JP6519632B2 - マイクロニードルデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロニードルを用いて効率良く薬剤を投与することが可能であり、またマイクロニードルへの薬剤の塗布を簡便な方法で良好に行うことが可能であり、さらに簡便な製造方法により製造可能なマイクロニードルデバイスに関するものである。
従来から、薬剤の経皮吸収を促進させるデバイスとしてマイクロニードルデバイスが提案されている。上記マイクロニードルデバイスは、数十μm〜数百μmのマイクロニードルを皮膚に穿刺して最外層の角質層に貫通孔を設け、上記貫通孔から角質層の下層の表皮層等にマイクロニードルを到達させることで体内に薬剤を投与するものである。また、マイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法は、注射等に比べて非常に小さいマイクロニードルを穿刺することで薬剤を投与することができることから、非侵襲的な薬剤の投与方法として期待されている。
上記マイクロニードルとしては、薬剤の投与方法に合わせて種々の形状のものが提案されている。具体的には、注射針を数十μm〜数百μmまで小さくした中空の錐状の立体形状を有し、上記中空部分から薬剤を体内へ注入するもの(ホールタイプ)(例えば、特許文献1)、皮膚を穿刺可能な錐状の立体形状を有し、その表面に薬剤を塗布した状態で、皮膚に穿刺することで薬剤を体内に溶解させるもの(ソリッドタイプ)(例えば、特許文献2)、生体内で分解可能な材料から構成された上記錐状の立体形状を有し、予め上記材料内に必要量の薬剤を混合させておくことで、皮膚に穿刺した後、体内でマイクロニードルを分解させることにより薬剤を体内に溶解させるもの(生分解タイプ)(例えば、特許文献3)の3つのタイプが開発されている。
このうち、ソリッドタイプのマイクロニードルは、成形加工時の量産化が容易であること、上記マイクロニードルの製造工程とは別工程で薬剤の塗布工程を設けることができることから、薬剤に対して安定的な生産工程を選択することができるため注目されている。
ここで、上記ソリッドタイプのマイクロニードルを用いて薬剤投与する際には、マイクロニードル表面における薬剤の分布が薬剤の投与の効率に大きく影響する。具体的には、上記マイクロニードルは、その表面に保持された薬剤を、角質層の貫通孔から角質層の下層に到達させることで体内へ投与するものであることから、より角質層の下層に到達するマイクロニードルの先端側の表面での薬剤の保持量がより多いことが好ましい。また、マイクロニードルを皮膚に穿刺した場合、マイクロニードルの根元部分は角質層表面と接触するか、または角質層表面の外部に位置することとなるため、マイクロニードルの根元側の表面に保持された薬剤については体内に投与することが困難となることから、マイクロニードルの根元側の表面での薬剤の保持量については少ないことが好ましい。
しかしながら、従来のマイクロニードルデバイス110に用いられるマイクロニードル102としては、主として図32に例示するように、錐状の立体形状(図32においては四角錐)、すなわち先端から基材101側の根元に向かって側面に連続的な傾斜を有するものが用いられていることから、マイクロニードル102に通常の吐出法や浸漬法を用いて薬剤を塗布した場合は、図33に例示するように、マイクロニードル102の先端部分よりも根元部分により多くの薬剤40が塗布されてしまうという問題がある。そのため、このようなマイクロニードルデバイス110を用いて薬剤を投与した場合は、図34に例示するように、根元部分に保持された薬剤40が角質層表面に付着しやすくなり、角質層の貫通孔から角質層の下層へ十分な量の薬剤40を到達させることが困難となるといった問題がある。
なお、図32は、従来のマイクロニードルデバイスの一例を示す概略斜視図であり、図33は図32に例示するマイクロニードルに薬剤が塗布されたものを示す概略図であり、図34は図32に例示するマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の一例を説明する説明図である。
そこで、上記マイクロニードルに薬剤を塗布する場合には、マイクロニードルの先端側に薬剤を選択的に塗布する手法が試みられている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、この場合は薬剤の粘度や、塗布条件が制限されることから、薬剤によっては塗布することができない場合や、薬剤を塗布する工程が煩雑になるという問題がある。
また、先端側に薬剤を選択的に塗布した場合は、マイクロニードル1本当たりに保持される薬剤の量が限られることから、投与に必要な量の薬剤を塗布することが困難となる場合がある。これに対しては、マイクロニードルデバイスに形成される単位面積当たりのマイクロニードルの数を増やして、マイクロニードルデバイス全体の薬剤の保持量を増やすことが検討されている。しかしながら、マイクロニードルデバイスにおいては、個々のマイクロニードルの立体形状が一定水準を満たすように形成される必要があることから、マイクロニードルの本数が多くなるほど欠陥が生じやすくなる傾向にある。また、薬剤塗布後のマイクロニードルデバイスについても個々のマイクロニードルに薬剤が塗布される必要があり、薬剤が塗布されていない部分を有する場合は投与の際に用いられなくなる場合がある。よって、マイクロニードルの数を増やした場合は、マイクロニードルデバイス自体の製造工程が煩雑になるといった問題や、得られたマイクロニードルデバイスに薬剤を塗布した後の検査が煩雑になるといった問題がある。
特開2011−78654号公報 国際公開第2008/139648号パンフレット 特表2009−507573号公報
Pham.Res,2012,Volume29,Number1,Pages 170-177
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、薬剤の投与を効率良く行うことができ、マイクロニードルへの薬剤の塗布を簡便な方法で良好に行うことができ、かつ簡便な製造方法により製造可能なマイクロニードルデバイスを提供することを主目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、基材と、上記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルとを有し、上記マイクロニードルが、その先端から根元に向かって、上記基材表面に対して平行な断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有することを特徴とするマイクロニードルデバイスを提供する。
本発明によれば、上記断面積増大面を有することから、マイクロニードルの先端から根元に向かって塗布された薬剤を断面積増大面に堆積させることが可能となるため、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面により多くの薬剤を塗布することができる。また、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面で抑制することができるため、マイクロニードルの根元部分に薬剤が塗布されることを抑制することができる。よって、本発明のマイクロニードルデバイスを用いて薬剤を投与した場合に、皮膚の角質層よりも内部に穿刺されるマイクロニードルの先端側での薬剤の保持量を多くすることができ、角質層表面に接触するマイクロニードルの根元側での薬剤の保持量を少なくすることができるため、薬剤の無駄を少なくして、効率良く投与を行うことができる。
また、断面積増大面の高さを調整することにより、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面に保持される薬剤の量を調整することが可能となる。
また、本発明によれば、上記断面積増大面を有することから、マイクロニードルの先端から根元に向かって薬剤を塗布する際に、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面で抑制することができるため、断面積増大面から先端側の表面に選択的に薬剤を塗布することが可能となる。また、従来の薬剤の塗布方法に比べて、薬剤の粘度および塗布条件等の制限を緩和して薬剤を選択的に塗布することが可能となることから、薬剤の塗布工程を簡便な方法により行うことが可能となる。
また、上記断面積増大面を有することにより、マイクロニードル自体の表面積を大きくすることができるため、マイクロニードル1本当たりの薬剤の保持量を多くすることが可能となる。よって、マイクロニードルデバイスに形成されるマイクロニードルの本数を少なくした場合もマイクロニードルデバイス自体の薬剤の保持量を所望のものとすることが可能となる。よってマイクロニードルデバイスに形成されるマイクロニードルの数を少ないものとすることができることから、マイクロニードルデバイスの製造工程や、薬剤塗布後のマイクロニードルデバイスの検査工程等をより簡便に行うことが可能となる。
本発明においては、上記マイクロニードル全体が上記錐体構造を有し、上記断面積増大面から先端側に、上記マイクロニードルの側面を上記錐体構造の軸方向に除去して形成された除去部を有することが好ましい。上記除去部を有することにより、上述した断面積増大面を有することが可能となる。また、除去部を有することにより、マイクロニードルを皮膚に穿刺した場合に、皮膚の角質層と接触するマイクロニードルの表面より内側に薬剤を保持することができるため、穿刺時に角質層に付着する薬剤の量を少なくすることができ、また、角質層の貫通孔からより多くの薬剤を投与することが可能となる。
本発明においては、上記基材上に形成され、上記断面積増大面を段表面とする少なくとも1つの段差部と、最上段の上記段差部の上記段表面に形成され、上記錐体構造を有する最上部とを有することも好ましい。上記段差部を有することにより、上記断面積増大部を有することが可能となる。また、段差部を有することにより、マイクロニードルに薬剤を塗布した場合に、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面である段表面で好適に抑制することができる。また、上記最上部の立体形状をより先鋭な形状とすることができるため、皮膚の角質層に穿刺しやすいものとすることが可能となる。よって、角質層を良好に貫通させて、効率的に薬剤を投与することが可能となる。
