<画像形成装置の全体構成>
以下の各実施形態で共通となる画像形成装置の全体構成について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の内部構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、原稿から画像を読み取る画像読取装置3と、画像が形成される記録紙を収納する給紙装置4と、トナー画像を作像した後に該トナー画像を給紙装置4から給紙された記録紙に転写する作像ユニット5と、作像ユニット5で記録紙に転写されたトナー画像を定着する定着装置6と、定着装置6で定着されて画像が形成された記録紙が排紙される排紙トレイ7と、作像ユニット5内の感光体ドラム61にレーザー光を照射する走査光学装置8と、を備える。この画像形成装置1において、その装置本体2上部に画像読取装置3が設けられるとともに、装置本体2内部において、図1に示すように、下側から順に、給紙装置4、走査光学装置8、作像ユニット5、定着装置6のそれぞれが設けられる。
排紙トレイ7は、定着装置6で画像記録されて排紙された記録紙を受けるために、装置本体2の上側に設けられるとともに、給紙装置3が、装置本体2における作像ユニット5の下側で挿抜可能に構成される。このように構成されることで、給紙装置4に収納された記録紙が装置本体2内部に給紙された後、上昇搬送されることによって、給紙装置4の上部に配置された作像ユニット5及び定着装置6で画像が形成された後、画像読取装置3の下側の空間(凹みスペース)に設けられた排紙トレイ7に排紙される。
装置本体2上部に設けられる画像読取装置3は、原稿からの画像を読み取るスキャナー部31と、スキャナー部31の上部に設けられるとともにスキャナー部31に原稿P1を1枚ずつ搬送させる自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)32とを備える。スキャナー部31は、上面側にプラテンガラス(不図示)を有する原稿台33と、原稿P1に対して光を照射する光源装置34と、原稿からの反射光を画像データに光電変換するイメージセンサー35と、反射光をイメージセンサー35上に結像させる結像レンズ36と、原稿からの反射光を順次反射させて結像レンズ36に入射させるミラー群37とを備えている。又、ADF32は、原稿載置トレイ38と原稿排出トレイ39とを備えるとともに、スキャナー部31の上面側において、原稿台33に対して開閉可能に設けられている。
この画像読み取り装置3では、原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿を読み取る場合、副走査方向に移動する光源装置34から光が原稿に対して照射され、その反射光が、ミラー群37及び結像レンズ36を介して、イメージセンサー35上に結像される。これにより、イメージセンサー35が、原稿からの反射光に基づく電気信号を生成し、画像データとして出力する。一方、原稿載置トレイ38に載置された原稿を読み取る場合、原稿台33内部の所定位置に固定された光源装置34及びミラー群37が固定されると共に、複数のローラー等で構成される原稿搬送機構40によって原稿が読取位置に搬送される。従って、光源装置34からの光が、原稿搬送機構40により搬送された原稿に対して照射されることで、その反射光がイメージセンサー35上に結像されて、画像データが出力される。
作像ユニット5は、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Key tone)各色のトナー画像を担持する感光体ドラム61と、水平方向に並んだ各色の感光体ドラム61と当接することで感光体ドラム61から各色のトナー画像が転写される中間転写ベルト53と、感光体ドラム61と中間転写ベルト53を挟持するように各色の感光体ドラム61それぞれに対して上側に対向する位置に設けられた一次転写ローラー54と、中間転写ベルト53を回動させる駆動ローラー55と、駆動ローラー55の回転が中間転写ベルト53を通じて伝達することで回転する従動ローラー56と、中間転写ベルト53を挟んで駆動ローラー55と対向する位置に設置される二次転写ローラー57と、中間転写ベルト53を挟んで従動ローラー56と対向する位置に設置されるクリーナー58とを、備える。
又、感光体ドラム61の外周側には、感光体ドラム61の外周面をコロナ放電により帯電させる帯電装置62と、攪拌して帯電させたトナーを感光体ドラム61の外周面に付着させる現像装置63と、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した後に感光体ドラム61の外周面に残留するトナーを除去するクリーナー64と、を備える。このとき、感光体ドラム61は、中間転写ベルト53を挟んで、一次転写ローラー54と対向する位置に設置されるとともに、図1における時計回りの方向に回転する。そして、感光体ドラム61の周囲には、一次転写ローラー54、クリーナー64、帯電装置62、及び現像装置63が、感光体ドラム61の回転方向に沿って、順番に配置されている。
