JP2011245945A - 防舷材とそれを備えた船舶 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性と抗堪性に優れ、設置箇所に応じて剛性を調節したり、部分的に剛性を高めたりすることが可能な防舷材とそれを備えた船舶を提供する。
【解決手段】船体2は、船底外板2d,甲板2e,ブルワーク2f及びブルワーク2fを支持するブルワークステイ2gなどによって構成されており、ポリプロピレン系,ポリエチレン系,スチレン系又はポリウレタン系等からなり,発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体9a,9bが接合された略半円柱状の固体緩衝材4と,固体緩衝材4の表面を覆うゴムシート製の被覆材5とからなる防舷材3aが、ブルワーク2fの外側に設置されている。
【選択図】図2
【解決手段】船体2は、船底外板2d,甲板2e,ブルワーク2f及びブルワーク2fを支持するブルワークステイ2gなどによって構成されており、ポリプロピレン系,ポリエチレン系,スチレン系又はポリウレタン系等からなり,発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体9a,9bが接合された略半円柱状の固体緩衝材4と,固体緩衝材4の表面を覆うゴムシート製の被覆材5とからなる防舷材3aが、ブルワーク2fの外側に設置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、船舶が桟橋や岸壁に接岸する際、あるいは船舶同士が衝突した際に発生する衝撃を吸収する防舷材とそれを備えた船舶に係り、特に、いわゆる固形気室を採用し耐久性と抗堪性に優れる防舷材とそれを備えた船舶に関する。
船舶が接岸する場合や船舶が係留中に波や風を受けて船舶が揺動する場合、係船岸と船舶との間に衝撃力が発生する。そのため、この衝撃を吸収して船体や乗員を保護するべく、従来、岸壁や桟橋には、防舷材と呼ばれる緩衝材が設置されていた。しかしながら、このような防舷材では、船舶同士が衝突した際に発生する大きな衝撃を吸収することができないという課題があった。また、桟橋に防舷材が設置されていない場合には、船舶を容易に接岸させることができないという課題があった。
このような課題に対処するものとして、近年、船舶側に取り付けられる防舷材について様々な研究や開発が行われており、それらに関して既に幾つかの発明や考案が開示されている。
このような課題に対処するものとして、近年、船舶側に取り付けられる防舷材について様々な研究や開発が行われており、それらに関して既に幾つかの発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「小型船舶の防舷材構造」という名称で、衝撃吸収性に優れ、艇体のほぼ全周に設置される防舷材に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、艇体の周縁部の最外側面に沿って配置されるエアチューブからなる防舷材と、この防舷材を保持可能に防舷材の長さ方向に所定間隔で配置される保持手段とを備えている。
このような構造の防舷材においては、空気を注入することにより艇体の接岸時に生じる衝撃が吸収され、空気を抜くことにより防舷材が船側から側方に突出しなくなるため、艇体の幅が狭くなるという作用を有する。
特許文献1に開示された発明は、艇体の周縁部の最外側面に沿って配置されるエアチューブからなる防舷材と、この防舷材を保持可能に防舷材の長さ方向に所定間隔で配置される保持手段とを備えている。
このような構造の防舷材においては、空気を注入することにより艇体の接岸時に生じる衝撃が吸収され、空気を抜くことにより防舷材が船側から側方に突出しなくなるため、艇体の幅が狭くなるという作用を有する。
特許文献2には、「防舷材」という名称で、船舶における船体の周縁部に沿って配置される防舷材に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、合成樹脂発泡体によって円柱状に構成された複数の芯材が互いに軸心方向に沿って配列されたことを特徴とする。
このような構成によれば、芯材が破損し難いため、長期間使用することができる。また、芯材が軽量で取り扱いが容易である上、各芯材を個別に取り替えることができるため、経済的である。
特許文献2に開示された発明は、合成樹脂発泡体によって円柱状に構成された複数の芯材が互いに軸心方向に沿って配列されたことを特徴とする。
このような構成によれば、芯材が破損し難いため、長期間使用することができる。また、芯材が軽量で取り扱いが容易である上、各芯材を個別に取り替えることができるため、経済的である。
特許文献3には、「船舶」という名称で、抗堪性と耐久性を有する防舷材に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明である防舷材は、船側部に形成され,横断面が溝形をなす防舷材取付部に対して、一端が嵌合されるとともに,他端が外舷に張り出すように船舶に取り付けられる固体緩衝材を有するものである。
このような構造の防舷材は、エアチューブ等で形成される場合と異なり、破裂するおそれがなく、耐用年数が長い。また、銃撃等に対する抗堪性に優れるため、巡視艇等に搭載される救難艇の防舷材として用いることができる。
