、室内機5aでは、最大冷媒過冷却度SCmaは高圧飽和温度Ths−吸込温度Tsa=6deg、過冷却度比SCra=冷媒過冷却度SCa/最大冷媒過冷却度SCma=2deg/6deg=0.33となるので、過冷却度比SCra<0.5となり、室内機5aでは暖房能力が十分に発揮されていると判断される。また、室内機5bでは、最大冷媒過冷却度SCmbは高圧飽和温度Ths−吸込温度Tsb=7deg、過冷却度比SCrb=冷媒過冷却度SCb/最大冷媒過冷却度SCmb=3deg/7deg=0.43となるので、過冷却度比SCrb<0.5となり、室内機5bでも暖房能力が十分に発揮されていると判断される。
これに対し、室内機5cでは、最大冷媒過冷却度SCmcは高圧飽和温度Ths−吸込温度Tsc=10deg、過冷却度比SCrc=冷媒過冷却度SCc/最大冷媒過冷却度SCmc=10deg/10deg=1となるので、過冷却度比SCrc>0.5となり、室内機5cでは暖房能力が発揮されていないと判断される。従来の冷媒過冷却度SCcのみを用いた判断では、前述したように室内機5cも暖房能力が十分に発揮できているという判断となったが、本発明の過冷却度比SCrを用いて判断する方法では、室内機5cで暖房能力が発揮できていないことを正確に判断できる。
次に、図3を用いて、本実施形態の空気調和装置1における暖房運転時の制御について説明する。図3は、空気調和装置1が暖房運転を行う場合の、室外機制御部200のCPU210が行う制御に関する処理の流れを示すものである。図3において、STはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。尚、図3では本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した冷媒回路100の制御、といった、空気調和装置1に関わる一般的な処理については説明を省略している。また、以下の説明では、全ての室内機5a〜5cが暖房運転を行っている場合を例に挙げて説明する。
また、以下の説明では、前述した高圧飽和温度Ths、熱交出口温度To、吸込温度Ts、冷媒過冷却度SC、最大冷媒過冷却度SCm、および、閾過冷却度比Rscに加えて、吐出圧力センサ31で検出する冷媒圧力である吐出圧力をPhとする。また、以下の説明では、制御対象の室内機として10台の室内機のうち、図1(A)および図2に示す室内機5a〜5cを例に挙げているが、その他の7台の室内機についても同様の制御が行われる。
まず、CPU210は、使用者の運転指示が暖房運転指示であるか否かを判断する(ST1)。
暖房運転指示でなければ(ST1−No)、CPU210は、冷房運転もしくは除湿運転の開始処理である冷房/除湿運転開始処理を実行する(ST12)。ここで、冷房/除湿運転開始処理とは、CPU210が四方弁22を操作して冷媒回路100を冷房サイクルとすることであり、最初に冷房運転もしくは除湿運転を行うときに行われる処理である。そして、CPU210は、圧縮機21や室外ファン27を所定の回転数で起動するとともに、通信部230を介して室内機5a〜5cに対し室内ファン55a〜55cの駆動制御や室内膨張弁52a〜52cの開度調整を行うよう指示して冷房運転あるいは除湿運転の制御を開始し(ST13)、ST9に処理を進める。
ST1において、暖房運転指示であれば(ST1−Yes)、CPU210は、暖房運転開始処理を実行する(ST2)。ここで、暖房運転開始処理とは、CPU210が四方弁22を操作して冷媒回路100を図1(A)に示す状態、つまり、冷媒回路100を暖房サイクルとすることであり、最初に暖房運転を行うときに行われる処理である。
次に、CPU210は、暖房運転制御を開始する(ST3)。暖房運転制御の開始では、CPU210は、室内機5a〜5cからの要求能力に応じた回転数で圧縮機21や室外ファン27を起動する。また、CPU210は、吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度をセンサ入力部240を介して取り込み、取り込んだ吐出温度に応じて室外膨張弁24の開度を調整する。さらには、CPU210は、室内機5a〜5cに対し通信部230を介して暖房運転を開始する旨の運転開始信号を送信する。
