以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1乃至図8は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、本発明の一実施形態に係る可撓性基材からなる記録カードを示す斜視図であり、図2は、図1に示す記録カードの一部を拡げた状態で示す平面図であり、図3は、図1に示す記録カードの展開図である。
図1に示す可撓性基材は、導電性インキで印刷された回路をもつシート状の部材である。可撓性基材は、その一部を折り曲げ可能に構成されている。このような可撓性基材の一例として、健康を管理する記録カードが挙げられる。図1乃至図8を参照して説明する以下の実施の形態では、本発明を、健康を管理する記録カードに適用した例について説明するが、本発明は、なんらかの情報を記録するために導電性インキで印刷された回路をもつ可撓性基材であればよく、当然に、健康を管理する記録カードへの適用に限定されるものではない。例えば、本発明は、錠剤を収容するカードに適用されてもよいし、スコアを記録するカードに適用されてもよい。
図1乃至図3に示す可撓性基材としての記録カード1は、紙またはプラスチックからなる1枚のシート10を、長手方向に三等分して折り畳んだ構造になっていて、図2に示すように、シート10の表側に、上方を入力するための複数の押圧領域B1〜B10が配置されている。各押圧領域B1〜B10は、利用者が健康に関する情報を記録するために指で操作するためのものである。図2に示す状態から、さらにシート10の短手方向に当該シート10を三等分して折り畳むと図1に示す状態となる。図1に示す折り畳んだ状態は、持ち運びに適している。
この記録カード1は、図1に示す折り畳んだ状態と図2に示す操作状態との間を任意に変更可能である。例えば、記録カード1を普段持ち運ぶときは図1に示す折り畳んだ状態にし、健康に関する情報を記録するときには図2に示す操作状態にして、利用することが可能である。
図3に記録カード1の展開図を示す。図3に示すように、記録カード1のシート10は、シート10の長手方向となる第1方向d1にこの順で並べられた上基板群13、下基板群11及び中基板群12を含んでいる。上基板群13と下基板群11とは、長手折曲手段2を介して接続され、下基板群11と中基板群12とは、別の長手折曲手段2を介して接続されている。図3に示す展開状態から、下基板群11と中基板群12とを長手折曲手段2を利用して折り畳んだ後に、上基板群13と下基板群11とを長手折曲手段2を利用して折り畳むと、記録カード1は、図2に示す操作状態となる。
上基板群13は、図2に示す操作状態において、最も上側に重ねられた層をなす。上基板群13の表側となる面に上述した複数の押圧領域B1〜B10が配置されていて、利用者が健康に関する情報を入力することができるようになっている。下基板群11は、図2に示す操作状態において、最も下側に重ねられた層をなす。下基板群11には、入力された情報を記録するための導電回路パターン20が配置されている。下基板群11に配置された導電回路パターン20は、重ねられた上基板群13に覆われ、利用者から観察されないようになっている。中基板群12は、図2に示す操作状態において、下基板群11と上基板群13との間に位置する。中基板群12は、複数の押圧領域B1〜B10が配置された上基板群13と下基板群11との間の隙間を補償するために設けられている。図1及び図2に示す状態においては、互いに重ねられた中基板群12と下基板群11とがヒートシールされていて、互いに重ねられた上基板群13と中基板群12とがヒートシールされている。
隣り合う基板群11〜13の間の各長手折曲手段2は、当該隣り合う2つの基板群11〜13を折り曲げた際に、当該長手折曲手段2を設けられた位置にて基板群11〜13が折り曲げられること、さらには基板群11〜13が折り畳まれることを促進するためのものである。本実施の形態の長手折曲手段2は、シート10の長手方向となる第1方向d1に直交する第2方向d2に沿って形成された折り目からなる。長手折曲手段2は、単一のシート10のうち、隣り合う基板群11〜13の境界となる領域に沿って形成されている。図示する例では、各長手折曲手段2は、シート10の短手方向となる第2方向d2に沿って直線状に形成されているが、必ずしも直線状に形成される必要はない。
なお、長手折曲手段2は、図3に示す例に限定されず、それ自体既知の態様で実現され得る。例えば、長手折曲手段2は、隣り合う2つの基板群11〜13の境界となる領域に連続的に形成された溝からなるハーフカットラインであってもよい。また、長手折曲手段2は、当該長手折曲手段2に沿って隣り合う基板群11〜13を折り曲げた際に、当該長手折曲手段2に沿って隣り合う基板群11〜13が切り離されることがないように、構成されている。
さて、図3に示すように、最も下側に重ねられた層をなす下基板群11は、シート10の短手方向となる第2方向d2にこの順で並べられた第一基板11a、第二基板11b及び第三基板11cを含んでいる。第一基板11aと第二基板11bとは、短手折曲手段3を介して接続され、第二基板11bと第三基板11cとは、別の短手折曲手段3を介して接続されている。図示する例では、下基板群11に含まれる各基板11a〜11cは、同じ大きさに形成されている。
各短手折曲手段3は、隣り合う2つの基板11a〜11cを折り曲げた際に、当該短手折曲手段3を設けられた位置にて基板11a〜11cが折り曲げられること、さらには基板11a〜11cが折り畳まれることを促進するためのものである。図4に、短手折曲手段3を拡大して示す。なお、図4には、第一基板11aと第二基板11bとの間に介在する短手折曲手段3について示されているが、第二基板11bと第三基板11cとの間に介在する短手折曲手段3についても同様に構成することが可能である。
図4に示す短手折曲手段3は、隣り合う2つの基板11a、11bの間に配置された接続板3aを含んでいる。この接続板3aは、各基板群11〜13に含まれる基板11a〜13cの厚みを考慮して、重ねられる基板11a〜11cの間隔を調整するために設けられている。隣り合う2つの基板11a、11bの間に接続板3aが配置されていることにより、図1に示す折り畳んだ状態に記録カード1をスムーズに折り畳むことができる。
図4に示すように、接続板3aは、隣り合う第一基板11a及び第二基板11bに、それぞれ折り目3bを介して接続されている。第一基板11a側の折り目3bは、単一のシート10のうち、第一基板11aと接続板3aとの境界となる領域に沿って形成されている。一方、第二基板11b側の折り目3bは、単一のシート10のうち、第二基板11bと接続板3aとの境界となる領域に沿って形成されている。各折り目3bは、シート10の長手方向となる第1方向d1に沿って直線状に形成されている。ただし、折り目3bは、曲線状に形成されていてもよい。
