JP2005110722A - X線管およびx線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができるX線管およびX線撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 円環のリング状の真空容器18内にCNT電子源11やエックス線発生ターゲット12などを収容してX線管10を構成する。CNT電子源11を、X線発生ターゲット12にそれぞれ対向する複数の電子源で構成するとともに、各々の電子源をゲート電極13によって互いに切り換え可能に構成する。このように構成することで簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 円環のリング状の真空容器18内にCNT電子源11やエックス線発生ターゲット12などを収容してX線管10を構成する。CNT電子源11を、X線発生ターゲット12にそれぞれ対向する複数の電子源で構成するとともに、各々の電子源をゲート電極13によって互いに切り換え可能に構成する。このように構成することで簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、医療分野や、非破壊検査,RI(Radio isotope)検査,および光学検査などの工業分野や、原子力分野などに用いられるX線管およびX線撮影装置に関する。
従来、X線透視撮像装置やX線CT装置などに代表されるX線撮影装置に用いられるX線管は、図8に示すように構成されている。すなわち、X線管101は、熱電子(電子線)を照射するフィラメント(電子源)102、そのフィラメント102から照射された熱電子の加速衝突でX線を発生させる陽極(X線発生ターゲット)103、その陽極103を回転させる陽極回転軸104から構成されている。フィラメント102から照射された電子源から陽極103でX線に変換される率は小さく、残りは熱に変換されるので、陽極103で発生した単位面積当たりの熱負荷を小さくすべく、陽極回転軸104は陽極103を回転させる。かかるX線管は『回転陽極X線管』と呼ばれている。
かかるX線管101を用いたX線撮影装置では、例えば図9(a)に示すようにX線管101を被検体Mの体軸Zに平行に移動させたり、図9(b)に示すようにX線管101を被検体Mの体軸Zの周りに回転移動させたりする。
しかしながら、このような構成を有する従来のX線管の場合には、次のような問題がある。すなわち、陽極103を回転させる陽極回転軸104のような駆動機構の他に、図9に示すようなX線管101の線源を移動させる駆動機構が必要になって、これらの駆動機構を含めX線撮影装置が大型化してしまう。また、図9(b)に示すようにX線管101を被検体Mの体軸Zの周りに回転移動させる場合には、回転移動させる駆動機構とX線管101とを結ぶケーブルが回転によって絡まるのを防止するためにスリップリング機構を採用しているが、スリップリング機構を採用することで駆動機構が複雑化してしまう。また、陽極回転軸104のような駆動機構とX線管101を回転移動させる駆動機構とが加わることで陽極回転に伴う惰性が体軸周りによるX線管101の回転の重複によって、陽極回転軸104の保持部に余分な力が加わって、X線管101に負担がかかる。X線CT装置の場合には、CTの分解能が高くなるとX線管101の線源の位置精度が重要になるが、このX線管101の負担、いわゆる機械的な『がた』が線源の位置に影響を及ぼす。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができるX線管およびX線撮影装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、電子線を照射する電子源と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲットと、それらを収容する真空容器とを備えたX線管であって、前記電子源を、前記X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源群で構成するととともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、電子線を照射する電子源と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲットと、それらを収容する真空容器とを備えたX線管であって、前記電子源を、前記X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源群で構成するととともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、真空容器に収容された電子源は電子線を照射し、同じく真空容器に収容されたX線発生ターゲットは照射された電子源の衝突でX線を発生させる。