JP6520205B2 - 半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法、それを用いた半導体ウェーハの判定方法および製造方法 - Google Patents

半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法、それを用いた半導体ウェーハの判定方法および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法、それを用いた半導体ウェーハの判定方法および製造方法ならびに半導体ウェーハに関する。
半導体デバイスは、シリコンウェーハやエピタキシャルシリコンウェーハなどの半導体ウェーハを基板材料に用いて作製される。例えば、CCDやCISといった固体撮像素子は、一般的にn型のシリコンウェーハ表面上にn型のエピタキシャル層を形成したn/nエピタキシャルシリコンウェーハが用いられている。ここで、半導体デバイスの製造工程では、Fe、Cu、Niなどの金属不純物が半導体ウェーハに混入する工程が多数含まれる。これらの金属不純物が半導体ウェーハ表面近傍の、デバイス活性領域(素子形成に使用される領域)内に存在すると、半導体デバイスのデバイス特性が劣化したり、製品の歩留まりを低下させたりする原因となる。そこで、半導体ウェーハ表層部に金属不純物が取り込まれないようにして、電気的な活性領域である半導体ウェーハ表層部への金属不純物の影響を除くための技術が開発されており、具体的にはゲッタリング技術が用いられるようになってきた。
このようなゲッタリング技術として、半導体ウェーハの内部に結晶欠陥である酸素析出物(シリコン酸化物析出物の通称であり、BMD:Bulk Micro Defectともいう。)や転位を形成するイントリンシックゲッタリング(IG)法や、イオン注入やクラスターイオン照射によりシリコンウェーハ内部にゲッタリングサイトを形成するエクストリンシックゲッタリング(EG)法が用いられている。
例えば、特許文献1には、基板内部にBMDを形成するIG法が記載されている。すなわち、固体撮像素子の製造方法において、基板に対し、600℃以上で且つ750℃以下、30分以上で且つ180分以下の第1の熱処理を行なう工程(a)と、前記工程(a)の後、前記第1の熱処理の温度よりも高い温度において熱酸化を行ない、前記基板上に熱酸化膜を形成する工程(b)と、前記工程(b)の後、前記基板に対し、1000℃以上で且つ1100℃以下、40分以上で且つ180分以下の第2の熱処理を行なう工程(c)と、前記工程(c)の後、前記基板に第1の不純物を導入し、光電変換部となる不純物層を形成する工程(d)とを備え、前記第1の熱処理の温度から前記熱酸化の温度に昇温する際に、4℃/分以下の昇温速度で昇温を開始する技術である。
また、特許文献2,3には、イオン注入またはクラスターイオン照射によりウェーハ内部にゲッタリングサイトを形成するEG法が記載されている。具体的には、特許文献2には、窒素を含有するシリコン基板を形成する工程と、前記シリコン基板の一表面に炭素をイオン注入する工程と、前記シリコン基板の表面にシリコンエピタキシャル層を形成する工程とを有する半導体基板の製造方法が開示されている。さらに、本願出願人が先に提案した特許文献3では、半導体ウェーハにクラスターイオンを照射して、該半導体ウェーハの表面に、前記クラスターイオンの構成元素からなる改質層を形成する第1工程と、前記半導体ウェーハの改質層上にエピタキシャル層を形成する第2工程と、を有することを特徴とする半導体エピタキシャルウェーハの製造方法が記載されている。同程度のドーズ量である場合、クラスターイオン照射技術により、モノマーイオン注入技術に比べて極めて強力なゲッタリング形成サイトを形成することができることを本願出願人は先に提案している。
特開2011−108860号公報 特開2002−134511号公報 特開2014−99472号公報
特許文献1〜3に記載の方法を用いることにより、デバイス製造過程で混入した金属不純物がゲッタリングサイトにゲッタリングされ、半導体デバイスの素子特性(特に電気特性)の低下を防ぐことができる。
ところで、固体撮像素子の技術分野においては、白傷の発生や暗電流の発生による動作不良が近年大きな問題となっている。その原因の多くは、Fe、Cu、Ni等の金属不純物が、デバイス活性領域として使用されるエピタキシャル層内に混入することによると知られている。そこで、強力なゲッタリング能力を有するエピタキシャルウェーハの提供が望まれており、また、これに伴い、ゲッタリング能力が付与されたシリコンウェーハのゲッタリングサイトのゲッタリング能力を確実に評価できる方法の開発が急務の状況にある。
ここで、例えば、特許文献3にも記載されているように、二次イオン質量分析法(以下、「SIMS法」という)により、半導体ウェーハの深さ方向の濃度分布測定することによって、ゲッタリング能力を評価することは知られている。しかしながら、SIMS法はデバイス活性領域内での電気的特性を直接判断するものではない。SIMS法は、ゲッタリングサイトに金属不純物が捕獲された様子を確認するものであって、デバイス活性領域内の電気的特性の良否についてはゲッタリング能力が発揮されるかどうかにより間接的に判断するに留まる。かかる電気的特性を直接判断するには、本来製品と同等のデバイス素子を作製する必要があり、時間とコストを要する。
さらに、SIMS法を用いた評価によりゲッタリング能力が良好と判断されたウェーハであっても、SIMS法はデバイス活性領域の間接的な評価方法である以上、CCDやCISの今後の更なる高感度化に伴い、実際にデバイス素子として使用した際に白傷や暗電流が発生する場合が想定される。このため、半導体ウェーハがデバイス素子として供された後の電気的特性を考慮しつつ、デバイス素子を作製する前のウェーハの状態で、半導体ウェーハのゲッタリング能力を簡便かつ正確に判断する評価手法を確立する必要性を本発明者は認識するようになった。
