JP6525765B2 - 座屈拘束ブレース及びその作製方法 - Google Patents

座屈拘束ブレース及びその作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、座屈拘束ブレース及びその作製方法に関する。
ブレースは、圧縮力を受ける建築部材であり、H型鋼などの長尺材からなることが多い。このような長尺材は、細長比が基準値を超える場合が多く、大きな圧縮力を受けると座屈する。このため、設計上、ブレース材は圧縮力を負担せず、引張力のみを負担するとされる。しかし、これでは、1構面で負担できる水平力が小さくなり、不経済である。
そこで、H型鋼などの長尺材に圧縮力を負担させるために、座屈しないよう補剛する必要がある。例えば特許文献1から3には、H形鋼からなるブレース芯材を補剛筒体で囲繞した構造が開示されている。そして、特許文献1,2に開示されたように、ブレース芯材の外周には、充填材固化体との付着を防止するために、紙、テープ、コールタール等の塗料、ブチルゴム等の弾性体などからなる離間材を設けている。
特許文献1には、ブレース鉄骨(ブレース芯材)の外周に絶縁層(離間材)を形成し、絶縁層の外周面とPC鋼材(補剛筒体)の外周面との間にコンクリートを充填することが開示されている。絶縁層は、紙を巻き付ける、コールタール等の塗料を塗布するなどすることによって形成されている。
特許文献2には、ブレース芯材の外周の一部をアンボンド材(離間材)で被覆し、内挿板を設けてブレース芯材の周囲に非充填空間を形成し、ブレース芯材及び内挿板と外套管(補剛筒体)と間に充填材を充填することが開示されている。アンボンド材は、粘着テープの貼着、塗料の塗布、薄い鋼板の当接などによって形成されている。
なお、特許文献3には、H型鋼(ブレース芯材)との間に所定の隙間を有するように、補剛筒体の内側に平板を固定することが開示されている。
特公昭62−21098号公報 特開2013−124530号公報 特開2013−213390号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示された技術では、離間材が紙、テープ、コールタール等の塗料、ブチルゴム等の弾性体などからなる。このような離間材は、打設された充填材によって、また、圧縮力を受けたブレース芯材の断面積が増加することによって、圧力を受けたとき圧縮されて剛性が高くなる。そのため、離間材がブレース芯材の断面積の増加を阻害する。また、ブレース芯材と充填材との間に摩擦力が生じる。
ブレース芯材の断面積の増加を阻害された場合、ブレース芯材は全面から圧力を受け、全体としての剛性が高くなり過ぎる。また、ブレース芯材と充填材との間に摩擦力が生じた場合、ブレース芯材の受ける軸力の一部を充填材が負担するため、やはり全体としての剛性が高くなり過ぎる。これらの結果、引張側に配置されたものとのバランスが取れず、建物全体が設計時に意図した変形、荷重分布を維持することができない。また、ブレース自体も設計時に意図した降伏や破壊性状にならない。
なお、上記文献3に開示された技術では、補剛筒体を構成するピースを連結する際にボルトを使用するが、このボルトが補剛筒体の外側に突出し、仕上げ材の設置などに支障が生じることがある。
本発明は、以上の点に鑑み、ブレース芯材の断面積の増加が離間材によって妨げられない座屈補剛ブレース及びその作製方法を提供することを目的とする。
本発明の座屈拘束ブレースは、ブレース芯材と、前記ブレース芯材を囲繞する補剛筒体と、前記ブレース芯材の外周面に配置された離間材と、前記補剛筒体と前記離間材との間に充填された充填材が固化した充填材固化体とを備える座屈拘束ブレースであって、前記離間材は塑性材料であるプラスチックから形成された2枚の平板が複数の連結板で連結されてなり、前記2枚の平板のうちの1枚の平板が前記ブレース芯材の外周面に接しているプラスチックダンボールからなることを特徴とする。
本発明の座屈拘束ブレースによれば、離間材がプラスチックダンボールからなる。プラスチックダンボールは、充填材を充填する際に受ける圧力では大きく変形しない程度の大きな耐力を有する。よって、充填材の充填後も離間材によりブレース芯材と拘束体である充填材固化体との間に適切な隙間を維持することができる。