上述のように、下基板群11に含まれる各基板11a〜11cは、同じ大きさに形成され、接続板3aも、第一基板11a及び第二基板11bと第1方向d1における長さが等しくなっている。したがって、折り目3bは、対応する基板11a、11bの縁部の全域に沿って延びている。
なお、短手折曲手段3は、図4に示す例に限定されず、それ自体既知の態様で実現され得る。例えば、短手折曲手段3は、隣り合う2つの基板11a、11bの境界となる領域に連続的に形成された溝からなるハーフカットラインであってもよい。また、短手折曲手段3は、当該短手折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り曲げた際に、当該短手折曲手段3に沿って第一基板11aと第二基板11bとが切り離されることがないように、構成されている。
図3に戻って、上述のように、下基板群11には、入力された情報を記録するための導電回路パターン20が印刷されている。印刷された導電回路パターン20は、第一基板11aに配置された通信モジュール50に接続されている。図5に、通信モジュール50の内部構成を機能化したブロック図を示す。
図5に示すように、通信モジュール50は、薄膜状の機器である。図5に示す通信モジュール50は、例えば、第一基板11a上に実装されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)51と、水晶振動子52と、ボタン電池53と、スピーカ54と、シート10の長手方向となる第1方向d1に沿って並べられた複数のパッド55と、を有している。各パッド55には、導電回路パターン20の対応する配線が接続されている。
図5に示すASIC51は、利用者が押圧した押圧領域B1〜B10の操作情報を時刻情報とともに時系列で記憶し、記憶した情報に関して不図示のホストコンピュータとの間で無線通信を行う。ASIC51がホストコンピュータとの間で行う無線通信として、例えば、いわゆるNFC(Near Field Communication、近接無線通信)やBluetooth(登録商標)の非接触通信が挙げられる。ASIC51がホストコンピュータとの間で無線通信を行うことにより、利用者の健康に関する情報をホストコンピュータ側で把握し一元的に管理することができる。
NFCでは、規格上電力の送受もできるため、電池なしで通信モジュール50を駆動することも原理的には可能である。ただし、本実施形態の通信モジュール50は、スピーカ54も備えており、電力の消費量が比較的大きいため、ボタン電池53を搭載している。
ボタン電池53を搭載している以上、長期間使用すると、バッテリ切れを起こしてしまう。ところが、本実施形態に係る記録カード1は、製造コスト削減のために紙で作製されることも多く、筐体を破壊させずにボタン電池53を交換するのは困難である。そこで、本実施形態では、ボタン電池53の寿命をできるだけ延ばすべく、導電回路パターン20の抵抗を低減する工夫が以下のようになされている。
図3に示すように、導電回路パターン20は、第一基板11aに印刷された複数の第一配線21Eを有する第一導電回路パターン21と、第二基板11bに印刷された複数の第二配線22Eを有する第二導電回路パターン22と、第三基板11cに印刷された複数の第三配線23Eを有する第三導電回路パターン23と、を含んでいる。各第一配線21Eは、第一導電インキ21Pからなり、各第二配線22Eは、第二導電インキ22Pからなり、各第三配線23Eは、第三導電インキ23Pからなる。
さらに、導電回路パターン20は、隣り合う基板11a〜11cの間に掛け渡された接続導電回路パターン24、25を有している。具体的には、第一基板11aと第二基板11bとの間の短手折曲手段3を跨ぐようにして第一接続導電回路パターン24が設けられている。第一接続導電回路パターン24は、第一基板11a上の第一配線21Eと、第二基板11b上の第二配線22Eと、に接続された第一接続配線24Eを有している。各第一接続配線24Eは、第一接続導電インキ24Pからなる。また、第二基板11bと第三基板11cとの間の短手折曲手段3を跨ぐようにして第二接続導電回路パターン25が設けられている。第二接続導電回路パターン25は、第二基板11b上の第二導電回路パターン22の第二配線22Eと、第三基板11c上の第三導電回路パターン23の第三配線23Eと、に接続されている。各第二接続配線25Eは、第二接続導電インキ25Pからなる。
図4には、短手折曲手段3とともに第一接続導電回路パターン24も拡大して示されている。なお、図4には、第一導電回路パターン21と第二導電回路パターン22との間に介在する第一接続導電回路パターン24について示されているが、第二導電回路パターン22と第三導電回路パターン23との間に介在する第二接続導電回路パターン25についても同様に構成することが可能である。図4に示すように、第一接続導電回路パターン24の各第一接続配線24Eは、対応する第一導電回路パターン21の第一配線21Eと第二導電回路パターン22の第二配線22Eとの間を延びている。図4に示す例では、第一接続導電回路パターン24の各第一接続配線24Eの幅は、対応する第一導電回路パターン21の第一配線21Eの幅及び第二導電回路パターン22の第二配線22Eの幅よりも大きい。
図6に、図4に示す線VI−VIに沿った記録カード1の断面を示す。図6に示すように、本実施の形態の第一接続導電回路パターン24は、第一導電回路パターン21と部分的に重なっている。図6に示す例では、第一基板11aに第一導電回路パターン21を形成した後に、第一接続導電回路パターン24を形成している。したがって、図6に示す断面において、第一導電回路パターン21は、第一基板11aと第一接続導電回路パターン24との間に位置している。また、第一基板11aに形成された第一導電回路パターン21及び第一接続導電回路パターン24を覆うように保護膜28が形成されている。同様に、第一接続導電回路パターン24は、第二導電回路パターン22とも部分的に重なっていて、第二導電回路パターン22は、第二基板11bと第一接続導電回路パターン24との間に位置している。また、保護膜28は、第二基板11bに形成された第二導電回路パターン22及び第一接続導電回路パターン24も覆っている。保護膜28は、第一導電回路パターン21、第二導電回路パターン22及び第一接続導電回路パターン24を覆って保護している。
図3に戻って、上基板群13に配置された各押圧領域B1〜B10に対応して、下基板群11に回路側接点26a〜jが配置されている。下基板群11に配置された回路側接点26a〜jは、後述する上基板群13に配置された上側接点27a〜jと協働して、利用者が入力した情報を読み取るためのものである。回路側接点26は、下基板群11上に印刷された回路側接点導電インキ26Pからなる。各回路側接点26は、下基板群11上で互いに離間して配置された一対の接点要素26Yを含む。なお、図3に示す状態において、各回路側接点26a〜jは、導通していない。