そこで本発明は、半導体ウェーハ表層部に製品と同等な素子を実際に作製しなくとも、半導体ウェーハの状態で、デバイス素子に供した後の電気特性を考慮したゲッタリング能力の評価方法を提供することを目的とする。また、本発明はかかる評価方法を用いた半導体ウェーハの判定方法を提供することを目的とする。さらに、本発明はかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの製造方法およびかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する方法について鋭意検討した。ここで、半導体ウェーハを実際のデバイス素子に供したとき動作環境では、200℃程度にまで温度上昇することが多い。そこで本発明者は、実際の素子動作環境における温度付近の熱処理を受けた後のゲッタリング能力を評価することで、実際にデバイス作製せずとも半導体ウェーハの状態でゲッタリング能力、ひいてはデバイス素子としての電気特性のより正確な判断ができるものと考えた。実施例において詳細を後述するが、エピタキシャルシリコンウェーハのエピタキシャル層表面を評価対象の金属不純物で強制汚染し、その後、実際の素子動作環境に近い温度で熱処理を施した後、デバイス活性領域(この場合、エピタキシャル層表層部に相当)に存在する準位(レベル)の信号をDLTS法(Deep Level Transient Spectroscopy)により測定することで、半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価することを本発明者は検討した。
その結果、強制汚染させる金属不純物が同じ元素であっても、熱処理の前後で、デバイス活性領域内でDLTS法により検出される準位が大きく変化することが判明した(詳細を後述する図4(A),(B)参照)。具体的には、熱処理を施す前には検出されていた準位レベルの信号は、熱処理を施すと検出されなくなる準位の信号(不活性化して消えてしまう不安定な準位)と、熱処理後も検出される準位の信号(不活性化しない安定な準位)とに分かれることが判明した。以下、本明細書において、かかる熱処理を経ても検出される準位のことを「安定準位」と称し、熱処理を経ることで検出されなくなる準位のことを「準安定準位」と称することとする。そして、安定準位の信号の検出有無を基準としてゲッタリング能力を評価することが、上記課題を解決することのできる評価方法として極めて有効であることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
本発明による半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法は、半導体ウェーハの表層部を、金属不純物により強制汚染する工程と、前記強制汚染を経た前記半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第1の信号強度を検出する第1の信号検出工程と、前記強制汚染を経た前記半導体ウェーハに熱処理を施した後、前記半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第2の信号強度を検出する第2の信号検出工程と、前記第1および第2の信号強度を比較し、前記金属不純物の安定準位を特定する工程と、前記安定準位において検出される前記第1および第2の信号強度のいずれか一方または両方を用いて、前記半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する工程と、を含むことを特徴とする。
を特徴とする。
ここで、前記熱処理は、前記半導体ウェーハを半導体デバイスに用いるときの素子動作環境を模擬した熱処理であることが好ましい。
さらに、前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハまたはシリコンウェーハ表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであることが好ましい。
この場合、前記シリコンウェーハまたは前記シリコンエピタキシャル層の導電型がn型であることが好ましい。
また、前記金属不純物は遷移金属であることが好ましく、前記金属不純物はFe、Cu、Ni、Cr、Mn、CoおよびZnのいずれかであることも好ましく、前記金属不純物がFeであることがより好ましい。
また、本発明による半導体ウェーハの判定方法は、上記のいずれかに記載の評価方法によって半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価し、前記安定準位におけるDLTS法による信号強度が検出下限値未満である半導体ウェーハを良品として判定することを特徴とする。
さらに、本発明による半導体ウェーハの製造方法は、第1のゲッタリング能力付与条件により形成されたゲッタリングサイトを有するサンプル半導体ウェーハのゲッタリング能力を、上記いずれかに記載の評価方法を用いて評価し、該評価に基づき、前記第1のゲッタリング能力付与条件を変更して目標ゲッタリング能力を満足する第2のゲッタリング能力付与条件を決定し、前記決定した第2のゲッタリング能力付与条件に基づき、半導体ウェーハにゲッタリングサイトを形成することを特徴とする。
また、本発明による半導体ウェーハは、ゲッタリングサイトを有し、前記半導体ウェーハの表層部に金属不純物を強制汚染した場合に、前記金属不純物の安定準位におけるDLTS法による信号強度が検出下限値未満となることを特徴とする。
ここで、強制汚染する場合の前記半導体ウェーハの表面おける前記金属不純物の汚染量は1.0×1012atoms/cm以上であることが好ましく、1.0×1015atoms/cm以下であることが好ましい。