また、ブレース芯材が圧縮力を受けて断面積が増加したとき、ブレース芯材と充填材固化体との間に位置する離間材には非常に大きな圧力が作用する。これにより、プラスチックダンボールからなる離間材は座屈し、その剛性は極端に低下する。よって、その後ブレース芯材の断面積が多少増加しても、離間材はその増加をほとんど阻害しない。そして、離間材は塑性材料であるプラスチックから形成されているので、一旦座屈すると、圧力が除去されても変形したままである。
なお、離間材はブレース芯材の外周面に配置されていればよく、接着剤等で固着されていなくてもよい。このため、ブレース芯材の外周面に離間材を固着する際に使用した接着剤等によって、離間材が充填材固化体と固着するおそれがない。また、離間材が充填材固化体と固着することがあったとしても、ブレース芯材の受ける圧縮力が離間材を介して充填材固化体に直接的に伝達されることを防ぐことができる。
本発明の座屈拘束ブレースにおいて、前記ブレース芯材はH型鋼からなり、前記H型鋼の対向するフランジ間に亘って発泡樹脂体が配置されていることが好ましい。
この場合、発泡樹脂体が占める空間は、充填材を充填して充填材固化体を形成する必要がない。よって、座屈拘束ブレースが軽量になるので、運搬、施工の観点から好ましく、材料費も安価になる。また、離間材をブレース芯材の外周面に押し付けるように発泡樹脂体を配置することよって、位置ずれすることなく離間材を配置させることが可能となる。
本発明の座屈拘束ブレースにおいて、前記ブレース芯材の端部は前記補剛筒体から突出しており、少なくとも前記突出した部分のブレース芯材は、前記補剛筒体内に囲繞されたブレース芯材と比較して断面二次モーメントが大きいことが好ましい。
この場合、座屈補剛されていないブレース芯材の端部の剛性が高まるので、座屈補剛されているブレース芯材よりも先に端部が座屈することを防ぐことができる。
なお、本発明の座屈拘束ブレースにおいて、離間材と充填剤固化体の固着を確実に防ぐことができるのであれば、前記離間材を前記ブレース芯材の外周面に固着させてもよい。
この場合、発泡樹脂体などを用いることなく、ブレース芯材の外周面に離間材を位置ずれすることなく配置させることが可能となる。ただし、発泡樹脂体などを用いた場合も、離間材を前記ブレース芯材の外周面に固着させてもよい。
本発明の座屈拘束ブレースの作製方法は、ブレース芯材の外周に、塑性材料であるプラスチックから形成された2枚の平板が複数の連結板で連結されてなるプラスチックダンボールからなる離間材を前記2枚の平板のうちの1枚の平板が前記ブレース芯材の外周面に接するように配置する工程と、外周に前記離間材を配置した前記ブレース芯材を補剛筒体内に挿入する工程と、前記離間材と前記補剛筒体との間の隙間に充填材を充填する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の座屈拘束ブレースの作製方法によれば、本発明の座屈拘束ブレースに係る、離間材がプラスチックダンボールからなる座屈拘束ブレースを作製することができる。
本発明の座屈拘束ブレースの作製方法において、前記充填材を充填する工程は、前記補剛筒体の両端部に、開口を有する塞ぎ材をそれぞれ設置する工程と、前記補剛筒体を前記ブレース芯材に仮固定手段で仮固定する工程と、前記補剛筒体を仮固定した前記ブレース芯材を斜めに配置し、下側の前記塞ぎ板の開口から充填材を注入する工程と、上側の前記塞ぎ材の開口から充填材が出た後、充填材の注入を停止する工程と、注入した前記充填材が固化した後、前記仮固定手段による仮固定を解除する工程とを含むことが好ましい。
この場合、離間材と補剛筒体との間の隙間に充填材を確実且つ簡易に充填することができる。なお、離間材はブレース芯材の外周面に配置されていればよく、接着剤等で固着させなくてもよい。
本発明の座屈拘束ブレースの作製方法において、前記離間材と前記補剛筒体との間の隙間の少なくとも一部に発泡樹脂体を配置する工程をさらに備えることが好ましい。
この場合、発泡樹脂体が占める空間は、充填材を充填する必要がない。よって、座屈拘束ブレースが軽量になるので、運搬、施工の観点から好ましく、材料費も安価になる。また、離間材をブレース芯材の外周面に押し付けるように発泡樹脂体を配置することよって、位置ずれすることなく離間材を配置させることが可能となる。
なお、本発明の座屈拘束ブレースの作製方法において、前記離間材を前記ブレース芯材の外周に固着してもよい。
