本発明の構成について図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかる走査光学装置を備えた画像形成装置の一例を示す図である。なお、以下の説明において、上下左右或いは時計回り反時計回り等方向を示す説明を行う場合があるが、特に記載しない限り図1を基準とする。
図1に示す画像形成装置Aは、タンデム型カラーデジタル複写機で、原稿画像を読み取るイメージリーダー部20と、読み取った画像を記録シート等の転写材に印刷するプリンター部10と、プリンター部10に対して転写材(ここでは、記録紙)を供給するための給紙部30と、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に静電潜像を形成する走査光学装置40とを備えている。また、画像形成装置Aでは、制御部Contを備えており、プリンター部10、イメージリーダー部20、給紙部30及び走査光学装置40が制御部Contによって制御されている。
イメージリーダー部20は、原稿ガラス板(不図示)の上に載置された原稿を、スキャナーを移動して読み取るものであり、公知の構成を有している。イメージリーダー部20は、原稿画像を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に色分解し、不図示のCCD等のイメージセンサーを用いて電気信号に変換して、R・G・Bの画像データを取得する。イメージリーダー部20で取得した色別(R、G、B)の画像データは、制御部Contで各種処理が行われた後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換され、制御部Contに設けられた記録部(メモリ)に格納される。制御部Cont内のメモリに格納された各再現色の画像データは、位置ずれ補正を受けたのち、1走査ラインごとに読み出されて駆動信号となる。この駆動信号は走査光学装置40を駆動するための信号である。
プリンター部10は電子写真方式により記録シート等の記録媒体上に画像を形成する。プリンター部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11K(以下、代表して「感光体ドラム11」と称する場合がある)を有している。
各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの周囲には、帯電器111、現像装置112、転写ローラ113、クリーニング部114がそれぞれ設けられている。なお、図1では、便宜上、感光体ドラム11Yの周囲の帯電器111、現像装置112、転写ローラ113、クリーニング部114にのみ符号を付しているが、各感光体ドラムの周囲にも同様の構成が設けられる。
帯電器111は感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器111としては、コロトロン型、スコトロン型といった非接触式のものや、帯電ローラや帯電ブラシを利用する接触式のものを挙げることができるが、これに限定されない。
感光体ドラム11は、暗い場所(暗所)では絶縁体であり、光を照射すると(露光すると)、光が照射された部分が導体になる性質を有している。感光体ドラム11はこの性質を利用しており、回転している感光体ドラム11の表面に走査光学装置40で走査される光ビームが照射されることで静電潜像を形成する。
現像装置112は、静電潜像が形成された感光体ドラム11に対して、電荷を有するトナーを供給することで、感光体ドラム11の表面にトナーを吸着させて、トナー像を形成する。なお、トナー像を形成する方式としては、感光体ドラム11が帯電している電荷と逆の電荷のトナーを露光によって電荷が失われなかった部分に吸着させる方式や前記電荷が失われた部分へトナーを押し込む方式を挙げることができる。
転写ローラ113は、感光体ドラム11の表面に形成されているトナー像を被転写体(ここでは、後述の中間転写ベルト14)に転写するためのローラである。転写ローラ113は、被転写体を挟んで感光体ドラム11の反対側に配置されており、トナーと逆の電荷(転写バイアス)を印加することで、トナーを感光体ドラム11から吸引する。これにより、感光体ドラム11に形成されたトナー像を被転写体に転写する。
クリーニング部114は、感光体ドラム11の表面を除電し、さらに、感光体ドラム11に残っているトナーを除去する。なお、除電は、感光体ドラム11に光を照射することで行う除電ランプを用いるものを挙げることができるがこれに限定されない。また、感光体ドラム11に残ったトナーの除去方法としては、荷電ブラシで吸着するものやゴム等で形成されたブレードで掻き取るものを挙げることができるがこれに限定されない。
プリンター部10は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kにトナーを供給するための、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kと、トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとを備えている。
トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを一時的に貯留する。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれを現像する現像装置112内のトナー量(トナー濃度)が低くなると、不図示の筒状のジョイントを介して対応する現像装置112にトナーを供給する。