特許文献3に開示された発明である防舷材は、船側部に形成され,横断面が溝形をなす防舷材取付部に対して、一端が嵌合されるとともに,他端が外舷に張り出すように船舶に取り付けられる固体緩衝材を有するものである。
このような構造の防舷材は、エアチューブ等で形成される場合と異なり、破裂するおそれがなく、耐用年数が長い。また、銃撃等に対する抗堪性に優れるため、巡視艇等に搭載される救難艇の防舷材として用いることができる。
上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、エアチューブ内の空気圧が経時的に低下して緩衝性が低下するという課題があった。また、一箇所でも破損すると、内部の空気が漏れ出してしまい、全体の緩衝性が失われるという課題があった。そして、この場合には防舷材全体を取り替える必要があるため、修理に要する時間やコストがかかるという課題があった。
また、特許文献2及び特許文献3に開示された発明においては、設置箇所によらず、剛性が一定となるため、設置箇所や用途が限られてしまう。その結果、設計の自由度が狭くなり、製造コストが割高になってしまうという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、耐久性と抗堪性に優れ、設置箇所に応じて剛性を調節したり、部分的に剛性を高めたりすることが可能な防舷材とそれを備えた船舶を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、を備え、固体緩衝材は、発泡倍率の異なる少なくとも2種以上の合成樹脂発泡体からなり、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とするものである。
このような構造の防舷材においては、固体緩衝材の嵩密度が海水の密度よりも小さいため、船体に予備浮力を与えて復元力を確保するという作用を有する。また、固体緩衝材が合成樹脂発泡体であるため、部分的に破損が生じた場合でも全体の機能には影響しない。さらに、エアチューブ製の場合と異なり、空気の漏出に伴って経時的に機能が低下するというおそれがない。そして、固体緩衝材内部の2種以上の合成樹脂発泡体の分布に沿って、固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。例えば、内部と外部で異なる分布であったり、長手方向の分布であったり、断面の中心から径方向に分布を備えるという作用を有する。また、固体緩衝材は被覆材により機械的な損傷や紫外線による劣化等から保護されるという作用を有する。
このような構造の防舷材においては、固体緩衝材の嵩密度が海水の密度よりも小さいため、船体に予備浮力を与えて復元力を確保するという作用を有する。また、固体緩衝材が合成樹脂発泡体であるため、部分的に破損が生じた場合でも全体の機能には影響しない。さらに、エアチューブ製の場合と異なり、空気の漏出に伴って経時的に機能が低下するというおそれがない。そして、固体緩衝材内部の2種以上の合成樹脂発泡体の分布に沿って、固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。例えば、内部と外部で異なる分布であったり、長手方向の分布であったり、断面の中心から径方向に分布を備えるという作用を有する。また、固体緩衝材は被覆材により機械的な損傷や紫外線による劣化等から保護されるという作用を有する。
また、請求項2に記載の発明は、船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、を備え、固体緩衝材は、船体の周縁部に沿って空洞部が形成され、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とするものである。
このような構造の防舷材においては、空洞部によって固体緩衝材が変形し易くなる。また、被覆材によって空洞部の内部に空気が密封され、固体緩衝材の嵩密度が小さくなるという作用を有する。また、請求項1に記載の発明と同様に、固体緩衝材内部の空洞部の分布に沿って固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。
このような構造の防舷材においては、空洞部によって固体緩衝材が変形し易くなる。また、被覆材によって空洞部の内部に空気が密封され、固体緩衝材の嵩密度が小さくなるという作用を有する。また、請求項1に記載の発明と同様に、固体緩衝材内部の空洞部の分布に沿って固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の防舷材において、固体緩衝材は、空洞部の少なくとも一部に補強部材が埋設されたことを特徴とするものである。
このような構造の防舷材においては、補強部材が埋設された箇所の剛性が高くなるという作用を有する。従って、請求項2に記載の発明よりも固体緩衝材の柔軟性に分布を多様化あるいは複雑化させるという作用を有する。
このような構造の防舷材においては、補強部材が埋設された箇所の剛性が高くなるという作用を有する。従って、請求項2に記載の発明よりも固体緩衝材の柔軟性に分布を多様化あるいは複雑化させるという作用を有する。
請求項4に記載の発明は、船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、を備え、固体緩衝材の側部に船体の周縁部に沿って凹条部が形成され、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とするものである。
