本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態の動作パラメータの設定支援システムの適用対象となる部品実装システム1の構成について説明する。部品実装システム1は基板13に電子部品を実装して実装基板を生産する機能を有している。本実施の形態では、複数の部品実装ライン4を通信ネットワーク2を介して管理装置3に接続した構成となっている。各部品実装ライン4における作業は管理装置3によって管理される。すなわち部品実装ライン4の属する各設備の稼働に必要なデータは管理装置3によって当該設備に送信され、各設備による処理結果は管理装置3に送信される。本実施の形態における管理装置3の機能には、部品実装ライン4による部品実装作業の実行において用いられる動作パラメータを設定して部品ライブラリを作成する機能が含まれる。
部品実装ライン4は、基板供給装置M1、基板受渡装置M2、半田印刷装置M3、部品実装装置M4、M5、リフロー装置M6および基板回収装置M7を直列に連結した構成となっている。基板供給装置M1によって供給された基板13(図2参照)は基板受渡装置M2を介して半田印刷装置M3に搬入され、ここで基板13に部品接合用の半田をスクリーン印刷する半田印刷作業が行われる。
半田印刷後の基板13は部品実装装置M4、M5に順次受け渡され、ここで半田印刷後の基板13に対して電子部品を実装する部品実装作業が実行される。そして部品実装後の基板13はリフロー装置M6に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルにしたがって加熱されることにより部品接合用の半田が溶融固化する。これにより電子部品が基板13に半田接合されて基板13に電子部品を実装した実装基板が完成し、基板回収装置M7に回収される。
次に図2、図3を参照して、部品実装装置M4、M5の構成および機能を説明する。部品実装装置M4、M5の要部断面を示す図2において、基台11上には基板搬送方向(X方向・・図において紙面垂直方向)に基板搬送機構12が配設されている。基板搬送機構12は半田印刷装置M3から搬入された基板13を搬送して、部品実装機構17による実装作業位置に位置決めして保持する。部品実装機構17は下端部に吸着ノズル20が装着された実装ヘッド19をヘッド移動機構18によってX方向、Y方向に水平移動する構成となっており、テープフィーダ15から電子部品を取り出して基板13に移送搭載する。
基板搬送機構12のY方向(X方向と直交する方向)の側方には、部品供給部14が配置されている。部品供給部14にはフィーダベース21aに設けられたフィーダ装着用の複数のスロット(図示省略)に予めテープフィーダ15が装着された状態の台車21がセットされる。基台11に設けられた固定ベース11aに対して、フィーダベース21aをクランプすることにより、部品供給部14において台車21の位置が固定される。
フィーダ装着用のスロットにはそれぞれフィーダアドレスが付されており、これらのフィーダアドレスを指定することにより、部品供給部14におけるテープフィーダ15を個別に特定できるようになっている。台車21には、電子部品を保持したキャリアテープ23をそれぞれ巻回状態で収納するテープリール22が保持されている。テープリール22から引き出されたキャリアテープ23は、テープフィーダ15によって吸着ノズル20による部品取り出し位置までピッチ送りされる。
部品供給部14と基板13との間には部品認識カメラ16が配設されており、テープフィーダ15から吸着ノズル20によって電子部品を取り出した実装ヘッド19が部品認識カメラ16の上方を移動することにより、吸着ノズル20に吸着保持された状態の電子部品が部品認識カメラ16によって撮像される。
図3に示すように、テープフィーダ15は当該テープフィーダ15の全体形状を構成するフィーダ本体部15aおよびフィーダ本体部15aの下面から下方に凸設された装着部15bを備えた構成となっている。フィーダ本体部15aの下面をフィーダベース21aに沿わせてテープフィーダ15を装着した状態では、装着部15bに設けられたコネクタがフィーダベース21aに嵌合する。これにより、テープフィーダ15は部品供給部14に固定装着されるとともに、テープフィーダ15はそれぞれの部品実装装置M4、M5の装置本体と電気的に接続される。
フィーダ本体部15aの内部には、フィーダ本体部15aのテープ送り方向における上流端部に開口するテープ走行路15cが、実装ヘッド19による吸着位置まで連通して設けられている。テープ走行路15cは、テープリール22から引き出されてフィーダ本体部15a内に導入されたキャリアテープ23のテープ送りを、フィーダ本体部15aの上流側から実装ヘッド19による吸着位置までガイドする機能を有している。
テープフィーダ15によるキャリアテープ23のテープ送りにおいては、テープフィーダ15に既装着のキャリアテープ23Aの末尾部と、部品切れにより交換された新たなテープリール22から引き出された新規のキャリアテープ23Bの先頭部とを、接合テープを用いて継ぎ合わせるテープスプライシング作業が行われる。これにより、部品切れによってテープリール22が交換される毎に2つのキャリアテープ23を継ぎ合わせた継ぎ目部Jが形成され、キャリアテープ23は途切れることなくテープフィーダ15によってテープ送りされる。
キャリアテープ23は、テープ本体を構成するベーステープ23aに、電子部品Pを収納保持する部品ポケット23bを所定ピッチで設けた構成となっている。ベーステープ23aの上面は、部品ポケット23bから電子部品Pが脱落するのを防止するために、部品ポケット23bを覆ってカバーテープ23cによって封止されている。
フィーダ本体部15aには、フィーダ本体部15aのテープ送り方向における下流端部に軸線を水平にした姿勢で配置されたスプロケット28によって、キャリアテープ23をピッチ送りするためのピッチ送り機構24が内蔵されている。ピッチ送り機構24は、スプロケット28を回転駆動するテープ送りモータ26およびテープ送りモータ26を制御する制御ユニット25を備えている。制御ユニット25の構成および機能については、図4における部品実装システム1全体の制御系と併せて説明する。
スプロケット28の外周に設けられた送りピン(図示省略)をキャリアテープ23の送り孔に係合させた状態でテープ送りモータ26を駆動することにより、キャリアテープ23はテープ走行路15cに沿ってピッチ送りされる。スプロケット28の手前側は、部品ポケット23b内の電子部品Pを、実装ヘッド19の吸着ノズル20によって吸着して取り出す吸着位置となっている。スプロケット28近傍のフィーダ本体部15aの上面側には、テープ押さえ部材27が配設されており、テープ押さえ部材27には吸着ノズル20による吸着位置に対応して吸着開口部27aが設けられている。吸着開口部27aの上流端は、カバーテープ23cを剥離するためのカバーテープ剥離部27bとなっている。