トナーボトル13Y、13M、13C、13Kは、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kの上部に配置されている。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kのそれぞれには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されており、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kにトナーを供給する。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを取り換えることで、新たにトナーを供給することができる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとしては、例えば、円筒状のボトルの内周面に螺旋状の突条が形成されたものが挙げられる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを回転させることで、トナーボトル13Y、13M、13C、13K内のトナーが、排出口から落下し、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kに流入する。
プリント部10は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色のトナー像を、重ねて中間転写ベルト14に転写(一次転写)した後、転写材である記録紙に転写(二次転写)する。そして、記録紙に転写されたトナーを加熱・加圧して、カラー画像の印刷を行う。プリント部10は、このような手順を可能にするため、中間転写ベルト14と、二次転写ローラ15と、定着部16と、クリーニングブレード17とを有している。
中間転写ベルト14は、無端ベルトであり、駆動ローラ141と、従動ローラ142と、テンションローラ143との間に張架されている。図1に示すように、テンションローラ143は、駆動ローラ141及び従動ローラ142よりも高い位置に配置されている。そして、テンションローラ143が不図示の付勢部材(例えば、ばね)で上方に付勢可能な構成を有しており、テンションローラ143が上方に付勢されることで、中間転写ベルト14に張力を与えている。なお、駆動ローラ141又は従動ローラ142の少なくとも一方が離れる方向に付勢できる構成の場合、テンションローラ143を省略してもよい。
中間転写ベルト14の下方には、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが左から順に所定間隔をあけて配置されている。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kは回転軸が中間転写ベルト14の移動方向に対して直交するように配置されている。また、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれと中間転写ベルト14を挟むように、転写ローラ113が配置されている。
中間転写ベルト14は駆動ローラ141によって反時計回りに回転する。中間転写ベルト14と同期させて感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kからのトナー像を転写することで、中間転写ベルト14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を正確に重ねて中間転写ベルト14に転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト14の表面には、カラーのトナー像(一次転写像とする)が形成される。
二次転写ローラ15は、中間転写ベルト14を挟んで駆動ローラ141と圧接している。二次転写ローラ15には、二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト14の一次転写像からトナーを吸着する。
次に、プリンター部10に記録紙を供給する給紙部30について説明する。給紙部30は、給紙カセット31と、給紙ローラ32と、レジストローラ33とを備えている。給紙カセット31は、記録紙を収納するための収納部である。給紙カセット31は着脱可能な構成であり、取り外すことで記録紙を補充することができる。なお、画像形成装置Aでは、1個の給紙カセット31が示されているが、これに限定されるものではなく、複数個の給紙カセットが備えられていてもよい。複数個の給紙カセットを備える場合、給紙カセットごとに、例えば、大きさ、色が異なる記録紙を収納するようにしてもよいし、記録紙の配置方向が異なるものでもよい。
給紙ローラ32は、給紙カセット31の最上に配置されている記録紙を、搬送路(破線で表示)に引き出すとともに、レジストローラ33に搬送する。なお、給紙カセット31が複数個備えられている構成の場合、各給紙カセット31に対して給紙ローラ32が設けられるようにしてもよい。
レジストローラ33は、中間転写ベルト14の回転に同期して動作するものであり、中間転写ベルト14の一次転写像が記録紙の予め決められた位置に転写(二次転写)されるように、記録紙を駆動ローラ141と二次転写ローラ15とのニップ部に送る。
記録紙が駆動ローラ141と二次転写ローラ15とのニップ部を通過するとき、記録紙は中間転写ベルト14と接触する。このとき、二次転写ローラ15に二次転写バイアスを印加することで、中間転写ベルト14のトナー像が記録紙に転写(2次転写)される。トナー像が転写された記録紙は、その後、定着部16に搬送される。
定着部16は、搬送された記録紙を加熱・加圧することでトナー像を記録紙に定着させる。
そして、トナー像が定着された記録紙は装置外部へ排出される。一方、中間転写ベルト14上の転写されずに残った残留トナーは、クリーニングブレード17で回収され廃トナーボックスに蓄えられる。クリーニングブレード17は、例えば、ゴム等の板状の部材であり、中間転写ベルト14を挟んで従動ローラ142に向けて押圧されている。