このような構造の防舷材においては、凹条部によって固体緩衝材の柔軟性が高まるという作用を有する。また、請求項1及び請求項2に記載の発明と同様に固体緩衝材内部の凹条部の分布に沿って固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。
このような構造の防舷材においては、凹条部によって固体緩衝材の柔軟性が高まるという作用を有する。また、請求項1及び請求項2に記載の発明と同様に固体緩衝材内部の凹条部の分布に沿って固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせるという作用を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の防舷材において、固体緩衝材は、凹条部の内壁面に船体の周縁部に沿って凸条部が形成されたことを特徴とするものである。
このような構造の防舷材においては、凸条部が突出する方向に対して固体緩衝材の剛性が高くなるという作用を有する。従って、請求項4に記載の発明よりも固体緩衝材の柔軟性に分布を多様化あるいは複雑化させるという作用を有する。
このような構造の防舷材においては、凸条部が突出する方向に対して固体緩衝材の剛性が高くなるという作用を有する。従って、請求項4に記載の発明よりも固体緩衝材の柔軟性に分布を多様化あるいは複雑化させるという作用を有する。
請求項6に記載の発明である船舶は、船首端から船尾端にかけて請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の防舷材が船側部に設置されたことを特徴とするものである。
このような構造の船舶においては、防舷材が、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された発明と同様の作用を有するため、設計時の自由度が大きい。
このような構造の船舶においては、防舷材が、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された発明と同様の作用を有するため、設計時の自由度が大きい。
本発明の請求項1に記載の防舷材によれば、耐久性及び被弾に対する抗堪性あるいは耐刃性を高めることが可能である。また、海面に落下して救助を受けている人が誤って防舷材に接触しても怪我をし難いように、固体緩衝材の外部を内部よりも柔らかくすることができる。あるいは、乗船や下船の際に乗員が体重をかけた場合でも変形し難いように、固体緩衝材の剛性を部分的に高めることもできる。
本発明の請求項2に記載の防舷材によれば、請求項1に記載の発明の効果も発揮しながら、防舷材の浮力体としての機能を高めることが可能である。
本発明の請求項3に記載の防舷材によれば、防舷材の浮力体としての機能を高めるという請求項2の発明の効果に加えて、請求項1に記載の発明と同様に部分的に剛性を高くすることが可能であり、例えば、防舷材の上面に銃座等を安定して設置することができる。
本発明の請求項4に記載の防舷材によれば、防舷材を構成する素材の嵩密度を変更することなく、剛性を調節することができる。この場合、材料費が変わらず、凹条部の加工費も安いため、製造コストの削減を図ることができる。
本発明の請求項5に記載の防舷材によれば、所定の方向から加えられる外力に対応するように、凸条部の配置方向に沿って部分的に剛性を高めることができる。
本発明の請求項6に記載の発明によれば、耐久性及び抗堪性に優れた船舶を安価に製造することが可能である。また、船舶の用途や構造に従って固体緩衝材の柔軟性に分布を持たせることが可能であり、部分的に剛性を高めたり弱めたりすることで、船舶の設計の多様化を容易かつ安価にすることが可能である。
本発明の防舷材は、通常は他の船舶に搭載された状態にあり,緊急時には洋上に降下されて救難や輸送等の作業を行う小型船舶(以下、搭載艇という。)に用いられるものである。このような搭載艇としては、例えば、複合艇が一般に知られている。複合艇は、船体が繊維強化プラスチック(以下、FRPという。)や軽合金等で構成されており、軽量であることから、母船からの降下や揚収が容易である。また、同じ軽量構造のゴムボートと比べると、構造強度や操縦性などの「ふね」としての性能が格段に優れている。そのため、複合艇は、近年、巡視艇等の搭載艇として多用されている。
巡視艇に搭載される複合艇は、違法行為の疑いのある、いわゆる「不審船」に強行接舷したり、「不審船」から銃撃を受けたりする可能性がある。そこで、このような複合艇に用いられる防舷材には、岸壁等に衝突した際の衝撃力の吸収、海水の艇内への打ち込みの防止、船体への予備浮力の付与という基本的な機能に加え、「不審船」との衝突に耐えうる強度と、被弾に対する抗堪性及び耐久性が要求される。
以下、複合艇を例にとって、本発明の実施例について具体的に説明する。
以下、複合艇を例にとって、本発明の実施例について具体的に説明する。
