JP4838085B2 - 建設機械のエンジン制御装置 - Google Patents

Description

本発明は建設機械のエンジン制御装置に関するものであり、特に、油圧ポンプの作動油の温度が低いときのエンストを防止するようにした建設機械のエンジン制御装置に関するものである。

従来、此種建設機械のエンジン制御装置は、エンジンによって駆動される油圧ポンプを搭載し、該油圧ポンプの油圧により作業用及び走行用の各種油圧アクチュエータを作動し、且つ、前記エンジンの回転数をコントローラにより制御するように構成されている。

一般に、前記エンジンのアイドル運転時において、省エネ、低騒音及び低振動の観点からエンジン回転数は極力低くなるように設定される。しかし、前記油圧ポンプの作動油の温度が低い低温時には該作動油の粘性が高くなり、それに伴い油圧ポンプの負荷トルクも急激に上昇する。その結果、該油圧ポンプの負荷トルクに対して前記エンジンの出力トルクが不足してエンジンダウン（以下、エンストという）を起こすことがあった。

前記エンストを防止するため、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、油圧ポンプに接続された電磁式の比例弁及び傾転駆動部（ポンプレギュータ）と、該油圧ポンプの作動油の温度を検出する温度センサと、前記比例弁及び傾転駆動部を介して油圧ポンプの吐出流量を制御する制御手段とを設け、作動油の温度が予め設定された温度に達しない低温域では、エンジン回転数に対するポンプ流量を所定値以下に減少させることにより、低温時における油圧ポンプの馬力制御を行うように構成したものが知られている（例えば、特許文献１参照）。
特開２００２−３６４６０３号公報。

上記従来技術は、作動油の温度が所定温度に達しない低温時には、常温時よりもポンプ馬力を低く設定する馬力制御を行うために、エンジンの負担が軽減され、低温下でエンストを防止することができる。しかし、この構成によると、迅速正確な制御応答性を確保し難い上に、制御プログラムが複雑になるという問題がある。

そこで、低温運転時における負荷トルクの上昇によるエンストを防止し、且つ、迅速正確な制御応答性を確保し、複雑な制御プログラムを不要にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。

本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項１記載の発明は、エンジンにより油圧ポンプを駆動し、且つ、該エンジンの回転数をコントローラにより制御するように構成し、前記油圧ポンプの作動油の温度を検出し、該検出値を前記コントローラに送信する油温センサを備えて成る建設機械のエンジン制御装置において、前記油圧ポンプの吐出圧を常温時に掘削作業を行う際に必要な大きさの高圧又は前記高圧よりも低い低圧に設定するリリーフ弁と、前記コントローラの昇圧指令信号により該リリーフ弁の設定圧を高圧に切換え制御する電磁切換弁とから成る昇圧手段を設け、前記コントローラは、該油温センサの検出値が所定温度よりも低いときには該昇圧指令信号を前記昇圧手段の電磁切換弁に出力しないように構成して成る建設機械のエンジン制御装置を提供する。

この構成によれば、前記エンジンのアイドル運転操作において、油圧ポンプの作動油の温度は油温センサにより検出され、その検出値はコントローラに送信される。
その結果、該検出値が所定温度よりも高い常温状態の場合は、コントローラから電磁切換弁に昇圧指令信号が出力され、リリーフ弁のリリーフ圧を所定値よりも高い高圧に設定する。これにより、油圧ポンプの吐出圧が高圧に制御される。
一方、油温センサの検出値が所定温度よりも低い低温状態の場合は、コントローラから電磁切換弁に昇圧指令信号は出力されない。然るときは、リリーフ弁の設定圧が上昇しないため、油圧ポンプの吐出圧は低圧に保持される。

