JP6524778B2 - 縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法 - Google Patents

縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法に関し、さらに詳しくは、水面に浮遊する油が付着して防舷材が膨潤劣化することを抑制できる縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法に関するものである。
船舶の接岸時における船体および岸壁の損傷防止等を目的として、岸壁の壁面または舷側に設置される空気式防舷材が知られている。空気式防舷材は、補強材が埋設されたゴムにより形成された中空体である。その中空内部には、空気が封入されていて船舶の接岸時には、封入された空気によって生じる弾性力により、その衝撃を緩和する。
空気式防舷材の形態は、横型と縦型との2種類に大別することができる。横型空気式防舷材は、長手方向を横にした状態で水に浮かべて使用される。縦型空気式防舷材は、中空内部に所定量の水を収容することで、一部を水中に沈めて長手方向を縦にした立設状態で水に浮かべて使用される。
ところで、空気式防舷材を設置した水域に油が漂着して滞留する場合、空気式防舷材の外面には水面に浮遊する油が付着した状態になる。従来の空気式防舷材には、このような油に対する考慮がされていないため、この状態が長時間続くと油が付着した部分のゴムが膨潤して劣化する。これにより、空気式防舷材は使用できなくなり耐用期間が短くなるという問題がある。
縦型ではなく横型空気式防舷材については、防舷材の外面を覆うシート状の保護部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この保護部材は、船体等との接触に起因する防舷材の外傷を防止することを目的としたものであり、上述した油による膨潤劣化を意図したものではなかった。
特開平5−25812号公報
本発明の目的は、水面に浮遊する油が付着して防舷材が膨潤劣化することを抑制できる縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバーは、円筒状の胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部を備えた縦型空気式防舷材に着脱自在に装着される縦型空気式防舷材用の保護カバーであって、前記胴体部の外面の上下方向一部の範囲を被覆する筒状の保護層体と、この保護層体を前記防舷材の所定位置に配置する取り付け部とを備え、前記防舷材の所定位置に配置された際に、前記保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする。
本発明の縦型空気式防舷材は、円筒状の胴体部と、この胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部とを備えた縦型空気式防舷材において、前記胴体の外面の上下方向の一部の範囲を被覆する着脱自在な筒状の保護層体を備え、この保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする。
本発明の別の縦型空気式防舷材は、円筒状の胴体部と、この胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部とを備えた縦型空気式防舷材において、前記胴体部の外面の上下方向の一部の範囲を被覆する筒状の保護層体を備え、この保護層体が、耐油性部材により形成されるとともに、加硫接着によって一体化して設けられていて、この保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする。
本発明の縦型空気式防舷材の使用方法は、上記の縦型空気式防舷材を、前記保護層体の上下方向中途の位置を水面位置に設定して設置し、この防舷材を設置した水域に油が浮遊している場合に、前記保護層体により、前記油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶することを特徴とする。
本発明によれば、前記胴体部の外面の上下方向の一部を被覆する筒状の保護層体を設けて、この保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にするので、保護層体により被覆した範囲が水面に浮遊する油により膨潤劣化することを防止できる。また、この保護層体は、胴体部の外面の上下方向の一部を被覆するだけなので、保護層体を形成する材料を削減するには有利になる。
本発明の保護カバーでは、前記保護層体が、前記胴体部の外面と間隔をあけてこの胴体部に外挿され、単独で水に浮く浮力を有している構成にすることもできる。この構成によれば、水面の上下動にしたがって保護層体が独立して上下移動するので、保護層体により、水面に浮遊する油から胴体部の外面を保護し易くなる。
或いは、前記保護層体が、前記胴体部の外面に当接してこの胴体部に外挿される構成にすることもできる。この構成によれば、保護層体が胴体部から不用意に離脱する不具合を防止するには有利になる。
