(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図5を参照にして説明する。図1は、本実施形態のポンプ制御システム(ポンプ制御装置)1を示す図である。ポンプ制御システム1は、例えばパワーショベル、クレーン等の建設機械において、適用される。
図1に示すように、ポンプ制御システム1は、発動機であるエンジン2と、エンジン2において燃料を噴出する燃料噴出部3と、エンジン2の回転数Rを検出する回転センサ5と、を備える。また、ポンプ制御システム1は、エンジン2での燃料噴出部3からの燃料の噴出を制御するエンジン制御部7を備える。エンジン制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はASIC(application specific integrated circuit)、及び、メモリ等の記憶部を備えるECU(Electric Control Unit)である。エンジン制御部7には、回転センサ5でのエンジン2の回転数Rの検出結果を示す検出信号が、伝達される。また、エンジン制御部7は、エンジン2が発動されている状態において、エンジン2に作用する負荷を示すエンジン2の負荷率(エンジントルク)τを経時的に算出する。ここで、エンジン2の負荷率τは、エンジン制御部7によって算出され、例えば、エンジン2での燃料の実際の噴射量である実質噴射量Erealを用いて算出される。すなわち、エンジン2での負荷がゼロになる状態での燃料の噴射量である無負荷噴射量Ezero、エンジン2での燃料の噴射量の最大値である最大噴射量Emaxを規定した場合、式(1)に示すように、エンジン2の負荷率τが算出される。
式(1)より、エンジン2の負荷率τが大きくなると、実質噴射量(噴射量)Erealが大きくなり、エンジン2での燃料の燃費も低下する。また、エンジン2の負荷率τは、エンジン2の回転数Rに対応して変化する。すなわち、エンジン2の回転数Rが大きくなるにつれて、負荷率τも大きくなる。
ポンプ制御システム1は、油が貯められる油タンク8と、容量可変ポンプ(メインポンプ)10と、を備える。容量可変ポンプ10は、エンジン2に連結され、エンジン2が発動されることにより、作動される。容量可変ポンプ10が作動されることにより、油タンク8の油が容量可変ポンプ10から吐出される。すなわち、油タンク8の油は、吐出油として、容量可変ポンプ10から吐出される。
ポンプ制御システム1は、センターバイパスライン11と、制御弁(コントロールバルブ)12と、アクチュエータ13と、を備える。アクチュエータ13は、例えばパワーシャベル、クレーン等の建設機械においてブームを起伏させるブーム起伏シリンダーである。制御弁12は、センターバイパスライン11に配置されている。ポンプ制御システム1には、制御弁12より上流側でセンターバイパスライン11から分岐して制御弁12まで延設された作動油供給ライン15と、制御弁12から延設されて制御弁12より下流側でセンターバイパスライン11に合流する作動油回収ライン16と、が設けられている。また、制御弁12とアクチュエータ13との間には、伸長側ライン17及び収縮側ライン18が延設されている。制御弁12には、容量可変ポンプ10からの吐出油の一部が作動油として、センターバイパスライン11及び作動油供給ライン15を通して供給される。すなわち、制御弁12は、アクチュエータ13を作動可能な作動油が供給される。
制御弁12は、中立状態、第1の供給状態及び第2の供給状態に切替わり可能である。中立状態では、制御弁12において、センターバイパスライン11が連通している。そして、制御弁12において、作動油供給ライン15及び作動油回収ライン16は、伸長側ライン17及び収縮側ライン18のいずれに対しても連通していない。このため、制御弁12に供給された作動油(容量可変ポンプ10から吐出された吐出油)は、制御弁12においてセンターバイパスライン11を通過し、油タンク8に回収される。すなわち、中立状態では、アクチュエータ13に作動油が供給されず、アクチュエータ13は作動されない。図1では、制御弁12は中立状態である。
第1の供給状態及び第2の供給状態では、制御弁12において、センターバイパスライン11が閉塞される。そして、第1の供給状態では、制御弁12において、作動油供給ライン15が伸長側ライン17と連通し、作動油回収ライン16が収縮側ライン18と連通する。このため、制御弁12に供給された作動油は、作動油供給ライン15及び伸長側ライン17を通してアクチュエータ13に供給される。また、アクチュエータ13から収縮側ライン18及び作動油回収ライン16を通して、油タンク8に作動油が回収される。したがって、第1の供給状態では、アクチュエータ13が伸長する。一方、第2の供給状態では、制御弁12において、作動油供給ライン15が収縮側ライン18と連通し、作動油回収ライン16が伸長側ライン17と連通する。このため、制御弁12に供給された作動油は、作動油供給ライン15及び収縮側ライン18を通してアクチュエータ13に供給される。また、アクチュエータ13から伸長側ライン17及び作動油回収ライン16を通して、油タンク8に作動油が回収される。したがって、第2の供給状態では、アクチュエータ13が収縮する。前述のように、第1の供給状態及び第2の供給状態では、容量可変ポンプ10から吐出油が吐出されると、制御弁12に供給された作動油は制御弁12からアクチュエータ13に供給される。
アクチュエータ13に作動油が供給されることによりアクチュエータ13が作動される。制御弁12の第1の供給状態及び第2の供給状態に比べて、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態では、アクチュエータ13の作動による動作の負荷がエンジン2に作用しない。このため、制御弁12の中立状態では、制御弁12の第1の供給状態及び第2の供給状態に比べて、エンジン2の負荷率τが小さくなる。