この場合、発泡樹脂体などを用いることなく、ブレース芯材の外周面に離間材を位置ずれすることなく配置させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る座屈補剛ブレースを建物に使用した状態を示す説明図。 図1のII−II線断面図。 座屈補剛ブレースの端部を示す正面図であり、(a)は実施形態、(b)は実施形態の変形例をそれぞれ示す。
本発明の実施形態に係る座屈拘束ブレース100について図面を参照して説明する。
図1に示すように、座屈拘束ブレース100は、柱Aや梁Bなどからなる架構において、ウェブ12の外面が架構面に沿う姿勢で建物に配置されている。
図2に断面図を示すように、座屈拘束ブレース100は、ブレース芯材10と、ブレース芯材10を囲繞する補剛筒体20と、ブレース芯材10の外周面に配置された離間材30と、補剛筒体20と離間材30との間に充填された充填材固化体(拘束体、補剛材)40とを備えている。
ブレース芯材10は、対向する一対の同一平板状のフランジ11及びこれらフランジ11の中央部を連結するウェブ12から構成されたH形鋼からなる。ブレース芯材10は、長手方向に亘ってH字状の同一断面を有している。ブレース芯材10は、広幅タイプのH型鋼からなることが好ましい。
補剛筒体20は、ブレース芯材10の補剛区間全長に亘って延在している。補剛筒体20は、ここでは、四角筒状の形鋼からなるが、平鋼板をボルトや溶接で固定して筒状にしたものであってもよい。また、補剛筒体20は、四角筒状の他、丸筒、楕円筒、三角筒、六角筒など、ブレース芯材10の断面形状などに応じて適宜変更すれば。
離間材30は、プラスチックダンボールからなる。プラスチックダンボールは、プラスチックを素材として製造されたダンボールシートであり、プラダン、ダンプラなどとも呼称される。プラスチックダンボールは、平行に配置された2枚のプラスチック製平板が、多数のプラスチック製リブ板(連結板)で連結されたシート構造である。このようなプラスチックダンボールとして、例えば住化プラスチック株式会社製のサンプライを挙げることができる。
離間材30の厚さは、ブレース芯材10の大きさに応じて適宜定めればよいが、例えばフランジ幅の0.5〜2.0%程度、より好ましくは1.0%程度である。そして、プラスチックダンボールは、座屈すると厚さが数分の1程度になる。ここで言うプラスチックダンボールの座屈とは、外部からの圧力によってプラスチック製リブ板が塑性変形して、平行に配置されていた2枚のプラスチック製平板間の距離が小さくなることである。
離間材30は、ここでは、補剛筒体20にて囲繞されている部分におけるブレース芯材10の外周面全体を覆うように配置されている。例えば、シート状のプラスチックダンボールをブレース芯材10の外周面を被覆している。離間材30は、ブレース芯材10の外周面と固着していない。なお、後述する発泡樹脂体50と接する部分は、離間材30で覆わなくてもよい。離間材30の一方の面はブレース芯材10の外周面に、他方の面は充填材固化体40及び後述する発泡樹脂体50に、共に固着することなく接している。ただし、離間材30の被覆面全面又はその一部を接着剤等によってブレース芯材10の外周面と固着させてもよい。
充填材固化体40は、ここでは、充填材であるグラウトが固化したものであるが、充填材としてコンクリート、樹脂などを使用してもよい。
座屈拘束ブレース100は、さらに、発泡スチロールなどの発泡樹脂からなる発泡樹脂体50を備えている。発泡樹脂体50は、ブレース芯材10のウェブ12の外側面に当接して、ブレース芯材10の対向するフランジ11間に亘るように配置されている。
発泡樹脂体50は、ブレース芯材10の断面に対して長さがウェブ長さ、幅がフランジ長さより短い長さとなるような形状、又はこれより少し大きな形状としたものを圧縮して、ウェブ12間に押し込むように挿入されている。よって、発泡樹脂体50は、ブレース芯材10を押し付けるように離間材30と当接しており、離間材30とブレース芯材10とを固着させなくても、離間材30がブレース芯材10から剥離することを防止する役割も果たしている。なお、発泡樹脂体50は、充填材の打設時には型枠としての役割を果たす。
発泡樹脂体50の幅は、例えば、ウェブ表面からフランジ端部までの半分程度である。発泡樹脂体50は、発泡樹脂材を切断することで容易に作製でき、その配置作業も手で押し込めばよく、容易である。
