JP6526014B2 - X線装置及び該x線装置を有するctデバイス - Google Patents

X線装置及び該x線装置を有するctデバイス Download PDF

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Description

本発明は、分散型X線を発生する装置に関し、特に、X線光源デバイスにおいて外付けの方式で複数の独立する熱陰極電子放出ユニットを布置し、かつグリッド制御又は陰極制御を利用して所定の順番に従って焦点位置を変えるX線を発生する外付け熱陰極分散型X線装置及び該装置を有するCTデバイスに関する。
一般的に、X線光源とは、X線を発生するデバイスであり、通常、X線管、電源及び制御システム、冷却及びシールドなどの補助装置などから構成され、その核心がX線管である。X線管は、通常、陰極、陽極、ガラス又はセラミックスパッケージから構成される。陰極は直熱型螺旋タングステンフィラメントであり、作動時に、電流によって、ある高温状態まで加熱し、熱放射の電子ビーム流を発生し、陰極は先端にノッチングされる金属カバーに取り囲まれ、金属カバーが電子を集束させる。陽極は銅ブロック端面に嵌め込まれるタングステンターゲットであり、作動時に、陽極と陰極との間に高電圧が印加され、陰極が発生する電子は電場の作用で加速運動して陽極へ飛び、かつターゲット面に衝撃して、X線を発生する。
X線は工業非破壊検査、安全検査、医療診断及び治療などの分野に広く応用されている。特に、X線の高透過性を利用して製造されるX線透視イメージングデバイスは、人々の日常生活の各方面において重要な役割を発揮している。このようなデバイスは、初期にはフィルム式の平面透視イメージングデバイスであるが、現在の先進技術はデジタル化、マルチビュー、かつ高解像度の立体イメージングデバイスである。例えば、CT(computed tomography)は、高精細度の3次元立体図形又はスライス画像を獲得することができ、先進のハイエンドアプリケーションである。
従来のCTデバイスにおいて、X線源及び検知器はスリップリングに運動する必要があり、検査速度を向上させるために、通常、X線源及び検知器の運動速度が非常に高いので、デバイス全体の信頼性及び安定性が低下し、また、運動速度に制限されるため、CTの検査速度も制限される。そのため、CTデバイスにおいて位置を移動せずに複数のビューを発生することができるX線源が必要である。
従来のCTデバイスにおけるスリップリングによる信頼性、安定性の問題、検査速度の問題及び陽極ターゲットスポットの耐熱の問題を解決するために、従来の特許文献にはいくつかの方法が提供されている。例えば、回転ターゲットX線源は、ある程度で陽極ターゲットの過熱の問題を解決することができるが、その構造が複雑であり、かつX線を発生するターゲットスポットはX線源全体に対して依然として確定されるターゲットスポット位置である。例えば、固定されるX線源の複数のビューを実現するために、X線源の運動の代わりに、1つの円周において緊密に複数の独立する従来のX線源を配列する技術があり、このようにマルチビューを実現することができるが、コストが高く、かつ異なるビューのターゲットスポット間隔が大きく、イメージング品質(立体解像度)が悪い。また、特許文献1(US4926452)には分散型X線を発生する光源及び方法が提供されており、陽極ターゲットは大きな面積を有し、ターゲット過熱の問題を緩和させると同時に、ターゲットスポット位置が円周に沿って変化し、複数のビューを発生することができる。特許文献1は加速される高エネルギーの電子ビームに対して走査して偏向し、制御し難く、ターゲットスポット位置が離間しなく、及び再現性が悪いという問題があるが、依然として分散型光源を発生することができる効果的な方法である。また、例えば、特許文献2(US20110075802)及び特許文献3(WO2011/119629)には分散型X線を発生する光源及び方法が提供されており、陽極ターゲットは大きな面積を有し、ターゲット過熱の問題を緩和させると同時に、ターゲットスポット位置が分散して固定され、かつアレイ式に配列され、複数のビューを発生することができる。また、カーボンナノチューブを採用して冷陰極とし、かつ冷陰極をアレイ配列し、陰極グリッドの間の電圧を利用して電界放出を制御することで、各陰極が順番に従って電子を放出することを制御し、陽極には相応する順番位置に応じてターゲットスポットに衝撃し、分散型X線源になっている。しかし、生産プロセスが複雑であり、カーボンナノチューブの放射能力と寿命が高くないという欠陥を有する。
本発明は上記の課題を解決するために提出されるものであり、その目的は光源を移動する必要がなく、複数のビューを生成することができ、かつ構造を簡易化し、システムの安定性、信頼性を向上させ、検査効率を向上させることに有利である外付け熱陰極分散型X線装置及び該外付け熱陰極分散型X線装置を有するCTデバイスを提供することである。
上記目的を実現するために、本発明は外付け熱陰極分散型X線装置を提供し、周囲がシールされ、かつ内部が高真空である真空ボックスと、それぞれは相互に独立し、かつリニアアレイに配列されて前記真空ボックスの側壁に取り付けられる複数の電子放出ユニットと、前記真空ボックスの内部の中間位置に取り付けられ、かつ、長手方向において前記電子放出ユニットの配列方向に平行し、かつ幅方向において前記電子放出ユニットの装着平面と所定角度の夾角を形成する陽極と、前記陽極に接続する高圧電源、前記複数の電子放出ユニットのそれぞれに接続する放出制御装置、及び各電源を制御するための制御システムを有する電源及び制御システムと、を具備し、前記電子放出ユニットは、加熱フィラメントと、前記加熱フィラメントに接続する陰極と、前記加熱フィラメントの両端から引き出すフィラメントリード線と、前記加熱フィラメント及び前記陰極を取り囲む絶縁支持部材と、前記陰極の上方に位置するように前記絶縁支持部材の頂端に配置される集束電極と、前記集束電極の上方に配置され、前記真空ボックスのボックス壁にシール接続する接続固定部材と、を有し、前記フィラメントリード線は前記絶縁支持部材を貫通して前記放出制御装置に接続することを特徴とする。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記陽極と前記高圧電源のケーブルとを接続し、前記真空ボックスの前記陽極に近い一端の側壁に取り付けられる高圧電源接続装置と、前記加熱フィラメントと前記放出制御装置とを接続するための放出制御装置接続装置と、前記電源及び制御システムに含まれる真空電源と、前記真空ボックスの側壁に取り付けられ、前記真空電源を利用して作動し、前記真空ボックスにおける高真空を維持する真空装置と、を有する。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記電子放出ユニットは、前記陰極と前記集束電極との間に取り付けられ、かつ陰極に近寄っているグリッドと、前記グリッドに接続し、前記絶縁支持部材を貫通して、前記放出制御装置に接続するグリッドリード線と、をさらに有する。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記電子放出ユニットは、前記集束電極と前記接続固定部材との間に取り付けられる集束セクションと、前記集束セクションを取り囲むように配置される集束装置と、をさらに有する。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記電源及び制御システムに含まれる集束電源と、前記集束装置と前記集束電源とを接続するための集束装置接続装置と、をさらに有する。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記電子放出ユニットは2つの列に分かれて前記真空ボックスの2つの対向する側壁に取り付けられる。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記真空ボックスはガラス又はセラミックスで製造される。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記真空ボックスは金属材料で製造される。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記複数の電子放出ユニットは直線形又は区分的直線形に配列される。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記複数の電子放出ユニットは円弧状又は区分的円弧状に配列される。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記複数の電子放出ユニットの配列間隔は均一である。
また、本発明における外付け熱陰極分散型X線装置において、前記複数の電子放出ユニットの配列間隔は非均一である。
また、本発明は、使用したX線源は以上のような外付け熱陰極分散型X線装置であることを特徴とするCTデバイスを提供する。