前記取り付け部を例えば、前記保護層体と前記胴体部の上端に連接された鏡部側とを接続する紐状体により構成する。この構成によれば、必要最小限の取り付け部によって保護層体を安定して防舷材に取り付けることができる。
前記取り付け部を、前記保護層体と前記胴体部の上端に連接された鏡部側とを接続する紐状体と、前記保護層体と前記胴体部の下端に連接された鏡部側とを接続する紐状体とにより構成することもできる。この構成によれば、一段と安定して保護層体を防舷材に取り付けることができる。
保護層体が、耐油性部材により形成される構成にすると、保護層体により被覆した範囲の膨潤劣化を防止するには有利になる。耐油性部材としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する弾性部材を用いる。
本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバーの実施形態を側面視で例示する説明図である。 図1の縦型空気式防舷材用の保護カバーを平面視で例示する説明図である。 本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバーの別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。 図3の縦型空気式防舷材用の保護カバーを平面視で例示する説明図である。 船舶が接岸した際の図3の縦型空気式防舷材用の保護カバーを縦断面視で例示する説明図である。 本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバーのさらに別の実施形態を側面視で例示する説明図である。 図6の縦型空気式防舷材用の保護カバーを平面視で例示する説明図である。 船舶が接岸した際の図6の縦型空気式防舷材用の保護カバーを側面視で例示する説明図である。 本発明の縦型空気式防舷材の実施形態を側面視で例示する説明図である。 縦型空気式防舷材を縦断面視で例示する説明図である。
以下、本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバーおよび縦型空気式防舷材並びに縦型空気式防舷材の使用方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
従来の縦型空気式防舷材1A(以下、防舷材1Aという)は、図10に例示するように、円筒状の胴体部1aと、胴体部1aの上下両端に連接されたボウル状の鏡部1bとを備えている。上側の鏡部1bの上端部には口金部1cが設けられ、下側の鏡部1bの下端部には口金部1dが設けられている。一方の口金部1cのみが設けられる防舷材1Aもある。
胴体部1aおよび鏡部1bは、内層ゴムと外層ゴムとの間に複数の補強層が積層された部材で構成されている。胴体部1aと鏡部1bとにより形成された中空の内部空間に空気Aが充填されるとともに、所定量の水Wが注入される。図面では、胴体部1aと鏡部1bとの境界を二点鎖線で示している。
口金部1cには、空気Aや水Wを注入するための注入口や防舷材1Aの内圧が過大になることを防止する安全弁、この内圧を測定する圧力センサ等が設けられている。それぞれの口金部1c、1dには別々のガイチェーン5の一端部が接続されている。
防舷材1Aを岸壁の壁面または舷側に設置する際には、口金部1cに接続されているガイチェーン5の他端部を、岸壁または船体に固定する。口金部1dに接続されているガイチェーン5の他端部には重錘6を接続する。そして、中空の内部空間に空気Aおよび水Wが収容された防舷材1Aを、その一部を海等の水中に沈めて長手方向(胴体部1aの筒軸方向)を縦にした立設状態で海等に浮かべて設置する。
防舷材1Aは、胴体部1aの上下方向中途の位置に水面が位置するように設置される。そのため、防舷材1Aを設置した水域に油Cが漂流して滞留すると、水面に浮遊する油Cが常に胴体部1aに接触する。このまま防舷材1Aを使用し続けると、胴体部1aを形成している外層ゴムが油Cによって膨潤する。この膨潤によって胴体部1aの強度低下等が発生し、防舷材1Aを使用することが不可能になる。
そこで、図1、2に例示する本発明の縦型空気式防舷材用の保護カバー2(以下、保護カバー2という)を用いる。この保護カバー2は、胴体部1aの外面の上下方向一部の範囲を被覆する筒状の保護層体3と、保護層体3を防舷材1Aの所定位置に配置する取り付け部4とを備えている。
保護層体3は、ゴム等の弾性部材や樹脂等を層状に薄く形成したシートであり、その厚さは例えば1mm〜30mmであり、上下方向(筒軸方向)長さは例えば2m〜5m、設置水域によっては1m〜3mである。保護層体3は、実質的に水が染み込まない仕様になっている。筒状の保護層体3は、周方向にも筒軸方向にも切れ目がなく連続している。保護層体3は例えば、部材を筒状に一体成形して製造する。或いは、複数の部材を接合して筒状の保護層体3を製造する。この場合は、それぞれの部材の接合継ぎ目は、すき間が生じない加工を施して油Cが通過しない仕様にする。防舷材1Aに外挿された筒状の保護層体3により、胴体部1aの外面の上下方向一部の範囲が被覆される。