画像形成装置Aでは、中間転写ベルト14に各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのトナー像を重ねて転写することで、カラーの一次転写像を得ている。一次転写像を正確に重ねるためには、上述しているように、中間転写ベルト14と各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kとを正確に同期させるとともに、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成されるトナー像、すなわち、静電潜像がそれぞれ正確で確実に同期している必要がある。本発明の画像形成装置Aでは、走査光学装置40を利用して、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに静電潜像を作成している。
次に、走査光学装置40の構成について図面を参照して説明する。図2は本発明にかかる走査光学装置の概略配置図である。
図2に示すように、走査光学装置40は、光源41Y、41M、41C、41Kと、コリメーターレンズ42と、反射部材(ミラー)43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rと、偏向器44と、光学素子45と、走査反射部46Y、46M、46C、46Kと、検出ミラー群47と、受光部48とを備えている。そして、走査光学装置40は、これらの部材が筐体50に取り付けられている。
光源41Y、41M、41C、41Kは感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれを露光するための光ビームを出射する光源であり、ここでは、光ビームとしてレーザー光を出射するレーザーダイオードを採用している。光源41Y、41M、41C、41Kは基板Bdに実装された状態で、筐体50の側壁51に固定されている。筐体50の側壁51には、光ビームが通過する通過孔が形成されている。光源41Y、41M、41C、41Kには、制御部Contから1走査ラインごとの駆動信号が入力されており、この駆動信号に基づいて、パルス状の光ビームを出射する。
コリメーターレンズ42は、光源41Y、41M、41C、41Kそれぞれの光出射面側に配置されており、光源41Y、41M、41C、41Kから出射された光ビームを拡散光から平行光に変換する光学素子である。
光源41Y、41M、41C、41Kのそれぞれから出射された光ビームは、反射部材43Y、43M、43C、43Kのそれぞれで反射され調整ミラー43Rに照射される。なお、図2に示すように、底面側から見ると、光源41Y、41M、41C、41Kのそれぞれから出射された光ビームの光路は、重なっているが、光源41Y、41M、41C、41Kの図2における紙面厚み方向の設置高さが異なるため、実際には、各光ビームの光路は異なる(重ならない)。調整ミラー43Rは、反射部材43Y、43M、43C、43Kで反射された各光ビームを偏向器44に向けて反射する。
偏向器44は、側面に複数の反射面を周方向に並べて配置したポリゴンミラー441と、ポリゴンミラー441を回転させる偏向モーター442(図1参照)とを備えている。図2に示すように、ポリゴンミラー441は外周面に5個の反射面を備えた、正五角柱形状のものを採用しているが、これに限定されるものではない。調整ミラー43Rで反射された光ビームは、ポリゴンミラー441の中心軸に対して一定の角度で入射する。ポリゴンミラー441を回転させることで、ポリゴンミラー441の反射面に入射する光ビームの入射角度及び反射角度が変化する。すなわち、偏向器44は一定方向からの光ビームを回転しているポリゴンミラー441の側面の反射面で反射することで、反射された光ビームを走査する。
偏向器44のポリゴンミラー441の回転と光源41Y、41M、41C、41Kから出射されるパルス状の光ビームとは正確に同期されており、これによって、光ビームによる感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの露光が精度よく行われる。これらの同期は、制御部Contからの駆動信号によって行われている。
光学素子45は、ポリゴンミラー441で走査された光ビームが透過するように、筐体50に配置されている。そして、光学素子45を透過した光ビームは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに向けて光ビームを反射する走査反射部46Y、46M、46C、46Kに入射する。光ビームは、走査反射部46Y、46M、46C、46Kに点(スポット)で入射するものであり、光ビームの走査によってスポットが走査反射部46Y、46M、46C、46Kの長手方向に移動する。
光学素子45は、fθレンズ等の光学素子を含んでおり、走査反射部46Y、46M、46C、46K上での光ビームのスポットの移動速度を直線方向に一定速度となるように、透過する光ビームを調整する。
走査反射部46Y、46M、46C、46Kに入射した光ビームは、必要に応じてさらに反射部材46a(図1参照)で反射され、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに入射する。なお、走査光学装置40では、複数の反射部材で光ビームを反射させる構造とすることで、光源41Y、41M、41C、41Kから感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面までの光路の距離が等しく又は略等しくなるように調整している。