本発明によれば、主に外付け熱陰極分散型X線装置を提供し、1つの光源デバイスにおいて、ある順番に従って周期的に焦点位置を変えるX線を発生する。本発明の電子放出ユニットは熱陰極を採用して、そのほかの設計に対して放出電流が大きく、寿命が長いメリットを有する。複数の電子放出ユニットはそれぞれ独立して真空ボックスに固定され、かつ直接に小型の二極又は三極電子銃を使用することができ、技術が成熟であり、コストが低く、応用が柔軟である。長尺状の大きな陽極の設計を採用して、陽極の過熱の問題を効果的に緩和させ、光源のパワーを容易に向上させる。電子放出ユニットは直線に配列され、全体が直線型分散型X線装置になってもよく、電子放出ユニットは環状に配列され、全体が環状分散型X線装置になってもよく、応用が柔軟である。集束電極の設計、外部集束装置の設計によって、電子ビームは非常に小さい焦点を実現することができる。そのほかの分散型X線光源デバイスに対して、本発明は電流が大きく、ターゲットスポットが小さく、ターゲットスポット位置の分布が均一であり、かつ再現性がよく、出力パワーが高く、構造が簡単であり、制御が便利であり、コストが低い。
本発明の分散型X線光源をCTデバイスに応用すると、光源を移動する必要がなく、複数のビューを生成することができ、そのため、スリップリングの運動を省略することができ、構造を簡易化させ、システムの安定性、信頼性を向上させ、検査効率を向上させることに有利である。
本発明の外付け熱陰極分散型X線装置の構造の模式図である。 本発明における陽極と電子放出ユニットとの位置関係の模式図である。 本発明における電子放出ユニットの構造の模式図である。 本発明における放出制御ユニットの構造の模式図である。 本発明におけるグリッドと集束装置を有する電子放出ユニットの構造の模式図である。 本発明におけるグリッド制御を有する放出制御ユニットの構造の模式図である。 本発明における他種の電子放出ユニットの構造の模式図である。 本発明における円筒形電子放出ユニットの構造の上面図であり、(A)が円形グリッド孔の場合であり、(B)が長方形グリッド孔の場合である。 本発明における立方体形電子放出ユニットの構造の上面図であり、(A)が円形グリッド孔の場合であり、(B)が長方形グリッド孔の場合である。 本発明における陰極の構造の模式図であり、(A)が平面円形の陰極であり、(B)が平面長方形の陰極であり、(C)が球面円弧状の陰極であり、(D)が円柱弧面状の陰極である。 本発明におけるグリッドメッシュの構造の模式図であり、(A)が平面型グリッドメッシュであり、(B)が球面型グリッドメッシュであり、(C)がU溝型グリッドメッシュである。 本発明のグリッドの制御を利用して行う自動集束の模式図である。 本発明における直線型両列対向布置の外付け熱陰極分散型X線装置の構造の模式図であり、(A)が電子放出ユニットと、陽極と、真空ボックスとの位置関係の図であり、(B)が電子放出ユニットと陽極との位置関係の図である。 本発明における円弧型両列対向布置の外付け熱陰極分散型X線装置の構造の模式図である。 本発明の二次元分散型X線装置の主な構造の模式図である。 本発明における二次元分散型X線装置の陽極構造の下面図である。 本発明におけるグリッドと陰極とが分離する電子放出ユニットアレイの模式図であり、(A)が側面図であり、(B)が各グリッドを独立して制御するモードの上面図であり、(C)が各グリッドをお互いに接続し、かつ陰極制御するモードの上面図である。 本発明におけるフィラメントが直列接続する分散型X線装置である。 本発明の曲面アレイ分散型X線装置の構造の模式図である。 本発明の曲面アレイ分散型X線装置の構造の端面模式図である。 本発明における陽極の異なる構造の模式図である。 本発明における環状分散型X線装置の電子放出ユニットと陽極との布置関係の模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の外付け熱陰極分散型X線装置の構造の模式図である。図1に示すように、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置は複数の電子放出ユニット1(少なくとも2つであり、以下、具体的には、電子放出ユニット11、12、13、14、……とも称される)、陽極2、真空ボックス3、高圧電源接続装置4、放出制御装置接続装置5、電源及び制御システム7を含む。また、電子放出ユニット1は加熱フィラメント101、陰極102、絶縁支持部材103、集束電極104、接続固定部材105、フィラメントリード線106などから構成される。陽極2は真空ボックス3の内部の中間に設けられ、電子放出ユニット1と高圧電源接続装置4とは真空ボックス3のボックス壁に取り付けられて、かつ真空ボックス3とともに全体シール構造を構成する。
図2は本発明の外付け熱陰極分散型X線装置の陽極2と電子放出ユニット1との相対的位置関係の模式図である。図2に示すように、複数の電子放出ユニット1は一本の直線に配列され、陽極2は電子放出ユニット1の配列に対応する長尺状であり、かつ陽極2は長手方向において複数の電子放出ユニット1が配列されてなる直線に平行し、幅方向において、陽極2の電子放出ユニット1を向いている表面と電子放出ユニット1の陽極2を向いている表面との間に、所定角度の夾角を形成する。
電子放出ユニット1は要求に応じて電子ビーム流を発生することに用いられ、真空ボックス3の側壁に取り付けられ、接続固定部材105によって真空ボックス3の側壁とシール構造を構成し、電子放出ユニット1の全体は真空ボックス3の外部に位置し、電子ビーム流は接続固定部材105の中央の孔を通して真空ボックス3の内部に入ることができる。また、図3には電子放出ユニット1のある構造を示し、電子放出ユニット1は加熱フィラメント101、陰極102、絶縁支持部材103、集束電極104、接続固定部材105、及びフィラメントリード線106を含む。陰極102と加熱フィラメント101とは接続され、加熱フィラメント101は、通常、タングステン・フィラメントを採用し、陰極102は、通常、電子の熱放射能力が強い材料、例えば、酸化バリウム、スカンデート、六ホウ化ランタンなどを採用する。絶縁支持部材103は加熱フィラメント101と陰極102を取り囲み、電子放出ユニット1の一部のケースに相当し、絶縁材料を採用し、通常はセラミックスである。フィラメントリード線106は絶縁支持部材103を貫通して、電子放出ユニット1の外部まで引き出され、フィラメントリード線106と絶縁支持部材103との間はシール構造である。集束電極104は絶縁支持部材103の上端に取り付けられ、集束電極104はノーズ・コーン状の設計であり、中央に孔を有し、かつ該孔の中心と陰極102の中心とは上下に合わせられる。接続固定部材105は電子放出ユニット1と真空ボックス3とをシール接続することに用いられ、通常、ナイフエッジフランジであり、中央に孔を有し、電子ビーム流Eが電子放出ユニット1から真空ボックス3に入ることに用いられる。絶縁支持部材103、集束電極104、及び接続固定部材105は緊密に接続され、電子放出ユニット1の接続固定部材105の中心孔以外のそのほかの部分により真空シール構造を形成する。
また、電源及び制御システム7は制御システム701、高圧電源702、放出制御装置703などを含む。高圧電源702は真空ボックス3のボックス壁に取り付けられる高圧電源接続装置4を介して陽極2に接続する。放出制御装置703は放出制御装置接続装置5によって各電子放出ユニット1のフィラメントリード線106にそれぞれ接続され、通常、電子放出ユニット1と同じ数の放出制御ユニットを有する。図4には放出制御ユニットの構造を示し、放出制御装置703は複数の放出制御ユニットを含み、放出制御ユニットのそれぞれが負高圧モジュール70301、低圧直流モジュール70302、高圧絶縁変圧器70303を含む。その中、負高圧モジュール70301は制御システム701の制御で負の高圧パルスを発生することに用いられ、その出力が高圧絶縁変圧器70303の一次側に接続する。低圧直流モジュール70302は加熱フィラメント106に給電して加熱する電流を発生することに用いられ、その出力が高圧絶縁変圧器70303の2組の並列接続する二次側の低圧端に接続し、かつ変圧器巻線を経て、2組の並列接続する二次側の高圧端からフィラメントリード線106に出力する。放出制御装置接続装置5は、通常、コネクタ付きのケーブルであり、数量が電子放出ユニット1の数量と同じである。また、制御システム701は高圧電源702、放出制御装置703の作動状態に対して制御を行う。
また、真空ボックス3は周囲がシールされるキャビティケースであり、その内部が高真空であり、ケースはガラス又はセラミックスなどの絶縁材料で構成されることができる。真空ボックス3の側壁には(図1参照)複数の電子放出ユニット1が取り付けられており、これらの電子放出ユニット1は直線に配列され、その内部には(図1参照)長尺状の陽極2が取り付けられており、陽極2が長手方向において電子放出ユニット1の配列方向に平行する。真空ボックス3の内部の空間は、電子ビーム流が何らかの障害を発生しないように電場内を運動することに十分である。真空ボックス3における高真空は高温排気炉でベーキングして排気することで獲得され、その真空度が通常、10−3Paよりよく、好ましい真空度が10−5Paよりよい。
また、好ましい真空ボックス3のケースは金属材料であり、金属材料を採用する場合に、電子放出ユニット1はその接続固定部材105によって真空ボックス3の壁とナイフエッジフランジによるシール方式の接続を行い、陽極2は絶縁支持材料を利用して真空ボックス3内に固定装着され、かつ、陽極2と真空ボックス3のケースとの間に十分の距離を保持し、高圧アークを発生することがない。
