JP6523700B2 - 複合部品 - Google Patents

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Description

本発明は、複合部品に関する。
従来、容器の内部にハニカム体を収容する際の固定方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の触媒保持体(ハニカム体)は、円筒形状のハニカム体の側面ほぼ全体に無機繊維(結晶質アルミナ繊維)からなるマットを巻き付け、さらに外側に有機シートを巻き付けて、金属製パイプ(容器)の内部に圧入することにより触媒保持体を収納する。このとき、無機繊維マットの圧入前の嵩密度および圧入後の嵩密度を所定の範囲に限定している。
すなわち、上記マットの圧入後の嵩密度を、圧入前の嵩密度よりも大きくなるように、金属製パイプに圧入することにより、ハニカム体と上記マットとの間で生じる摩擦力と、上記マットと金属製パイプとの間で生じる摩擦力によって、ハニカム体を金属製パイプ内部に固定している。
この技術は、触媒保持体の他、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するフィルタ(DPF)を金属製パイプ内部に固定する技術として、広く知られている。
特開2004−98059号公報
しかし、従来技術では、排ガス浄化触媒担体、排ガス浄化フィルタの形状に合わせて金属製パイプ内部に保持、固定することができるが、高い密閉性が求められる部位、例えば熱交換器等の異なる2つの気体もしくは気体−液体が隣り合って流れるもの等には、繊維間に連通する空隙が存在するため、使用できない。
本発明では、前記課題を鑑み、ハニカム体を固定するとともに封止することができる複合部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の複合部品は、一対の開口面と側壁とを有するハニカム体と、上記ハニカム体を包囲するケーシングと、上記ハニカム体と上記ケーシングとを接合するための接合部とを備えた複合部品であって、上記接合部は、上記ハニカム体の上記側壁の周回に備えられた鍔部と、上記ケーシングの内面に上記鍔部の上記開口面側の端面に対向するように備えられた係止部と、上記鍔部と上記係止部に挟まれたロウ材層とからなり、上記係止部は、鍔部側から、ステンレスからなるスキン層と、上記スキン層と固相拡散接合されたタングステン(W)、チタンカーバイド(TiC)、ジルコニアカーバイド(ZrC)、バナジウムカーバイド(VC)、ニオブカーバイド(NbC)、タンタルカーバイド(TaC)、モリブデンカーバイド(MoC)、タングステンカーバイド(WC)から選ばれる少なくとも1種の金属からなる下地層と、上記下地層と固相拡散接合された基材とからなることを特徴とする。
上記複合部品によれば、上記接合部は、上記ハニカム体の上記側壁の周回に備えられた鍔部と、上記ケーシングの内面に上記鍔部の上記開口面側の端面に対向するように備えられた係止部と、上記鍔部と上記係止部に挟まれたロウ材層とからなり、上記係止部は、鍔部側から、ステンレスからなるスキン層と、上記スキン層と固相拡散接合されたタングステン(W)、チタンカーバイド(TiC)、ジルコニアカーバイド(ZrC)、バナジウムカーバイド(VC)、ニオブカーバイド(NbC)、タンタルカーバイド(TaC)、モリブデンカーバイド(MoC)、タングステンカーバイド(WC)から選ばれる少なくとも1種の金属からなる下地層と、上記下地層と固相拡散接合された基材とからなり、上記した構成の上記複合部品を作製する際には、上記ケーシングに設けられた係止部で半溶融状態のロウ材層を押えるように圧力を加えて接合することにより、ロウ材の流出を防止することができ、ロウ材の流出による隙間の発生を防止することができる。
また、接合の際、スキン層は、ロウ材層と接触するが、金属であるステンレスからなるので、例えば、市販されている一般的なロウ材を使用して、金属同士の接合によって強固に接合することができる。また、スキン層の下に上記した硬い金属からなる下地層を有している。上記した金属は、熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部にかかる熱応力を小さくすることができる。さらに複合部品は、係止部に基材を有しているので、スキン層及び下地層は基材を介してステンレスからなるケーシングに接続される。このため、下地層の材質に影響されること無く係止部をケーシングに接続することができる。さらに、スキン層、下地層及び基材の間の接合は、固体拡散接合によって行われ、ロウ材を用いていないので、ロウ材の熱膨張係数の影響を受けることなく係止部を形成することができる。
また、係止部を押し付けるようにして接合することにより、しっかりと接合することができるので、係止部と鍔部との間に接合不良による隙間等が発生しにくい。その結果、上記鍔部と上記係止部の接合力を充分に高く保つことができ、ケーシング内を流通する流体が接合部から漏れるのを防止することができる。さらに、上記ハニカム体の開口面へ流体が流入出する際、流体が上記係止部や上記鍔部に衝突するが、直接ロウ材層に衝突しないため、ロウ材層の信頼性が向上する。また、流体の衝突の際、ロウ材層はクッション材の役割を果たし、鍔部や係止部の破損を軽減することができる。
なお、一対の開口面とは、所定の長さを有する四角柱形状等の柱形状のハニカム体の長さ方向(長手方向)の両端部に形成された端面をいう。
なお、係止部が基材のみで、スキン層と下地層が配設されていない場合、鍔部とロウ材を介して接合した係止部をケーシングに接合する際、熱がロウ材層にまで伝わり、溶融流動し、接合不良等が発生し易い。また、係止部を構成する金属の熱膨張率が大きいと、使用時に鍔部近傍のハニカム体にクラックが発生し易い。
本発明の複合部品では、上記スキン層は、その厚さが0.01〜0.3mmであることが望ましい。
上記複合部品において、上記スキン層の厚さが0.01〜0.3mmであると、ロウ材と接合してもロウ材側にステンレスがすべて溶出することなく、接合力の低下を防止することができ、鍔部に与える熱応力を小さくすることができる。
上記スキン層の厚さが0.01mm未満であると、ロウ材と接合した際、ロウ材側にステンレスがすべて溶出してしまうおそれがあり、ロウ材を介した鍔部と係止部との接合力が低下する。
一方、スキン層の厚さが0.3mmを超えると、鍔部に与える熱応力が大きくなり、鍔部近傍のハニカム体にクラックが発生するおそれがある。