実施例1の防舷材とそれを備えた複合艇の構造について図1乃至図4を用いて説明する(特に、請求項1及び請求項6に対応)。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例1の側面図及び平面図であり、図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1(b)のX−X線矢視断面及びA方向矢視側面の拡大図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、複合艇1は、FRP製の船体2において、周縁部となる船側部2bに船首端2aから船尾端2cにかけて防舷材3aが設置され、船尾端2cに船外機(図示せず)が設置された構造となっている。すなわち、複合艇1においては、船外機との干渉を避け、また、船内に打ち込まれた海水を後方へ排出することを目的として、船尾端2c以外の箇所に防舷材3aが設置されている。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例1の側面図及び平面図であり、図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1(b)のX−X線矢視断面及びA方向矢視側面の拡大図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、複合艇1は、FRP製の船体2において、周縁部となる船側部2bに船首端2aから船尾端2cにかけて防舷材3aが設置され、船尾端2cに船外機(図示せず)が設置された構造となっている。すなわち、複合艇1においては、船外機との干渉を避け、また、船内に打ち込まれた海水を後方へ排出することを目的として、船尾端2c以外の箇所に防舷材3aが設置されている。
図2(a)に示すように、船体2は船側外板に相当する部分がない滑走型の船型を備えており、その断面は幅が広く深さが深い三角形状をなしている。また、船体2は、船底外板2d,甲板2e及びブルワーク2fによって構成されており、甲板2eとブルワーク2fの間には、ブルワーク2fを支持するブルワークステイ2gが設置されている。さらに、ブルワーク2fの外側には、防舷材3aが設置されている。そして、防舷材3aは、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、スチレン系又はポリウレタン系等からなり,発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体9a,9bが接合された略半円柱状の固体緩衝材4と,固体緩衝材4の表面を覆うゴムシート製の被覆材5によって構成されている。このように、被覆材5によって固体緩衝材4は機械的な損傷や紫外線による劣化等から保護されている。なお、本実施例では、特に、合成樹脂発泡体9aの表面を覆うように設置される合成樹脂発泡体9bとして、合成樹脂発泡体9aよりも発泡倍率の低いものを使用している。
さらに、固体緩衝材4の接合面4aは、接着剤によりブルワーク2fに接合されており、被覆材5の上端及び下端はそれぞれボルト(図示せず)を用いてブルワーク2fに固定されている。そして、防舷材3aは、図2(b)に示すように複数の固体緩衝材4が被覆材5を介して連結された構造になっている。
さらに、固体緩衝材4の接合面4aは、接着剤によりブルワーク2fに接合されており、被覆材5の上端及び下端はそれぞれボルト(図示せず)を用いてブルワーク2fに固定されている。そして、防舷材3aは、図2(b)に示すように複数の固体緩衝材4が被覆材5を介して連結された構造になっている。
固体緩衝材4の嵩密度は、概ね0.023g/cm3〜0.08g/cm3である。すなわち、本実施例の防舷材3aにおいては、固体緩衝材4の嵩密度が海水の密度よりも小さいため、船体2に予備浮力を与えて復元力を確保するという作用を有する。なお、固体緩衝材4の嵩密度が0.08g/cm3よりも大きい場合、接岸時や他の船舶との衝突時における反発力が増大し、船体2に加わる衝撃や振動が大きくなる。また、固体緩衝材4の嵩密度が0.023g/cm3よりも小さい場合、緩衝性が低下するため、岸壁や他の船舶からの衝撃や振動が十分に吸収されない。
前述したように、エアチューブ製の防舷材では、空気の漏出により、緩衝材や浮力体としての機能が著しく低下する。特に、エアチューブ製の防舷材は、一か所が破損しただけでも全体が使用不能となるなど、被弾等に対する抗堪性が低い。また、エアチューブ製の防舷材では、空気の漏出が恒常的に発生する。これに対し、本発明の防舷材3aは、合成樹脂発泡体9a,9bからなる固体緩衝材4によって構成されているため、部分的な破損が発生しても全体の機能には影響しない。従って、被弾に対する抗堪性あるいは耐刃性が高い。また、合成樹脂発泡体9a,9bからなる固体緩衝材4では、エアチューブ製のものと異なり、空気の漏出に伴う経時的な機能低下という現象が起こり得ない。従って、防舷材3aは、エアチューブ製の防舷材よりも耐久性が優れている。さらに、防舷材3aは、一部が破損した場合、その破損箇所が含まれる固体緩衝材4のみを交換することですぐに使用可能な状態となる。すなわち、本発明の防舷材3aでは、修理に要する時間や費用が削減される。
また、合成樹脂発泡体9bの発泡倍率が合成樹脂発泡体9aの発泡倍率よりも高いため、固体緩衝材4の外部(合成樹脂発泡体9b)は内部(合成樹脂発泡体9a)に比べて柔らかいという作用を有する。この場合、海面に落下して救助を受けている人が誤って防舷材3aに接触したとしても怪我をし難いため、安全である。なお、本発明の防舷材は、このような構造に限らず、適宜変更可能である。例えば、3種類以上の合成樹脂発泡体によって固体緩衝材4を構成しても良い。また、乗員が乗船や下船の際に通行する可能性のある箇所について、固体緩衝材4の剛性を部分的に高めた構造とすることもできる。すなわち、合成樹脂発泡体9bに合成樹脂発泡体9aよりも発泡倍率の低いものを使用することによれば、固体緩衝材4の外部が内部よりも硬くなるため、乗員が体重をかけた場合でも変形し難くなり、乗船時や下船時の安全性が高まる。
