JP4259730B2 - 防舷施設用保護材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂,樹脂とゴムとの混合物等の高分子材料により構成した防舷施設用保護材に係わり、更に詳しくは耐摩耗性に優れ、保護ブロックの装着や交換が容易で、更に船体の側面を汚すことがない防舷施設用保護材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、防舷施設用保護材として、例えば、図10に示すように、空気式防舷材1の外周面に、古いタイヤ3を編み込んだチェーンネット2を被嵌させて保護する構成、ワイヤ、またはロープにゴムスリーブを通して編み込んで構成したネットを被せたもの、更に防舷材本体の表面を繊維で補強したゴムシートで覆ったもの等が知られている。
【0003】
更に、船舶の接岸時に舷側を保護し、また同時に岸壁,あるいは構造物を保護する場合には、多数の古いタイヤを岸壁から吊り下げている。
【0004】
そして、上記の防舷施設用保護材(古いタイヤ)は、殆どの場合タイヤの側面が船体の側面に直接接触するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、車両用タイヤとして製作されたタイヤのサイド部(側面)は、トレッド部と異なり、肉厚が薄く、かつ耐摩耗等の強度が劣るものであり、更に船側に接触して擦られると、特に船側が白い船舶の場合には、カーボンが混入されている黒いゴム状弾性体の材料が船側に付着し、船側を汚す等の問題があった。
【0006】
そのため、タイヤ表面に景観に合った種々の色ゴムを貼ったり、着色タイヤを製作することも考えられるが、防舷施設用保護材として製作するには、コストアップとなる問題があり、更にチェーンネットに取付けられているタイヤの一部が破損した場合に、その一部を使用現場で交換することは難しいと言う問題があった。
【0007】
この発明の目的は、保護ブロックが船舶との接触摩耗によって船体の側面を汚すことがなく、また製作が容易で安価に製造でき、更に使用現場で交換することも容易である防舷施設用保護材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、この発明の第1の防舷施設用保護材は、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記保護ブロックの表面、または/及び裏面に、連結穴と略平行な凹凸部を形成したことを要旨とするものである。
また、この発明の他の防舷施設用保護材は、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記複数の保護ブロックの相対向する側縁部に形成した連結穴に紐状材をそれぞれ挿通して、格子縞状のモザイクに保護ブロックを編み込んでネット状に構成したことを要旨とするものである。
【0009】
前記保護ブロックは、ポリエチレン樹脂等の材料で押出し成形により略方形状に形成し、側縁部近傍に1以上の連結穴を設けたもので、更に一方向の断面形状が全ての断面で略同形同寸法である。
【0011】
前記防舷材に被嵌する防舷施設用保護材は、保護ブロックを連結する長手方向の紐状材の端末部近傍を周方向の紐状材で束ねて構成し、この防舷施設用保護材を、空気式防舷材やフォーム式防舷材に被嵌することも可能である。
【0012】
また、前記防舷施設用保護材は、岸壁に取付けたり、橋脚の船舶が接触する部位に設けた緩衝材の表面に取付けて使用することが出来、幅広い用途に利用出来るものである。
【0013】
この発明は、上記のように構成され、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記保護ブロックの表面、または/及び裏面に、連結穴と略平行な凹凸部を形成したり、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記複数の保護ブロックの相対向する側縁部に形成した連結穴に紐状材をそれぞれ挿通して、格子縞状のモザイクに保護ブロックを編み込んでネット状に構成したので、耐摩耗性に富み、保護ブロックが船舶との接触摩耗により、船体の側面を汚すことがない。また製作が容易で安価に製造でき、景観に合った種々の色に着色して使用することが出来る。更に使用現場で交換することも容易であり、耐久性を向上させることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0015】
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
【0016】
図1は、この発明の第1実施形態を示す空気式防舷材1にネット状の防舷施設用保護材Aを被せた正面図、図2は図1の側面図を示し、前記ネット状の保護ブロック10は、空気式防舷材1の外周面に格子縞状に配設されている。
【0017】