運転開始信号を通信部530a〜530cを介して受信した室内機5a〜5cの室内機制御手段500a〜500cのCPU510a〜510cは、使用者の風量指示に応じた回転数で室内ファン55a〜55cを起動するとともに、室内熱交換器51a〜51cの冷媒出口(液管接続部53a〜53c側)での冷媒過冷却度が運転開始時の目標冷媒過冷却度(例えば、6deg)となるように室内膨張弁52a〜52cの開度を調整する。ここで、目標冷媒過冷却度は、予め試験等を行って求めて記憶部530a〜530cに記憶されている値であり、各室内機で暖房能力が十分に発揮されることが確認できている値である。尚、CPU510a〜510cは、暖房運転の開始から冷媒回路100の状態が安定するまでの間(例えば、運転開始から3分間)は、上述した運転開始時の目標冷媒過冷却度となるように室内膨張弁52a〜52cの開度を調整する。
次に、CPU210は、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力Phをセンサ入力部240を介して取り込むとともに、各室内機5a〜5cから熱交出口温度To(Toa〜Toc)と吸込温度Ts(Tsa〜Tsc)を通信部230を介して取り込む(ST4)。尚、熱交出口温度Toおよび吸込温度Tsは、室内機5a〜5cにおいて液側温度センサ61a〜61cや吸込温度センサ63a〜63cでの検出値をCPU510a〜510cがセンサ入力部540a〜540cを介して取り込み、通信部530a〜530cを介して室外機2に送信しているものである。また、上述した各検出値は、所定時間毎(例えば、30秒毎)に各CPUが取り込んで各記憶部に記憶している。
次に、CPU210は、ST4で取り込んだ吐出圧力Phを用いて高圧飽和温度Thsを求め(ST5)、求めた高圧飽和温度ThsとST4で取り込んだ熱交出口温度Toを用いて、室内機5a〜5cの冷媒過冷却度SC(SCa〜SCc)を求めるとともに、求めた高圧飽和温度ThsとST4で取り込んだ吸込温度Tsを用いて、室内機5a〜5cの最大冷媒過冷却度SCm(SCma〜SCmc)を求める(ST6)。
次に、CPU210は、ST6で求めた室内機5a〜5cの冷媒過冷却度SCを最大冷媒過冷却度SCmで除して求める過冷却度比SCr(SCra〜SCrc)が閾過冷却度比Rscより大きい室内機5a〜5c存在するか否かを判断する(ST7)。過冷却度比SCrが閾過冷却度比Rscより大きい室内機5a〜5cが存在しなければ(ST7−No)、CPU210は、ST9に処理を進める。過冷却度比SCrが閾過冷却度比Rscより大きい室内機5a〜5cが存在すれば(ST7−Yes)、CPU210は、不暖房解消制御を実行し(ST8)、ST9に処理を進める。
ここで、不暖房解消制御とは、暖房能力が発揮できていない室内機5cに滞留する冷媒を室内機5cから流出させて室内機5cの暖房能力を向上させるために行う制御である。例えば、CPU210は、室内機5a〜5cの冷媒過冷却度SCa〜SCcの中で最大値(室内機5cの冷媒過冷却度:10deg)と最小値(室内機5aの冷媒過冷却度:2deg)を抽出してこれらの平均値:(2+10)/2=6degである平均冷媒過冷却度を求め、この平均冷媒過冷却度と高圧飽和温度Thsを通信部230を介して室内機5a〜5cに送信する。通信部530a〜530cを介して平均冷媒過冷却度と高圧飽和温度Thsを受信した室内機5a〜5cのCPU510a〜510cは、室外機2から受信した高圧飽和温度Thsから液側温度センサ61a〜61cで検出した熱交出口温度Toa〜Tocを減じて冷媒過冷却度SCa〜SCcを求め、求めた冷媒過冷却度SCa〜SCcが、室外機2から受信した平均冷媒過冷却度となるように、室内膨張弁52a〜52cの開度を調整する。
以上に記載したような不暖房解消制御を行えば、平均冷媒過冷却度(6deg)より冷媒過冷却度SCの小さい室内機5aおよび5bでは、冷媒過冷却度SCa、SCbを平均冷媒過冷却度まで上昇させるために室内膨張弁52a、52bの開度が絞られるので、室内膨張弁52a、52bの下流側の冷媒圧力が低下する。