ポンプ制御システム1は、車体制御部20を備える。車体制御部20は、例えばCPU又はASIC、及び、メモリ等の記憶部を備えるプロセッサである。車体制御部20は、エンジン2以外の建設機械全体の制御を行う。車体制御部20は、エンジン制御部7とは別体で設けられ、有線又は無線により、エンジン制御部7と通信可能である。車体制御部20には、例えば、回転センサ5で検出されたエンジン2の回転数Rに関する情報、及び、エンジン制御部7で算出されたエンジン2の負荷率τに関する情報が、伝達される。また、車体制御部20は、エンジン制御部7で算出されるエンジン2の負荷率τに基づいて、エンジン2の回転数Rに関する制御指令を、生成する。
車体制御部20は、エンジン2の回転数Rに関する制御指令をエンジン制御部7に伝達する。エンジン制御部7は、車体制御部20からの回転数Rに関する制御指令に基づいて、エンジン2の回転数Rを調整する。エンジン制御部7は、通常速度モード及び低速度モード(オートスローモード)でエンジン2を制御可能である。ある実施例では、低速度モードに比べて通常速度モードにおいてエンジン2の回転数Rが大きくなる状態に、車体制御部20からのエンジン2の回転数Rに関する制御指令に基づいて、エンジン制御部7がエンジン2を制御する。また、別のある実施例では、低速度モードにおいてエンジン2の回転数Rが閾値回転数Rthより小さくなる状態に、車体制御部20からのエンジン2の回転数Rに関する制御指令に基づいて、エンジン制御部7がエンジン2を制御する。
また、ポンプ制御システム1には、容量可変ポンプ10から吐出される吐出油の温度Tを検出する温度センサ21が設けられている。温度センサ21での吐出油の温度Tの検出結果を示す検出信号は、車体制御部20に伝達される。なお、本実施形態では、油タンク8と容量可変ポンプ10との間に延設される中継ライン22において、吐出油の温度Tが検出される。
ポンプ制御システム1は、エンジン2に連結され、エンジン2が発動されることにより作動されるパイロットポンプ25を備える。また、ポンプ制御システム1は、制御弁12の中立状態、第1の供給状態及び第2の供給状態への切替え操作が行われる操作レバー(切替え操作部)26A,26Bと、車体制御部20による制御によって作動状態が切替わる電磁弁27と、を備える。パイロットポンプ25が作動されることにより、パイロットポンプ25から電磁弁27まで延設される第1のパイロット油供給ライン31に、油タンク8の油がパイロット油として吐出される。ポンプ制御システム1には、第1のパイロット油供給ライン31から分岐し、操作レバー(第1の切替え操作部)26Aまで延設される第2のパイロット油供給ライン32Aと、第2のパイロット油供給ライン32Aから分岐し、操作レバー(第2の切替え操作部)26Bまで延設される第3のパイロット油供給ライン32Bと、が設けられている。また、ポンプ制御システム1には、電磁弁27から油タンク8まで延設される第1のパイロット油回収ライン33が、設けられている。そして、ポンプ制御システム1には、操作レバー26Aから延設され、制御弁12より下流側でセンターバイパスライン11に合流する第2のパイロット油回収ライン35Aと、操作レバー26Bから延設され、第2のパイロット油回収ライン35Aに合流する第3のパイロット油回収ライン35Bと、が設けられている。
ポンプ制御システム1では、操作レバー(第1の切替え操作部)26Aから制御弁12まで第1の弁パイロットライン36Aが延設され、操作レバー(第2の切替え操作部)26Bから制御弁12まで第2の弁パイロットライン36Bが延設されている。操作レバー26A,26Bの両方が中立位置に位置する状態(図1に示す状態)では、操作レバー26Aにおいて第1の弁パイロットライン36Aは、第2のパイロット油回収ライン35Aと連通し、第2のパイロット油供給ライン32Aとは連通しない。また、操作レバー26Bにおいて第2の弁パイロットライン36Bは、第3のパイロット油回収ライン35Bと連通し、第3のパイロット油供給ライン32Bとは連通しない。このため、操作レバー26A,26Bの両方が中立位置に位置する状態では、第1の弁パイロットライン36A及び第2の弁パイロットライン36Bのいずれを通しても、制御弁12にパイロットポンプ25から吐出されるパイロット油は供給されず、制御弁12は中立状態となる。
操作レバー(第1の切替え操作部)26Aを中立位置から移動させると、操作レバー26Aにおいて、第1の弁パイロットライン36Aが第2のパイロット油供給ライン32Aと連通する。これにより、パイロットポンプ25から吐出されるパイロット油が、第2のパイロット油供給ライン32A及び第1の弁パイロットライン36Aを通して制御弁12に供給され、制御弁12が第1の供給状態に切替わる。一方、操作レバー(第2の切替え操作部)26Bを中立位置から移動させると、操作レバー26Bにおいて、第2の弁パイロットライン36Bが第3のパイロット油供給ライン32Bと連通する。これにより、パイロットポンプ25から吐出されるパイロット油が、第3のパイロット油供給ライン32B及び第2の弁パイロットライン36Bを通して制御弁12に供給され、制御弁12が第2の供給状態に切替わる。
また、ポンプ制御システム1は、吐出量調整部であるネガティブレギュレータ37と、ネガティブレギュレータ37と電磁弁27との間に延設されるレギュレータパイロットライン38と、を備える。電磁弁27は、車体制御部20からの電力の供給状態に基づいて作動状態が切替わる。電磁弁27に電力が供給されていない状態では、電磁弁27において、レギュレータパイロットライン38は、第1のパイロット油回収ライン33と連通し、第1のパイロット油供給ライン31とは連通しない。このため、パイロットポンプ25から吐出されるパイロット油は、ネガティブレギュレータ37に供給されず、ネガティブレギュレータ37は作動されない。このため、容量可変ポンプ10の容量(傾角)は大きくなり、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが大きくなる。例えば、ネガティブレギュレータ37が作動されない場合、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefとなる。