具体的には、第一基板11aに回路側接点26a、26bが配置され、各回路側接点26a、26bが、対応する第一導電回路パターン21の第一配線21Eに接続されている。第二基板11bに回路側接点26c〜fが配置され、各回路側接点26c〜fが、対応する第二導電回路パターン22の第二配線22Eに接続されている。第三基板11cに回路側接点26g〜jが配置され、各回路側接点26g〜jが、対応する第三導電回路パターン23の第三配線23Eに接続されている。
図7に、図4に示す線VII−VIIに沿った記録カード1の断面を示す。なお、図7には、第二基板11bに配置された回路側接点26dについて示されているが、その他の回路側接点26a〜c、e〜jについても、回路側接点26dと同様に構成することが可能である。図7に示すように、本実施の形態の回路側接点26は、第一導電回路パターン21の第一配線21Eと少なくとも部分的に重なっている。具体的には、回路側接点26は、第一基板11a上で第一導電回路パターン21の第一配線21Eの端部に重なるように配置されている。図6に示す例では、第一基板11aに第一導電回路パターン21を形成した後に、回路側接点26を形成している。したがって、図7に示す断面において、第一導電回路パターン21は、第一基板11aと回路側接点26との間に位置している。
次に、下基板群11に長手折曲手段2を介して接続された中基板群12について説明する。図3に示すように、中基板群12は、シート10の短手方向となる第2方向d2にこの順で並べられた第一中基板12a、第二中基板12b及び第三中基板12cを含んでいる。下基板群11と中基板群12とを長手折曲手段2を利用して折り畳むと、第一基板11aと第一中基板12aとが重なり、第二基板11bと第二中基板12bとが重なり、第三基板11cと第三中基板12cとが重なるようになっている。
中基板群12に含まれる第一中基板12aと第二中基板12bとは、短手折曲手段3を介して接続され、第二中基板12bと第三中基板12cとは、別の短手折曲手段3を介して接続されている。中基板群12に設けられた短手折曲手段3は、上述した下基板群11に設けられた短手折曲手段3と略同様に構成される。
図3に示すように、上基板群13に配置された各押圧領域B1〜B10に対応して、中基板群12に孔部5a〜jが配置されている。このため、下基板群11、中基板群12及び上基板群13を互いに折り畳んだ図2に示す状態において、下基板群11に配置された回路側接点26a〜jが、中基板群12に配置された孔部5a〜jを介して、後述する上基板群13に配置された上側接点27a〜jと接触することが可能となる。
一方、下基板群11に長手折曲手段2を介して接続された上基板群13は、シート10の短手方向となる第2方向d2にこの順で並べられた第一上基板13a、第二上基板13b及び第三上基板13cを含んでいる。下基板群11と上基板群13とを長手折曲手段2を利用して折り畳むと、第一基板11aと第一上基板13aとが第一中基板12aを挟んで重なり、第二基板11bと第二上基板13bとが第二中基板12bを挟んで重なり、第三基板11cと第三上基板13cとが第二中基板12cを挟んで重なるようになっている。
上基板群13に含まれる第一上基板13aと第二上基板13bとは、短手折曲手段3を介して接続され、第二上基板13bと第三上基板13cとは、別の短手折曲手段3を介して接続されている。上基板群13に設けられた短手折曲手段3は、上述した下基板群11に設けられた短手折曲手段3と略同様に構成される。
上述のように、上基板群13の表側の面に、各押圧領域B1〜B10と当該各押圧領域B1〜B10の種類を示す文字情報とが設けられている。具体的には、図2に示すように、第一上基板13aの表側の面に、押圧領域B1、B2と、「スタート」、「取消」の文字情報と、が設けられている。第二上基板13bの表側の面に、押圧領域B3〜B6と、「食事」、「体調」の文字情報と、が設けられている。第三上基板13cの表側の面に、押圧領域B7〜B10と、「症状1〜4」の文字情報と、が設けられている。なお、上基板群13の表側の面S1に設けられる押圧領域の種類と数は任意であり、適宜変更して構わない。
一方、図3に示すように、上基板群13の裏側の面の各押圧領域B1〜B10と重なる位置に、対応する上側接点27a〜jが配置されている。利用者が押圧領域B1〜B10を押圧することによって、上基板群13に配置された上側接点27a〜jが下基板群11に配置された回路側接点26a〜jに接触することにより、利用者が入力した情報を読み取ることができる。具体的には、第一上基板13aに上側接点27a、27bが配置され、第二上基板13bに上側接点27c〜fが配置され、第三上基板13cに上側接点27g〜jが配置されている。
本実施の形態では、上側接点27を取り囲むように、上基板群13の裏面から突出する起伏リング6が形成されている。起伏リング6によれば、上基板群13を中基板群12を介して下基板群11上に折り重ねたときに、上基板群13の起伏リング6が中基板群12の孔部5を介して下基板群11に接触する。このため、押圧領域B1〜B10を押圧しない状態においては、起伏リング6に取り囲まれた上側接点27が、下基板群11上の対応する回路側接点26から離間し当該回路側接点26に接触しないようになっている。なお、例えば記録カード1を短期間しか使用しないような用途においては、上基板群13の裏面に起伏リング6を設ければ、中基板群12を設けなくてもよい。この場合、製造コストを抑えることができる。
次に、各導電回路パターン21〜25及び接点26、27を構成する導電インキ21P〜27Pについて説明する。例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷あるいはインクジェット印刷を用いて、導電インキ21P〜27Pを基板11a〜11cに印刷することで、各導電回路パターン21〜25及び接点26、27が形成される。各導電回路パターン21〜25及び接点26、27は、印刷技術を用いて簡易に形成されるため、大量生産に適しており、コストの点でも有利である。
先ず、第一接続導電インキ24Pは、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pとは異なる材料からなる。これにより、第一接続導電インキ24Pが、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pとは異なる特性を発揮することができる。具体的には、第一接続導電インキ24Pは、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pよりも折り曲げに対する耐性を持つ。このような形態によれば、第一接続導電インキ24Pが、第一導電インキ21Pまたは第二導電インキ22Pと同じ材料からなる場合に比べて、折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続導電回路パターン24の第一接続配線24Eが剥がれたり断線する、ということを起こり難くすることができる。