本発明は、基材と、上記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルとを有し、上記マイクロニードルが、上記マイクロニードルの軸に対し、マイクロニードルの側面の傾きが変化する箇所が少なくとも2箇所以上存在し、かつ、上記マイクロニードルの側面の傾きの絶対値が小さい部分が上記マイクロニードルの側面の傾きの絶対値が大きい部分に挟まれていることを特徴とするマイクロニードルデバイスを提供する。
本発明によれば、マイクロニードルが上述した構造を有することにより、マイクロニードルの先端部分での薬剤の保持量を多くすることができ、また根元部分での薬剤の保持量を少なくすることが可能となる。
本発明によれば、上記断面積増大面を有することにより、薬剤の投与を効率良く行うことができ、マイクロニードルへの薬剤の塗布を簡便な方法で良好に行うことができ、かつ簡便な製造方法により製造可能なマイクロニードルデバイスを提供することができるといった作用効果を奏する。
本発明のマイクロニードルデバイスの一例を示す概略斜視図である。 図1におけるA部分の拡大図であり、本発明におけるマイクロニードルの一例について説明する説明図である。 図2に例示するマイクロニードルデバイスの概略断面図である。 図2に例示するマイクロニードルデバイスにおける断面積増大面について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の一例について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の他の例について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスに薬剤を塗布したものの一例を示す概略図である。 本発明のマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の一例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルデバイスの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの先端形状について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスの製造方法の一例について示す工程図である。 本発明のマイクロニードルデバイスの他の例を示す概略斜視図である。 図16におけるE部分の拡大図である。 図17に例示するマイクロニードルデバイスの概略断面図である。 図17に例示するマイクロニードルデバイスにおける断面積増大面について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスの他の例を示す概略斜視図である。 図20におけるG部分の拡大図である。 図20におけるH−H線断面図である。 本発明のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の他の例について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の他の例について説明する説明図である。 本発明のマイクロニードルデバイスに薬剤を塗布したものの他の例を示す概略図である。 本発明のマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 本発明におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。 実施例1におけるマイクロニードルデバイス用版のマスター版に形成されるマイクロニードルを光学顕微鏡を用いて撮影した写真である。 比較例におけるマイクロニードルデバイス用版のマスター版に形成されるマイクロニードルを光学顕微鏡を用いて撮影した写真である。 実施例1、および比較例のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルに薬剤を塗布したものを光学顕微鏡を用いて撮影した写真である。 従来のマイクロニードルデバイスの一例を示す概略斜視図である。 従来のマイクロニードルデバイスに薬剤を塗布したものの一例を示す概略図である。 従来のマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の一例について説明する説明図である。
以下、本発明のマイクロニードルデバイスについて説明する。
本発明のマイクロニードルデバイスは、基材と、上記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルとを有し、上記マイクロニードルが、その先端から根元に向かって、上記基材表面に対して平行な断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有することを特徴とする。
本発明における「錐体構造」とは、錐体の頂点から底面まで連続する側面を少なくとも一部に有する立体形状、または柱体の一方の底面と錐体の底面とを共有する立体(以下、錘状柱体と称する場合がある。)の頂点から底面まで連続する側面を少なくとも一部に有する立体形状をいう。
また、「基材表面に対して平行な断面積の増大の割合が非連続的に増大する」とは、マイクロニードルの断面積を横軸(x軸)に、マイクロニードルの高さを縦軸(y軸)にとったグラフにおいて、上記グラフの傾きが変化する部分が2箇所以上存在し、断面積の小さい値においては下に凸となる部分を、断面積の大きい値においては上に凸となる部分を有する部分が一箇所は存在していることをいう。
また、本発明における断面積増大面は、上記グラフにおいて、2つの部分の間に含まれる断面積の変化を示すものである。
本発明によれば、上記断面積増大面を有することから、マイクロニードルの先端から根元に向かって塗布された薬剤を断面積増大面に堆積させることが可能となるため、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面により多くの薬剤を塗布することができる。また、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面で抑制することができるため、マイクロニードルの根元部分に薬剤が塗布されることを抑制することができる。よって、本発明のマイクロニードルデバイスを用いて薬剤を投与した場合に、皮膚の角質層よりも内部に穿刺されるマイクロニードルの先端側での薬剤の保持量を多くすることができ、角質層表面に接触するマイクロニードルの根元側での薬剤の保持量を少なくすることができるため、薬剤の無駄を少なくして、効率良く投与を行うことができる。
また、断面積増大面の高さを調整することにより、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面に保持される薬剤の量を調整することが可能となる。
また、本発明によれば、上記断面積増大面を有することから、マイクロニードルの先端から根元に向かって薬剤を塗布する際に、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面で抑制することができるため、断面積増大面から先端側の表面に選択的に薬剤を塗布することが可能となる。また、従来の薬剤の塗布方法に比べて、薬剤の粘度および塗布条件等の制限を緩和して薬剤を選択的に塗布することが可能となることから、薬剤の塗布工程を簡便な方法により行うことが可能となる。
また、上記断面積増大面を有することにより、マイクロニードル自体の表面積を大きくすることができるため、マイクロニードル1本当たりの薬剤の保持量を多くすることが可能となる。よって、マイクロニードルデバイスに形成されるマイクロニードルの本数を少なくした場合もマイクロニードルデバイス自体の薬剤の保持量を所望のものとすることが可能となる。よってマイクロニードルデバイスに形成されるマイクロニードルの数を少ないものとすることができることから、マイクロニードルデバイスの製造工程や、薬剤塗布後のマイクロニードルデバイスの検査工程等をより簡便に行うことが可能となる。
ここで、本発明のマイクロニードルデバイスは、マイクロニードルの形態により、2つの態様に大別される。具体的には、上記マイクロニードル全体が上記錐体構造を有し、上記断面積増大面から先端側に、上記マイクロニードルの側面を上記錐体構造の軸方向に除去して形成された除去部を有する態様(第1態様)と、上記基材上に形成され、上記断面積増大面を段表面とする少なくとも1つの段差部と、最上段の上記段差部の上記段表面に形成され、上記錐体構造を有する最上部とを有する態様(第2態様)との2つの態様に大別される。
以下、各態様についてそれぞれ説明する。
I.第1態様
まず、本発明のマイクロニードルデバイスの第1態様について説明する。
本態様のマイクロニードルデバイスは、基材と、上記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルとを有し、上記マイクロニードルが、その先端から根元に向かって、上記基材表面に対して平行な断面の断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有し、上記マイクロニードル全体が上記錐体構造を有し、上記断面積増大面から先端側に、上記マイクロニードルの側面を上記錐体構造の軸方向に除去して形成された除去部を有することを特徴とする。
本態様において「錐体構造の軸」とは、錐体構造の頂点からその底面に下ろした垂線(後述する図3等におけるY)をいう。また、軸方向とは上記垂線を中心として側面から上記中心へ向かう方向をいう。
ここで、本態様のマイクロニードルデバイスについて図を用いて説明する。図1は本態様のマイクロニードルデバイスの一例を示す概略斜視図であり、図2は図1におけるA部分の拡大図であり、図1に例示するマイクロニードルについて説明する説明図である。また、図3は図2に例示するマイクロニードルの概略断面図であり、図3(a)、(b)は図2に例示するマイクロニードルデバイスの断面積増大面に沿う断面における先端側、及び根元側の概略断面図であり、図3(c)は図2に例示するマイクロニードルデバイスのB−B線断面図であり、図3(d)は図2に例示するマイクロニードルデバイスのC−C線断面図である。図4は図2に例示するマイクロニードルにおける断面積増大面を説明するための図である。
