JP5273662B2 - エンジンアクセル制御方法 - Google Patents

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本発明は、アイソクロナス制御方式のエンジンにおけるエンジンアクセル制御方法に関する。
アクセルダイヤルにより設定したアクセルダイヤルポジションが高い場合は、負荷に応じてエンジンアクセルを自動的にシフトさせ、軽負荷時は低燃費かつ低騒音、重負荷時はそれに対応する高出力の各特性を両立させるように制御するエンジンアクセル制御方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−232137号公報(第1頁、図3)
ドループ制御の場合は、図4に示されるように待機状態がハイアイドルであるのでエンジン回転数に余裕があるが、図5に示されるように負荷が作用してエンジン出力が変化しても一定のエンジン回転数を保つことができるアイソクロナス制御の場合は、待機状態が定格回転数であり、ここからエンジン回転数が低下すると、エンジンストールを起こしやすい問題がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、エンジンのアイソクロナス制御において、急負荷投入時のエンジンストールを防止できるエンジンアクセル制御方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載された発明は、作業機械に搭載されたエンジンのアイソクロナス制御において、エンジンの負荷状態を判定し、負荷状態が重負荷域である場合は、エンジンアクセルをアクセルダイヤルにより設定した設定アクセルポジションに制御し、負荷状態が重負荷域でない場合は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションより低いアクセルポジションに自動的にシフトさせ、作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態に自動的にシフトさせるエンジンアクセル制御方法である。
請求項2に記載された発明は、請求項1のエンジンアクセル制御方法において、作業機械を動かす操作レバーからの入力信号の有無を判定して、この入力信号のない時はエンジンアクセルを設定アクセルポジションにシフトさせる制御方法である。
請求項1に記載された発明によれば、負荷状態に応じてエンジンアクセルを設定アクセルポジションか、より低いアクセルポジションに適切にシフトさせ、軽負荷時は低燃費かつ低騒音を図り、重負荷時は高出力を得ることができるとともに、作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態に自動的にシフトさせるので、設定アクセルポジションに予め切換えておくことにより急負荷投入時に設定アクセルポジションの高出力状態へと直ちに対応でき、急負荷投入時のエンジンストールを防止できる。
請求項2に記載された発明によれば、作業機械を動かす操作レバーからの入力信号の有無を判定して、設定アクセルポジションへの切換を確実に行なえる。
本発明に係るエンジンアクセル制御方法の一実施の形態を示すエンジン回転数−出力特性の特性図である。 同上制御方法に用いるエンジンアクセル制御システムの一実施の形態を示すブロック図である。 同上制御方法の一制御例を示すフローチャートである。 一般的なドループ制御をエンジン回転数−出力特性で示す特性図である。 一般的なアイソクロナス制御をエンジン回転数−出力特性で示す特性図である。
以下、本発明を、図1乃至図3に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
図2は、エンジンアクセル制御装置の概要を示し、油圧ショベルなどの作業機械に搭載されたエンジン11と、このエンジン11により駆動される複数の可変容量形のメインポンプ12(ドライブポンプ12aおよびアイドルポンプ12b)との関係を表わしている。
エンジン11は、燃料噴射制御用にエンジン回転数(回転速度)を検出する回転数センサ13と、電子ガバナ、または制御モータにより電気的に制御可能なメカニカルガバナなどの速度制御用のガバナ14とを備え、これらの回転数センサ13およびガバナ14は、燃料噴射制御用のエンジンコントローラ15に接続されている。
可変容量形のメインポンプ12は、作業機械を作動させる油圧アクチュエータ(油圧モータおよび油圧シリンダ)に作動油を供給するもので、ポンプ容量可変手段としての斜板の傾転角位置をポンプ容量制御位置として検出する斜板位置センサ16a,16bと、ポンプ吐出圧力を検出するポンプ圧力センサ17a,17bとを備え、これらの斜板位置センサ16a,16bおよびポンプ圧力センサ17a,17bは、機体コントローラ18に接続されている。