走査光学装置40は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに入射する光ビームの走査方向(主走査方向)が感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの回転軸と平行になるように配置されている。そして、走査光学装置40では走査した光ビームを感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに照射し、1走査ラインごとに露光することで静電潜像を形成する。このような、構成の場合、光ビームの走査開始位置(静電潜像の書き出し位置)を正確に把握する必要がある。走査光学装置40では、検出ミラー群47と、受光部48とを用いて走査開始位置を検出している。
検出ミラー群47は、走査開始位置に配置される第1ミラー471と、第2ミラー472とを備えている。走査開始位置に照射された光ビームは、第1ミラー471で反射され、第2ミラー472に入射する。第2ミラー472で反射された光ビームは、側壁51に設けられた検出用開口511に照射される。
受光部48は、側壁51の外面に設けられた固定部512にねじScで固定されている。光ビームを受光すると電気信号に変換する受光センサー481と、受光センサー481が実装されたセンサー基板482とを備えている。受光部48は筐体51の外面に取り付け固定されており、検出用開口511を透過した光ビームが受光センサー481で受光できるように取り付けられる。受光センサー481は、走査開始位置に配置された第1ミラー471に入射した光ビームを検知するものであり、走査開始位置を検出する役割を果たす。そして、受光部48は制御部Contに対して受光信号を送信する。この受光信号は、走査開始位置の検出信号であり、受光センサー481は、いわゆる、SOS(Start of Scan)センサーである。
走査光学系装置40では、制御部Contからの駆動信号に基づいて、光源41Y、41M、41C、41Kから画像信号の1走査ラインに対応するパルス状の光ビームを出射する。そして、ポリゴンミラー441で光ビームを走査して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに静電潜像を形成する。
制御部Contは、受光センサー481から走査開始位置の情報を基に、各再現色の画像データの1走査ラインに対応する露光開始のタイミングを調整している。すなわち、光源41Y、41M、41C、41Kの光ビームのパルスとポリゴンミラー441の回転の同期を図るために用いられている。
次に、走査光学装置の筐体50について説明する。
図3は本発明にかかる走査光学装置の筐体の下側から見た斜視図であり、図4は図3に示す筐体の素子が取り付けられている部分の拡大斜視図である。図3に示すように、走査光学装置40は、樹脂の一体成型で形成された筐体50を備えている。筐体50は、側壁51と、保持部52と、反射固定部53Y、53M、53C、53K、53Rと、仕切部54と、リブ55Y、55M、55C、55Kとを備えている。
図2、4に示すように、筐体50は、コリメーターレンズ42、反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rが配置される下向きに開口した第1領域501と、偏向器44、光学素子45、走査反射部46Y、46M、46C、46K及び検出ミラー群47が配置される上向きに開口した第2領域502とを備えている。
筐体50には外周を囲むように側壁51が設けられており、保持部52が第1領域501の底部を構成するように設けられている。そして、仕切部54が第1領域501及び第2領域502を仕切るように設けられている。側壁51、仕切部54は、壁体であり、保持部52と一体的に形成されている。側壁51及び仕切部54は、保持部52を囲むように設けられた壁面の一部を構成している。壁面は筒状に形成されており、筒状に形成されていることで、壁面の剛性が高くなる。これにより、側壁51、仕切部54は、倒れにくくなっている。なお、仕切部54は、この構成に限定されるものではなく、側壁51、壁面とは独立して設けられるものであってもよい。
図2、図3に示すように、側壁51は検出用開口511と、固定部512とを備えている。側壁の検出用開口511は、検出ミラー群47で反射した光ビームが通過するための開口であり、開口を通過した光ビームは、外部に固定された受光部48の受光センサー481に入射する。固定部512は受光センサー481が実装されたセンサー基板482を固定するために設けられている。
図4に示すように、光源41Y、41M、41C、41Kが実装されている基板Bdと、センサー基板482とは、筐体50の外部(側壁51の外面)に取り付けられている。このように、基板Bd及びセンサー基板482が外部に取り付けられていることで、基板同士を配線Pcで接続することが可能である。また、制御部Contからの配線も取り付けやすくなり、製造がしやすく、メンテナンス性を高めることが可能である。
偏向器44では、偏向モーター442でポリゴンミラー441を回転させているため、偏向モーター442から熱が発生する。また、ポリゴンミラー441の回転により気流も発生しており、偏向モーター442の熱で熱せられて熱風が発生する。このような熱風が保持部52に吹付けられると、樹脂の一体成型体である反射固定部53が変形してしまったり、接着剤が変質してしまったりして、反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rの光学的な精度が低下するおそれがある。筐体50では、第1領域501と第2領域502とを仕切部54で仕切ることで、偏向器44からの熱風が反射部材43Y、43M、43C、43K、調整ミラー43Rに吹付けるのを抑制している。
なお、仕切部54には、調整ミラー43Rで反射された光ビームが透過するための、窓部541が設けられている。窓部541は、光ビームを透過させるとともに、熱風を遮断するような構成であることが好ましい。
