JP6523946B2 - 動力伝達機構 - Google Patents
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Description
従来のような左右分配式の動力伝達機構を採用するコンバインにおいては、機体下部中央に前記部品が大きく張り出すため、機体の最低地上高が低くなってしまうという点において改良の余地があった。また、左右分配式の動力伝達機構は、コンバインの旋回時の動力の伝達ロスが大きく、滑らかな旋回の点において改良の余地があった。
特に、自脱式のコンバインのような作業機の場合は、条刈り時の直進性が重要であるため、左右独立方式の動力伝達機構の採用が困難であった。
切替機構は、操向操作具が旋回操作されたときは、差動機構の駆動を許容する許容状態に切り替えられるので、差動機構は回転数差により駆動する。すなわち、回転数差は、差動機構により吸収される。
一方、切替機構は、操向操作具が旋回操作されていないときは、差動機構の駆動を制動する制動状態に切り替えられるので、差動機構は回転数差があっても駆動しない。このとき、回転数差は差動機構により吸収されずに、第一油圧モータ側及び第二油圧モータ側において吸収される。つまり、差動機構により第一出力軸と第二出力軸との回転差がなくなるため、直進性が確保される。
このように差動機構を上手く活用して、旋回時の旋回性に影響をあたえることなく直進時の直進性が確保される。
このように、第一出力軸と第二出力軸とに回転数差によるポンプ機構の動きを規制したり、許容したりすることで、直進性の確保と旋回性の確保をすることができる。
そこで、ポンプ機構を、リングギヤの回転方向に応じて吸込側と吐出側とを入れ替え可能な回転ポンプから構成する。これにより、ポンプ機構はリングギヤがどちらの方向に回転したとしても駆動することができる。
このとき、第一サイドギヤ及び第二サイドギヤは同一回転数で逆方向に回転し、ピニオンギヤはギヤケースに対して空回りするため、リングギヤは回転しない。したがって、差動機構は動力を出力しないため、ポンプ機構は駆動しない。
一方、第一伝動軸と第二伝動軸とに回転数差があるときは、回転数差に応じてリングギヤは回転する。このリングギヤの回転により回転ポンプが駆動する。
このように、第一サイドギヤと第二サイドギヤとに伝達させる回転の向きを調整することで、差動機構を左右の出力軸に回転差があるときのみ駆動するように構成できる。
しかし、機械的接続機構は、接続する状態と接続しない状態との切替時にショックが発生する場合があり、また接続状態の切替時に大きな油圧力を必要とすることから、操作フィーリングや燃費の点において改善の余地がある。
図1には、作業機の一例である収穫機としての自脱型コンバイン1(以下、コンバイン1という。)の前部が示されている。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」等の相対的な方向を伴う文言は基本的にコンバイン1の前進方向を基準とする。また、前後方向、左右方向にかかわらず、「内側」及び「外側」は、機体中央側を「内側」とし、機体外側を「外側」とする。
同じく、エンジン7の出力軸7aの動力は、出力軸7aに直結された動力伝達機構10に伝達される。
第一油圧回路は、可撓性の油圧ホース23,24により構成されている。作動油は油圧ホース23,24を通って第一油圧ポンプ21と第一油圧モータ22との間を往来する。
第二油圧回路は、可撓性の油圧ホース33,34により構成されている。作動油は油圧ホース33,34を通って第二油圧ポンプ31と第二油圧モータ32との間を往来する。
第一油圧ポンプ21に備えられた斜板の角度及び第二油圧ポンプ31に備えられた斜板の角度は、運転部3の操向レバー3aや変速操作具に連係された操向装置及び油圧機構(図示せず)により、それぞれ独立して斜板の角度が中立位置、前進側又は後進側に無段階に変更操作されている。当該斜板の角度が、当該斜板が備えられているポンプ軸心に垂直な面に対して大きく傾くほど、作動油の吐出量が多くなり、前記ポンプ軸心に垂直な面に対して小さく傾くほど作動油の吐出量が少なくなる。