本発明の複合部品では、上記下地層は、その厚さが0.5〜2.0mmであることが望ましい。
上記複合部品において、上記下地層の厚さが0.5〜2.0mmであると、スキン層による熱応力の影響を小さくすることができ、係止部が、しなやかさを有することができるので、係止部と接続されるケーシングにクラックが発生しにくくなる。
上記下地層の厚さが0.5mm未満であると、下地層がスキン層による熱応力の影響を小さくすることが難しくなり、係止部と接続されるケーシングにクラックが発生し易くなる。一方、上記下地層の厚さが2.0mmを超えると、下地層の自重により各層に負荷を与えるため、接合信頼性の低下が発生し易くなる。
本発明の複合部品では、上記基材は、ステンレスからなることが望ましい。
上記複合部品において、上記基材がステンレスからなると、溶接等により、ケーシングに容易に接合することができる。
本発明の複合部品では、上記鍔部は、セラミック多孔質体と上記セラミック多孔質体の気孔に含浸させる含浸体とからなり、上記含浸体はさらに上記ハニカム体の上記側壁に到達し、上記鍔部と上記ハニカム体とを接合していることが望ましい。
上記複合部品では、上記鍔部を含浸する含浸体が上記ハニカム体の上記側壁に到達して上記鍔部と上記ハニカム体とを接合しており、このような構成の鍔部を形成することにより、ハニカム体そのものを加工することなく鍔部を形成することができ、鍔部は緻密な部材となり、上記鍔部と上記ハニカム体との間に隙間が発生して、ケーシング内を流通する流体が接合部から漏れるのを容易に防止することができる。
本発明の複合部品では、上記セラミック多孔質体は、SiC繊維の成形体又は気孔を有するセラミック焼成体であることが望ましい。
上記複合部品では、SiC繊維の成形体又は気孔を有するセラミック焼成体は、耐熱性を有しているので、接合部の形成(ロウ付)時や複合部品の使用時に、熱等に起因して損傷するおそれがなく、安定して使用することができる。
上記セラミック多孔体の構成材料としてSiC繊維を用いると、目的の形状を容易に得ることができるので、所望の形状の鍔部を得ることが可能となる。具体的には、SiC繊維の長繊維を上記ハニカム体に巻き付けることも可能であり、長繊維を巻き付けながら形状を調節することで、容易に鍔部を形成することが可能となる。一方、気孔を有するセラミック焼成体を用いると、次のような利点がある。気孔を有するセラミック焼成体は、プレス成形、後加工など目的の形状を得ることが容易である上に、ハニカム体への接合と、気孔の封止を、含浸体の含浸によって同時に行うことができる。含浸は、金属、シリコンなどを気孔を有するセラミック焼成体に接触させ、加熱溶融することで行うことができる。
本発明の複合部品では、上記含浸体は、上記ロウ材層を構成するロウ材よりも融点の高い金属又はシリコンであることが望ましい。
上記複合部品では、上記含浸体は、上記ロウ材層を構成するロウ材よりも融点の高い金属又はシリコンであるので、ロウ付けの際に鍔部が動くことはなく、圧力を加えながら容易に接合部を形成することができる。
本発明の複合部品では、上記係止部は、上記ケーシングを屈曲させることにより形成された段差を利用して形成していることが望ましい。
上記複合部品では、上記段差を利用した係止部と上記鍔部の側面とを対向させ、その間にロウ材を介在させ、上記段差をロウ材に押し付けることにより、上記ケーシングに係止部を溶接等により設けることなく、容易に本発明の複合体を作製することができる。また、上記ハニカム体の開口面へ流体が流入出する際、接合部の付近に到達する流体は、ケーシングが屈曲して流路が絞られるので流体の速度が緩和し、接合部に加わる流体からの衝撃を軽減することが可能となる。
上記段差は機械的な力でロウ付け直前に形成することも可能であり、ロウ付けの予備加熱時に上記段差を形成することでケーシングが室温よりも軟化するので加工精度が向上する。
本発明の複合部品では、上記係止部は、上記ケーシング部に溶接されたリブ状構造体からなることが望ましい。
上記複合部品では、上記リブ状構造体の上記ケーシング内面と隣接する側面と上記鍔部と側面とを対向させ、その間にロウ材を介在させ、上記突起をロウ材に押し付けることにより、容易に本発明の複合体を作製することができる。また、リブ状構造体にすることで、係止部はロウ材層と平面でしっかりと接合することでき、ケーシングとハニカム体の間に生じる熱膨張差による応力を、ロウ材層が平面でしっかり緩和することができる。
なお、溶接とロウ付けの順序は、どちらから行ってもよく、ケーシングの取り付け性や寸法ばらつきを考慮すると、ロウ付けを行った後に溶接を行うことが好ましい。
本発明の複合部品では、上記係止部は、上記ケーシング部の端部の一部が内側に曲げられることにより形成されていることが望ましい。
上記複合部品では、上記ケーシングの端部の一部が内側に曲げられることにより形成された係止部と上記鍔部の側面とを対向させ、その間にロウ材を介在させ、上記突起をロウ材に押し付けることにより、上記ケーシングに係止部を溶接等により設けることなく、容易に本発明の複合体を作製することができる。また、端部に係止部を利用することで、係止部はロウ材層と平面でしっかりと接合することでき、ケーシングとハニカム体の間に生じる熱膨張差による応力を、ロウ材層が平面でしっかり緩和することができる。
本発明の複合部品では、上記接合部を複数有し、上記ケーシングと上記接合部と上記ハニカム体の側壁とに囲まれ、上記開口面に面する開口面側空間と隔離された側壁側空間を有することが望ましい。
上記複合部品では、上記開口面に面する開口面側空間と隔離された側壁側空間を有するので、この空間を利用し、熱交換、物質交換(フィルター)を行う複合部品とすることができる。
本発明の複合部品では、上記側壁側空間に面するハニカム体の側壁には開口を有することが望ましい。
上記複合部品では、上記開口面に面する開口面側空間と隔離された側壁側空間を有し、かつ、ハニカム体の側壁に開口を有するので、この空間及び開口を利用し、熱交換、物質交換(フィルター)を行う複合部品とすることができる。
本発明の複合部品では、上記ハニカム体を構成するセルは、側壁に形成された開口により上記側壁側空間とつながる第1のセルと、上記開口面側空間とつながる第2のセルと、により構成され、上記第1のセルおよび上記第2のセルは、セル間を隔てるセル隔壁により隔離されていることが望ましい。