電子源を、X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源で構成するとともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成するので、各々の電子源群の切り換えで線源を移動させることができ、従来のような線源を移動させる駆動機構を低減させることができる。また、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成するので、X線発生ターゲットの照射位置が変わり、電子源の電子線(熱電子)によるX線発生ターゲットの単位面積当たりの熱負荷が小さくなり、従来のようなX線発生ターゲット(陽極回転軸)を回転移動させる駆動機構が必要でなくなる。このように従来のような線源を移動させる駆動機構を低減させて、従来のようなX線発生ターゲットを回転移動させる駆動機構を省略することで、簡易な構成でX線を照射させることができる。また、かかる従来の駆動機構の低減および省略によって、駆動機構によるX線管の負担を軽減させて、機械的な『がた』による位置精度の狂いを低減させて撮影を精度よく行うことができる。
上述したX線管に係る発明において、電子源から照射された電子線を偏向させる偏向手段を備えるのが好ましい(請求項2に記載の発明)。この偏向手段を備えることで電子源から照射された電子線の向きを変更することができるとともに、電子線の向きの変更でX線発生ターゲットから発生したX線の向きを変更することができ、X線の照射の向きを自在に変更することができる。
上述したX線管に係る発明において、電子源から照射された電子線のON/OFFの切り換えを制御するゲート電極を備え、その電子源を電界放出電子源で構成するとともに、ゲート電極からの切り換えで各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成するのが好ましい(請求項3に記載の発明)。なお、電子源をフィラメントで構成する場合には、フィラメントが駆動してからX線を照射するのに十分な量の電子線(熱電子)を照射するまでの待ち時間が必要でOFFからONへの切り換えが円滑に行われずに、フィラメントを停止しても余熱などによって電子線(熱電子)が照射されONからOFFへの切り換えが円滑に行われない。そこで、電子源を電界放出電子源で構成することで、フィラメントのような加熱電源が必要でなくなり、ゲート電極からの切り換えで各々の電子源群を円滑に切り換えることができる。
また、上述した電界放出電子源としてカーボンナノチューブを用いるのが好ましい(請求項4に記載の発明)。電界放出電子源としてカーボンナノチューブを用いることで室温または比較的低温でX線管を動作させることができる。
また、上述したX線管に係る発明の一例は、真空容器を円環状に構成し、その円環状の真空容器内に各々の電子源群を円周上に収容するとともに、X線発生ターゲットを収容することである(請求項5に記載の発明)。このように収容することでX線管から上述した円周上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を円周上に沿って照射することができる。
さらに、上述したX線管に係る発明の他の一例は、真空容器を直線状に構成し、その直線状の真空容器内に各々の電子源群を直線上に収容するとともに、X線発生ターゲットを収容することである(請求項6に記載の発明)。このように収容することでX線管から上述した直線上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を直線上に照射することができる。
また、請求項7に記載の発明は、X線を照射するX線管と、照射されたX線を検出する検出器とを備えたX線撮影装置であって、前記X線管は、電子線を照射する電子源と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲットと、それらを収容する真空容器とを備え、前記電子源を、前記X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源群で構成するととともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、X線管はX線を照射して、検出器はX線管から照射されたX線を検出することでX線撮影を行う。X線管に備えられた電子源を、同じくX線管に備えられたX線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源で構成するとともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成するので、簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができる。