また、高圧電源接続装置4は陽極2と高圧電源702のケーブルとを接続することに用いられ、真空ボックス3の側壁に取り付けられている。高圧電源接続装置4は、通常、内部に金属柱を有する錐状セラミックス構造であり、一端が陽極2に接続し、他端が真空ボックス3のボックス壁に緊密に接続し、一緒に真空シール構造を形成する。高圧電源接続装置4の内部の金属柱は、陽極2と高圧電源702のケーブルコネクタとに回路接続を形成させることに用いられる。通常、高圧電源接続装置4とケーブルコネクタとの間は挿脱可能な構造に設計される。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、電子放出ユニット1はグリッド107とグリッドリード線108とをさらに含むことができる。図5にはグリッドと集束装置を有する電子放出ユニット1の構造を示す。図5に示すように、グリッド107は陰極102と集束電極104との間に設けられ、陰極102に近寄り、グリッド107は、通常、メッシュ構造であり、外形が通常、陰極102の形状と同じであり、グリッドリード線108はグリッド107に接続して、かつ絶縁支持部材103を貫通して、電子放出ユニット1の外部に引き出され、グリッドリード線108と絶縁支持部材103との間はシール接続され、グリッドリード線108は放出制御装置接続装置5によって放出制御装置703に接続する。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、放出制御装置703の放出制御ユニットは負バイアスモジュール70304、正バイアスモジュール70305、及び選択スイッチ70306をさらに含むことができる。図6にはグリッド制御を有する放出制御ユニットの構造を示す。図6に示すように、負高圧モジュール70301は負高圧を発生することに用いられ、その出力が高圧絶縁変圧器70303の一次側に接続する。交流電流は高圧絶縁変圧器70303の2組の並列接続する二次側の低圧端に接続し、かつ変圧器巻線を経て、2組の並列接続する二次側の高圧端から高圧に保持する(浮いた状態とされる)電源を出力して、それぞれ直流モジュール70302、負バイアスモジュール70304及び正バイアスモジュール70305に供給される。直流モジュール70302は加熱フィラメント101に給電して加熱する電流を発生する。負バイアスモジュール70304と正バイアスモジュール70305は、それぞれ1つの負の電圧と1つの正の電圧を発生して、選択スイッチ70306の2つの入力端に出力され、選択スイッチ70306が制御装置701の作用で1つの電圧を選択してグリッドリード線108に出力し、かつ最終的にグリッド107に印加される。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、電子放出ユニット1は集束セクション109と集束装置110とをさらに含むことができる。図5に示すように、集束セクション109は集束電極104と接続固定部材105との間に接続し、集束電極104と集束セクション109と接続固定部材105とは、1つの金属片から加工されてなる全体であってもよく、3つの金属部品が溶接によって接続されるものであってもよい。集束装置110は集束セクション109の外部に取り付けられ、集束装置110は通常、集束コイルである。集束装置110は集束装置接続装置6によって集束電源704に接続し、集束装置110は集束電源704の駆動で作動し、集束電源704の作動状態が電源及び制御システム7で制御される。相応的に、外付け熱陰極分散型X線装置は集束装置接続装置6をさらに含み、電源及び制御システム7は集束電源704をさらに含む。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置は真空装置8と真空電源705とをさらに含むことができ、真空装置8が真空ポンプ801と真空弁802を含み、真空装置8が真空ボックス3の側壁に取り付けられる。真空ポンプ801は真空電源705の作用で作動し、真空ボックス3における高真空を維持することに用いられる。通常、外付け熱陰極分散型X線装置が作動する時に、電子ビーム流は陽極2に衝撃し、陽極2が放熱して少量のガスを放出し、真空ポンプ801を使用することで、この部分のガスを早く排出し、それによって真空ボックス3の内部の高真空度を維持する。真空ポンプ801は真空イオンポンプを使用することが好ましい。真空弁802は、通常、高温ベーキングに耐えることができる全金属真空弁、例えば、全金属手動フラッパ弁を選択する。真空弁802は通常、閉状態にある。相応的に、外付け熱陰極分散型X線装置の電源及び制御システム7は真空装置8の真空電源(Vacc PS)705をさらに含む。
また、本発明において、ほかの構造の電子放出ユニットを使用することもできる。図7は本発明に使用することができる他種の電子放出ユニットの構成模式図である。図7に示すように、電子放出ユニット1は加熱フィラメント101A、陰極102A、グリッド103A、絶縁支持部材104A、接続固定部材109Aなどから構成される。
電子放出ユニット1は接続固定部材109Aを利用して真空ボックス3の壁と全体シール構造を構成するが、ここに限定されず、電子放出ユニット1を真空ボックス3のボックス壁に取り付け、かつその全体を真空ボックス3の外部(すなわち、電子放出ユニット1の陰極端(加熱フィラメント101A、陰極102A、グリッド103Aを含む)及び電子放出ユニット1のリード線端(フィラメントリード線105A、グリッドリード線108A、接続固定部材109Aを含む)がいずれも真空ボックス3の外部にある)に位置させることができれば、そのほかの方式を採用して取り付けてもよい。電子放出ユニット1は加熱フィラメント101A、陰極102A、グリッド103A、絶縁支持部材104A、フィラメントリード線105A、接続固定部材109Aを含み、かつ、グリッド103Aがグリッドフレーム106A、グリッドメッシュ107A、グリッドリード線108Aから構成される。陰極102Aと加熱フィラメント101Aとは接続され、加熱フィラメント101Aは、通常、タングステン・フィラメントを採用し、陰極102Aは、通常、電子の熱放射能力が強い材料、例えば、酸化バリウム、スカンデート、六ホウ化ランタンなどを採用してもよい。絶縁支持部材104Aは加熱フィラメント101Aと陰極102Aを取り囲み、電子放出ユニット1のケースに相当し、絶縁材料を採用し、通常、セラミックスである。フィラメントリード線105Aは絶縁支持部材104Aを貫通して、電子放出ユニット1の下端まで引き出され(ここに限定されず、電子放出ユニット1の外部まで引き出さればよい)、フィラメントリード線105Aと絶縁支持部材104Aとの間はシール構造である。グリッド103Aは絶縁支持部材104Aの上端に取り付けられて(すなわち、絶縁支持部材104Aの開口に配置される)、陰極102Aに対向し、グリッド103Aと陰極102Aとの中心が上下に合わせられることが好ましい。また、グリッド103Aはグリッドフレーム106A、グリッドメッシュ107A、及びグリッドリード線108Aを含み、グリッドフレーム106A、グリッドメッシュ107A、及びグリッドリード線108Aがいずれも金属製であり、通常、グリッドフレーム106Aがステンレス鋼材料であり、グリッドメッシュ107Aがモリブデン材料であり、グリッドリード線108Aがコバール(合金)材料である。グリッドリード線108Aは絶縁支持部材104Aを貫通して、電子放出ユニット1の下端まで引き出され(ここに限定されず、電子放出ユニット1の外部まで引き出さればよい)、グリッドリード線108Aと絶縁支持部材104Aとの間はシール構造である。フィラメントリード線105Aとグリッドリード線108Aとは放出制御装置703に接続する。
また、具体的には、グリッド103Aの構造について、その本体が1つの金属板(例えば、ステンレス鋼材料)、すなわち、グリッドフレーム106Aであり、グリッドフレーム106Aの中央に孔を形成し、該孔の形状が四角形又は円形などであってもよく、該孔の位置に金網(例えば、モリブデン材料)、すなわち、グリッドメッシュ107Aが固定され、かつ、金属板のある位置から一本のリード線(例えば、コバール合金材料)、すなわち、グリッドリード線108Aを引き出し、それによりグリッド103Aを1つの電位に接続することができる。また、グリッド103Aが陰極102Aの真上に位置し、グリッド103Aの上記孔の中心と陰極102Aの中心とが合わせられ(すなわち、上下が一本の鉛直線にある)、孔の形状が陰極102Aの形状に対応し、通常、孔の大きさが陰極102Aの面積より小さい。しかし、電子ビーム流がグリッド103Aを通過することができれば、グリッド103Aの構造は上記構造に限定されない。また、グリッド103Aと陰極102Aとの間は絶縁支持部材104Aによって相対的位置固定を行う。
また、具体的には、接続固定部材109Aの構造について、好ましくは、その本体が円形ナイフエッジフランジであり、中央に孔を形成し、該孔の形状が四角形又は円形などであってもよく、孔の位置と絶縁支持部材104の上端外縁とがシール接続され、例えば、溶接接続され、ナイフエッジフランジの外縁にネジ穴が形成され、ボルト接続によって電子放出ユニット1を真空ボックス3の壁に固定することができ、そのナイフエッジと真空ボックス3の壁との間に真空シール接続を形成する。それは取り外しやすい柔軟な構造であり、複数の電子放出ユニット1のうちの1つが故障を発生する時、柔軟に交換することができる。ただし、接続固定部材109Aの機能は絶縁支持部材104Aと真空ボックス3との間のシール接続を実現することであり、複数種の柔軟な方式を有し、例えば、金属フランジ移行による溶接、又はガラス高温溶融によるシール接続、又はセラミックス金属化後に金属と溶接するなどの方式を有する。
