JP6523888B2 - 沸騰水型原子炉のジェットポンプおよび沸騰水型原子炉 - Google Patents
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Description
リーク流による自励振動を発生しにくくする方法の一つとして、すべり継手の間隙形状を、リーク流方向に対して先細り型として安定な流路形状とする方法が考えられる。流れに対して先細り型となるリーク流の流路の形状は、自励振動を発生しにくくする効果がある。
また、BWRの型式によって、リーク流が順流では自励振動が起こり難く逆流では起こりやすいものや、逆流では自励振動が起こり難く順流では起こりやすいものも存在することが分かってきた。推測される要因としては、BWRの型式によってリーク流の流路形状が異なる場合があることや、プラントによって運転時の出力範囲が異なること等が挙げられる。したがって、例えば、従来からリーク流が順流の場合のみジェットポンプの自励振動が起こりやすいプラントでは、逆流のリーク流で自励振動が起こり難い特性を損なうことなく、順流のリーク流での自励振動の発生を抑制できる技術が求められている。
図1は、実施形態を示す沸騰水型原子炉(BWR)10の縦断面図であり、図2は、BWR10のダウンカマ部11に設けられるジェットポンプ12を示す概要図である。
一方、インレットミキサ管33の下端部はディフューザ34の上部に挿入されて嵌め合され、すべり継手40として構成される。
すべり継手40において、インレットミキサ管33とディフューザ34との間には、実質的にインレットミキサ管33および(または)ディフューザ34の中心軸Cの方向に延びる僅かな間隙41ができる。
また、ジェットポンプ12のライザ管31は、原子炉圧力容器13の内周壁に溶接されたライザブレース43に固定支持される。このライザ管31の両側にはインレットミキサ管33を取り付けるライザブラケット44が図3に示すように固定される。このライザブラケット44にインレットミキサ管33がウェッジ45およびセットスクリュー46により3点支持され、固定される。
付加減衰は、流体の流方向に対して先細り型の流路形状の場合に、正の減衰力として作用する。
よって、間隙流路41に逆流のリーク流Bが発生すると、テーパは、逆にジェットポンプ12の振動に負の減衰力を付与する要因になりうる。
また、インレットミキサ管33のすべり継手40における最大外径部49の中心軸方向の長さLp(以下、「最大外径部長Lp」という)に対する下端テーパ部42aの中心軸方向の長さLa(以下、「下端テーパ長La」という)の比を0.4以下とすることでも自励振動が発生しにくくなる。
グラフは、最大外径部長Lpに対する下端テーパ長Laの長さ比La/Lpをパラメータにして、下端テーパ部42aの中心軸Cに対する勾配角θaを変化させた場合の、リーク流が逆流のときの限界流量を理論解析により予測したものである。
グラフの縦軸は、既存形状の場合の限界流量で規格化して示している。
なお、リーク流が順流のときに勾配角θbを変化させた場合も図5と同様である。
つまり、逆流のリーク流に対して末広がりの流路形状となる場合であっても、0≦θa<2°の範囲においては、自励振動の発生限界流量が向上して、自励振動が発生しにくくなることがわかる。特に、1°以下では発生限界流量の増大が顕著であることから、0≦θa≦1°であるとより好ましい。
つまり、0<La/Lp≦0.4の範囲では、自励振動が発生しにくくなることがわかる。すなわち、中心軸方向の長さの上限が規定されているすべり継手40において、最大外径部長Lpを下端テーパ長Laに対してできるだけ長くとることで、インレットミキサ管33の振動の自由度を低下させることで、自励振動が発生しにくくなることがわかる。
上端テーパ部42bは、すべり継手40内のインレットミキサ管33の上端縁部分に設けることに限らず、インレットミキサ管33の下端部を含まなければすべり継手40の高さ方向の中間位置に位置することもある。
また、上端テーパ部42bは、上記の範囲の勾配角θαを有する下端テーパ部42aを有するインレットミキサ管33だけでなく、この下端テーパ部42aを有しないインレットミキサ管33に設けてもよい。下端テーパ部42aを有しないインレットミキサ管33に上端テーパ部42bを設ける場合には、上端テーパ部42bの下端がインレットミキサ管33の下端に一致しないように構成する。
上述のように、上端テーパ部42bは、中心軸Cに沿って下端テーパ部42aとは逆向きの傾斜を有し、下端テーパ部42aとは逆向きに先細る間隙流路41を形成する。
すなわち、上端テーパ部42bの表面形状は、上端テーパ部42bにおける上端が下端よりも広い間隙流路41となる形状となる。
順流の自励振動をも考慮する場合、図6に示すように、上端テーパ部42bの勾配角θbを0≦θb<2°とする。
勾配角θbを2°以下とすることで、上端テーパ部42bが順流のリーク流Aに対して末広がりになるものの、勾配角θaの決定と同様の理由で、自励振動が発生しにくくなる。
第1の実施形態によれば、下端テーパ部42aを上述した形状とすることで、リーク流が逆流の場合に、自励振動を発生しにくくすることができる。
また、上端テーパ部42bを上述した形状とすることで、リーク流が順流の場合に、従来に比べて自励振動を発生しにくくすることができる。
すべり継手40におけるリーク流の方向は、原子力プラントの運転形態に依存するため、対象となる原子力プラントでの運転形態によりリーク流が順流Aおよび逆流Bのいずれか一方のみであると想定される場合には、上述のような角度を有する下端テーパ部42aおよび上端テーパ部42bのいずれかののみを設ける構成としても本実施形態の作用効果を奏することができる。
