本発明の構成について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る走査光学装置を備えた画像形成装置の一例を示す図である。なお、以下の説明において、上下左右或いは時計回り反時計回り等方向を示す説明を行う場合があるが、特に記載しない限り図1を基準とする。
図1に示す画像形成装置Aは、タンデム型カラーデジタル複写機で、原稿画像を読み取るイメージリーダー部20と、読み取った画像を記録シート等の転写材に印刷するプリンター部10と、プリンター部10に対して転写材(ここでは、記録紙)を供給するための給紙部30と、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に静電潜像を形成する走査光学装置40とを備えている。また、画像形成装置Aでは、制御部Contを備えており、プリンター部10、イメージリーダー部20、給紙部30及び走査光学装置40が制御部Contによって制御されている。
イメージリーダー部20は、原稿ガラス板(不図示)の上に載置された原稿を、スキャナーを移動して読み取るものであり、公知の構成を有している。イメージリーダー部20は、原稿画像を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に色分解し、不図示のCCD等のイメージセンサーを用いて電気信号に変換して、R・G・Bの画像データを取得する。イメージリーダー部20で取得した色別(R、G、B)の画像データは、制御部Contで各種処理が行われた後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換され、制御部Contに設けられた記録部(メモリー)に格納される。制御部Cont内のメモリーに格納された各再現色の画像データは、位置ずれ補正を受けたのち、1走査ラインごとに読み出されて駆動信号となる。この駆動信号は走査光学装置40を駆動するための信号である。
プリンター部10は電子写真方式により記録シート等の記録媒体上に画像を形成する。プリンター部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11K(以下、代表して「感光体ドラム11」と称する場合がある)を有している。
各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの周囲には、帯電器111、現像装置112、転写ローラ113、クリーニング部114がそれぞれ設けられている。なお、図1では、便宜上、感光体ドラム11Yの周囲の帯電器111、現像装置112、転写ローラ113、クリーニング部114にのみ符号を付しているが、各感光体ドラムの周囲にも同様の構成が設けられる。
帯電器111は感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器111としては、コロトロン型、スコトロン型といった非接触式のものや、帯電ローラや帯電ブラシを利用する接触式のものを挙げることができるが、これに限定されない。
感光体ドラム11は、暗い場所(暗所)では絶縁体であり、光を照射すると(露光すると)、光が照射された部分が導体になる性質を有している。感光体ドラム11はこの性質を利用しており、回転している感光体ドラム11の表面に走査光学装置40で走査される光ビームが照射されることで静電潜像を形成する。
現像装置112は、静電潜像が形成された感光体ドラム11に対して、電荷を有するトナーを供給することで、感光体ドラム11の表面にトナーを吸着させて、トナー像を形成する。なお、トナー像を形成する方式としては、感光体ドラム11が帯電している電荷と逆の電荷のトナーを露光によって電荷が失われなかった部分に吸着させる方式や前記電荷が失われた部分へトナーを押し込む方式を挙げることができる。
転写ローラ113は、感光体ドラム11の表面に形成されているトナー像を被転写体(ここでは、後述の中間転写ベルト14)に転写するためのローラである。転写ローラ113は、被転写体を挟んで感光体ドラム11の反対側に配置されており、トナーと逆の電荷(転写バイアス)を印加することで、トナーを感光体ドラム11から吸引する。これにより、感光体ドラム11に形成されたトナー像を被転写体に転写する。
クリーニング部114は、感光体ドラム11の表面を除電し、さらに、感光体ドラム11に残っているトナーを除去する。なお、除電は、感光体ドラム11に光を照射することで行う除電ランプを用いるものを挙げることができるがこれに限定されない。また、感光体ドラム11に残ったトナーの除去方法としては、荷電ブラシで吸着するものやゴム等で形成されたブレードで掻き取るものを挙げることができるがこれに限定されない。
プリンター部10は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kにトナーを供給するための、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kと、トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとを備えている。
トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを一時的に貯留する。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれを現像する現像装置112内のトナー量(トナー濃度)が低くなると、不図示の筒状のジョイントを介して対応する現像装置112にトナーを供給する。
トナーボトル13Y、13M、13C、13Kは、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kの上部に配置されている。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kのそれぞれには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されており、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kにトナーを供給する。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを取り換えることで、新たにトナーを供給することができる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとしては、例えば、円筒状のボトルの内周面に螺旋状の突条が形成されたものが挙げられる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを回転させることで、トナーボトル13Y、13M、13C、13K内のトナーが、排出口から落下し、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kに流入する。
プリント部10は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色のトナー像を、重ねて中間転写ベルト14に転写(一次転写)した後、転写材である記録紙に転写(二次転写)する。そして、記録紙に転写されたトナーを加熱・加圧して、カラー画像の印刷を行う。プリント部10は、このような手順を可能にするため、中間転写ベルト14と、二次転写ローラ15と、定着部16と、クリーニングブレード17とを有している。
中間転写ベルト14は、無端ベルトであり、駆動ローラ141と、従動ローラ142と、テンションローラ143との間に張架されている。図1に示すように、テンションローラ143は、駆動ローラ141及び従動ローラ142よりも高い位置に配置されている。そして、テンションローラ143が不図示の付勢部材(例えば、ばね)で上方に付勢可能な構成を有しており、テンションローラ143が上方に付勢されることで、中間転写ベルト14に張力を与えている。なお、駆動ローラ141又は従動ローラ142の少なくとも一方が離れる方向に付勢できる構成の場合、テンションローラ143を省略してもよい。
中間転写ベルト14の下方には、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが左から順に所定間隔をあけて配置されている。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kは回転軸が中間転写ベルト14の移動方向に対して直交するように配置されている。また、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれと中間転写ベルト14を挟むように、転写ローラ113が配置されている。
中間転写ベルト14は駆動ローラ141によって反時計回りに回転する。中間転写ベルト14と同期させて感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kからのトナー像を転写することで、中間転写ベルト14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を正確に重ねて中間転写ベルト14に転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト14の表面には、カラーのトナー像(一次転写像とする)が形成される。
二次転写ローラ15は、中間転写ベルト14を挟んで駆動ローラ141と圧接している。二次転写ローラ15には、二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト14の一次転写像からトナーを吸着する。