キャリアテープ23はテープ押さえ部材27によってテープ走行路15cに押さえつけた状態でピッチ送りされる。キャリアテープ23がテープ押さえ部材27の下方を走行する過程において、カバーテープ23cをカバーテープ剥離部27bを周回させて上流側に引き出すことによって、吸着位置の上流側にてカバーテープ23cがベーステープ23aから剥離される。これにより、部品ポケット23b内の電子部品Pは吸着開口部27aにおいて上方へ露呈され、吸着ノズル20による取り出しが可能な状態となる。
テープフィーダ15において作業者が操作時に接近する下流側(図において左側)の上面には、作業者による操作および作業者に対する報知を行うための操作ユニット29が配設されている。操作ユニット29の上面には、動作状態を示すLED灯29aのほか、以下の表示機器、操作機器が配置されている。まず表示部29bは2文字程度の数字や英字などの符号を表示可能な簡易式の表示装置であり、ここでは7セグメント方式の表示素子を2つ組み合わせて構成されている。操作ユニット29はテープフィーダ15内において制御ユニット25に接続されており、制御ユニット25を介して表示内容が指令される。
表示部29bには、テープフィーダ15の動作監視や保守において必要な項目として予め設定された所定の項目であって、符号で簡略的に表示可能な項目が表示される。本実施の形態においてはこれらの表示項目には実装動作実行上の各種のパラメータ、すなわち当該テープフィーダ15によるテープ送り動作および部品実装機構17の実装ヘッド19による部品実装動作に関連する情報であって、これらの動作態様を規定する動作パラメータの設定のための情報が表示されるようになっている。
操作ユニット29には、表示部29bとともに操作入力部29cが設けられている。操作入力部29cは、テープフィーダ15を手動操作によって動作させるための操作入力のほか、表示部29bに上述の情報を表示させまた表示される情報を切り替えるための表示操作入力、さらには表示された設定情報を変更するための変更操作入力を行う機能を有する。
本実施の形態では操作入力部29cは、表示切替ボタン29d、テープ送りボタン29e、テープ戻しボタン29fおよびカバーテープ巻き取りボタン29gより構成されている。表示切替ボタン29dは、表示部29bのON/OFF操作や、上述の表示される設定情報などの表示項目を切り替えるための操作ボタンである。すなわち表示部29bが非表示の状態から表示切替ボタン29dを押圧操作することにより表示部29bが表示状態となり、この後表示切替ボタン29dを予め定められた所定パターンで押圧操作すると、表示部29bに表示される設定情報などの表示項目が切り替わり、押圧操作の都度予め設定された切替順序に従って次の表示項目が順次表示される。
テープ送りボタン29e、テープ戻しボタン29fは、テープフィーダ15においてキャリアテープ23を手動操作によってテープ送りするための操作ボタンである。すなわち、前進方向に矢印が付されたテープ送りボタン29eを操作することにより、キャリアテープ23を前進方向にテープ送りすることができ、後退方向に矢印が付されたテープ戻しボタン29fを操作することにより、キャリアテープ23を後退方向にテープ送りすることができる。カバーテープ巻き取りボタン29gはカバーテープ23cの巻き取り用の手動操作ボタンであり、カバーテープ巻き取りボタン29fを操作することにより、テープ剥離位置にてベーステープ23aから剥離されたカバーテープ23cは、カバーテープ送り機構24によってテープ回収部内へ導かれる。
さらにテープ送りボタン29e、テープ戻しボタン29fは、前述の設定情報を構成する数値データを変更するための入力ボタンとして用いられる。すなわち表示切替ボタン29dによって表示項目を選択した後に、テープ送りボタン29e、テープ戻しボタン29fを操作することにより、数値データを加減する変更操作を行うことができる。なお操作ユニット29における表示部29bや操作入力部29cの構成は任意であり、設定する情報の種類や所望の操作性に応じて適宜選択することが可能である。
すなわち上述構成の部品実装装置M4、M5は、少なくともテープフィーダ15が配置された部品供給部14から、吸着ノズル20を備えた実装ヘッド19によって電子部品Pを取り出して基板13へ移送搭載する機能を有している。そして部品実装装置M4、M5による部品実装作業において、テープフィーダ15による部品供給や部品実装機構17による部品実装の動作は、実装対象となる部品の種類に応じて予め設定された動作パラメータに従ってこれらの作業機構を制御することによって行われる。
本実施の形態に示す部品実装システム1では、動作パラメータの設定を以下に説明する構成によって支援する機能を有している。すなわち、予め記憶されたCADデータやBOMデータに基づいて管理装置3によって設定された動作パラメータを、部品実装ライン4において作業者が現物部品を確認した結果取得した部品パラメータ(部品情報、テープ情報)を参照して、必要に応じて更新するようにしている。動作パラメータは、以下に説明する部品ライブラリの形で、部品種類毎に準備される。
ここで部品ライブラリの構成例を、図5を参照して説明する。図5に示す例では、部品ライブラリ32aは、形状図50、サイズデータ51、部品パラメータ52、動作パラメータ55より構成される。各項目の空欄部分には、画像、数値および、用語等が表示される。各項目の空欄部分に表示される数値と用語は、図示しないタブを用いて複数の選択肢から作業者が選択して表示される。形状図50は対象となる電子部品の外形を図示する。サイズデータ51は、当該電子部品のサイズ情報、すなわち、外形寸法、リード数、リードピッチ、リード長さ、リード幅、部品高さなどを数値データで示す。
部品パラメータ52は当該電子部品についての属性情報であり、部品自体に関する情報である部品情報53および当該電子部品をテープフィーダ15により供給するためのキャリアテープ23に関する情報であるテープ情報54を含んでいる。部品情報53では、電子部品Pの極性、極性マーク、マーク位置、部品種別、および価格情報53aが示されている。テープ情報54には、キャリアテープ23のテープ素材、キャリアテープ23の幅寸法を示すテープ幅54a、テープ送りピッチを示す送り間隔54b、キャリアテープ23を画像認識の対象とする際の特性と関連した情報である色・材質情報54cが含まれている。
動作パラメータ55は、当該電子部品を部品実装装置M4、M5による部品実装作業の対象とする際の動作態様を規定するマシンパラメータである。ここに示す例では、当該実装装置の種類を示す機種55a、使用される吸着ノズル20の種類を示すノズル設定55bが含まれている。さらに、動作パラメータ55には、スピードパラメータ55c、認識55d、ギャップ55e、吸着55f、装着55gなどが含まれている。
スピードパラメータ55cには、吸着ノズル20によって電子部品を吸着する際の吸着速度、実装ヘッド19によって電子部品を移送する際の実装速度、テープフィーダ15によってキャリアテープ23を送る際のテープ送り速度が含まれている。認識55dは部品認識の態様を規定するパラメータであり、使用される部品認識カメラ16の種類を示すカメラ種別、撮像時の照明形態を示す照明モード、撮像時の吸着ノズル20による電子部品の保持高さを示す認識高さが含まれている。ギャップ55eには、吸着ノズル20によって電子部品を吸着する際の吸着ギャップ、保持した電子部品を基板13に搭載する際の実装ギャップが含まれる。