この機体コントローラ18には、作業機械の油圧アクチュエータ(油圧シリンダおよび油圧モータ)を制御するコントロール弁をパイロット操作する操作レバー19と、エンジン回転数が異なる複数のエンジン回転数−出力特性を複数段階のアクセルポジションで設定するアクセルダイヤル20とが接続されている。
エンジンコントローラ15と機体コントローラ18は、接続されて相互に情報のやりとりをする。これらのエンジンコントローラ15および機体コントローラ18を、コントローラ21とする。
このコントローラ21のうち、機体コントローラ18は、アクセルダイヤル20で設定された設定アクセルポジションを読込み、エンジンコントローラ15からエンジン燃料噴射状況を負荷情報として取込み、斜板位置センサ16a,16bおよびポンプ圧力センサ17a,17bから、ポンプ斜板位置およびポンプ圧力を負荷情報として取込み、操作レバー19からレバー入力の有無情報を取込み、負荷状態が重負荷域にあるか、それ以下の負荷域にあるかを判定し、アクセルポジションを自動的にシフト制御する機能を備えている。
エンジンコントローラ15は、機体コントローラ18で決定されたアクセルポジションと、回転数センサ13から得られたエンジン回転数とを受けて、図1に示されたアイソクロナス制御を行なうようにガバナ14を制御し、燃料噴射量およびタイミングなどを制御する機能を備えている。
機体コントローラ18のメモリには、下記の表1に示されたアクセル制御テーブルが記憶されている。これらの表中の数値は、%である。
Figure 0005273662
この表1は、アクセルダイヤルポジションが100%または90%に設定された高アクセルダイヤル域のみで負荷状態に応じたアクセル自動シフト制御が適用される例を示す。
次に、図1に示されたエンジン特性図を参照しながら、本エンジンアクセル制御方法の概念を説明する。
設定アクセルポジション(アクセルダイヤルポジション)が100%の場合、エンジンスタート時には、アクセルポジションは自動的に90%に設定され、低燃費、低騒音で稼働させる。負荷状態が中負荷状態になった場合は、アクセルポジションを自動的に95%に設定し、負荷状態が高い重負荷状態になった場合は、アクセルポジションを自動的に100%に設定し、高出力を得るようにする。一方、作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジション100%の低出力状態に自動的にシフトさせる。
要するに、作業機械に搭載されたエンジン11のアイソクロナス制御において、このエンジン11の負荷状態を判定し、負荷状態が重負荷域である場合は、エンジンアクセルをアクセルダイヤル20により設定した設定アクセルポジションに制御し、負荷状態が重負荷域でない場合は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションより低いアクセルポジションに自動的にシフトさせるが、作業機械を動かす入力信号が全くない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態に自動的にシフトさせる。
設定アクセルポジションは、重負荷時アクセルであり、設定アクセルポジションより低いアクセルポジションは、中負荷時アクセルおよび軽負荷時アクセルである。
作業機械を動かす入力信号は、操作レバー19を中立位置から動かす操作により発生する信号であり、操作レバーに設けられたスイッチまたは角度センサなどによりレバー操作の有無を直接検知する信号でも良いし、または、作業機械の油圧アクチュエータを制御するコントロール弁のパイロット操作圧を検出する圧力スイッチまたは圧力センサによりレバー操作の有無を検知する信号でも良い。
要するに、機体コントローラ18は、作業機械を動かす操作信号の有無を直接または間接的に判定して、この入力信号のない時はエンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態にシフトさせる。
また、負荷状態の判定方法は、エンジン11の出力値(エンジンコントローラ15から得たエンジン燃料噴射状況、またはポンプ圧力センサ17a,17bにより検出されたメインポンプ12のポンプ圧力および斜板位置センサ16a,16bにより検出されたポンプ斜板位置の情報等から予測する値)またはその移動平均と、メインポンプ12のポンプ圧力またはその移動平均(複数の場合はその平均)とにより、または、これらの組合わせにより、機体コントローラ18が負荷状態を判定する。
エンジン11の燃料噴射状況から出力値を把握する場合は、エンジンコントローラ15が有するエンジン燃料噴射情報(燃料噴射量、タイミングなど)を、エンジンコントローラ15から機体コントローラ18が得るようにする。ポンプ圧力は、メインポンプ12のポンプ吐出ラインに設置されたポンプ圧力センサ17a,17bにより検出する。
エンジン燃料噴射状況から把握される出力値は、スタティックな負荷情報であり、メインポンプ12から吐出されたポンプ圧力またはその移動平均は、ダイナミックな負荷情報である。