次に、プリンター部10に記録紙を供給する給紙部30について説明する。給紙部30は、給紙カセット31と、給紙ローラ32と、レジストローラ33とを備えている。給紙カセット31は、記録紙を収納するための収納部である。給紙カセット31は着脱可能な構成であり、取り外すことで記録紙を補充することができる。なお、画像形成装置Aでは、1個の給紙カセット31が示されているが、これに限定されるものではなく、複数個の給紙カセットが備えられていてもよい。複数個の給紙カセットを備える場合、給紙カセットごとに、例えば、大きさ、色が異なる記録紙を収納するようにしてもよいし、記録紙の配置方向が異なるものでもよい。
給紙ローラ32は、給紙カセット31の最上に配置されている記録紙を、搬送路(破線で表示)に引き出すとともに、レジストローラ33に搬送する。なお、給紙カセット31が複数個備えられている構成の場合、各給紙カセット31に対して給紙ローラ32が設けられるようにしてもよい。
レジストローラ33は、中間転写ベルト14の回転に同期して動作するものであり、中間転写ベルト14の一次転写像が記録紙の予め決められた位置に転写(二次転写)されるように、記録紙を駆動ローラ141と二次転写ローラ15とのニップ部に送る。
記録紙が駆動ローラ141と二次転写ローラ15とのニップ部を通過するとき、記録紙は中間転写ベルト14と接触する。このとき、二次転写ローラ15に二次転写バイアスを印加することで、中間転写ベルト14のトナー像が記録紙に転写(2次転写)される。トナー像が転写された記録紙は、その後、定着部16に搬送される。
定着部16は、トナー像が転写された記録紙を加熱・加圧することで、トナー像を記録紙に定着ものであり、定着部16は搬送された記録紙を加熱・加圧することでトナー像を記録紙に定着させる。
そして、トナー像が定着された記録紙は装置外部へ排出される。一方、中間転写ベルト14上の転写されずに残った残留トナーは、クリーニングブレード17で回収され廃トナーボックスに蓄えられる。クリーニングブレード17は、例えば、ゴム等の板状の部材であり、中間転写ベルト14を挟んで従動ローラ142に向けて押圧されている。
画像形成装置Aでは、中間転写ベルト14に各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのトナー像を重ねて転写することで、カラーの一次転写像を得ている。一次転写像を正確に重ねるためには、上述しているように、中間転写ベルト14と各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kとを正確に同期させるとともに、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成されるトナー像、すなわち、静電潜像がそれぞれ正確で確実に同期している必要がある。本発明の画像形成装置Aでは、走査光学装置40を利用して、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに静電潜像を作成している。
次に、走査光学装置40の構成について図面を参照して説明する。図2は本発明に係る走査光学装置の概略配置図である。
図2に示すように、走査光学装置40は、光源41Y、41M、41C、41Kと、コリメーターレンズ42と、反射部材(ミラー)43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rと、偏向器44と、光学素子45と、走査反射部46Y、46M、46C、46Kと、検出ミラー群47と、受光部48とを備えている。そして、走査光学装置40は、これらの部材が樹脂の一体成型体である筐体50に取り付けられている。
光源41Y、41M、41C、41Kは感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれを露光するための光ビームを出射する光源であり、ここでは、光ビームとしてレーザ光を出射するレーザダイオードを採用している。光源41Y、41M、41C、41Kは基板Bdに実装された状態で、筐体50の側壁51に固定されている。筐体50の側壁51には、光ビームが通過する通過孔が形成されている。光源41Y、41M、41C、41Kには、制御部Contから1走査ラインごとの駆動信号が入力されており、この駆動信号に基づいて、パルス状の光ビームを出射する。
コリメーターレンズ42は、光源41Y、41M、41C、41Kそれぞれの光出射面側に配置されており、光源41Y、41M、41C、41Kから出射された光ビームを拡散光から平行光に変換する光学素子である。
光源41Y、41M、41C、41Kのそれぞれから出射された光ビームは、反射部材43Y、43M、43C、43Kのそれぞれで反射され調整ミラー43Rに照射される。なお、図2に示すように、底面側から見ると、光源41Y、41M、41C、41Kのそれぞれから出射された光ビームの光路は、重なっているが、光源41Y、41M、41C、41Kの図2における紙面厚み方向の設置高さが異なるため、実際には、各光ビームの光路は異なる(重ならない)。調整ミラー43Rは、反射部材43Y、43M、43C、43Kで反射された各光ビームを偏向器44に向けて反射する。