又、中間転写ベルト53は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成され、駆動ローラー55及び従動ローラー56に緩みの無い状態で巻き掛けられることで、駆動ローラー55の回転に従って、図1において反時計回りの方向に回動する。そして、中間転写ベルト53の周囲には、中間転写ベルト53の回転方向に沿って、二次転写ローラー57、クリーナー58、YMCK各色の感光体ドラム61それぞれが順番に配置されている。
この作像ユニット5におけるYMCK各色の感光体ドラム61表面に静電潜像を形成するための露光装置として、走査光学装置8が作像ユニット5の下側に設置される。走査光学装置8は、YMCK各色の光ビームとなるレーザー光LY,LM,LC,LKを、YMCK各色の感光体ドラム61表面に照射する。この感光体ドラム61表面に照射されるレーザー光LY,LM,LC,LKはそれぞれ、YMCK各色各色の帯電装置62と現像装置63との間を通過し、感光体ドラム61に到達する。走査光学装置8の詳細な構成については、後述する。
定着装置6は、記録紙上のトナー画像を定着させるべく加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー59と、記録紙を加熱ローラー59と共に挟持して記録紙を加圧する加圧ローラー60とを備える。尚、加熱ローラー59は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、加熱ローラー59表面が加熱されるものであってもよい。又、中間転写ベルト53の上側には、YMCK各色について、現像装置63に補給するトナーを収容したトナー補給装置8が配置されている。トナー補給装置8は、YMCK各色に対応して配置されるとともに、不図示のトナー搬送部材を介してYMCK各色の現像装置63と接続され、このトナー搬送部材を通じて現像装置63へトナーを補給する。
給紙装置4に収納された記録紙を1枚ずつ取り出す給紙機構として、給紙装置4に収納された記録紙を最上層から繰り出す繰り出しローラー41と、繰り出された記録紙を1枚ずつに分離する分離ローラー対42と、を備える。又、給紙装置4内の記録紙は、繰り出しローラー41及び分離ローラー対42の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、主搬送路R0に向けて送り出される。主搬送路R0のうち、定着装置6よりも下流側には、印刷済の記録紙を排出する排紙ローラー対71が配置されている。印刷済の記録紙は、排紙ローラー対71の回転駆動によって排紙トレイ7に排出される。
又、このように各部が構成される画像形成装置1の装置本体2内には、更に、片面印刷後の記録紙を表裏反転させて両面印刷するための循環搬送部R1が設けられている。そして、排紙ローラー対71が正逆回転可能に構成されることで、排紙ローラー対71の正逆回転により、記録紙を装置本体2外の排紙トレイ7に排出したり、スイッチバック(逆送)して装置本体2内の循環搬送路R1に戻したりできる。
画像形成装置1による印刷動作を簡単に説明する。画像形成装置1は、開始信号や画像信号等を受信して印刷動作を開始する。印刷動作が開始すると、給紙装置4から繰り出された記録紙が、主搬送路R0に沿って作像ユニット5に搬送される。この作像ユニット5では、帯電装置62によって帯電させた感光体ドラム61の表面に走査光学装置8からレーザー光LY,LM,LC,LKが照射され、YMCK各色の画像に対応した静電潜像が感光体ドラム61の表面に形成される。
この静電潜像が形成された感光体ドラム61の表面に、現像装置63で帯電したトナーが移り、感光体ドラム61にトナー画像が形成される。そして、感光体ドラム61の表面に担持されたトナー画像が、中間転写ベルト53と接触する際、一次転写ローラー54の静電気力によって、中間転写ベルト53に転写されるため、中間転写ベルト53の表面に、YMCK各色が重なったトナー画像が形成される。一方、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した感光体ドラム61に残った未転写トナーは、クリーナー64にて掻き取られ、感光体ドラム61上から取り除かれる。
中間転写ベルト53に転写されたトナー画像は、駆動ローラー55及び従動ローラー56によって中間転写ベルト53が回転することで、二次転写ローラー57と当接する転写位置まで移動し、主搬送路R0上の転写位置まで搬送される記録紙に転写される。トナー画像を記録紙に転写した中間転写ベルト53に残った未転写トナーは、クリーナー58にて掻き取られ、中間転写ベルト53上から取り除かれる。又、二次転写ローラー57との当接位置でトナー画像が転写された記録紙は、定着装置6に搬送される。
片面に未定着トナー像を載せた記録紙は、定着装置6の定着位置を通過する際に、加熱ローラー59による加熱及び加圧ローラー60による加圧が施されて、未定着トナー像が紙面に定着される。そして、片面印刷の場合、トナー像定着後(片面印刷後)の記録紙は、排紙ローラー対71により排紙トレイ7に排出される。一方、両面印刷の場合は、片面印刷後の記録紙を両面印刷用の循環搬送路R1に搬送して裏返しにし、再び主搬送路R0に戻すことによって、画像転写部5及び定着装置6で記録紙の他面にトナー像を転写及び定着させた後、排紙トレイ7に排出することとなる。
<走査光学装置の構成>