上述したX線撮影装置に係る発明の一例は、真空容器を円環状に構成し、その円環状の真空容器内に各々の電子源群を円周上に収容するとともに、X線発生ターゲットを収容し、X線管から照射されたX線を検出するように検出器を略円環状または多角形環状に構成することである(請求項8に記載の発明)。このように構成することでX線管から上述した円周上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を円周上に沿って照射して、X線管から円周上に沿って照射されたX線を検出器が検出して、撮影を精度よく行うことができる。
上述したX線撮影装置に係る発明の他の一例は、真空容器を直線状に構成し、その直線状の真空容器内に各々の電子源群を直線上に収容するとともに、X線発生ターゲットを収容し、X線管から照射されたX線を検出するように検出器を構成することである(請求項9に記載の発明)。このように構成することでX線管から上述した直線上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を直線上に照射して、X線管から直線上に沿って検出されたX線を検出器が検出して、撮影を精度よく行うことができる。
この発明に係るX線管およびX線撮影装置によれば、電子源を、X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源で構成するとともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成するので、簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線管およびX線撮影装置の概略側面図であり、図2は、X線管の具体的な構成を示す側面図であり、図3(a)は、X線管の概略正面図であり、図3(b)は、検出器の概略正面図である。
図1は、実施例に係るX線管およびX線撮影装置の概略側面図であり、図2は、X線管の具体的な構成を示す側面図であり、図3(a)は、X線管の概略正面図であり、図3(b)は、検出器の概略正面図である。
本実施例に係るX線撮影装置は、図1に示すように、X線を照射するX線管10と、照射されたX線を検出する検出器20とを備えている。実施例装置は、その他に、被検体Mを載置する天板30や、X線管10のCNT電子源11に電圧を供給する高電圧発生装置40や、天板30を図中のx方向(体軸Zの方向)やy方向に水平移動させ図中のz方向に昇降移動させる天板駆動機構50や、X線管10のゲート電極13に印加する電圧を調節するゲートスイッチ60や、検出器20から検出されたデータに対してA/D変換や各種の処理を行うデータ処理部70や、データ処理部に処理された各種のデータを記憶する記憶部(図示省略)や、画像データを表示するモニタ(図示省略)や、これらの機構や装置を統括制御するコントローラ80などを備えている。
図3(a)、図3(b)に示すように、X線管10および検出器20はともにリング状に構成されている。X線管10は、図2に示すように、電子線を照射するCNT(カーボンナノチューブ)電子源11と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲット(陽極)12と、CNT電子源11から照射された電子線のON/OFFの切り換えを制御するゲート電極13と、電子線のビームの収束を制御するレンズ電極14と、電子線を偏向させる偏向コイル15と、X線発生ターゲット12を冷却する冷却機構16と、円筒形状のX線取り出し窓17と、これらを収容する真空容器18とを備えている。偏向コイル15は、この発明における偏向手段に相当する。
真空容器18は、図3(a)に示すように円環のリング状に構成されており、そのリング状の真空容器18内にCNT電子源11が複数個分(例えば1,000個分)配設されている。各々のCNT電子源11は、円周上に収容されている。各々のCNT電子源11に1対1で対応してゲート電極13およびレンズ電極14がCNT電子源11と同数個分収容されている。CNT電子源11は、フィールドエミッション(Field Emission)型の電界放出電子源で構成されている。CNT電子源11での電圧よりもゲート電極13で印加された電圧の方が高くなると電子線を放出するようになっている。また、CNT電子源11は、カーボンナノチューブを用いて構成されている。なお、図3(a)では、図示の便宜上、CNT電子源11を8個分表している。
各々のゲート電極13はゲートスイッチ60に接続されており、ゲートスイッチ60からゲート電極13の電圧を調節することができる。偏向コイル15は、図2に示すようにレンズ電極14とX線発生ターゲット12との間に配設されており、電子線がX線発生ターゲット12に衝突するまでに偏向コイル15によって電子線の向きが偏向される。X線発生ターゲット12は、図3(a)に示すように、各々のCNT電子源11がそれぞれ対向するように円環のリング状に構成されている。X線発生ターゲット12内には冷却機構16として、冷却水などに代表される冷媒を通す冷媒管がターゲット12の形状に合わせて円環のリング状に配設されている。X線取り出し窓17は、各リングの真空管18に介在されるように構成されており、X線発生ターゲット12から発生したX線がX線取り出し窓17を通って、被検体Mを透過して検出器20に検出される。