図1〜4に例示するように、本態様のマイクロニードルデバイス10は、基材1と、基材1上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードル2とを有する。また、マイクロニードル2が、その先端から根元に向かって、基材1表面に対して平行な断面の断面積が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面21を有する。また、マイクロニードル2全体が錐体構造を有し、断面積増大面21から先端側に、マイクロニードル2の側面を錐体構造の軸Y方向に除去して形成された除去部22を有することを特徴とする。
本態様におけるマイクロニードル2は、図3(a)、(b)に例示するように、断面積増大面21と基材1表面とが平行であり、断面積増大面21に沿う断面において、根元側の断面(図3(b))の断面積が、先端側の断面(図3(a))の断面積よりも大きくなるものである。
また、図2に例示されるマイクロニードル2は、その全体が図3(c)に例示するように、錐体の頂点から底面まで連続する側面を有するものである。この例においては、マイクロニードル2の原型の立体形状が四角錐である例について示している。
また、図2、図3(d)および図4においては、断面積増大面21から先端側において、マイクロニードル2の側面に除去部22として、除去部22におけるマイクロニードル2の側面22a(以下、除去部の側面22aと称する場合がある)が曲面となる溝部22’が形成されている例について示している。また、この例において溝部22’については、その基材1表面に対して平行な断面形状が半楕円状であり、側面における溝部22’の形状が略三角形であるものを示している。
本態様においては、上記除去部を有することにより、上述した断面積増大面を有することが可能となる。よって、マイクロニードルの先端から根元方向に薬剤を塗布した場合に、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面に薬剤を選択的に塗布することができる。また、根元部分に塗布される薬剤の量を少なくすることができる。よって、本態様におけるマイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面での薬剤の保持量を多くすることができ、根元部分での薬剤の保持量を少なくすることができるため、薬剤の投与を効率良く行うことが可能となる。
ここで、本態様のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルに薬剤を塗布する場合について図を用いて説明する。図5は、本態様のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の一例について説明する説明図である。図5に例示するように、インクジェット法等の吐出法を用いて、マイクロニードル2の先端の上方からノズル30等を用いて薬剤40を吐出することにより塗布を行った場合、吐出された薬剤40は、マイクロニードル2の先端部分に到達するとマイクロニードル2の側面を伝って先端から根元方向へと流れることでマイクロニードル2の表面に塗布される。本態様においては、断面積増大面21を有することにより、先端から根元方向へ流れてきた薬剤40を断面積増大面21で受け、その表面上に堆積させることが可能となる。そのため、断面積増大面21からマイクロニードル2の先端側の表面に塗布される薬剤40の量を多くすることが可能となる。また、断面積増大面21を有することにより先端から根元に向かう薬剤40の流れを抑制することができるため、根元部分に堆積される薬剤40の量を少ないものとすることが可能となる。
図6は、本態様のマイクロニードルデバイスへの薬剤の塗布方法の他の例について説明する説明図である。図6に例示するように、ディップ法等の浸漬法を用いて、マイクロニードル2の先端を下方に向けて薬剤40を浸漬することにより塗布を行った場合、上記薬剤40はマイクロニードル2の先端から根元方向へと側面を伝って吸い上げられながら塗布される。本態様においては、断面積増大面21を有することにより、先端から根元方向へと吸い上げられることによる薬剤40の流れを断面積増大面21で止めることができる。そのため、断面積増大面21から先端側の表面に薬剤40を選択的に塗布することが可能となる。また、上記薬剤40の流れを断面積増大面21で止めることができるため、根元部分に堆積される薬剤40の量を少ないものとすることが可能となる。
このように、本態様においては、マイクロニードル2が除去部22を有することにより断面積増大面21を有することができることから、マイクロニードル2の断面積増大面21から先端側の表面に選択的に薬剤を塗布することができるため、図7(a)、(b)に例示するように、マイクロニードル2の断面積増大面21から先端側の表面に保持される薬剤40の量を多くすることができ、根元部分に保持される薬剤40の量を少なくすることができる。
次に、本態様のマイクロニードルデバイスを用いて薬剤の投与をする場合についても図を用いて説明する。
図8は、本態様のマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の一例について説明する説明図である。本態様のマイクロニードルデバイス10を用いて薬剤を投与する場合、薬剤40が塗布されたマイクロニードル2を皮膚の角質層に穿刺して角質層に貫通孔を開け、上記貫通孔からマイクロニードル2を角質層の下層の表皮等に到達させることによって投与が行われる。本態様のマイクロニードルデバイス10においては、マイクロニードル2が断面積増大面21を有する除去部22を有することにより、マイクロニードル2の先端側に保持される薬剤40の量を多く、マイクロニードル2の根元側に保持される薬剤40の量を少なくすることができるため、角質層の下層に到達する薬剤40の量を多くすることができ、また角質層表面に付着する薬剤40の量を少なくすることができる。また、除去部22に薬剤40が保持できることから、角質層と接触するマイクロニードル2の表面よりも内側にも薬剤40を保持することが可能となるため、穿刺の際に角質層に付着する薬剤40の量をより少なくすることができ、角質層の内部に到達する薬剤40の量をより多くすることが可能となる。
よって、本態様においては、除去部を有することにより、断面積増大面を有することができるため、従来のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルに比べて、簡便な方法で、マイクロニードルの先端側に薬剤を選択的に塗布することが可能となる。また、マイクロニードルの先端側の表面に薬剤を多く保持でき、根元側の表面に保持される薬剤量を少なくすることができるため、効率良く薬剤を投与することが可能となる。
以下、本態様のマイクロニードルデバイスの詳細について説明する。
1.マイクロニードル
まず、本態様におけるマイクロニードルについて説明する。ここで、マイクロニードルは、本態様のマイクロニードルデバイスを用いて薬剤を体内に投与する際に、薬剤が塗布されるものであり、皮膚に穿刺して角質層に貫通孔を設け、貫通孔から角質層の下層へと薬剤を到達させるために用いられるものである。
(1)マイクロニードルの構造
本態様におけるマイクロニードルの構造について説明する。
本態様におけるマイクロニードルは、その先端から根元に向かって、上記基材表面に対して平行な断面の断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有し、上記マイクロニードル全体が上記錐体構造を有し、上記断面積増大面から先端側に、上記マイクロニードルの側面を上記錐体構造の中心方向に除去して形成された除去部を有するものである。
本態様におけるマイクロニードルは、その側面に除去部を形成することにより、その全体が錐体構造を有するように形成されたものであり、除去部を有さない状態のマイクロニードルの立体形状(以下、原型の立体形状と称する場合がある。)として錐体、または錘状柱体を有するものである。
また、上記原型の立体形状としてはより具体的には、上記原型の立体形状が錐体である場合は、円錐、多角錐を挙げることができ、錐体を有する柱体である場合は、円柱の一方の底面に円錐を有するものや、多角柱の一方の底面に多角錐を有するものを挙げることができる。また、本態様においては、錐体または錐状柱体の軸が錐体または錐状柱体の底面の中心を通るものを好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。
(a)断面積増大面
本態様における断面積増大面について説明する。
本態様における断面積増大面は、マイクロニードルの先端から根元に向かって、基材表面に対して平行な断面の断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成されたものである。
また、上記断面積増大面は、マイクロニードルの側面に形成される除去部の根元側の端部に位置するものである。
このような断面積増大面は、マイクロニードルの先端から根元方向への薬剤の流れを抑制することが可能であり、その表面に薬剤を堆積させることができれば特に限定されず、曲面であってもよく、平面であってもよいが、平面であることが好ましい。断面積増大面の面積等を調整しやすく、マイクロニードルにおける薬剤の保持量を調整しやすいといった利点を有する。
また、断面積増大面と基材表面とのなす角としては、マイクロニードルの先端から根元方向への薬剤の流れを抑制することが可能であり、その表面に薬剤を堆積させることができれば特に限定されないが、±45°の範囲内、なかでも±30°の範囲内、特に±15°の範囲内であることが好ましい。