また、電子放出ユニット1は円筒形の構造であってもよく、すなわち、絶縁支持部材104Aが円筒形であり、陰極102A、グリッドフレーム106A、グリッドメッシュ107Aがともに円形であってもよく、ともに長方形であってもよい。図8には円筒形の電子放出ユニット1の上面図を示し、ここで、(A)は陰極102A、グリッドフレーム106A、及びグリッドメッシュ107Aがともに円形である構造を示し、(B)は陰極102A、グリッドフレーム106A、及びグリッドメッシュ107Aがともに長方形である構造を示す。また、円形陰極に対して、陰極102Aの表面に発生する電子はよりよい集まり効果を実現するために、通常、陰極102Aの表面を球面円弧状に加工することが好ましい(図10(C)に示す)。陰極102Aの表面の直径は通常、数mmであり、例えば、直径2mmであり、グリッドフレーム106Aに取り付けられるグリッドメッシュ107Aの孔の直径は、通常、数mmであり、例えば、直径1mmである。また、グリッド103Aから陰極102Aの表面までの距離は、通常、十分の数mm乃至数mmであり、例えば、2mmである。また、長方形陰極に対して、陰極102Aの表面に発生する電子はよりよい集まり効果を実現するために、通常、円柱弧面状であることが好ましく、このように短辺方向における電子ビーム流の更なる集まりに有利である。通常、弧面の長さが数mm乃至数十mmであり、幅が数mmであり、例えば、長さ10mm、幅2mmである。相応的に、グリッドメッシュ107Aは長方形であり、その幅が1mmであり、長さが10mmであることが好ましい。図10には陰極102Aがそれぞれ平面円形、平面長方形、球面円弧状、円柱弧面状の4つの構造である場合を示す。
また、電子放出ユニット1は立方体型構造であってもよく、すなわち、絶縁支持部材104Aが立方体であり、陰極102A、グリッドフレーム106A、及びグリッドメッシュ107Aがともに円形であってもよく、ともに長方形であってもよい。図9には立方体形の電子放出ユニット1の上面図を示し、ここで、(A)は陰極102A、グリッドフレーム106A、及びグリッドメッシュ107Aがともに円形である構造を示し、(B)は陰極102A、グリッドフレーム106A、及びグリッドメッシュ107Aがともに長方形である構造を示す。ここで、図8及び図9におけるハッチング線は異なる各部材を区分するためのものであり、断面を示すものではない。
また、具体的には、グリッドメッシュ107Aの構造に関し、図11に示すように、平面型であってもよく、球面型であってもよく、U溝型であってもよく、球面型であることが好ましく、それは球面型のグリッドメッシュが電子ビームによりよい集まり効果を有させるからである。
また、放出制御装置703が隣接する電子放出ユニットのうちの1つのみの電子放出ユニットのグリッドの状態を変更し、同一時刻に、隣接する電子放出ユニットのうちの1つのみが電子放出を行って電子ビーム流を形成すると、該電子放出ユニットのグリッド両側の電場は該電子ビーム流を自動的に集束する効果を有する。図12に示すように、図において電子放出ユニット1と陽極2との間の矢印で電子が運動する方向(逆電力線方向)を示す。図12において、陽極2が高電圧+160kVであり、大電場の電子放出ユニット1と陽極2との間の矢印がいずれも電子放出ユニット1から陽極2へ指し、つまり、電子放出ユニット1が電子ビーム流を放出すれば、電子ビーム流が陽極2へ運動する。電子放出ユニット1の表面の局所電場状態を考察し、隣接する電子放出ユニット12、13、14において、電子放出ユニット13のグリッド103Aの電圧が−500Vから+2000Vに変わると、電子放出ユニット13は電子放出状態に入り、隣接する電子放出ユニット12と電子放出ユニット14のグリッド103Aの電圧は依然として−500Vであり、電子放出ユニット12、14において電子放出を発生すると、電子は電子放出ユニット12と電子放出ユニット14のグリッド103Aから電子放出ユニット13のグリッド103Aへ運動するが、電子放出ユニット12、14において電子放出を発生しないので、電子放出ユニット13から放出する電子ビームは、電子放出ユニット13から隣接する電子放出ユニット12及び電子放出ユニット14へ指す電場の作用で押し出されるため、自動集束効果を有する。
ここで、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置は高真空状態にて作動し、高真空の獲得及び維持方法は以下の通りであってもよい。陽極2が真空ボックス3内に装着を完了し、高圧電源接続装置4及び真空装置8が真空ボックス3の壁においてシール接続を完了し、真空ボックス3の側壁の電子放出ユニットの接続箇所には、まず、ブラインドフランジでシールされ、真空ボックス3の全体をシール構造に形成させる。その後に、該構造を真空炉に置いてベーキングしてガスを除去し、真空弁802が外部の真空排気システムに接続し、その目的が各部材の材料に吸着されるガスを除去することである。その後、常温の清潔な環境において、真空弁802から真空ボックス3に窒素ガスを注入し、保護環境を形成し、そして、電子放出ユニットの接続箇所のブラインドフランジを開けて、かつ電子放出ユニットを取り付け、1つずつ行う。すべての電子放出ユニットが取り付けられた後、真空弁802から外部の真空排気システムに接続して空気排出を行い、再度ベーキングして排気し、真空ボックス3の内部を高真空にする。ベーキング排気の過程において、各電子放出ユニットの陰極の活性化を行うことができる。ベーキング排気が完了した後、真空弁802を閉め、真空ボックス3の内部を高真空に保持する。外付け熱陰極分散型X線装置は作動過程において、陽極が放出した少量のガスは真空ポンプ801により排出され、真空ボックス3の内部の高真空を維持する。ある電子放出ユニットが破損し、或いは寿命を超え、交換する必要がある時に、真空弁802から真空ボックス3の内部に窒素ガスを注入して保護を形成する。最も短い時間で、交換する必要がある電子放出ユニットを取り外し、新しい電子放出ユニットを取り付ける。真空弁802を外部の真空排気デバイスに接続し、真空ボックス3を真空化する。真空ボックス3の内部が再び高真空に達する時に、真空弁802を閉め、真空ボックス3の内部を高真空に保持する。
また、特に、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、電子放出ユニット1は真空ボックス3の1つの側壁に配列されてもよく、真空ボックス3の2つの対向する側壁に同じ延在方向に従って同時に配列されてもよい。図13には直線形両列対向布置の外付け熱陰極分散型X線装置の構造を示し、(A)が電子放出ユニット1と陽極2と真空ボックス3との位置関係の図であり、(B)が電子放出ユニット1と陽極2との位置関係の図である。図13(A)に示すように、複数の電子放出ユニット1は2列に分かれてそれぞれ真空ボックス3の2つの対向する側壁に布置し、陽極2が真空ボックス3における中間部に布置される。図13(B)に示すように、陽極2の、2列の電子放出ユニット1に対向する面はいずれも傾斜面であり、電子放出ユニット1が発生する電子ビーム流Eは電子放出ユニット1と陽極2との間の電場を受けて加速し、陽極2の傾斜面に衝撃し、X線を発生し、有用なX線の出射方向が陽極2の傾斜面の傾斜方向である。2列の電子放出ユニット1は対向して布置されるので、陽極2は2つの傾斜面を有し、2つの傾斜面が発生するX線は同じ方向へ出射する。
また、特に、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置は直線型配列であってもよく、円弧型配列であってもよく、それにより、異なる応用要求を満たす。図14には本発明の円弧型外付け熱陰極分散型X線装置の電子放出ユニット1と陽極2との位置関係の模式図を示す。2列の電子放出ユニット1は円周に沿って布置され、それぞれ真空ボックス3の2つの対向する側面に布置され、これらの2つの側面が相互に平行し、電子放出ユニット1が配列される延在方向は弧線であり、布置する弧度(ラジアン)の大きさは必要に応じて確定することができる。陽極2は真空ボックス3における中間部、すなわち、2列の対向する電子放出ユニット1の中間に布置され、陽極2は2列の電子放出ユニット1に向ける表面がいずれも傾斜面であり、2つの傾斜面の傾斜方向がいずれも円弧の中心Oを指す。電子ビーム流Eは電子放出ユニット1の上表面から放出し、陽極2と電子放出ユニット1との間の高圧電場を受けて加速し、最終的に陽極2に衝撃し、陽極2の2つの傾斜面に2列の円弧状に配列される一連のX線ターゲットスポットを形成し、有用なX線の出射方向は円弧の中心を指す。円弧型外付け熱陰極分散型X線装置の真空ボックス3について、電子放出ユニット1の布置と陽極2の形状に対応して、円弧型であり、環状とも称される。円弧型分散型X線装置の出射X線はいずれも円弧の円心を指し、線源が円形に配列される必要がある場合に応用できる。
また、特に、外付け熱陰極分散型X線装置において、各電子放出ユニットの配列は直線形であってもよく、例えば、L形又はU形などの区分的直線形であってもよく、また、各電子放出ユニットの配列は弧形であってもよく、区分的弧線形であっても良く、例えば、異なる直径の弧形セグメントが接続されてなる曲線又は直線セグメントと弧線セグメントとの組合せなどであってもよい。
また、特に、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、各電子放出ユニットの配列間隔は均一であってもよく、非均一であってもよい。