偏向器44は、側面に複数の反射面を周方向に並べて配置したポリゴンミラー441と、ポリゴンミラー441を回転させる偏向モーター442(図1参照)とを備えている。図2に示すように、ポリゴンミラー441は外周面に5個の反射面を備えた、正五角柱形状のものを採用しているが、これに限定されるものではない。調整ミラー43Rで反射された光ビームは、ポリゴンミラー441の中心軸に対して一定の角度で入射する。ポリゴンミラー441を回転させることで、ポリゴンミラー441の反射面に入射する光ビームの入射角度及び反射角度が変化する。すなわち、偏向器44は一定方向からの光ビームを回転しているポリゴンミラー441の側面の反射面で反射することで、反射された光ビームを走査する。
偏向器44のポリゴンミラー441の回転と光源41Y、41M、41C、41Kから出射されるパルス状の光ビームとは正確に同期されており、これによって、光ビームによる感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの露光が精度よく行われる。これらの同期は、制御部Contからの駆動信号によって行われている。
光学素子45は、ポリゴンミラー441で走査された光ビームが透過するように、筐体50に配置されている。そして、光学素子45を透過した光ビームは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに向けて光ビームを反射する走査反射部46Y、46M、46C、46Kに入射する。光ビームは、走査反射部46Y、46M、46C、46Kに点(スポット)で入射するものであり、光ビームの走査によってスポットが走査反射部46Y、46M、46C、46Kの長手方向に移動する。
光学素子45は、fθレンズ等の光学素子を含んでおり、走査反射部46Y、46M、46C、46K上での光ビームのスポットの移動速度を直線方向に一定速度となるように、透過する光ビームを調整する。
走査反射部46Y、46M、46C、46Kに入射した光ビームは、必要に応じてさらに反射部材46a(図1参照)で反射され、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに入射する。なお、走査光学装置40では、複数の反射部材で光ビームを反射させる構造とすることで、光源41Y、41M、41C、41Kから感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面までの光路の距離が等しく又は略等しくなるように調整している。
走査光学装置40は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに入射する光ビームの走査方向(主走査方向)が感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの回転軸と平行になるように配置されている。そして、走査光学装置40では走査した光ビームを感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに照射し、1走査ラインごとに露光することで静電潜像を形成する。このような、構成の場合、光ビームの走査開始位置(静電潜像の書き出し位置)を正確に把握する必要がある。走査光学装置40では、検出ミラー群47と、受光部48とを用いて走査開始位置を検出している。
検出ミラー群47は、走査開始位置に配置される第1ミラー471と、第2ミラー472とを備えている。走査開始位置に照射された光ビームは、第1ミラー471で反射され、第2ミラー472に入射する。第2ミラー472で反射された光ビームは、側壁51に設けられた検出用開口511に照射される。
受光部48は、側壁51の外面に設けられた固定部512にねじScで固定されている。光ビームを受光すると電気信号に変換する受光センサー481と、受光センサー481が実装されたセンサー基板482とを備えている。受光部48は筐体51の外面に取り付け固定されており、検出用開口511を透過した光ビームが受光センサー481で受光できるように取り付けられる。受光センサー481は、走査開始位置に配置された第1ミラー471に入射した光ビームを検知するものであり、走査開始位置を検出する役割を果たす。そして、受光部48は制御部Contに対して受光信号を送信する。この受光信号は、走査開始位置の検出信号であり、受光センサー481は、いわゆる、SOS(Start of Scan)センサーである。
走査光学系装置40では、制御部Contからの駆動信号に基づいて、光源41Y、41M、41C、41Kから画像信号の1走査ラインに対応するパルス状の光ビームを出射する。そして、ポリゴンミラー441で光ビームを走査して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに静電潜像を形成する。
制御部Contは、受光センサー481から走査開始位置の情報を基に、各再現色の画像データの1走査ラインに対応する露光開始のタイミングを調整している。すなわち、光源41Y、41M、41C、41Kの光ビームのパルスとポリゴンミラー441の回転の同期を図るために用いられている。