上記断面積増大面と基材表面とのなす角を上記範囲以下とすることにより、上述した薬剤の流れをより好適に抑制し、その表面に薬剤を好適に堆積させることが可能となるからである。また、本態様においては、さらに断面積増大面と基材表面とのなす角が0°、すなわち、断面積増大面と基材表面とが平行となることが好ましい。薬剤の流れを効率的に制御することが可能となるからである。上記断面積増大面と基材表面とのなす角とは、例えば図9(b)においてθで示される角度をいう。また、図9(b)においては上記断面積増大面と基材表面とのなす角が+の値をとる例について示しているが、図示はしないが、断面積増大面の基材表面とのなす角が−の値、すなわち断面積増大面の傾きが図9(b)に例示される傾きと逆向きとなっていてもよい。
また、断面積増大面と基材表面とが平行である場合は、断面積増大面に沿って切断されたマイクロニードルの先端側の断面積よりも根元側の断面積が大きくなるものである。
このような断面積増大面の数としては、マイクロニードルに1つ以上形成されていれば特に限定されず、後述する除去部の数に応じて適宜決定されるものである。本態様においては、上記除去部が複数形成されることが好ましいことから断面積増大面の数としても、複数形成されていることが好ましい。また、断面積増大面が複数形成されている場合は、それぞれの断面積増大面の形態が同様であることが好ましい。
本態様において、断面積増大面が複数形成されている場合、それぞれの断面積増大面21の高さ(基材表面から断面積増大面までの垂直方向の距離)については、図2に例示するように同等であってもよく、図9(a)に例示するように異なってもよい。本態様においてはなかでも上記断面積増大面21の高さについては同等であることが好ましい。本態様においては、断面積増大面の高さを調整することにより、マイクロニードルに保持される薬剤量を調整することが可能となるが、複数の断面積増大面における断面積増大面の高さを同等とすることにより、上記薬剤量の調整をより簡便に行うことができる。
なお、図9は本態様におけるマイクロニードルデバイスの他の例について説明する説明図であり、図9(a)は本態様におけるマイクロニードルデバイスの他の例を示す概略斜視図であり、図9(b)は図9(a)のD’−D’線断面図である。また、図9(a)、(b)においては対向する2面に形成される断面積増大面の高さが同等であり、隣り合う面に形成される断面積増大面の高さが異なるものについて例示している。また、図9(a)、(b)において説明していない符号については図2等における符号と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。また、断面積増大面の高さとは図3(d)においてp1で示される距離をいう。また、断面積増大面が傾斜を有する場合は、基材表面から断面積増大面における高さの中間点までの垂直方向の距離をいい、例えば図9(b)においてp1’で示される距離をいうものとする。
また、図9(a)、(b)に例示されるマイクロニードルデバイス10は、基材1と、基材1上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードル2とを有し、マイクロニードル2が、マイクロニードルの軸Yに対し、マイクロニードル2の側面の傾きが変化する箇所が少なくとも2箇所以上存在し、かつ、マイクロニードル2の側面の傾きの絶対値が小さい部分21がマイクロニードル2の側面の傾きの絶対値が大きい部分2a、22aに挟まれていることを特徴とするマイクロニードルデバイス10である。図9に例示するように、マイクロニードルの軸と錐体構造の軸とは、通常、一致するものである。
具体的な断面積増大面の高さとしては、マイクロニードルの用途等に応じて適宜決定されるものであるが、マイクロニードルの高さ(基材表面からマイクロニードルの先端までの垂直方向の距離)に対する上記断面積増大面の高さの比率が、10%以上、なかでも20%以上、特に30%以上となる程度であることが好ましく、また、上記比率が、90%以下、なかでも80%以下、特に70%以下となる程度であることが好ましい。上記比率が上記範囲に満たない場合は、断面積増大面が根元に近い位置に存在することから、マイクロニードルデバイスを皮膚の角質層に穿刺した場合に体内へ溶解できない薬剤量が多くなる可能性があるからであり、上記比率が上記範囲を超える場合は、断面積増大面を形成した場合も、所望の薬剤量をマイクロニードルの先端部分に塗布することができない可能性があるからである。なお、マイクロニードルの高さとは図3(d)においてqで示される距離をいう。
また、具体的な断面積増大面の高さとしては、マイクロニードルの形態等により適宜選択されるものであるが、たとえば約500μm程度の高さのマイクロニードルに対して50μm〜450μmの範囲内、なかでも100μm〜400μmの範囲内、特に150μm〜350μmの範囲内であることが好ましい。
上記断面積増大面の面積としては、上記断面積増大面に薬剤を堆積させることで、上記除去部に所望な薬剤量を保持させることが可能な程度であれば特に限定されず、マイクロニードルデバイスの形態、用途等に応じて適宜選択することが可能である。
具体的な断面積増大面の面積としては、マイクロニードルの原型の立体形状等により適宜選択されるものであるが、1000μm〜225000μmの範囲内、なかでも10000μm〜150000μmの範囲内、特に17500μm〜125000μmの範囲内であることが好ましい。
断面積増大面の形状については、マイクロニードルの原型の立体形状における底面の形状、および除去部の形態等に応じて決定されるため、ここでの説明は省略する。
(b)除去部
上記断面積増大面から先端側に、上記マイクロニードルの側面を上記錐体構造の軸方向に除去して形成された除去部を有するものである。
このような除去部としては、マイクロニードルを皮膚に穿刺可能な錐体構造とすることができ、上述した断面積増大面を有することが可能であれば特に限定されない。本態様においては、図2、図9〜12に例示するように上記除去部22が溝部22’であることが好ましい。
ここで溝部とは、上記除去部の側面が、除去部を有しないマイクロニードルの側面に対して凹部となるものであり、除去部の側面が曲面または2面以上となることをいう。
除去部が溝部である場合は、上述したように、本態様におけるマイクロニードルを用いて薬剤を投与した場合に、皮膚の角質層と接触するマイクロニードルの表面よりも内側に薬剤を保持し易くなることから、皮膚に穿刺の際に角質層に付着する薬剤をより少ないものとすることができ、また、穿刺により開いた角質層の孔から体内へより多くの薬剤を投与することが可能となる。
(i)溝部
以下、本態様における溝部について説明する。
マイクロニードルの側面における溝部の形状(以下、溝部の形状と称する場合がある。)としては、例えば、略多角形状を挙げることができる。また、上記溝部の形状が略多角形状である場合、図1、図10(a)に例示するように、上記溝部22’の形状が略三形状であることが好ましい。溝部の体積を大きくすることが可能となることから薬剤をより多く保持することが可能となるからである。略多角形とは、多角形だけではなく、図1に例示するように角部の一部が曲線状に形成されている場合を含むものとする。
また、上記溝部22’の形状としては図11(a)、図12に例示するように線状を挙げることができる。また、溝部の形状が線状である場合は、図示はしないがその幅を一定のものとしてもよく、部分的に幅が異なっていてもよい。溝部の幅が部分的に異なる場合は、図11(a)、図12に例示するように根元側から先端側へ幅が小さくなるものであることが好ましい。また、上記溝部22’の形状が線状である場合は、マイクロニードルの側面に図11(a)に例示するように先端から根元方向に直線状に形成してもよく、図12に例示するようにらせん状に形成してもよい。
上記溝部の基材表面に対して平行な断面の断面形状としては、マイクロニードルの側面に形成することが可能なものであれば特に限定されず、例えば、半円状(図示なし)、半楕円状(図4)、三角形状(図10(b))、四辺形状(図11(b))、多角形状(図示なし)等を挙げることができる。
溝部の先端側の端部の位置としては、断面積増大面から先端までの部分に位置していれば特に限定されず、図1、図12に例示するように、断面積増大面および先端の間に位置していてもよく、図10(a)、図11(a)に例示するように先端と一致していてもよい。
なお、図10は、本態様におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図であり、図10(a)は本態様におけるマイクロニードルの他の例を示す概略斜視図であり、図10(b)は図10(a)における断面積増大面の形状を説明する説明図である。また、図10においては、マイクロニードルの原型の立体形状が円錐である例について示している。また、図11は、本態様におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図であり、図11(a)は本態様におけるマイクロニードルの他の例を示す概略斜視図であり、図11(b)は図11(a)における断面積増大面の形状を説明する説明図である。また、図11においては、マイクロニードルの原型の立体形状が円錐および円柱から構成される錐状柱体である例について示している。図12は、本態様におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図である。また、図10〜12において説明していない符号については、図1等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記溝部の幅としては、所望の断面積増大面を形成することが可能な程度であれば特に限定されず、溝部の形状等により適宜選択されるものであるが、1μm〜450μmの範囲内、なかでも1μm〜350μmの範囲内、特に1μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。溝部の幅が上記範囲に満たない場合は、溝部をマイクロニードルの側面に安定的に形成することが困難となる可能性があるからであり、溝部の幅が上記範囲を超える場合は、溝部を形成することにより、マイクロニードルの強度が著しく低下する可能性があるからである。なお、溝部の幅とは図4においてrで示す距離を指す。