ここでいう「折り曲げに対する耐性」とは、折曲手段3で折り曲げることによって当該折曲手段3を介して接続された2つの基板を折り畳む前後における、当該折曲手段3上の導電インキからなる接続配線の抵抗の上昇率の低さを指す。一例として、第一基板11aと第二基板11bとを折り畳む前における折曲手段3を跨いだ第一接続配線24Eの所定位置間の抵抗に対する、第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだ後における折曲手段3を跨いだ第一接続配線24Eの前記所定位置間の抵抗の比を求め、当該抵抗の比の大きさで折り曲げに対する耐性を評価することができる。具体的には、前記抵抗の比の値が小さいと、折り曲げに対する耐性に優れ、前記抵抗の比の値が大きいと、折り曲げに対する耐性に劣る。例えば、折曲手段を介して接続された第一基板及び第二基板に、第一接続導電インキからなる接続配線を形成した同一のサンプルAを10個準備する。前記サンプルAに対して、接続配線をなす導電インキのみを第一導電インキをなす導電インキに変更して作製した同一のサンプルBを10個準備する。各サンプルA、Bを、折曲手段を利用して折り畳む前後における、折曲手段3を跨いだ第一接続配線24Eの所定位置間の抵抗を計測する。このとき、第一接続導電インキからなる接続配線を形成したサンプルAの方が、第一導電インキからなる接続配線を形成したサンプルBよりも抵抗の上昇率が低い場合に、第一接続導電インキ24Pは、第一導電インキ21Pよりも折り曲げに対する耐性を持つ、とみなすことができる。
本実施の形態では、第一導電インキ21Pの電気抵抗率は、第一接続導電インキ24Pの電気抵抗率よりも小さい。この場合、第一導電インキ21Pが第一接続導電インキ24Pと同じ材料からなる場合に比べて、第一導電回路パターン21の抵抗を小さくすることができる。このため、第一導電インキ21Pが第一接続導電インキ24Pと同じ材料からなる場合に比べて、導電回路パターン20の抵抗を小さくすることができ、この結果、消費電力を抑えることができる。同様に、第二導電インキ22Pの電気抵抗率は、第一接続導電インキ24Pの電気抵抗率よりも小さい。この場合、第二導電インキ22Pが第一接続導電インキ24Pと同じ材料からなる場合に比べて、第二導電回路パターン22の抵抗を小さくすることができる。このため、第二導電インキ22Pが第一接続導電インキ24Pと同じ材料からなる場合に比べて、導電回路パターン20の抵抗を小さくすることができ、この結果、消費電力を抑えることができる。
また、第一接続導電インキ24Pは、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aから剥がれ難くなっている。この場合、第一接続導電インキ24Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続配線24Eが第一基板11aから剥がれ難くなる。このため、第一接続導電インキ24Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、折り曲げによる負荷に対してより好ましい耐性を示すことができる。
本明細書において、接続導電インキの基板からの剥がれ難くさは、図8に示す試験に基づいて評価される。図8は、接続導電インキの基板からの剥がれ難くさを試験する方法を説明するための図である。図8に示すように、先ず、JIS−K5600−5−6(クロスカット法)にて規定されるものと同様のテープCを、試験対象となる接続導電インキPからなる接続配線Eの延びる方向d3と並行にして、当該接続配線Eに重ねて基板O貼り付ける。次に、JIS−K5600−5−6にて規定される手順7.2.6に準拠してテープCを剥離する。剥離したテープCに転移したインキの量を目視にて評価することにより、接続導電インキPの基板Oからの剥がれ難くさが評価される。したがって、第一接続導電インキ24Pが、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aから剥がれ難い場合、図8に示す試験にてテープに転移した第一接続導電インキ24Pの量は、図8に示す試験にてテープに転移した第一導電インキ21Pの量よりも少ない。なお、図8に示す試験において、特に言及されなかった試験条件については、JIS−K5600−5−6(クロスカット法)にて規定される試験条件が適用される。
同様に、第一接続導電インキ24Pは、第二導電インキ22Pよりも第二基板11bから剥がれ難くなっている。この場合、第一接続導電インキ24Pが第二導電インキ22Pと同じ材料からなる場合に比べて、折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続配線24Eが第二基板11bから剥がれ難くなる。このため、第一接続導電インキ24Pが第二導電インキ22Pと同じ材料からなる場合に比べて、折り曲げによる負荷に対してより好ましい耐性を示すことができる。
また、第二接続導電インキ25Pと第二導電インキ22P及び第三導電インキ23Pとの関係も、第一接続導電インキ24Pと第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pとの関係に、対応している。したがって、第二接続導電インキ25Pは、第二導電インキ22P及び第三導電インキ23Pとは異なる材料からなる。具体的には、第二接続導電インキ25Pは、第二導電インキ22P及び第三導電インキ23Pよりも折り曲げに対する耐性を持つ。また、第二導電インキ22Pの電気抵抗率及び第三導電インキ23Pの電気抵抗率は、第二接続導電インキ25Pの電気抵抗率よりも小さい。さらに、第二接続導電インキ25Pは、第二導電インキ22Pよりも、第二基板11bから剥がれ難い。同様に、第二接続導電インキ25Pは、第三導電インキ23Pよりも、第三基板11cから剥がれ難い。
一方、回路側接点導電インキ26Pは、第一〜第三導電インキ21P〜23Pと同じ材料であっても異なる材料であってもよい。異なる材料を用いることにより、回路側接点導電インキ26Pが、第一〜第三導電インキ21P〜23Pとは異なる特性を発揮することができる。具体的には、回路側接点導電インキ26Pは、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aからの剥がれに対する耐性を持ち、第二導電インキ22Pよりも第二基板11bからの剥がれに対する耐性を持ち、第三導電インキ23Pよりも第三基板11cからの剥がれに対する耐性を持つような材料を用いれば、回路側接点導電インキ26Pが第一〜第三導電インキ21P〜23Pと同じ材料からなる場合に比べて、押圧により回路側接点26a〜jが上側接点27a〜jに接触することによって剥がれる、ということを起こり難くすることができる。