次に、本発明の要部である、走査光学装置の筐体について説明する。
(第1実施形態)
図3は本発明に係る走査光学装置の筐体の下側から見た斜視図であり、図4は図3に示す筐体の素子が取り付けられている部分の拡大斜視図であり、図5は本発明に係る走査光学装置の一例の保持部の断面図であり、図6は保持部の下面図である。図3に示すように、走査光学装置40は、樹脂の一体成型で形成された筐体50を備えている。筐体50は、側壁51と、保持部52と、反射固定部53Y、53M、53C、53K、53Rと、仕切部54と、緩和部55とを備えている。
図2、4に示すように、筐体50は、コリメーターレンズ42、反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rが配置される下向きに開口した第1領域501と、偏向器44、光学素子45、走査反射部46Y、46M、46C、46K及び検出ミラー群47が配置される上向きに開口した第2領域502とを備えている。
筐体50には外周を囲むように側壁51が設けられており、保持部52が第1領域501の底部を構成するように設けられている。そして、仕切部54が第1領域501及び第2領域502を仕切るように設けられている。側壁51、仕切部54は、壁体であり、保持部52と一体的に形成されている。側壁51及び仕切部54は、保持部52を囲むように設けられた壁面56の一部を構成している。壁面56は筒状に形成されており、筒状に形成されていることで、壁面56の剛性が高くなる。これにより、側壁51、仕切部54は、倒れにくくなっている。なお、仕切部54は、この構成に限定されるものではなく、側壁51、壁面56とは独立して設けられるものであってもよい。
図2、図3に示すように、側壁51は検出用開口511と、固定部512とを備えている。側壁の検出用開口511は、検出ミラー群47で反射した光ビームが通過するための開口であり、開口を通過した光ビームは、外部に固定された受光部48の受光センサー481に入射する。固定部512は受光センサー481が実装されたセンサー基板482を固定するために設けられている。
図4に示すように、光源41Y、41M、41C、41Kが実装されている基板Bdと、センサー基板482とは、筐体50の外部(側壁51の外面)に取り付けられている。このように、基板Bd及びセンサー基板482が外部に取り付けられていることで、基板同士を配線Pcで接続することが可能である。また、制御部Contからの配線も取り付けやすくなり、製造がしやすく、メンテナンス性を高めることが可能である。
偏向器44では、偏向モーター442でポリゴンミラー441を回転させているため、偏向モーター442から熱が発生する。また、ポリゴンミラー441の回転により気流も発生しており、偏向モーター442の熱で熱せられて熱風が発生する。このような熱風が保持部52に吹付けられると、樹脂の一体成型体である反射固定部53が変形してしまったり、接着剤が変質してしまったりして、反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rの光学的な精度が低下するおそれがある。筐体50では、第1領域501と第2領域502とを仕切部54で仕切ることで、偏向器44からの熱風が反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rに吹付けるのを抑制している。
なお、仕切部54には、調整ミラー43Rで反射された光ビームが透過するための、窓部541が設けられている。窓部541は、光ビームを透過させるとともに、熱風を遮断するような構成であることが好ましい。
図5に示すように、保持部52は、平面部520と、平面部520の下面(図中上面)に形成された階段状の保持面部521、522、523、524とを備えている。保持面部521、522、523、524のそれぞれから反射固定部53Y、53M、53C、53Kが一体突出している。すなわち、反射固定部53Y、52M、53C、53Kは保持部52と一体に形成されている。
図4、図5に示すように、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、反射固定部53Y、53M、53C、53Kのそれぞれの一面(要精度面)にそれぞれの一面(反射面)を当接して固定される。さらに、反射部材43Y、43M、43C、43Kは反射面と隣り合う面がそれぞれ、保持面部521、522、523、524と当接する。反射部材43Y、43M、43C、43Kは、反射面と反射面と隣り合う面の2面をそれぞれ反射固定部53Y、53M、53C、53K及び保持面部521、522、523、524に当接させることで、反射面の光ビームに対して位置決めされる。そして、反射部材43Y、43M、43C、43Kは保持面部521、522、523、524及び反射固定部53Y、53M、53C、53Kに接着剤(紫外線硬化接着剤等)を用いて接着される。