なお、本実施例においては、図2(a)にその断面が示されるとおり、合成樹脂発泡体9aと合成樹脂発泡体9bを略半円柱状あるいは略半円筒状に形成しているが、発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体としては、このような配置とすることに限定するものではなく、また、長手方向に発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体を組み合わせて配置してもよい。このように発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体を固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。
また、合成樹脂発泡体9bの発泡倍率が合成樹脂発泡体9aの発泡倍率よりも高いため、固体緩衝材4の外部(合成樹脂発泡体9b)は内部(合成樹脂発泡体9a)に比べて柔らかいという作用を有する。この場合、海面に落下して救助を受けている人が誤って防舷材3aに接触したとしても怪我をし難いため、安全である。なお、本発明の防舷材は、このような構造に限らず、適宜変更可能である。例えば、3種類以上の合成樹脂発泡体によって固体緩衝材4を構成しても良い。また、乗員が乗船や下船の際に通行する可能性のある箇所について、固体緩衝材4の剛性を部分的に高めた構造とすることもできる。すなわち、合成樹脂発泡体9bに合成樹脂発泡体9aよりも発泡倍率の低いものを使用することによれば、固体緩衝材4の外部が内部よりも硬くなるため、乗員が体重をかけた場合でも変形し難くなり、乗船時や下船時の安全性が高まる。
なお、本実施例においては、図2(a)にその断面が示されるとおり、合成樹脂発泡体9aと合成樹脂発泡体9bを略半円柱状あるいは略半円筒状に形成しているが、発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体としては、このような配置とすることに限定するものではなく、また、長手方向に発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体を組み合わせて配置してもよい。このように発泡倍率の異なる2種類の合成樹脂発泡体を固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。
実施例2の防舷材とそれを備えた複合艇の構造について図3及び図4を用いて説明する(特に、請求項4及び請求項6に対応)。
図3(a)及び図3(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例2の断面図であり、図4(a)及び図4(b)は本実施例の防舷材の変形例を示す図である。なお、図3及び図4はいずれも図2(a)に対応する。また、図1又は図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施例の防舷材3bは、実施例1の防舷材3aにおいて、固体緩衝材4を合成樹脂発泡体9bのみによって形成するとともに、固体緩衝材4の接合面4aに船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って凹条部6aが形成されたことを特徴とする。なお、図3には、1種類の合成樹脂発泡体9bのみからなる固体緩衝材4を示しているが、本発明の防舷材の構造は、これに限らず、例えば、固体緩衝材4が2種類以上の合成樹脂発泡体によって形成されるものであっても良い。
図3(a)及び図3(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例2の断面図であり、図4(a)及び図4(b)は本実施例の防舷材の変形例を示す図である。なお、図3及び図4はいずれも図2(a)に対応する。また、図1又は図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施例の防舷材3bは、実施例1の防舷材3aにおいて、固体緩衝材4を合成樹脂発泡体9bのみによって形成するとともに、固体緩衝材4の接合面4aに船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って凹条部6aが形成されたことを特徴とする。なお、図3には、1種類の合成樹脂発泡体9bのみからなる固体緩衝材4を示しているが、本発明の防舷材の構造は、これに限らず、例えば、固体緩衝材4が2種類以上の合成樹脂発泡体によって形成されるものであっても良い。
このような構造によれば、船体2に設置された状態で防舷材3bに外力が加えられた場合、その外力は固体緩衝材4の変形に伴って吸収される。このとき、固体緩衝材4は接合面4aに凹条部6aが形成されていることで、容易に変形する。すなわち、凹条部6aによって固体緩衝材4の柔軟性が高まるという作用を有する。
