JP6565906B2 - 針状体の製造方法、及び針状体 - Google Patents

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Description

本発明は、針状体の製造方法、及び針状体に関する。
投与が困難な薬剤を効率よく体内に吸収させる方法としては、例えば、ミクロンオーダーの微細な針状体(マイクロニードル)によって皮膚を穿孔し、皮膚内に直接薬剤を投与する方法がある。そして、上記方法で使用される針状体に関する公知技術としては、例えば、特許文献1から特許文献4に記載された技術がある。
米国特許第6,183,434号明細書 特開2005−21677号公報 特開2001−309977号公報 特開2012−143978号公報
上記針状体の製造方法には、例えば、転写成形した針状体を樹脂版から離型して製造する方法がある。
しかしながら、従来技術に係る上記製造方法には、樹脂版から針状体を離型する際の版耐久性が低く、針状体の生産性が低いといった課題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、樹脂版を用いた針状体の成形工程において、樹脂版から針状体を離型する際の版耐久性を改善し、針状体の生産性を向上させることができる針状体の製造方法及び針状体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る針状体の製造方法は、基板部に針状部を備え、前記針状部の前記基板部と接する部位が多角体である針状体前駆体を形成する工程と、前記針状体前駆体の前記基板部と前記針状部との境界部分である接合部における前記多角体の頂部の少なくとも一部に曲面部を形成して針状体原版を作製する工程と、前記針状体原版を用いた転写成形によって、前記針状体原版の前記針状部及び前記曲面部に対応した凹部パターンを備えた樹脂版を作製する工程と、前記樹脂版を用いた転写成形によって、前記針状部及び前記曲面部の各形状が転写された転写針状部及び転写曲面部を備えた針状体を作製する工程と、を含むことを特徴とする。
上記した本発明の一態様によれば、樹脂版を用いた針状体の製造方法及び針状体において、樹脂版から針状体を離型する際の版耐久性を改善し、針状体の生産性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る針状体の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の実施形態に係る針状体の製造方法を説明するための、図1−1に続く工程図である。 本発明の実施形態に係る針状体の構造を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態に係る針状体の構造を説明するための断面図である。 本発明の第1変形例に係る針状体の構造を説明するための斜視図である。 本発明の第2変形例に係る針状体の構造を説明するための斜視図である。 本発明の第3変形例に係る針状体の構造を説明するための斜視図である。 本発明の第4変形例に係る針状体の構造を説明するための斜視図である。 本発明の比較例で使用した樹脂版表面の観察結果を説明するための平面図である。
以下、本発明の実施形態に係る針状体及び針状体製造方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施形態が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。また、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
[針状体の製造方法]
本実施形態に係る針状体製造方法は、基板部と、前記基板部と接する部位が多角体である針状部と、を備えた針状体前駆体を形成する工程と、前記針状体前駆体の前記基板部と前記針状部とが接合する接合部の周囲の少なくとも一部に、凸形状をした曲面を有する曲面部を形成して針状体原版を作製する工程と、前記針状体原版を転写して、前記針状体原版に対応した形状の凹部を有する樹脂版を作製する工程と、前記樹脂版を転写して針状体を作製する工程と、によって構成される。
図1−1、図1−2は、本実施形態に係る針状体の製造方法を説明するための製造工程図である。以下、図1−1、図1−2に示した各工程を順に説明する。
・針状体前駆体を形成する工程
図1−1(a)から図1−1(c)は、針状体前駆体106を作製する工程を示した断面図である。針状体前駆体106は、適宜公知の微細加工技術を用いた公知の方法によって作製される。公知の微細加工技術としては、例えば、(1)基板に対し、研削加工や切削加工等微細機械加工を用いた製造方法、(2)リソグラフィ法やエッチング法等微細加工技術を用いた製造方法、(3)上記公知の方法で作製された針状体原版を転写成形する方法等がある。