一方、電磁弁27に電力が供給されている状態(図1の状態)では、電磁弁27において、レギュレータパイロットライン38は、第1のパイロット油供給ライン31と連通する。このため、パイロットポンプ25から吐出されるパイロット油は、ネガティブレギュレータ37に供給され、ネガティブレギュレータ37が作動される。ネガティブレギュレータ37が作動されることにより、容量可変ポンプ10の容量(傾角)が小さくなり、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが小さくなる。例えば、ネガティブレギュレータ37が作動された場合、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefより小さくなる。なお、パイロット油は、制御弁12に供給されるまでに作動油が通過するセンターバイパスライン11及び作動油供給ライン15とは異なる油圧ラインである第1のパイロット油供給ライン31及びレギュレータパイロットライン38を通して、ネガティブレギュレータ37に供給される。すなわち、制御弁12を通過する作動油とは異なる油圧ラインを通して、ネガティブレギュレータ37にパイロット油が供給される。また、本実施形態では、パイロット油は容量可変ポンプ10とは異なるパイロットポンプ25から吐出され、容量可変ポンプ10から吐出される吐出油とは異なる油圧ラインを通して、ネガティブレギュレータ37にパイロット油が供給される。
前述のように、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給状態を制御することにより、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態を制御している。そして、吐出量調整部であるネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態に対応して、ネガティブレギュレータ37の作動状態が変化し、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが変化する。ネガティブレギュレータ37が作動され、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが小さくなると、エンジン2への負荷が低減される。車体制御部20は、エンジン制御部7で算出されるエンジン2の負荷率τ、及び、温度センサ21での吐出油の温度Tの検出結果に基づいて、電磁弁27への電力の供給状態を制御し、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態を制御している。
次に、ポンプ制御システム1の作用及び効果について説明する。エンジン2が発動されると、容量可変ポンプ10及びパイロットポンプ25が作動される。そして、操作レバー26A,26Bでの切替え操作に基づいて、パイロットポンプ25からの制御弁12へのパイロット油の供給状態が切替わり、制御弁12が中立状態、第1の供給状態及び第2の供給状態のいずれかに切替わる。制御弁12の切替わりに対応して、制御弁12に供給された作動油のアクチュエータ13への供給状態が切替わる。
図2は、ポンプ制御システム1での処理を示す図である。図2に示すように、エンジン制御部7によってエンジン2の発動が開始されると(ステップS101−Yes)、車体制御部20は、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整処理を行う(ステップS102)。また、車体制御部20(及びエンジン制御部7)は、エンジン2の回転数Rの調整処理を行う(ステップS103)。エンジン2の発動を停止せずにエンジン2の発動を継続する場合は(ステップS104−No)、ステップS102の吐出量Fの調整処理、及び、ステップS103の回転数Rの調整処理は、経時的に繰返し行われる。
図3は、車体制御部20によって行われる、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整処理(図2のステップS102)を示す図である。また、図4は、車体制御部20(及びエンジン制御部7)によって行われる、エンジン2の回転数Rの調整処理(図2のステップS103)を示す図である。図3に示すように、吐出油の吐出量Fの調整処理においては、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給が停止されているか否かを判断する(ステップS111)。これにより、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態が判断され、ネガティブレギュレータ(吐出量調整部)37の作動状態が判断される。
電磁弁27への電力の供給が停止されている場合は(ステップS111−Yes)、車体制御部20は、回転センサ5で検出されるエンジン2の回転数R及び温度センサ21で検出される吐出油(作動油)の温度Tを取得する(ステップS112)。そして、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに基づいて、車体制御部20は、基準となるエンジン2の負荷率の基準負荷率τrefを設定する(ステップS113)。なお、電磁弁27への電力の供給が停止されている場合は(ステップS111―Yes)、ネガティブレギュレータ(吐出量調整部)37にパイロット油は供給されていない。このため、ネガティブレギュレータ37は作動されず、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefとなる。