本発明によれば、半導体ウェーハ表層部における金属不純物の安定準位を特定し、安定準位において検出される信号強度を用いるので、半導体ウェーハ表層部または半導体ウェーハのエピタキャル層表層部に製品と同等な素子を実際に作製しなくとも、半導体ウェーハの状態で、デバイス素子に供した後の電気特性を考慮したゲッタリング能力の評価方法を提供することができる。また、本発明はかかる評価方法を用いた半導体ウェーハの判定方法を提供することができる。さらに、本発明はかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの製造方法およびかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの提供することができる。
本発明の第1実施形態に従う半導体ウェーハのゲッタリング能力の評価方法を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態に従う半導体ウェーハのゲッタリング能力の評価方法を説明するフローチャートである。 本発明による半導体ウェーハの製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 参考実験例におけるエピタキシャルシリコンウェーハの、DLTS法による信号強度を示すグラフであり、(A)は熱処理を行っていないエピタキシャルシリコンウェーハのグラフであり、(B)は、熱処理を行った後のエピタキシャルシリコンウェーハのグラフである。 参考実験例において、エピタキシャルシリコンウェーハのDLTS法による信号強度の変化を示すグラフである。 エピタキシャルシリコンウェーハのDLTS法による信号強度を示すグラフであり、(A)は発明例1および比較例1の測定結果を示すグラフであり、(B)は発明例2および比較例2の測定結果を示すグラフである。 SIMS法によるエピタキシャルシリコンウェーハの深さ方向における濃度プロファイルを示すグラフであり、(A)は発明例1に係るエピタキシャルシリコンウェーハのグラフであり、(B)は比較例1に係るエピタキシャルシリコンウェーハのグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図3では説明の便宜上、実際の厚さの割合とは異なり、バルクウェーハ10に対して改質層18およびエピタキシャル層20の厚さを誇張して示す。
(第1の実施形態:評価方法)
図1のフローチャートに示されるように、本発明の第1実施形態に従う半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法は、半導体ウェーハの表層部を、金属不純物により強制汚染する工程S10と、前記強制汚染を経た前記半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第1の信号強度を検出する第1の信号検出工程S20と、前記強制汚染を経た前記半導体ウェーハに熱処理を施した後、前記半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第2の信号強度を検出する第2の信号検出工程S30と、前記第1および第2の信号強度を比較し、前記金属不純物の安定準位を特定する工程S40と、前記安定準位において検出される前記第1および第2の信号強度のいずれか一方または両方を用いて、前記半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する工程S50と、を含むことを特徴とする。以下、各工程の詳細を順に説明する。
まず、半導体ウェーハを用意する。半導体ウェーハとしては、例えばシリコン、化合物半導体(GaAs、GaN、SiC)からなり、その表面にエピタキシャル層を有しないバルクの単結晶ウェーハを用いることができる。また、その表面にエピタキシャル層を有する半導体エピタキシャルウェーハを用いることもできる。裏面照射型固体撮像素子の製造に用いる場合、シリコンウェーハの表面にシリコンエピタキシャル層を形成したエピタキシャルシリコンウェーハを用いることが一般的である。シリコンウェーハとしては、チョクラルスキ法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。なお、半導体ウェーハには炭素、窒素およびフッ素などのいずれか一つまたは全部が添加されていてもよい。さらに、任意のドーパントが所定濃度添加された、いわゆるn+型もしくはp+型、またはn−型もしくはp−型基板の半導体ウェーハを用いることもできる。
工程S10では、この半導体ウェーハの表層部を、金属不純物により強制汚染する。強制汚染は任意の方法により行うことができ、例えばスピンコート汚染法、ディップ法などが挙げられる。スピンコート汚染法の場合、半導体ウェーハの表面(半導体ウェーハが半導体エピタキシャルウェーハである場合には、エピタキシャル層の表面)に金属不純物を高濃度に含む汚染液(例えば金属硝酸溶液)を表面塗布して、金属不純物を半導体ウェーハの表面を強制的に汚染する。ディップ法の場合、金属硝酸液等に半導体ウェーハを浸漬して、金属不純物を強制的に汚染する。
汚染液は、汚染する金属不純物に応じて定まる。金属不純物の具体例としては、ニッケル(Ni),鉄(Fe),銅(Cu),リチウム(Li),クロム(Cr),コバルト(Co),チタン(Ti),モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)およびタングステン(W)からなる群より選択された1種または2種以上の金属元素を挙げることができる。詳細を後述するが、本実施形態を適用する金属不純物は遷移金属であることが好ましく、また、Fe、Cu、Ni、Cr、Mn、CoおよびZnのいずれかであることも好ましく、中でもFeであることが好ましい。また、汚染液に含まれる金属不純物の濃度は、例えば1.0×1010〜1.0×1014atoms/cm程度とすることができ、下限を1.0×1012atoms/cm程度とすることが好ましい。