同様に、第二無段変速装置30は、エンジン7の出力軸7aから入力された動力を第二油圧ポンプ31の斜板の角度に応じて無段階に変更し、第二油圧モータ32の第二出力軸35から出力する。
第一出力軸25のうちコンバイン1の外側に向けて突出した部分25aには、減速伝動機構8aを介して走行装置2の起動輪2aが接続されている。
減速伝動機構8aは所定の変速比を有する複数のギヤが組み合わされた例えば遊星歯車機構から構成されており、第一出力軸25の回転は所定の変速比で減速されて走行装置2の起動輪2aに伝達される。
第二出力軸35のうちコンバイン1の外側に向けて突出した部分35aには、減速伝動機構8bを介して走行装置2の起動輪2aが接続されている。
減速伝動機構8bは所定の変速比を有する複数のギヤが組み合わされた例えば遊星歯車機構から構成されており、第二出力軸35の回転は所定の変速比で減速されて走行装置2の起動輪2aに伝達される。
第二連結部53bは、第二伝達軸52bと第三伝達軸52cとを、例えばスプライン結合により、軸心方向に相対移動可能かつ周方向に相対回転不可なように連結する。
第三連結部53cは、第四伝達軸52dと第一伝動軸51とを、例えばスプライン結合により、軸心方向に相対移動可能かつ周方向に相対回転不可なように連結する。
つまり、第一連結部53aと第二連結部53bと第三連結部53cとにより、第一油圧モータ22と差動機構40との相対的な移動が許容される。
すなわち、第二伝動経路55は、第二出力軸35と第一伝達軸57aとを連結する第一連結部58aと、第一伝達軸57aに備えられた第一傘歯車59aと、第一傘歯車59aと噛み合って第二伝達軸57bに動力を伝達する第二傘歯車59bと、第二伝達軸57bと第三伝達軸57cとを連結する第二連結部58bと、第三伝達軸57cに備えられた第三傘歯車59cと、第三傘歯車59cと噛み合って第四伝達軸57dに動力を伝達する第四傘歯車59dと、第四伝達軸57dと第二伝動軸56とを連結する第三連結部58cとを備えている。そして、第二伝動軸56に第二サイドギヤ42が備えられている。
これにより、第一出力軸25及び第二出力軸35が、同一回転数で同一方向に回転しているときに、第一伝動軸51及び第二伝動軸56は、同一回転数で逆方向に回転する。
このとき、差動機構40の第一サイドギヤ41及び第二サイドギヤ42は同一回転数で逆方向に回転し、ピニオンギヤ43はギヤケース44に対して空回りするため、リングギヤ45は回転しない。したがって、差動機構40は、動力を出力しないため、ポンプ機構61は駆動されない。
一方、第一伝動軸51と第二伝動軸56とに回転数差があるときは、回転数差に応じてリングギヤ45は回転する。このリングギヤ45の回転によりポンプ機構61が駆動する。
差動機構40のリングギヤ45は、第一伝動軸51及び第二伝動軸56が、同一回転数で逆回転するときには回転せず、第一伝動軸51及び第二伝動軸56の回転数が異なるときには回転してポンプ機構61に動力を出力する。
規制機構62は、接続油路68における第一油路70と第二油路71との合流部69の下流に備えられている。
チェック弁75,76は、作動油貯留部64からポンプ機構61への作動油の通流を許容するがポンプ機構61から作動油貯留部64への作動油の通流を規制するように構成されている。
これらの構成により、ポンプ機構61が制動可能な制動トルクを、走行用の油圧モータである第一油圧モータ22及び第二油圧モータ32が出力できる駆動トルクよりも、大きくすることができ、確実な制動が可能となる。
操向レバー3aの旋回操作に基づいて作動して可変リリーフ弁のスプールを操作するアクチュエータを備え、操向レバー3aの旋回操作量と可変リリーフ圧との関係との関係を二次曲線的な関係等に設定しても良い。