図5は、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに対する設定される基準負荷率τrefの関係を示す図である。図5では、横軸にエンジンの回転数Rを示し、縦軸に設定される基準負荷率τrefを示している。また、図5では、吐出油の温度TがT1,T2,T3(T1<T2<T3)の状態でのエンジン2の回転数Rに対する基準負荷率τrefの変化を示している。図5に示すように、エンジン2の回転数Rが大きくなるほど、基準負荷率τrefは大きく設定される。また、吐出油の温度Tが低くなるほど、基準負荷率τrefが大きく設定される。車体制御部20の記憶部には、例えば、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに対する設定される基準負荷率τrefの関係を示すテーブルが記憶されている。なお、基準負荷率τrefは、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに加えて、大気圧、エンジン2の冷却水温等の周辺環境に基づいて、設定される。
基準負荷率τrefが設定されると、車体制御部20は、エンジン制御部7によって式(1)のように算出されるエンジン2の実際の負荷率τが基準負荷率τrefより小さいか否かが判断する(ステップS114)。負荷率τが基準負荷率τrefより小さい場合は(ステップS114−Yes)、車体制御部20は、ステップS114で比較されている間のエンジン2の負荷率τの変動幅εが基準となる基準変動値εrefより小さいか否かを判断する(ステップS115)。基準変動値εrefは、例えば数%であり、基準変動値εrefは、車体制御部20の記憶部に記憶されている。エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい場合は、車体制御部20は、ステップS114の判断及びステップS115の判断の開始から基準となる基準時間Δtref経過しているか否かを判断する(ステップS116)。判断の開始から基準時間Δtref経過していない場合には(ステップS116−No)、ステップS114に戻り、ステップS114の判断及びステップS115の判断が経時的に繰替えし行われる。したがって、ステップS114〜S116によって、車体制御部20は、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続したか否かを、判断する。
エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続した場合は(ステップS114−Yes及びステップS115−Yes及びステップS116−Yes)、ステップS117の判断が行われる。ステップS117では、車体制御部20は、取得した吐出油の温度Tが基準となる基準温度(例えば20℃〜40℃)Tref以上であるか否かを判断する。吐出油の温度Tが基準温度Tref以上の場合は(ステップS117−Yes)、車体制御部20は、ステップS118の処理を行う。
一方、ステップS114の判断及びステップS115の判断開始から基準時間Δtref経過する前において(ステップS116−No)、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上となる場合(ステップS114−No)、又は、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εref以上になる場合は(ステップS115−No)、ステップS119の処理が行われる。そして、吐出油の温度Tが基準温度Trefより小さくなる場合も(ステップS117−No)、ステップS119の処理が行われる。
ステップS118では、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給を開始する。これにより、電磁弁27の作動状態が切替わり、ネガティブレギュレータ37にパイロット油が供給される。これにより、ネガティブレギュレータ37が作動され、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefより小さくなる。したがって、車体制御部20は、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続したこと、及び、作動油の温度Tが基準温度Tref以上であることに対応させて、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが規定吐出量Frefより小さくなる状態にネガティブレギュレータ(吐出量調整部)37へのパイロット油の供給状態を制御する。すなわち、車体制御部20は、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さいことに少なくとも対応させて 、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが規定吐出量Frefより小さくなる状態にネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態を制御する。
一方、ステップS119では、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給停止を維持する。これにより、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給停止も維持され、ネガティブレギュレータ37が作動されない。このため、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefで維持される。例えば、ステップS114の判断及びステップS115の判断の開始から基準時間Δtref経過する前において(ステップS116−No)、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上となる場合(ステップS114−No)、電磁弁27への電力の供給停止が維持され、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefで維持される。