保護層体3は、耐油性部材を用いて形成することも、非耐油性部材を用いても形成することもできる。また、弾性部材を用いて保護層体3を形成することも、非弾性部材を用いて保護層体3を形成することもできる。例えば、耐油性に優れたアクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する弾性部材を用いて保護層体3を形成する。耐油性を有する弾性部材としては、他にもフッ素ゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム等を例示できる。
保護層体3の内面と胴体部1aの外面との間は、多少のすき間がある状態にすることも、すき間なく密着させた状態にすることもできる。保護層体3が弾性部材により形成されていると、筒状の保護層体3を拡径させて胴体部1aに外挿させることで、保護層体3の内面と胴体部1aの外面とを密着させることができる。
取り付け部4としては例えば、防舷材1Aに外挿させた保護層体3と上側の鏡部1b側とを接続する紐状体4b(上側の紐状体4b)およびこの保護層体3と下側の鏡部1b側とを接続する紐状体4b(下側の紐状体4b)を用いる。上側の紐状体4bによって、保護層体3の上端部と上側の鏡部1bの表面とを直接接続する、または、保護層体3の上端部と上側の鏡部1bに設けられた口金部1cとを接続する。下側の紐状体4bによって、保護層体3の下端部と下側の鏡部1bの表面とを直接接続する、または、保護層体3の下端部と下側の鏡部1bに設けられた口金部1dとを接続する。上側の紐状体4bだけで保護層体3を安定して防舷材1Aに固定することができれば、下側の紐状体4bを省略することもできる。
この実施形態では、上側の紐状体4bの下端部は、接続部材4aを介して保護層体3の上端開口縁部に接続されている。上側の紐状体4bの上端部は、口金部1cに外嵌された固定部材4cを介して口金部1cに接続されている。下側の紐状体4bの上端部は、接続部材4aを介して保護層体3の下端開口縁部に接続されている。下側の紐状体4bの下端部は、口金部1dに外嵌された固定部材4cを介して口金部1dに接続されている。
紐状体4bとしては、樹脂製や天然繊維製のロープや金属チェーン等を用いることができる。紐状体4bとして樹脂製や天然繊維製のロープを用いると、紐状体4bに起因して鏡部1bの表面に傷が生じることを防止するには有利になる。
この保護カバー2を使用する場合、中空の内部空間に空気Aが収容された防舷材1Aに地上や船上で保護カバー2を取り付ける。その後、図1に例示するように防舷材1Aを岸壁の壁面または舷側に設置する。その後、防舷材1Aの内部に水Wを注入して保護カバー2(保護層体3)の上下方向中途の位置を水面位置に設定する。
防舷材1Aを設置した水域に油Cが漂流してきて防舷材1Aの周囲が水面に浮遊する油Cで囲まれると、保護層体3の外面に油Cが付着した状態が続く。胴体部1aは保護層体3によって被覆されているので油Cが付着することがなく、油Cとは隔絶される。油Cは水面に伴って変動するが、港湾等での平時の水面の上下変動は1〜2m程度である。また、防舷材1Aはある程度、波(水面)と同調して上下移動するので水面位置の上下変動範囲は胴体部1aの範囲内になる。したがって、水面位置の上下変動範囲に応じて保護層体3の上下方向(筒軸方向)長さおよび保護層体3で被覆する上下範囲を決定するとよい。
保護層体3の内面と胴体部1aの外面との間に多少のすき間があっても、水面位置が保護層体3の上端位置を超える、或いは、水面位置が保護層体3の下端位置よりも下がらなければ、両者のすき間に油Cが入り込むことはない。したがって、波が平時よりも高い場合を除いて、防舷材1Aの保護層体3により被覆された範囲は油Cと隔絶され、平時においては防舷材1Aに油Cが付着することを回避できる。平時ではない時(波が高い時)は防舷材1Aの使用を控えるとよい。それ故、本発明の保護カバー2を用いることにより、水面に浮遊する油Cによる防舷材1Aの膨潤劣化を効果的に抑制できる。また、保護層体3は、胴体部1aの外面の上下方向の一部を被覆するだけなので、保護層体3を形成する材料を削減するには有利になる。
また、層状の薄い保護層体3を用いるので、防舷材1Aに保護カバー2を取り付けて使用しても防舷材1Aの圧縮および復元変形が大幅に困難になることもない。したがって、保護カバー2によって防舷材1Aの衝撃緩和性能等に実質的な悪影響は生じない。
非耐油性部材により保護層体3を形成すると、耐油性部材により形成した場合に比して、付着した油Cによって保護層体3は早期に膨潤等により劣化する。そのため、保護層体3の劣化を発見した際、或いは、予め設定された期間経過後に、劣化した保護層体3を防舷材1Aから取り外して新しい保護層体3に交換する。或いは、新しい保護カバー2に交換してもよい。
耐油性部材により保護層体3を形成すると、非耐油性部材により形成した場合に比して長期に渡って、保護層体3により被覆した範囲の膨潤劣化を防止することができる。それ故、新しい保護層体3(保護カバー2)に交換する必要がなくなる。或いは新しい保護層体3(保護カバー2)への交換頻度を少なくすることができる。