上記複合部品では、上記第1のセルおよび上記第2のセルは、セル間を隔てるセル隔壁により隔離されているので、上記複合部品の上記側壁側空間と上記開口面側空間との間で、熱交換、物質交換(フィルター)を行うことができる。
本発明の複合部品では、上記側壁側空間に面するハニカム体の対向する2つの側壁にはそれぞれ開口が設けられ、上記ケーシングには、上記2つの側壁に設けられた開口に流体を導入するための流体導入通路と、上記流体を排出するための流体排出通路と、が設けられていることが望ましい。
上記複合部品では、上記ケーシングには、上記2つの側壁に設けられた開口に流体を導入するための流体導入通路と、上記流体を排出するための流体排出通路が設けられているので、流体を流通させる際、スムーズに流通させることができ、熱交換等を行うことができる。
上記複合部品では、上記流体導入通路と上記流体排出通路との間にさらに上記接合部を有することが望ましい。
上記複合部品では、上記流体導入通路と上記流体排出通路との間にさらに上記接合部を有するので、導入する流体と、排出する流体の上記側壁側空間での混合を防止することができる。
図1は、本発明のハニカム体を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、本発明の複合部品を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。 図3(a)は、本発明の複合部品の別の一例(第二の例)を模式的に示した断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。 図4(a)は、本発明の複合部品のさらに別の一例(第三の例)を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。 図5(a)は、本発明の複合部品のさらに別の一例(第四の例)を模式的に示した断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。 図6(a)は、本発明の複合部品を構成するハニカム体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、上記ハニカム体を含む本発明の複合部品のさらに別の一例(第五の例)を模式的に示す断面図であり、図6(c)は、図6(b)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。 図7は、本発明とは異なる複合部品の一例を示す断面図である。
[発明の詳細な説明]
本発明の複合部品は、一対の開口面と側壁とを有するハニカム体と、上記ハニカム体を包囲するケーシングと、上記ハニカム体と上記ケーシングとを接合するための接合部とを備えた複合部品であって、上記接合部は、上記ハニカム体の上記側壁の周回に備えられた鍔部と、上記ケーシングの内面に上記鍔部の上記開口面側の端面に対向するように備えられた係止部と、上記鍔部と上記係止部に挟まれたロウ材層とからなり、上記係止部は、鍔部側から、ステンレスからなるスキン層と、上記スキン層と固相拡散接合されたタングステン(W)、チタンカーバイド(TiC)、ジルコニアカーバイド(ZrC)、バナジウムカーバイド(VC)、ニオブカーバイド(NbC)、タンタルカーバイド(TaC)、モリブデンカーバイド(MoC)、タングステンカーバイド(WC)から選ばれる少なくとも1種の金属からなる下地層と、上記下地層と固相拡散接合された基材とからなることを特徴とする。
本発明の複合部品の一例(第一の例)について説明する。
本発明の複合部品を構成するハニカム体は、一対の開口面と側壁とを有する。
図1は、本発明のハニカム体を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、本発明のハニカム体10は、四角柱状のセラミック焼成体であり、ハニカム体10の長手方向Xに併設された流体の流路となる多数のセル11と、セル11を区画形成するセル隔壁12とを備えている。ハニカム体10は、セル11が開口している開口面15a、15bを備えるとともに、開口面以外の側面である側壁16とを備えている。なお、ここでは、ハニカム体10は、四角柱形状であるが、円柱形状や四角柱以外の多角柱形状であってもよい。
ハニカム体に形成されているセルの態様は、図1に示す態様に限定されるものではなく、図6に示すような長手方向に貫通するセルと上下方向に貫通するセルの両方のセルを備えるものであってもよい。
ハニカム体10の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミックが挙げられる。
ハニカム体10の側壁16の周回に鍔部18が設けられている。鍔部18は、ハニカム体10の長手方向Xに平行に切断すると矩形となる形状であり、全周に渡って設けられている。図1に示すハニカム体10では、鍔部18は、1つであるが、開口面15a、15bに近い領域の2個所に設けられていてもよい。鍔部18が2個所に設けられた具体例は、後で示す。
鍔部18の幅d1は、例えば、1〜10mm程度であり、鍔部18の高さh1は、例えば3〜15mm程度である。幅d1が1〜10mm程度であると、ロウ付けの際に加える荷重で鍔部18が破断、欠損が生じず、鍔部18からの流体の漏れを防ぐことができる。そして、ロウ付けの際の予備加熱も短くすむため、加工時間を短くできる。また、高さh1が3〜15mm程度であれば、係止部24の寸法誤差によってハニカム体10を傷付ける可能性が小さくなり、さらにロウ付けの際に加える力で発生するモーメント力による破断を抑制することができる。
鍔部18は、セラミック多孔質体と上記セラミック多孔質体の気孔に含浸させた含浸体とからなり、上記含浸体はさらにハニカム体10の側壁16に到達し、鍔部18とハニカム体10とを接合している。
セラミック多孔質体を構成するセラミックとしては、上述したハニカム体10の材料と同じ材料が挙げられる。同じ材料にすることで、材料による熱膨張差を小さくすることができるので、熱ひずみを抑制し、破断や欠損を防ぐことができる。これらの材料の中では、耐熱性、熱伝導性に優れるSiCが好ましい。
セラミック多孔質体の具体例としては、例えば、SiCの繊維状集合体を成形したものや、気孔率が35〜65%の多孔質のSiC焼成体等が挙げられる。
上記したセラミック多孔質体にSiを溶融含浸させて鍔部18とする。その際、上記したセラミック多孔質体にSiを溶融含浸させた後、ハニカム体の側壁の周回に、含浸体であるSiを溶融含浸させたセラミック多孔質体を設け、鍔部18としてもよいが、ハニカム体の側壁の周回にセラミック多孔質体を設け、その後、含浸体であるSiを溶融含浸させてもよい。