工程S10において、汚染後の半導体ウェーハに含まれる金属不純物を十分に拡散させるために拡散熱処理を施すことが好ましい。この場合、半導体ウェーハを600〜1200℃程度の温度範囲で、30分〜24時間程度加熱することで、強制汚染した金属不純物を拡散することができる。なお、拡散熱処理を行う好適な加熱時間は金属不純物の元素によって異なり、上記範囲で適宜選択すればよい。例えば700℃で1時間の拡散熱処理を施せば、Niなどの比較的拡散速度の速い元素を1.6×10μm程度拡散することができ、Feなどの比較的拡散速度の遅い元素を3.7×10μm程度拡散することができる。
次に、強制汚染された半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第1の信号強度を検出する第1の信号検出工程S20を行う。DLTS測定とは、バルク結晶やエピタキシャル層の表面にショットキーダイオードを形成し、このダイオードに逆バイアスのパルスを印加した場合に得られるキャパシタンス変化の温度依存性に基づいて、バルク結晶やエピタキシャル層に含まれる重金属の種類とその濃度を測定する方法である。具体的には、ショットキーダイオードに印加する逆バイアスを弱めることによってキャリアを深い準位に捕捉させた後、逆バイアスを強めることによって空乏層を広げ、これにより深い準位から放出されるキャリアの過渡応答を観測することにより測定を行う。
本工程S20におけるDLTS測定としては、半導体ウェーハ表面のショットキー電極(プローブ側)を形成し、反対側の表面(以下、「裏面」と言う。)に、半導体ウェーハの引き出し電極として裏面電極(ステージ側)を形成するのが一般的であるが、これに限定されない。なお、ショットキー電極と裏面電極との間には測定回路が接続される。また、DLTS測定では、ステージの温度を掃引しながら、測定回路によってショットキー電極と裏面電極との間にパルスを印加し、キャパシタンスの変化を検出する。半導体ウェーハとしてバルクシリコン結晶やシリコンエピタキシャル層を測定する場合、300K以下の低温領域を掃引し、ピークが形成されれば、そのピークは金属不純物による深い準位の存在を示す。その際、ピーク温度から大まかに深い準位のエネルギー、すなわち金属不純物の種類が判明し、ピーク高さ(ΔC)が理論的に深い準位の密度、すなわち金属不純物の濃度を示すこととなる。本工程S20では、強制汚染後の半導体ウェーハから得られる信号強度を第1の信号強度とする。
なお、本工程S20におけるDLTS測定は、後述の工程S30により得られる第2の信号との対比を明確にするため、室温で行うことが好ましい。
工程S20に続いて、強制汚染を経た半導体ウェーハに熱処理を施した後、半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第2の信号強度を検出する第2の信号検出工程S30を行う。本工程S30では、準安定準位における、DLTS法による信号強度が消失する程度の熱処理を行い、かかる熱処理の有無の点で工程S20と異なる。このような熱処理としては、半導体ウェーハを半導体デバイスに用いるときの素子動作環境を模擬した熱処理とすることが好ましい。具体的には、例えばホットプレートを用い、150〜250℃の温度範囲で、20分〜3時間程度熱処理を行うことで、素子動作環境を模擬することができる。素子動作環境を模擬した熱処理の処理時間としては、金属不純物によっても異なるが、熱処理による準位濃度の減衰を確認するためには熱処理を少なくとも20分以上行う必要がある。一方、3時間超の熱処理を行っても構わないが、熱処理により得られる効果は飽和する。この熱処理としては、温度を意図的に変化させず、上記温度範囲内の、例えば温度を200℃に固定して行う等温熱処理とすることも好ましい。なお、本実施形態では、工程S20において既にショットキー電極が形成されているので、熱処理を行った後、そのままDLTS測定を行って第2の信号強度を得ればよい。
続いて、工程S20によって得られた第1の信号強度および工程S30によって得られた第2の信号強度を比較し、金属不純物の安定準位を特定する工程S40を行う。本工程S40を、実施例において実験条件の詳細を後述する図4(A),(B)を用いて具体的に説明する。なお、図4(A)はn型シリコンウェーハ表面にn型のシリコンエピタキシャル層を形成したn/nエピタキシャルシリコンウェーハの表層部にFeを強制汚染した後、DLTS法により第1の信号強度を得たときのグラフであり、図4(B)は強制汚染の後、さらに200℃、30分の等温熱処理を施した後にDLTS法により第2の信号強度を得たときのグラフである。
図4(A)から、Feによって強制汚染のみを行ったn/nエピタキシャルシリコンウェーハの表層部には、レベルA(Ec−0.35eV)、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)の3つの準位が形成されていることが確認された。一方、Feによって強制汚染を行い、さらに等温熱処理を行ったn/nエピタキシャルシリコンウェーハの表層部には、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)における信号強度が消失する反面、レベルA(Ec−0.35eV)の準位における信号強度は図4(A)と同程度であることが確認された。すなわち、Feには、エピタキシャルシリコンウェーハ内で熱処理後も安定して存在する安定準位と、熱処理後に不活性化する準安定準位の2形態が存在することが本発明者の実験により初めて明らかとなったのである。本発明者は、レベルBおよびレベルCは、熱的に不安定なFe複合体の準位である可能性が高いものと推測している。
このように、第1の信号強度および第2の信号強度を比較することで、金属不純物の安定準位を特定することができる。シリコン中のFeのように、安定準位が1つの不純物元素の場合には、第1の信号強度および第2の信号強度を比較して、最も信号強度の変動の小さい準位を選択すれば、それが安定準位となる。ここでは、n/nエピタキシャルシリコンウェーハにFeを強制汚染した場合を例に説明したが、本実施形態はこの具体例に何ら限定されないのはもちろんである。金属不純物および半導体ウェーハの組み合わせに応じて安定準位は異なり、組み合わせ毎に安定準位を本実施形態により特定することができる。