保護層体3が、胴体部1aの外面に当接して胴体部1aに外挿される構成にすれば、保護層体3が胴体部1aから不用意に離脱する不具合を防止するには有利になる。保護層体3の内面と胴体部1aの外面とが密着していると、保護層体3が防舷材1Aに対してずれ難くなるという利点があるので、取り付け部4の強度を低く設定することも可能になる。保護層体3の内面と胴体部1aの外面とを密着させる場合には、保護層体3を防舷材1Aの圧縮および復元変形に追従することができる弾性部材により形成するとよい。
保護層体3の内面と胴体部1aの外面との間にすき間を設けていると、保護層体3によって防舷材1Aの圧縮および復元変形が影響を受け難くなるという利点がある。また、防舷材1Aの圧縮および復元変形に追従するために要求される伸縮性等が低くなるので、保護層体3として採用できる部材の選択肢が広がる。
この実施形態では取り付け部4を、保護層体3と胴体部1aの上端に連接された鏡部1b側とを接続する紐状体4bと、保護層体3と胴体部1aの下端に連接された鏡部1b側とを接続する紐状体4bとにより構成しているので、保護層体3と胴体部1aの下端に連接された鏡部1b側とを接続する紐状体4bを設けない場合に比して、一段と安定して保護層体3を防舷材1Aに取り付けることができる。
また、取り付け部4を保護層体3と胴体部1aの上端に連接された鏡部1b側とを接続する紐状体4bにより構成することもできる。この構成にすれば、必要最小限の取り付け部4によって保護層体3を安定して防舷材1Aに取り付けることができる。
図3〜5に例示する保護カバー2の別の実施形態では、保護層体3を単独で水に浮く浮力を有する構成にしている。この保護カバー2では保護層体3が、胴体部1aに外挿される筒状の伸縮性を有する気泡構造の部材で構成されている。例えば独立気泡構造の樹脂やゴム等を保護層体3として用いることができる。或いは、図1、2で例示した実施形態の保護層体3に独立気泡構造の樹脂やゴム等の浮力部を付加することにより、この実施形態の保護層体3にすることもできる。
この保護層体3は、図3で示すように胴体部1aの外面と間隔をあけて胴体部1aに外挿され、水面の上下動にしたがって独立して上下移動する。
船舶が接岸する際には、図5で示すように保護層体3は防舷材1Aと岸壁Sの間、防舷材1Aと船体Bの間に挟まれることになるが、保護層体3は層状で薄いので、防舷材1Aの圧縮および復元変形が大幅に困難になることもない。したがって、保護カバー2によって防舷材1Aの衝撃緩和性能等に実質的な悪影響は生じない。
この実施形態によれば、水面の上下動にしたがって保護層体3が独立して上下移動するので、保護層体3により、水面に浮遊する油Cから胴体部1aの外面を保護し易くなる。保護層体3が十分な浮力を有しているので防舷材1Aに固定する取り付け部4を不要にできる。ただし、この実施形態では防舷材1Aを設置する際および設置場所から引き揚げる際に保護層体3が防舷材1Aから外れることを防止するため、余長を有する上側の紐状体4bによって保護層体3を防舷材1Aに取り付けている。
単独で水に浮く浮力を有する保護層体3を備えた保護カバー2の別の実施形態を図6〜8で示す。
この保護カバー2では、胴体部1aに外挿される保護層体3の一部が浮力を有する浮力部3aで構成されている。保護層体3としては、図1〜2で例示した実施形態の保護層体3を利用することができる。浮力部3aとしては、例えば独立気泡構造の樹脂やゴム等を用いることができる。浮力部3aは船舶が接岸する際に、船体Bや岸壁Sに押圧されない位置で対向して設けることが好ましい。この保護層体3は、図7で示すように胴体部1aの外面と間隔をあけて胴体部1aに外挿され、水面の上下動にしたがって独立して上下移動する。
この実施形態では、紐状の取り付け部4の一端部を保護層体3のそれぞれの浮力部3aに相当する位置に接続し、他端部を岸壁Sに接続している。保護層体3をこのように岸壁Sに接続することで保護層体3の筒軸心を中心にした回転を防ぐことができる。
船舶が接岸する際には、図8で示すように保護層体3は防舷材1Aと岸壁Sとの間、防舷材1Aと船体Bとの間に挟まれることになるが、保護層体3は層状で薄いので、防舷材1Aの圧縮および復元変形が大幅に困難になることもない。したがって、保護カバー2によって防舷材1Aの衝撃緩和性能等に実質的な悪影響は生じない。浮力部3aは周方向に連続して全周に設けることも、周方向の断続的に設けることもできる。この実施形態のように船体Bや岸壁Sに押圧されない周方向位置に配置すると、浮力部3aは過度に圧縮されることがなく、損傷防止には有利になる。
また、本発明の縦型空気式防舷材1(以下、防舷材1という)は、従来の防舷材1Aに対して上述した種々の保護層体3を着脱自在に備えたものである。
防舷材1の別の実施形態を図9に例示する。
この防舷材1は、胴体部1aの外面の上下方向一部の範囲を被覆する筒状の保護層体3を備えていて、この保護層体3が加硫接着によって防舷材1として一体化している。即ち、保護層体3の内面が、対向する面とすき間なく密着固定されている。従来の防舷材1Aの外面に保護層体3を追加的に加硫接着することも、従来の防舷材1Aの外層ゴムに置き換えて保護層体3を加硫接着することもできる。