ここでいう「基板からの剥がれに対する耐性」とは、回路側接点26が基板からの剥がれに対する耐性を評価する対象となる導電インキからなるとした場合に、当該回路側接点26に重なる押圧領域Bを押圧したときの回路側接点の剥がれ難さをいう。例えば、上基板と折曲手段を介して接続された第一基板に、回路側接点導電インキからなる回路側接点を形成した同一のサンプルCを10個準備する。前記サンプルCに対して、回路側接点をなす導電インキのみを第一導電インキをなす導電インキに変更して作製した同一のサンプルDを10個準備する。各サンプルC、Dの上基板に設けられた押圧領域を押圧することを例えば100回繰り返し、回路側接点が剥がれるか検査する。このとき、回路側接点導電インキからなる回路側接点を形成したサンプルCの方が、第一導電インキからなる回路側接点を形成したサンプルDよりも剥がれ難い場合に、回路側接点導電インキ26Pは、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aからの剥がれに対する耐性を持つ、とみなすことができる。
本実施の形態では、第一導電インキ21Pの電気抵抗率は、回路側接点導電インキ26Pの電気抵抗率よりも小さい。この場合、第一導電インキ21Pが回路側接点導電インキ26Pと同じ材料からなる場合に比べて、第一導電回路パターン21の抵抗を小さくすることができる。このため、第一導電インキ21Pが回路側接点導電インキ26Pと同じ材料からなる場合に比べて、導電回路パターン20の抵抗を小さくすることができ、この結果、消費電力を抑えることができる。同様に、第二導電インキ22Pの電気抵抗率及び第三導電インキ23Pの電気抵抗率は、回路側接点導電インキ26Pの電気抵抗率よりも小さい。
また、回路側接点導電インキ26Pは、第一導電インキ21Pよりも、第一基板11aから剥がれ難い。この場合、回路側接点導電インキ26Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、押圧によって回路側接点26a〜jが上側接点27a〜jに接触することによって剥がれる、ということが起こり難くなる。このため、回路側接点導電インキ26Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、押圧による負荷により好ましい耐性を示すことができる。同様に、回路側接点導電インキ26Pは、第二導電インキ22Pよりも、第二基板11bから剥がれ難く、回路側接点導電インキ26Pは、第三導電インキ23Pよりも、第三基板11cから剥がれ難い。
次に、各導電回路パターン21〜25及び接点26、27を構成する導電インキ21P〜27Pの材料について説明する。
先ず、第一導電インキ21P、第二導電インキ22P及び第三導電インキ23Pとして、それ自体既知の種々の導電インキを用いることができる。一例として、銅を主成分として含む導電インキ、銀を主成分として含む導電インキ、カーボンを主成分として含む導電インキ、あるいは、これらを混合したブレンドインキが挙げられる。導電回路パターン20の電気抵抗を小さくする観点から、第一〜第三導電インキ21P〜23Pは、銅を主成分として含む導電インキ、または、銀を主成分として含む導電インキからなることが好ましい。なお、第一〜第三導電インキ21P〜23Pは、互いに同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
一方、折曲手段3を跨いで印刷される第一接続導電インキ24P及び第二接続導電インキ25Pとしては、種々の導電インキを用いることができる。一例として、銅を主成分として含む導電インキ、銀を主成分として含む導電インキ、カーボンを主成分として含む導電インキ、あるいは、これらを混合したブレンドインキが挙げられる。
各接続導電インキ24P、25Pが、カーボンを成分として含む導電インキからなる場合、カーボンは、典型的に用いられる基板11a〜11cに対して優れた密着性を発揮する。その上、カーボンは、粒子間の結合も安定している。このため、接続導電インキ24P、25Pからなる接続配線24E、25Eを、折り曲げによる負荷によって剥がれ難くすることができる。したがって、各接続導電インキ24P、25Pがカーボンを成分として含む導電インキからなることにより、接続配線24E、25Eに折り曲げによる負荷に対する耐性を付与することができる。
とりわけ、記録カード1に形成された接続配線24E、25Eを構成する接続導電インキ24P、25P中に占めるカーボン成分の体積率は、40%以下であってもよい。各接続導電インキ24P、25P中に占めるカーボン成分の体積率が40%以下であると、各接続導電インキ24P、25Pの電気抵抗率が大きくなることを抑制することができ、導電回路パターン20の消費電力を抑えることに寄与する。一方、各接続導電インキ24P、25P中に占めるカーボン成分の体積率が40%を越えても、カーボン成分の体積率に見合うだけの折り曲げに対する耐性の向上効果が得られない場合が多い。したがって、各接続導電インキ24P、25P中に占めるカーボン成分の体積率を40%以下とすることにより、導電回路パターン20の消費電力を抑えながら、折り曲げに対する耐性を向上させることができる。
加えて、各接続導電インキ24P、25Pが、銅または銀も成分として含む場合、各接続導電インキ24P、25P中に占めるカーボン成分の体積率を抑えることで、電気抵抗率の低い銅または銀成分の体積比率を大きくすることができる。この結果、各接続導電インキ24P、25Pの電気抵抗率が大きくなることを効果的に抑制することができ、導電回路パターン20の消費電力を抑えることに効果的に寄与する。
このような観点から、第一接続導電インキ24P及び第二接続導電インキ25Pは、カーボンを主成分として含む導電インキ、あるいは、カーボンを主成分として含む導電インキに銅または銀を主成分として含む導電インキを混合したブレンドインキからなることが好ましい。なお、第一接続導電インキ24P及び第二接続導電インキ25Pは、互いに同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
また、情報を記録するための回路側接点26をなす回路側接点導電インキ26Pとしては、種々の導電インキを用いることができる。一例として、銅を主成分として含む導電インキ、銀を主成分として含む導電インキ、カーボンを主成分として含む導電インキ、あるいは、これらを混合したブレンドインキが挙げられる。
回路側接点導電インキ26Pが、カーボンを成分として含む導電インキからなる場合、上述のように、カーボンは、典型的に用いられる基板11a〜11cに対して優れた密着性を発揮する。このため、回路側接点26を、押圧による負荷によって剥がれ難くすることができる。