また前記保護ブロック10は、ポリエチレン樹脂,ゴム材料,またはこれらの混合物等の高分子材料を使用して、押出し成形により、図3に示すように略方形状の板状に成形され、この保護ブロック10の相対向する側縁部近傍には、ロープ等の紐状材12を挿通させる少なくとも1本以上(この実施形態では2本)の連結用の連結穴13a,13bが形成されている。
【0018】
また、この保護ブロック10は、接舷する船舶の船側の色と同系色、または防舷材の使用場所の景観にマッチした色を着色した樹脂材料から成るものである。
【0019】
前記保護ブロック10の表裏面には、連結穴13a,13bと略平行な凹凸部14がを形成してあり、この断面形状は、保護ブロック10の軽量化を目的として形成され、一方向の断面形状が全ての断面で略同形同寸法となるように形成されている。
【0020】
なお保護ブロック10の表裏面に形成する凹凸部14の形状は、図3に示すような形態に限定されず、例えば、図5(a),(b),(c)に示すように、表裏面が非対称形状にしたり、片側のみに凹凸部14を形成したり、更に片側の中央部のみに凸部14aを形成することも可能である。また、連結穴13a,13bの形状も円形状に限定されず、偏平状または楕円状に形成することも可能である。
【0021】
そして、上記のような保護ブロック10に、ロープ等の紐状材12を通して図1に示すようなネット状に構成する場合には、図4に示すように、複数の保護ブロック10の相対向する側縁部に形成した連結穴13a,13bに紐状材12をそれぞれ挿通し、保護ブロック10を格子縞状のモザイクに配置して、ネット状の防舷施設用保護材Aを構成する。
【0022】
更に、前記ネット状に構成した防舷施設用保護材Aは、保護ブロック10を連結する長手方向の紐状材12の端末部近傍を、図2に示すように、周方向の紐状材15で巾着風に束ねることで、防舷施設用保護材Aを空気式防舷材1の外周面に取付けることができる。
【0023】
そして、空気式防舷材1を吊すチェーン18は、空気式防舷材1の端部中心位置に設けた口金16に取付けられたチェーン接続金具17にシャックルで取付け、従来のように、タイヤを取付けたネットには取付けないで良いので、紐状部材12には、殆ど力を作用させないことができ、従って比較的細いロープを紐状部材とすることが出来る。
【0024】
また、この実施形態では、空気式防舷材1に防舷施設用保護材Aを被嵌させる場合を説明したが、フォーム式防舷材に被嵌することも可能である。
【0025】
図6は、この発明の第2実施形態を示し、この実施形態は、岸壁Gにチェーン18を介して取付けられた丸型防舷材1aの外周面に、上記のネット状に構成した防舷施設用保護材を取付けたものである。
【0026】
また、図7はこの発明の第3実施形態を示し、この実施形態は、岸壁Gに取付けられたアーチ型防舷材1bの表面にネット状に構成した防舷施設用保護材を取付けたものである。
【0027】
また、図8はこの発明の第4実施形態を示し、この実施形態は、岸壁Gに取付けられたセル型防舷材1cの表面にネット状に構成した防舷施設用保護材を取付けたものである。
【0028】
更に、図9はこの発明の第5実施形態を示し、この実施形態は、橋脚19の船舶が接触する部位に設けた緩衝材20の表面に、ネット状に構成した防舷施設用保護材を取付けたものである。
【0029】
以上のように、この発明の実施形態では、保護ブロック10を、ポリエチレン樹脂,ゴム材料,またはこれらの混合物等の高分子材料を使用して、押出し成形により一体的に製造し、この保護ブロック10を、任意の配置でネット状に構成して、上述したように、空気式防舷材1や、丸型防舷材1a,アーチ型防舷材1b,セル型防舷材1cの表面及び橋脚19の船舶が接触する部位に設けた緩衝材20の表面に取付けることで、耐摩耗性に富み、保護ブロックが船舶との接触摩耗により船体の側面を汚すことがなく、また製作が容易で安価に製造でき、景観に合った種々の色に着色して使用することが出来るものである。更に使用現場で保護ブロック10を交換することも容易であり、耐久性を向上させることが出来るものである。
【0030】
【発明の効果】
この発明は上記のように、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記保護ブロックの表面、または/及び裏面に、連結穴と略平行な凹凸部を形成したり、高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記保護ブロックの表面、または/及び裏面に、連結穴と略平行な凹凸部を形成し、空気式防舷材、フォーム式防舷材、丸型防舷材,アーチ型防舷材,セル型防舷材及び橋脚の船舶が接触する部位に設けた緩衝材の表面等に取付けて使用することで、以下のような優れた効果を奏するものである。
(1).保護ブロックを、樹脂材料,ゴム材料,またはこれらの混合物等の高分子材料を使用して製造するので、保護ブロックが船舶との接触摩耗により船体の側面を汚すことがなく、景観に合った種々の色に着色して使用することが出来る。従って、従来のように古タイヤに着色したり、色ゴムを貼ったりするものに比べ、安価に製造することが出来る。