一般に、巡視艇に搭載される複合艇1では、「不審船」等に強行接舷する可能性があるため、船首端2aに対して、船側部2bに設置されるものよりも硬い防舷材を設置することが望ましい。そこで、従来、設置箇所に応じて嵩密度の異なる防舷材を使用していた。しかしながら、この方法では、材料費が嵩み、複合艇1の製造コストが高くなってしまう。これに対し、防舷材3bにおいては、固体緩衝材4の嵩密度が同一であっても、図3(a)及び図3(b)に示すように接合面4aに大きさの異なる凹条部6aを形成した場合、両者の柔軟性に差が生じる。従って、固体緩衝材4の嵩密度を変更することなく、防舷材3bの剛性を調節することが可能である。また、この場合、材料費が変わらず、凹条部6aの加工費も安いため、製造コストの削減を図ることが可能である。
本発明の防舷材は、本実施例に示した構造に限定されるものではない。例えば、図4(a)に示すように固体緩衝材4の下部にのみ凹条部6aを設けて、防舷材3bの上部が下部よりも硬くなるような構造とすることもできる。また、この他にも凹条部6aに分布を形成させることで防舷材3bの剛性に分布を形成させることが可能である。なお、この分布とは、図4(a)に示される断面、すなわち、略半円柱状あるいは略半円筒状に形成される固体緩衝材4の径方向における分布の他にも固体緩衝材4の長手方向においてその凹条部6aの形状が変化するような分布をさせてもよい。このように固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。また、固体緩衝材4が2種類以上の合成樹脂発泡体で構成される場合は、剛性の大きな分布を合成樹脂発泡体によって形成させ、剛性の細部の分布を凹条部6aで形成させることができる。
さらに、防舷材3bを略半円柱状とせずに、図4(b)に示すように防舷材3bの上部が下部よりも厚くなるような構造としても良い。すなわち、固体緩衝材4は半円柱状に限らず、角柱状やブロック状あるいは棒状であっても良い。
さらに、凹条部6aの断面形状や本数は図2乃至図4に示した場合に限らず、適宜変更可能である。また、被覆材5には、ゴム以外に、ウレタン樹やガラス繊維強化樹脂を用いることもできる。そして、防舷材3bは、図4(b)に示した場合に限らず、高さ方向に厚み分布を持った構造であっても良い。なお、図4(a)及び図4(b)に示した構造は、上部に外力が加わる可能性の高い箇所の防舷材3に対して有効である。
さらに、防舷材3bを略半円柱状とせずに、図4(b)に示すように防舷材3bの上部が下部よりも厚くなるような構造としても良い。すなわち、固体緩衝材4は半円柱状に限らず、角柱状やブロック状あるいは棒状であっても良い。
さらに、凹条部6aの断面形状や本数は図2乃至図4に示した場合に限らず、適宜変更可能である。また、被覆材5には、ゴム以外に、ウレタン樹やガラス繊維強化樹脂を用いることもできる。そして、防舷材3bは、図4(b)に示した場合に限らず、高さ方向に厚み分布を持った構造であっても良い。なお、図4(a)及び図4(b)に示した構造は、上部に外力が加わる可能性の高い箇所の防舷材3に対して有効である。
実施例3の防舷材とそれを備えた複合艇の構造について図5を用いて説明する(特に、請求項5及び請求項6に対応)。
図5(a)及び図5(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例3の断面図である。なお、図5(a)及び図5(b)はいずれも図2(a)に対応するため、図1及び図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施例の防舷材3cは、実施例2の防舷材3bにおいて、凹条部6aの内壁面に船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って凸条部6bが形成されたことを特徴とする。なお、凸条部6bの断面形状や本数は図5に示した場合に限らず、適宜変更可能である。
図5(a)及び図5(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇の実施例3の断面図である。なお、図5(a)及び図5(b)はいずれも図2(a)に対応するため、図1及び図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、本実施例の防舷材3cは、実施例2の防舷材3bにおいて、凹条部6aの内壁面に船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って凸条部6bが形成されたことを特徴とする。なお、凸条部6bの断面形状や本数は図5に示した場合に限らず、適宜変更可能である。
このような構造によれば、凸条部6bが突出する方向に対して固体緩衝材4の剛性が高くなるという作用を有する。これにより、防舷材3cに所定の方向から加えられる外力に対応するように、防舷材3cの周方向に沿って部分的に剛性を高めることが可能となる。すなわち、凹条部6aと凸条部6bを組み合わせて分布を形成させることで防舷材3cの剛性に分布を形成させることが可能である。この分布は、実施例2で説明したとおり、略半円柱状あるいは略半円筒状に形成される固体緩衝材4の径方向における分布の他にも固体緩衝材4の長手方向において凸条部6bの形状が変化するように分布させてもよい。このように固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。
もちろん、凸条部6bを設ける場合でも、合成樹脂発泡体は1種類のみならず、2種類以上で構成されてもよい。このような場合には、剛性の大きな分布を合成樹脂発泡体によって形成させ、剛性の細部の分布を凹条部6aと凸条部6bの組合せで形成させることができる。