座屈拘束ブレース100は、さらに、図示しないが、補剛筒体20の両端部に設置された塞ぎ板(塞ぎ材)を備えている。
塞ぎ板は、補剛筒体20の中空部全体を覆うことが可能な大きさであり、ブレース芯材10の端部形状と略一致する切り込みが形成されている。そして、塞ぎ板には、補剛筒体20の端部に設置されたときに、ブレース芯材10と補剛筒体20との間の2か所の隙間と連通する位置に、それぞれ開口が形成されている。
図3(a)及び図3(b)に示すように、ブレース芯材10の端部は補剛筒体20から突出している。そして、少なくとも突出した部分のブレース芯材10は、座屈防止のために、補剛筒体20内に囲繞されたブレース芯材10と比較して断面二次モーメントが大きくなるように補強されている。ここでは、補剛筒体20の端部から少し内側の部分から、図示しない建物本体との接合部分までのブレース芯材10が補強されている。
具体的には、図3(a)に示すように、補強された部分(補強部)は、ブレース芯材10を構成するH型鋼と比較して、厚さの厚いH型鋼71が溶接などによって接合されている。また、図3(b)に示すように、補強部は、ブレース芯材10のフランジ11やウェブ12に補強用鋼材72が溶接などで接合されていてもよい。なお、図示しないが、補強したブレース芯材10の端部と充填材固化体40との間にはクッション材を設ける。
また、図示しないが、ブレース芯材10は、その長手中央部付近にウェブ12の側面に、鋼材などからなる突起片が溶接などによって固定されている。この突起片は、離間材30で覆われておらず、充填材固化体40内に定着されている。これにより、座屈拘束ブレース100を建物の構面内に斜めに設置した状態でも、ブレース芯材10に対して補剛筒体20及び充填材固化体40がずり落ちない。
以下、本発明の実施形態に係る座屈拘束ブレース100の作製方法について図面を参照して説明する。
まず、ブレース芯材10の外周面に離間材30を巻き付けて配置する工程を行う。なお、充填材が離間材30内に入り込まないように、離間材30の開口側端部の開口をガムテープなどで塞いでおく。
次に、発泡樹脂体50をブレース芯材10のフランジ11間に挿入する工程を行う。これにより、離間材30は発泡樹脂体50によってブレース芯材10のフランジ面及びウェブ面に押し付けられて固定される。
次に、離間材30及び発泡樹脂体50を設けたブレース芯材10を補剛筒体20内に挿入する工程を行う。補剛筒体20には、図示しないが複数の貫通孔が形成されており、これら貫通孔にボルト(仮固定手段)を挿通させ、ボルトの先端部をブレース芯材10に押し当てる。これにより、ブレース芯材10に対して補剛筒体20を仮固定する。施工時の仮固定の際には、ボルトの先端部で離間材30に当接させたブレース芯材10を押圧する。
さらに、補剛筒体20の両端部にそれぞれ塞ぎ板を設置する工程を行う。
次に、補剛筒体20を仮固定したブレース芯材10を地面に対してやや斜めになるように設置し、ブレース芯材10と補剛筒体20との間の隙間に充填材を充填する工程を行う。なお、充填材の充填圧は、離間材30が座屈する耐力以下とする。
具体的には、下側の塞ぎ板の下側の開口から充填材を注入する。下側の塞ぎ板の上側の空気抜き用の開口から充填材が溢れ出したらこの開口を塞ぐ。さらに充填材を注入して上側の塞ぎ板の下側の空気抜き用の開口から充填材が溢れ出したらこの開口を塞ぐ。そして、さらに充填材を注入し、上側の塞ぎ板の上側の空気抜き用の開口から充填材が溢れ出したら、充填材の注入を停止する。
そして、充填材が固化して充填材固化体40が形成された後に、仮固定の際に使用したボルトを取り外す工程を行う。
なお、このように作製された座屈拘束ブレース100と建物本体とは、従来と同様に、ガゼットなどで接合すればよい。
このように作製方法が簡易であるので、建物の建築現場でも座屈拘束ブレース100を作製することができる。よって、座屈拘束ブレース100を運搬中に破損するおそれの低減を図ることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態における座屈拘束ブレース100においては、離間材30がプラスチックダンボールからなる。プラスチックダンボールは、充填材を打設する際に受ける圧力では大きく変形しない程度の大きな耐力を有する。これにより、充填材の充填後も離間材30によってブレース芯材10と充填材固化体40との間に適切な隙間を維持することができる。