なお、本実施形態では、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、保持面部521、522、523、524に当接する構成となっているが、これに限定されるものではない。反射固定部53Y、53M、53C、53Kで正確に位置決めできる構成であれば、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、保持面部521、522、523、524に当接しない構成であってもよい。
図5、図6に示すように、保持面部522は平面部520と同じ平面を有する構成となっている。そして、保持面部521は、平面部520から突出した凸部に設けられており、保持面部523、524は平板部520に形成された凹部の底面である。保持面部524の平面部520の表面からの深さは保持面部523よりも深い。平面部520に凹凸形状の保持面部521、522、523、524を形成することで、保持面部521、522、523、524の強度を高めることができ、変形が抑制される。これにより、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの変形も抑制される。
また、図4等に示すように、調整ミラー43Rも反射部材と同様に、平面部520から突出している固定部53Rに一面(ここでは、反射面と逆の面)を当接させて固定されている。このように固定することで、調整ミラー43Rも位置決めされている。
保持面部521、522、523、524に固定されることで、各反射部材41Y、41M、41C、41Kの反射面の平面部520に対する高さは仕切部54から遠ざかるほど低くなっている。各反射部材41Y、41M、41C、41Kを異なる高さとすることで、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに静電潜像を形成する光ビームの光路の平面部520からの高さが異なり、光ビームの光路が重なるのを抑制することができる。なお、反射部材41Y、41M、41C、41Kの高さはこれに限られるものではないが、光ビームの光路が重ならないようにするため、調整ミラー41Rに近い方が低くなるように配置されていることが好ましい。
また、反射部材41Y、41M、41C、41Kの高さはこれに限定されるものではなく、光ビームが重ならないように光路を確保できるものであれば、すべて同じ高さであってもよいし、いくつかの反射部材だけ他の反射部材よりも高く或いは低くなっていてもよい。
上述のとおり、仕切部54には偏向器44で発生する熱風が吹き付けられており、熱膨張によって変形が生じる。仕切部54には、偏向器44が備えられる第2領域502側が第1領域501側に比べて高くなる。そして、仕切部54は温度が高い第2領域502側の熱膨張が第1領域501側に比べて大きくなり、仕切部54が第1領域501側に倒れるような変形を生じる(傾倒する)。
仕切部54は壁面56の一部を構成するため、剛性が高くなっているが、傾倒を完全に防止することは不可能である。仕切部54は保持部52と一体に形成されているため、仕切部54の傾倒による歪が保持部52に伝達されると、保持部52と一体に形成された反射固定部53Y、53M、53C、53Kも同様に(倒れるように)変形する。反射固定部53Y、53M、53C、53Kが倒れるように変形すると、反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面の光ビームに対する角度がずれてしまう。
反射部材43Y、43M、43C、43Kは反射面で光ビームを反射する構成であるため、光ビームの角度のずれは反射面の変位角度の2倍になる。また、光源41Y、41M、41C、41Kの近傍での光ビームの角度のずれは小さい場合でも、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに照射されるときには光ビーム(スポット)の位置ずれが大きくなる。そのため、本発明に係る走査光学装置40では、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの倒れ方向の変形を抑制するため、緩和部55を備えている。
緩和部55は、仕切部54との接続部分と仕切部54の最も近くに配置された反射固定部53Yとの間に設けられ、仕切部54に沿って延びる溝形状である。緩和部55は、平面部520の上面に対して反射固定部の突出方向と反対側に凹んだ溝形状を有している。
さらに説明すると、緩和部55は、仕切部54と隣接し、緩和部55の溝形状は仕切部54及び平面部520に沿って延びている。緩和部55の溝形状は、仕切部54と同じ長さを有する。そして、緩和部55は、仕切部54と接続する面と平面部520と接続する面とを含む側部551と、側部551と連続して形成された底部552とを有しており、底部552の平面部520に対する深さは、最も深い凹部である保持面部524よりも深くなるように形成されている。