また、ステップS111で、電磁弁27へ電力が供給されていると判断された場合は(ステップS111−No)、ステップS121の判断が行われる。この際、ネガティブレギュレータ(吐出量調整部)37にパイロット油は供給され、ネガティブレギュレータ37は作動されている。このため、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefより小さくなる。
ステップS121では、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給開始から規定供給時間Δsref経過したか否か(電磁弁27への電力の供給が規定供給時間Δsrefより長く継続されているか否か)を判断する。すなわち、ネガティブレギュレータの作動に起因して容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが規定吐出量Frefより小さくなってから、規定供給時間Δsref経過したか否かが判断される。規定供給時間Δsref経過していない場合は(ステップS121−No)、車体制御部20は、ステップS126の処理を行う。
規定供給時間Δsref経過している場合は(ステップS121−Yes)、車体制御部20は、規定観察時間Δprefの間だけ負荷率τの経時的な変化を観察する(ステップS122)。そして、車体制御部20は、規定観察時間Δprefの間での負荷率τの平均である平均負荷率τaveを算出する(ステップS123)。そして、車体制御部20は、規定観察時間Δprefの終了時での負荷率τが平均負荷率τaveより大きいか否かを判断する(ステップS124)。すなわち、負荷率τの観察結果に基づいて、車体制御部20は、ステップS124の判断を行う。
負荷率τが平均負荷率τaveより大きい場合は(ステップS124−Yes)、規定観察時間Δprefの間での負荷率τの観察において、負荷率τが経時的に増加傾向を示したと判断される。負荷率τが経時的に増加傾向を示すと判断されることにより、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給を停止する(ステップS125)。これにより、電磁弁27の作動状態が切替わり、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給が停止される。これにより、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefになる。したがって、規定観察時間Δprefの間での負荷率τの観察結果に対応させて、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが規定吐出量Frefになる状態にネガティブレギュレータ(吐出量調整部)37へのパイロット油の供給状態を制御する。すなわち、車体制御部20は、負荷率τの経時的な観察において負荷率τが経時的に増加傾向を示すことに少なくとも対応させて 、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが規定吐出量Frefになる状態にネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給状態を制御する。
一方、ステップS126では、車体制御部20は、電磁弁27への電力の供給を維持する。これにより、ネガティブレギュレータ37へのパイロット油の供給も維持され、ネガティブレギュレータ37の作動も維持される。このため、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefより小さい状態で維持される。例えば、規定観察時間Δprefの終了時でのエンジン2の負荷率τが規定観察時間Δprefの間での平均負荷率τave以下の場合(ステップS124−No)、負荷率τは経時的に減少傾向を示すと判断される。このため、電磁弁27への電力の供給が維持され、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは、規定吐出量Frefより小さい状態で維持される。
制御弁12からアクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態では、アクチュエータ13は作動せず、アクチュエータ13の作動に起因する動作の負荷がエンジン2に作用しない。このため、制御弁12の中立状態では、制御弁12の第1の供給状態及び第2の供給状態に比べて、エンジン2の負荷率τが小さくなる。本実施形態では、図3に示す処理によって、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さくなることに少なくとも対応させて、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fを小さくしており、制御弁12からセンターバイパスラインを通過した作動油の油圧等に基づく容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整は行われない。エンジン2の負荷率τに基づいて吐出油の吐出量Fが調整されるため、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fがある程度小さい場合でも、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが小さくなる状態に、ネガティブレギュレータ(流量調整部)37へのパイロット油の供給状態が制御される。すなわち、本実施形態では、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において、適切にネガティブレギュレータ(流量調整部)37が作動され、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは確実に(規定吐出量Frefより)小さく保たれる。アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが小さくなることにより、制御弁12の中立状態でのエンジン2への負荷がさらに小さくなり、エンジン2での燃費を向上させることができる。