保護層体3としては、上述した種々の仕様を用いることができる。ただし、保護層体3のみが着脱できる仕様ではないので、保護層体3を交換することができない。そのため、保護層体3は耐油性部材により形成される。また、保護層体3は圧縮および復元変形に追従する必要があるので、ゴム等の弾性部材により形成されることが好ましい。
防舷材1の使用方法は上述した実施形態と同様である。この防舷材1によれば、防舷材1の保護層体3により被覆された範囲は水面に浮遊する油Cと隔絶され、実質的に防舷材1に油Cが付着することを回避できる。それ故、水面に浮遊する油Cによる防舷材1の膨潤劣化を効果的に抑制できる。
この防舷材1では上述した取り付け部4が不要になるという利点、保護層体3がずれないという利点がある。
1 本発明の縦型空気式防舷材
1A 従来の縦型空気式防舷材
1a 胴体部
1b 鏡部
1c 口金部(上側)
1d 口金部(下側)
2 保護カバー
3 保護層体
3a 浮力部
4 取り付け部
4a 接続部材
4b 紐状体
4c 固定部材
5 ガイチェーン
6 重錘
A 空気
C 油
W 水
B 船体
S 岸壁

Claims (12)

  1. 円筒状の胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部を備えた縦型空気式防舷材に着脱自在に装着される縦型空気式防舷材用の保護カバーであって、
    前記胴体部の外面の上下方向一部の範囲を被覆する筒状の保護層体と、この保護層体を前記防舷材の所定位置に配置する取り付け部とを備え、前記防舷材の所定位置に配置された際に、前記保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  2. 前記保護層体が、前記胴体部の外面と間隔をあけてこの胴体部に外挿され、単独で水に浮く浮力を有している請求項1に記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  3. 前記保護層体が、前記胴体部の外面に当接してこの胴体部に外挿される請求項1に記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  4. 前記取り付け部が、前記保護層体と前記胴体部の上端に連接された鏡部側とを接続する紐状体により構成される請求項1〜3のいずれかに記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  5. 前記取り付け部が、前記保護層体と前記胴体部の上端に連接された鏡部側とを接続する紐状体と、前記保護層体と前記胴体部の下端に連接された鏡部側とを接続する紐状体とにより構成される請求項1〜3のいずれかに記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  6. 前記保護層体が、耐油性部材により形成される請求項1〜5のいずれかに記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  7. 前記耐油性部材が、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する弾性部材である請求項6に記載の縦型空気式防舷材用の保護カバー。
  8. 円筒状の胴体部と、この胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部とを備えた縦型空気式防舷材において、
    前記胴体の外面の上下方向の一部の範囲を被覆する着脱自在な筒状の保護層体を備え、この保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする縦型空気式防舷材。
  9. 円筒状の胴体部と、この胴体部の上下両端に連接されたボウル状の鏡部とを備えた縦型空気式防舷材において、
    前記胴体部の外面の上下方向の一部の範囲を被覆する筒状の保護層体を備え、この保護層体が、耐油性部材により形成されるとともに、加硫接着によって一体化して設けられていて、この保護層体により、水面に浮遊する油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶可能にすることを特徴とする縦型空気式防舷材。
  10. 前記保護層体が、耐油性部材により形成される請求項8に記載の縦型空気式防舷材。
  11. 前記耐油性部材が、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを含有する弾性部材である請求項9または10に記載の縦型空気式防舷材。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の縦型空気式防舷材を、前記保護層体の上下方向中途の位置を水面位置に設定して設置し、この防舷材を設置した水域に油が浮遊している場合に、前記保護層体により、前記油と前記胴体部の前記保護層体により被覆した範囲とを隔絶する縦型空気式防舷材の使用方法。
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