とりわけ、記録カード1に形成された回路側接点26を構成する回路側接点導電インキ26P中に占めるカーボン成分の体積率は、40%以下であってもよい。回路側接点導電インキ26P中に占めるカーボン成分の体積率が40%以下であると、回路側接点導電インキ26Pの電気抵抗率が大きくなることを抑制することができ、導電回路パターン20の消費電力を抑えることに寄与する。一方、回路側接点導電インキ26P中に占めるカーボン成分の体積率が40%を越えても、カーボン成分の体積率に見合うだけの押圧に対する耐性の向上効果が得られない場合が多い。したがって、回路側接点導電インキ26P中に占めるカーボン成分の体積率を40%以下とすることにより、導電回路パターン20の消費電力を抑えながら、押圧に対する耐性を向上させることができる。
さらに、回路側接点導電インキ26Pが、銅または銀も成分として含む場合、回路側接点導電インキ26P中に占めるカーボン成分の体積率を抑えることで、電気抵抗率の低い銅または銀成分の体積比率を大きくすることができる。この結果、回路側接点導電インキ26Pの電気抵抗率が大きくなることを効果的に抑制することができ、導電回路パターン20の消費電力を抑えることに効果的に寄与する。
このような観点から、回路側接点導電インキ26Pは、カーボンを主成分として含む導電インキ、あるいは、カーボンを主成分として含む導電インキに銅または銀を主成分として含む導電インキを混合したブレンドインキからなることが好ましい。
上側接点導電インキ27Pとしては、それ自体既知の種々の導電インキを用いることができる。上側接点導電インキ27Pは、第一〜第三導電回路パターン21〜23と同じ材料であってもよいが、回路側接点導電インキ26Pと同様の理由から、同様の材料からなることが好ましい。
次に、このような構成からなる記録カード1の利用方法の一例について説明する。
記録カード1は、例えば医療機関や店舗等で利用者に手渡される。このカードを受け取った利用者は、図1に示す折り畳んだ状態にして記録カード1を持ち運ぶ。利用者が健康に関する情報の記録を行う場合、記録カード1を図2に示す操作状態に拡げる。上述のように、第一基板11aと第二基板11bとの間の短手折曲手段3を跨ぐ第一接続配線24Eをなす第一接続導電インキ24Pは、第一基板11aに印刷された第一導電インキ21P及び第二基板11bに印刷された第二導電インキ22Pよりも折り曲げに対する耐性を持つ。このため、短手折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続導電回路パターン24の第一接続配線24Eが剥がれたり断線する、ということが起こり難い。
その後、利用者は、スタートの文字情報が付された押圧領域B1を押す。次に、食事を摂る時間帯に応じて押圧領域B3または押圧領域B4を押す。続いて、利用者の現在の体調が良いか悪いかによって、押圧領域B5または押圧領域B6を押す。その他、症状1〜4に該当する場合には、該当する押圧領域B7〜B10を押す。上述のように、回路側接点導電インキ26Pは、第一〜第三導電インキ21P〜23Pよりも基板11a〜11cからの剥がれに対する耐性を持つ。このため、押圧によって回路側接点26a〜jが上側接点27a〜jに接触することによって剥がれる、ということが起こり難い。
利用者が健康に関する情報の記録を終えると、記録カード1を、図2に示す操作状態から図1に示す折り畳んだ状態に変更させる。利用者が行った押圧領域操作の情報は、記録カード1に内蔵されている通信モジュール50に自動的に記録される。なお、利用者が押圧領域操作を誤った場合は、誤った押圧領域操作の直後に取消の文字情報が付与された押圧領域B2を押すことで、取消に関する押圧領域B2を押す直前の押圧領域操作を取り消すことができる。
次の健康に関する情報の記録を行うときには、記録カード1を、図1に示す折り畳んだ状態から図2に示す操作状態に戻して、健康に関する情報を記録する。このような操作を繰り返すことによって、健康に関する情報が記録されていく。
以上のように、本実施の形態によれば、折曲手段3を介して接続された第一基板11a及び第二基板11bと、第一基板11a上に印刷された第一導電インキ21Pからなる第一配線21Eを有する第一導電回路パターン21と、第二基板11b上に印刷された第二導電インキ22Pからなる第二配線22Eを有する第二導電回路パターン22と、折曲手段3を跨ぐようにして第一導電回路パターン21の第一配線21Eと第二導電回路パターン22の第二配線22Eとに接続された、接続導電インキ24Pからなる接続配線24Eを有する接続導電回路パターン24と、を備え、接続導電インキ24Pは、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pよりも折り曲げに対する耐性を持つ記録カード1が提供される。このような記録カード1によれば、第一接続導電インキ24Pが、第一導電インキ21Pまたは第二導電インキ22Pと同じ材料からなる場合に比べて、折曲手段3を利用して第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続導電回路パターン24の第一接続配線24Eが剥がれて断線する、ということを起こり難くすることができる。一方、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pに関しては、導電回路パターンの種類やレイアウトの制限を考慮して、導電回路を正常に作動させるために適切な電気抵抗率をもつ導電インキを選定することができる。これらのことから、本実施の形態の記録カード1によれば、折り曲げによる負荷に充分な耐性を示すと共に、導電インキで形成された回路の抵抗が大きくなることを抑制することができる。
とりわけ、導電インキで形成された回路の抵抗が大きくなることを抑制することで、省電力に寄与する。さらに、ボタン電池53の寿命が長くなり、長時間の連続使用も可能となる。さらに、導電インキで形成された回路の抵抗が大きくなることを抑制することで、種々の機能をもった通信モジュール50を使用することも可能となる。
また、本実施の形態によれば、第一基板11aに折曲手段3を介して接続された上基板13aと、第一基板11a上に印刷された回路側接点導電インキ26Pからなり、第一導電回路パターン21に接続された回路側接点26と、折曲手段3に沿って上基板13aを第一基板11aに対して折り畳んだ際に回路側接点26に対面する上基板13a上の位置に配置された上側接点27と、をさらに備え、回路側接点導電インキ26Pは、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aからの剥がれに対する耐性を持つ。このような形態によれば、回路側接点導電インキ26Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、押圧によって回路側接点26が上側接点27に接触することによって剥がれる、ということを起こり難くすることができる。これにより、折り曲げによる負荷に加えて押圧による負荷にも充分な耐性を示すことができる。