SiCの繊維状集合体を成形したものやSiC多孔質体にSiを含浸させて鍔部18としたものを用いる場合、高い耐熱性、耐食性を維持したまま熱伝導性を高めることができ、発生する熱応力を低減することができる。またシリコンは、金属的な性質を持っているので、ロウ材層との接合力も強くすることができると考えられる。このため係止部24と接合すると強い接合力を得られると考えられる。さらに、ロウ付けの際にロウ材の鍔部18への必要以上の侵入を防ぐことができる。ロウ付けで溶融したロウ材が必要以上に鍔部18に吸収されにくいので、充分な厚さのロウ材層を形成することができ、鍔部18と係止部24との間に強い結合力を得ることができる。このため、接合部19は、耐熱性、耐蝕性及び高い接合強度を発揮することができると考えられる。
含浸体としては、上記したSiのほか、ロウ材層を構成するロウ材よりも融点の高い金属であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅等の金属合金等が挙げられる。
ハニカム体10の側壁16の周回にセラミック多孔質体を設け、その後、含浸体であるSiを溶融含浸させて鍔部18とする際には、溶融Siはハニカム体10の側壁16にも到達し、鍔部18とハニカム体10の側壁16とを接合する。
ハニカム体10の側壁16の周回に、鍔部18として、含浸体であるSiを溶融含浸させたセラミック多孔質体を設けた場合には、Siからなる含浸体を含むセラミック多孔質体(鍔部18)を加熱し、溶融Siをハニカム体10の側壁16に到達させ、鍔部18とハニカム体10の側壁16とを接合する。
接合をしっかりと行うため、鍔部18を設ける領域に該当するハニカム体10の側壁16に、予めSiを溶融含浸させておいてもよい。
次に、ハニカム体10を包囲するケーシングについて説明する。
図2(a)は、本発明の複合部品を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。
図2(a)に示すように、ケーシング21は、ハニカム体10を収容する金属製容器の一部であり、ハニカム体10の長手方向に垂直な断面は、ハニカム体10より一回り大きい略四角形の筒形状である。ケーシング21の形状は、略四角形の筒形状に限られるものではなく、ハニカム体10の形状に合わせ、ハニカム体10の長手方向に垂直な断面が円筒形状や多角形からなる筒形状であってもよい。ケーシング21を構成する金属製の材料としては、ステンレスが好ましい。
ステンレスは、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、ハニカム体10と組み合わせることにより、様々な用途で利用することができる。また、ステンレスは、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、ロウ付けの際に受ける金属体へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。
ケーシング21の一方の端部には、ケーシング21に流体を供給する流入路(図示せず)が、漏斗状の接続部22を介して接続されている。また、ケーシング21の他方の端部には、ケーシング21から流体を排出する流出路(図示せず)が、漏斗状の接続部23を介して接続されている。
ケーシング21の内面には、ハニカム体10に設けられた鍔部18と接合するための係止部24が設けられている。係止部24に関し、図2に示したような完成した複合部品20を例にとって説明していくこととする。
図2に示した複合部品20では、係止部24は、鍔部18側から、ステンレスからなるスキン層27と、スキン層27と固相拡散接合された下地層26と、下地層26と固相拡散接合された基材25とからなる。基材25は、リブ状構造体でケーシング21の内周に溶接されており、基材25のハニカム体10の長手方向に平行な断面は矩形となっている。基材25の材料は、金属であり、ケーシング21の場合と同様、ステンレスが好ましい。
上記したように、基材25には、下地層26が固相拡散接合されており、下地層26には、スキン層27が固相拡散接合されている。固相拡散接合法は、母材を密着させ,母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法であり、ロウ材を用いていないので、ロウ材の熱膨張係数の影響を受けることなく係止部24を形成することができる。
下地層26は、タングステン(W)、チタンカーバイド(TiC)、ジルコニアカーバイド(ZrC)、バナジウムカーバイド(VC)、ニオブカーバイド(NbC)、タンタルカーバイド(TaC)、モリブデンカーバイド(MoC)、タングステンカーバイド(WC)から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部にかかる熱応力を小さくすることができる。
上記金属のなかでは、タングステン(W)、タングステンカーバイド(WC)が好ましく、特にタングステンカーバイド(WC)が好ましい。
スキン層27は、ロウ材層28と接触するが、金属であるステンレスからなるので、例えば、市販されている一般的なロウ材を使用して、金属同士の接合によって強固に接合することができる。
スキン層27は、その厚さが0.01〜0.3mmであることが好ましい。
スキン層27の厚さが0.01〜0.3mmであると、ロウ材と接合してもロウ材側にステンレスがすべて溶出することなく、接合力の低下を防止することができ、鍔部18に与える熱応力を小さくすることができる。
スキン層27の厚さが0.01mm未満であると、ロウ材と接合した際、ロウ材側にステンレスがすべて溶出してしまうおそれがあり、ロウ材を介した鍔部18と係止部24との接合力が低下する。一方、スキン層27の厚さが0.3mmを超えると、鍔部に与える熱応力が大きくなり、鍔部近傍のハニカム体にクラックが発生するおそれがある。
下地層26は、その厚さが0.5〜2.0mmであることが好ましい。
下地層26の厚さが0.5〜2.0mmであると、スキン層27による熱応力の影響を小さくすることができ、係止部24が、しなやかさを有することができるので、係止部24と接続されるケーシング21にクラックを発生しにくくすることができる。
下地層26の厚さが0.5mm未満であると、下地層26がスキン層27による熱応力の影響を小さくすることが難しくなり、係止部24と接続されるケーシングにクラックが発生し易くなる。一方、下地層26の厚さが2.0mmを超えると、下地層の自重により各層に負荷を与えるため、接合信頼性の低下が発生し易くなる。