上記隙間が大き過ぎる場合、ブレース芯材10に局部座屈が生じることを防ぐことができず、座屈拘束ブレース100の耐力が低下する。
一方、隙間が小さ過ぎる場合、ブレース芯材10と充填材固化体40との間に摩擦が生じ、ブレース芯材10が受けた圧縮力を充填材固化体40も受ける。このとき、ブレース芯材10と充填材固化体40とが圧縮力を分担して受けるので、一時的に座屈拘束ブレース100全体の剛性は大きくなるが、やがて充填材固化体40と共にブレース芯材10は座屈する。この場合、座屈拘束ブレース100の最終的な耐力は、ブレース芯材10が座屈せずに降伏した場合の圧縮力より小さくなる。
そこで、上記隙間は、ブレース芯材10が圧縮力を受けて断面が多少増加したときはその増加を妨げず、ブレース芯材10が座屈して歪みが発生したときは歪みが小さいうちに抑えるように定める。
ブレース芯材10が圧縮力を受けて断面積が増加したとき、ブレース芯材10と充填材固化体40との間に位置する離間材30には非常に大きな圧力が作用する。これにより、プラスチックダンボールからなる離間材30は座屈し、その剛性は極端に低下する。よって、その後ブレース芯材10の断面積が多少増加しても、離間材30はその増加をほとんど阻害しない。そして、離間材30は塑性材料であるプラスチックから形成されているので、一旦座屈すると、圧力が除去されても変形したままである。
上記のように本実施形態では、ブレース芯材10の断面積増加が阻害されないので、ブレース芯材10と充填材固化体40との間に摩擦力が生じず、ブレース芯材10が受ける圧縮力を充填材固化体40は負担しない。この結果、座屈拘束ブレース100の剛性が高くなり過ぎないので、引張側の座屈拘束ブレースとのバランスが取れ、設計時に意図した変形、荷重分布を維持することができる。
上記特許文献1,2のように、離間材が紙、テープ、コールタール等の塗料、ブチルゴム等の弾性体などからなる場合、充填材の打設やブレース芯材10の断面積増加による圧力によって圧縮されて剛性が高くなり、ブレース芯材10の断面積がさらに増加することが阻害される。また、ブレース芯材10の受ける圧縮力が充填材固化体40に伝達される。
本実施形態では、さらに大きな圧縮力を受けてブレース芯材10が座屈したとき、離間材30の変形には限度があるので、座屈によってブレース芯材10に発生した歪みを小さいうちに抑えることが可能である。したがって、離間材30の厚さは、ブレース芯材10の圧縮時の断面積の増加(変形)よりも大きく、座屈によって生じた歪みを小さいうちに抑えられる程度に小さくすることが望ましい。
また、座屈拘束ブレース100においては、ブレース芯材10の対向するフランジ11間に亘って、発泡樹脂体50が配置されている。
発泡樹脂体50が占める空間は、充填材を充填して充填材固化体40を形成する必要がない。これにより、座屈拘束ブレース100が軽量になるので、運搬、施工の観点で好ましく、材料費も安価になる。
なお、離間材30を介して発泡樹脂体50が配置された、フランジ11のウェブ12付近は、ブレース芯材10に圧縮力が受けても、局部座屈は生じ難い。また、ウェブ12が局部座屈する前にフランジ11が大きく変位するので、フランジ11の変位を抑えることができれば、ウェブ12の局部座屈を防止することができる。
一方、局部座屈が生じ易いフランジ11の端部付近は、離間材30を介して充填材固化体40で囲まれ、局部座屈が生じることが防止されている。
また、離間材30は発泡樹脂体50によってブレース芯材10のフランジ面及びウェブ面に押し付けられているので、充填材を充填する工程において、離間材30が位置ずれすることが防止される。
さらに、離間材30はブレース芯材10の外周面に接着剤等で固着されていない。このため、ブレース芯材10の外周面に離間材30を固着する際に使用した接着剤等によって、離間材30が充填材固化体40と固着するおそれがない。また、離間材30が充填材固化体40と固着することがあったとしても、ブレース芯材10の受ける圧縮力が離間材30を介して充填材固化体40に直接的に伝達されることを防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ブレース芯材10の対向するウェブ12間に亘るように発泡樹脂体50が配置されている場合について説明した。しかし、発泡樹脂体は、補剛筒体20と離間材30との間の少なくとも一部に配置されていればよく、その配置場所は限定されない。補剛筒体20と離間材30との間が全て充填材固化体からなり、発泡樹脂体が存在しないものであってもよい。発泡樹脂体50は離間材30やブレース芯材10に固着されないとしたが、これらと接する面の一部又は全部を接着剤で固着してもよい。