上記溝部の深さとしては、所望の断面性増大面を形成することが可能な程度であれば特に限定されず、断面積増大面の高さおよびマイクロニードルの原型の立体形状の大きさ等により適宜決定されるものである。また錐体構造の先端を損なわない程度であればよく、通常、側面から軸までの距離以下で形成される。このような溝の深さとしては、具体的には、1μm〜250μmの範囲内、中でも1μm〜200μmの範囲内、特に1μm〜180μmの範囲内であることが好ましい。溝部の深さが上記範囲に満たない場合は、断面積増大面を形成した場合も、上記断面積増大面から先端までのマイクロニードルの表面に所望する薬剤の量を保持することが困難となる可能性があるからであり、溝部の深さが上記範囲を超える場合は、マイクロニードルの強度を著しく低下させる可能性があるからである。なお、溝部の深さとは図4においてsで示される距離をいう。
上記溝部の長さとしては、溝部の側面および断面積増大面により構成される空間に所望の薬剤を保持することが可能となる程度であれば特に限定されず、マイクロニードルの原型の立体形状、および断面積増大面の高さ、および溝部の形状等により適宜選択することができる。
本態様における溝部の数としては、マイクロニードルの側面に少なくとも1つ形成されていれば特に限定されないが、複数形成されていることが好ましい。マイクロニードルの表面積をより大きくすることが可能となるからである。また、溝部が複数形成されている場合は、マイクロニードルの原型の立体形状が円錐または円錐を有する円柱である場合は、先端を中心とする放射状に等間隔で同形状の溝部を形成することが好ましい。また、マイクロニードルの原型の立体形状が多角錐または多角錐を有する多角柱である場合は、各側面に同形状の溝部を同数形成することが好ましい。このように溝部を形成することにより、マイクロニードルに薬剤を保持させた場合に、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面における薬剤の偏りを少ないものとすることができる。また、溝部を形成することによるマイクロニードルの強度の低下を少ないものとすることができるからである。
本態様におけるマイクロニードルは、除去部を形成することにより、断面積増大面からその先端までのマイクロニードルの表面積を、原型の立体形状における断面積増大面に相当する位置から先端側の表面積よりも大きくすることができることからも、マイクロニードルに保持される薬剤の量を多くすることを可能とするものである。
本態様における除去部としては、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面積が、原型の立体形状における断面積増大面に相当する位置から先端側の表面積に対して、1.2倍以上、なかでも1.2倍〜2.0倍の範囲内、特に1.2倍〜1.5倍の範囲内となるように形成することが好ましい。マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面積が上述した範囲内となるように除去部を形成することにより、本態様におけるマイクロニードルの一本当たりの薬剤量を多くすることができることから、基材上に形成されるマイクロニードルの数を少なくすることができる。よって、本態様のマイクロニードルデバイスの製造工程や、薬剤塗布後のマイクロニードルデバイスの検査工程等を簡便に行うことが可能となる。
(ii)その他の除去部
上述した説明においては、除去部として溝部を例に説明したが、本態様においては溝部以外の除去部についても用いることができる。このような除去部22としては、例えば、図13に例示するように、除去部の側面22aが1つの平面を有する切り欠き部22”を挙げることができる。切り欠き部の深さおよび幅については錐体構造の先端を損なわない程度であれば特に限定されない。
なお、図13は、本態様におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図であり、図13(a)は、本態様におけるマイクロニードルの他の例を示す概略斜視図であり、図13(b)は図13(a)に例示するマイクロニードルの断面積増大面を示す概略図である。
また、本態様においては、除去部として溝部と切り欠き部との両方を有するものであってもよい。
(c)マイクロニードルの立体形状
本態様におけるマイクロニードルは、その全体が錐体構造を有するものである。より具体的には、マイクロニードルの立体形状が、錐体の頂点から底面まで連続する側面を少なくとも一部に有する立体形状、また錐状柱体の頂点から底面まで連続する側面を少なくとも一部に有する立体形状である。
また、本態様におけるマイクロニードルは、その原型の立体形状が、上述した錐体、または錐状柱体となるものである。
また、本態様におけるマイクロニードルの先端形状としては、皮膚を穿刺して角質層に貫通孔を設けることが可能であれば特に限定されず、図14(a)に例示するように、完全な頂点を有する場合だけではなく、図14(b)に例示するように皮膚を穿刺可能な程度の曲面を有していてもよく、図14(c)に例示するように皮膚を穿刺可能な程度の平面を有していてもよい。
なお、図14は本態様におけるマイクロニードルの先端形状を説明する説明図である。
上記マイクロニードルの底面積としては、本態様のマイクロニードルデバイスの用途等に応じて適宜選択されるものであるが、1500μm〜250000μmの範囲内、なかでも7500μm〜200000μmの範囲内、特に10000μm〜100000μmの範囲内であることが好ましい。マイクロニードルの底面積が上記範囲に満たない場合は、マイクロニードルに、皮膚に穿刺可能な程度の強度を付与することが困難となる可能性があるからであり、マイクロニードルの底面積が上記範囲を超える場合はマイクロニードルデバイス自体が大きくなるため、皮膚に穿刺する場合に取り扱いにくいものとなる可能性があるからである。
マイクロニードルの高さとしては、皮膚を穿刺して角質層よりも内部に薬剤を投与することが可能な程度であれば特に限定されない。具体的には、20μm〜1000μmの範囲内、なかでも50μm〜800μmの範囲内、特に150μm〜750μmの範囲内であることが好ましい。マイクロニードルの高さが上記範囲に満たない場合は、マイクロニードルを皮膚に安定的に穿刺することが困難となる可能性があるからであり、マイクロニードルの高さが上記範囲を超える場合は、マイクロニードルが真皮層の神経に接触し、薬剤の投与に痛みを伴う場合があるからである。
(d)その他
本態様のマイクロニードルデバイスに形成されるマイクロニードルの数としては、所望の薬剤を保持することが可能な程度であれば特に限定されず、マイクロニードルデバイスの用途等に応じて適宜選択されるものであるが、基材の単位面積当たり、1本/cm〜5000本/cmの範囲内、なかでも25本/cm〜2500本/cmの範囲内、
特に50本/cm〜1000本/cmの範囲内であることが好ましい。
また、本態様においては、マイクロニードルデバイスの製造の容易のため、および薬剤塗布後のマイクロニードルの検査の容易のため、上述した範囲内のなかでも、特に少ない本数であることが好ましい。
(2)マイクロニードルの材料
本態様に用いられるマイクロニードルの材料としては、所望のマイクロニードルを形成することが可能であれば特に限定されず、一般的なマイクロニードルデバイスに用いられるものと同様とすることができる。
具体的には、無機材料や、樹脂材料を挙げることができる。
無機材料としては、具体的には、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック等を挙げることができる。また、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルト等の金属を挙げることができる。
一方、樹脂材料としては、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸−co−ポリグリコリド、プルラン、カプロノラクトン、ポリウレタン、ポリ無水物等の生分解性ポリマーを挙げることができる。また、非分解性ポリマーであるポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)を挙げることができる。
本態様においては、上述した材料のなかでも、撥液性を示す撥液性材料であることがより好ましい。全体的に濡れ性が高い材料でマイクロニードルが構成されていると、断面積増大面で基材方向へ流れる薬剤の進行を抑制することができず、根元近傍に大量の薬剤が塗布されてしまう可能性が高まるためである。よって、マイクロニードルの表面に撥液性を付与すると、マイクロニードルに薬剤を塗布した場合に、先端から基材方向へ流れる薬剤の進行を断面積増大面でより好適に抑制することが可能となる。
ここで、本態様における撥液性とは、断面積増大面から根元までの部分に薬剤が塗布されることを抑制することが可能な程度であれば特に限定されないが、マイクロニードルが表面張力72.75mN/m程度の液体(一般的には水)との接触角が、45°以上、なかでも接触角が50°以上、特に接触角が70°以上となる程度であることが好ましい。上記マイクロニードルの撥液性を上述した値とすることにより、断面積増大面から先端部分により簡便に薬剤を塗布することが可能となるからである。なお、上記液体との接触角は、上記表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製DM500)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得られるものである。
このような撥液性を有する材料としては、具体的には、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)などが挙げられる。また、撥液性を持たせるためにフッ素処理などの追加処理を行ったものでも構わない。
(3)マイクロニードルの形成方法
本態様に用いられるマイクロニードルは、通常、基材と一体で形成される。具体的な形成方法については、後述する「4.マイクロニードルの製造方法」と項で説明するため、ここでの説明は省略する。
2.基材
本態様に用いられる基材は、上述したマイクロニードルを保持するものである。
このような基材としては、上述したマイクロニードルと一体であってもよく、別体であってもよいが、通常は、マイクロニードルと基材とは一体で形成される。