また、安定準位が複数存在する不純物元素の場合には、第1の信号強度および第2の信号強度を比較して、信号強度が同程度であった準位が安定準位として特定でき、激変した準位は準安定準位として判断できる。なお、ここで言う、同程度の信号強度とは、金属不純物によっても異なるが、各準位における強度の変化が概ね10%以下である場合に、安定準位として特定することができる。信号強度を比較して、信号強度が有意に残った準位を金属不純物の安定準位として特定してもよい。なお、安定準位が複数存在する金属不純物の場合には、いずれか任意の安定準位を用いればよく、信号強度が相対的に大きく検出される安定準位を選択することが好ましい。
最後に、工程S40によって特定した安定準位において検出される第1および第2の信号強度のいずれか一方または両方を用いて、半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する工程S50を行う。前掲の図4(A)を例に具体的に説明すると、エピタキシャルシリコンウェーハがFeによって汚染される場合の安定準位はレベルA(Ec−0.35eV)であるので、この準位において信号強度が検出される図4(A)の場合は、ゲッタリング能力が不足していると判定することができる。換言すれば、エピタキシャルシリコンウェーハをFeで強制汚染しても、安定準位であるレベルA(Ec−0.35eV)において信号強度が検出下限値未満であれば、エピタキシャルシリコンウェーハのゲッタリング能力は十分であると判定することができる。もちろん、本実施形態はエピタキシャルシリコンウェーハとFeに何ら限定されず、半導体ウェーハを汚染する金属不純物一般に適用可能である。したがって、所定の半導体ウェーハを任意の金属不純物で強制汚染し、かかる金属不純物の安定準位において信号強度が検出下限値未満であれば、半導体ウェーハのゲッタリング能力は十分であると判定することができる。なお、安定準位における第1の信号強度に代えて、第2の信号強度を用いてもよいし、両方を用いてもよい。また、安定準位において信号強度が検出されても、閾値を設けてその閾値未満であれば、ゲッタリング能力を十分に有すると評価することもできる。ゲッタリングサイトを形成していない半導体ウェーハを強制汚染した後の安定準位の信号強度と、所定のゲッタリング能力付与条件に従いゲッタリングサイトを形成した半導体ウェーハを強制汚染した後の安定準位の信号強度とを対比して、相対変化率からゲッタリング能力を評価することもできる。
ここで、実施例において詳細を後述するが、SIMS法によって、ゲッタリングサイトに金属不純物が十分ゲッタリングされているように見える半導体ウェーハであっても、かかる半導体ウェーハを固体撮像素子に供した場合に、白傷欠陥や暗電流が発生する場合があり得ることが本発明者の実験により確認された。一方、本評価方法によりゲッタリング能力が十分であると判定した半導体ウェーハであれば、固体撮像素子に供した場合に、同一感度条件において白傷欠陥や暗電流の発生は確認されなかった。
このような相違が生じた原因は、SIMS法は、デバイス活性領域を直接測定するものではなく、ゲッタリングサイトに金属不純物が捕獲された様子を確認するに留まる反面、本評価方法において用いるDLTS法は、デバイス活性領域を直接測定しているからだと本発明者は考えている。
以上、本実施形態により、半導体ウェーハ表層部または半導体ウェーハのエピタキャル層表層部に製品と同等な素子を実際に作製しなくとも、半導体ウェーハの状態で、デバイス素子に供した後の電気特性を考慮したゲッタリング能力の評価方法を提供することができる。
なお、ゲッタリング能力を有効に評価するため、本実施形態に用いる半導体ウェーハは、ゲッタリングサイトを有することが好ましい。このようなゲッタリングサイトとしては、例えば半導体ウェーハの内部に形成したBMDおよび転位を用いることができる。また、モノマーイオン注入によるイオン注入層およびクラスターイオン照射により形成される改質層もゲッタリングサイトとなる。これらのものを組み合わせたゲッタリングサイトであってもよい。もちろん、ゲッタリングサイトを有していない半導体ウェーハであっても、本実施形態に従う評価方法は適用できる。その場合、ゲッタリング能力がないと評価することができる。
また、半導体ウェーハは任意のものを用いることができるのは既述のとおりであるが、半導体ウェーハとしては、シリコンウェーハまたはシリコンウェーハ表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハ用いることが好ましい。デバイス素子に供する場合にゲッタリング能力の有無が重要となってくるためである。
さらに、シリコンウェーハを本実施形態に用いる場合、シリコンウェーハはn型のシリコンウェーハであることが好ましく、エピタキシャルシリコンウェーハを本実施形態に用いる場合には、シリコンエピタキシャル層の導電型がn型であることが好ましい。デバイス素子に供する場合にゲッタリング能力の有無が重要となってくるためである。
これまで、1つの半導体ウェーハに対して第1の信号検出工程S20に続いて第2の信号検出工程30を行う第1実施形態を説明してきた。第1実施形態の変形形態として、同種の半導体ウェーハである第1の半導体ウェーハおよび第2の半導体ウェーハを用いる第2実施形態を説明する。
(第2の実施形態:評価方法)