図1の画像形成装置における走査光学装置8の構成について、以下に図面を参照して説明する。図2は、走査光学装置8の内部構成を示す概略断面図であり、図3は、走査光学装置8の内部構成を示す平面図である。又、図4は、走査光学装置8の光源部及び光走査部の主要部の構成を示す拡大図であり、図5は、光源部に設置される光源ユニットの構成を示す概略斜視図である。尚、図3の平面図では、その内部構造を明らかにすべく、上蓋を取り除いて図示している。又、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「左右」「上下」「前後」)を用いる場合は、図2における紙面正面を前として、その前後方向を正面視とし、これを基準にしている。即ち、主走査方向が、図2を基準とする「前後方向」に相当する。
図3及び図4に示すように、走査光学装置8は、略矩形状の底板81における前後左右の周端に側壁82f,82b,82l,82rが立設されるとともに上蓋83で覆われた筐体80内に、後述の各光学部材が設置されることによって構成される。この走査光学装置8は、筐体80の左側側壁82l側に、スキャナーユニット400が設置される光走査部84と、後述の光源ユニット500が設置される光源部85とを、備える。光源部85が、前側側壁82f側に設けられるとともに、光源部85の後側に隣接するように、光走査部84が設けられる。
そして、光走査部84の右側の対向する位置に、fθレンズで構成される長尺状の走査レンズ201が設置されるとともに、この走査レンズ201の右側に、同じくfθレンズで構成される長尺状の走査レンズ202が設置される。走査レンズ202の設置位置より更に右側には、右側に向かって順番に、長尺状の反射鏡203y,203m,203c,203kが固設される。反射鏡203y,203m,203c,203kは、上下方向の高さ位置を異なる位置とすることで、光走査部84で走査されて走査レンズ201,202を透過したレーザー光LY,LM,LC,LKそれぞれを受ける。
反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれの上側には、反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれを反射したレーザー光LY,LM,LC,LKを透過する走査レンズ205y,205m,205c,205kが固設される。即ち、長尺状の走査レンズ205y,205m,205c,205kはそれぞれ、反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれを反射するレーザー光LY,LM,LC,LKの光路上に設置される。走査レンズ205y,205m,205cそれぞれよりも左上側には、長尺状の反射鏡204y,204m,204cが、走査レンズ205y,205m,205cそれぞれを透過したレーザー光LY,LM,LCを受ける位置に設置される。反射鏡203y,203m,203c,203k,204y,204m,204cそれぞれは、その鏡面を所定の角度で傾斜して設置される。
更に、筐体80の上側を覆う上蓋83には、反射鏡204y,204m,204cそれぞれを反射するレーザー光LY,LM,LCそれぞれを装置外部に出射させるための開口に嵌合させた防塵用のウィンドウガラス231y,231m,231cと、走査レンズ205kを透過するレーザー光LKを装置外部に出射させるための開口に嵌合させた防塵用のウィンドウガラス231kとが、具備される。このウィンドウガラス231y,231m,231c,231kはそれぞれ長尺状で構成されるとともに、反射鏡204y,204m,204c及び走査レンズ205kの上に配置される。
光走査部84は、図3及び図4に示すように、走査レンズ201に対向する位置にスリット404が設けられて、レーザー光LY,LM,LC,LKを走査レンズ201に出射する。又、光走査部84に設置されるスキャナーユニット400は、基板401上に構成されたモーター402と、モーター402の回転軸により軸支されるポリゴンミラー403とを備える。このように光走査部84が構成されることで、光源部85から照射されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、モーター402により回転するポリゴンミラー403に照射される。そして、このポリゴンミラー403を反射して走査されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、スリット404を通って、走査レンズ201に照射される。又、上蓋83における光走査部84の上側を覆う領域には、モーター402及びポリゴンミラー403の回転による熱を放熱する放熱フィン404が設置される。
光源部85は、図4及び図5に示すように、レーザーダイオード501y,501m,501c,501k、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502k、反射ミラー503y,503m,503c,503k,504、及びシリンドリカルレンズ505が保持部材506上に固定された光源ユニット500を備える。光源ユニット500における保持部材506は、底板81にネジ507により螺着される板状の光学系保持部561と、光学系保持部561の側部から光学系保持部561に対して垂直に立設させた板状の光源保持部562とから構成される。