(2).保護ブロックは、耐摩耗性を有する材料を使用するので、寿命を伸ばすことが出来る。
(3).保護ブロックは、単に貫通穴に軸方向紐状材を挿通させて編み込まれ、軸方向紐状材の端末部は、周方向紐状材で束ねられているだけなので、製作、及び防舷材への取付けが容易であり、作業性を向上させることが出来る。
(4).保護ブロックが、摩耗, または破損しても、故障した保護ブロックだけをその使用現場で容易に交換することが可能である。
(5).保護ブロックが樹脂材料で、紐状材が繊維ロープを使用する場合には、軽量で取り扱いが極めて容易となる。
(6).保護ブロックの摩擦係数が低いことから、接岸時の船舶との摩擦を緩和でき、固定式防舷材同様の応力緩和の効果を得ることが出来ることから、その代替品として使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示し、空気式防舷材に防舷施設用保護材を被せた正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】保護ブロックの斜視図である。
【図4】保護ブロックの連結状態を示す側面図である。
【図5】(a),(b),(c)は、保護ブロックの断面形状の各実施例を示す説明図である。
【図6】この発明の第2実施形態を示す丸型防舷材の外周面に、防舷施設用保護材を取付けた側面図である。
【図7】この発明の第3実施形態を示すアーチ型防舷材の表面に、防舷施設用保護材を取付けた側面図である。
【図8】この発明の第4実施形態を示すセル型防舷材の表面に、防舷施設用保護材を取付けた側面図である。
【図9】この発明の第5実施形態を示す橋脚の船舶が接触する部位に設けた緩衝材の表面に、防舷施設用保護材を取付けた斜視図である。
【図10】従来のチェーンネットを取付けた空気式防舷材の一部斜視図である。
【符号の説明】
1 空気式防舷材 2 チェーンネット
3 古いタイヤ
10 保護ブロック
12 ロープ等の紐状材
13a,13b 連結穴
14 凹凸部 14a 片側の中央部
15 周方向の紐状材 16 口金
17 チェーン接続金具 18 チェーン
19 橋脚 20 緩衝材
G 岸壁 1b アーチ型防舷材
1c セル型防舷材
Claims (12)
- 高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記保護ブロックの表面、または/及び裏面に、連結穴と略平行な凹凸部を形成して成る防舷施設用保護材。
- 高分子材料から成る板状の複数の保護ブロックを紐状材により連結してネット状に構成し、前記複数の保護ブロックの相対向する側縁部に形成した連結穴に紐状材をそれぞれ挿通して、格子縞状のモザイクに保護ブロックを編み込んでネット状に構成して成る防舷施設用保護材。
- 前記保護ブロックが略方形状であり、側縁部近傍に1以上の連結穴がある請求項1または2に記載の防舷施設用保護材。
- 前記保護ブロックが、一方向の断面形状が全ての断面で略同形同寸法である請求項1,2または3に記載の防舷施設用保護材。
- 前記複数の保護ブロックの相対向する側縁部に形成した連結穴に紐状材をそれぞれ挿通して、格子縞状のモザイクに保護ブロックを編み込んでネット状に構成して成る請求項1に記載の防舷施設用保護材。
- 前記保護ブロックが略方形状であり、側縁部近傍に1以上の連結穴がある請求項5に記載の防舷施設用保護材。
- 前記保護ブロックが、一方向の断面形状が全ての断面で略同形同寸法である請求項5または6に記載の防舷施設用保護材。
- 防舷材に被嵌する防舷施設用保護材であって、保護ブロックを連結する長手方向の紐状材の端末部近傍を周方向の紐状材で束ねて構成した請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の防舷施設用保護材。
- 前記防舷施設用保護材が、空気式防舷材を被嵌するものである請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の防舷施設用保護材。
- 前記防舷施設用保護材が、フォーム式防舷材を被嵌するものである請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の防舷施設用保護材。
- 前記防舷施設用保護材が、岸壁に取付けるものである請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の防舷施設用保護材。
- 前記防舷施設用保護材が、橋脚の船舶が接触する恐れのある部位に取付けるものである請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の防舷施設用保護材。
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