本実施形態では、図1−1(a)に示したシリコン基板101を、図1−1(b)のように、基板部104となる部分を残して研削溝102を形成するように研削する。図1−1、図1−2は、研削溝102の長さ方向に沿ってシリコン基板101を切欠いた断面図である。図1−1(c)に示したように、針状体前駆体106は、針状部105と、針状部105を支持する基板部104とを有している。針状部105は、シリコン基板101の研削加工によって形成される。
針状体前駆体106を作製するための基板は、加工方法に応じて適宜選択される。基板は、シリコン基板101に限定されるものでなく、例えば、カーボン、セラミックス、石英、金属、樹脂等の基板を用いてもよい。特に、シリコン又は石英は、自然酸化膜への処理方法によって親水性にも疎水性にもなり得るため、表面エネルギーの制御を好適に行うことができる。このような特質は、本実施形態の後述する曲面部を形成するため、曲面部材質を滴下することによって塗布する基板材料として望ましい。
本実施形態では、基板部104と針状体前駆体106の形状及び寸法が、適宜設計し、決定される。具体的には、針状部105は、円錐、角錐、円柱、角柱、円錐台形、角錐台形等の形状を有するものであってもよい。ただし、本実施形態では、針状部105の側面が基板部104の上面104aに対して鋭角になるように針状部105と基板部104とが接合するため、接合部に平坦性を付与することが望ましい。このため、本実施形態に係る針状部105は、少なくとも基板部104と接合する部分(接する部位)が多角体の形状を有することが望ましい。この多角体としては、例えば、角錐、角柱、角錐台形等の形状を有することが望ましい。
本実施形態に係る針状体は、基板部104に複数の針状部105が林立した形状であってもよい。針状体が基板部104に複数の針状部105が林立した形状(アレイ状)である場合、各針状部105の長さは各針状部105間において、同一であってもよいし、同一でなくともよい。
各針状部105の長さが異なる場合、例えば、(1)アレイ状の外周のみ長い単位針状体とすることで、曲面に対し、好適に接触することができる、(2)アレイ状の外周のみ短い単位針状体とすることで、破損しやすい外周部の針状部105の機械的強度を補強することができる、等の効果を得る。また、各針状部105間の距離であるピッチ寸法は、仕様に応じて適宜設計及び決定される。
また、針状部105は、皮膚を穿孔するための十分な細さ及び神経層へ到達しない長さを有していることが望ましい。具体的には、針状部105の直径は数μmから数百μm程度、針状部105の長さは数μmから数百μm程度であることが望ましい。
また、特に、「穿孔について、角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない長さ」に留める場合、針状部105の長さは、具体的には、200μm以上700μm以下、より好適には200μm以上500μm以下、更には、200μm以上300μm以下、程度の範囲内にあることが好ましい。
針状部105による穿孔の深さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない深さ」に留める場合、送達物を、角質層より深い位置に送達することができる。
また、特に、穿孔を角質層内に留める場合、針状部105の長さは、具体的には、30μm以上300μm以下、より好適には30μm以上250μm以下、更には、30μm以上40μm以下、程度の範囲内にあることが好ましい。
針状部105による穿孔の深さを「角質層内」に留める場合、送達物を、角質層内に滞留させることができる。角質層は絶えず新陳代謝により新規に生成されるため、角質層内の送達物は時間と共に体外へ排出される。このため、本実施形態は、短期間の薬物除放や、短期間の化粧の状態を維持すること等に好適に用いることができる。
・針状体原版を作製する工程
次に、本実施形態は、針状体前駆体106の基板部104と針状部105との接合部107の少なくとも一部に凸形状の曲面部110を形成し、針状体原版111を作製する。より詳しくは、針状体前駆体106の基板部104と針状部105との境界部分である接合部107に位置する針状部105に備わる上記多角体の頂部の少なくとも一部に凸形状の曲面部110を形成し、針状体原版111を作製する。
針状体前駆体106に曲面部110を形成する方法としては、主にディスペンサー法によって、微量の曲面部形成材料を、針状体前駆体106の基板部104と針状部105との接合部107の少なくとも一部に滴下するものがある。
図1−1(d)から図1−2(g)は、針状体原版111を作製する方法を説明するための製造工程図である。本実施形態では、図1−1(d)に示すように、針状体前駆体106の基板部104と針状部105との接合部107に、ディスペンサー108を使って曲面部形成材料109を滴下する。曲面部形成材料109の滴下は、図1−1(e)、図1−1(f)に示したように、基板部104上の基板部104と針状部105との接合部107の全てについて行われる。