光源保持部562は、左後から右前にむかって傾斜させて立設されるとともに、光走査部84から離れる方向に沿って、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kが固定される。光学系保持部561は、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kそれぞれに対向する位置にコリメーターレンズ502y,502m,502c,502kそれぞれが固定される。この光学系保持部561において、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kそれぞれの光源保持部562の逆側となる位置に、反射ミラー503y,503m,503c,503kが立設される。そして、光学系保持部561において、反射ミラー503y,503m,503c,503kが並ぶ延長線上に反射ミラー504が立設されるとともに、反射ミラー503y,503m,503c,503kの固定位置よりも光学系保持部561より離れた位置にシリンドリカルレンズ505が立設される。
反射ミラー503y,503m,503c,503kはそれぞれ、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kの光軸に対して同一角度で傾斜するように、光学系保持部561より立設している。又、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kがそれぞれ、左後から右前にむかって配置されるとともに、反射ミラー503y,503m,503c,503k,504がそれぞれ、左後から右前にむかって配置される。そして、シリンドリカルレンズ505が、反射ミラー504とポリゴンミラー403とを結ぶ直線上において、反射ミラー504に対して左後側に配置される。
又、光学系保持部561は、光源保持部562との接続部近傍であって光源保持部562の両側となる位置に、ネジ507が挿入される2つの貫通孔563を備えるとともに、光源保持部562に対して離れた位置に、ネジ508が挿入される別の貫通孔564を備える。これにより、ネジ507,508が光学保持部561を貫通して筐体80の底板81に螺挿されて、光学系保持部561が底板81に固定され、保持部材506が筐体80に固設される。
このとき、螺着されたネジ507が、光源保持部562の光学系保持部561への取付部分(根本)の両側を固定することで、光学系保持部561の変形による光源保持部562への影響を抑制できる。即ち、光源保持部562両側のネジ507による固定点を結ぶ直線が、光源保持部562が立設される光学系保持部561の側部と重なる位置に近づくよう、光源保持部562両側に2つの貫通孔563が設けられる。
更に、保持部材506は、樹脂材料で構成されるものであって、例えば、光学系保持部561及び光源保持部562が一体化するように成型されて構成されるものであっても構わない。そして、保持部材506を構成する樹脂材料を、ガラスフィラー等の繊維強化材料を混入した樹脂材料とすることで、樹脂成形された保持部材506の剛性を高めるとともに熱変形を抑制できる。
このように樹脂材料で構成される保持部材506であっても、上述のようにネジ507による固定点の一部を、光源保持部562と光学系保持部561の接続部分の両側に配置することで、保持部材506の剛性を高めることができ、熱変形による影響を低減できる。これにより、保持部材506にリブを設ける必要がなくなるだけでなく、筐体により構成する必要がない。従って、保持部材506の成型に使用する樹脂材料の使用量を低減できるだけでなく、上記の各光学部品の取付を容易に行うことができ、各光学部品の取付精度を高精度に維持できる。
図5に示すように、保持部材506の光源保持部562に固定されるレーザーダイオード501y,501m,501c,501kは、素子ホルダ511に挿入されて発光素子ユニット512y,512m,512c,512kを構成している。この発光素子ユニット512y,512m,512c,512kは、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kの発光側がコリメーターレンズ502y,502m,502c,502kの入光側に対向するように設置される。
そして、光源保持部562と素子ホルダ511とが螺着されることで、発光素子ユニット512が光源保持部562に固定される。これにより、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kそれぞれとコリメーターレンズ502y,502m,502c,502kそれぞれとが、所定の距離で設置される。同時に、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kそれぞれの光軸とコリメーターレンズ502y,502m,502c,502kそれぞれの光軸とが一致する。
又、光源保持部562は、図6に示すように、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kの発光面からのレーザー光を通過させる貫通孔565y,565m,565c,565kを備える。貫通孔565y,565m,565c,565kはそれぞれ、光走査部84に最も近い貫通孔565yを最も高い位置とし、光走査部84から最も離れた貫通孔565kを最も低い位置として、その高さが、565y,565m,565c,565kの順となるように設けられる。