吸着55fは、吸着ノズル20による電子部品の吸着時のオフセット量を示す吸着位置オフセットや、吸着角度を規定する。装着55gは、吸着ノズル20に保持した電子部品を基板13に搭載する際の押圧荷重を規定する。なお図5の部品ライブラリ32aに示される部品パラメータ52、動作パラメータ55は該当する項目の例示であり、ここに示す項目以外にも各種のパラメータが必要に応じて設定される。
上述の部品ライブラリ32aにおいて、部品パラメータ52の項目と動作パラメータ55の項目との組み合わせには、特定の対応関係を有するものが存在する。動作パラメータ55の項目のうち多くの項目は、対象となる部品パラメータ52が与えられると部品実装装置M4、M5の動作との関係により一意的に決定される。ところが、部品パラメータ52の特定の項目と動作パラメータ55の特定の項目との組み合わせによっては、対象となる部品パラメータ52が与えられても必ずしも動作パラメータ55を一意的に決定することができないものが存在する。このような部品パラメータ52は部品実装装置M4、M5の動作とは直接関係せず、何らかの選択ルール(または作業者による主体的選択)によって決定される。ここで、部品実装装置M4、M5の動作とは、基板13に電子部品を実装して実装基板を生産するために部品実装装置M4、M5が行う動作のことを指し、例えば、吸着動作、認識動作、搬送動作、または装着動作等が該当する。
部品実装装置M4、M5の動作とは直接関係せず選択ルールが必要とされる部品パラメータ52の項目を以下に具体的に説明する。なお、後述で説明する部品パラメータ52および動作パラメータ55に関する項目は、適宜図6を参照して説明する。
ここでは、部品パラメータ52の項目と動作パラメータ55の項目との組み合わせの例および対象となる動作パラメータ55の各項目について、部品ライブラリ32aに入力される動作パラメータ55の設定値の例を示す。なお、ここで用いる「設定値」とは、数値で表される数値設定データには限定されず、有り/無し、安価/高価、高速/中速/低速・・など、定量・定性的に表された選択肢の選択結果なども含む。
ここでは部品パラメータ52として、部品情報53、テープ情報54の少なくとも一方が対象とされる。部品情報53における価格情報53aは、当該電子部品が予め設定された価格判定基準に照らして、安価/高価のいずれに属するかを示す情報が設定値になる。
テープ情報54にはテープ幅54a、送り間隔54b、色・材質情報54cがあり、テープ幅は4mm、8mm、12mm等、色情報は白、黒、透明等、材質情報は、紙、エンボス等のいずれかに属するかを示す情報が設定値になる。このような選択ルールを要する部品パラメータ52の項目が設定されており、これらの項目のうち少なくとも1つが対象となる。なおこれらの例示項目以外にも同様の関係を有する部品パラメータ52、すなわち部品実装装置M4、M5の動作とは直接関係しないパラメータの項目と動作パラメータ55の項目との組み合わせが存在してもよい。
次に価格情報53aに対応する動作パラメータ55の項目として、「吸着動作に対する再実行回数」57a、「部品認識動作に対する再実行回数」57b、「吸着動作に対する再実行動作設定」57c、「部品認識動作に対する再実行動作設定」57dおよび「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57e等があり、これらの項目のうち少なくとも1つが対象となる。
「吸着動作に対する再実行回数」57aは、吸着ノズル20による吸着エラー発生時に直ちに装置停止することなく吸着動作を再実行する回数を予め設定する項目である。「部品認識動作に対する再実行回数」57bは、部品認識エラー発生時に部品を捨てずに認識動作を再度実行する回数を予め設定する項目である。そして「入力される設定値」として、「吸着動作に対する再実行回数」57a、「部品認識動作に対する再実行回数」57bのいずれについても、「回数を入力」が規定されている。
「吸着動作に対する再実行動作設定」57cは、吸着エラー時にキャリアテープを送らずに再度吸着動作を行うか否かを予め設定する項目である。「部品認識動作に対する再実行動作設定」57dは、認識エラー時に部品を捨てずに再度認識動作を行うか否かを予め設定する項目である。また「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57eは、継ぎ目部J(図3参照)のテープ送り動作に際して、吸着開口部27aのカバーテープ剥離部27bにてキャリアテープ23からカバーテープ23cを剥離した後に、電子部品Pが露呈した部品ポケット23bを対象として吸着ノズル20による吸着動作を行わせるか(設定あり)、またはキャリアテープを指定長さだけテープ送りするか(設定無し)を予め設定する項目である。
そして「入力される設定値」として、「吸着動作に対する再実行動作設定」57c、「部品認識動作に対する再実行動作設定」57d、「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57eのいずれについても、「有り/無し(設定するか/設定しないか)」が規定されている。 またテープ情報54のテープ幅54a、送り間隔54b、色・材質情報54cに対応する動作パラメータ55の項目として、「吸着位置自動ティーチ使用設定」57f(図15参照)、「吸着位置自動ティーチ実行タイミング設定」57g、「キャリアテープ送り速度設定」および「キャリアテープ先送り設定」が例示されており、これらの項目のうち少なくとも1つが対象となる。
「吸着位置自動ティーチ使用設定」57fは、吸着ノズル20による部品吸着位置を画像認識により自動的に設定する吸着位置自動ティーチを実行するか否かを予め設定する項目である。「吸着位置自動ティーチ実行タイミング設定」57gは、ワーク切れ/スプライシング乗り移り/機種切り替え時の各タイミングに、吸着位置自動ティーチを実行するか否かを予め設定する項目である。そして「入力される設定値」として、「吸着位置自動ティーチ使用設定」57fについては「有り/無し(設定するか/設定しないか)」が、「吸着位置自動ティーチ実行タイミング」57g(図15参照)については「各タイミング毎に、有り/無しを入力」が規定されている。
「キャリアテープ送り速度設定」は、テープフィーダ15におけるキャリアテープ23の送り速度を設定する項目であり、「入力される設定値」として「高速/標準/低速を選択、または送り速度を数値指定」が規定されている。また「キャリアテープ先送り設定」は、カバーテープ23cが剥離されて電子部品Pが露呈した部品ポケット23bを吸着位置に先送りするか否かを予め設定する項目である。「入力される設定値」としては「有り/無し(設定するか/設定しないか)」が規定されている。
本実施の形態に示す部品実装システム1に用いられる部品実装装置M4、M5に用いられる動作パラメータの設定支援システムにおいては、上述のような関係を有する部品パラメータ52の項目と動作パラメータ55の項目との組み合わせについては、以下に説明する相関テーブル33a、ルールテーブル33bおよびパターンデータ33c(図4、図6参照)を作成するようにしている。