保持部52は、階段状に異なる高さの面を有する保持面部520を備えている。反射固定部53Y、53M、53C、53Kは保持面部520の異なる高さの面から突出している。図4に示すように、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、反射固定部53Y、53M、53C、53Kのそれぞれの一面(要精度面531)にそれぞれの反射面を当接して固定される。さらに、反射部材43Y、43M、43C、43Kは反射面と隣り合う面が保持面部520と当接する。
反射部材43Y、43M、43C、43Kは、反射面と反射面と隣り合う面の2面をそれぞれ反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531及び保持面部520に当接されることで、反射面が光ビームに対して適切な角度となるように位置決めされる。そして、反射部材43Y、43M、43C、43Kは保持面部520及び反射固定部53Y、53M、53C、53Kに接着剤(紫外線硬化接着剤等)を用いて接着される。
なお、本実施形態では、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、保持面部520に当接する構成となっているが、これに限定されるものではない。反射固定部53Y、53M、53C、53Kで正確に位置決めできる構成であれば、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、保持面部520に当接しない構成であってもよい。
また、図4等に示すように、調整ミラー43Rも反射部材と同様に、保持面部520から突出している固定部53Rに一面(ここでは、反射面と逆の面)を当接させて固定されている。このように固定することで、調整ミラー43Rも位置決めされている。
保持面部520が階段状に異なる高さの面を有しており、その高さの異なる面に反射部材41Y、41M、41C、41Kが固定されている。そのため、反射部材41Y、41M、41C、41Kの反射面の保持面部520に対する高さは仕切部54から遠ざかるほど低くなっている。各反射部材41Y、41M、41C、41Kを異なる高さとすることで、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに静電潜像を形成する光ビームの光路の保持面部520からの高さが異なり、光ビームの光路が重なるのを抑制することができる。
なお、反射部材41Y、41M、41C、41Kの高さは、光ビームが重ならないように光路を確保できるものであれば、すべて同じ高さであってもよいし、いくつかの反射部材だけ他の反射部材よりも高く或いは低くなっていてもよい。また、反射部材41Y、41M、41C、41Kの高さはこれらに限られるものではないが、光ビームの光路が重ならないようにするため、調整ミラー43Rに近い方が低くなるように配置されていることが好ましい。
反射部材43Y、43M、43C、43Kは反射面で光ビームを反射する構成であるため、光ビームの角度のずれは反射面の変位角度の2倍になる。また、光源41Y、41M、41C、41Kの近傍での光ビームの角度のずれは小さい場合でも、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに照射されるときには光ビーム(スポット)の位置ずれが大きくなる。反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面は反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531の精度によって左右される。
筐体50は、樹脂の一体成型(射出成型)で製造される。樹脂の一体成型を行う場合、金型を抜くときの各種応力や離型後の熱収縮のばらつき等によって、離型後の部材に歪みが発生する。すなわち、反射固定部53Y、53M、53C、53Kも離型後に変形(傾倒)する場合があり、反射固定部53Y、53M、53C、53Kが傾倒すると要精度面531が傾斜してしまい、光ビームの走査精度が低下する。そのため、筐体50には、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの成形時の歪みによる要精度面531の精度低下を抑制するためリブ55Y、55M、55C、55Kが設けられている。
次に、リブ55Y、55M、55C、55Kの特徴及びその構成について図面を参照して説明する。まず、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの成形後の変形について説明する。図5は射出成型の手順を示す図である。図5では各反射固定部53Y、53M、53C、53Kを代表して反射固定部53として説明する。また、図5の筐体50には、説明の便宜上、保持部52(保持面部520)、反射固定部53、が含まれるものとしているが、実際の構造とは異なる。
筐体50を製造する場合、収縮による歪みが発生しないものして、金型Dmを製造する。すなわち、図5に示すように、反射固定部53では、要精度面531が保持面部520に対して、垂直となるように構成するので、金型Dmの溝D1は要精度面531が保持面部520に対して垂直となるように形成される。このような金型Dmに材料の樹脂を流し込み、樹脂がある程度固まった後、金型Dmから筐体50を取り外す。
金型Dmから取り出された筐体50は、さらに冷却される。このとき、熱収縮差によるばらつきがない場合、取り出した筐体50の反射固定部53の要精度面531は、保持面部520に対して、精度よく垂直を保つ。しかしながら、上述したように、樹脂の射出成型では、周囲の形状や部材の厚み等によって温度差或いは冷却時間に差が発生し、熱収縮時に歪みが生じる。そして、反射固定部53は歪みによって変形する。反射固定部53は、平板状の部材であるため、主面が倒れる方向、すなわち、要精度面531が倒れる方向に変形しやすい。