例えば、操向レバー3aの旋回操作量が大きくなるにしたがって、可変リリーフ弁のリリーフ圧の減少率が大きくなるように設定することも可能である。
また、運転者の好みに応じて操向レバー3aの旋回操作量(レバー角)と可変リリーフ弁のリリーフ圧との関係を自由に選択できるようにしても良い。
(1)上述した実施形態では、第四傘歯車54dは歯が内側を向くように第一伝動軸51に備えられるのに対して、第四傘歯車59dは歯が外側を向くように第二伝動軸56に備えられる場合について説明したが逆であってもよい。すなわち、第四傘歯車54dは歯が外側を向くように第一伝動軸51に備えられるのに対して、第四傘歯車59dは歯が内側を向くように第二伝動軸56に備えられてもよい。
例えば、切替機構60を、リングギヤ45と噛み合う位置又は噛み合わない位置に姿勢が切り替え可能なラックギヤ状部材から構成してもよい。
詳述すると、ラックギヤ状部材は、操向レバー3aの旋回操作に応じて姿勢が切り替わるように構成され、操向レバー3aが旋回操作されていないときに、リングギヤ45と噛み合う位置に姿勢が切り替えられ、リングギヤ45の回転を制動し、操向レバー3aが旋回操作されているときに、リングギヤ45と噛み合わない位置に姿勢が切り替えられ、リングギヤ45の回転を許容する。
詳述すると、ディスクブレーキ機構は、操向レバー3aの旋回操作に応じて姿勢が切り替わるように構成され、操向レバー3aが旋回操作されていないときに、ディスク状部材を挟持する位置に姿勢が切り替えられ、ディスク状部材の回転を制動し、操向レバー3aが旋回操作されているときに、ディスク状部材を挟持しない位置に姿勢が切り替えられ、ディスク状部材の回転を許容する。
詳述すると、ドラムクブレーキ機構は、操向レバー3aの旋回操作に応じて姿勢が切り替わるように構成され、操向レバー3aが旋回操作されていないときに、ドラム状部材に道節する位置に姿勢が切り替えられ、ドラム状部材の回転を制動し、操向レバー3aが旋回操作されているときに、ドラム状部材に当接しない位置に姿勢が切り替えられ、ドラム状部材の回転を許容する。
これにより、第一出力軸25及び第二出力軸35が、同一回転数で同一方向に回転しているときに、第一伝動軸51及び第二伝動軸56は、同一回転数で逆方向に回転する。
3a :操作レバー(操向操作具)
7a :出力軸
10 :動力伝達機構
20 :第一無段変速装置
21 :第一油圧ポンプ
22 :第一油圧モータ
25 :第一出力軸
30 :第二無段変速装置
31 :第二油圧ポンプ
32 :第二油圧モータ
35 :第二出力軸
40 :差動機構
41 :第一サイドギヤ
42 :第二サイドギヤ
43 :ピニオンギヤ
44 :ギヤケース
45 :リングギヤ
50 :第一伝動経路
51 :第一伝動軸
55 :第二伝動経路
56 :第二伝動軸
60 :切替機構
61 :ポンプ機構
62 :規制機構
63 :油圧回路
64 :作動油貯留部
65 :吸込部
67 :吐出部
68 :接続油路
69 :合流部
70 :第一油路
71 :第二油路
72 :第三油路
73 :接続部
74 :接続部
75 :チェック弁
76 :チェック弁
77 :吐出選択シャトル弁
Claims (3)
- 動力源及び左右一対の走行装置を有し、操向操作具の旋回操作に基づいて発生する前記左右一対の走行装置の速度差によって旋回する作業機に備えられ、前記動力源から出力された動力を変速して前記左右一対の走行装置に伝達する動力伝達機構であって、
前記動力源の動力が入力される第一油圧ポンプと、第一油圧回路により前記第一油圧ポンプと連結され、前記第一油圧ポンプに入力された動力を変速して、第一出力軸から前記左右一対の走行装置のうちの一方の走行装置へ出力する第一油圧モータと、を備えた第一無段変速装置と、
