JP6494477B2 - 農作業機 - Google Patents
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Description
駆動源や動力伝達装置は機体フレームの中央に配設されており、駆動源から出力された駆動力は動力伝達装置により左右に分配され、左右一対の走行装置のそれぞれに伝達される。
しかし、構造的な強化は部品の大型化を招きやすく、上記のような左右分配式の動力伝達装置を採用するコンバインは機体下部中央に上記部品が大きく張り出すため、機体の最低地上高が低くなってしまうという点で改良の余地があった。
図1には、農作業機の一例である自脱型コンバイン1(以下、コンバイン1という。)が示されている。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」等の相対的な方向を伴う文言は基本的にコンバイン1の前進方向を基準とする。
第一油圧回路は、可撓性の油圧ホース23,24により構成されている。作動油は油圧ホース23,24を通って第一油圧ポンプ21と第一油圧モータ22との間を往来する。
第二油圧回路は、可撓性の油圧ホース33,34により構成されている。作動油は油圧ホース33,34を通って第二油圧ポンプ31と第二油圧モータ32との間を往来する。
つまり、第一油圧ポンプ21及び第二油圧ポンプ31、並びに第一油圧モータ22及び第二油圧モータ32を、機体フレーム9を構成する複数のフレームに分散して配設することができるため、各フレームは独立した強度を有していればよく、全てのポンプ及びモータを単一の屈強なフレームで支持する構成に比べて、安価に構成することができる。
なお、当該斜板の角度が、当該斜板が備えられているポンプ軸心に垂直な面に対して大きく傾くほど作動油の吐出量が多くなり、前記ポンプ軸心に垂直な面に対して小さく傾くほど作動油の吐出量が少なくなる。
つまり、第一油圧ポンプ21は第一主変速装置を構成し、第二油圧ポンプ31は第二主変速装置を構成する。
本実施形態では、第一油圧モータ22が、本発明における「第一副変速装置」に相当し、第一油圧ポンプ21と一方の走行装置2との間に配設されている。また、第二油圧モータ32が、本発明における「第二副変速装置」に相当し、第二油圧ポンプ31と他方の走行装置2との間に配設されている。
同様に、第二無段変速装置30は、エンジン7から入力された駆動力を第二油圧ポンプ31の斜板の角度に応じて無段階に変更し、第二油圧モータ32の斜板の角度に応じて第二出力軸35から出力する。
第一出力軸25のうちコンバイン1の外側に向けて突出した部分25aには、減速伝動機構8aを介して走行装置2の起動輪2aが接続されている。
減速伝動機構8aは所定の変速比を有する複数のギヤが組み合わされた例えば遊星歯車機構で構成されており、第一出力軸25の回転は所定の変速比で減速されて走行装置2の起動輪2aに伝達される。
第二出力軸35のうちコンバイン1の外側に向けて突出した部分35aには、減速伝動機構8bを介して走行装置2の起動輪2bが接続されている。
減速伝動機構8bは所定の変速比を有する複数のギヤが組み合わされた例えば遊星歯車機構で構成されており、第二出力軸35の回転は所定の変速比で減速されて走行装置2の起動輪2bに伝達される。
噛合クラッチは、ケーシングの内部に、第一入力軸51の端部に軸心方向に相対移動可能かつ周方向に相対回転不可なように備えられた第一噛合部53と、第二入力軸52の端部に備えられると共に第一噛合部53と噛み合い可能な第二噛合部55と、第一噛合部53と第二噛合部55とが噛み合うように第一噛合部53を第二噛合部55の方向へ付勢する弾性力を発生する弾性体としての圧縮コイルばね54と、第一噛合部53と第二噛合部55とが噛み合わないように第一噛合部53を第二噛合部55から離間する方向へ移動させるための操作ロッド57とを備えている。
アクチュエータ79の操作ロッド80が進出すると、操作ロッド80の先端部が操作レバー78を傾倒させ、スプールが押し込まれる。
アクチュエータ79の操作ロッド80が引退すると、スプールはスプリングの弾性力で元の位置へ復帰する。このとき操作レバー78は直立に復帰する。
このように、電気制御ユニット76がアクチュエータ79を制御することで、方向制御弁74が制御され、油圧シリンダ72のピストンロッド77が進退制御される。