なお、曲面部形成材料109は、基板部104と針状部105との接合部107の周囲の一部に滴下されるものであってもよいし、全部に滴下されるものであってもよい。
ディスペンサー108の種類としては、例えば、機械変換方式または熱変換方式の加圧機構と、数10μmオーダーのノズル径による、数10ピコリットルオーダーの吐出分解能とを有したものを用いるのが望ましい。具体的には、ディスペンサー108には、圧縮空気等を用いたジェット式ディスペンサーや、圧電素子等を用いたインクジェット式ディスペンサー、高さ方向の可動機構を用いたニードル式ディスペンサーを用いることができる。
曲面部形成材料109は、ディスペンサー108によって滴下可能なものであれば、その種別は特に限定されない。曲面部形成材料109は、例えば、多糖類、たんぱく質、核酸といった天然高分子材料や、ポリオレフィンやビニル系ポリマーといった合成高分子材料でもよい。
また、本実施形態は、曲面部形成材料109の極性に応じて溶媒を適宜加えてもよい。一般に、極性の材料は極性溶媒(水系等)に分散しやすく、非極性の材料は非極性溶媒(溶剤系)に分散しやすいことが知られている。
極性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、2−プロパノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル等のエステル類の他、純水等がある。
非極性溶媒としては、例えば、イソオクタン、シクロヘキサン、イソホロン等の芳香族炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、n−ヘキサン、n−デカン、の脂肪族炭化水素類がある。
また、本実施形態は、曲面部形成材料109に、ゲル化作用によって滴下後に半固体化するような材料を加えてもよい。曲面部形成材料109をゲル化させることは、曲面部110の表面張力に起因する成形不良を抑え、後述する樹脂版の転写成形工程を好適に行うことに有利である。曲面部形成材料109をゲル化させる場合、各種溶媒に分散した曲面部形成材料109をゲル化剤と混合させる。
曲面部形成材料109をゲル状とするためのゲル化剤は、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、ペクチン寒天、カラギナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、グァーガム等を用いることができる。
曲面部形成材料109の粘度は、各種ディスペンサー108で使用可能な範囲であれば、特に限定されない。特にゲル化した曲面部形成材料109の粘度は、塗布時には流動性を有した状態であることが望ましい。塗布時に予め曲面部形成材料109を加熱しておくことにより、ゲル化した曲面部形成材料109に流動性を与えることができ、曲面部110を好適に形成することができる。曲面部形成材料109は、塗布の後に冷却すると、再びゲル化する。
また、凸形状の曲面部110を形成するにあたり、曲面部形成材料109と針状体原版111との濡れ性を制御する必要がある。曲面部110を形成する際には、曲面部110の形成前に、針状体前駆体106の表面処理を行ってもよい。表面処理として撥水処理を実施すれば、曲面部形成材料109の液滴の接触面積を小さくすることができ、曲面部110の大きさを制御することができる。撥水処理としては、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等のシランカップリング剤による処理や、フッ素系粒子含有の撥水メッキによる処理、微細加工技術によって微細な凹凸を形成することによる処理、金属メッキ法による処理等がある。
曲面部形成材料109の濡れ性を向上させる場合、所望する表面特性に応じて、適宜親水処理を行ってもよい。親水処理の方法として、例えば、オゾン照射、紫外線やX線等の電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射、表面への特性改質物質の付加、光触媒の付加等を用いることができる。
なお、曲面部110の形状である上記「凸形状」とは、基板部104の厚み方向に沿った曲面部110の断面形状が凸形状であることを意味する。
・樹脂版を作製する工程
図1−2(h)から図1−2(i)は、樹脂版113を作製する工程を示した断面図である。先ず、本実施形態では、図1−2(h)に示したように、針状体原版111に樹脂版材料112を充填する。次に、針状体原版111の針状部105及び曲面部110の形状に対応した凹部パターン113aを備えた樹脂版113を、針状体原版111を用いた転写成形によって作製する。図1−2(i)は、作製された樹脂版113を示す。本実施形態では、樹脂版材料112の種類は特に限定されないが、樹脂版113として機能するだけの形状追従性、転写成形性、版耐久性及び剥離性を考慮した材料を選択する。具体的には、樹脂版113は、柔軟性の高いシリコン樹脂や、エポキシ樹脂といった、熱硬化性樹脂を材料にして作製される。ただし、樹脂版113の材料は熱硬化性樹脂に限定されるものではない。例えば、樹脂版113は、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂を用いることが可能である。