上記基材の厚みとしては、上述したマイクロニードルを保持することができ、本態様のマイクロニードルデバイスを皮膚の角質層に穿刺することが可能な程度の強度を有することが可能な程度であれば特に限定されない。具体的に、上記記載の厚みとしては、10μm〜1500μmの範囲内、なかでも50μm〜750μmの範囲内、特に100μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記基材の厚みが上記範囲に満たない場合は、マイクロニードルと基材とを一体で形成する場合に、基材を一定の厚みで安定的に形成することが困難となる可能性があるからであり、上記基材の厚みが上記範囲を超える場合は、マイクロニードルデバイスが大きくなるため、一定時間の穿刺により薬剤を投与する必要がある場合には、人体への負担が大きくなる可能性があるからである。
上記基材の大きさ、形状等については、マイクロニードルデバイスの用途等に応じて適宜選択することができる。
上記基材の材料としては、上述したマイクロニードルに用いられる材料と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.マイクロニードルデバイス
本態様のマイクロニードルデバイスは、上述した基材およびマイクロニードルを有するものであれば特に限定されず、上記以外にも必要な構成を適宜選択して追加することが可能である。
本態様のマイクロニードルデバイスは、種々の薬剤を経皮投与する際に用いられる。
4.マイクロニードルデバイスの製造方法
本態様のマイクロニードルデバイスの製造方法としては、基材上に上述したマイクロニードルを形成することが可能な製造方法であれば特に限定されず、一般的なマイクロニードルの製造方法と同様の製造方法を用いることができる。
具体的には、マイクロニードルの材料から構成される基材の表面にエッチング加工、または機械切削加工を施すことでマイクロニードルを直接形成してマイクロニードルデバイスを製造する方法や、マイクロニードルおよび基材に対応する凹部を有するスタンパー、鋳型等のマイクロニードルデバイス用版を用いてマイクロニードルの材料を加工することによりマイクロニードルデバイスを製造する方法を挙げることができる。本態様においては中でもマイクロニードルデバイス用版を用いた製造方法であることが好ましい。マイクロニードルデバイスを精度良く量産することが可能となるからである。
ここで、マイクロニードルデバイス用版を用いたマイクロニードルデバイスの製造方法の具体例について図を用いて説明する。図15は本態様のマイクロニードルデバイスの製造方法の一例を示す工程図であり、インプリント方式を用いた製造方法である。この例においては、まず図15(a)に例示するように、マイクロニードルに対応する凹部を有するマイクロニードルデバイス用版50と、熱可塑性樹脂等のマイクロニードルの材料から構成されるマイクロニードルデバイス用基材10’とを準備する。次に、図15(b)に例示するように、マイクロニードルデバイス用版50を加熱したマイクロニードルデバイス用基材10’の表面にプレスし、次いで冷却等をしてマイクロニードルデバイス用基材10’を硬化させることで、図15(c)に例示するように、マイクロニードルデバイス用基材10’表面にマイクロニードル2を形成する。次に、図示はしないが、マイクロニードルデバイス用基材からマイクロニードルデバイス用版を剥離し、必要に応じてマイクロニードルデバイス用基材の成形をする。以上の工程を行うことにより、図15(d)に例示するマイクロニードルデバイス10を製造することができる。
上記マイクロニードルデバイス用版としては、マイクロニードルデバイスに用いられるスタンパー、鋳型として公知のものを用いることができる。例えば、金属基材等の表面に機械切削加工等を施して形成されたものであってもよく、金属基材等にエッチング加工または切削加工を施してマイクロニードルデバイスのマスター版を形成した後、上記マスター版に電鋳加工等を施すことにより形成されたものであってもよい。
マイクロニードルデバイス用版を用いた加工方法としては、マイクロニードルデバイスの製造方法に用いられる公知の加工方法を採用することができる。具体的には、インプリント方式、射出成型方式などの樹脂を充填する手法等を挙げることができる。各方式を用いた具体的なマイクロニードルデバイスの製造方法については、公知の方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
5.マイクロニードルへの薬剤の塗布方法
本態様のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルへの薬剤の塗布方法としては、マイクロニードルの先端から根元部分に向かって薬剤を塗布することが可能な塗布方法であれば特に限定されない。例えば、インクジェット法、ディスペンサ法等の吐出法、ディップ法等の浸漬法を挙げることができる。
II.第2態様
次に、本発明のマイクロニードルデバイスの第2態様について説明する。
本態様のマイクロニードルデバイスは、基材と、上記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルとを有し、上記マイクロニードルが、その先端から根元に向かって、上記基材表面に対して平行な断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有し、上記基材上に形成され、上記断面積増大面が段表面である少なくとも1つの段差部と、最上段の上記段差部の上記段表面に形成され、上記錐体構造を有する最上部とを有することを特徴とする。
ここで、「断面積増大面が段表面である」とは、断面積増大面の上方の立体の側面と、下方の立体の側面とが、錐体または錐状柱体の頂点から底面まで連続する側面を構成せず、上記上方の立体の側面と上記下方の立体の側面とが断面積増大面を境界にして非連続となることをいう。また、断面積増大面の外周よりも内側に上方の立体の底面が存在することをいう。
ここで、本態様のマイクロニードルデバイスについて図を用いて説明する。図16は本態様のマイクロニードルデバイスの一例を示す概略斜視図であり、図17は図16のE部分の拡大図であり、本態様におけるマイクロニードルの一例について説明する説明図である。また、図18は図17に例示するマイクロニードルデバイスの概略断面図である。また、図18(a)、(b)は図17に例示するマイクロニードルの断面積増大面を含む断面における先端側、及び根元側の概略断面図であり、図18(c)は図17に例示するマイクロニードルデバイスのF−F線断面図である。図19は図17に例示するマイクロニードルデバイスにおける断面積増大面を説明するための説明図である。
図16〜図19に例示するように、本態様のマイクロニードルデバイス10は、基材1と、基材1上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードル2とを有する。また、マイクロニードル2が、その先端から根元に向かって、基材1表面に対して平行な断面の断面積が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面21を有し、基材1上に形成され、上記断面積増大面21を段表面23aとする少なくとも1つの段差部23と、最上段の段差部23の段表面23aに形成され、錐体構造を有する最上部24とを有することを特徴とする。
図18(a)、(b)に例示するように、断面積増大面21が基材1表面に対して平行であり、断面積増大面21を含む断面においては、根元側の断面(図18(b))の断面積が、先端側の断面(図18(a))の断面積よりも大きくなるものである。
また、図17に例示されるマイクロニードル2は、四辺形状の底面形状を有し、基材表面に対して垂直方向の断面形状が台形状となる1つの段差部23と、四角錐の錐体構造を有する最上部21を有する例について示している。
また、図19に例示するように、段表面23である断面積増大面21の外周よりも内側に最上部の底面が存在するものである。
図20は、本態様のマイクロニードルデバイスの他の例を示す概略斜視図であり、図21は図20のG部分の拡大図である。また、図22は図21におけるH−H線断面図である。本態様においては、マイクロニードルが複数の段差部23(図21、および図22では2つの段差部231、232)を有していてもよい。この場合は、最上段の段差部231の段表面に最上部24が形成される。
本態様においては、上記段差部を有することにより、上述した断面積増大面を有することが可能となる。よって、マイクロニードルの先端から根元方向に薬剤を塗布した場合に、断面積増大面から先端側の表面、すなわち断面積増大面および最上部の表面に薬剤を選択的に塗布することができる。また、根元部分に塗布される薬剤の量を少なくすることができる。よって、本態様におけるマイクロニードルの断面積増大面から最上部の表面に保持される薬剤の量を多くすることができ、根元部分に保持される薬剤の量を少なくすることができる。
ここで、本態様のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルに薬剤を塗布する場合について図を用いて説明する。図23、図24は、本態様におけるマイクロニードルに薬剤を塗布する方法の一例を説明する説明図であり、図23は吐出法を用いた塗布方法を説明する説明図であり、図24は浸漬法を用いた塗布方法を説明する説明図である。
本態様においても、マイクロニードル2が段差部23を有することにより断面積増大面21を有することから、上述した「I.第1態様」の項で説明したように、先端から根元に向かう薬剤の流れを断面積増大面21によって抑制することが可能となる。よって、本態様においても、マイクロニードル2の断面積増大面21から先端側の表面、すなわち断面積増大面21および最上部24の表面に塗布される薬剤量を多くすることが可能となる。また、本態様においては、段差部23を有することから、最上部24の側面と段差部23の側面とが連続する部分を有さないため、先端から根元に向かう薬剤の流れをより効果的に抑制することが可能となる。また、図23、図24に例示するように、段差部23を複数形成することにより、最上部24が形成された段差部231の段表面231aから根元方向へ薬剤が流れだしたとしても、下段に位置する段差部232の段表面232aによりさらに根元方向へ薬剤が流れることを抑制することが可能となることから、マイクロニードルの根元部分に塗布される薬剤量をより少なくすることが可能となる。