前記動力源の動力が入力される第二油圧ポンプと、第二油圧回路により前記第二油圧ポンプと連結され、前記第二油圧ポンプに入力された動力を変速して、第二出力軸から前記左右一対の走行装置のうちの他方の走行装置へ出力する第二油圧モータと、を備えた第二無段変速装置と、
前記第一出力軸及び前記第二出力軸に連結され、前記第一出力軸と前記第二出力軸とに回転数差があるときに駆動して前記回転数差を吸収可能な差動機構と、
前記操向操作具が旋回操作されたときに、前記差動機構の駆動を許容する許容状態となり、かつ、前記操向操作具が旋回操作されていないときに、前記差動機構の駆動を制動する制動状態に切り替わる切替機構と、を備え、
前記切替機構は、前記差動機構の駆動によって作動するポンプ機構と、前記操向操作具が旋回操作されていないときに前記ポンプ機構の作動を規制する規制機構と、が備えられた油圧回路であり、
前記差動機構に、前記第一出力軸によって駆動される第一サイドギヤと、前記第二出力軸によって駆動される第二サイドギヤと、前記第一サイドギヤ及び前記第二サイドギヤに噛み合うピニオンギヤと、前記第一サイドギヤ、前記第二サイドギヤ及び前記ピニオンギヤを収容するギヤケースと、前記ギヤケースに設けられ、前記ポンプ機構に動力を出力可能なリングギヤと、を備え、
前記ポンプ機構は、前記リングギヤの回転方向に応じて吸込側と吐出側とを入れ替え可能な回転ポンプであり、
前記第一出力軸の回転が入力される第一伝動軸と、
前記第一出力軸から前記第一伝動軸に動力を伝動する第一伝動経路と、
前記第一伝動軸と同一の回転軸心上に配設され、かつ、前記第二出力軸の回転が入力される第二伝動軸と、
前記第二出力軸から前記第二伝動軸に動力を伝動する第二伝動経路と、を備え、
前記第一サイドギヤは、前記第一伝動軸に設けられ、
前記第二サイドギヤは、前記第二伝動軸に設けられ、
前記第一伝動経路及び前記第二伝動経路は、前記第一伝動軸の回転方向と前記第二伝動軸の回転方向が逆方向となるように動力を伝動し、
前記リングギヤは、前記第一伝動軸の回転数と前記第二伝動軸の回転数とが同一のときには回転せず、前記第一伝動軸の回転数と前記第二伝動軸の回転数とが異なるときには回転して前記回転ポンプに動力を出力可能であり、
前記リングギヤが回転が、前記差動機構の駆動である動力伝達機構。 - 前記規制機構は、前記操向操作具の旋回操作に応じてリリーフ圧が可変する可変リリーフ弁であり、前記操向操作具が旋回操作されていないときに、前記リリーフ圧を高めて前記油圧回路における作動油の通流を規制し、前記操向操作具が旋回操作されたときに、前記リリーフ圧を低めて前記油圧回路における作動油の通流を許容する請求項1に記載の動力伝達機構。
- 前記油圧回路に、作動油を貯留する作動油貯留部から作動油を吸込む吸込部と、前記作動油貯留部へ作動油を吐出する吐出部と、前記吸込部及び前記吐出部を接続する接続油路とを備え、
前記接続油路は、前記吸込部側において、第一油路と第二油路とに分岐され、前記吐出部側において、再び一つの油路に合流しており、
前記規制機構を、前記接続油路における合流後の部分に備え、
前記第一油路の中途部と前記第二油路の中途部とを接続する第三油路を備えるとともに、前記回転ポンプを前記第三油路に備え、
前記第一油路における前記第三油路の接続部と前記吸込部との間の側部分、及び、前記第二油路における前記第三油路の接続部と前記吸込部との間の部分に、前記作動油貯留部から前記回転ポンプへの作動油の通流を許容するが前記回転ポンプから前記作動油貯留部への作動油の通流を規制するチェック弁を備え、
前記第一油路における前記第三油路の接続部と前記第二油路の合流部との間の部分、及び、前記第二油路における前記第三油路の接続部と前記第一油路の合流部との間の部分に、前記回転ポンプから前記規制機構への作動油の通流を許容するが前記規制機構から前記回転ポンプへの作動油の通流を規制する吐出選択シャトル弁を備えている請求項1又は2に記載の動力伝達機構。
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