また、樹脂版材料112は、生体適合性材料であることが好ましい。生体適合性材料を用いて作製することにより、その一部が付着した針状部105が穿刺時に破損、例えば、折れや欠け等が生じたとしても、人体に悪影響を与え難くなる。特に、本実施形態に係る針状体115は、針状部105の微小突起部が皮膚に係留することから、体内に残留しやすい。このため、本実施形態に生体適合性材料を用いることは、高い効果を得ることができる。
樹脂版113は、樹脂版材料112に応じて、適宜公知の形状転写方法を用いて作製することができる。例えば、樹脂版材料112に熱硬化性樹脂(例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等)を用いた場合、樹脂版113は、針状体原版111に樹脂版材料112を充填し、その樹脂版材料112を硬化し、樹脂版材料112を針状体原版111から剥離することによって作製することができる。また、シリコンは常温で硬化する種類のものもある。このため、樹脂版材料112にシリコンを用いれば、樹脂版113を常温で製造できる場合もある。
樹脂版113の材料を針状体原版111に充填する方法としては、例えば、インプリント法、ホットエンボス法、射出成形法、押し出し成形法、キャスティング法等がある。本実施形態は、充填される樹脂版材料112の厚みについては特に限定されないが、針状体115を成形する上で好ましい厚みを選択することができる。
また、針状体原版111から樹脂版113を剥離する方法としては、例えば、(1)物理的な剥離力による剥離、(2)選択的エッチング法等を用いることができる。
・針状体を作製する工程
次に、樹脂版113を用いた転写成形によって、針状部(転写針状部)及び曲面部(転写曲面部)を備えた針状体115を作製する方法を説明する。
図1−2(j)から図1−2(l)は、本実施形態に係る針状体115を作製する方法を説明するための工程図である。本実施形態では、図1−2(j)に示したように、樹脂版113に針状体材料114を充填する。そして、図1−2(k)に示したように、充填された針状体材料114が固化した後、固化した針状体材料114(針状体115)を樹脂版113から剥離する。図1−2(l)は、針状体115を示している。
本実施形態では、針状体材料114は特に限定されないが、例えば、生体適合性材料である医療用シリコン樹脂や、マルトース、ポリ乳酸、デキストラン、糖質等を用いることができる。このような材料を用いることにより、本実施形態は、生体に適用可能な針状体115を形成できる。
また、針状体115に生体適合性材料を用いることは、針状体115に備わる針状部が折れて体内に取り残された場合にも無害であるという効果を奏する。また、針状体材料114としては、生体適合性材料ばかりでなく、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等を用いることもできる。
なお、針状体材料114の充填方法は、特に限定されないが、例えば、熱プレス法、ホットエンボス法、射出成形法、押し出し成形法及びキャスティング法が好適である。
以上の工程の後、本実施形態では、針状体115を樹脂版113から剥離し、針状体115を得る。換言すると、樹脂版113を用いた転写成形によって針状部105及び曲面部110の各形状が転写された針状部及び曲面部を備えた針状体115を得る。
剥離方法は、特に限定されないが、物理的な剥離方法が考えられる。具体的には、SUS304、SUS440Cといった金属製の剥離爪を、樹脂版113と針状体115の間に挿入する、あるいは針状体115の基板部104の端部に接触させたりすることによって針状体115を保持し、樹脂版113と針状体115とを剥離する方法がある。
以上が、本実施形態に係る針状体115の製造方法の概略である。ただし、本実施形態は、以上説明した例に限定されるものではなく、各工程において適用可能な他の方法を用いるものでもよい。
[針状体の構造]
図2は、以上説明した方法によって製造された針状体115の一部(一つの針状部205)を拡大して示した斜視図である。図2に示したように、本実施形態に係る製造方法により作製された針状体115は、基板部204と針状部(転写針状部)205とを備え、基板部204と針状部205との接合部207の少なくとも一部に凸形状の曲面部(転写曲面部)210を備える。さらに、本実施形態は、針状部205における基板部204との接合部位が多角体(例えば、多角錐体)であり、基板部204と針状部205との接合部207における上記多角体の頂部に選択的に凸状の曲面部210が形成される。