そして管理装置3にて準備された部品ライブラリ32aを用いて部品実装作業を実行するに際し、部品実装ライン4にて現物部品を確認した結果およびルールテーブル33b、パターンデータ33cに基づいて、既存の動作パラメータを変更した更新後の動作パラメータを用いるようにしている。なお実際の生産に用いられる部品ライブラリ32aにおいては、図6に示す相関テーブル33a、ルールテーブル33bにて例示されている項目以外の部品パラメータ52、動作パラメータ55についても、個々のパラメータの特性に応じて相関テーブル33a、ルールテーブル33bに採り入れられる。
次に図4を参照して、このような動作パラメータの設定支援機能を備えた部品実装システム1の制御系の構成を説明する。なお図4においては、図1に示す構成の部品実装システム1の各部の制御系のうち、管理装置3および1つの部品実装ライン4に備えられた部品実装装置M4の構成のみ記載している。管理装置3は、処理部30、記憶部31、入力部36、表示部37を備えた構成となっている。さらに処理部30は、ルールテーブル作成処理部30a、動作パラメータ設定処理部30bを備えている。
入力部36は、操作指示やデータ入力を行う。これらのデータには、部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値が含まれる。すなわち入力部36には、電子部品Pに関する部品情報53またはテープフィーダ15によって供給されるキャリアテープ23に関するテープ情報54の少なくとも一方を含む部品パラメータ52の設定値が入力される。表示部37は入力部36による入力時の案内画面やルールテーブル作成処理部30a、動作パラメータ設定処理部30bによる処理実行のための画面や処理実行結果を示す画面を表示する。
記憶部31には、生産データ32、テーブルデータ33、CADデータ34、BOMデータ35が記憶されている。生産データ32は、生産対象の基板13に対して実行される部品実装作業に用いられる実装位置データなど、生産実行に用いられるデータであり、図5に示す部品ライブラリ32aが含まれている。テーブルデータ33には、相関テーブル33a、ルールテーブル33bおよびパターンデータ33cが含まれている。CADデータ34は、設計部門より受け取る基板設計情報である。BOMデータ35は電子部品Pの供給元より提供される部品データである。
ここでテーブルデータ33に含まれる相関テーブル33a、ルールテーブル33bおよびパターンデータ33cついて説明する。相関テーブル33aは、部品パラメータ52とこれに対応する動作パラメータ55との相関関係を示すデータであり、予め作業者により経験や作業実行指針に基づいて作成される。図6(a)に示す例では、部品パラメータ52である価格情報53aと対応する動作パラメータ55との相関関係を示している。ここでは、価格情報53aに、「吸着動作に対する再実行回数」57a、「部品認識動作に対する再実行回数」57b、「吸着動作に対する再実行動作設定」57c、「部品認識動作に対する再実行動作設定」57d、「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57eを対応させている。
ルールテーブル33bは、部品パラメータ52の設定値に対応する動作パラメータ55の設定値との対応関係を予め規定したテーブルデータである。図6(b)に示す例では、部品パラメータ52である価格情報53aの2つの設定値(安価/高価)に、動作パラメータ55としての「吸着動作に対する再実行回数」57a、「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57e、「部品認識動作に対する再実行回数」57bのそれぞれの設定値を対応させて、ルールテーブル33bとしている。ここでは、部品パラメータ52の1つの設定値に対応する複数の動作パラメータ55の設定値のグループを1つの個別のルールテーブル33b*として定義している。ここでカテゴリ欄59に記載されたパターン番号58は、これら個別のルールテーブル33b*を特定する番号である。
価格情報53aの1つの設定値である「安価」には、動作パラメータ55である「吸着動作に対する再実行回数」57a、「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57e、「部品認識動作に対する再実行回数」57bに、動作パラメータ55の設定値としての「部品切れ」、「一括送り」、整数値「3」がそれぞれ対応している。
すなわち、価格情報53aが安価な電子部品については、以下のように設定値が決定される。まず「吸着動作に対する再実行回数」57aに対する設定値としては、「部品切れ」発生の判定のために予め設定された吸着反復実行回数と同じ回数が、設定値として入力される。また「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57eに対する設定値としては、予め設定された規定のテープ長さだけテープ送りする「一括送り」が、設定値として入力される。さらに「部品認識動作に対する再実行回数」57bに対する設定値としては、認識エラー時に3回まで認識動作を再実行することを示す整数値(3)が設定値として入力される。そして上述の価格情報53aが安価な電子部品について設定された複数の設定値は、パターン番号58が(1)の個別のルールテーブル33b*(「パターン1」58a)として特定される。
これに対し、価格情報53aが高価な電子部品については、以下のように設定値が決定される。まず「吸着動作に対する再実行回数」57aに対する設定値としては、吸着動作の再実行回数を1回に限定することを意味する整数値(1)が設定値として入力される。また「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57eに対する設定値としては、吸着ミスとしてのカウントを行わず電子部品が存在する部品ポケット23bから必ず吸着することを規定する「カウント無し」が設定値として入力される。さらに「部品認識動作に対する再実行回数」57bに対する設定値としては、認識エラー時に2回まで認識動作を再実行することを示す整数値(2)が設定値として入力される。そして上述の価格情報53aが高価な電子部品について設定された複数の設定値は、パターン番号58が(2)の個別のルールテーブル33b*(「パターン2」58b)として特定される。
このような複数の設定値を括った個別のルールテーブル33b*をパターン番号58によって特定する構成によってパターンデータ33cが定義され、テーブルデータ33を構成する情報の一部となる。すなわち本実施の形態においては、1つのパターン番号58によって特定される複数の動作パラメータ55についての設定値を個別のルールテーブル33b*として定義している。換言すれば部品ライブラリ32aには、パターン番号58によって特定される複数の個別のルールテーブル33b*が記憶されている。