また、ネガティブレギュレータ37には、制御弁12に供給される作動油が通過するセンターバイパスライン11及び作動油供給ライン15とは異なる油圧ラインである第1のパイロット油供給ライン31及びレギュレータパイロットライン38を通して、パイロット油が供給される。このため、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量F(すなわち、制御弁12への作動油の供給量)に関係なく、ネガティブレギュレータ37にパイロット油を適切に供給可能であり、ネガティブレギュレータ37を適切に作動することができる。
また、本実施形態では、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続したことに対応させて、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fを規定吐出量Frefより小さくしている。このため、アクチュエータ13に作動油が供給されている状態において瞬時的にエンジン2の負荷率τが小さくなった場合でも、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fは小さくならない。これにより、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態、及び、アクチュエータ13への作動油の供給量が少ない状態においてのみ、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fを安定して小さく調整することができる。
また、アクチュエータ13に作動油が供給される制御弁12の第1の供給状態及び第2の供給状態では、エンジン2の負荷率τの経時的な観察結果から、負荷率τが経時的に増加傾向を示すことに少なくとも対応させて、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fを大きくしている。エンジン2の負荷率τに基づいて容量可変ポンプ10から吐出油が吐出されるため、アクチュエータ13に作動油が供給される状態において、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが大きくなる状態に、ネガティブレギュレータ(流量調整部)37へのパイロット油の供給状態が制御される。アクチュエータ13に作動油が供給されている状態において、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量F(すなわち、制御弁12への作動油の供給量)が大きくなると、アクチュエータ13への作動油の供給量も大きくなる。これにより、エンジン2の負荷率τの増大に対応させて適切にアクチュエータ13での作業量(作動速度及び圧力)を増大させることができる。
また、車体制御部20は、エンジン2の回転数R、吐出油の温度T及びその他の周辺環境に基づいて、基準負荷率τrefを設定している。このため、エンジン2の回転数R、吐出油の温度Tが変化した場合でも、回転数R及び温度Tに対応させて、適切な値に基準負荷率τrefを設定することができる。
また、本実施形態では、制御弁12からセンターバイパスラインを通過した作動油の油圧等に基づく容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整は行われないため、制御弁12においてセンターバイパスラインを通過した作動油の油圧を検知するセンサ、配管等を設ける必要はない。このため、ポンプ制御システム1において、作動油(吐出油)、パイロット油の油圧ラインの構成が複雑にならない。このため、ポンプ制御システム1の製造コストを抑えることができるとともに、ポンプ制御システム1のメンテナンスにおける時間及びコストも抑えることができる。
また、図3に示す処理は車体制御部20のみによって行われるため、車体制御部20と建設機械の既存のエンジン制御部7との間を通信可能にすればよく、エンジン制御部7に特別な改良を施す必要はない。したがって、建設機械の作業特性に適応させて車体制御部20に記憶される基準負荷率τrefの設定範囲を調整するだけで、前述の制御を実現することができる。
また、図4に示すように、エンジン2の回転数Rの調整処理においては、車体制御部20は、エンジン2がエンジン制御部7によって通常速度モードで制御されているか否かを判断する(ステップS131)。すなわち、エンジン制御部7が、通常速度モードで制御を行っているか、又は、低速度モード(オートスローモード)で制御を行っているかを判断する。
エンジン制御部7が通常速度モードでエンジン2を制御している場合は(ステップS131―Yes)、車体制御部20は、回転センサ5で検出されるエンジン2の回転数R及び温度センサ21で検出される吐出油の温度Tを取得し(ステップS132)、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに基づいてエンジン2の負荷率τである基準負荷率τrefを設定する(ステップS133)。基準負荷率τrefの設定は、図3のステップS113と同様に、例えば図5に示すエンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに対する設定される基準負荷率τrefの関係に基づいて、行われる。なお、エンジン制御部7が通常速度モードでエンジン2を制御している場合は(ステップS131―Yes)、エンジン2の回転数Rは大きくなる。