このように、本態様においては、マイクロニードル2が段差部23を有することにより、断面積増大面21を有することができるため、マイクロニードル2の断面積増大面21から先端側の表面に選択的に薬剤を塗布することができる。よって、図25に例示するように、マイクロニードル2の断面積増大面21から先端側の表面に保持される薬剤の量を多くすることができ、根元部分に保持される薬剤の量を少なくすることができる。
次に、本態様のマイクロニードルデバイスを用いて薬剤の投与をする場合についても図を用いて説明する。
図26は、本態様のマイクロニードルデバイスを用いた薬剤の投与方法の一例を示す説明図である。本態様のマイクロニードルデバイス10においては、マイクロニードル2が段差部を有することにより、断面積増大面21を有することが可能となることから、マイクロニードル2の先端側に保持される薬剤40の量を多く、マイクロニードルの根元側に保持される薬剤40の量を少なくすることができるため、角質層の下層に到達する薬剤40の量を多くすることができ、また角質層表面に付着する薬剤40の量を少なくすることができる。また、本態様においては最上部24の形状をより先鋭な形状とすることにより、より皮膚に穿刺して貫通孔を形成し易くすることができるため、体内に薬剤40をより良好に投与することが可能となる。
よって、本態様においては、段差部を有することにより、断面積増大面を有することができるため、従来のマイクロニードルデバイスにおけるマイクロニードルに比べて、簡便な方法で、マイクロニードルの先端側に薬剤を選択的に塗布することが可能となる。また、マイクロニードルの先端側に薬剤を多く保持でき、根元側に保持される薬剤量を少なくすることができるため、効率良く薬剤を投与することが可能となる。
以下、本態様のマイクロニードルデバイスの詳細について説明する。
1.マイクロニードル
(1)マイクロニードルの構造
まず、本態様におけるマイクロニードルの構造について説明する。
本態様におけるマイクロニードルは、その先端から根元に向かって、上記基材方向に対して平行な断面の断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成された断面積増大面を有し、上記基材上に形成され、上記断面積増大面を段表面とする少なくとも1つの段差部と、最上段の上記段差部の上記段表面に形成され、上記錐体構造を有する最上部とを有するものである。
(a)断面積増大面
本態様における断面積増大面は、マイクロニードルの先端から根元に向かって、基材方向に対して平行な断面の断面積の増大の割合が非連続的に増大する部分に形成されたものである。
また、上記断面積増大面は、後述する段差部の段表面に位置するものである。
このような断面積増大面は、マイクロニードルの先端から根元方向への薬剤の流れを抑制することが可能であり、その表面に薬剤を堆積させることができれば特に限定されず、曲面であってもよく、平面であってもよいが、平面であることが好ましい。なお、この理由については、上述した「I.第1態様」の項で説明した理由と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、断面積増大面と基材表面とのなす角については、上述した「I.第1態様」の項で説明した理由と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このような断面積増大面の数としては、マイクロニードルに1つ以上形成されていれば特に限定されず、後述する段差部の数により適宜決定される。
具体的な断面積増大面の高さとしては、マイクロニードルの用途等に応じて適宜決定されるものである。マイクロニードルの高さに対する断面積増大面の高さの比率および具体的な断面積増大面の高さについては、上述した「I.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本態様においてマイクロニードルが複数の段差部を有する場合は、最上部が形成されている断面積増大面の高さをいうものとし、図18(c)、図22においてp2で示される距離をいう。
上記断面積増大面の面積としては、上記断面積増大面に薬剤を堆積させることで、上記除去部に所望な薬剤量を保持させることが可能な程度であれば特に限定されず、マイクロニードルデバイスの形態、用途等に応じて適宜選択することが可能である。具体的な断面積増大面の面積については、上述した「I.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
断面積増大面の形状については、後述する段差部及び最上部の基材表面に対して平行な断面形状に応じて適宜選択される。
(b)段差部
本態様における段差部は、基材上に形成されるものであり、上述した断面積増大面を段表面とするものである。また、最上段の段表面上に後述する最上部が形成される。
上記段差部の底面形状としては、基材上に形成することができ、皮膚に穿刺可能な程度の強度をマイクロニードルに付与することが可能な程度であれば特に限定されない。例えば、円形状、多角形状を挙げることができる。
また、上記段差部の基材に対して垂直方向の断面形状としては、後述する最上部を形成することが可能な形状であれば特に限定されず、図16、17、18(c)に例示するように段差部の側面が傾斜を有するように台形状に形成されていてもよく、図27(a)、(b)に例示するように段差部23の側面が基材に対して垂直となるように形成されていてもよい。なお、図27は本態様におけるマイクロニードルの他の例について説明する説明図であり、図27(a)は、本態様におけるマイクロニードルの他の例を示す概略斜視図であり、図27(b)は図27(a)のI−I線断面図である。また、図27において説明していない符号については図17等と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、本態様における段差部は、少なくとも1つ形成されていればよく、図16等に例示するように、基材1上に1つ形成されていてもよく、図20等に例示するように複数形成されていてもよい。本態様においては、なかでも段差部が複数形成されていることが好ましい。段差部を複数有することにより、最上部の先端から塗布された薬剤が最上部が形成された断面積増大面(段表面)において保持できなかった場合も、下層に位置する段差部の断面積増大面(段表面)により薬剤を受けることができることから、根元側に塗布される薬剤をより少ないものとすることが可能となる。
本態様における段差の数としては、少なくとも1以上であれば特に限定されないが、
1以上、なかでも1〜10の範囲内、特に1〜5の範囲内であることが好ましい。上記段差の数を上記範囲内とすることにより、より選択的にマイクロニードルの先端部分に薬剤を塗布することが可能となる。
また、上記段差の数の上限としては、マイクロニードルの用途等に応じて適宜選択されうものであるが、例えば、50程度である。上記値を超える場合は、マイクロニードルを安定的に形成することが困難となる可能性があるからである。
(c)最上部
本態様における最上部は、最上段の段差部の段表面に形成され、錐体構造を有するものである。
最上部の形成位置としては、段表面、すなわち断面積増大面の外周よりも内側であれば特に限定されないが、最上部の錐体構造の軸が上述した段表面の中心と重なる位置であることが好ましい。マイクロニードルを皮膚に安定的に穿刺することが可能となるからである。
上記最上部の立体形状としては、皮膚に穿刺可能な錐体構造を有するものであれば特に限定されない。具体的には、図16等に例示するように錐体であってもよく、図示はしないが錘状柱体であってもよい。また、図28に例示するように、上記錐体、錘状柱体を原型の立体形状とし、その側面を錐体構造の軸方向に除去して形成された最上部用除去部25を有する錐体構造であってもよい。本態様においては、なかでも最上部の立体形状が最上部用除去部を有する錐体構造であることが好ましい。上述したように、除去部を有することにより、マイクロニードルの先端側により多くの薬剤を保持することが可能となり、また本態様のマイクロニードルデバイスを用いて、より効率良く薬剤を投与することが可能となるからである。
このような最上部用除去部としては、最上部の側面に形成されていれば特に限定されないが、図28に例示するように、最上部用除去部25の根元側の端部の位置が段表面と一致する、すなわち段表面23である断面積増大面21から先端側に形成されていることが好ましい。最上部が形成されている断面積増大面の面積をより広くすることができ、また、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面積をより広くすることが可能となることから、先端側に保持可能な薬剤量をより多くすることが可能となる。
最上部用除去部については、上述した「I.第1態様」の項で説明した除去部と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
最上部の底面の形状としては、最上段の段差部の段表面上に最上部を形成することが可能であれば特に限定されず、段表面と同様の形状を有していてもよく、異なっていてもよい。本態様においては、なかでも最上部の底面、または最上部の原型の立体形状の底面の形状が、段差部の段表面の形状と相似の形状であることが好ましい。段表面の面積等を調整しやすく、また安定的に段表面上に最上部を形成することができるからである。
(c)マイクロニードルの立体形状
本態様におけるマイクロニードルは、上述した段差部と、最上部とを有するものである。このようなマイクロニードル全体の立体形状としては、錐体構造を構成しないものとなる。
また、本態様においては、通常、上記最上部の表面積および最上部が形成された段表面の表面積が、最上段の段差部の段表面を底面とし最上部の頂点を頂点として有する錐体または錘状柱体の表面積よりも大きくなるように形成される。上記最上部および上記段表面の表面積の総和と、上述した錐体または錘状柱体の表面積との関係については、上述した「I.第1態様」で説明した、マイクロニードルの断面積増大面から先端側の表面積と、原型の立体形状における断面積増大面に相当する位置から先端側の表面積との関係と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