このようにして作成されたルールテーブル33bおよびルールテーブル33bにおいて定義されたパターンデータ33cを用いることにより、部品実装ライン4にて現物の電子部品を確認した作業者は、当該電子部品の価格情報53aの設定値が「安価」であるか「高価」であるかを判断して、その設定値に対応したパターン番号58を選択(ここでは、「パターン1」、「パターン2」のいずれかを選択)して入力するという簡便な操作のみで、複数の動作パラメータ55について適切な設定値を設定することが可能となっている。
図7は、パターン番号58の選択により動作パラメータの設定を行うパターン選択60の実際例を示している。図8において、フィーダアドレス61はフィーダベース21a(図3参照)に装着される複数のテープフィーダ15を個々に特定するために付与された位置識別番号(1,2,3,4,・・・)である。そしてサブアドレス62は、1つのフィーダアドレス61について2つのテープフィーダ15が装着されるダブルフィーダの場合において、2つのテープフィーダ15(LまたはR)を識別するための補助識別符号である。
図7に示す例では、フィーダアドレス61が1,2の特定アドレス61aには1つのテープフィーダ15(シングルフィーダ)が装着され、フィーダアドレス61が3,4の特定アドレス61bには2つのテープフィーダ15(ダブルフィーダ)が装着される例が示されている。そして特定アドレス61aについては、選択欄63に示すように、「パターン2」58bが、特定アドレス61bについては、「パターン1」58aが選択されている。
上記構成において、記憶部31は、部品パラメータ52と部品パラメータ52に対応する動作パラメータ55とを関連付けた相関テーブル33aを記憶する。処理部30の機能であるルールテーブル作成処理部30a(作成部)は、入力部36に入力された部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値と、記憶部31に記憶された相関テーブル33aとからルールテーブル33bを作成する処理を行う。すなわち入力部36に部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値とを入力することにより、ルールテーブル作成処理部30aは記憶部31から予め記憶された相関テーブル33aを読み出す。そして入力された部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値とを相関テーブル33aに適用することにより、ルールテーブル33bを作成して記憶部31に記憶する。
また動作パラメータ設定処理部30b(設定部)は、入力部36に入力された部品パラメータ52の設定値に対応した動作パラメータ55の設定値を設定する処理を行う。すなわち入力部36に部品パラメータ52の設定値を入力することにより、動作パラメータ設定処理部30bは記憶部31から上述の記憶されたルールテーブル33bを読み出す。そして入力された部品パラメータ52の設定値とルールテーブル33bより、ルールテーブル33bに基づいた部品パラメータ52の設定値を導出し、表示部37に表示させる。
次に、部品実装装置M4、M5の制御系の構成について説明する。部品実装装置M4は、制御部40、記憶部41を備えている。記憶部41には、管理装置3の記憶部31に記憶される生産データ32、テーブルデータ33と同内容のデータが記憶されている。すなわち記憶部41には、図5に示す部品ライブラリ32a、図6に示す相関テーブル33a、ルールテーブル33b、パターンデータ33cなど、制御部40による制御処理に用いられる情報が記憶されている。
制御部40は基板搬送機構12、部品実装機構17、テープフィーダ15と接続されており、実装制御部40a、入力部40b、表示部40c、設定部40dおよび照合部40eを備えている。実装制御部40aは、記憶部41に記憶された生産データ32に基づいて、基板搬送機構12、部品実装機構17、テープフィーダ15の動作を制御する。これにより、テープフィーダ15から取り出した電子部品Pを基板13に移送搭載する部品実装作業が実行される。
入力部40bには、電子部品Pに関する部品情報またはテープフィーダによって供給されるキャリアテープに関するテープ情報の少なくとも一方を含む部品パラメータの設定値が入力される。表示部40cは、入力部40bによる入力時の案内画面や設定部40dによる処理実行のための画面、処理実行結果を示す画面、図7に示すパターン選択用の画面などの各種の画面を表示する。設定部40dは、入力部40bに入力された部品パラメータの設定値に対応した動作パラメータの設定値をルールテーブル33bに基づいて設定する。
照合部40eは入力部40bに入力された動作パラメータ55の設定値と、設定部40dによって設定された動作パラメータ55の設定値とを照合する機能を有しており、入力部40bに入力された動作パラメータ55の設定値と設定部40dによって設定された動作パラメータ55の設定値とが一致しない場合には、表示部40cにエラー報知させる(図12参照)。
テープフィーダ15がフィーダベース21aに装着された状態では、テープフィーダ15に備えられた制御ユニット25は部品実装装置M4、M5の制御部40と接続される。図3に示すように、制御ユニット25は、フィーダ制御部42、フィーダ記憶部43、表示部44、操作・入力部45および変更処理部46を備えている。
フィーダ制御部42はテープ送りモータ26を駆動するためのモータ駆動部42aを備えており、テープフィーダ15によるテープ送り動作を制御する。フィーダ記憶部43、表示部44、操作・入力部45、変更処理部46は、動作パラメータ55の設定支援に関する処理機能であり、作業者はテープフィーダ15にアクセスするのみで、操作ユニット29を介して動作パラメータ55の設定や変更に関する処理を行えるようになっている。
すなわち、部品実装装置M4、M5を操作対象とする場合には入力部40bを対象として行われる入力操作を、各テープフィーダ15を対象とする場合には操作入力部29cを介して操作・入力部45を対象として行う。また部品実装装置M4、M5では表示部40cに表示された表示内容を、表示部44による表示処理によって操作ユニット29の表示部29bに表示させる。
フィーダ記憶部43は、電子部品Pに関する部品情報53またはキャリアテープ23に関するテープ情報54の少なくとも一方を含む部品パラメータ52の設定値と部品実装装置M4、M5の少なくとも一つの動作に関する動作パラメータ55の設定値とを対応付けたルールテーブル33b、および当該ルールテーブル33bにおいて対応付けられて括られた複数の設定値を特定するパターン(パターン番号58)を記憶する。表示部44は、フィーダ記憶部43に記憶されたルールテーブル33bのパターン(図6(b)参照)を表示する。表示の形態としては、操作ユニット29に設けられた表示部29bにパターン番号58を表示させるようにしている。図3では、表示部29bに「パターン2」58bを意味する整数値(2)が表示された例を示している。
操作・入力部45は、表示部44にルールテーブル33bのパターンを表示させるための表示操作入力および表示されたルールテーブル33bのパターンを変更するための変更操作入力を行う。この入力操作は、操作ユニット29に設けられた操作入力部29cの機能を用いて行われる。変更処理部46は、操作・入力部45に入力された変更操作入力に基づき部品実装装置M4の記憶部41およびフィーダ記憶部43に記憶されたルールテーブル33bのパターン(パターン番号58)を変更するための信号を出力する。