油圧シリンダ72のピストンロッド77が進出したときには、操作ロッド57を押圧し、操作ロッド57が傾倒することにより第一噛合部53が第二噛合部55から離間する。逆に、油圧シリンダ72のピストンロッド77が引退したときには、操作ロッド57から離間して、圧縮コイルばね54の弾性力により第一噛合部53と第二噛合部55とが噛み合う。このとき操作ロッド57は直立する。
ポテンショメータ81は電気制御ユニット76と電気的に接続されている。
操向レバー3aを左又は右に旋回操作すると、ポテンショメータ81は電気信号を電気制御ユニット76に送信する。
電気制御ユニット76は、ポテンショメータ81から送信された電気信号を受信すると、操向レバー3aの旋回操作の変位レベルが所定の閾値Th以上であるか否かを識別する。
これにより操作ロッド57は直立状態となり、圧縮コイルばね54の弾性力により第一噛合部53と第二噛合部55とが噛み合い、状態切替機構50は同調駆動状態となる。
このとき、アクチュエータ79の操作ロッド80は引退側に制御され、方向制御弁74は油圧ポンプ71の圧油を、油圧シリンダ72のピストンロッド77の進出側のシリンダ室に供給させる。
これにより操作ロッド57は傾倒状態となり、第一噛合部53が第二噛合部55から離間する方向へ移動させられ、状態切替機構50は非同調駆動状態となる。
ポテンショメータ86,87は電気制御ユニット76と電気的に接続されている。
変速操作具(主変速レバー3c及び副変速レバー3d)を操作すると、ポテンショメータ86,87は電気信号を電気制御ユニット76に送信する。
電気制御ユニット76は、ポテンショメータ86,87から送信された電気信号を受信すると、図示しない油圧機構を制御して第一油圧ポンプ21の斜板の角度及び第二油圧ポンプ31の斜板の角度、並びに第一油圧モータ22の斜板の角度及び第二油圧モータ32の斜板の角度を変更する。
運転部3に備えられた主変速レバー3cを減速側に切り替えると、第一油圧ポンプ21の斜板及び第二油圧ポンプ31の斜板の角度は前記ポンプ軸心に垂直な面に対して小さく傾く方に変更される。
運転部3に備えられた副変速レバー3dを減速側に切り替えると、第一油圧モータ22の斜板及び第二油圧モータ32の斜板の角度は前記モータ軸心に垂直な面に対して大きく変更される。
本実施形態では、電気制御ユニット76が本発明における「変速制御機構」に相当し、第一副変速装置である第一油圧モータ22及び第二副変速装置である第二油圧モータ32による変速を禁止又は許可する。
つまり、電気制御ユニット76は、コンバイン1の旋回操作時には第一油圧モータ22及び第二油圧モータ32による変速を禁止する。
つまり、電気制御ユニット76は、コンバイン1の直進操作時には第一油圧モータ22及び第二油圧モータ32による変速を許可する。
仮に第一油圧モータ22及び第二油圧モータ32に変速タイミングのずれが生じたとしても、状態切替機構50によって第一出力軸25の回転と第二出力軸35の回転とが一致させられるため、当該コンバイン1に操縦者が意図しない旋回動作が生じる虞はない。
この構成により、第一油圧モータ22の斜板の角度及び第二油圧モータ32の斜板の角度が変更途中であるにもかかわらずコンバイン1を旋回操作し、状態切替機構50が非同調駆動状態となったことにより生じる、操縦者が意図しないコンバイン1の旋回動作が回避される。
第一連結機構40が備える第一連結部42と第二連結部45と第三連結部48とにより、第一油圧モータ22と状態切替機構50との相対的な移動が許容される。
上述したように、第一無段変速装置20及び第二無段変速装置30や、左右一対の走行装置2,2を同一の構成とすることで、第一出力軸25及び第二出力軸35の回転数差を極力小さくすることができる。
多板クラッチは、ケーシングの内部に、第一入力軸51の端部に、軸心方向に相対移動可能かつ周方向に相対回転不可なように備えられた円筒部の内周に、軸心方向に摺動可能に配設された摩擦プレート58と、第二入力軸52の周囲に軸心方向に摺動可能に配設された摩擦プレート59とが備えられると共に、摩擦プレート58と摩擦プレート59とを圧接する方向にピストンを62進出させる油圧シリンダ60と、油圧シリンダ60のピストン62による圧接を解除する方向へ弾性力を発生する弾性体としての圧縮コイルばね56とを備えている。