一方、図3(b)に示すように検出器20は多角形環のリング状に構成されており、平面型の検出器20aが複数個分配設されている。具体的には、X線管10のX線発生ターゲット12から照射されたX線を各平面における検出器20aが検出するように配設されている。各平面における検出器20aは、例えばフラットパネル型放射線検出器(FPD)で構成されている。なお、図3(b)では、図示の便宜上、平面型の検出器20aを8個分表している。
次に、X線管10から上述した円周上に沿ってX線を照射して撮影を行ったときのX線の照射状況について、図4の概略正面図を参照して説明する。図4(a)〜図4(c)は、X線管10および検出器20の概略正面図である。
例えば、図4(a)に示すような位置からX線を照射する場合には、その位置のX線発生ターゲット12(図3参照)に向けて電子線を照射するCNT電子源11と、それに対応したゲート電極13(図2参照)とについて同一電源で昇圧させて(例えば−60kV)、ゲートスイッチ60によってゲート電極13での電圧を少し正の電圧(例えば2〜3kV)に調節して(例えば−58kV)、そのCNT電子源11から電子線が放出(ON)されて照射される。逆に、ゲートスイッチ60によってCNT電子源と同じ電圧(例えば−60kV)または少し負の電圧を印加して調節する(例えば−61kV)と、電子線の放出が停止(OFF)する。このように、指定されたゲート電極13で印加された電圧の方がCNT電子源11での電圧よりも高くなると電子線を放出してOFFからONに切り換わり、そのCNT電子源11から電子線が照射される。その他のCNT電子源11にそれぞれ対応したゲート電極13については電圧をCNT電子源11での電圧よりも高くしない。したがって、その他のCNT電子源11からは電子線は照射されずにOFF状態のままになる。図2に示すように、X線管10のX線発生ターゲット12から照射されたX線ビームBは被検体Mを透過して、被検体Mを挟んで、照射したCNT電子源11に対向した検出器20がX線ビームBを検出する。
同様の手順で、隣接するCNT電子源11に切り換えるために、これまで照射していたCNT電子源11に対応したゲート電極13の電圧を低く設定して、隣接するCNT電子源11に対応したゲート電極13の電圧をCNT電子源11での電圧よりも高く調節する。すると、隣接するCNT電子源11から電子線が照射されて、X線発生ターゲット12を経てX線ビームBが照射される。同じ手順で、CNT電子源11を切り換えると、図4(b),図4(c)に示すように、円周上に沿ってX線を照射することになる(図4の場合には時計回り)。そして、照射されたX線を検出する検出器20も円周上に沿って切り換わる。
以上のように、本実施例装置のX線管10によれば、真空容器18に収容されたCNT電子源11は電子線を照射し、同じく真空容器18に収容されたX線発生ターゲット12は照射された電子源の衝突でX線を発生させる。電子源を、X線発生ターゲット12にそれぞれ対向する複数のCNT電子源11で構成するとともに、各々のCNT電子源11を互いに切り換え可能に構成するので、各々のCNT電子源11の切り換えで線源を移動させることができ、従来のような線源を移動させる駆動機構を低減させることができる。また、各々のCNT電子源11を互いに切り換え可能に構成するので、X線発生ターゲット12の照射位置が変わり、電子源の電子線によるX線発生ターゲット12の単位面積当たりの熱負荷が小さくなり、従来のようなX線発生ターゲット(陽極回転軸)を回転移動させる駆動機構が必要でなくなる。このように従来のような線源を移動させる駆動機構を低減させて、従来のようなX線発生ターゲットを回転移動させる駆動機構を省略することで、簡易な構成でX線を照射させることができる。また、かかる従来の駆動機構の低減および省略によって、駆動機構によるX線管の負担を軽減させて、機械的な『がた』による位置精度の狂いを低減させて撮影を精度よく行うことができる。
また、本実施例装置によれば、X線管10はX線を照射して、検出器20はX線管10から照射されたX線を検出して、データ処理部70で各種の処理を行うことでX線撮影を行う。X線管10に備えられたCNT電子源11を、同じくX線管10に備えられたX線発生ターゲット12にそれぞれ対向する複数のCNT電子源11で構成するとともに、各々のCNT電子源11を互いに切り換え可能に構成するので、簡易な構成でX線を照射して、撮影を精度よく行うことができる。
なお、CNT電子源11から切り換わることでX線発生ターゲット12に電子源が衝突する箇所が逐次に変わるので、上述したようにX線発生ターゲット12の単位面積当たりの熱負荷が小さくなる。本実施例では、冷却機構16を備えているが、このことから冷却機構16を簡易に、または冷却機構16を省くこともできる。
本実施例では、CNT電子源11から照射された偏向コイル14を備えることで、CNT電子源11から照射された電子線の向きを変更することができるとともに、電子線の向きの変更でX線発生ターゲット12から発生したX線の向きを変更することができ、X線の照射の向きを自在に変更することができる。