請求項１記載の発明は、低温時のアイドル運転操作の際に油圧ポンプの吐出圧が上昇しないので、油圧ポンプの負荷トルクが増大せず、そのため、作動油の粘性が高いときでも、負荷トルクに対してエンジンの出力トルクが不足せず、エンストを未然に防止することができる。
特に、低温時には、電磁切換弁及びリリーフ弁により、油圧ポンプの吐出圧を低圧に設定するので、前記油圧ポンプの負荷トルクの増大を一層確実に抑止することができる。
又、昇圧指令信号の出力をカットするのみで負荷トルクの上昇を抑止できるので、迅速正確な制御応答性を確保でき、且つ、複雑な制御プログラムが不要になる。
一方、油温が所定温度よりも高い常温状態の場合、コントローラは昇圧指令信号を昇圧手段の電磁切換弁に出力して、リリーフ弁の設定圧を高圧に設定することで、油圧ポンプの吐出圧を上昇させるので、掘削作業を行う際に必要な大きさの油圧を出力することができる。

本発明は、低温時における負荷トルクの急上昇によるエンストを防止し、且つ、迅速正確な制御応答性を確保でき、複雑な制御プログラムを不要にするという目的を、エンジンにより油圧ポンプを駆動し、且つ、該エンジンの回転数をコントローラにより制御するように構成し、前記油圧ポンプの作動油の温度を検出し、該検出値を前記コントローラに送信する油温センサを備えて成る建設機械のエンジン制御装置において、前記油圧ポンプの吐出圧を常温時に掘削作業を行う際に必要な大きさの高圧又は前記高圧よりも低い低圧に設定するリリーフ弁と、前記コントローラの昇圧指令信号により該リリーフ弁の設定圧を高圧に切換え制御する電磁切換弁とから成る昇圧手段を設け、前記コントローラは、該油温センサの検出値が所定温度よりも低いときには該昇圧指令信号を前記昇圧手段の電磁切換弁に出力しないように構成したことによって達成した。

以下、本発明の好適な実施例を図１乃至図２に従って説明する。尚、本実施例は、建設機械としてアーム、ブーム及びバケット等を具備する油圧ショベルに適用したものであるが、油圧ショベルに限定せられるべきではない。

図１は、本実施例に係る建設機械のエンジン制御装置を示す油圧回路図である。同図において、１は油圧ショベルに搭載されたエンジン、例えばディーゼルエンジンであって、エンジン１にはガバナの回転数作動位置を任意に調整するエンジンコントローラ２が設けられている。又、エンジン１にはエンジン回転数を検出する回転数センサ３が設けられている。該回転数センサ３及びエンジンコントローラ２は、油圧ショベル全体の動作を統括して制御するコントローラ４の入力部に結線されている。

従って、前記コントローラ４からエンジンコントローラ２に回転数指令信号が出力されると、エンジン１の回転数は所定値に制御される。又、コントローラ４は記憶部４ａを備え、該記憶部４ａには回転数センサ３及び油温センサ（後述）１５の検出値が記憶される
。

前記エンジン１の出力軸には可変容量型の（メイン）油圧ポンプ５が駆動可能に連結され、油圧ポンプ５の吐出量は図示しないレギュレ−タにより調節される。又、油圧ポンプ５の下流側の油路６には油圧アクチュエータ用のコントロール弁７，８，９が配設され、これらコントロール弁７，８，９はこの順で直列に接続されている。

更に、該コントロール弁７，８，９にはそれぞれ各種の油圧アクチュエータ（図示せず）、例えば、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダが接続されている。尚、１０はコントロール弁９の下流側に絞り部１１を介して接続された油タンクである。

油圧ポンプ５とコントロール弁７の間の油路６には分岐油路１２が接続され、該分岐油路１２には高圧又は低圧に設定可能な２段式リリーフ弁若しくは電磁比例リリーフ弁（以下、単にリリーフ弁という）１３が接続されている。該リリーフ弁１３により油圧ポンプ５の吐出圧を高圧又は低圧に保持する。