このように、摩擦プレート58と摩擦プレート59のすべりを利用することで、同調駆動状態と非同調駆動状態との移行を徐々に行うことができる。
なお本実施形態では、噛合クラッチの第一噛合部53と、多板クラッチの摩擦プレート58とが一体的に回転するように接続され、噛合クラッチの第二噛合部55と、多板クラッチの第二入力軸52とが一体的に回転するように接続されている。
この構成によると、噛合クラッチによる切り替えか、多板クラッチによる切り替えかを選択することができる。
2 :走行装置
2a :起動輪
2b :起動輪
3 :運転部
3a :操向操作具
3c :主変速レバー
3d :副変速レバー
4 :刈取部
5 :脱穀装置
6 :穀粒タンク
7 :エンジン
7a :出力軸
8a :減速伝動機構
8b :減速伝動機構
9 :機体フレーム
9a :エンジン支持フレーム部
10 :動力伝達装置
20 :第一無段変速装置
21 :第一油圧ポンプ(第一主変速装置)
22 :第一油圧モータ(第一副変速装置)
23 :油圧ホース
24 :油圧ホース
25 :第一出力軸
30 :第二無段変速装置
31 :第二油圧ポンプ(第一主変速装置)
32 :第二油圧モータ(第二副変速装置)
33 :油圧ホース
34 :油圧ホース
35 :第二出力軸
40 :第一連結機構
41 :第二連結機構
42 :第一連結部
43a:第一伝達軸
43b:第一傘歯車
44a:第二伝達軸
44b:第二傘歯車
45 :第二連結部
46a:第三伝達軸
46b:第三傘歯車
47a:第四伝達軸
47b:第四傘歯車
48 :第三連結部
50 :状態切替機構
51 :第一入力軸
52 :第二入力軸
53 :第一噛合部
54 :圧縮コイルばね
55 :第二噛合部
56 :圧縮コイルばね
57 :操作ロッド
58 :摩擦プレート
59 :摩擦プレート
60 :油圧シリンダ
62 :ピストン
70 :油圧機構
71 :油圧ポンプ
72 :油圧シリンダ
73 :油路
74 :方向制御弁
75 :弁切替機構
76 :電気制御ユニット
77 :ピストンロッド
78 :操作レバー
79 :アクチュエータ
80 :操作ロッド
81 :ポテンショメータ
86 :ポテンショメータ
87 :ポテンショメータ
Th :閾値
Claims (3)
- 駆動源と、左右一対の走行装置と、前記駆動源の駆動力を前記左右一対の走行装置に伝達する動力伝達装置とを備えた農作業機であって、
前記動力伝達装置は、
可変容量型の油圧ポンプで構成され前記駆動源の駆動力が入力される第一油圧ポンプと、第一油圧回路により前記第一油圧ポンプと連結され前記第一油圧ポンプに入力された駆動力を前記左右一対の走行装置のうちの一方の走行装置へ出力する第一出力軸を有する第一油圧モータとを備えた静油圧式の第一無段変速装置と、
前記第一油圧ポンプと前記一方の走行装置との間に配設された第一副変速装置と、
可変容量型の油圧ポンプで構成され前記駆動源の駆動力が入力される第二油圧ポンプと、第二油圧回路により前記第二油圧ポンプと連結され前記第二油圧ポンプに入力された駆動力を前記左右一対の走行装置のうちの他方の走行装置へ出力する第二出力軸を有する第二油圧モータとを備えた静油圧式の第二無段変速装置と、
前記第二油圧ポンプと前記他方の走行装置との間に配設された第二副変速装置と、
前記第一副変速装置及び前記第二副変速装置による変速を禁止又は許可する変速制御機構と、
前記第一出力軸の回転と前記第二出力軸の回転とを一致させる同調駆動状態と、前記第一出力軸の回転と前記第二出力軸の回転とを一致させない非同調駆動状態とに切り替え可能な状態切替機構と、を備え、
前記変速制御機構は、当該農作業機の旋回操作時には前記第一副変速装置及び前記第二副変速装置による変速を禁止し、前記状態切替機構が前記同調駆動状態であるときのみ前記第一副変速装置及び前記第二副変速装置による変速を許可する農作業機。 - 前記変速制御機構は、前記第一副変速装置及び前記第二副変速装置の変速が完了するまでは前記状態切替機構を前記同調駆動状態に維持する請求項1に記載の農作業機。
- 前記第一油圧モータ及び前記第二油圧モータは可変容量型の油圧モータで構成され、
当該第一油圧モータが前記第一副変速装置を構成し、当該第二油圧モータが前記第二副変速装置を構成する請求項1又は2に記載の農作業機。
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