基準負荷率τrefが設定されると、図3に示す吐出油の吐出量Fの調整処理と同様に、車体制御部20は、エンジン2の実際の負荷率τが基準負荷率τrefより小さいか否かを判断し(ステップS134)、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さいか否かを判断する(ステップS135)。そして、車体制御部20は、ステップS134の判断及びステップS135の判断の開始から基準となる基準時間Δtref経過しているか否かを判断する(ステップS136)。判断の開始から基準時間Δtref経過していない場合には(ステップS136−No)、ステップS134に戻り、ステップS134の判断及びステップS135の判断が経時的に繰替えし行われる。したがって、図3のステップS114〜S116と同様に、ステップS134〜S136によって、車体制御部20は、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続したか否かを、判断する。
エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さく、かつ、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εrefより小さい状態が基準時間Δtrefより長く継続した場合は(ステップS134−Yes及びステップS135−Yes及びステップS136−Yes)、車体制御部20は、エンジン制御部7でのエンジン2の制御を低速度モードに切替える(ステップS137)。エンジン制御部7でのエンジン2の制御の低速度モードへの切替えは、車体制御部20からの回転数Rに関する制御指令に基づいて、行われる。低速度モードへ切替わることにより、エンジン2の回転数Rが小さくなる。
一方、ステップS134の判断及びスッテプS135の判断開始から基準時間Δtref経過する前において(ステップS136−No)、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上となる場合(ステップS134−No)、又は、エンジン2の負荷率τの変動幅εが基準変動値εref以上になる場合は(ステップS135−No)、車体制御部20は、エンジン制御部7によるエンジン2の通常速度モードでの制御を維持する(ステップS138)。エンジン制御部7によるエンジン2の制御が通常速度モードで維持されるため、エンジン2の回転数Rは大きい状態で維持される。
また、ステップS131で、エンジン制御部7によってエンジン2が低速度モードで制御されていると判断された場合は(ステップS131−No)、ステップS141の処理が行われる。この際、エンジン2の回転数Rは小さくなる。
ステップS141では、車体制御部20は、エンジン制御部7による低速度モードでの制御開始から規定制御時間Δqref経過したか否か(低速度モードでの制御が規定制御時間Δqref継続しているか否か)を判断する。規定制御時間Δqref経過している場合は(ステップS141−Yes)、車体制御部20は、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tを取得し(ステップS142)、エンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに基づいて、基準負荷率τrefを設定する(ステップS143)。基準負荷率τrefの設定は、ステップS133及び図3のステップS113と同様に、例えば図5に示すエンジン2の回転数R及び吐出油の温度Tに対して設定される基準負荷率τrefの関係に基づいて、行われる。規定制御時間Δqref経過していない場合は(ステップS141−No)、車体制御部20は、ステップS146の処理を行う。
基準負荷率τrefが設定されると(ステップS143)、車体制御部20は、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上であるか否かを判断する(ステップS144)。エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さい場合は(ステップS144−No)、車体制御部20は、ステップS146の処理を行う。一方、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上である場合は(ステップS144−Yes)、車体制御部20は、エンジン制御部7でのエンジン2の制御を通常速度モードに切替える(ステップS145)。エンジン制御部7でのエンジン2の制御の通常速度モードへの切替えは、車体制御部20からの回転数Rに関する制御指令に基づいて、行われる。通常速度モードへ切替わることにより、エンジン2の回転数Rが大きくなる。
一方、ステップS146では、車体制御部20は、エンジン制御部7によるエンジン2の低速度モード(オートスローモード)での制御を維持する。エンジン制御部7によるエンジン2の制御が低速度モードで維持されるため、エンジン2の回転数Rは小さい状態で維持される。
本実施形態では、図4に示す処理によって、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さくなることに少なくとも対応させて、エンジン2の回転数Rを小さくしている。エンジン2の負荷率τに基づいてエンジン2の回転数Rが調整されるため、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において、エンジン2の回転数Rが小さくなる状態に、エンジン制御部7に制御指令が伝達され、エンジン2が制御される。すなわち、本実施形態では、アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において、エンジン2の回転数Rは確実に小さく保たれる。アクチュエータ13に作動油が供給されない制御弁12の中立状態において容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fが小さくなることに加えてエンジン2の回転数Rが小さくなることにより、制御弁12の中立状態でのエンジン2への負荷がさらに小さくなり、エンジン2での燃費がさらに向上する。