なお図4に示す制御系の構成は、部品実装システム1において動作パラメータの設定支援を行うための1つの例であり、同様の機能を果たすためには種々のバリエーションが可能である。例えば、図4では管理装置3が備えた処理部30の処理機能(ルールテーブル作成処理部30a、動作パラメータ設定処理部30b)によってルールテーブル33bの作成や動作パラメータ55の設定を行うようにしているが、これらの機能を部品実装装置M4、M5の制御部40に持たせるようにしてもよい。例えば、設定部40dにルールテーブル作成処理部30a、動作パラメータ設定処理部30bと同様の処理機能を備えるようにし、管理装置3の入力部36、表示部37と、部品実装装置M4、M5の入力部40b、表示部40cとを同様の機能を有する構成とする。
上記構成において、上述機能を有する入力部36、記憶部31、ルールテーブル作成処理部30aの組み合わせは、部品実装装置M4による実装作業の実行形態を規定する動作パラメータ55を設定する動作パラメータの設定支援システムを構成する。さらに本実施の形態においては、動作パラメータ設定処理部30bおよび表示部37を備えており、動作パラメータ設定処理部30bは、入力部36に入力された部品パラメータ52とルールテーブル作成処理部30aによって作成されたルールテーブル33bとに基づいて、入力された部品パラメータ52に対応する動作パラメータ55の設定値を設定する。そして設定された動作パラメータ55の設定値は表示部37に表示される。
また、入力部40b、記憶部41、作成部の機能を有する設定部40dの組み合わせは、部品実装装置M4による実装作業の実行形態を規定する動作パラメータ55を設定する動作パラメータの設定支援システムを構成する。さらに本実施の形態においては、設定部40dおよび表示部40cを備えており、設定部40dは、入力部40bに入力された部品パラメータ52とルールテーブル作成処理部30aによって作成されたルールテーブル33bとに基づいて、入力された部品パラメータ52に対応する動作パラメータ55の設定値を設定する。そして設定された動作パラメータ55の設定値は表示部40cに表示される。
さらに、部品実装システム1において複数の部品実装ライン4のそれぞれに当該ラインを管理するライン制御部(図示省略)が設けられている場合には、ライン管理部の制御装置に部品実装装置M4の制御部40と同様の機能を持たせるようにしてもよい。これにより、動作パラメータの設定支援に関する操作を、管理装置3、部品実装装置M4、M5にアクセスすることなく、部品実装ライン4毎に実行することができる。
本実施の形態の部品実装装置M4、M5および動作パラメータの設定支援システムは上記のように構成されており、以下本実施の形態において実行される各種の処理について、各図を参照して説明する。まず図8を参照して、部品ライブラリデータ作成、すなわち部品実装装置M4、M5による実装作業の動作態様を規定する動作パラメータの設定値の設定フローについて説明する。
ここに示す部品ライブラリデータ作成は、データ作成エリアに配置された管理装置3によって、既存の利用可能なデータのみに基づいて一旦部品ライブラリ32aを作成しておき、生産エリアの部品実装ライン4における部品実装作業が実行される過程において、実際の現物部品を確認した結果に基づき、必要なデータ変更を行って部品ライブラリ32aの更新を行うようにしている。
部品ライブラリデータ作成が開始されると(ST1)、まず管理装置3の処理部30によって記憶部31に記憶されたCADデータ34、BOMデータ35を読み出して取得する(ST2)。そして取得したCADデータ34、BOMデータ35に基づいて、動作パラメータ設定処理部30bの処理機能によって動作パラメータ55を設定する(ST3)。
これにより、記憶部31に記憶された既存のデータのみに基づいた部品ライブラリ32aが一旦作成される。この段階で作成される部品ライブラリ32aは、個々の電子部品について確定した部品情報53に基づいて設定されたものではなく、未確定情報については予め仮に設定されたデフォルト値が便宜的に用いられている。このため生産エリアにおける生産が実際に実行される段階では、未確定情報を現物の電子部品を確認した結果に基づき確定させ、適切なデータ修正を行う。以下の処理は、生産エリアに配置された部品実装ライン4の部品実装装置M4、M5の制御部40またはライン管理装置によって行うことが便宜である。
このデータ修正では、まず未確定情報であってデフォルト値が仮設定された項目につき、実際に使用される現物の電子部品を確認する。そして現物の部品情報に基づき、部品パラメータ52を更新する(ST4)。すなわち電子部品に関する部品情報53またはテープフィーダ15によって供給されるキャリアテープ23に関するテープ情報54の少なくとも一方を含む部品パラメータ52の適正な設定値を取得して更新する。
この更新処理においては、まず記憶部41に記憶されたテーブルデータ33に含まれるルールテーブル33bを取得する(ST5)。すなわち部品パラメータ52の設定値と部品実装装置M4、M5の少なくとも一つの動作に関する動作パラメータ55の設定値とを対応付けたルールテーブル33bを読み出す。そして、更新した部品パラメータ52とルールテーブル33bに基づいて、動作パラメータ55の最適値を設定する(ST6)。
すなわち、取得された部品パラメータ52の設定値に対応した動作パラメータ55の設定値をルールテーブル33bに基づいて設定する。ここでは、図7に示すように、パターン番号58を選択して入力することにより、ルールテーブル33bにおいて個別のルールテーブル33b*として括られた複数の動作パラメータ55の最適値が一括して設定される。これにより、動作パラメータ55の設定値の設定のための、部品ライブラリデータ作成処理を終了する(ST7)。
ここで図9を参照して、前述の部品ライブラリデータ作成処理においてデフォルト値として用いることが可能な初期値の設定処理について設定する。ここでは、初期値の設定は生産時の実績データに基づいて設定する方針を採用していることから、部品実装ライン4に配置された部品実装装置M4、M5によってこれらの処理を実行する例を示している。もちろん管理装置3の機能を用いてこの処理を実行してもよい。
初期値の設定処理が開始されると(ST11)、まず記憶部41に記憶された部品ライブラリ32aを取得する(ST12)。前述のように、部品ライブラリ32aには、パターン番号28によって特定される複数のルールテーブル33bが記憶されている。次いで取得した部品ライブラリ32aの各部品について、設定部40dの機能によってルールテーブル33bの各パターンの数をカウントする(ST13)。そしてカウント数が最も多いパターンを初期値に設定する(ST14)。換言すれば、設定部40dは、部品ライブラリ32aから最も高頻度で設定されるルールテーブル33bの「パターン」(部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値の組み合わせ)に対応する設定値を初期値として設定する。