本実施例では、CNT電子源11としてカーボンナノチューブを用いているので、室温または比較的低温でX線管10を動作させることができる。なお、電子源をフィラメントで構成する場合には、フィラメントが駆動してからX線を照射するのに十分な量の電子線(熱電子)を照射するまでの待ち時間が必要でOFFからONへの切り換えが円滑に行われずに、フィラメントを停止しても余熱などによって電子線(熱電子)が照射されONからOFFへの切り換えが円滑に行われない。そこで、本実施例では、CNT電子源11を電界放出電子源で構成することで、フィラメントのような加熱電源が必要でなくなり、ゲート電極13からの切り換えで各々のCNT電子源11を円滑に切り換えることができる。
また、本実施例では、真空容器18を円環のリング状に構成し、その円環のリング状の真空容器18内に各々のCNT電子源11を円周上に収容するとともに、X線発生ターゲット12を収容している。このように収容することでX線管10から上述した円周上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を円周上に沿って照射することができる。また、X線管10から照射されたX線を検出するように検出器20を多角形環のリング状に構成することでX線管から上述した円周上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を円周上に沿って照射して、X線管10から円周上に沿って照射されたX線を検出器20が検出して、撮影を精度よく行うことができる。
また、各々のCNT電子源11を互いに切り換えることで、X線管10から円周上に沿ってX線を照射して撮影を行うので、従来のように被検体Mの周りに線源が回転移動するときと比べて、撮影を高速に行うことができる。
なお、本実施例では、CNT電子源11を1つずつONにしたが、同時に2個以上のCNT電子源11をONにして、図5に示すように2方向以上から撮影を同時に行ってもよい。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)この発明は、人体や動物などの被検体を撮影する医療分野や、梱包部材やプリント基板などの被検体を検査する工業分野や、その他原子力分野などに適用することができる。
(2)上述した実施例では、冷却機構16を備えたが、上述したように冷却機構16を簡易に、または冷却機構16を省くこともできる。
(3)上述した実施例では、偏向コイル15を備えたが、偏向コイル15を必ずしも備える必要はない。
(4)上述した実施例では、電界放出電子源としてカーボンナノチューブを用いたが、必ずしもカーボンナノチューブを用いる必要はない。
(5)上述した実施例では、電子源を電界放出電子源で構成したが、電界放出電子源以外の電子源、例えばフィラメントで構成してもよい。ただ、フィラメントの場合には上述したようにON/OFFの切り換えが円滑に行えなくなる恐れがあるので、電界放出電子源で電子源を構成するのがより好ましい。
(6)上述した実施例では、各々のCNT電子源11にそれぞれ対向するようにX線発生ターゲット12を円環のリング状に構成(図3、図4参照)したが、図6に示すように、各々のCNT電子源11に1対1で対応してX線発生ターゲット12をCNT電子源11ごとに分割して配設してもよい。
(7)上述した実施例の平面型の検出器20aの個数は特に限定されない。検出器20aを多数個配設すると、検出器20が略円環状に構成される。また、FPD以外で検出器を構成する場合には、曲面状に構成することで検出器20を円環状に構成してもよい。
(8)上述した実施例では、図3、図4に示すように真空容器18を円環のリング状に構成し、その円環のリング状の真空容器18内に各々のCNT電子源11を円周上に収容するとともに、X線発生ターゲット12を収容したX線管10のタイプであったが、図7に示すようなX線管10のタイプであってもよい。
図7(a)では、例えばプリント基板に代表される被検体Mをベルトコンベア31に載せて、体軸Z方向に水平方向に移動させる。X線管10の真空容器18を体軸Z方向に平行に直線状に構成する。したがって、真空容器18は体軸Zの高さをもつ円筒形状であってもよいし、体軸Zの高さをもつ直方体形状であってもよい。そして、その真空容器18内に各々の電子源11を体軸Z方向に平行に直線状に収容するとともに、X線発生ターゲット12を収容し、X線管10の電子源11から照射されたX線を検出するように検出器20を構成する。図7(a)では、検出器20を固定させた状態で、ベルトコンベア31でのプリント基板(被検体)Mの移動に合わせて電子源11をそれぞれ切り換え、X線管10を機械的に移動することなく複数の画像を撮像することで1種の断層像を得ることができる。ベルトコンベア31の替わりに実施例のように天板30であってもよい。