更に、光源保持部562は、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kが設置される貫通孔565y,565m,565c,565kそれぞれを備える発光素子設置部566y,566m,566c,566kの間に、切欠部567〜569を有する。この発光素子設置部566y,566m,566c,566kは、貫通孔565y,565m,565c,565kそれぞれの設置位置に合わせて、光学系保持部561との接続部分の逆側となる辺縁の高さが設定される。即ち、発光素子設置部566y,566m,566c,566kは、その高さが、566y,566m,566c,566kの順に低くなるように構成される。
切欠部567〜569それぞれの切り込み位置(光学系保持部561側の高さ位置)は、ほぼ同一位置とされる。この切欠部567〜569それぞれが、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれの間に設けられるため、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれが独立して熱変形することとなる。従って、発光素子設置部566y,566m,566c,566kは、相互に熱変形による影響を与えることを防止できる。
このように、切欠部567〜569を挟んで設けられた発光素子設置部566y,566m,566c,566kは、保持部材506の各部とともに、上述の繊維強化材料を混入した樹脂材料で成型される。このとき、図7に示すように、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれを成型する樹脂材料は、その繊維強化材料の配向方向が異なる。尚、図7中の二本の一点鎖線が、成型された樹脂材料中の繊維強化材料の配向方向を示す。
ところで、成型後の樹脂材料の熱膨張率は、樹脂材料中の繊維強化材料の配向方向により変化する。即ち、繊維強化材料の配向方向を基準としたとき、配向方向に対して平行な方向に近づくと、樹脂材料の熱膨張係数が小さくなる一方で、配向方向に対して垂直な方向に近づくと、樹脂材料の熱膨張係数が大きくなる。例えば、繊維強化材料の配向方向に対して平行な方向の熱膨張係数が0.3×E−4[/℃]となる樹脂材料において、繊維強化材料の配向方向に対して垂直な方向の熱膨張率が0.65×E−4[/℃]となる。
この繊維強化材料の配向方向に対する方向性の違いに基づく熱膨張率の違いを利用するために、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれに対して、成型後の樹脂材料中の繊維強化材料の配向方向を変化させる。即ち、光学系保持部561の接続部分から貫通孔565y,565m,565c,565kに向かう方向(延設方向)に沿って、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれにおける繊維強化材料の配向方向の傾きを異なるものとする。
そして、光学系保持部561から貫通孔565yの中心までの高さHyが最も高くなる発光素子設置部566yは、上記延設方向に対する繊維強化材料の配向方向の傾きθyを略0度とし、繊維強化材料の配向方向をその延設方向にほぼ平行とする。一方、光学系保持部561から貫通孔565kの中心までの高さHkが最も低くなる発光素子設置部566kは、上記延設方向に対する繊維強化材料の配向方向の傾きθkを略90度とし、繊維強化材料の配向方向をその延設方向にほぼ平行とする。又、発光素子設置部566m,566cそれぞれにおける繊維強化材料の配向方向の傾きθm,θcそれぞれを、0度〜90度の間の値に設定する。
このとき、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれにおける、繊維強化材料の配向方向の傾きθy,θm,θc,θkの関係は、それぞれの絶対値で比較して、|θy|<|θm|<|θc|<|θk|となる。即ち、発光素子設置部566y,566m,566c,566kは、566y,566m,566c,566kの順に、その繊維強化材料の配向方向が延設方向に対して傾くように樹脂成型される。従って、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれの延設方向に沿った熱膨張係数αy,αm,αc,αkの関係が、αy<αm<αc<αkとなる。
ところで、上述したように、光学系保持部561から貫通孔565y,565m,565c,565kそれぞれの中心までの高さHy,Hm,Hc,Hkの関係は、Hy>Hm>Hc>Hkとなり、熱膨張係数αy,αm,αc,αkの大小関係と逆の関係になる。このことから、温度Tによる貫通孔565y,565m,565c,565kの高さ位置の変化量ΔHy(=αy×Hy),ΔHc(=αy×Hy),ΔHm(=αy×Hy),ΔHk(=αy×Hy)はそれぞれ、上述の熱膨張係数αy,αm,αc,αkと高さHy,Hm,Hc,Hkそれぞれの大小関係に基づいて、略等しい状態とできる。