このような構成の筐体50を有する走査光学装置40において、仕切部54が傾倒すると、その歪みが伝達されて緩和部55が変形する。緩和部55が変形することで、保持面部521、522、523、524に伝達される歪みが緩和される。なお、緩和部55は折曲部に応力が集中しやすく、その部分が変形する(歪む)ことで、保持面部521、522、523、524への歪みの伝達が緩和されているものと考えられる。
このように、緩和部55を設けることで、仕切部54が倒れるように変形しても、その変形による歪みが保持面部521、522、523、524に伝達されない或いは伝達されにくくなる。これにより、仕切部54が傾倒しても、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの変形が抑制され、反射部材43Y、43M、43C、43Kで反射される光ビームの光路の角度ずれを抑制し、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに対して正確な位置に光ビームを照射することができる。
なお、仕切部54の傾倒(の大きさ)によっては、緩和部55で歪みを緩和しきれず、保持面部521、522、523、524に歪みが伝達される場合がある。この場合も保持面部521、522、523、524が凹凸形状に形成されていることから、変形しにくくなっており、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの変形が抑制される。
上述したように、緩和部55の底部552は保持面部524よりも低くなるように形成されており、緩和部55は、仕切部54の傾倒時の歪みを緩和する効果が大きい。しかしながらこれに限定されるものではなく、緩和部55の底部は、少なくとも、仕切部54に最も近くに設けられる反射固定部53Yが設けられる保持面部521よりも深く形成されていればよい。このような構成の場合、歪みの緩和効果は小さくなるが、形状を簡略化することが可能ある。このような構成は、例えば、仕切部54の傾倒による歪みが小さい走査光学装置に採用することが可能である。
また、本実施形態では、緩和部55が仕切部54に隣接して設けられていたが、仕切部54と反射固定部53Yとの間に設けられるものであれば、仕切部54から離れて形成されていてもよい。緩和部55の溝形状は下方から見たとき、仕切部54の全長に沿って形成されている。この形状とすることで、仕切部54の全体の歪みを緩和でき、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの変形を効果的に抑制することができる。
また、緩和部55は反射固定部の反射面と平行となるように設けられることが好ましい。反射固定部の傾倒による反射部材の反射面の角度の変化のうち、傾倒方向の角度の変化の影響が大きくなる傾向にある。そのため、緩和部55を反射面と平行とすることで、最も影響が大きくなる方向の歪みを抑制することができるため、光ビームの角度のずれを効率よく抑制することができる。
また、仕切部54に最も近い反射部材43Yを平面部520に対して高い位置に配置するようにすることで、仕切部54の傾倒の影響を最も受けやすい反射部材43Yの反射面のずれを効率よく抑制することが可能である。
なお、本実施形態では、筐体50を熱変形させる熱源として、偏向器44を挙げているが、これに限定されるものではない。偏向器44以外の熱源からの熱が反射固定部53Y、53M、53C、53Kに到達するのを遮る(遮熱する)ために設けられる遮熱壁部に対しても、上述のような構成の保持面部及び緩和部が形成されるようにすることで、遮熱壁部の熱による傾倒に基づく、光ビームのずれを抑制することができる。なお、以下の各実施形態でも同様に偏向器を熱源としているが、偏向器以外の熱源でも利用可能である。
(第2実施形態)
本発明に係る走査光学装置の他の例について図面を参照して説明する図7は走査光学装置の他の例の保持部の下面図である。図7に示すように、反射固定部53Yの要精度面に沿うとともに反射固定部53Yの突出方向と直交する第1方向a1としたとき、緩和部55Aの溝形状の第1方向a1の長さL1が、反射固定部53Yの同方向の長さL1と同じである。
このように形成することで、反射固定部53Yの変形を抑制することができる。なお、このような構成は、例えば、仕切部54の傾倒による歪みが小さく、歪みが仕切部54に最も近い反射固定部53Yにのみ影響するような走査光学装置40に対して採用することが可能である。また、緩和部55Aの溝形状の長さが長いほど緩和効果が大きくなる。そのため、緩和部55Aの溝形状の長さは反射固定部53Yの長さよりも長いことが好ましい。
また、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの少なくとも2個に歪みの影響がある場合もある。このような場合、緩和部55が複数の反射固定部を重ね合せた長さと同じ又はそれよりも長くなるように構成する。例えば、反射固定部53Y及び反射固定部53Mが仕切部54の熱変形による歪みの影響を受ける場合、緩和部55Aの溝形状の第1方向a1の長さL1を、反射固定部53Yと反射固定部53Mの第1方向a1の両端の長さL2と同じか長くなるように構成する。