本発明の第2実施形態に従う半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法においては、同種の半導体ウェーハである第1の半導体ウェーハおよび第2の半導体ウェーハを用いる。本実施形態では、図2のフローチャートに示すように、第1および第2の半導体ウェーハの表層部を、金属不純物により同一条件で強制汚染する工程S10と、前記強制汚染を経た第1の半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第1の信号強度を検出する第1の信号検出工程S21と、強制汚染を経た第2の半導体ウェーハに熱処理を施した後、第2の半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第2の信号強度を検出する第2の信号検出工程S31と、前記第1および第2の信号強度を比較し、前記金属不純物の安定準位を特定する工程S40と、前記安定準位において検出される前記第1および第2の信号強度のいずれか一方または両方を用いて、前記半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する工程S50と、を含む。
第1実施形態と第2実施形態とでは、複数の半導体ウェーハを用いて、第1の信号検出工程S21および第2の信号検出工程S31を別々に行っている点で異なる。また、第2の信号検出工程S31は、第1実施形態における工程S30と異なり、熱処理を行った後にショットキー電極等を形成してDLTS測定を行う。その他の点については第1実施形態と重複するため、重複内容についてはその説明を省略する。なお、第1の半導体ウェーハおよび第2の半導体ウェーハは同種であるので、得られる信号強度の傾向に大きな相違はない。ただし、工程S21および工程S31を別々に行うことにより外乱が少なくなるので、DLTS測定に伴う信号強度の変化を第1実施形態よりも抑制することができ、好ましい。
(第3の実施形態:判定方法)
第3の実施形態に従う半導体ウェーハの品質判定方法は、第1および第2実施形態に既述の評価方法によって半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価し、前記安定準位におけるDLTS法による信号強度が検出下限値未満である半導体ウェーハを良品として判定することを特徴とする。本実施形態により、良品と判定された半導体ウェーハと同一ロットの半導体ウェーハについては、判定を省略してもゲッタリング能力が十分にあると判定することができる。
(第4の実施形態:製造方法)
図3に示すように、第4の実施形態に従う半導体ウェーハ100の製造方法は、第1のゲッタリング能力付与条件により形成されたゲッタリングサイト18′を有するサンプル半導体ウェーハ100′のゲッタリング能力を、第1実施形態または第2実施形態に既述の評価方法を用いて評価し、該評価に基づき、前記第1のゲッタリング能力付与条件を変更して目標ゲッタリング能力を満足する第2のゲッタリング能力付与条件を決定し、前記決定した第2のゲッタリング能力付与条件に基づき、半導体ウェーハにゲッタリングサイト18を形成することを特徴とする。
すなわち、まず第1のゲッタリング能力付与条件に従い形成されたゲッタリングサイト18′を有するサンプル半導体ウェーハ100′を用意する(図3(A))。このサンプル半導体ウェーハ100′のゲッタリング能力を、既述の評価方法に従い評価する(図3(B))。ゲッタリング能力が不足すれば、ドーズ量、イオン種、イオン照射深さ(イオン注入深さ)などのゲッタリング能力付与条件を変更し、十分なゲッタリング能力があると判定できるまで繰り返す。こうして、第1のゲッタリング能力付与条件から改善された第2のゲッタリング能力を定める。なお、所定のゲッタリング能力付与条件に対応するゲッタリング能力を予め求めてデータベース化しておくことが好ましい。
次いで、製造する半導体ウェーハ100の目標ゲッタリング能力付与条件を、第2のゲッタリング能力付与条件として、それに従い、ゲッタリングサイト18を形成すれば、半導体ウェーハ100を得ることができる。
製造する半導体ウェーハ100がバルクウェーハ10の表面10Aにエピタキシャル層が形成された半導体エピタキシャルウェーハである場合には、以下のようにして作製する。すなわち、バルクウェーハ10に第2のゲッタリング能力付与条件に従うドーズ量の例えばクラスターイオン16を公知の手法に従い照射すると、改質層18が形成される(図3(C),(D))。さらにエピタキシャル層20を常法に従い形成すれば、十分なゲッタリング能力を有する半導体ウェーハ100を得ることができる(図3(E))。もちろん、クラスターイオン照射に代えて公知のモノマーイオン注入を行ってもよい。ゲッタリングサイトの形成方法は、目標ゲッタリング能力付与条件を満足すれば任意であり、各種の手法を組み合わせてもよい。製造する半導体ウェーハがエピタキシャル層を有しないバルクウェーハである場合には、エピタキシャル形成を省略すればよい。
(第5の実施形態:半導体ウェーハ)
図3(E)に示すように、本発明による半導体ウェーハ100は、ゲッタリングサイト18を有し、半導体ウェーハ100の表層部に金属不純物を強制汚染した場合に、金属不純物の安定準位におけるDLTS法による信号強度が検出下限値未満となることを特徴とする。かかる半導体ウェーハ100は十分なゲッタリング能力を有し、さらに、半導体デバイスに供した後もデバイス形成領域の電気特性が極めて優れる。
なお、強制汚染する場合の半導体ウェーハ100の表面おける金属不純物の汚染量を1.0×1012atoms/cm以上とすることができ、1.0×1015atoms/cm以下とすることができる。また、1.0×1013atoms/cm以上1.0×1014atoms/cm以下とすることが望ましい。
なお、図3(E)は、バルクウェーハの表面にエピタキシャル層が形成された半導体エピタキシャルウェーハを本実施形態に従う半導体ウェーハの一例として示したに過ぎない。エピタキシャル層が形成されていないバルクウェーハであっても本実施形態に含まれることは、当業者であれば当然に含まれる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(参考実験例)