発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれにおける繊維強化材料の配向方向の傾きθy,θm,θc,θkを、上述のように設定することで、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれの熱膨張係数αy,αm,αc,αkを制御できる。これにより、光走査部84等の発生する熱などの影響を受けて、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれが熱変形したとしても、貫通孔565y,565m,565c,565kそれぞれの変位量をほぼ同等とできる。
即ち、レーザーダイオード501y,501m,501c,501kの高さ位置について、熱変形によるそれぞれの位置ズレを最小限にとどめることができる。従って、光源ユニット500の熱変形による影響を抑制し、初期状態で高精度に設定された光学性能を維持できる。尚、図7に示す例では、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれでの繊維強化材料の配向方向の傾きが同方向に傾くものとしているが、図8に示すように、発光素子設置部566y,566m,566c,566kの一部における繊維強化材料の配向方向の逆方向となっても構わない。
このように構成される光源部85において、光源保持部562に固定されたマルチビーム型のレーザーダイオード501y,501m,501c,501kそれぞれが、2本のレーザビームを発振して、レーザー光LY,LM,LC,LKそれぞれを出射する。レーザーダイオード501y,501m,501c,501kそれぞれから出射されたレーザー光LY,LM,LC,LKは、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kそれぞれを透過して平行光とされ、反射ミラー503y,503m,503c,503kそれぞれに入射される。反射ミラー503y,503m,503c,503kは、その鏡面を、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kの光軸に対して例えば45度に傾斜していることで、コリメーターレンズ502y,502m,502c,502kからのレーザー光LY,LM,LC,LKそれぞれを直角に反射する。
反射ミラー503y,503m,503c,503kそれぞれを反射したレーザー光LY,LM,LC,LKはそれぞれ、反射ミラー504で更に反射されて、ポリゴンミラー403に向かって照射される。このとき、反射ミラー504で反射されたレーザー光LY,LM,LC,LKはそれぞれ、シリンドリカルレンズ505を透過することによって、ポリゴンミラー403の各鏡面において略同一の位置に対して集光される。
この光源部85から照射されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、光走査部84のポリゴンミラー403の回転により偏向走査される。このとき、ポリゴンミラー403より反射するレーザー光LY,LM,LC,LKの光束は、筐体80の底板81から上蓋83に向かって、LY,LM,LC,LKの順に位置する。このレーザー光LY,LM,LC,LKがそれぞれ、走査レンズ201,202を順番に透過すると、反射鏡203y,203m,203c,203kによって反射される。
反射鏡203y,203m,203cを反射したレーザー光LY,LM,LCはそれぞれ、反射鏡203y,203m,203cで左側上方に折り返すことで、fθレンズで構成される走査レンズ205y,205m,205cを透過した後、反射鏡204y,204m,204cで反射し、上蓋23のウィンドウガラス231y,231m,231cから外部に出射される。又、反射鏡203kを反射したレーザー光LKは、反射鏡203kで上方に折り返すことで、fθレンズで構成される走査レンズ205kを透過し、上蓋23のウィンドウガラス231kから外部に出射される。これにより、レーザー光LY,LM,LC,LKが、YMCK各色感光体ドラム61に照射される光ビームとして、走査光学装置8から出射される。
このように構成される走査光学装置8における光源ユニット500の更に詳細な構成について、以下の各実施形態で説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の光源ユニットについて、以下に、図面を参照して説明する。図9は、本実施形態の光源ユニットの構成を示す裏面図であり、図10は、本実施形態の光源ユニットの保持部材の構成を示す正面図であり、図11は、本実施形態の光源ユニットの一部の断面図である。尚、図9〜図11の構成において、図5及び図6の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の光源ユニット500は、図9〜図11に示すように、光学系保持部561の裏面に突起部571と貫通穴572とを備えた保持部材506aを有する。突起部571は、保持部材506aを樹脂材料で成型するための金型に設けられたゲートにより構成され、貫通穴572は、ゲートから金型に注入される樹脂材料の流れを規制する障壁により構成される。