係止部24を構成する基材25の幅(高さ)は、鍔部18の高さh1と同じ程度が好ましい。なお、係止部24とセラミック体10とは接していなことが望ましい。接していないことで、各部の熱膨張差によって係止部24がセラミック体10を傷付けることがなく、信頼性の高い複合部品となる。
係止部24は、ケーシング21の内面に鍔部18の開口面側の端面18aに対向するように設けられ、ロウ材層28は、鍔部18と係止部24とに挟まれている。
次に、鍔部18と係止部24とロウ材層28とからなる接合部19について説明する。
接合部19を構成するロウ材層28の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、一般的に市販されている金属ロウ材や、Ag−Cu−Sn−Ti系等のTi系ロウ材、Ag−Cu−In−Ag系のロウ材等の活性金属ロウ材等が挙げられる。上記金属ロウ材のなかでは、特にTi系ロウ材等が好ましい。
Ti系ロウ材は、セラミック多孔質体からなる鍔部18の表面を活性化させ、鍔部18との接合界面に鍔部18の材料特有の反応物が生成されるため、鍔部18に対する接合能力を有する。例えば、鍔部18を構成するセラミック多孔質体が窒化物ではTiN、セラミック多孔質体が酸化物ではTiO、セラミック多孔質体が炭化物ではTiCがセラミック多孔質体との接合界面に生成される。このため、セラミック多孔質体からなる鍔部18と係止部24とを接合する部分に適用することにより、接合部19の接合強度を高めることができる。
このような構成の複合部品20を作製する際には、ケーシング21の内部にハニカム体10を挿入した後、ケーシング21に設けられた係止部24とハニカム体10に設けられた鍔部18を所定の距離を隔てて対向させる。その際、係止部24の鍔部18と対向する側面24a、及び、鍔部18の係止部24と対向する端面18aのうちの少なくとも一方の面にロウ材を付着させておく。
この後、ロウ材を溶融させ、係止部24で半溶融状態のロウ材層を押えるように圧力を加え、冷却することにより鍔部18、ロウ材層28及び係止部24より構成される接合部19を形成することができる。このように係止部24でロウ材層を押える圧力を加えて接合するため、ロウ材の流出を防止することができ、ロウ材の流出による隙間の発生を防止することができる。また、係止部24を押し付けるようにして接合することにより、しっかりと鍔部18と係止部24とをロウ材層28により接合することができるので、鍔部18と係止部24との間に接合不良による隙間等が発生しにくい。その結果、鍔部18と係止部24の接合力を充分に高く保つことができ、ケーシング21内を流通する流体が接合部19から漏れるのを防止することができる。
さらに、接合の際、スキン層27は、ロウ材層28と接触するが、金属であるステンレスからなるので、例えば、市販されている一般的なロウ材を使用して、金属同士の接合によって強固に接合することができる。また、スキン層27の下に上記した硬い金属からなる下地層26を有している。上記した金属は、熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部19にかかる熱応力を小さくすることができる。さらに複合部品20は、係止部24に基材25を有しているので、スキン層27及び下地層26は基材25を介してステンレスからなるケーシング21に接続される。このため、下地層26の材質に影響されること無く係止部24をケーシング21に接続することができる。さらに、スキン層27、下地層26及び基材25の間の接合は、固体拡散接合によって行われ、ロウ材を用いていないので、ロウ材の熱膨張係数の影響を受けることなく係止部24を形成することができる。
また、本発明では、下地層26を構成する金属の熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部19にかかる熱応力を小さくすることができ、使用時に鍔部18近傍のハニカム体10にクラックが発生しにくい。
なお、最初に係止部24とケーシング21とを接合せず、上記した方法により係止部24をハニカム体10の鍔部18にロウ材層28を介して接合しておき、その後、係止部24をケーシング21に接合してもよい。
本発明では、係止部24が基材25と下地層26とスキン層27により構成されているが、係止部24が基材25のみで、スキン層27と下地層26が配設されていない場合、鍔部18とロウ材を介して接合した係止部24をケーシングに接合する際、熱がロウ材層28にまで伝わり、ロウ材層28が溶融流動し、接合不良等が発生し易い。しかしながら、本発明では、係止部24が基材25と下地層26とスキン層27により構成されているため、熱がロウ材層にまで伝わりにくく、接合不良等が発生しにくい。
また、係止部24を構成する金属の熱膨張率が大きいと、使用時に鍔部近傍のハニカム体にクラックが発生し易いが、本発明では、下地層26を構成する金属の熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部19にかかる熱応力を小さくすることができ、使用時に鍔部近傍のハニカム体にクラックが発生しにくい。
図7は、本発明とは異なる複合部品の一例を示す断面図である。
図7に示す複合部品では、ケーシング121の内面にハニカム体100の長手方向に平行な断面が横長矩形の突起部124を形成し、ハニカム体100の側壁106の周回に、突起部124と同様の形状の鍔部108を形成する。そして、突起部124の下面124bと鍔部108の上面108bとをロウ材層126を介して接合させ、接合部129を形成する。この場合、突起部124の下面124bと鍔部108の上面108bとの距離は、ケーシング121、突起部124、ハニカム体100及び鍔部108の寸法により決まってしまう。従って、突起部124の下面124bと鍔部108の上面108bとの距離を一定にするためには、ケーシング121、突起部124、ハニカム体100及び鍔部108の寸法を厳密に設定する必要があり、その寸法が少しでも狂い、間が開きすぎると、突起部124と鍔部108との接合がうまくいかないという問題がある。また、このような構成では、筒状に形成されているケーシングにおいて、突起部124をロウ材層に押し付けることができない個所が生じ、ロウ材を溶融させた際、ロウ材がハニカム体100の側壁106に流れ、開口面に到達すると、セルを塞いでしまうという問題が発生するが、本発明の複合部品の場合には、上記したような問題点は発生しない。