CZ単結晶から得たn型シリコンウェーハ(直径:300mm、厚み:775μm、ドーパント種類:リン、抵抗率:1〜10Ω・cm(ドーパント濃度: 4.5×1014〜5×1015atoms/cm))を用意した。次いで、このn型シリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)内に搬送し、装置内で1120℃の温度で30秒の水素ベーク処理を施した後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガス、1150℃でCVD法により、シリコンウェーハの表面上にシリコンエピタキシャル層(厚さ:10μm、ドーパント種類:リン、抵抗率:30Ω・cm(ドーパント濃度:9×1013atoms/cm))をエピタキシャル成長させ、試料1に係るn/nエピタキシャルシリコンウェーハ以下、単に「ウェーハ」と表記する。)を作製した。同一条件で、試料2に係るウェーハを作製した。
得られた試料1,2のウェーハのシリコンエピタキシャル層表面をFeで強制汚染した。すなわち、シリコンエピタキシャル層表面にFe・HNO(0.2mol/l)溶液をスピンコート法により塗布し、次いで、1050℃、2時間の拡散熱処理を施して、Feの表面濃度を1.0×1013atoms/cmに調整した。
その後、試料2に係るウェーハについては、ホットプレートを用いて素子動作環境を模擬する200℃、30分の等温熱処理を施した。なお、試料例1に係るウェーハには、かかる等温熱処理を施さなかった。
試料1,2に係るウェーハのシリコンエピタキシャル層表面にショットキー電極(プローブ側)を形成し、裏面に引き出し電極として裏面電極(ステージ側)を形成し、ウェーハの表層部をDLTS法によりそれぞれ測定し、信号強度を得た。試料1,2の測定結果を図4(A),(B)に示す。なお、DLTS信号強度は任意単位で記載している。
図4(A)から、試料1に係るウェーハの表層部には、レベルA(Ec−0.35eV)、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)の3つの準位が形成されていることが確認された。一方、等温熱処理を行った試料2に係るウェーハの表層部には、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)における信号強度が消失する反面、レベルA(Ec−0.35eV)の準位における信号強度は図4(A)と同程度であることが確認された。すなわち、Feの安定準位と、熱処理後に不活性化する準安定準位の2形態が存在することが確認された。以下、金属不純物としてFeを用いる場合に、レベルA(Ec−0.35eV)を安定準位として用いることとする。
試料1に係るウェーハの、室温環境におけるDLTS信号強度の経時変化を確認した。強制汚染直後(0日後)、20日後、50日後、100日後のDLTS信号強度の推移を図5に示す。併せて、試料2の熱処理後の信号強度を図5に示す。なお、各レベルの信号強度は、強制汚染直後を1とする相対値で示している。
図5から、室温においても、レベルB(Ec−0.41eV)の準位は除々に不活性化することが確認された。また、素子動作環境を模擬した等温熱処理を施した試料2では、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)における信号強度が消失する。このことから、レベルBの準位は特に不安定な準位であり、レベルCの準位は熱的に不安定な準位であることがわかる。このように、安定準位におけるDLTS信号強度を用いることによってのみ、ウェーハを正しく評価できることがわかる。
なお、試料1,2に係るウェーハには、意図的なゲッタリングサイトを形成していないが、図4(A),(B)からも安定準位におけるDLTS信号強度が有意に検出されたため、ゲッタリング能力が不十分であると判定することができる。
(発明例1)
試料1におけるシリコンエピタキシャル層の形成に先立ち、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、シクロヘキサン(C12)よりCクラスターを生成し、ドーズ量1.2×1014Clusters/cm(炭素のドーズ量6.0×1014atoms/cm)、炭素1原子あたり14.8keV/atomの照射条件でシリコンウェーハにクラスターイオンを照射し、クラスター照射領域である炭素原子が固溶した改質層(ゲッタリングサイト)を形成した以外は、試料1と同様に発明例1に係るn/nエピタキシャルシリコンウェーハ(以下、単に「ウェーハ」と表記する。)を作製した。
(発明例2)
発明例1と同一条件で、発明例2に係るウェーハを作製した。
(比較例1)
試料1におけるシリコンエピタキシャル層の形成に先立ち、大電流型イオン注入装置を用いて、COガスから炭素イオンを生成し、ドーズ量6.0×1014atoms/cm、加速電圧:130keV/atomの注入条件でシリコンウェーハに照射し、モノマーイオン注入領域である炭素原子が固溶したイオン注入層(ゲッタリングサイト)を形成した以外は、試料1と同様に比較例1に係るウェーハを作製した。
(比較例2)
比較例1と同一条件で、比較例2に係るウェーハを作製した。
(評価1:DLTS測定)
まず、参考実験例と同様に、発明例1,2および比較例1,2に係るウェーハをFeで強制汚染した。次に、参考評価1と同様にショットキー電極および裏面電極を形成し、ウェーハの表層部をDLTS法によりそれぞれ測定した。発明例1および比較例1の測定結果を図6(A)に、発明例2および比較例2の測定結果を図6(B)に示す。なお、DLTS信号強度は図4と同様に任意単位で記載している。
等温熱処理を行っていない比較例1に係るウェーハは、試料1と同様に、レベルA(Ec−0.35eV)、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)の3つの準位が形成されたが、試料1よりは各準位の信号強度に低下が見られた。特に、レベルB(Ec−0.41eV)の信号強度に低下が顕著であった。等温熱処理を行なった比較例2に係るウェーハは、試料2と同様に、レベルA(Ec−0.35eV)の準位がエピタキシャル層に残ったままであり、レベルA(Ec−0.35eV)の信号強度に大きな低下は見られず、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)では信号検出されなかった。