例えば、図5に示す、反射固定部53aのように要精度面531が下に向くように傾傾倒する場合がある。このような方向に傾倒する部分では、反射固定部53bのように、傾倒したときに保持面部520に対して垂直になるような斜面532を設けることで、収縮時に斜面532が立ち上がるように傾倒し、最終的には、保持面部520に対して垂直な要精度面531が形成される。
このような、反射固定部53bを得るためには、金型Dmの溝D1の要精度面531が形成される部分に対し、根本側に開いた形状の補正溝D2を形成して、金型Dm1に補正する。金型Dm1を用いて樹脂の一体成型を行うことで、熱収縮によって変形したときに保持面部520に対して垂直となる要精度面531を有する反射固定部53bを成形することができる。なお、補正溝D2の大きさ及び形状は、最初に筐体50を成形したときの反射固定部53aの大きさ、傾倒角度等によって決まるものである。また、図5では説明の便宜上大きな補正溝を形成しているが、実際の金型とは異なる。さらに、補正溝D2は金型から筐体50を引き抜くときに、補正溝D2が抜き勾配となっているため、離型時に反射固定部53bを含む筐体50に無理な力が作用しにくい。
一方、図5に示す、反射固定部53sのように要精度面531が上側を向くように変形する場合もある。このように変形する反射固定部53sの要精度面531を保持面部520と垂直にするためには、要精度面531が形成される面に先端に向かって広くなる斜面533を有する反射固定部53tを形成する必要がある。反射固定部53tが反射固定部53sと同じ方向に傾くことで、斜面533が保持面部520に対して垂直な要精度面531となる。
このような、反射固定部53tを得るために、金型Dmを溝D1の要精度面531が形成される部分に上側が広い形状の補正溝D3を形成した金型Dm2に補正する。この金型Dm2の補正溝D3は奥が広がる構造を有しており、いわゆる、アンダーカットになっている。このような、アンダーカットが形成されていると、金型Dm2から筐体50を引き抜くときに、反射固定部53tに無理な力が作用し、要精度面531の精度が低下したり、反射固定部53tを含む筐体50が破損する。
なお、反射固定部53bのような構成の場合要精度面531の傾きは補正されるものの、位置がシフトした状態になる。しかしながら、反射部材43Y、43M、43C、43Kは上述したように、回転方向(傾倒)に対しては光線を曲げてしまうため、品質上の問題につながるが、平行移動に関しては、光学設計的に平行光の部位であることから品質上の問題にはつながりにくい。
以上示したように、樹脂を一体成型する場合、熱収縮差やその他の応力のために、反射固定部53は傾斜する。本発明では、補正前の金型で成型された反射固定部53の傾倒方向を一方向とするとともに、要精度面531側に傾倒させることで、上述のように、金型の製作及び離型を容易にし、要精度面531の角度精度を高めている。以下に、補正前の金型で成型された反射固定部53を要精度面側に傾倒させる方法について説明する。
まず、樹脂の一体成型におけるリブの特性ついて図面を参照して説明する。図6は一体成型で形成されたリブ付きの平板の熱収縮による変形を示す図である。図6は、平板の肉厚tとリブの肉厚Tで場合分けして示しており、左側に各場合における成形直後(冷却前)のリブ付き平板を示し、右側に各場合における一定時間経過後(冷却後)のリブ付き平板を示している。
図6の(1)は、平板の肉厚t=リブの肉厚Tである。このように、平板の肉厚とリブの肉厚が同じ場合、平板とリブの全体の収縮量が等しくなるため、反りはほとんど発生しない。
図6の(2)は、平板の肉厚t<リブの肉厚Tである。この場合、リブの熱量が大きくなるため、収縮量が大きくなる。そのため、平板がリブの収縮に引っ張られ、両端がリブ側に曲がるような反りが発生する。
図6の(3)は、平板の肉厚t>リブの肉厚Tである。この場合、リブの熱量が小さく、収縮量も小さい。そのため、リブが平板の収縮に引っ張られ、両端がリブと反対側に曲がるような反りが発生する。
本発明にかかる走査光学装置40では、このような平板とリブの肉厚と変形方向の関係を利用して、補正前の金型Dm(図5参照)で成型した反射固定部53Y、53M、53C、53Kが要精度面531側に傾倒するように、リブ55Y、55M、55C、55Kを設けている。以下に、反射固定部53Y、53M、53C、53Kとリブ55Y、55M、55C、55Kについて詳しく説明する。
(第1実施形態)
本発明にかかる走査光学装置の一例について図面を参照して説明する。図7は本発明にかかる走査光学装置の反射固定部とリブとを拡大した図である。図7に示すように、反射固定部53Y、53M、53C、53K(なお、以下の説明において「反射固定部53」として説明する場合がある)の要精度面531と反対側の面と接続するように、リブ55Y、55M、55C、55K(以下の説明において「リブ55」として説明する場合がある)が設けられている。
上述のとおり、リブ55は、反射固定部53を要精度面531側に傾倒させるために設けられる。図7に示すように、反射固定部53Y、53M、53C、53Kは、保持面部520に沿う方向に延びる長尺状の部材である。そして、リブ55Y、55M、55C、55Kは、長尺状の反射固定部53Y、53M、53C、53Kの長手方向の両端部の要精度面531と反対面に接続している。そして、各リブ55Y、55M、55C、55Kの肉厚Tは対応する反射固定部53Y、53M、53C、53Kの肉厚tよりも薄くなるように形成されている。このようにリブ55Y、55M、55C、55Kが形成されるように、金型を作製することで、補正前の金型で成型される反射固定部53Y、53M、53C、53Kを要精度面531側に傾倒させる。
また、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの長手方向の両端にリブ55Y、55M、55C、55Kを設けていることで、反射固定部53Y、53M、53C、53Kを長手方向に均等に傾倒させることができる。