図3(a)は、本発明の複合部品の別の一例(第二の例)を模式的に示した断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。
図3(a)及び(b)に示す複合部品では、係止部の構成は異なっているが、ハニカム体、ケーシング及び鍔部の構成は、図2に示した複合部品と同様である。
図3(a)及び(b)に示す複合部品30では、ケーシングを2度折り曲げて屈曲させることにより段差を設け、ハニカム体10の長手方向に垂直な断面の面積が異なる、2つのケーシング31a、31bを形成している。そして、ケーシング31aとケーシング31bとの間に形成されたケーシング31a及びケーシング31bに垂直に形成された段差部分を係止部34の基材35とし、基材35に固相拡散接合により下地層36を設け、下地層36に固相拡散接合によりスキン層37を設け、係止部34としている。
このように構成された複合部品30では、図2に示した複合部品20と同様、基材35、下地層36及びスキン層37から構成される係止部34は、ケーシング31の内面に鍔部18の開口面側の端面18aに対向するように設けられ、ロウ材層28は、鍔部18と係止部34とに挟まれている。
このような構成の複合部品30を作製する際には、ケーシング31の内部にハニカム体10を挿入した後、ケーシング31に設けられた係止部34とハニカム体10に設けられた鍔部18を所定の距離を隔てて対向させる。その際、係止部34の鍔部18と対向する側面34a、及び、鍔部18の係止部34と対向する端面18aのうちの少なくとも一方の面にロウ材を付着させておく。
この後、ロウ材を溶融させ、係止部34で半溶融状態のロウ材層を押えるように圧力を加え、冷却することにより鍔部18、ロウ材層28及び係止部34より構成される接合部19を形成することができる。このように係止部34でロウ材層を押える圧力を加えて接合するため、ロウ材の流出を防止することができ、ロウ材の流出による隙間の発生を防止することができる。また、係止部34を押し付けるようにして接合することにより、しっかりと鍔部18と係止部34とをロウ材層28により接合することができるので、鍔部18と係止部34との間に接合不良による隙間等が発生しにくい。その結果、鍔部18と係止部34の接合力を充分に高く保つことができ、ケーシング内を流通する流体が接合部29から漏れるのを防止することができる。
さらに、接合の際、スキン層37は、ロウ材層28と接触するが、金属であるステンレスからなるので、例えば、市販されている一般的なロウ材を使用して、金属同士の接合によって強固に接合することができる。また、スキン層37の下に上記した硬い金属からなる下地層36を有している。上記した金属は、熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部29にかかる熱応力を小さくすることができる。さらに複合部品30は、係止部34に基材35を有しているので、スキン層37及び下地層36は基材35を介してステンレスからなるケーシング31に接続される。このため、下地層36の材質に影響されること無く係止部34をケーシング31に接続することができる。さらに、スキン層37、下地層36及び基材35の間の接合は、固体拡散接合によって行われ、ロウ材を用いていないので、ロウ材の熱膨張係数の影響を受けることなく係止部34を形成することができる。
また、本発明では、下地層36を構成する金属の熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部29にかかる熱応力を小さくすることができ、使用時に鍔部18近傍のハニカム体10にクラックが発生しにくい。
図4(a)は、本発明の複合部品のさらに別の一例(第三の例)を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。
図4(a)及び(b)に示す複合部品では、係止部の構成は異なっているが、ハニカム体、ケーシング及び鍔部の構成は、図2に示した複合部品と同様である。
図4(a)及び(b)に示すように、複合部品40では、係止部44を構成する基材45は、ケーシング41の端部の一部が、ケーシング41に垂直となるように内側に曲げられることにより形成され、基材45に固相拡散接合により下地層46を設け、下地層46に固相拡散接合によりスキン層47を設け、係止部44としている。
このように構成された複合部品40では、図2に示した複合部品20と同様、基材45、下地層46及びスキン層47から構成される係止部44は、ケーシング41の内面に鍔部18の開口面側の端面18aに対向するように設けられ、接合部39を構成するロウ材層28は、鍔部18と係止部44とに挟まれている。
このような構成の複合部品40を作製する方法は、図2に示した複合部品20を作製する方法とほぼ同様であるので、ここでは、その説明を省略する。上記構成の複合部品40は、図2に示した複合部品20と同様の効果を示す。
図5(a)は、本発明の複合部品のさらに別の一例(第四の例)を模式的に示した断面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。
図5(a)及び(b)に示す複合部品では、係止部が2個所及び鍔部が2個所設けられている点が、図2〜4に示す複合部品とは異なるが、ハニカム体及びケーシングの構成は、図2に示した複合部品と同様である。
図5(a)及び(b)に示す複合部品60では、ケーシング61の内面の流体が流れ込む側の接続部62に近い部分、及び、流体が流れ出る側の接続部63に近い部分の2個所に、鍔部18側から、スキン層67、下地層66及び基材65から構成される係止部64が設けられており、一方、ハニカム体10にも、流体が流れ込む側の開口面15aに近い部分、及び、流体が流れ出る側の開口面15bに近い部分の2個所に鍔部18が設けられている。なお、係止部64は、基材65に固相拡散接合により下地層66を設け、下地層66に固相拡散接合によりスキン層67を設け、係止部64としている。
さらに、図5(a)及び(b)に示すように、2つの鍔部18は、いずれもハニカム体10の流体が流れ込む側の開口面15aに近い側の端面18aに接合部59を有し、一方、係止部64は、流体が流れ出る側の開口面15bに近い側の側面64aに接合部59を有している。