本実施形態に係る凸状の曲面部210は、針状体115を皮膚に穿刺した際に、針状部205と基板部204とを補強することから針状部205を折れ難くすることができる。また、本実施形態は、曲面部210の大きさを制御することにより、皮膚への穿刺深さを制御することができる。
なお、図3に本実施形態に係る針状体115の模式断面図を示した。より詳しくは、図3は、図2(a)に示した針状部205及び曲面部210の図面左右方向における模式断面図である。基板部204の表面から針状部205の頂部までの高さL1は、50μm以上2000μm以下の範囲内であることが好ましい。また、基板部204の表面から曲面部210の頂部(最も高い部分)までの高さL2は、針状部205の高さL1を基準として、L1×0.05以上でありL1×0.5以下の範囲内であることが好ましい。
[変形例に係る針状体の構造]
図4に本実施形態に係る針状体115の斜視図(第1変形例)を示した。図4の針状体115にあっては、針状部205が基板部204側から順に四角柱と四角錐が接続された形状を備える。なお、針状体115の形状にあっては、例えば、三角錐形状、四角錐形状、五角錐形状、六角錐形状、といった多角錐形状をとりうる。また、針状体115の形状にあっては、例えば、三角柱形状、四角柱形状、五角柱形状、六角柱形状、といった多角柱形状をとりうる。また、図4に示すように、多角錐形状と多角柱形状を組み合わせた形状でもよい。本実施形態では、多角錐形状と多角柱形状をあわせ各形状としている。
なお、その他の部分は、上述した実施形態と同じであるため、その詳細な説明については省略する。
図5に本実施形態に係る針状体115の斜視図(第2変形例)を示した。図5の針状体115にあっては、四角錐形状の針状部205と基板部204の接合部207において、多角錐の頂部の4箇所のうち、2箇所の頂部を跨ぐように曲面部210が形成されている。
なお、その他の部分は、上述した実施形態と同じであるため、その詳細な説明については省略する。
図6に本実施形態に係る針状体115の斜視図(第3変形例)を示した。図6の針状体115にあっては、四角錐形状の針状部205と基板部204の接合部207において、多角錐の外周の全域にわたって曲面部210が形成されている。
なお、その他の部分は、上述した実施形態と同じであるため、その詳細な説明については省略する。
図7に本実施形態に係る針状体115の斜視図(第4変形例)を示した。図7の針状体にあっては、曲面部210が凸形状ではなく凹形状に形成されている。曲面部210は、図7に示すように凹形状に形成することも可能である。ただし、版耐久性の点で、曲面部210は、凹形状より凸形状のほうがより大きな効果を得ることができる。
なお、上記「凹形状」とは、基板部204の厚み方向に沿った曲面部210の断面形状が凹形状であることを意味する。また、その他の部分は、上述した実施形態と同じであるため、その詳細な説明については省略する。
以上説明した本実施形態は、基板部204と針状部205との接合部207に形成された凸状の曲面部210の作用により、転写成形において樹脂版113から針状体115を剥離する際、樹脂版113が傷つき難くなり、皮膚穿刺性能に寄与する針状部205の形状を損なうことなく、針状体115の生産性を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態に係る針状体115は、例えば、液状の薬剤を皮内に放出するために用いられる貫通孔(図示せず)を備えていてもよい。より詳しくは、本実施形態に係る針状体115は、基板部204と針状部205とを共に貫通する貫通孔を備えていてもよい。また、この貫通孔は、針状部205の側面部を貫通する孔であってもよいし、針状部205の側面部を貫通する孔であってもよい。
(実施例)
以下、本実施形態の一実施例について、先に示した図1−1、図1−2を使って説明する。
先ず、本発明の発明者は、図1−1(a)に示す通り、一辺が50mmの正方形で、厚さ2mmのシリコン基板101を準備し、研削刃を回転させながら、シリコン基板101の表面に対し、深さ300μm分の研削加工を実施し、長さ50mmの研削溝102を形成した。研削溝102の開口上部の幅は約418μm、深さは300μmとなった。
研削溝102の側壁面の傾きは、研削刃の先端に形成された傾斜面の傾きに対応し、本実施例ではシリコン基板101の平行面と研削溝102の側壁面との成す角度は110°となった。また、研削溝102は6本形成され、図1−1(b)に示す通り、概ね三角形の断面形状を有する研削加工中のシリコン基板103が得られた。
次に、研削加工中のシリコン基板103を、研削溝102の延在方向(長さ方向)に対して90°回転し、研削溝102の形成工程と同じ条件で研削加工を追加した。この結果、基板部104上へ、四角錐形状の針状部105が、5列5行のアレイ状に形成された。針状部105の先端角は40°、高さは300μm、底面の一辺の幅は約231μmとなった。