一方、発明例1,2に係るウェーハでは、等温熱処理の有無に係わらず、レベルA(Ec−0.35eV)では信号検出されず、また、レベルB(Ec−0.41eV)、レベルC(Ec−0.48eV)でも信号検出されなかった。
(評価2:白傷欠陥測定)
発明例1および比較例1に係るウェーハを用いて裏面照射型固体撮像素子を作製し、その後、該裏面照射型固体撮像素子について、半導体パラメータ解析装置を用いて、フォトダイオードの暗時リーク電流を測定し画素データ(白傷欠陥の個数データ)に変換することで、単位面積(1cm)あたりの白傷欠陥の個数を測定し、白傷欠陥の発生の抑制について評価したところ、発明例1では白傷の発生が確認されなかったが、比較例1では白傷の発生が確認された。
(評価3:SIMS測定)
発明例1および比較例1に係るウェーハについて、上記強制汚染を行った後に二次イオン質量分析(SIMS)により測定を行い、金属不純物であるFeの濃度プロファイルを得た。測定結果を図7(A),(B)にそれぞれ示す。なお、横軸の深さはシリコンエピタキシャル層表面をゼロとしている。発明例1および比較例1共に、ゲッタリングサイトに金属不純物が捕獲されていることが分かる。
以上の評価1〜3から、以下のことが分かった。すなわち、SIMS測定では、どの部分にどの程度の金属不純物が捕獲されているかを評価することはできるが、デバイス形成領域への電気特性までは評価できない。DLTS測定により安定準位における信号強度が検出されなくなるまでの十分なゲッタリング能力を有する発明例1は、半導体デバイス素子に供した後でも、デバイス形成領域の電気特性も優れたものであると評価することができる。従来であれば、用途によっては比較例1でもゲッタリング能力は十分と考えられたが、実際に固体撮像素子に供した場合に、比較例1で白傷欠陥が発生することが確認された。
また、安定準位を指標とすることで、デバイス素子に供した後を考慮したゲッタリング能力の確実な良否判断が可能となる。準安定準位を指標とすると、ゲッタリング能力の良否判断が確実なものとはならない。
本発明によれば、半導体ウェーハ表層部または半導体ウェーハのエピタキャル層表層部に製品と同等な素子を実際に作製しなくとも、半導体ウェーハの状態で、デバイス素子に供した後を考慮した電気特性を発揮することのできるゲッタリング能力の評価方法を提供することができる。また、本発明はかかる評価方法を用いた半導体ウェーハの判定方法を提供することができる。さらに、本発明はかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの製造方法およびかかるゲッタリング能力を有する半導体ウェーハの提供することができる。
10 バルクウェーハ
10A バルクウェーハの表面
16 クラスターイオン
18 改質層
20 エピタキシャル層
100 半導体ウェーハ


Claims (9)

  1. 半導体ウェーハの表層部を、金属不純物により強制汚染する工程と、
    前記強制汚染を経た半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第1の信号強度を検出する第1の信号検出工程と、
    前記強制汚染を経た半導体ウェーハに熱処理を施した後、前記半導体ウェーハの表層部の、DLTS法による第2の信号強度を検出する第2の信号検出工程と、
    前記第1および第2の信号強度を比較し、前記金属不純物の安定準位を特定する工程と、
    前記安定準位において検出される前記第1および第2の信号強度のいずれか一方または両方を用いて、前記半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価する工程と、を含むことを特徴とする半導体ウェーハのゲッタリング能力評価方法。
  2. 前記熱処理は、前記半導体ウェーハを半導体デバイスに用いるときの素子動作環境を模擬した熱処理である、請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハまたはシリコンウェーハ表面にシリコンエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハである、請求項1または2に記載の評価方法。
  4. 前記シリコンウェーハまたは前記シリコンエピタキシャル層の導電型がn型である、請求項3に記載の評価方法。
  5. 前記金属不純物は遷移金属である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 前記金属不純物はFe、Cu、Ni、Cr、Mn、CoおよびZnのいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. 前記金属不純物がFeである、請求項6に記載の評価方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の評価方法によって半導体ウェーハのゲッタリング能力を評価し、前記安定準位におけるDLTS法による信号強度が検出下限値未満である半導体ウェーハを良品として判定することを特徴とする、半導体ウェーハの品質判定方法。
  9. 第1のゲッタリング能力付与条件により形成されたゲッタリングサイトを有するサンプル半導体ウェーハのゲッタリング能力を、請求項1〜7のいずれか1項に記載の評価方法を用いて評価し、
    該評価に基づき、前記第1のゲッタリング能力付与条件を変更して目標ゲッタリング能力を満足する第2のゲッタリング能力付与条件を決定し、
    前記決定した第2のゲッタリング能力付与条件に基づき、半導体ウェーハにゲッタリングサイトを形成することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。
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