マイクロニードルの高さおよびマイクロニードルの底面積については、上述した「I.第1態様」の項で示したマイクロニードルの高さと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(2)マイクロニードル
マイクロニードルについては、上述したマイクロニードルの構造以外については、上述した「I.第1態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.その他
本態様のマイクロニードルデバイスについては、上述したマイクロニードル以外の事項については、上述した「I.第1態様」の項目で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
III.マイクロニードルデバイス
本発明のマイクロニードルデバイスは、上述した第1態様または第2態様で説明したいずれかのマイクロニードルを有するものであればよく、第1態様におけるマイクロニードルおよび第2態様におけるマイクロニードルの両方を有するものであってもよく、第1態様または第2態様におけるマイクロニードル以外の立体形状を有するマイクロニードルを含むものであってもよい。
本態様は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本態様の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本態様の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明のマイクロニードルデバイスについて具体的に説明する。
[実施例1]
(マイクロニードルデバイス用版の作製)
金属への切削加工にて底辺が0.35mm×0.35mm、高さ0.5mm、かつ先端から高さ0.25mmのところに段差があるように側面に凹部が形成された図29のような突起部を1mmピッチで縦横に10本ずつ配置した100本のマイクロニードルのマスター形状を作製してマスター版を得た。
次に、作成したマイクロニードルデバイスのマスター版のマイクロニードルの微細突起部を複製するために、上記マスター版から複製原版(マイクロニードルデバイス用版)を造るためニッケルを用いて電鋳を行い、上記マスター形状とは逆の凹版を有するマイクロニードル用デバイス用版を得た。
(樹脂製マイクロニードルデバイスの複製)
マイクロニードルデバイスの成形材料として、環状オレフィン系樹脂である、シクロオレフィンポリマーであるゼオノア(日本ゼオン社製:型番Zeonor 1060R)の厚さ2mmのシートを準備した。因みに、使用したシクロオレフィンポリマー1060Rのガラス転移温度:100℃、MFR:280℃、21.18N、60g/minである。
上記シクロオレフィンポリマーであるゼオノアシートをガラス転移温度(100℃)以上の120℃に加熱し、上述したマイクロニードルデバイス用版をガラス転移温度以上の120℃に加熱しながら、12MPaの圧力でゼオノアシートをプレス成型し、加圧プレスした状態のまま上記マイクロニードルデバイス用版を冷却し、十分に室温付近まで温度が下がってから、錐長方向に剥離するホットプレス(熱インプリント)を実施することで、上述したマスター形状と同様の形状を有する樹脂製のマイクロニードルデバイスが得られた。
[実施例2]
マイクロニードルデバイス用版を以下のように作製したこと以外は実施例1と同様にしてマイクロニードルデバイスを作製した。
金属への切削加工にて底辺が0.35mm×0.35mm、高さ0.5mm、かつ先端から高さ0.25mmのところに段差を形成し、先端から0.25mmの高さまでの四角推状突起部の側面4面に対しては、さらに切削加工にてザグリ処理を実施することで凹部が形成された突起部を1mmピッチで縦横に10本ずつ配置した100本のマイクロニードルのマスター形状を作製してマスター版を得た。
次に、作成したマイクロニードルデバイスのマスター版のマイクロニードルの微細突起部を複製するために、上記マスター版から複製原版(マイクロニードルデバイス用版)を造るためニッケルを用いて電鋳を行い、上記マスター形状とは逆の凹版を有するマイクロニードル用デバイス用版を得た。
[比較例]
マイクロニードルデバイス用版を以下のように作製したこと以外は実施例と同様にしてマイクロニードルデバイスを作製した。
金属への切削加工にて底辺が0.25mm×0.25mm、高さ0.5mmの四角錘形状の突起部を1mmピッチで縦横に10本ずつ配置した100本のマイクロニードルのマスター形状を作製した(図30)。次に、作成したマイクロニードルデバイスのマスター版のマイクロニードルの微細突起部を複製するために、上記マスター版から複製原版(マイクロニードルデバイス用版)を造るためニッケルを用いて電鋳を行い、上記マスター形状とは逆の凹版を有するマイクロニードル用デバイス用版を得た。
[評価]
(薬剤塗布後におけるマイクロニードルの表面の様子)
次のような薬液を調製して、ディスペンサ装置(武蔵エンジニアリング社製:SHOTminiα)を採用し、薬液を薬液供給ノズル開口部に定量分注することで、実施例1、2および比較例で製造したマイクロニードルデバイスのマイクロニードルに分注した薬液を接触転着し、塗着させた。
調製した薬液は、ポリビニルピロリドン(日本触媒社製:PVP K−90)0.06g)、カフェイン(和光純薬社製)0.02gを精製水1gに溶解させたものを使用した。
上記薬液をディスペンサ薬液分注装置の薬液収容部内に充填し、上記ディスペンサ薬液分注装置をセットし、マイクロニードルデバイスの基材上の100本のマイクロニードルの先端部分に対して上記ディスペンサ薬液分注装置のノズル(武蔵エンジニアリング社製:SN−LFシリーズ32G、ノズル開口部内径:0.1mmφ)に0.1MPa、0.05secで吐出できる所定量を定量分注した薬液を接触させ、マイクロニードル表面に転着塗着した。塗着工程は1本のマイクロニードルに対して1回行い、薬剤がコーティングされたマイクロニードルデバイスを得た。
塗着された際のコーティング形状を光学顕微鏡にて確認した。結果を図31に示す。なお、図31(a)は実施例1を光学顕微鏡によって撮影した写真であり、図31(b)は比較例を光学顕微鏡によって撮影した写真である。
実施例1、及び実施例2ではディスペンス方式による塗布を実施しすべて断面積増大面付近で先端保持が容易となり、100本中100本すべてを塗布可能であった。比較例1では先端塗布時にディスペンス方式では100本中50本以上が根元付近まで薬剤が塗布されてしまうこともあり、100本すべてで先端に薬剤が塗布されているマイクロニードルの製造は困難であった。
(薬剤の保持量について)
実施例1、2、および比較例におけるマイクロニードルの先端から高さ0.25mmまでの表面に搭載されているカフェイン量を以下のようにして求めた。まず、薬剤塗着後のマイクロニードルデバイスをメタノール中で一昼夜攪拌し、高速液体クロマトグラフィー(High performance liquid chromatography)(HPLC)で定量し、平均値からそれぞれのデバイス上における100本のマイクロニードル当たりの薬物搭載量を確認した。比較例のサンプルは約0.25mm付近の高さに塗布が可能であったサンプルを用いて測定を行った。結果を表1に示す。なお、実施例1における最上部の側面の表面積と比較例における先端から0.25mm付近の高さまでの側面の表面積とは同等とすることができるものである。
これらの結果から、断面積増大面を有する形状とすることで、断面積増大面から先端近傍にかけて薬剤の保持量が多いマイクロニードルデバイスを容易に製造可能になったことがわかる。
1 … 基材
2 … マイクロニードル
10 … マイクロニードル
21 … 断面積増大面
22 … 除去部
23、231、232 … 段差部
23a、231a、232a … 段表面
24 … 最上部

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材上に形成され、皮膚を穿刺可能な錐体構造を含むマイクロニードルと、を有し、
    前記マイクロニードルの側面には、前記マイクロニードルの軸に対し、前記マイクロニードルの側面の傾きが2か所以上変化する領域である除去部、前記錐体構造の周方向に2か所以上形成され、
    前記除去部では、前記基材表面に対する前記マイクロニードルの側面の傾きの絶対値が小さい部分が前記マイクロニードルの側面の傾きの絶対値が大きい部分に挟まれており、
    前記2か所以上形成された除去部の前記錐体構造の周方向の間には、前記マイクロニードルの軸に対する前記マイクロニードルの側面の傾きが、前記錐体構造の頂点から底辺まで変化しない領域である一定領域が形成され、かつ前記一定領域は前記除去部より外側に突出していることを特徴とするマイクロニードルデバイス。
  2. 前記マイクロニードルの原型の立体形状が、多角錐形状であり、
    前記除去部は、前記多角錐形状の側面が前記多角錐形状の軸方向に凹む除去部により構成され、
    前記一定領域は、前記多角錐形状の頂点から底辺に伸びる辺の部分で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルデバイス。
  3. 前記マイクロニードルの原型の立体形状が、円錐形状であり、
    前記除去部は、前記円錐形状の側面の一部が、前記円錐形状の軸方向に凹む除去部により構成され、
    前記一定領域は、前記原型の円錐形状の側面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルデバイス。
  4. 前記基材表面に対する前記マイクロニードルの側面の傾きの絶対値が小さい部分の前記基材表面からの距離が、前記錐体構造の頂点から底面までの距離を1とした場合に、底面から0.3〜0.7の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のマイクロニードルデバイス。
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