また、シリコン基板103の表面にはヘキサメチルジシラザンによる撥水処理を行った。撥水処理を行った後、水への接触角が120°となり、撥水性であることを確認した。
この結果、図1−1(c)に示す通り、針状体前駆体106が得られた。
次に、図1−1(d)に示す通り、針状体前駆体106の基板部104と針状部105とが接合されている、四角形断面の各頂点近傍表面を狙いとした接合部107に対し、ディスペンサー108を用いて、曲面部形成材料109を滴下した。ディスペンサー108には、Microdrop社製のMD−K−140(ノズル径50μm)を使用した。
曲面部形成材料109は、関東化学社製のポリエチレングリコール(重量平均分子量1000)と、純水を重量比1対1で混合した溶液を用いた。また、ディスペンサー108のノズル温度設定を40℃として、曲面部形成材料109を加熱した。その結果、直径約50μmの曲面部形成材料109が吐出された。
また、図1−1(e)に示す通り、曲面部形成材料109は、接合部107に対し、ディスペンサー108の位置を変えながら吐出された。この結果、曲面部形成材料109が着弾し、通常の環境下にて、乾燥・固化した箇所に、直径約30μm、厚み約20μmの曲面部110が形成された。
さらに、曲面部形成材料109が吐出、乾燥・固化された結果、図1−1(f)に示す通り、全ての接合部107に曲面部110が形成され、図1−2(g)に示す通り、針状体原版111が作製された。
次に、図1−2(h)に示す通り、針状体原版111に対し、樹脂版材料112を充填した。樹脂版材料112は、信越シリコン社製の熱硬化型シリコーン樹脂(KE−1417(商品名))を用いた。樹脂版材料112を常温で硬化させ離型した結果、図1(i)に示す通り、一辺が50mmの正方形で、厚さ10mmの樹脂版113が得られた。
次に、図1−2(j)に示す通り、樹脂版113に対し、熱プレス法を用いて針状体材料114を充填した。針状体材料114としては、クレハ社製のポリグリコール酸Kuredux100E35(商品名)を用いた。
最後に、図1(k)に示す通り、針状体材料114は、樹脂版113内で十分に冷却された後に離型された。この結果、図1−2(l)に示す通り、本実施例に係る針状体115が得られた。
(比較例)
比較例として、上記実施例において曲面部110を設けない針状体を作製した。
つまり、上記実施例の場合と同様にして、一辺が50mmの正方形で、厚さ2mmのシリコン基板を準備し、研削刃を回転させながら、シリコン基板の表面に対し、深さ300μm分の研削加工を実施し、長さ50mmの研削溝を形成した。研削溝の開口上部の幅は約418μm、深さは300μmとなった。
研削溝の側壁面の傾きは、研削刃の先端に形成された傾斜面の傾きに対応し、本比較例ではシリコン基板の平行面と研削溝の側壁面との成す角度は110°となった。また、研削溝は6本形成され、概ね三角形の断面形状を有する研削加工中のシリコン基板が得られた。
次に、上記実施例の場合と同様にして、研削加工中のシリコン基板を、研削溝の延在方向(長さ方向)に対して90°回転し、研削溝の形成工程と同じ条件で研削加工を追加した。この結果、基板部上へ、四角錐形状の針状部が、5列5行のアレイ状に形成された。針状部の先端角は40°、高さは300μm、底面の一辺の幅は約231μmとなった。以上により、比較例に係る針状体原版が作製された。
次に、上記実施例の場合と同様にして、針状体原版に対し、樹脂版材料を充填した。樹脂版材料は、信越シリコン社製の熱硬化型シリコーン樹脂(KE−1417(商品名))を用いた。樹脂版材料を常温で硬化させ離型した結果、一辺が50mmの正方形で、厚さ10mmの樹脂版が得られた。
次に、得られた樹脂版に対し、熱プレス法を用いて針状体材料を充填した。針状体材料としては、クレハ社製のポリグリコール酸Kuredux100E35(商品名)を用いた。
最後に、針状体材料は、樹脂版内で十分に冷却された後に離型された。以上により、比較例に係る針状体、即ち曲面部110を設けない針状体が得られた。
(版耐久性の比較)
実施例で得られたポリグリコール酸製の針状体115を、同一の樹脂版113を用いたまま、100個繰り返し作製した。針状体115を100個繰り返し作製後、作製に用いた樹脂版113の表面を実体顕微鏡で観察した。
一方、比較例で得られたポリグリコール酸製の針状体を、実施例の場合と同様にして、同一の樹脂版を用いたまま、100個繰り返し作製した。針状体を100個繰り返し作製後、実施例の場合と同様にして、作製に用いた樹脂版の表面を実体顕微鏡で観察した。