そして、金型に対して、反射固定部53Y、53M、53C、53Kが傾倒したときに、要精度面531が保持面部520と垂直となるような補正を行う。この補正は、図5に示した、補正溝D2を形成するような補正であるため、アンダーカットが発生しないように補正することができる。
そして、このように補正した金型で再度、成型を行うことで、保持面部520に対して垂直な要精度面531を有する反射固定部53Y、53M、53C、53Kを形成することができる。各反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531が保持面部520に対して垂直となるので、反射部材43Y、43M、43C、43Kの光ビームに対する角度を適切な角度とすることが可能である。これにより、光ビームの光路のずれを抑制し、光ビームの走査精度の低下を抑制することが可能である。
本実施形態のリブ55Y、55M、55C、55Kは、反射固定部53Y、53M、53C、53Kのそれぞれ長手方向両端と接続するように設けられている。しかしながら、これに限定されるものではなく、長手方向の中心を挟んで対称となるように、1個又は複数個のリブ55Y、55M、55C、55Kを設けるようにしてもよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる走査光学装置の他の例について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる走査光学装置の反射固定部とリブとを拡大した図である。反射固定部53Y、53M、53C、53Kの変形は、それ自体に原因がある場合もあるが、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの周囲の構造によって、熱収縮にばらつきが発生する場合もある。すなわち、反射固定部53Y、53M、53C、53Kの位置によって、変形する場合としない場合とがある。図8に示すように、変形する反射固定部53M、53Cにだけ、リブ55M、55Cを設けている。
このように、変形が発生する反射固定部53M、53Cにだけリブ55M、55Cを設ける構成とするとともに金型の補正溝もリブ55M、55Cが形成されている反射固定部53M、53Cが成形される溝だけでよい。金型の補正加工を減らすことができるとともに、金型に補正溝を形成するとき、アンダーカットを抑制するため、補正溝で要精度面531を保持面部520に対して正確に垂直に形成することができる。補正後の金型で成型した各反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531が保持面部520に対して垂直となるので、反射部材43Y、43M、43C、43Kの光ビームに対する角度を一定の範囲に収めることが可能である。これにより、光ビームの光路のずれを抑制し、光ビームの走査精度の低下を抑制することが可能である。
本実施形態のリブ55M、55Cは、反射固定部53M、53Cのそれぞれ長手方向両端と接続するように設けられている。しかしながら、これに限定されるものではなく、長手方向の中心を挟んで対称となるように、1個又は複数個のリブ55M、55Cを設けるようにしてもよい。
(第3実施形態)
本発明にかかる走査光学装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明にかかる走査光学装置の反射固定部とリブとを拡大した図である。反射固定部53Y、53M、53C、53Kでは、長手方向で温度差が発生する場合がある。このような状態で反射固定部53Y、53M、53C、53Kを成型終了後に冷却すると、収縮差が発生し反射固定部53Y、53M、53C、53Kがねじれ、要精度面531もねじれてしまう場合がある。要精度面531がねじれると、反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面の精度が低下する。
そのため、長手方向に温度差が発生する反射固定部53Mでは、長手方向の一方の端部にリブ55を備えている。また、熱が偏るとともに、それ自体も傾倒する反射固定部53Cでは、両端にリブ55Cを設けるとともに、長手方向の中心よりも一方にずれた位置にリブ55Cを追加している。このような構成とすることで、要精度面531がねじれるのを抑制しつつ、反射固定部53M、53Cを要精度面531側に傾倒させることができるため、金型に補正用の溝を形成してもアンダーカットを抑制できる。
そして、補正後の金型で成型した各反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531が保持面部520に対して垂直となるので、反射部材43Y、43M、43C、43Kの光ビームに対する角度を一定の範囲に収めることが可能である。これにより、光ビームの光路のずれを抑制し、光ビームの走査精度の低下を抑制することが可能である。
本実施形態のリブ55M、55Cは、少なくとも反射固定部53M、53Cの長手方向の端部に設けられている。しかしながら、これに限定されるものではなく、要精度面531がねじれないように、傾倒させることができる位置に1個又は複数個設けるようにしてもよい。
(第4実施形態)
本発明にかかる走査光学装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる走査光学装置の反射固定部とリブとを拡大した図である。反射固定部53Y、53M、53C、53Kは長手方向に温度差が発生すると、要精度面531がねじれて、反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面の光ビームに対する角度精度が低下する。第3実施形態では、リブの個数を変更することで、要精度面531のねじれを抑制している。