なお、すべり継手40において順流Aおよび逆流Bのいずれの発生も想定しうる原子力プラントについては、下端テーパ部42aおよび上端テーパ部42bのいずれも設けておくことが望ましい。
ここで、本実施形態においては下端テーパ部42aと上端テーパ部42bのそれぞれの勾配を2°未満(より好ましくは1°以下)とするものとして説明したが、順流および逆流の何れかのみについて自励振動の発生を抑制したい場合は、下端テーパ部42aと上端テーパ部42bの何れかのみの勾配を2°未満(より好ましくは1°以下)としてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について、図7を参照して説明する。第2の実施形態を説明するに当り、沸騰水型原子炉10の全体的構成は、図1および図2に示すBWRと異ならないので、同じ構成には、同一符号を付して重複説明を簡略化する。
図7は、すべり継手40の水平断面、すなわちインレットミキサ管33の中心軸Cに垂直な平面による断面を示す図である。
第2の実施形態のジェットポンプ12は、第1の実施形態と同様に、インレットミキサ管33とディフューザ34との結合部に設けられるすべり継手40と、から構成される。
図7において、ディフューザ34の内周面は楕円形状となっており、ディフューザ34の内周面とインレットミキサ管33との2つの接触点PCが短軸を構成し、中心軸Cを通りこの短軸に垂直な直線が長軸を構成している。
また、最大外径部長Lpに対する下端テーパ長La、上端テーパ長Lbの範囲、下端テーパ部42aの勾配角θaおよび上端テーパ部42bの勾配角θbの範囲も第の1実施形態と同様である。
つまり、最大外径部49の外周面とディフューザ34の内周面とによって形成される間隙流路41の流路幅Hが外周面の周方向に沿って変化している。
そして、インレットミキサ管33を非真円にする場合は、この非真円な形状の長径部で、ディフューザ34に接触点CPをもって設置される。
この接触点CPは施工時には例えば1点のみあり、ジェットポンプ12の稼働時にインレットミキサ管33またはディフューザ34の熱膨張によって複数点となってもよい。
インレットミキサ管33がディフューザ34と接触点CPを有すると、接触により振動に対してインレットミキサ管33はディフューザ34と機械的接触を保って構造的な減衰力を受ける。
インレットミキサ管33を接触させない場合にも流体による正の減衰力効果により抑制されるが、接触させるとさらに機械的接触により構造による正の減衰力が加わり抑制効果が一層向上する。さらに接触点CPでディフューザ34に横荷重が加わると、それがディフューザ34の振動する際の抵抗力となって振動振幅を小さくさせる効果がある。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (6)
- 沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に設けられ、ライザ管に連結されるインレットミキサ管と、このインレットミキサ管にすべり継ぎ手により連結されるディフューザとを備えて原子炉圧力容器内の冷却水を強制循環させるジェットポンプにおいて、
前記インレットミキサ管は、下端に0°<θa<2°の勾配角の下端テーパ部と、前記すべり継手における上端部に0°<θb<2°の勾配角の上端テーパ部と、を有し、
前記インレットミキサ管の前記すべり継手における最大外径部の中心軸方向の長さに対する前記下端テーパ部の前記中心軸方向の長さ比が0.4以下であり、
前記インレットミキサ管の前記すべり継手における最大外径部の中心軸方向の長さに対する前記上端テーパ部の前記中心軸方向の長さ比が0.4以下であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。 - 前記最大外径部の外周面および前記ディフューザの内周面の少なくとも一方の水平断面における形状は非真円であり、
前記外周面と前記ディフューザの内周面とによって形成される間隙流路の流路幅が、前記外周面の周方向に沿って変化する請求項1に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプ。 - 前記非真円な前記内周面の水平断面は、楕円形状をしている請求項2に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
- 前記ディフューザは、前記インレットミキサ管と接触点を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の沸騰水型原子炉のジェットポンプ。
- 沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に設けられ、ライザ管に連結されるインレットミキサ管と、このインレットミキサ管にすべり継ぎ手により連結されるディフューザとを備えて原子炉圧力容器内の冷却水を強制循環させるジェットポンプにおいて、
前記インレットミキサ管は、下端に0°<θa≦1°の勾配角の下端テーパ部を有し、また、
前記インレットミキサ管は、前記すべり継手における上端部に0°<θb≦1°の勾配角の上端テーパ部を有し、前記インレットミキサ管の前記すべり継手における最大外径部の中心軸方向の長さに対する前記下端テーパ部の前記中心軸方向の長さ比が0.4以下であり、前記インレットミキサ管の前記すべり継手における最大外径部の前記中心軸方向の長さに対する前記上端テーパ部の前記中心軸方向の長さ比が0.4以下であることを特徴とする沸騰水型原子炉のジェットポンプ。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のジェットポンプを備える沸騰水型原子炉。
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