観察の結果、比較例の樹脂版は、表面に亀裂(裂け目)が確認された。亀裂は、樹脂版の針状体の四角錐形状の頂部に対応した箇所で発生していた。一方、実施例の樹脂版113は、表面に亀裂等は確認されなかった。図8に、比較例で使用した樹脂版表面の実体顕微鏡で観察結果の説明図を示す。図8(a)は、針状体形成前の樹脂版表面の実体顕微鏡写真の観察結果を模式的に表した図であり、図8(b)は、針状体を100個形成した後の樹脂版表面の実体顕微鏡写真の観察結果を模式的に表した図である。図8(a)、(b)において中央の正方形は、針状体の針状部に対応した凹部パターンである。図8(b)に示すとおり、比較例で使用した樹脂版においては、針状体の四角錐形状の頂部に対応した凹部で亀裂(裂け目)300が確認された。繰り返しになるが、実施例の樹脂版113は、100個針状体を形成した後であっても、比較例で観察された亀裂等は確認されなかった。
以上により、実施例の針状体115の製造方法にあっては、比較例の針状体の製造方法と比較して、樹脂版113の耐久性が高く、樹脂版113の交換頻度が低いことが分かる。したがって、実施例の針状体115の製造方法は生産性が高いことが示された。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
また、上述の実施形態に係る針状体の製造方法及び針状体であれば、本発明が解決しようとする課題を解決し得る。ここで、前述した本発明が解決しようとする課題の詳細について説明する。
現在、皮膚上から薬剤を浸透させ体内に薬剤を投与する方法として、経皮吸収法がある。経皮吸収法は、被投与者に痛みを与えることなく簡便に薬剤を投与することができる。
ただし、経皮吸収法においては、経皮吸収法で投与が困難な薬剤が存在する。投与が困難な薬剤を効率よく体内に吸収させる方法としては、ミクロンオーダーの微細な針状体(マイクロニードル)によって皮膚を穿孔し、皮膚内に直接薬剤を投与する方法がある。針状体を使って皮膚内に薬剤を投与する方法によれば、従来の注射機器を用いることなく、簡便に薬剤を皮下投薬することが可能となる)。なお、このような針状体の公知技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
針状体は、皮膚を穿孔する微細な針状部と、針状部を支持する基板とを有している。針状部には、皮膚を穿孔するための十分な細さと先端角、及び皮下に薬液を浸透させるための十分な長さが要求される。針状部の直径は数μmから数百μm、針状部の長さは皮膚の最外層である角質層を貫通し、かつ神経層へ到達しない長さ、具体的には数十μmから数百μm程度の錐形であることが望ましいとされている。
より具体的には、針状部には、最外皮層である角質層を貫通することが求められる。角質層の厚さは、人体の部位によっても若干異なるが、平均して20μm程度である。また、角質層の下にはおよそ200μmから350μm程度の厚さの表皮が存在し、表皮の下層には毛細血管が張りめぐらされる真皮層が存在する。このため、角質層を貫通させて薬液を浸透させるためには、少なくとも20μm以上の長さの針状部が必要となる。また、採血を目的とする針状体を製造する場合には、上記の皮膚の構成から少なくとも350μm以上の長さの針状部を有した針状体が必要となる。
また、針状体の材料としては、医療用シリコン樹脂や、マルトース、ポリ乳酸、デキストラン等の生体適合樹脂が有力視されている。このような材料は、仮に破損した針状部が体内に残留した場合でも、人体に悪影響を及ぼさない。なお、医療用シリコン樹脂等を材料とする針状体の公知技術は、例えば、特許文献2に記載されている。
また、針状体が体内に薬剤を投与する機構としては、薬剤を針の表面に塗り、これを穿刺することで薬剤が投与される機構や、中空針や薬液通過用の細孔を有した形状の針状体を用いて基板面から薬剤を投与する機構が提案されている。なお、このような針状体の公知の機構は、例えば、特許文献3に記載されている。
さらに、針状体の成形工程においては、金属版を用いて針状体を製造する針状体の製造方法が知られている。金属版は、版から針状体を離型する際の版の耐久性向上が期待できる。なお、金属版を使った針状体の成形工程は、例えば、特許文献4に記載されている。
しかしながら、金属版を用いた針状体の成形は、樹脂版を用いた成形工程に比べて、針状体に適用される材料によっては、針状部の成形性や、針状体の離型性が良好では無い場合がある。このため、針状体の成形に樹脂版が選択される場合があるが、樹脂版は金属版に比べて耐久性が低く、針状体を離型する際に壊れることがあるという課題がある。
(本実施形態の効果)
(1)上述の課題を有する従来技術に係る針状体の製造方法に対し、本実施形態に係る針状体115の製造方法は、基板部104に針状部105を備え、針状部105の基板部104と接する部位が多角体である針状体前駆体106を形成する工程と、針状体前駆体106の基板部104と針状部105との境界部分である接合部107における上記多角体の頂部の少なくとも一部に曲面部110を形成して針状体原版111を作製する工程と、針状体原版111を用いた転写成形によって、針状体原版111の針状部105及び曲面部110に対応した凹部パターン113aを備えた樹脂版113を作製する工程と、樹脂版113を用いた転写成形によって、針状部105及び曲面部110の各形状が転写された針状部205及び曲面部210を備えた針状体115を作製する工程と、を含む。