すなわち、ロウ材層28は、係止部64と鍔部18とに挟まれているが、係止部64とロウ材層28と鍔部18との位置関係は、2個所とも同じであり、係止部64は流体が流れ込む接続部62に近く、鍔部18は流体が流れ出る接続部63に近く、その間にロウ材層28が挟まれている位置関係となっている。
このような構成の複合部品60では、ケーシング61と接合部59とハニカム体10の側壁16とに囲まれ、開口面に面する開口面側空間と完全に隔離された側壁側空間69が形成されている。このため、開口面に面する開口面側空間と隔離された側壁側空間69を利用することにより、本複合部品を熱交換器等として利用することができる。
このような構成の複合部品60を作製する際には、先にケーシング61から分離した係止部64とハニカム体10に設けられた2つの鍔部18を、それぞれ所定の距離を隔てて対向させる。
ここで、各係止部64は複数の部品で構成され、ハニカム体10を包囲するように係止部64を形成してある。その際、係止部64の鍔部18との対向する側面64a、及び、鍔部18の係止部64と対向する端面18aのうちの少なくとも一方の面にロウ材を付着させておく。
この後、ロウ材を溶融させ、2つの係止部64を一方向(流体が流れ出る接続部63の方向)に移動させて、半溶融状態のロウ材層を押えるように圧力を加え、冷却することにより同時に2つの鍔部18、ロウ材層28及び係止部64より構成される接合部59を形成することができる。このように2つ係止部64でロウ材層を押える圧力を加えることにより、2個所の接合部59を同時に形成することができ、ロウ材の流出を防止することができ、ロウ材の流出による隙間の発生を防止することができる。また、しっかりと鍔部18と係止部64とをロウ材層28により接合することができるので、鍔部18と係止部64との間に接合不良による隙間等が発生しにくい。
さらに、接合の際、スキン層67は、ロウ材層28と接触するが、金属であるステンレスからなるので、例えば、市販されている一般的なロウ材を使用して、金属同士の接合によって強固に接合することができる。また、スキン層67の下に上記した硬い金属からなる下地層66を有している。上記した金属は、熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部19にかかる熱応力を小さくすることができる。さらに複合部品60は、係止部64に基材65を有しているので、スキン層67及び下地層66は基材65を介してステンレスからなるケーシング61に接続される。このため、下地層66の材質に影響されること無く係止部64をケーシング61に接続することができる。さらに、スキン層67、下地層66及び基材65の間の接合は、固体拡散接合によって行われ、ロウ材を用いていないので、ロウ材の熱膨張係数の影響を受けることなく係止部64を形成することができる。
また、本発明では、下地層66を構成する金属の熱膨張係数が、セラミック並みに低いので、接合部19にかかる熱応力を小さくすることができ、使用時に鍔部18近傍のハニカム体10にクラックが発生しにくい。
その後、ケーシング61の内部にハニカム体10を挿入し、ケーシングの61外周面全体に力を加えることでケーシング61の内径を調整する。そして、ケーシング61と係止部64とを溶接することで複合部品60を作製する。ここで、ケーシングは四角柱や円筒などのような一体型でもいいし、L時型や半円型、三日月状型などの分割形状を組合せて一体型となるケーシング形状でも良い。その他、ケーシングを様々な形状に分離し、係止部との溶接をしながら、ケーシングを構成してもよい。
図6(a)は、本発明の複合部品を構成するハニカム体を模式的に示す斜視図であり、図6(b)は、上記ハニカム体を含む本発明の複合部品のさらに別の一例(第五の例)を模式的に示す断面図であり、図6(c)は、図6(b)に示す複合部品の接合部付近を拡大した拡大断面図である。
図6(a)、(b)及び(c)に示す複合部品80は、熱交換器として機能する部材の一例を示している。
この複合部品80では、図5に示した複合部品60と同様に、係止部79が2個所及び鍔部78が2個所設けられており、係止部79と鍔部78との接合態様は図5に示した複合部品60の場合と同じである。
本発明の複合部品を構成するハニカム体70は、熱交換器として機能するように構成されたハニカム体の一例である。すなわち、このハニカム体70は、ハニカム体70の長手方向に垂直な方向(かつ上下方向)に設けられた第1のセル73a、73bと、ハニカム体70の長手方向に設けられた第2のセル71と、これらのセル71、73a、73bを隔てるセル隔壁72とから構成されている。なお、単にセルと記載した場合は、第1のセル及び第2のセルの両方を指している。
ハニカム体70の長手方向に設けられた第2のセル71に関し、ハニカム体70の長手方向に垂直な断面において、一定の幅で上下に伸びる第2のセル71が設けられていない部分(帯状部分)が存在し、第2のセル71が設けられている部分では、セル隔壁72を隔てて上下方向に整列して第2のセル71が設けられている。
また、図6(a)に示すように、この第2のセル71が設けられていない部分に、上下に貫通する第1のセル73a、73bが設けられている。第1のセル73a、73bは、流体が流れ込む接続部82に近い部分と流体が流れ出る接続部83に近い部分の2個所に設けられており、第2のセル71と第1のセル73a、73bとは内部で繋がっておらず、セル隔壁72により隔離されている。
図6に示す複合部品80では、図5に示す複合部品と同様、ケーシング81の内面の流体が流れ込む側の接続部82に近い部分、及び、流体が流れ出る側の接続部83に近い部分の2個所に、スキン層87、下地層86及び基材85から構成される係止部84が設けられており、一方、ハニカム体70にも、流体が流れ込む側の開口面75aに近い部分、及び、流体が流れ出る側の開口面75bに近い部分の2個所に鍔部78が設けられており、係止部84と鍔部78とはロウ材層28により接合されている。
このような構成の複合部品80では、ケーシング81と接合部79とハニカム体70の側壁76とに囲まれ、開口面75a、75bに面する開口面側空間と隔離された側壁側空間89が形成されている。
また、ケーシング81の2つの係止部84の間の空間には、流体導入通路88a及び流体排出通路88bが設けられている。流体導入通路88aは、ケーシング81を貫通し、その端部は、ハニカム体70の第1のセル73bが形成されている部分の周囲の側壁76に密着している。また、流体排出通路88bも同様に、ケーシング81を貫通し、その端部は、ハニカム体70の第1のセル73aが形成されている部分の周囲の側壁76に密着している。