また、本発明において二次元アレイ分散の方式で電子放出ユニットを配置することができ、それにより、二次元アレイ分散型X線装置が得られる。図15、16に示すように、二次元アレイ分散型X線装置は複数の電子放出ユニット1(少なくとも4つであり、以下、具体的には、電子放出ユニット11a、12a、13a、14a、……、電子放出ユニット11b、12b、13b、14b、……とも称される)を有し、電子放出ユニットは上記のような電子放出ユニットのいずれか一種であってもよく、陽極2は、陽極板201と、陽極板201に取り付けられ、かつ電子放出ユニット1に対応して配列される複数のターゲット202とから構成されるが、陽極2は該構造に限定されず、本分野の通常の陽極を使用すればよい。また、複数の電子放出ユニット1は二次元配列の方式で真空ボックス3の1つの側壁に配置され、かつ陽極板201が位置する平面に相互に平行する。また、上記のように、電子放出ユニット1の全体は真空ボックス3の外部に位置するが、陽極2は真空ボックス3の内部に設置される。
図15は電子放出ユニット1と陽極2との空間布置の構成模式図を示す(ここで、真空ボックス3の図示を省略する)。電子放出ユニット1は2列に分かれて1つの平面(すなわち、真空ボックス3の1つの側壁)に布置され、かつ、前後列の電子放出ユニット1は交互に配列されるが(図15参照)、これに限定されず、前後列の電子放出ユニットはお互いに交互しなくてもよい。陽極2におけるターゲット202と電子放出ユニット1とは一つずつ対応し、ターゲット202の頂面が電子放出ユニット1を指し(向き)、電子放出ユニット1の中心とターゲット202の中心との接続線が陽極板201の平面に垂直し、この接続線は電子放出ユニット1が放出する電子ビーム流Eの運動経路でもある。電子がターゲットに衝撃してX線を発生し、有用なX線の出射方向が陽極板201の平面に平行し、かつ、各有用なX線は互いに平行する。
図16には陽極2のある構造を示す。陽極2は、陽極板201と、二次元アレイに分散する複数のターゲット202とを含む。陽極板201は平板であり、金属材料で製造され、かつ耐高温の金属材料が好ましく、電子放出ユニット1の上表面により構成される平面に完全に平行し、陽極2に正の高圧が印加される時、通常、数十kV乃至数百kVであり、典型的に、例えば、180kVであり、それにより、陽極板201と電子放出ユニット1との間に平行する高圧電場を形成する。ターゲット202は陽極板201に取り付けられ、その位置がそれぞれ電子放出ユニット1の位置に対応するように布置され、ターゲット202の表面が通常、耐高温の重金属材料、例えば、タングステン又はタングステン合金を使用する。ターゲット202は円錐台構造であり、高さが通常、数mmであり、例えば、3mmであり、直径が比較的大きい底面と陽極板201とが接続され、頂面の直径が比較的小さく、通常、数mmであり、例えば、2mmであり、頂面が陽極板201に平行せず、通常、数度乃至十数度の小さい夾角を有し、電子がターゲットに衝撃して発生する有用なX線は放出されることに有利である。すべてのターゲット202は頂面の傾斜方向が一致するように布置され、すなわち、すべての有用なX線の出射方向は一致する。ターゲットのこの構成設計は、陽極板201に成長する小さい突起に相当し、陽極板201の表面の局所電場分布を変更し、それにより、電子ビームがターゲットに衝撃する前に自動集束の効果を有し、ターゲットスポットが小さくなり、画像品質を向上させることに有利である。陽極の設計において、陽極板201は普通の金属を使用し、ターゲット202の表面のみがタングステン又はタングステン合金であるので、コストを低下させる。
また、本発明において、電子放出ユニットはグリッドと陰極とが分離する構造であってもよい。図17にはグリッドと陰極とが分離する電子放出ユニットアレイを示す。図17において、平板グリッド9は絶縁骨組み板901、グリッド板902、グリッドメッシュ903、グリッドリード線904から構成される。図に示すように、グリッド板902は絶縁骨組み板901に設けられ、かつ、グリッドメッシュ903はグリッド板902に形成される孔の位置に設けられ、グリッドリード線904はグリッド板902から引き出される。陰極アレイ10は複数の陰極構造が緊密に配列されてなり、各陰極構造はフィラメント1001、陰極1002、絶縁支持部材1004から構成される。平板グリッド9は陰極アレイ10の上方に位置し、かつこの両者の距離が小さく、通常、数mmであり、例えば、3mmである。グリッド板902、グリッドメッシュ903、グリッドリード線904から構成されるグリッド構造と陰極構造とは一つずつ対応し、かつ、垂直方向から見れば、各グリッドメッシュ903の円中心と各陰極1002の円中心とは2つがひと組になって重なり合う。
また、図17(B)に示すように、本発明において、グリッド構造は各グリッドリード線が独立して引き出され、かつグリッド制御装置によって独立して状態制御を行う構造であってもよい。陰極アレイ10の各陰極1002は同一電位、例えば、接地にあってもよい。各グリッドは負の数百ボルトと正の数キロボルトとの2つの状態の間で切り替わってもよく、例えば、−500Vと+2000Vとの間で切り替わり、それにより、各電子放出ユニットの作動状態を制御し、例えば、あるグリッドはある時刻に−500Vであると、該グリッドと対応する陰極との間の電場は負電場であり、陰極から放出する電子は陰極の表面に制限され、次の時刻にグリッド電圧は+2000Vに変わる時、該グリッドと対応する陰極との間の電場は正電場に変わり、陰極から放出する電子はグリッドへ運動して、かつグリッドメッシュを貫通し、グリッドと陽極との間の加速電場に放出され、加速されて、かつ最終的に陽極に衝撃し、対応するターゲット位置にX線を発生する。
また、図17(C)に示すように、グリッドは各グリッドリード線が並列接続され、同一電位にあり、フィラメント電源で各電子放出ユニットを制御する作動状態であってもよい。例えば、すべてのグリッドが−500Vにあり、各陰極フィラメントが独立して引き出され、各陰極フィラメントの2つの端点の間の電圧差が一定であり、各陰極の全体電圧は0Vと−2500Vとの2つの状態の間に切り替わる。ある時刻に、陰極が0V電位にあり、グリッドと陰極との間が負電場であり、陰極から放出する電子は陰極の表面に制限され、次の時刻に、陰極の電圧が−2500Vに変わり、グリッドと対応する陰極との間の電場は正電場に変わり、陰極から放出する電子はグリッドへ運動して、かつグリッドメッシュを貫通して、グリッドと陽極との間の加速電場に放出され、加速されて、かつ最終的にターゲットに衝撃し、対応するターゲット位置にX線を発生する。
また、本発明の二次元分散型X線装置において、各電子放出ユニットのフィラメントリード線はそれぞれ独立してフィラメント電源の各出力端に接続してもよく、直列接続されてから、全体がフィラメント電源の1つの出力端に接続してもよい。図18には電子放出ユニットのフィラメントリード線がフィラメント電源に直列接続する模式図を示す。電子放出ユニットのフィラメントリード線が直列接続されるシステムにおいて、通常、陰極は同じ電位にあり、各グリッドリード線は独立して引き出される必要があり、グリッド制御装置によって電子放出ユニットの作動状態を制御する。
また、本発明において、電子放出ユニットのアレイは2列であってもよく、複数列であってもよい。
また、本発明において、陽極のターゲットは円錐台構造であってもよく、円柱構造であってもよく、方形(四角)錐台構造であってもよく、多角錐台構造であってもよく、或いは、その他の多角形突起、又はほかの不規則な突起などの構造であってもよい。
また、本発明において、陽極のターゲットの頂面は平面であってもよく、傾斜面であってもよく、球面、又は他の不規則な表面であってもよい。
また、本発明において、電子放出ユニットの二次元アレイ配列は、2つの方向においていずれも直線に延在してもよく、1つの方向において直線に延在するが、もう1つの方向において弧形に延在してもよく、1つの方向において直線に延在するが、もう1つの方向において区分的直線に延在してもよく、1つの方向において直線に延在するが、もう1つの方向において区分的弧形に延在するなど、複数種の組合せ形式である。
また、本発明において、電子放出ユニットの二次元アレイ配列は、2つの方向において間隔が均一で一致してもよく、各方向において間隔が均一であるが、2つの方向において間隔が一致しなくてもよく、1つの方向において間隔が均一であるが、もう1つの方向において間隔が非均一であってもよく、2つの方向において間隔が共に非均一であってもよい。
また、本発明において、電子放出ユニットは曲面アレイ分散の方式で設置することができ、それにより、曲面アレイ分散型X線装置が得られる。図19は本発明の曲面アレイ分散型X線装置の構成模式図である。図20は本発明の曲面アレイ分散型X線装置の内部構造の端面模式図である。図21は本発明の陽極の異なる構造の模式図である。
図に示すように、複数の電子放出ユニット1(少なくとも4つであり、以下、具体的には、電子放出ユニット11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a、14b、……とも称される)は、曲面において軸線方向に沿って軸線Oに向けて複数列に配列され、また、陽極2は曲面の軸線Oに布置される。また、上記のように、電子放出ユニット1は真空ボックス3のボックス壁に取り付けられ、かつ全体が真空ボックス3の外部に位置するが、陽極2は真空ボックスの内部に取り付けられる。
また、上記曲面は円柱面と円環面を含む。図20は本発明の曲面アレイ分散型X線装置の内部構造の端面模式図である。具体的には、図20には円柱面アレイ分散型X線装置の内部構造の模式図を示す。電子放出ユニット1は円柱面に軸線方向に沿って複数列に配列され、かつ、電子放出ユニット1の上表面(電子放出面)は軸線Oを向く。陽極2は円柱の軸線Oに布置される。通常、電子放出ユニット1は同一の低電位にあり、陽極2は高電位にあり、陽極2と電子放出ユニット1との間に正電場を構成し、電場が各電子放出ユニット1の表面から陽極2の軸線へ集まり、電子ビーム流Eは電子放出ユニット1から陽極2の軸線へ運動し、陽極2に衝撃し、最終的にX線を発生する。