次に図10を参照して、上述の方法で設定された初期値を用いた部品ライブラリデータ作成フローについて説明する。部品ライブラリデータ作成が開始されると(ST21)、まず管理装置3の処理部30によって記憶部31に記憶されたCADデータ34、BOMデータ35を読み出して取得する(ST22)。そして取得したCADデータ34、BOMデータ35に基づいて、動作パラメータ設定処理部30bの処理機能によって動作パラメータ55を設定する(ST23)。これにより、記憶部31に記憶された既存のデータのみに基づいた部品ライブラリ32aが一旦作成される。
この段階で作成される部品ライブラリ32aには、未設定の動作パラメータが存在するため、未設定の動作パラメータについては上述のように設定された初期値を設定する(ST24)。このように、生産実績に基づいて設定された初期値を用いることにより、特に裏付けのない単なるデフォルト値を設定する場合と比較して、より信頼性の高い動作パラメータを設定することができる。
次いで、部品パラメータ52を取得する(ST25)。この部品パラメータ52の取得に際しては、既存の部品ライブラリ32aのデータを流用してもよいし、図8のフローに示す例のように、現物の電子部品を確認することにより部品情報を取得してもよい。すなわち電子部品に関する部品情報53またはテープフィーダ15によって供給されるキャリアテープ23に関するテープ情報54の少なくとも一方を含む部品パラメータ52の適正な設定値を取得して更新する。
この更新処理においては、まず記憶部41に記憶されたテーブルデータ33に含まれるルールテーブル33bを取得する(ST26)。すなわち部品パラメータ52の設定値と部品実装装置M4,M5の少なくとも一つの動作に関する動作パラメータ55の設定値とを対応付けたルールテーブル33bを読み出す。そして、取得した部品パラメータ52とルールテーブル33bに基づいて、動作パラメータ55を変更したか否かを判断する(ST27)。
ここで、動作パラメータ55を変更している場合には、動作パラメータ55の設定値の設定のための、部品ライブラリデータ作成処理を終了する(ST29)。そして(ST27)において動作パラメータ55を変更していない場合には、図8にて示す例と同様に、取得した部品パラメータ52とルールテーブル33bに基づいて、動作パラメータ55の最適値を設定し(ST28)、その後部品ライブラリデータ作成処理を終了する(ST29)。
次に図11を参照して、図8または図10に示すフローに従って作成された部品ライブラリ32aにおいて、設定した動作パラメータが正しいか否かをチェックするチェック処理について説明する。このチェック処理は、生産エリアの部品実装ライン4に配置された部品実装装置M4、M5の制御部40が有する照合部40eによって実行される。
処理が開始されると、まず部品ライブラリ作成済みか否かを判断する(ST31)。そして作成済みが確認されたならば、各電子部品について、入力された部品パラメータに基づく動作パラメータと選択されたパターンの動作パラメータとを照合する(ST32)。次いで、全電子部品の部品パラメータに基づく動作パラメータの照合結果が一致するか否かを判断する(ST33)。
ここで照合結果が一致していないと判断された場合には、不一致の電子部品に対してエラー報知を行う(ST34)。図12は、このエラー報知に際して表示部40cに表示されるエラー報知画面を示している。すなわち表示部40cには、図8に示すパターン選択画面と同様構成のエラー報知64が表示され、フィーダアドレス61のうち不一致の電子部品を収納したテープフィーダ15の配列位置に対応する特定アドレス61aが反転表示される。
次に不一致部品に対して修正がなされて設定変更があるか否かを判断する(ST35)。ここで設定変更がなく不一致の状態が継続している場合には、(ST34)に戻ってエラー報知を行う。また(ST35)にて設定変更有り、すなわち適正な設定値に修正変更されたことが確認された場合には、(ST32)に戻って、次の電子部品について同様の照合処理を反復実行する。そして(ST33)にて、全電子部品の部品パラメータに基づく動作パラメータの照合結果の一致が確認されて、チェック処理を終了する(ST36)。
すなわち照合部40eは、入力された動作パラメータ55の設定値と設定部40dによって設定された動作パラメータ55の設定値とが一致しない場合には、表示部40cにエラー報知させる。なおこのチェック処理において表示部40cは、エラー報知に際して設定部40dによって設定された動作パラメータ55の設定値を表示させるようにしている。
次に、図13、図14を参照して、本実施の形態における第2の実施例について説明する。第2の実施例では、図13に示すように、各部品実装ライン4に配員された作業者5はそれぞれ携帯端末6を有しており、装置稼働のための各種の操作を携帯端末6を介して実行することが可能となっている。ここでは、前述の動作パラメータ55の設定のための各種の操作を携帯端末6を介して実行する。
図14に示すように、携帯端末6は所定内容の画面の表示や入力のためのタッチ操作が可能な表示パネル6aを備えている。表示パネル6aには、図7に示すパターン選択のための画面や、図12に示すエラー報知のための画面が表示される。携帯端末6に設けられた制御ユニット70は、端末制御部71、表示部72、操作・入力部73、通信部74を備えている。
端末制御部71は演算機能を備えた処理装置であり、メモリ71a、パターン設定部71b、パターン照合部71cを備えている。表示部72は表示パネル6aに所定の画面を表示させる処理を行う。操作・入力部73は、表示パネル6aへのタッチ操作によって操作指令やデータ入力のための処理を行う。通信部74は無線通信機能を備えたインターフェイスであり、携帯端末6を通信ネットワーク2と無線により接続する。これにより、携帯端末6と部品実装装置M4、M5などの他設備との間でデータの送受信が可能となっている。
メモリ71aには、部品実装装置M4、M5の記憶部41など他設備からダウンロードされたデータが書き込まれる。パターン設定部71bは、パターン選択によって動作パラメータを設定するための処理を行う。すなわち、まず図7に示すパターン選択画面を表示部72の表示機能によって表示パネル6aに表示させる。そして表示されたパターン選択画面上で作業者がパターン選択入力(図7に示す選択欄63参照)を行うことにより、選択されたパターン番号28に対応した適正な動作パラメータ55が設定される。
パターン照合部71cは、部品実装装置M4、M5における照合部40eに相当する機能を有しており、図11に示す動作パラメータのチェック処理を、選択されたパターン番号28を照合することにより行う。そしてチェック結果は、表示部72により表示パネル6aに図12に示すエラー報知画面を表示させることにより行われる。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装装置における動作パラメータ55の設定値の設定においては、電子部品に関する部品情報53またはテープフィーダ15によって供給されるキャリアテープ23に関するテープ情報54の少なくとも一方を含む部品パラメータ52の設定値を入力し、部品パラメータ52と部品実装装置の少なくとも一つの動作に関する動作パラメータ55の設定値とを対応付けたルールテーブル33bを記憶させておき、入力された部品パラメータ52の設定値に対応した動作パラメータ55の設定値をルールテーブル33bに基づいて設定するようにしている。これにより、生産エリアにおいて必要とされる部品ライブラリ32aのデータ修正の負荷を低減するとともに、ルールテーブル33bに基づいて動作パラメータ55の設定値を設定することから各作業者毎の設定結果のばらつきが排除され、部品ライブラリの信頼性を向上させることができる。