このとき、平均冷媒過冷却度より冷媒過冷却度Scの大きい室内機5cでは、室内膨張弁52a、52bの下流側の冷媒圧力が低下することによって室内膨張弁52cの下流側の冷媒圧力も低下するので、室内膨張弁52cの上流側と下流側の圧力差が大きくなる。これにより、室内機5cの室内熱交換器51cに滞留する液冷媒が液管8に流出して室内機5cでの液冷媒の滞留が解消されるので、室内機5cの暖房能力が上昇する。
ST8の処理を終えたCPU210は、使用者による運転モード切替指示があるか否かを判断する(ST9)。ここで、運転モード切替指示とは、現在の運転(ここでは暖房運転)から別の運転(冷房運転あるいは除湿運転)への切替を指示するものである。運転モード切替指示がある場合は(ST9−Yes)、CPU210は、ST1に処理を戻す。運転モード切替指示がない場合は(ST9−No)、CPU210は、使用者による運転停止指示があるか否かを判断する(ST10)。運転停止指示とは、全ての室内機5a〜5cが運転を停止することを指示すものである。
運転停止指示があれば(ST10−Yes)、CPU210は、運転停止処理を実行し(ST11)、処理を終了する。運転停止処理では、CPU210は、圧縮機21や室外ファン27を停止するとともに室外膨張弁24を全閉とする。また、CPU210は、室内機5a〜5cに対し通信部230を介して運転を停止する旨の運転停止信号を送信する。運転停止信号を通信部530a〜530cを介して受信した室内機5a〜5cのCPU510a〜510cは、室内ファン55a〜55cを停止するとともに室内膨張弁52a〜52cを全閉とする。
ST10において運転停止指示がなければ(ST10−No)、CPU210は、現在の運転が暖房運転であるか否かを判断する(ST14)。現在の運転が暖房運転であれば(ST14−Yes)、CPU210は、ST3に処理を戻す。現在の運転が暖房運転でなければ(ST14−No)、つまり、現在の運転が冷房運転もしくは除湿運転であれば、CPU210は、ST13に処理を戻す。
1 空気調和装置
2 室外機
5a〜5c 室内機
31 吐出圧力センサ
51a〜51c 室内熱交換器
52a〜52c 室内膨張弁
61a〜61c 液側温度センサ
63a〜63c 吸込温度センサ
100 冷媒回路
200 室外機制御部
210 CPU
500a〜500c 室内機制御部
510a〜510c CPU
Ph 吐出圧力
Rsc 閾過冷却度比
SC 冷媒過冷却度
SCm 最大冷媒過冷却度
SCr 過冷却度比
Ths 高圧飽和温度
To 熱交出口温度
Ts 吸込温度

Claims (2)

  1. 圧縮機と、同圧縮機から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段を有する室外機と、
    室内熱交換器と、室内膨張弁と、前記室内熱交換器が凝縮器として機能しているときに同室内熱交換器から流出する冷媒の温度である熱交出口温度を検出する液側温度検出手段を有する複数台の室内機を有し、
    前記室外機が前記複数台の室内機より上方に設置されるとともに、前記複数台の室内機の設置場所に高低差がある空気調和装置であって、
    前記複数台の室内機は、同複数台の室内機に流入する空気の温度を検出する吸込温度検出手段を有し、
    前記室内熱交換器が凝縮器として機能しているときに、前記複数台の室内機毎に、前記吐出圧力と前記熱交出口温度を用いて冷媒過冷却度を算出するとともに、前記吐出圧力と前記吸込温度を用いて最大冷媒過冷却度を算出し、前記冷媒過冷却度を前記最大冷媒過冷却度で除した過冷却度比が予め定められた閾過冷却度比より大きい場合は、当該室内機で暖房能力が発揮できていないと判断する制御手段を有する、
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記制御手段は、暖房能力が発揮できていない室内機が存在する場合は、当該室内機の暖房能力を向上させるための不暖房解消制御を実行する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
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