また、本実施の形態によれば、回路側接点26は、第一基板11a上で第一導電回路パターン21の第一配線21Eの端部に重なるように配置されている。このような形態によれば、仮に、繰返し行われる押圧によって回路側接点26が上側接点27に繰り返し接触することによって剥がれてしまったとしても、剥がれた回路側接点26の下から第一配線21Eの端部が露出する。このため、次に押圧されたときには、第一配線21Eの端部が上側接点27に接触することによって、利用者が入力した情報を読み取ることができる。
この結果、繰り返し押圧による負荷を受けたとしても、利用者が入力した情報をさらに安定して読み取ることができる。
また、本実施の形態によれば、接続導電回路パターン24の各接続配線24Eの幅は、対応する第一導電回路パターン21の第一配線21Eの幅よりも大きい。このような形態によれば、接続配線24Eの幅が、対応する第一配線21Eの幅と等しい場合に比べて、接続配線24Eの抵抗を低く抑えることができる。加えて、例えば見当ズレのような製造上の要因により起こり得る誤差に起因して、第一配線21Eの印刷される位置が接続配線24Eの印刷される位置に対して多少ずれてしまっても、接続配線24Eの幅が大きくなっているために、第一配線21Eと接続配線24Eとを安定して接続することができる。
また、本実施の形態によれば、接続導電回路パターン24の各接続配線24Eの幅は、対応する第二導電回路パターン22の第二配線22Eの幅よりも大きい。このような形態によれば、接続配線24Eの幅が、対応する第二配線22Eの幅と等しい場合に比べて、接続配線24Eの抵抗を低く抑えることができる。加えて、例えば見当ズレのような製造上の要因により起こり得る誤差に起因して、第二配線22Eの印刷される位置が接続配線24Eの印刷される位置に対して多少ずれてしまっても、接続配線24Eの幅が大きくなっているために、第二配線22Eと接続配線24Eとを安定して接続することができる。
あるいは、本実施の形態によれば、折曲手段3を介して接続された第一基板11a及び上基板13aと、第一基板11a上に印刷された第一導電インキ21Pからなる第一配線21Eを有する第一導電回路パターン21と、第一基板11a上に印刷された回路側接点導電インキ26Pからなり、第一導電回路パターン21に接続された回路側接点26と、折曲手段3に沿って上基板13aを第一基板11aに対して折り畳んだ際に回路側接点26に対面する上基板13a上の位置に配置された上側接点27と、を備え、回路側接点導電インキ26Pは、第一導電インキ21Pよりも第一基板11aからの剥がれに対する耐性を持つ記録カード1が提供される。このような記録カード1によれば、回路側接点導電インキ26Pが第一導電インキ21Pと同じ材料からなる場合に比べて、押圧によって回路側接点26が上側接点27に接触することによって剥がれる、ということを起こり難くすることができる。一方、第一導電インキ21Pに関しては、導電回路パターンの種類やレイアウトの制限を考慮して、導電回路を正常に作動させるために適切な電気抵抗率をもつ導電インキを選定することができる。これらのことから、本実施の形態の記録カード1によれば、押圧による負荷に充分な耐性を示すと共に、導電インキで形成された回路の抵抗が大きくなることを抑制することができる。
あるいは、本実施の形態によれば、折曲手段3を介して接続された第一基板11a及び第二基板11bと、第一基板11a上に印刷された第一導電インキ21Pからなる第一配線21Eを有する第一導電回路パターン21と、第二基板11b上に印刷された第二導電インキ22Pからなる第二配線22Eを有する第二導電回路パターン22と、折曲手段3を跨ぐようにして第一導電回路パターン21の第一配線21Eと第二導電回路パターン22の第二配線22Eとに接続された、接続導電インキ24Pからなる接続配線24Eを有する接続導電回路パターン24と、を備え、第一導電インキ21Pの電気抵抗率及び第二導電インキ22Pの電気抵抗率は、第一接続導電インキ24Pの電気抵抗率よりも小さい記録カード1が提供される。このような記録カード1によれば、第一導電インキ21P及び第二導電インキ22Pが第一接続導電インキ24Pと同じ材料からなる場合に比べて、導電回路パターン20の抵抗を小さくすることができる。これにより、導電回路パターンの種類やレイアウトの制限があっても、導電回路を正常に作動させるだけの電流を流すことができる。一方、第一接続導電インキ24Pとして折り曲げによる負荷に充分な耐性を示す導電インキを選定することで、折曲手段3に沿って第一基板11aと第二基板11bとを折り畳んだときに、第一接続導電回路パターン24の第一接続配線24Eが剥がれたり断線する、ということを起こり難くすることができる。これらのことから、本実施の形態の記録カード1によれば、折り曲げによる負荷に充分な耐性を示すと共に、導電インキで形成された回路の抵抗が大きくなることを抑制することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下に説明するようにして、実施例及び比較例に係る可撓性基材としての記録カードを作製し、各記録カードの折り曲げに対する耐性及び押圧に対する耐性等を評価した。
〔実施例1〕
実施例1及び実施例2は、図1乃至図7に示す記録カードに対応している。
紙からなる1枚のシートを長手方向に三等分して折り畳んだときに、最も下側に重ねられる層をなす下基板群に、導電回路パターンをスクリーン印刷を用いて形成した。スクリーン印刷に用いたスクリーンのメッシュは、270のものを使用した。
具体的には、先ず、下基板群に含まれる各第一〜第三基板に、各々に対応する第一〜第三配線を有する第一〜第三導電回路パターンを形成した。第一〜第三配線を構成する第一〜第三導電インキとして、銅インキ(アサヒ科学研究所(株)社製、ACP−100)を用いた。
次に、第一基板と第二基板との間の折曲手段を跨ぐようにして第一導電回路パターンの第一配線と第二導電回路パターンの第二配線とに接続された第一接続配線を有する第一接続導電回路パターンを形成した。得られた各第一接続配線は、折曲手段から第一基板側に5mm延び出し、折曲手段から第二基板側にも5mm延び出していた。また、第二基板と第三基板との間の折曲手段を跨ぐようにして第二導電回路パターンの第二配線と第三導電回路パターンの第三配線とに接続された第二接続配線を有する第二接続導電回路パターンを形成した。得られた各第二接続配線は、折曲手段から第二基板側に5mm延び出し、折曲手段から第三基板側にも5mm延び出していた。第一、第二接続配線を構成する第一、第二接続導電インキとして、銀とカーボンとのブレンドインキ(長瀬産業(株)社製、LS420)を用いた。