また部品供給部14にテープフィーダ15が配置された構成において、テープフィーダ15に部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値とを対応付けたルールテーブル33bおよび当該ルールテーブル33bを特定するパターンを記憶させておき、記憶されたルールテーブル33bのパターンを表示させるとともに表示されたルールテーブルのパターンを変更するための変更操作入力を行い、さらにこの変更操作入力に基づき記憶されたルールテーブル33bのパターンを変更するための信号を出力するように構成している。これにより、作業者は個別のテープフィーダ15を対象として動作パラメータ55の設定のための操作を実行することができ、生産エリアにおける作業性の向上が可能となっている。
また本実施の形態に示す動作パラメータの設定支援システムでは、部品パラメータ52の設定値と部品パラメータ52に対応する少なくとも一つの部品実装装置の動作に関する動作パラメータ55の設定値とを入力する入力部36と、部品パラメータ52と部品パラメータ52に対応する動作パラメータ55とを関連付けた相関テーブル33aを記憶する記憶部31と、入力部36に入力された部品パラメータ52の設定値と動作パラメータ55の設定値と、記憶部31に記憶された相関テーブル33aとからルールテーブル33bを作成するルールテーブル作成処理部30aとを備えた構成としている。これにより、動作パラメータ55の設定に用いられるルールテーブル33bを容易に作成することができる。
上述した実施の形態では、一つの部品パラメータにおける相関テーブルとルールテーブルを作成したが、複数の部品パラメータと複数の動作パラメータとで相関テーブル33a、ルールテーブル33bを作成してもよい。図15(a)は、本発明の別の実施の形態の部品実装システムに用いられる部品ライブラリにおける相関テーブルの構成説明図であり、図15(b)は、本発明の別の実施の形態の部品実装システムに用いられる部品ライブラリにおけるルールテーブルの構成説明図である。ここで、本発明の別の実施の形態では、部品パラメータ52として価格情報53aとキャリアテープの色情報53bとを用いる場合について説明する。
先ず、部品パラメータ52として価格情報53aとキャリアテープの色情報53bが設定され、動作パラメータ55は、価格情報53aとキャリアテープの色情報53bに対応するパラメータが設定される。ここでは、「吸着動作に対する再実行回数」57a、「部品認識動作に対する再実行回数」57b、「吸着動作に対する再実行動作設定」57c、「部品認識動作に対する再実行動作設定」57d、「キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定」57e、「吸着位置自動ティーチ使用設定」57f、および「吸着位置自動ティーチ実行タイミング設定」57gが動作パラメータ55として設定される。部品パラメータ52と動作パラメータ55が設定されることで、相関テーブル33aが作成される。
次いで、価格情報53aの設定値である安価/高価の2つと、キャリアテープの色情報53bの設定値である白、黒、透明の3つを組み合わせることにより、6通りのパターン(パターン番号1〜6)が設定される。設定された6つのパターン番号のそれぞれに各動作パラメータ55の設定値が入力される。動作パラメータ55の設定値は、作業者による手入力または予め決定された入力値が入力されて設定され、これにより各パターン番号に対応した個別のルールテーブル33b*が作成される(図6に示す例も参照)。
ここで、上述したルールテーブル33b*は6つのパターン番号に対応しているのに対して、図15(b)では部品パラメータ52のルールテーブル33b*のパターン番号が3つであることについて説明する。上述で作成されたルールテーブル33b*の各パターンにおいて、動作パラメータ55の設定値を比較して、動作パラメータ55の設定値の全てが一致するパターンはマージされる。マージされたパターンの部品パラメータ52の設定項目もマージされ、ルールテーブル33b*が作成される。
このため、図15(b)においてパターン番号58にて示されるパターンのうち、パターン番号1、3では部品パラメータ52のキャリアテープの色の設定項目は、複数の項目が設定されている。このようにマージして、パターンの数を減らすことで作業者が設定するパターン数を減少させることができ、作業性を容易にさせることができる。本発明の別の実施の形態においても作成されたルールテーブル33bおよびルールテーブル33bにおいて定義されたパターンデータ33cを用いて、前述例と同様に部品ライブラリの作成や初期値設定処理がなされる。
以上、本発明の一実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、上述した実施の形態において、価格情報を当該電子部品が予め設定された価格判定基準に照らして安価/高価のいずれに属するかを示す情報として説明したが、価格判定基準としては、電子部品ひとつの単価が1000円以上であれば高価、1000円以下であれば安価とした単純な判定基準でもよい。また、同じ電子部品であっても購買時期によって価格が異なることもあるため、実際の購買価格に基づいた価格判定基準を用いても良い。例えば、生産施設で用いられるMRPソフトウェア等から取得した購買データに基づいて、所定期間における購買価格の順位を算出し、算出した順位の上位から所定数または所定割合を高価、それ以外を安価とした価格判定基準を用いても良い。
また、BOMデータに価格情報が含まれる場合は、BOMデータに含まれる価格情報に基づいて安価/高価を判定してもよい。より詳しく説明すると、BOMデータに含まれる該当電子部品の購買価格と該当電子部品の総数から該当電子部品ひとつの単価を算出し、価格判定基準に照らして安価/高価の判定をしてもよい。BOMデータに基づいて価格情報を設定することで各々の電子部品に対して価格情報を設定する必要がなくなり、作業者の作業性をより向上させることができる。
また、上述した実施の形態において、スプライシング作業が必要なテープフィーダを一例として説明したが、スプライシング作業が必要ないテープフィーダ(以下、オートロードフィーダ)であっても本発明は適用される。オートロードフィーダの場合、キャリアテープを継ぎ合わせた継ぎ目部分を必要としないため、キャリアテープと継ぎ合わせた継ぎ目部の送り動作設定、キャリアテープ送り速度設定、キャリアテープ先送り設定以外の動作パラメータが設定されるものとする。