また、本実施形態では、図4に示す処理によって、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τref以上であることに少なくとも対応させて、エンジン2の回転数Rを大きくしている。エンジン2の負荷率τに基づいてエンジン2の回転数Rが調整されるため、アクチュエータ13に作動油が供給される状態において、エンジン2の回転数Rが大きくなる状態に、エンジン制御部7に制御指令が伝達される。アクチュエータ13に作動油が供給されている状態において、エンジン2の回転数Rが大きくなると、容量可変ポンプ10の作動量も大きくなるため、制御弁12への作動油の供給量が大きくなり、アクチュエータ13への作動油の供給量も大きくなる。これにより、エンジン2の負荷率τの増大に対応させてより適切にアクチュエータ13での作業量(作動速度及び圧力)を増大させることができる。
また、本実施形態では、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整及びエンジン2の回転数Rの調整の両方が、エンジン制御部7で算出されるエンジン2の負荷率τに基づいて行われる。このため、車体制御部20によって、容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整及びエンジン2の回転数Rの調整の両方が行われる場合でも、車体制御部20の構成が複雑にならない。このため、車体制御部20の製造コストを抑えることができるとともに、車体制御部20のメンテナンスにおける時間及びコストも抑えることができる。
(変形例)
なお、ある変形例では、図4に示すエンジンの回転数Rの調整処理は行われなくてもよい。ただし、この場合も、図3に示す容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整処理は行われる。
また、図3に示す容量可変ポンプ10からの吐出油の吐出量Fの調整処理において、ある変形例では、電磁弁27への電力の供給が停止されている場合に(ステップS111−Yes)、ステップS115〜ステップS117の判断が行われなくてもよい。この場合、エンジン2の負荷率τが基準負荷率τrefより小さくなると(ステップS114―Yes)、電磁弁27への電力の供給が開始される(ステップS118)。また、ある変形例では、図3のステップS123及びステップS124の処理の代わりに別の処理を用いて、エンジン2の負荷率τの経時的な変化の観察において負荷率τが経時的に増加傾向を示すか否かが、判断されてもよい。この場合も、負荷率τが経時的に増加傾向を示すことに少なくとも対応させて、電磁弁27への電力の供給が停止される。
第1の実施形態では、ネガティブレギュレータ37に供給されるパイロット油は容量可変ポンプ10とは異なるパイロットポンプ25から吐出されるが、これに限るものではない。例えばある変形例では、ポンプ制御システム1は、減圧弁41を備え、容量可変ポンプ10から吐出された吐出油の一部は、分岐ライン42を通して減圧弁41に供給される。本変形例でも、吐出油の一部は、アクチュエータ13を作動可能な作動油として、センターバイパスライン11及び作動油供給ライン15を通して制御弁12に供給される。また、本変形例では、減圧弁41から油タンク8までサブ回収ライン43が延設され、減圧弁41から電磁弁27までパイロット油供給ライン45が延設されている。そして、本変形例でも、電磁弁27からネガティブレギュレータ37までレギュレータパイロットライン38が延設されている。
減圧弁41は、ネガティブレギュレータ37を作動可能なパイロット油をパイロット油供給ライン45に吐出させる。減圧弁41では、容量可変ポンプ10から分岐ライン42への油の流入量(すなわち、容量可変ポンプ10の吐出油の吐出量F)に関係なく、パイロット油供給ライン45へのパイロット油の吐出量を一定に保つ。すなわち、減圧弁41では、上流側からの油の供給量に関係なく、下流側へのパイロット油の流出量が一定に保たれる。本変形例でも、パイロット油は、制御弁12に供給されるまでに作動油が通過するセンターバイパスライン11及び作動油供給ライン15とは異なる油圧ラインであるパイロット油供給ライン45及びレギュレータパイロットライン38を通して、ネガティブレギュレータ37に供給される。すなわち、制御弁12を通過する作動油とは異なる油圧ラインを通して、ネガティブレギュレータ37にパイロット油が供給される。
前述の実施形態等では、ポンプ制御システム(1)は、発動されることにより動力が発生するエンジン(2)と、エンジンが発動されることにより作動され、作動されることにより吐出油を吐出する容量可変ポンプ(10)と、容量可変ポンプ(10)から吐出油が吐出されている状態においてアクチュエータ(13)を作動可能な作動油が供給され、アクチュエータ(13)への作動油の供給状態を制御する制御弁(12)と、エンジン(2)が発動されている状態において、エンジン(2)での燃料の噴出を制御するとともに、エンジン(2)の負荷率(τ)を経時的に算出するエンジン制御部(7)と、を備える。また、ポンプ制御システム(1)には、制御弁(12)を通過する作動油とは異なる油圧ライン(31,38;45,38)を通してパイロット油を供給可能であり、パイロット油の供給状態に対応して作動状態が変化することにより、容量可変ポンプ(10)からの吐出油の吐出量(F)を変化させる吐出量調整部(37)が、設けられている。そして、車体制御部(20)は、エンジン制御部(7)で算出されるエンジン(2)の負荷率(τ)に基づいて、吐出量調整部(37)へのパイロット油の供給状態を制御し、エンジン(2)の負荷率(τ)が基準となる基準負荷率(τref)より小さいことに少なくとも対応させて 、容量可変ポンプ(10)からの吐出油の吐出量(F)が規定吐出量(Fref)より小さくなる状態に、吐出量調整部(37)へのパイロット油の供給状態を制御する。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は前述の実施形態等に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形ができることは、もちろんである。