次に、第一〜第三導電回路パターンの第一〜第三配線の端部に重なるように、回路側接点を第一〜第三基板上に印刷した。続いて、下基板群に重ねられる上基板群の、回路側接点に対応する位置に、上側接点を印刷した。各回路側接点を構成する回路側接点導電インキ、及び、各上側接点を構成する上側接点導電インキとして、銀とカーボンとのブレンドインキ(長瀬産業(株)社製、LS420)を用いた。
その後、下基板群の第一基板上に通信モジュールを搭載した後に、互いに重ねられた下基板群と中基板群とをヒートシールした。続いて、互いに重ねられた中基板群と上基板群とをヒートシールして、記録カードを作製した。
〔実施例2〕
実施例2に係る記録カードは、実施例1に係る記録カードに対して、接続導電インキ及び接点導電インキを変更し、その他の点では実施例1に係る記録カードと同一とした。
具体的には、第一、第二接続配線を構成する第一、第二接続導電インキとして、カーボンインキ(十条ケミカル(株)社製、CH−8)を用いた。各回路側接点を構成する回路側接点導電インキ、及び、各上側接点を構成する上側接点導電インキとしても、上記カーボンインキを用いた。
〔比較例1〕
比較例1に係る記録カードは、実施例1に係る記録カードに対して、接続導電インキ及び接点導電インキを変更し、その他の点では実施例1に係る記録カードと同一とした。
具体的には、導電回路パターンを構成する導電インキとして、銅インキ(アサヒ科学研究所(株)社製、ACP−100)のみを用いた。すなわち、第一〜第三配線を構成する第一〜第三導電インキ、及び、第一、第二接続配線を構成する第一、第二接続導電インキとして、上記銅インキを用いた。各回路側接点を構成する回路側接点導電インキ、及び、各上側接点を構成する上側接点導電インキとしても、上記銅インキを用いた。
〔比較例2〕
比較例2に係る記録カードは、比較例1に係る記録カードに対して、導電インキを変更し、その他の点では比較例1に係る記録カードと同一とした。
具体的には、導電回路パターンを構成する導電インキとして、銅インキ(NOVACENTRIX社製、ICI−021)のみを用いた。すなわち、第一〜第三配線を構成する第一〜第三導電インキ、及び、第一、第二接続配線を構成する第一、第二接続導電インキとして、上記胴インキを用いた。各回路側接点を構成する回路側接点導電インキとして、及び、各上側接点を構成する上側接点導電インキとしても、上記銅インキを用いた。
〔比較例3〕
比較例3に係る記録カードは、比較例1に係る記録カードに対して、導電インキを変更し、その他の点では比較例1に係る記録カードと同一とした。
具体的には、導電回路パターンを構成する導電インキとして、カーボンインキ(十条ケミカル(株)社製、CH−8)のみを用いた。すなわち、第一〜第三配線を構成する第一〜第三導電インキ、及び、第一、第二接続配線を構成する第一、第二接続導電インキとして、上記カーボンインキを用いた。各回路側接点を構成する回路側接点導電インキとして、及び、各上側接点を構成する上側接点導電インキとしても、上記カーボンインキを用いた。
(評価結果)
上記で得られた実施例1、2及び比較例1、2、3に係る記録カードについて、導電回路パターンの抵抗値、連続稼働時間、折り曲げに対する耐性及び押圧に対する耐性を評価した。
各実施例1、2及び各比較例1、2、3に係る記録カードにおいて、導電回路パターンを下基板群に印刷した後、下基板群の第一基板に通信モジュールを搭載する前に、予め比較対象となる端子間の抵抗値を計測しておいた。具体的には、導電回路パターンの最も外縁を通るように延びる回路が接続されたグランド端子間の抵抗値を計測した。計測した結果を表1の「抵抗値」の欄に示す。
次に、各記録カードにおいて、通信モジュールを作動させて作動確認を行った。作動結果を表1の「作動確認」の欄に示す。
次に、各記録カードにおいて、常温で通信モジュールを作動させてボタン電池が切れるまでの連続稼働時間を計測した。計測した結果を表1の「連続稼働時間」の欄に示す。
ボタン電池を交換後、各記録カードにおいて、上基板群に設けられた対象となる押圧領域を押圧(打刻)して、上基板群に配置された上側接点と、下基板群に配置された回路側接点と、を接触させ、入力された情報を通信モジュールに記憶させた。さらに、この押圧領域の押圧を100回繰り返し行った。作動結果を表1の「折り畳み前の押圧に対する耐性」の欄に示す。
次に、各記録カードにおいて、短手折曲手段を利用して第一基板と第二基板とを折り畳んで図1に示す折り畳んだ状態にした後、再び拡げて図2に示す操作状態とした。図2に示す操作状態において、グランド端子間の抵抗値を再び計測した。計測した結果を表1の「折り曲げに対する耐性」の欄に示す。
次に、折り畳んだ後の各記録カードにおいて、上基板群に設けられた対象となる押圧領域を押圧して、上基板群に配置された上側接点と、下基板群に配置された回路側接点と、を接触させ、入力された情報を通信モジュールに記憶させた。作動結果を表1の「折り畳み後の押圧に対する耐性」の欄に示す
表1では、各評価項目において、期待された結果が得られた場合に○を付し、期待された結果が得られなかった場合に×を付している。
表1から理解されるように、実施例1及び2に係る記録カードは、折り畳み前後の押圧に対する耐性及び折り曲げに対する耐性の両方に優れていた。また、導電回路パターンの抵抗も比較的低く抑えることができたため、省電力特性に優れ、長時間の連続使用も可能となった。
一方、比較例1に係る記録カードは、第一基板と第二基板とを折り畳んだ後にグランド端子間の抵抗値を計測したところ、第一接続配線が剥がれてしまったためにグランド端子間に電流を流すことができず抵抗を計測することができなかった。これらのことから、比較例1に係る記録カードは、実施例1及び実施例2に係る記録カードよりも折り曲げに対する耐性に劣り、総合評価としては「×」となった。
一方、比較例2に係る記録カードは、折り畳み前に、押圧領域の押圧を10回程度繰り返し行った時点で、回路側接点が剥がれてしまい、入力された情報を通信モジュールに記憶させることができなくなった。また、第一基板と第二基板とを折り畳んだ後にグランド端子間の抵抗値を計測したところ、第一接続配線が剥がれてしまったためにグランド端子間に電流を流すことができず抵抗を計測することができなかった。これらのことから、比較例1に係る記録カードは、実施例1及び実施例2に係る記録カードよりも押圧に対する耐性及び折り曲げに対する耐性に劣り、総合評価としては「×」となった。
比較例3に係る記録カードは、折り畳み前後の押圧に対する耐性及び折り曲げに対する耐性の両方に優れていた。しかしながら、導電回路パターンの抵抗が大きく、実施例1及び2に係る記録カードに比べて、長時間の連続使用の点で大きく劣っていた。このため、比較例1に係る記録カードは、総合評価としては「×」となった。