更に、リリーフ弁１３には電磁切換弁１４が接続され、該電磁切換弁１４はコントローラ４に結線されている。該電磁切換弁１４及びリリーフ弁１３は、油圧ポンプ５の吐出圧を高圧に設定する昇圧手段を構成する。即ち、電磁切換弁１４は、コントローラ４の昇圧指令信号（電流供給）により位置ａから位置ｂに切り換えられることによって、リリーフ弁１３の設定圧を基準値よりも高い高圧状態に制御する。この電磁切換弁１４の切り換えは、本実施例では自動又は手動にて切り換えることができる。

前記コントローラ４には油温センサ１５が接続され、該油温センサ１５は油圧ポンプ５の作動油の温度を検出し、該検出信号はコントローラ４に送信される。そして、前記コントローラ４は油温センサ１５の検出結果に基づいて、電磁切換弁１４の動作を切り換え制御する。即ち、油温センサ１５の検出値が所定値を越える場合は、リリーフ弁１３を高圧に設定すべく、昇圧指令信号を電磁切換弁１４に出力する。逆に、油温センサ１５の検出値が所定値以下の場合は、電磁切換弁１４に昇圧指令信号を出力しない。

次に、上記エンジン制御装置の動作を図２に基づいて説明する。エンジン１のアイドル運転操作時において（ステップＳ１）、先ず、油圧ポンプ５の作動油の温度が油温センサ１５により検出される。そして、該検出値はコントローラ４に送信され、検出値が所定温度よりも高いか否かが判断される（ステップＳ２）。

その結果、該検出値が所定温度よりも高い常温状態の場合は、コントローラ４から電磁切換弁１４に昇圧指令信号が出力され、リリーフ弁１３のリリーフ圧を所定値よりも高い高圧に設定する（ステップＳ３）。これにより、油圧ポンプ５の吐出圧が高圧に制御されるため、例えば、掘削作業を行う際に必要な大きさの油圧を出力することができる（ステップＳ４）。

これに対して、油温センサ１５の検出値が所定温度よりも低い低温状態の場合は、コントローラ４から電磁切換弁１４に昇圧指令信号は出力されない（ステップＳ５）。然るときは、リリーフ弁１３の設定圧が上昇しないため、油圧ポンプ５の吐出圧は低圧に保持される（ステップＳ６）。従って、油圧ポンプ５の負荷トルクが急上昇することなく、エンジン１のアイドル運転操作が行われる。斯くして、低温運転操作に作動油の粘性が高いときでも、前記負荷トルクに対してエンジン１の出力トルクが不足しないので、エンストの発生を未然に防止することができる。

本発明は、前記昇圧指令信号の出力の有無により、油圧ポンプ５の吐出圧を切り換え制
御するので、迅速・正確な制御応答性を実現でき、且つ、複雑な制御プログラムが不要になる。

本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。

本発明の一実施例を示し、建設機械のエンジン制御装置の油圧回路図。 一実施例に係る建設機械のエンジン制御装置のフローチャート。

符号の説明

１ エンジン
２ エンジンコントローラ
３ 回転数センサ
４ コントローラ（制御手段）
４ａ 記憶部
５ 油圧ポンプ
１３ リリーフ弁（昇圧手段）
１４ 電磁切換弁（昇圧手段）
１５ 油温センサ

Claims (1)

1. エンジンにより油圧ポンプを駆動し、且つ、該エンジンの回転数をコントローラにより制御するように構成し、前記油圧ポンプの作動油の温度を検出し、該検出値を前記コントローラに送信する油温センサを備えて成る建設機械のエンジン制御装置において、
   前記油圧ポンプの吐出圧を常温時に掘削作業を行う際に必要な大きさの高圧又は前記高圧よりも低い低圧に設定するリリーフ弁と、前記コントローラの昇圧指令信号により該リリーフ弁の設定圧を高圧に切換え制御する電磁切換弁とから成る昇圧手段を設け、
   前記コントローラは、該油温センサの検出値が所定温度よりも低いときには該昇圧指令信号を前記昇圧手段の電磁切換弁に出力しないように構成したことを特徴とする建設機械のエンジン制御装置。

Images