負荷状態の他の判定方法は、エンジン11に接続された可変容量型のメインポンプ12から吐出されるポンプ圧力およびポンプ容量制御位置から把握される出力値またはその移動平均と、ポンプ圧力またはその移動平均とにより負荷状態を判定する。
ポンプ容量制御位置は、ポンプ斜板に対して設置されたストロークセンサまたは角度センサなどの斜板位置センサ16a,16bや、斜板制御用レギュレータの制御信号などから検出したポンプ斜板位置である。ポンプ圧力およびポンプ斜板位置から把握される出力値は、ポンプ圧力とポンプ流量の積であるポンプ出力であり、これは、スタティックな負荷情報である。
次に、図1に示されたエンジン特性図によって負荷判定の具体例を説明する。
メインポンプ12のポンプ圧力の移動平均が閾値(16MPa)以上か、または、出力値の移動平均が最大出力の閾値(70%)以上の状態が3秒継続した場合は、機体コントローラ18は重負荷であると判定する。
一方、軽負荷時アクセルで稼働している時、出力値の移動平均が最大出力の閾値(60%)以上の状態が3秒継続した場合は、機体コントローラ18は中負荷であると判定する。
重負荷時アクセルで稼働している時、出力値の移動平均が最大出力の閾値(60%)以下の状態が3秒継続した場合は、機体コントローラ18は中負荷であると判定する。
中負荷時アクセルで稼働している時、出力値の移動平均が最大出力の閾値(50%)以下の状態が3秒継続した場合は、機体コントローラ18は軽負荷であると判定する。
次に、本発明に係るエンジンアクセル制御方法の一制御例を、図3に示されたフローチャートを参照して説明する。
(ステップ1)
機体コントローラ18は、アクセルダイヤル20で設定された設定アクセルポジション(すなわちアクセルダイヤルポジション)を読込む。
(ステップ2)
機体コントローラ18は、メモリに記憶されたアクセル制御テーブルからの制御が必要か否かを判定する。
(ステップ3)
必要でなければ、アクセルダイヤル20で設定された各アクセルダイヤルポジションに応じたアクセルに設定する。
(ステップ4)
アクセル制御テーブルからの制御が必要であれば、先ず、各アクセルダイヤルポジションの重負荷時アクセルの低出力状態に設定する。
(ステップ5)
機体コントローラ18により、負荷情報(エンジン燃料噴射状況、ポンプ圧力およびポンプ斜板位置の情報等)から負荷状態を算出するとともに、作業機械を操作する操作レバー19からの入力状況を処理する。
(ステップ6)
操作レバー19からの入力の有無を判定し、操作レバー入力無しの場合、すなわち操作レバー19が中立位置にあって、作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、ステップ4に戻り、エンジンアクセルを重負荷時アクセルの低出力状態に設定する。
(ステップ7)
ステップ6の判定で、操作レバー入力有りの場合は、作業機械を稼働しているので、負荷判定結果に応じたアクセルポジションにシフトさせる。
そして、この実施の形態によれば、負荷状態に応じてエンジンアクセルを設定アクセルポジションか、より低いアクセルポジションに適切にシフトさせ、軽負荷時は低燃費かつ低騒音を図り、重負荷時は高出力を得ることができるとともに、作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態に自動的にシフトさせるので、設定アクセルポジションに予め切換えておくことにより急負荷投入時に設定アクセルポジションの高出力状態へと直ちに対応でき、急負荷投入時のエンジンストールを防止できる。また、作業機械を動かす操作レバー19からの入力信号の有無を判定して、設定アクセルポジションへの切換を確実に行なえる。
本発明は、エンジン負荷が変動しやすい作業機械などのエンジンアクセル制御方法に利用可能である。
11 エンジン
19 操作レバー
20 アクセルダイヤル

Claims (2)

  1. 作業機械に搭載されたエンジンのアイソクロナス制御において、エンジンの負荷状態を判定し、
    負荷状態が重負荷域である場合は、エンジンアクセルをアクセルダイヤルにより設定した設定アクセルポジションに制御し、
    負荷状態が重負荷域でない場合は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションより低いアクセルポジションに自動的にシフトさせ、
    作業機械を動かす入力信号のない無負荷時は、エンジンアクセルを設定アクセルポジションの低出力状態に自動的にシフトさせる
    ことを特徴とするエンジンアクセル制御方法。
  2. 作業機械を動かす操作レバーからの入力信号の有無を判定して、この入力信号のない時はエンジンアクセルを設定アクセルポジションにシフトさせる
    ことを特徴とする請求項1記載のエンジンアクセル制御方法。
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