又、光源ユニット500を正面視したときに、図9及び図10に示すように、光学系保持部561に対する突起部571の相対位置が、光学系保持部561の中央位置(切欠部568の設置位置)近傍となる。更に、貫通穴572は、図10及び図11に示すように、発光素子設置部566m,566c,566kの配列方向と略平行となるように、突起部571と光源保持部562との間に設けられる。即ち、光学系保持部561の裏面に設けられた貫通穴572は、発光素子設置部566m,566c,566kと対向する位置に設けられる。
この保持部材506aを成形する金型600は、図12のように、その底板601を貫通するゲート602と、底板601の内壁面に突起した障壁603とを有する。尚、図12は、金型600の構成について、底板601の裏面から見た図であり、図中の破線部分が金型600内側の一部の構成を示す。この金型600の内側に対して、底板601におけるゲート602から、ガラスフィラー等の繊維強化材料を含む樹脂材料を充填することで、上述の保持部材506aを一体成型できる。
この金型600により保持部材506aを樹脂材料で成型する際、上述のように、金型600の底側からゲート602を通じて、金型600内部に樹脂材料が流し込まれる。金型600内部に流入した樹脂材料は、光学系保持部561及び光源保持部562を形作る空間に充填される。このとき、光源保持部562の型となる成型用空間604(図12の破線部分)に対して流れようとする樹脂材料は、当該空間604とゲート602との間に位置する障壁603を避けて流れる。
従って、図12中の矢印のように、発光素子設置部566yの型となる空間604yに向かって多くの樹脂材料が流れ込むとともに、一部が、障壁603を回り込んで、発光素子設置部566m,566c,566kの型となる空間604m,604c,604kに向かって順番に流れ込む。これにより、空間604yには、発光素子設置部566yの延設方向に沿って樹脂材料が流れる一方で、空間604m,604c,604kそれぞれには、空間604yから離れた位置ほど、底板601に平行な方向に傾く方向に樹脂材料が流れる。
このように、金型600内部に流入された樹脂材料について、空間604y,604m,604c,604kそれぞれを流れる方向が制御されるため、この樹脂材料に混合される繊維強化材料の配向方向も制御されることとなる。即ち、空間604y,604m,604c,604kそれぞれにおける樹脂材料の流れる方向に沿うように、繊維強化材料の配向方向が設定される。よって、成形後の発光素子設置部566y,566m,566c,566kにおける繊維強化材料の配向方向の傾きθy,θm,θc,θkが、図7のように、|θy|<|θm|<|θc|<|θk|となる。
尚、本実施形態において、金型600の障壁603が、成型される光源保持部562と平行となる方向に設けられるものとしたが、このような構成の障壁603に限らず、空間604y,604m,604c,604kの順となるように、樹脂材料の流れが制御されるようなものであれば、他の構成の障壁としても構わない。即ち、例えば、図13のような貫通穴572aが設けられるように、発光素子設置部566m,566c,566kの並ぶ順に、光源保持部562に向かって近づくように障壁を傾けて設置されるものとしても構わない。
又、保持部材506aは、障壁603により貫通穴572ではなく、凹部が設けられるものとしても構わない。このとき、例えば、図14のような深さの異なる凹部572bが設けられるように、その高さが発光素子設置部566m,566c,566kの並ぶ順に高くなる障壁を設置されるものとしても構わない。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の光源ユニットについて、以下に、図面を参照して説明する。図15は、本実施形態における光源ユニットの保持部材の構成を示す正面図であり、図16は、本実施形態の光源ユニットの一部の断面図である。尚、図15及び図16の構成において、図9〜図11の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の光源ユニット500は、図15及び図16に示すように、光学系保持部561における光源保持部562の接続部近傍の底板部573(図15の破線)の厚さを光源保持部562の接続縁に沿って変化させた構成の保持部材506bを有する。又、この保持部材506bは、第1の実施形態における保持部材506aと同様、金型に設けられたゲートにより構成される突起部571が、光学系保持部561の裏面に形成される。
このとき、突起部571は、第1の実施形態と同様、光源ユニット500を正面視したときに、光学系保持部561に対する相対位置が、光学系保持部561の中央位置(切欠部568の設置位置)近傍となる。そして、光学系保持部561の底板部573は、光学系保持部561の中央位置(切欠部568の設置位置)より発光素子設置部566m側の厚さDaが、発光素子設置部566c側の厚さDbより厚くなるように設定される。
即ち、図17に示すように、金型610における、光学系保持部561の底板部573を構成する成型用空間611において、発光素子設置部566y,566m(図17中の破線)側の空間611aの高さDaが、発光素子設置部566c,566k(図17中の破線)側の空間611bの高さDbより高くなる。これにより、金型610の底板601に設けられた不図示のゲートから充填される樹脂材料は、その多くが空間611a側に流入する。