また、上記電子放出ユニット1は曲面において軸線方向に沿って軸線に向けて複数列に配列され、複数列の電子放出ユニットは前後列において合わせられてもよく、好ましくは前後列がずれて、それにより、各電子放出ユニットが発生する電子ビームが陽極に衝撃する位置は重なり合わないようになる。
また、陽極2は中空の管状の構造を有し、冷却剤をその内部に流動させることができる。図21には本発明における陽極及びその支持部材の構造を示す。陽極2は陽極支持部材201A、陽極チューブ202A、陽極ターゲット面203Aから構成される。陽極支持部材201Aは陽極チューブ202Aに取り付けられ、かつ高圧電源接続装置4の頂端(小さい端)に接続し、陽極2を支持して固定することに用いられる。陽極チューブ202Aは陽極2の本体構造であり、両端がそれぞれ2つの冷却接続装置9Aの一端に接続し、かつ内部と冷却接続装置9Aとが連通し、冷却剤が循環して流動するチャンネルになっている。陽極チューブ202Aは、通常、耐高温の金属材料を採用し、複数種の構成方式を有し、円形のチューブであることが好ましい。また、ある場合、例えば、陽極の熱パワーが比較的小さい場合、陽極2は非中空管の柱形構造であってもよい。また、陽極ターゲット面203Aは電子ビームが陽極チューブ202Aに衝撃する位置であり、細かい構造上において複数種の設計を有し、例えば、図21(1)に示すように、陽極チューブ202Aの外円面は電子ビームの衝撃位置であり、この場合、陽極チューブ202Aの全体は耐高温の重金属材料、例えば、タングステン又はタングステン合金を採用し、図21(2)に示すように、陽極チューブ202Aの外円は一部が切除されて小さい傾斜平面を形成し、該傾斜平面が電子ビームの衝撃位置になり、該傾斜平面の傾斜方向が有用なX線の出射方向であり、この構成設計は有用なX線の方向が一致するように引き出されることに有利であり、好ましくは、図21(3)に示すように、陽極チューブ202Aの外表面に陽極ターゲット面203Aが特別に設計されており、陽極ターゲット面203Aは耐高温の重金属材料、例えば、タングステン又はタングステン合金を採用し、厚さが20μm(ミクロン)以上であり、電気めっき、貼り付け、溶接又は他の方式を採用して、陽極チューブ202Aの外縁に加工された小さい傾斜平面に固定されて、この場合、陽極チューブ202Aは普通の金属材料を採用することができ、それにより、コストを低下させることができる。
また、本発明において、上記軸線は直線であってもよく、円弧であってもよく、全体は線状分散型X線装置又は環状分散型X線装置になって、異なる応用要求を満たす。図22には環状分布の電子放出ユニットと陽極布置の効果図を示す。陽極2は1つの平面円周に布置され、電子放出ユニット1は陽極2の下方に布置し、2列の電子放出ユニット1は陽極2の方向で円周に配列されるとともに、陽極2の中心を軸線とする円弧面に配列され、すなわち、各電子放出ユニット1の表面は陽極2の軸線を指す(向く)。電子ビーム流Eは電子放出ユニット1から放出し、陽極2と電子放出ユニット1との間の高圧電場を受けて加速し、陽極2の下縁のターゲット面に衝撃し、陽極2において円形に配列されるアレイX線ターゲットスポットを形成し、有用なX線の出射方向はいずれも陽極2が位置する円周の円心を指す。環状分散型X線装置の真空ボックス3及びその内部の電子放出ユニット1の布置と陽極2の形状との対応も環状構造である。環状分散型X線装置は1つの完全の環であってもよく、1つのセクション(一部分)の環長であってもよく、線源が円形に配列される必要がある場合に応用されてもよい。
また、本発明において、電子放出ユニットのアレイは2列であっても良く、複数列であってもよい。
また、本発明において、電子放出ユニットに対する説明において、「独立」とは、各電子放出ユニットは独立して電子ビーム流を放出する能力を有し、具体的な構造において、離間する構造であっても良く、関連して接続する、ある構造であってもよい。
また、本発明の曲面アレイ分散型X線装置の説明において、「曲面」とは各種形式の曲面であり、円柱面、円環面、楕円面、又は区分的直線から構成される曲面を含み、例えば、正多角形柱面又は区分的弧線から構成される曲面などであってもよく、上記のような円柱面及び円環面であることが好ましい。
また、本発明において、陽極布置位置に対する説明において、「軸線」とは電子放出ユニットが布置された各種形式の曲面の実質的軸線又は形式的軸線であり、例えば、円柱面の軸線とは円柱の中心軸線であり、円環面の軸線とは円環内部の中心軸線であり、楕円曲面の軸線とは該セクションの楕円に近い近軸軸線であり、正多角形柱面の軸線とは正多角形の中心から構成される軸線である。
また、本発明において、陽極内部チューブの断面は円形孔、方形孔、多角形孔、放熱片(フィン)構造を有する内側歯車状孔、又は放熱面積を増加することができる他の形状であってもよい。
また、本発明において、電子放出ユニットの曲面アレイ配列は1つの配列方向において曲線であるが、もう1つの配列方向において直線、区分的直線、弧線、区分的弧線、又は直線セクションと弧線セクションとの組合せである。
また、本発明において、電子放出ユニットの曲面アレイ配列は2つの方向において間隔が均一で一致してもよく、各方向において間隔が均一であるが、2つの方向において間隔が一致しなくてもよく、1つの方向において間隔が均一であるが、もう1つの方向において間隔が非均一であっても良く、2つの方向において間隔がいずれも非均一であってもよい。
また、本発明において、真空ボックスの外形全体は立方体形であってもよく、円柱体形であってもよく、円環体形であってもよく、電子放出ユニットと陽極との相対的布置関係に影響しないほかの構造であってもよい。
(システム構成)
図1〜図6に示すように、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置は複数の電子放出ユニット1、陽極2、真空ボックス3、高圧電源接続装置4、放出制御装置接続装置5、集束装置接続装置6、真空装置8、電源及び制御システム7から構成される。複数の電子放出ユニット1はリニアアレイに配列されて真空ボックス3の1つの側壁に取り付けられ、各電子放出ユニット1は相互に独立し、長尺状の陽極2は真空ボックス3における中間部に取り付けられ、線形配列方向において、陽極2と電子放出ユニット1の配列線とは相互に平行し、線形配列の垂直断面において、陽極2と電子放出ユニット1の上表面とは小さい夾角を形成する。電子放出ユニット1は加熱フィラメント101、陰極102、グリッド107、絶縁支持部材103、集束電極104、集束セクション109、接続固定部材105、フィラメントリード線106、グリッドリード線108、集束装置110を含む。高圧電源接続装置4は真空ボックス3の側壁に取り付けられ、内部と陽極2とが接続され、外部が挿脱可能な形式で高圧ケーブルに接続する。放出制御装置接続装置5は各電子放出ユニット1のフィラメントリード線106とグリッドリード線108とを放出制御装置703の各放出制御ユニットに接続する。真空装置8は真空ボックス3の側壁に取り付けられ、真空装置8は真空ポンプ801と真空弁802とを含む。電源及び制御システム7は制御システム701、高圧電源702、放出制御装置703、集束電源704、真空電源705などの複数のモジュールを含み、電力ケーブルと制御ケーブルによって、システムの複数の電子放出ユニット1の加熱フィラメント101、グリッド107及び陽極2、真空装置8などの構成部分に接続する。なお、放出制御装置703は複数(電子放出ユニット1の数量と同じである)の同じ放出制御ユニットから構成され、各放出制御ユニットが負高圧モジュール70301、直流モジュール70302、高圧絶縁変圧器70303、負バイアスモジュール70304、正バイアスモジュール70305、選択スイッチ70306から構成される。
(作動原理)
本発明の外付け熱陰極分散型X線装置において、電源及び制御システム7は集束電源704、放出制御装置703及び高圧電源702に対して制御を行う。放出制御装置703の各ユニットは作動を始め、負高圧モジュール70301は負高圧を発生して高圧絶縁変圧器70303の一次側に出力し、それにより、高圧絶縁変圧器70303の二次側の一組の並列接続端が高圧に保持され、すなわち、直流モジュール70302、負バイアスモジュール70304、正バイアスモジュール70305、選択スイッチ70306がいずれも同じ負高圧にあり、直流モジュール70302はこの負高圧保持による直流電流を発生して加熱フィラメント101に供給し、加熱フィラメント101は陰極102を高温(例えば、500〜2000℃)放出状態まで加熱し、陰極102はその表面に大量の電子を発生する。負バイアスモジュール70304と正バイアスモジュール70305はそれぞれ負高圧保持による負電圧と正電圧を発生し、選択スイッチ70306は、通常、負電圧をグリッド107にゲーティングして接続する。電子放出ユニット1において、フィラメント101、陰極102及びグリッド107はいずれも負高圧にあり、通常、負の数キロボルト乃至負の数十キロボルトであるが、集束電極104は集束セクション109に接続して、かつ接続固定部材105を介して真空ボックス3の側壁に接続し、接地電位にあり、そのため、グリッド107と集束電極104との間に小さい加速電場を形成する。しかし、グリッド107は陰極102に対してより低い負電圧をさらに有するため、陰極102が発生する電子はグリッド107を通過することができず、グリッド107によって陰極102の表面に制限される。高圧電源702は陽極2を非常に高い正高圧にして、通常、正の数十キロボルト乃至数百キロボルトであり、電子放出ユニット1(すなわち、真空ボックス3の側壁、通常、接地電位)と陽極2との間に正の大きな加速電場を形成する。