なお、図7(b)に示すように、ベルとコンベア31を天板30に替えて、被検体Mを固定させた状態で、検出器20を移動させて、各々の電子源11をそれぞれ切り換えてもよい。もちろん、被検体Mをも移動させてもよい。また、複数の被検体Mを天板30またはベルトコンベア31に載せて、2個以上の電子源11をONにして、図7(c)に示すように、2方向以上から撮影を同時に行ってもよい。
図7(a)〜図7(c)に示すように収容することでX線管10から上述した直線上(体軸Z)に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を直線上に照射することができる。また、X線管10から照射されたX線を検出するように検出器20を構成するでX線管10から上述した直線上に沿ってX線を照射する場合において、簡易な構成でX線を直線上に照射して、X線管10から直線上に沿って検出されたX線を検出器20が検出して、撮影を精度よく行うことができるとともに、図7では撮影のスループットを向上させることができる。
(9)図7の場合には、複数の電子源11にまたがってX線発生ターゲット12を構成したが、変形例(6)でも述べたように、各々の電子源11に1対1で対応してX線発生ターゲット12を電子源11ごとに分割して配設してもよい。
(10)上述した実施例では、電子源11とゲート電極13との両電圧の調節でON/OFFを切り換えたが、X線発生ターゲット12側に印加した電圧の調節でON/OFFを切り換えてもよい。また、電子源11とX線発生ターゲット12とに逆の電圧を印加してもよい。
10 … X線管
11 … CNT電子源
12 … X線発生ターゲット
13 … ゲート電極
15 … 偏向コイル
18 … 真空容器
20 … 検出器
M … 被検体
11 … CNT電子源
12 … X線発生ターゲット
13 … ゲート電極
15 … 偏向コイル
18 … 真空容器
20 … 検出器
M … 被検体
Claims (9)
- 電子線を照射する電子源と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲットと、それらを収容する真空容器とを備えたX線管であって、前記電子源を、前記X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源群で構成するととともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするX線管。
- 請求項1に記載のX線管において、前記電子源から照射された電子線を偏向させる偏向手段を備えることを特徴とするX線管。
- 請求項1または請求項2に記載のX線管において、前記電子源から照射された電子線のON/OFFの切り換えを制御するゲート電極を備え、その電子源を電界放出電子源で構成するとともに、前記ゲート電極からの切り換えで各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするX線管。
- 請求項3に記載のX線管において、前記電界放出電子源としてカーボンナノチューブを用いることを特徴とするX線管。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のX線管において、前記真空容器を円環状に構成し、その円環状の真空容器内に前記各々の電子源群を円周上に収容するとともに、前記X線発生ターゲットを収容することを特徴とするX線管。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のX線管において、前記真空容器を直線状に構成し、その直線状の真空容器内に前記各々の電子源群を直線上に収容するとともに、前記X線発生ターゲットを収容することを特徴とするX線管。
- X線を照射するX線管と、照射されたX線を検出する検出器とを備えたX線撮影装置であって、前記X線管は、電子線を照射する電子源と、照射された電子源の衝突でX線を発生させるX線発生ターゲットと、それらを収容する真空容器とを備え、前記電子源を、前記X線発生ターゲットにそれぞれ対向する複数の電子源群で構成するととともに、各々の電子源群を互いに切り換え可能に構成することを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項7に記載のX線撮影装置において、前記真空容器を円環状に構成し、その円環状の真空容器内に前記各々の電子源群を円周上に収容するとともに、前記X線発生ターゲットを収容し、前記X線管から照射されたX線を検出するように前記検出器を略円環状または多角形環状に構成することを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項7に記載のX線撮影装置において、前記真空容器を直線状に構成し、その直線状の真空容器内に前記各々の電子源群を直線上に収容するとともに、前記X線発生ターゲットを収容し、前記X線管から照射されたX線を検出するように前記検出器を構成することを特徴とするX線撮影装置。
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