また、発泡樹脂体50を用いない場合、又は発泡樹脂体50を用いない区間を設ける場合には、離間材30をブレース芯材10の外周面に接着剤等で固着させてもよい。
ブレース芯材10は、補剛筒体20内では全長に亘って離間材30で覆われていることが望ましいが、前記突起片のような部分は離間材30で覆わなくてもよい。また、ブレース芯材10は、H型鋼に限定されず、I型鋼、L字型鋼、角形鋼などであってもよい。
10…ブレース芯材、 11…フランジ、 12…ウェブ、 20…補剛筒体、 30…離間材、 40…充填材固化体、 50…発泡樹脂体、 100…座屈拘束ブレース。

Claims (8)

  1. ブレース芯材と、
    前記ブレース芯材を囲繞する補剛筒体と、
    前記ブレース芯材の外周面に配置された離間材と、
    前記補剛筒体と前記離間材との間に充填された充填材が固化した充填材固化体とを備える座屈拘束ブレースであって、
    前記離間材は塑性材料であるプラスチックから形成された2枚の平板が複数の連結板で連結されてなり、前記2枚の平板のうちの1枚の平板が前記ブレース芯材の外周面に接しているプラスチックダンボールからなることを特徴とする座屈拘束ブレース。
  2. 前記ブレース芯材はH型鋼からなり、
    前記H型鋼の対向するフランジ間に亘って発泡樹脂体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
  3. 前記ブレース芯材の端部は前記補剛筒体から突出しており、
    少なくとも前記突出した部分のブレース芯材は、前記補剛筒体内に囲繞されたブレース芯材と比較して断面二次モーメントが大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の座屈拘束ブレース。
  4. 前記離間材を前記ブレース芯材の外周面に固着させたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の座屈拘束ブレース。
  5. ブレース芯材の外周に、塑性材料であるプラスチックから形成された2枚の平板が複数の連結板で連結されてなるプラスチックダンボールからなる離間材を前記2枚の平板のうちの1枚の平板が前記ブレース芯材の外周面に接するように配置する工程と、
    外周に前記離間材を配置した前記ブレース芯材を補剛筒体内に挿入する工程と、
    前記離間材と前記補剛筒体との間の隙間に充填材を充填する工程とを備えることを特徴とする座屈拘束ブレースの作製方法。
  6. 前記充填材を充填する工程は、
    前記補剛筒体の両端部に、開口を有する塞ぎ材をそれぞれ設置する工程と、
    前記補剛筒体を前記ブレース芯材に仮固定手段で仮固定する工程と、
    前記補剛筒体を仮固定した前記ブレース芯材を斜めに配置し、下側の前記塞ぎ板の開口から充填材を注入する工程と、
    上側の前記塞ぎ材の開口から充填材が出た後、充填材の注入を停止する工程と、
    注入した前記充填材が固化した後、前記仮固定手段による仮固定を解除する工程とを含むことを特徴とする請求項5に記載の含む座屈拘束ブレースの作製方法。
  7. 前記補剛筒体と前記離間材との間の隙間の少なくとも一部に発泡樹脂体を配置する工程をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の座屈拘束ブレースの作製方法。
  8. 前記離間材を前記ブレース芯材の外周に固着させることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の座屈拘束ブレースの作製方法。
JP2015129054A 2014-12-19 2015-06-26 座屈拘束ブレース及びその作製方法 Active JP6525765B2 (ja)

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