X線を発生する必要がある場合、電源及び制御システム7は指令又は予め設定されるプログラムに従って、放出制御装置703のある放出制御ユニットの選択スイッチ70306の出力を負電圧から正電圧に切り替え、かつシーケンスに従ってそれぞれ各電子放出ユニット1に接続される各放出制御ユニットの選択スイッチ70306の出力信号を変換する。例えば、時刻1にて、放出制御装置703の第1放出制御ユニットの選択スイッチ70306の出力は負電圧から正電圧に切り替わり、対応する電子放出ユニット11において、グリッド107と陰極102との間の電場は正電場に変わり、電子が陰極102の表面からグリッド107へ運動し、グリッドメッシュを貫通してグリッド107と集束電極104との間の加速電場に入って、第1回の加速を獲得し、集束電極104のノーズ・コーン形状は電子ビームを第1回の加速過程において自動的に集めさせ、電子ビームの直径が小さくなり、電子ビームが集束セクション109の内部に入った後、外部集束装置110が印加した集束磁場の作用を受けて、電子ビームの直径はさらに小さくなる。小さい直径の電子ビームは接続固定部材105の中心の孔を通過して真空ボックス3の内部に入り、電子放出ユニット11と陽極2との間の大きな加速電場で加速され、エネルギーを獲得し、陽極2に衝撃し、陽極2に1つのターゲットスポット21を発生し、かつ、ターゲットスポット21の位置にX線の放出を発生する。時刻2にて、放出制御装置703の第2放出制御ユニットの選択スイッチ70306の出力は負電圧から正電圧に切り替わり、対応する電子放出ユニット12は電子を放出し、陽極2にターゲットスポット22を発生し、かつターゲットスポット22の位置にX線の放出を発生する。時刻3にて、放出制御装置703の第3放出制御ユニットの選択スイッチ70306の出力は負電圧から正電圧に切り替わり、対応する電子放出ユニット13は電子を放出し、陽極2にターゲットスポット23を発生し、かつターゲットスポット23の位置にX線の放出を発出し、このように類推して、その後にターゲットスポット24の位置にX線の放出を発生し、その後にターゲットスポット25の位置にX線の放出を発生し……、かつ循環して繰り返す。そのため、電源及び制御システム7は放出制御装置703を利用して各電子放出ユニット1が所定のシーケンスに従って交替に作動して電子ビームを放出し、かつ、陽極2の異なる位置に交替にX線を発生し、それにより分散型X線源になる。
また、陽極2が電子ビーム流の衝撃を受けた時に放出するガスは、真空ポンプ801によってリアルタイムに排出され、真空ボックス3内に高真空を維持し、このように長時間に安定に稼働することに有利である。電源及び制御システム7は各電源を制御して設定プログラムに従って各部材を駆動して作動を協調するだけでなく、通信インターフェースとマンマシンインタフェースを介して外部の命令を受信することもでき、システムの重要なパラメータを改正・設定し、プログラムを更新して自動制御調整を行う。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線装置をCTデバイスに応用することで、システムの安定性及び信頼性がよく、かつ検査効率が高いCTデバイスが得られる。
(効果)
本発明は、主に外付け熱陰極分散型X線装置を提供し、1つの光源デバイスにおいて、所定の順番に従って周期的に焦点位置を変えるX線を発生する。本発明の電子放出ユニットは熱陰極を採用し、そのほかの設計に対して放出電流が大きく、寿命が長いメリットを有する。複数の電子放出ユニットはそれぞれ独立して真空ボックスに固定され、かつ直接に小型の二極又は三極電子銃を使用することができ、技術が成熟し、コストが低く、応用が柔軟である。長尺状の大きな陽極の設計を採用し、陽極の過熱の問題を効果的に緩和し、光源のパワーの向上に有利である。電子放出ユニットは直線に配列され、全体が直線型分散型X線装置になってもよく、電子放出ユニットは環状に配列され、全体が環状分散型X線装置になってもよく、応用が柔軟である。集束電極の設計と外部集束装置の設計によって、電子ビームは非常に小さい焦点を実現することができる。そのほかの分散型X線光源デバイスに対して、本発明は電流が大きく、ターゲットスポットが小さく、ターゲットスポット位置の分布が均一で再現性がよく、出力パワーが高く、構造が簡単であり、制御が容易であり、コストが低い。
また、本発明の外付け熱陰極分散型X線光源をCTデバイスに応用すると、光源を移動する必要がなく、複数のビューを生成することができ、そのため、スリップリング運動を省略することができ、構造を容易に簡易化させ、システムの安定性、信頼性を向上させ、検査効率を向上させることに有利である。
以上のように、本発明を説明したが、ここに限定されず、本発明の要旨の範囲において上記実施形態に対して各種の組合せ及び各種の変更を行うことができる。
1:電子放出ユニット、 2:陽極、 3:真空ボックス、
4:高圧電源接続装置、 5:放出制御装置接続装置、 6:集束装置接続装置、
7:電源及び制御システム、 8:真空装置、 E:電子ビーム流、 X:X線、
O:円弧の円心、 101:加熱フィラメント、 102:陰極、
103:絶縁支持部材、 104:集束電極、 105:接続固定部材、
106:フィラメントリード線、 107:グリッド、
108:グリッドリード線、 109:集束セクション、 110:集束装置、
701:制御システム、 702:高圧電源、 703:放出制御装置、
704:集束電源、 70301:負高圧モジュール、
70302:直流モジュール、 70303:高圧絶縁変圧器、
70304:負電圧モジュール、 70305:正電圧モジュール、
70306:スイッチモジュール、 801:真空ポンプ、 802:真空弁。

Claims (34)

  1. 周囲がシールされ、かつ内部が高真空である真空ボックスと、
    それぞれは相互に独立し、かつリニアアレイに配列されて前記真空ボックスの側壁に取り付けられる複数の電子放出ユニットと、
    前記真空ボックスの内部の中間位置に取り付けられ、かつ、長手方向において前記電子放出ユニットの配列方向に平行し、かつ幅方向において前記電子放出ユニットの装着平面と所定角度の夾角を形成する陽極と、
    を具備し、
    前記複数の電子放出ユニットは、前記真空ボックスの側壁に、曲面において前記曲面の軸線方向に沿って前記軸線に向けて複数列に配列するように配置され、
    前記陽極は前記軸線に布置されるように配置されたものであることを特徴とするX線装置。
  2. 各電子放出ユニットの全体は前記真空ボックスの外部に位置し、前記電子放出ユニットからの電子ビーム流は前記陽極に衝撃することで、前記陽極のターゲットスポット位置にX線の放出を発生することを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  3. 前記複数の電子放出ユニットは、前記真空ボックスの側壁に二次元配列の方式で布置され、かつ、各電子放出ユニットの全体は前記真空ボックスの外部に位置し、
    前記電子放出ユニットからの電子ビーム流は前記陽極に衝撃することで、前記陽極のターゲットスポット位置にX線の放出を発生することを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  4. 前記電子放出ユニットは二次元配列の方式で前記真空ボックスの2つの対向する側壁に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載のX線装置。
  5. 前記複数の電子放出ユニットは、各電子放出ユニットの全体は前記真空ボックスの外部に位置し、
    前記陽極は金属から構成され、かつ前記真空ボックスの内部の中間位置に配置し、
    前記電子放出ユニットからの電子ビーム流は前記陽極に衝撃することで、前記陽極のターゲットスポット位置にX線の放出を発生することを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  6. 前記陽極に接続する高圧電源と、前記複数の電子放出ユニットのそれぞれに接続する放出制御装置と、各電源を制御するための制御システムとを有する電源及び制御システムと、をさらに有し、
    前記電子放出ユニットは、加熱フィラメントと、前記加熱フィラメントに接続する陰極と、前記加熱フィラメントの両端から引き出されるフィラメントリード線と、前記加熱フィラメント及び前記陰極を取り囲む絶縁支持部材と、前記陰極の上方に位置するように前記絶縁支持部材の頂端に配置される集束電極と、前記集束電極の上方に配置され、前記真空ボックスのボックス壁にシール接続する接続固定部材とを有し
    前記フィラメントリード線は前記絶縁支持部材を貫通して前記放出制御装置に接続することを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  7. 前記陽極と前記高圧電源のケーブルとを接続し、前記真空ボックスの前記陽極に近い一端の側壁に取り付けられる高圧電源接続装置と、前記加熱フィラメントと前記放出制御装置とを接続するための放出制御装置接続装置と、前記電源及び制御システムに含まれる真空電源と、前記真空ボックスの側壁に取り付けられ、前記真空電源を利用して作動し、前記真空ボックスにおける高真空を維持する真空装置と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のX線装置。