反射固定部53Y、53M、53C、53Kをある程度の角度で傾倒させるともに、ねじれを抑制するようにしたい場合もある。このような場合、第3実施形態のような、リブの個数で制御する方向では反射固定部53Y、53M、53C、53Kを十分に傾倒させることができなかったり、傾倒させすぎてしまったりする場合がある。
そこで、図10に示す反射固定部53Mでは、肉厚が異なるリブ56Mを、反射固定部53Mの長手方向の両端に設けている。リブ56Mのように、リブ56Mの肉厚を変更することで、十分な傾倒角度を確保しつつねじれを抑制することができる。なお、リブ56Mは反射固定部53Mの長手方向の両端に設ける必要はなく、要精度面531のねじれを抑制するとともに、アンダーカット補正が不要な方向に反射固定部53Mを傾倒させることができる位置に配置すればよい。このとき、異なる肉厚のリブを複数個備えるようにしてもよい。
そして、補正後の金型で成型した各反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531が保持面部520に対して垂直となるので、反射部材43Y、43M、43C、43Kの光ビームに対する角度を一定の範囲に収めることが可能である。これにより、光ビームの光路のずれを抑制し、光ビームの走査精度の低下を抑制することが可能である。
また、リブの肉厚を変更することで、反射固定部の傾倒量を調整することができるものであるため、複数の反射固定部にリブが形成されている構成において、反射固定部毎に肉厚が異なるリブを設けるようにしても構わない。このような構成とすることで、温度差や周囲の形状差によって、全ての反射固定部で要精度面の最終的な角度のばらつきを抑制し、光ビームの走査精度を高めることが可能である。
(第5実施形態)
本発明にかかる走査光学装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。第4実施形態では、リブの肉厚を変更することで、反射固定部の長手方向の変形差(要精度面531のねじれ)を抑制していた。反射固定部の傾倒角度は、リブの長さによっても変化する。リブの長さによる反射固定部の傾倒角度の変化について図面を参照して説明する。
図11はリブが形成されていない反射固定部の変形を示す図であり、図12は低いリブが形成されている反射固定部の変形を示す図であり、図13は高いリブが形成されている反射固定部の変形を示す図である。
図11、図12、図13は、数値シミュレーションによって変形量を演算によって求め、その結果を可視化したものである。図11に示すリブを備えていない反射固定部53fは熱収縮によって傾倒している。そして、図12に示すように、低いリブ55gが備えられた反射固定部53gはリブが備えられていない反射固定部53fに比べて傾倒量が大きくなっている。さらに図13に示すように、長いリブ55hが備えられた反射固定部53hは、短いリブ55gが備えられた反射固定部53gに比べ傾倒量が大きくなっている。すなわち、図11、図12、図13の結果から、リブの高さが高くなるほど、反射固定部を大きく傾倒できることが分かった。
本実施形態では、この特性を利用してアンダーカット補正をしない方向及び角度に反射固定部を傾倒させている。図14は本発明にかかる走査光学装置の反射固定部とリブとを拡大した図である。図14に示すように、反射固定部53Y、53M、53C、53Kには、長手方向の両端にリブが設けられている。そして、反射固定部53Y、53Mには、高さが異なるリブ57Y、57Mが設けられている。また、反射固定部53C、53Kには、同じ高さ及び肉厚のリブ55C、55Kが長手方向の両端に設けられている。
上述したように、リブの高さによって傾倒量を変更することができるため、要精度面531がねじれるのを抑制しつつ、反射固定部53Y、53Mを要精度面531側に傾倒させることができるため、金型に補正用の溝を形成してもアンダーカットを抑制できる。
そして、補正後の金型で成型した各反射固定部53Y、53M、53C、53Kの要精度面531が保持面部520に対して垂直となるので、反射部材43Y、43M、43C、43Kの光ビームに対する角度を一定の範囲に収めることが可能である。これにより、光ビームの光路のずれを抑制し、光ビームの走査精度の低下を抑制することが可能である。
なお、リブ57Y、57Mは反射固定部53Y、53Mの長手方向の両端に設ける必要はなく、要精度面531のねじれを抑制するとともに、アンダーカット補正が不要な方向に反射固定部53Y、53Mを傾倒させることができる位置に配置すればよい。このとき、異なる肉厚のリブを複数個備えるようにしてもよい。
また、リブの高さを変更することで、反射固定部の傾倒量を調整することができるものであるため、複数の反射固定部にリブが形成されている構成において、反射固定部毎に高さが異なるリブを設けるようにしても構わない。このような構成とすることで、温度差や周囲の形状差によって、全ての反射固定部で要精度面の最終的な角度のばらつきを抑制し、光ビームの走査精度を高めることが可能である。
上述の各実施形態において、反射部材43Y、43M、43C、43Kは、反射固定部53Y、53M、53C、53Kそれぞれの要精度面531と当接するものとして説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、要精度面531に設けられて平行に延びる凸条(凸部)の頂点に反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面を当接させるようにして、配置するものであってもよい。このような構成であったとしても、凸条は要精度面531より突出する構成であるため、上述のような方法で要精度面531の保持面部520に対する角度を垂直になるようにすることで、反射部材43Y、43M、43C、43Kの反射面の光ビームに対して精度よく位置(角度)を決めることができ、光ビームの走査精度を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。