このような構成とすることで、緩和部55Aの大きさを最小限に抑えることができるため、構成の変更を最小限に抑えつつ仕切部54Aの傾倒に基づく歪みによる影響を効果的に緩和し、光ビームのずれを抑制することができる。
(第3実施形態)
本発明に係る走査光学装置の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明に係る走査光学装置のさらに他の例の拡大断面図であり、図9は図8に示す走査光学装置の保持部の下面図である。図8、図9に示す走査光学装置では、緩和部57が異なる以外、第1実施形態の走査光学装置と同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付す。
図8、図9に示すように、筐体50は緩和部55に替えて、緩和部57を備えている。緩和部57は、側部571及び底部572に溝形状と同じ方向に並んだ複数個の貫通孔573を備えている。貫通孔573を備えていることで、側部571及び底部572の面積が小さくなり、側部571及び底部572が保持面部521、522、523、524に比べて変形しやすくなる。そのため、仕切部54の傾倒による歪みが伝達されたときに、保持面部521、522、523、524が変形する前に、緩和部57の側部571及び底部572が変形する。
そして、側部571及び底部572が変形することで保持面部521、522、523、524への歪みの伝達が緩和され、保持面部521、522、523、524の変形を抑制する。
以上示したように、本実施形態の緩和部57では、側部571及び底部572に貫通孔573を設けることで、変形しやすい部分、すなわち、意図的に強度を落とした部分を形成し、その部分を変形させることで、歪みの伝達を緩和している。
なお、本実施形態では、緩和部57の側部571及び底部572に複数個の貫通孔573を並んで設ける構成としているが、これに限定されるものではない、例えば、平面配列するように設けてもよいし、複数個の貫通孔573のうち、少なくとも2個を連結したような長孔としてもよい。全ての貫通孔573を連結した長孔形状でもよいことは言うまでもない。
また、本実施形態の緩和部57では、側部571及び底部572に貫通孔573を形成しているが、これに限定されるものではなく、側部571、底部572の少なくとも1面に貫通孔573を形成するようにしてもよい。
(第4実施形態)
本発明に係る走査光学装置の他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明に係る走査光学装置のさらに他の例の拡大断面図であり、図11は図10に示す走査光学装置の保持部の下面図である。図10、図11に示す走査光学装置では、緩和部58が異なる以外、第1実施形態の走査光学装置と同じ構成を有しており、実質上同じ部分には同じ符号を付す。
図10に示すように、筐体50は緩和部55に替えて、緩和部58を備えている。緩和部58は、側部581及び底部582の厚みを保持面部521、522、523、524よりも薄く形成している。側部581及び底部582をこのように構成することで、側部581及び底部582が保持面部521、522、523、524に比べて変形しやすい。そのため、仕切部54の傾倒による歪みが伝達されたときに、保持面部521、522、523、524が変形する前に、緩和部58の側部581及び底部582が変形する。
そして、側部581及び底部582が変形することで保持面部521、522、523、524への歪みの伝達が緩和され、保持面部521、522、523、524の変形を抑制する。
以上示したように、本実施形態の緩和部58では、側部581及び底部582を保持面部521、522、523、524に比べて薄くすることで、変形しやすい、すなわち、意図的に強度を落とし、その部分を変形させることで、歪みの伝達を緩和している。
また、本実施形態の緩和部58では、側部581及び底部582の両方を保持面部521、522、523、524よりも薄く形成しているが、これに限定されるものではなく、側部581、底部582の少なくとも1つを薄く形成してもよい。
なお、本実施形態では、緩和部58の側部581及び底部582の全体を保持面部521、522、523、524に比べて薄くしているが、これに限定されるものではない、例えば、一部分だけ薄く形成した薄肉部583(図10参照)としてもよい。このとき、薄肉部583は、溝形状が延びる方向に連続していてもよいし(薄肉部5831、図11参照)、断続して形成されていてもよい(薄肉部5832、図11参照)。また、薄肉部583が仕切部54の傾倒方向に並んで配列されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。