これにより、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれを成型する樹脂材料は、566y,566m,566c,566kの順に、金型610内において多く流れ込む。そのため、発光素子設置部566y,566m,566c,566kそれぞれを成型する樹脂材料が流れる方向は、発光素子設置部566kの構成位置に近づくほど、底板601に平行な方向に傾く。よって、本実施形態においても、成形後の発光素子設置部566y,566m,566c,566kにおける繊維強化材料の配向方向の傾きθy,θm,θc,θkが、図7のように、|θy|<|θm|<|θc|<|θk|となる。
尚、本実施形態において、光学系保持部561の底板部573は、光学系保持部561の中央位置(切欠部568の設置位置)近傍で、その厚さが変化するものとしたが、繊維強化材料の配向方向の傾きを、図7又は図8に示すような傾きに制御できるものであればよい。よって、例えば、図18に示すように、光学系保持部561の底板部573の厚さが、発光素子設置部566m側で変化するものとし、発光素子設置部566c,566kを構成する樹脂材料のゲートからの流入量を更に抑制するものとしてもよい。又、図19に示すように、光学系保持部561の底板部573の厚さが、発光素子設置部566y,566m,566c,566kの順に段階的に薄くなるように変化するものであってもよい。更に、図20に示すように、光学系保持部561の底板部573の底側を平面とし、その上面を変化させることで厚さを変化させるものであってもよい。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の光源ユニットについて、以下に、図面を参照して説明する。図21は、本実施形態の光源ユニットの構成を示す裏面図であり、図22は、本実施形態の光源ユニットの保持部材の構成を示す正面図である。尚、図21及び図22の構成において、図9〜図11の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の光源ユニット500は、図21及び図22に示すように、光学系保持部561の裏面に突起部574を備えた保持部材506cを有する。突起部574は、保持部材506cを樹脂材料で成型するための金型に設けられたゲートにより構成され、光源ユニット500を正面視したときに、光学系保持部561に対する相対位置が、光学系保持部561の発光素子設置部566y近傍となる。
即ち、保持部材506cを成形する金型620は、図23のように、その底板621を貫通するゲート622を有する。尚、図23は、金型620の構成について、底板621の裏面から見た図であり、図中の破線部分が金型620内側の一部の構成を示す。金型620により保持部材506cを樹脂材料で成型する際、空間604y近傍のゲート622を通じて、金型600内部に樹脂材料が流し込まれる。これにより、図23中の矢印のように、発光素子設置部566yの型となる空間604yに向かって多くの樹脂材料が流れ込むこととなる。よって、空間604m,604c,604kそれぞれには、空間604yから離れた位置ほど、底板601に平行な方向に傾く方向に樹脂材料が流れる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、金型620内部に流入された樹脂材料について、空間604y,604m,604c,604kそれぞれを流れる方向が制御されて、繊維強化材料の配向方向が設定される。従って、成形後の発光素子設置部566y,566m,566c,566kにおける繊維強化材料の配向方向の傾きθy,θm,θc,θkが、図7のように、|θy|<|θm|<|θc|<|θk|となる。
尚、本実施形態の構成に第1の実施形態の構成を組みわせるものとし、金型620内に障壁603を設けて、空間604y,604m,604c,604kそれぞれへ流れ込む樹脂材料の流れを制御するものとしても構わない。このとき、成型後の保持部材506cの裏面には、上述の突起部574に更に凹部572が形成される。又、本実施形態の構成に第1の実施形態の構成を組みわせるものとし、光学系保持部561の底板部573の厚さを変化させる空間を有する金型を使用して、空間604y,604m,604c,604kそれぞれへ流れ込む樹脂材料の流れを制御するものとしても構わない。
上述の各実施形態において、保持部材506a〜506cの裏面には、ゲートによって形成される突起部571,574を備えるものとしたが、金型成型後に、この保持部材506a〜506cの裏面に形成される突起部571,574が除去されるものとしても構わない。
本願発明における画像形成装置として、上述の各実施形態における、光源ユニットのそれぞれを備えるものであれば、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)であっても構わないし、プリンター、コピー機、ファクシミリ等であっても構わない。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。