もちろん、凸条部6bを設ける場合でも、合成樹脂発泡体は1種類のみならず、2種類以上で構成されてもよい。このような場合には、剛性の大きな分布を合成樹脂発泡体によって形成させ、剛性の細部の分布を凹条部6aと凸条部6bの組合せで形成させることができる。
実施例4の防舷材とそれを備えた複合艇の構造について図6を用いて説明する(特に、請求項2及び請求項6に対応)。
図6(a)及び図6(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇1の実施例4の断面図である。なお、図6(a)及び図6(b)は実施例1の図2(a)に対応するため、図1及び図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施例の防舷材3dは、実施例1の防舷材3aにおいて、合成樹脂発泡体を1種類とするとともに、船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って空洞部6cが形成されたことを特徴とする。なお、空洞部6cは、単独で固体緩衝材4に形成されていても良いし、図6(b)に示すように実施例2で説明した凹条部6aとともに形成されていても良い。また、実施例3で説明した凸条部6bとともに形成されていても良い。さらに、合成樹脂発泡体は1種類に限らず、2種類以上であっても良い。
図6(a)及び図6(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇1の実施例4の断面図である。なお、図6(a)及び図6(b)は実施例1の図2(a)に対応するため、図1及び図2に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施例の防舷材3dは、実施例1の防舷材3aにおいて、合成樹脂発泡体を1種類とするとともに、船体2の船側部2b(図1(b)参照)に沿って空洞部6cが形成されたことを特徴とする。なお、空洞部6cは、単独で固体緩衝材4に形成されていても良いし、図6(b)に示すように実施例2で説明した凹条部6aとともに形成されていても良い。また、実施例3で説明した凸条部6bとともに形成されていても良い。さらに、合成樹脂発泡体は1種類に限らず、2種類以上であっても良い。
上記構造の防舷材3dにおいては、空洞部6cによって固体緩衝材4の柔軟性が高まるため、変形し易くなる。また、被覆材5によって空洞部6cの内部に空気が密封されるため、固体緩衝材4の嵩密度が小さくなる。これにより、防舷材3dの浮力体としての機能が高まる。
また、この他にも空洞部6cに分布を形成させることで防舷材3dの剛性に分布を形成させることが可能である。なお、この分布とは、略半円柱状あるいは略半円筒状に形成される固体緩衝材4の径方向における分布の他にも固体緩衝材4の長手方向において空洞部6cの体積や嵩密度が変化するような分布をさせてもよい。このように固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。また、固体緩衝材4が2種類以上の合成樹脂発泡体で構成される場合は、剛性の大きな分布を合成樹脂発泡体によって形成させ、剛性の細部の分布を空洞部6cで形成させることができる。また、凹条部6aや凸条部6bとともに形成される場合もこれらを組み合わせることで、多様で複雑な剛性分布を構成させることが可能である。
また、この他にも空洞部6cに分布を形成させることで防舷材3dの剛性に分布を形成させることが可能である。なお、この分布とは、略半円柱状あるいは略半円筒状に形成される固体緩衝材4の径方向における分布の他にも固体緩衝材4の長手方向において空洞部6cの体積や嵩密度が変化するような分布をさせてもよい。このように固体緩衝材4の内部で分布させることによって、固体緩衝材4に望まれる機能や用途に応じた剛性の分布を形成させることができる。また、固体緩衝材4が2種類以上の合成樹脂発泡体で構成される場合は、剛性の大きな分布を合成樹脂発泡体によって形成させ、剛性の細部の分布を空洞部6cで形成させることができる。また、凹条部6aや凸条部6bとともに形成される場合もこれらを組み合わせることで、多様で複雑な剛性分布を構成させることが可能である。
実施例5の防舷材とそれを備えた複合艇の構造について図7を用いて説明する(特に、請求項3及び請求項6に対応)。
図7(a)及び図7(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇1の実施例5の断面図である。なお、図7(a)及び図7(b)は実施例1の図2(a)に対応する。また、図1乃至図6に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施例の防舷材3eは、実施例4の防舷材3dにおいて、固体緩衝材4に形成された空洞部6cの少なくとも一部に補強部材7が埋設されたことを特徴とする。なお、補強部材7には、固体緩衝材4よりも剛性の高いFRPあるいは金属からなる板やブロックを用いるものとする。
図7(a)及び図7(b)は本発明の実施の形態に係る防舷材を備えた複合艇1の実施例5の断面図である。なお、図7(a)及び図7(b)は実施例1の図2(a)に対応する。また、図1乃至図6に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施例の防舷材3eは、実施例4の防舷材3dにおいて、固体緩衝材4に形成された空洞部6cの少なくとも一部に補強部材7が埋設されたことを特徴とする。なお、補強部材7には、固体緩衝材4よりも剛性の高いFRPあるいは金属からなる板やブロックを用いるものとする。