このような構成であれば、凹部パターン113aに曲面部110に対応した凹部を備えているので、転写成形した針状体115の離型時に、針状体115に含まれる多角体の頂部近傍に発生する樹脂版113の歪みを低減することができる。このため、本実施形態に係る針状体115の製造方法であれば、従来技術に係る針状体の製造方法と比較して、樹脂版113の耐久性を高めることができ、樹脂版113の交換頻度を低減することができる。よって、針状体115の生産性を向上させることができる。
(2)また、曲面部110を、曲面部形成材料109を滴下して形成してもよい。
このような構成であれば、曲面部形成材料109を滴下して曲面部110を形成するので、曲面部110を、容易且つ確実に、予定した位置に形成することができる。
(3)また、基板部104の厚み方向に沿った曲面部110の断面形状を凸形状としてもよい。
このような構成であれば、曲面部110の断面形状が凸形状をしているので、転写成形した針状体115の離型時に、針状体115に含まれる多角体の頂部近傍に発生する樹脂版113の歪みをより低減することができる。
(4)また、針状体115を、生体適合性材料を用いて形成してもよい。
このような構成であれば、仮に、穿刺時に針状体115に含まれる針状部205が折れて体内に取り残された場合であっても無害である。
(5)また、本実施形態に係る針状体115は、基板部204と、基板部204に形成された針状部205と、基板部204と針状部205との境界部分である接合部207の少なくとも一部に形成された曲面部210とを備え、針状部205の基板部204と接する部位が多角体であり、曲面部210が接合部207の上記多角体の頂部に形成されている。
このような構成であれば、針状体115は、曲面部210を備えているので、針状体115を皮膚に穿刺した際に、針状部205と基板部204とを補強することから針状部205を折れ難くすることができる。
(6)また、基板部204の厚み方向に沿った曲面部210の断面形状を凸形状としてもよい。
このような構成であれば、針状体115を皮膚に穿刺した際に、針状部205をさらに折れ難くすることができる。
(7)また、凸形状の曲面部210を、接合部207の上記多角体の頂部に選択的に形成してもよい。
このような構成であれば、曲面部210の大きさを制御することが可能となるので、皮膚への穿刺深さを制御することができる。
本発明に係る針状体の製造方法は、医療のみならず、微細な針状体を必要とする様々な分野に適用可能であり、例えば、MEMSデバイス、光学部材、創薬、化粧品、美容用途等に用いる微細な針状体の製造方法としても有用である。
101、103 シリコン基板
102 研削溝
104、204 基板部
104a 上面
105、205 針状部
106 針状体前駆体
107、207 接合部
108 ディスペンサー
109 曲面部形成材料
110、210 曲面部
111 針状体原版
112 樹脂版材料
113 樹脂版
113a 凹部パターン
115 針状体

Claims (5)

  1. 基板部に針状部を備え、前記針状部の前記基板部と接する部位が多角体である針状体前駆体を形成する工程と、
    前記針状体前駆体の前記基板部と前記針状部との境界部分である接合部における前記多角体の頂部の少なくとも一部に曲面部を形成して針状体原版を作製する工程と、
    前記針状体原版を用いた転写成形によって、前記針状体原版の前記針状部及び前記曲面部に対応した凹部パターンを備えた樹脂版を作製する工程と、
    前記樹脂版を用いた転写成形によって、前記針状部及び前記曲面部の各形状が転写された転写針状部及び転写曲面部を備えた針状体を作製する工程と、
    を含み、
    前記基板部の厚み方向に沿った前記曲面部の断面形状が凸形状であることを特徴とする針状体の製造方法。
  2. 前記曲面部を、曲面部形成材料を滴下して形成することを特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
  3. 前記針状体を、生体適合性材料を用いて形成することを特徴とする請求項1又は請求項に記載の針状体の製造方法。
  4. 基板部と、前記基板部に形成された針状部と、前記基板部と前記針状部との境界部分である接合部の少なくとも一部に形成された曲面部とを備え、
    前記針状部の前記基板部と接する部位が多角体であり、
    前記曲面部が前記接合部の前記多角体の頂部に形成されており、
    前記接合部の前記多角体の頂部に、選択的に凸形状の前記曲面部が形成されていることを特徴とする針状体。
  5. 前記基板部の厚み方向に沿った前記曲面部の断面形状が凸形状であることを特徴とする請求項に記載の針状体。
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