  8. 前記電子放出ユニットは、前記陰極に対向するように前記陰極の上方に配置され、前記陰極と前記集束電極との間に取り付けられ、かつ陰極に近寄っているグリッドと、前記グリッドに接続し、前記絶縁支持部材を貫通して、前記放出制御装置に接続するグリッドリード線と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のX線装置。
  9. 前記電子放出ユニットは、前記集束電極と前記接続固定部材との間に取り付けられる集束セクションと、前記集束セクションを取り囲むように配置される集束装置と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のX線装置。
  10. 前記電源及び制御システムに含まれる集束電源と、前記集束装置と前記集束電源とを接続するための集束装置接続装置と、をさらに有することを特徴とする請求項9に記載のX線装置。
  11. 前記電子放出ユニットは2列に分かれて前記真空ボックスの2つの対向する側壁に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  12. 前記真空ボックスはガラス又はセラミックスで製造されることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  13. 前記真空ボックスは金属材料で製造されることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  14. 前記複数の電子放出ユニットは直線形又は区分的直線形に配列されることを特徴とする請求項6から請求項13のいずれか一項に記載のX線装置。
  15. 前記複数の電子放出ユニットは円弧状又は区分的弧線形に配列されることを特徴とする請求項6から請求項13のいずれか一項に記載のX線装置。
  16. 前記複数の電子放出ユニットの配列間隔は均一であることを特徴とする請求項6から請求項13のいずれか一項に記載のX線装置。
  17. 前記複数の電子放出ユニットの配列間隔は非均一であることを特徴とする請求項6から請求項13のいずれか一項に記載のX線装置。
  18. 前記陽極に接続する高圧電源と、前記複数の電子放出ユニットのそれぞれに接続する放出制御装置と、各電源を制御するための制御システムと、を有する電源及び制御システムをさらに具備し、
    前記陽極は長手方向において前記電子放出ユニットの配列方向に平行し、かつ幅方向において前記電子放出ユニットの装着平面と所定角度の夾角を形成し、
    前記電子放出ユニットは、加熱フィラメントと、前記加熱フィラメントに接続する陰極と、前記加熱フィラメントの両端から引き出され、かつ前記放出制御装置に接続するフィラメントリード線と、前記陰極に対向するように前記陰極の上方に配置されるグリッドと、開口を有し、かつ、前記加熱フィラメント及び前記陰極を取り囲む絶縁支持部材と、前記絶縁支持部材の上端の外縁に接続する接続固定部材と、を有し、
    前記グリッドは、金属で製造され、かつ中央に孔が形成されるグリッドフレームと、金属で製造され、かつ前記グリッドフレームの前記孔の位置に固定されるグリッドメッシュと、前記グリッドフレームから引き出され、かつ前記放出制御装置に接続するグリッドリード線と、を有し、
    前記グリッドは前記陰極に対向するように前記絶縁支持部材の前記開口に配置され、
    前記フィラメントリード線及び前記グリッドリード線は前記絶縁支持部材を貫通して前記電子放出ユニットから外部に引き出され、
    前記接続固定部材と前記真空ボックスのボックス壁とはシール接続されることを特徴とする請求項2に記載のX線装置。
  19. 前記陽極と前記高圧電源のケーブルとを接続し、前記真空ボックスの前記陽極に近い一端の側壁に取り付けられる高圧電源接続装置と、前記加熱フィラメント及び前記グリッドリード線と前記放出制御装置とを接続するための放出制御装置接続装置と、前記電源及び制御システムに含まれる真空電源と、前記真空ボックスの側壁に取り付けられ、前記真空電源を利用して作動し、前記真空ボックスにおける高真空を維持する真空装置と、をさらに有することを特徴とする請求項18に記載のX線装置。
  20. 前記絶縁支持部材は円筒形であり、前記グリッドフレーム、前記陰極及び前記グリッドメッシュは円形であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のX線装置。
  21. 前記絶縁支持部材は円筒形であり、前記グリッドフレーム、前記陰極及び前記グリッドメッシュは長方形であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のX線装置。
  22. 前記絶縁支持部材は立方体形であり、前記グリッドフレーム、前記陰極及び前記グリッドメッシュは円形であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のX線装置。
  23. 前記絶縁支持部材は立方体形であり、前記グリッドフレーム、前記陰極及び前記グリッドメッシュは長方形であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のX線装置。
  24. 前記グリッドメッシュは平面形、球面形又はU溝形であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のX線装置。
  25. 前記陽極は、金属材料で製造され、かつ前記電子放出ユニットの上表面に平行する陽極板と、前記陽極板に取り付けられ、かつ前記電子放出ユニットの位置にそれぞれ対応するように布置される複数のターゲットと、を含み、
    前記ターゲットの底面と前記陽極板とは接続され、かつ前記ターゲットの頂面と前記陽極板とは所定の角度を形成することを特徴とする請求項3に記載のX線装置。
  26. 前記電子放出ユニットは、絶縁骨組み板、グリッド板、グリッドメッシュ、グリッドリード線から構成される平板グリッドと、複数の陰極構造が緊密に配列されてなり、各陰極構造がフィラメント、前記フィラメントに接続する陰極、前記フィラメントの両端から引き出されるフィラメントリード線、前記フィラメント及び前記陰極を取り囲む絶縁支持部材から構成される陰極アレイと、を含み、
    前記グリッド板は前記絶縁骨組み板に設けられ、かつ前記グリッドメッシュは前記グリッド板に形成される孔の位置に設けられ、前記グリッドリード線は前記グリッド板から引き出され、
    前記平板グリッドは前記陰極アレイの上方に位置して、垂直方向において、前記グリッドメッシュの中心と前記陰極の中心とは2つがひと組みになって重なり合い、
    前記フィラメントリード線と前記グリッドリード線はそれぞれ放出制御装置に接続し、
    前記陽極は、金属材料で製造され、かつ前記電子放出ユニットの上表面に平行する陽極板と、前記陽極板に取り付けられ、かつ前記電子放出ユニットの位置にそれぞれ対応するように布置される複数のターゲットと、を含み
    前記ターゲットの底面と前記陽極板とは接続され、かつ前記ターゲットの頂面と前記陽極板とは所定の角度を形成することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のX線装置。
  27. 前記複数の電子放出ユニットが配列されるアレイは2つの方向においていずれも直線であり、或いは、1つの方向において直線であるが、もう1つの方向において区分的直線であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項6から請求項13、請求項25、及び請求項26のいずれか一項に記載のX線装置。
  28. 前記複数の電子放出ユニットが配列されるアレイは1つの方向において直線であり、かつもう1つの方向において弧線又は区分的弧線であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、請求項6から請求項13、請求項25、及び請求項26のいずれか一項に記載のX線装置。
  29. 前記陽極は、金属で構成され、かつ中空の管状形状を有する陽極チューブと、前記陽極チューブに配置される陽極支持部材と、前記陽極チューブの外表面に設けられ、かつ前記電子放出ユニットに面する陽極ターゲット面と、を含むことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載のX線装置。
  30. 前記陽極ターゲット面は、前記陽極チューブの外円の一部が切除されて形成される傾斜平面であることを特徴とする請求項29に記載のX線装置。
  31. 前記陽極ターゲット面は、前記陽極チューブの外円の一部が切除されて形成される傾斜平面に、重金属材料タングステン又はタングステン合金を形成してなることを特徴とする請求項29に記載のX線装置。
  32. 前記軸線は直線又は区分的直線であることを特徴とする請求項5、及び請求項29から請求項31のいずれか一項に記載のX線装置。
  33. 前記軸線は円弧又は区分的円弧であることを特徴とする請求項5、及び請求項29から請求項32のいずれか一項に記載のX線装置。
  34. 使用されるX線源は請求項1から請求項33のいずれか一項に記載のX線装置であることを特徴とするCTデバイス。
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