このような構造の防舷材3eにおいては、補強部材7が埋設された箇所の剛性が高くなるという作用を有する。特に、図7に示すように防舷材3eの上部の剛性を高くすることによれば、防舷材3eの上面に銃座を安定して設置することが可能となる。また、図7(b)に示すように、補強部材7が埋設された空洞部6cに連通する固定穴8を設けることによれば、補強部材7の上面に連結可能に下端が形成された棒状の銃座固定用治具を固定穴8に挿設することで、防舷材3eの上面に銃座を確実に固定することができる。
図7(a)では、防舷材3dの上部にのみ補強部材7を埋設しているが、このような構造に限らず、上部以外の箇所に埋設しても良いし、空洞部6c全体に埋設しても良い。また、補強部材7の材質も金属やFRPに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図7(a)に示されるような空洞部6cを長手方向へ連続して設け、補強部材7をその空洞部6cへ嵌めこむように設けるということは、補強部材7の長さを短くしたり長くしたり調整することができるので、固体緩衝材4の長手方向における剛性分布を形成することも可能である。さらに、一旦埋設された補強部材7を取り出したり、空洞部6cの内部で移動させることも可能であるので、剛性の調整や補修などを行う際には有効である。
図7(a)に示されるような空洞部6cを長手方向へ連続して設け、補強部材7をその空洞部6cへ嵌めこむように設けるということは、補強部材7の長さを短くしたり長くしたり調整することができるので、固体緩衝材4の長手方向における剛性分布を形成することも可能である。さらに、一旦埋設された補強部材7を取り出したり、空洞部6cの内部で移動させることも可能であるので、剛性の調整や補修などを行う際には有効である。
以上説明したように、本発明の複合艇においては、防舷材の寿命が長く、また、被弾した場合でも防舷材の機能が維持されるため、耐久性及び抗堪性に優れている。また、長さ方向(船体の周縁部に沿う方向)や厚さ方向(船体の幅方向)あるいは高さ方向に対して、防舷材の剛性を部分的に高める、すなわち防舷材の剛性に分布を持たせるような設計をすることができる。すなわち、本発明の複合艇は、船体の機能や用途に応じた設計とすべく自由度が大きい。従って、製造コストの削減や付加価値の向上を容易に図ることが可能である。
本発明の請求項1乃至請求項6に記載された発明は、高速救難艇や巡視艇の搭載艇に限らず、漁船や作業船あるいはプレジャーボート等の小型船舶に対しても適用可能である。
1…複合艇 2…船体 2a…船首端 2b…船側部 2c…船尾端 2d…船底外板 2e…甲板 2f…ブルワーク 2g…ブルワークステイ 3a〜3e…防舷材 4…固体緩衝材 4a…接合面 5…被覆材 6a…凹条部 6b…凸条部 6c…空洞部 7…補強部材 8…固定穴 9a,9b…合成樹脂発泡体
Claims (6)
- 船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、
合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、
この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、
を備え、
前記固体緩衝材は、発泡倍率の異なる少なくとも2種以上の合成樹脂発泡体からなり、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とする防舷材。 - 船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、
合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、
この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、
を備え、
前記固体緩衝材は、前記船体の前記周縁部に沿って空洞部が形成され、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とする防舷材。 - 前記固体緩衝材は、前記空洞部の少なくとも一部に補強部材が埋設されたことを特徴とする請求項2記載の防舷材。
- 船体の周縁部に沿って設置される防舷材において、
合成樹脂発泡体からなる柱状の固体緩衝材と、
この固体緩衝材の表面を覆う被覆材と、
を備え、
前記固体緩衝材の側部に前記船体の前記周縁部に沿って凹条部が形成され、嵩密度が海水の密度よりも小さいことを特徴とする防舷材。 - 前記固体緩衝材は、前記凹条部の内壁面に前記船体の前記周縁部に沿って凸条部が形成されたことを特徴とする請求項4記載の防舷材。
- 船首端から船尾端にかけて請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の防舷材が船側部に設置されたことを特徴とする船舶。
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- 2010-05-25 JP JP2010119694A patent/JP2011245945A/ja active Pending
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