このため、流体導入通路88aから空気等の流体を流入させると、流体は、第1のセル73bを通過し、側壁側空間89に流れ出た後、第1のセル73aを通過して、流体排出通路88bから流出するようになっている。
一方、他の排ガス等の流体は、接続部82を通過して、ハニカム体70の開口面75aから第2のセル71に流入し、開口面75bから流出するようになっている。
従って、例えば、ハニカム体70の第2のセル71を通過する流体が温度の高い流体であれば、流体導入通路88aから導入した常温の空気等の温度を上昇させることができ、熱交換器として機能する。
ここで、図6に記載のハニカム体および複合部品は一例であり、例えば第1のセル73aと73bがハニカム体の内部につながっていてもよい。さらに第1のセル73aと73bが繋がっている際は、第1のセルは貫通していなくも良く、流体導入通路から導入した空気等の流体を流体排出通路へと排出できればよい。
上記流体導入通路と上記流体排出通路との間にさらに接合部を有していてもよい。上記流体導入通路と上記流体排出通路との間にさらに上記接合部を有する場合、導入する流体と、排出する流体の上記側壁側空間での混合を防止することができる。特に第1のセルがハニカム体を貫通していないとき、上記流体導入通路と上記流体排出通路との間にさらに接合部を有していることが好ましい。なぜならば、上記混合による流体温度の平均化がおこらず、効率よくハニカム体から流体への熱の受渡しが可能となり、結果として熱交換効率を向上させることができる。
上記した構成の本発明の複合部品は、係止部を介してケーシングにしっかりとハニカム体を固定することができるので、排ガスフィルタや触媒担体として使用が可能な装置となる。
また、2個所に係止部と鍔部とを設け、接合することにより、二つの接合部分で仕切られた孤立空間を形成することができるため、図6に示した複合部品80のように、セルの形成方法や流体の流通方法を工夫することにより、熱交換器として使用が可能な装置となる。
10、70 ハニカム体
11 セル
12、72 セル隔壁
15a、15b 開口面
16 側壁
18、78 鍔部
18a 端面
19、29、39、59、79 接合部
20、30、40、60、80 複合部品
24、34、44、64、84 係止部
25、35、45、65、85 基材
26、36、46、66、86 下地層
27、37、47、67、87 スキン層
28 ロウ材層
21、31a、31b、41、61、81 ケーシング
22、23、32、42、62、63、82、83 接続部
24a、34a、64a 側面
69、89 側壁側空間
71 第2のセル
73a、73b 第1のセル

Claims (15)

  1. 一対の開口面と側壁とを有するハニカム体と、前記ハニカム体を包囲するケーシングと、前記ハニカム体と前記ケーシングとを接合するための接合部とを備えた複合部品であって、
    前記接合部は、前記ハニカム体の前記側壁の周回に備えられた鍔部と、前記ケーシングの内面に前記鍔部の前記開口面側の端面に対向するように備えられた係止部と、前記鍔部と前記係止部に挟まれたロウ材層とからなり、
    前記係止部は、鍔部側から、
    ステンレスからなるスキン層と、
    前記スキン層と固相拡散接合されたタングステン(W)、チタンカーバイド(TiC)、ジルコニアカーバイド(ZrC)、バナジウムカーバイド(VC)、ニオブカーバイド(NbC)、タンタルカーバイド(TaC)、モリブデンカーバイド(MoC)、タングステンカーバイド(WC)から選ばれる少なくとも1種の金属からなる下地層と、
    前記下地層と固相拡散接合された基材とからなることを特徴とする複合部品。
  2. 前記スキン層は、その厚さが0.01〜0.3mmである請求項1に記載の複合部品。
  3. 前記下地層は、その厚さが0.5〜2.0mmである請求項1又は2に記載の複合部品。
  4. 前記基材は、ステンレスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合部品。
  5. 前記鍔部は、セラミック多孔質体と前記セラミック多孔質体の気孔に含浸させる含浸体とからなり、前記含浸体はさらに前記ハニカム体の前記側壁に到達し、前記鍔部と前記ハニカム体とを接合している請求項1〜4のいずれかに記載の複合部品。
  6. 前記セラミック多孔質体は、SiC繊維の成形体又は気孔を有するセラミック焼成体である請求項5に記載の複合部品。
  7. 前記含浸体は、前記ロウ材層を構成するロウ材よりも融点の高い金属又はシリコンである請求項5又は6に記載の複合部品。
  8. 前記係止部は、前記ケーシングを屈曲させることにより形成された段差を利用して形成している請求項1〜7のいずれかに記載の複合部品。
  9. 前記係止部は、前記ケーシングに溶接されたリブ状構造体からなる請求項1〜7のいずれかに記載の複合部品。
  10. 前記係止部は、前記ケーシングの端部の一部が内側に曲げられることにより形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の複合部品。
  11. 前記接合部を複数有し、前記ケーシングと前記接合部と前記ハニカム体の側壁とに囲まれ、前記開口面に面する開口面側空間と隔離された側壁側空間を有する請求項1〜10のいずれかに記載の複合部品。
  12. 前記側壁側空間に面するハニカム体の側壁には開口を有する請求項11に記載の複合部品。
  13. 前記ハニカム体を構成するセルは、側壁に形成された開口により前記側壁側空間とつながる第1のセルと、前記開口面側空間とつながる第2のセルと、により構成され、
    前記第1のセルおよび前記第2のセルは、セル間を隔てるセル隔壁により隔離されている請求項11又は12に記載の複合部品。
  14. 前記側壁側空間に面するハニカム体における複数の側壁のうち、互いに対向する2つの側壁にはそれぞれ開口が設けられ、
    前記ケーシングには、前記2つの側壁に設けられた開口に流体を導入するための流体導入通路と、前記流体を排出するための流体排出通路と、が設けられている請求項11〜13のいずれかに記載の複合部品。
  15. 前記流体導入通路と前記流体排出通路との間にさらに前記接合部を有することを特徴とする請求項14に記載の複合部品。
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