JP6098059B2 - 針状体の製造方法および針状体 - Google Patents

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本発明は、針状体の製造方法および針状体に関する。
皮膚上から薬剤を浸透させ、体内に薬剤を投与する方法である経皮吸収法は、人体に痛みを与えることなく簡便に薬剤を投与することができる方法として用いられているが、薬剤の種類によっては経皮吸収法で投与が困難な薬剤が存在する。これらの薬剤を効率よく体内に吸収させる方法として、ミクロンオーダーの微小な針状体を用いて皮膚を穿孔し、皮膚内に直接薬剤を投与する方法が注目されている。この方法によれば、投薬用の特別な機器を用いることなく、簡便に薬剤を皮下投薬することが可能となる(特許文献1参照)。
この際に用いる微小な針状体の形状は、皮膚を穿孔するための十分な細さと先端角、および皮下に薬液を浸透させるための十分な長さを有していることが必要とされ、直径は数μmから数百μm程度(具体的には、例えば、1μm〜300μm程度)、長さは皮膚の最外層である角質層を貫通し、かつ神経層へ到達しない長さ、具体的には数十μmから数百μm程度(具体的には、例えば、10μm〜1000μm程度)のものであることが望ましいとされている。
上述した針状体の材料として種々の材料を用いることが知られており、例えば、グリコーゲン、デキストリンなどの水溶性多糖類の水溶液を鋳型に充填させ、乾燥させ、針状体を製造する方法が開示されている。(特許文献2参照)。
さらに、針状体の製造方法として、エッチング法を用いて原版を作製し、該原版から鋳型を形成し、該鋳型を用いた転写加工成型をおこなうことが提案されている(特許文献3参照)。
皮膚への穿孔のみを目的とした針状体においては、針状体を皮膚に穿刺した際に針状体材料が皮膚へ溶出することは望ましくない。水溶性高分子からなる針状体の場合、皮膚の水分で針状体の溶解が懸念されるため不溶化させる必要がある。水溶性高分子からなる構造体を不溶化する方法としては、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて成形する方法などが開示されている(特許文献4、5参照)。
特開昭48−93192号公報 国際公開第2006/080508号パンフレット 国際公開第2008/004597号パンフレット 特開平11−33104号公報 特表2004−532802号公報 特開2003−206409号公報 特開平6−25433号公報 特開2010−241702号公報
しかし、特許文献4、5に開示されている方法を針状体に適用した場合では、生体に有害な物質であるグルタルアルデヒドを用いるため、皮膚への穿刺を目的とした針状体を製造する場合には安全性が問題となる。
また、特許文献6に開示されている方法を針状体に適用した場合では、加熱により脆性が増すため、得られた針は割れ易くなり、穿刺性と安全性が問題となる。
また、特許文献7に開示されている方法を針状体に適用した場合では、微細構造を有する針状体においては水を含む親水性有機溶媒に浸漬することによる膨潤およびその後の乾燥による収縮が問題となる。
そこで本発明は、生体に低負荷であり、水に対して不溶であり、十分な柔軟性を有する針状体および針状体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体の製造方法であって、前記針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程と、水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、前記鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、前記針状体材料を前記鋳型から離型し針状体前駆体を得る離型工程と、前記針状体前駆体を不溶化する不溶化工程と
を備え、前記基体および前記突起部が水溶性高分子とグリセリンを含むことを特徴とする針状体の製造方法とした。
また、請求項2に係る発明としては、前記不溶化工程が、加熱をおこなう工程もしくは水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程であること、を特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法とした。
また、請求項3に係る発明としては、前記不溶化工程の加熱をおこなう工程が、80℃以上の温度で加熱する工程であること、を特徴とする請求項2に記載の針状体の製造方法とした。
また、請求項4に係る発明としては、基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体の製造方法であって、前記針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程と、水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、前記鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、前記針状体材料を前記鋳型から離型し針状体を得る離型工程とを備え、前記基体および前記突起部が水溶性高分子とグリセリンを含むことを特徴とする針状体の製造方法とした。
また、請求項5に係る発明としては、前記水溶性高分子が、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の針状体の製造方法とした。
また、請求項6に係る発明としては、基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体であって、前記基体及び前記突起部が少なくとも水溶性高分子とグリセリンを含むことを特徴とする針状体。
とした。
また、請求項7に係る発明としては、水に対して不溶性であることを特徴とする請求項6記載の針状体とした。
また、請求項8に係る発明としては、前記水溶性高分子が、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の針状体とした。
本発明の針状体、本発明の針状体の製造方法で得られる針状体は、不溶化処理後も十分な柔軟性を有し、また生体に低負荷な針状体とすることができる。柔軟性を有することで、より好適に生体皮膚に穿刺することが可能となる。
図1は、本発明の針状体の斜視図である。 図2は、本発明の針状体の概略図である。 図3は、本発明の針状体の製造方法の説明図(その1)である。 図4は、本発明の針状体の製造方法の説明図(その2)である。
<針状体>
図1に、本発明の針状体の斜視図を示した。本発明の針状体101は、基体103と、前記基体103の第一の面から突出する突起部105を具備する。本発明の針状体は水溶性高分子とグリセリンを含む。グリセリンは可塑剤として作用する。
本発明の針状体材料に含まれる水溶性高分子としては、公知の水溶性高分子を用いることができる。より好ましくは水溶性高分子の中でも生体高分子を用いることができる。さらには生体高分子の中でも多糖、ペプチド、たんぱく質を好適に用いることができる。本発明の針状体に用いられる水溶性高分子としては、例えば、具体的には、アルギン酸塩、カードラン、キチン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどを挙げることができる。中でも、本発明の針状体に用いられる水溶性高分子としては、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選択されることが好ましい。
本発明の針状体材料として用いられるキチン、キトサン、キトサン誘導体は、生体適合性を備えるものである。キチンとキトサンとの間に明確な境界線はないが、一般的にキチンの脱アセチル化が70%以上のものがキトサンと呼ばれる。脱アセチル化は、適宜公知の手法によりおこなうことができる。生体適合性を備えるキチン、キトサン、キトサン誘導体は、蟹、エビなどの甲殻類由来のもの、菌糸類・微生物産生の植物由来のもの、およびそれらを出発原料としたもの等を用いることができる。キトサン、キチン・キトサンおよびキチン・キトサン誘導体は、皮膚に対して美容効果を示すとともに殺菌効果、抗菌効果を有するため、本発明の針状体に用いる針状体材料として好ましく用いることができる。
本発明の針状体は、水溶性高分子のほかにグリセリンを含む。グリセリンは可塑剤として作用し、水溶性高分子からなる針状体に柔軟性を付与する。
また、本発明の針状体は、送達物を内部に含んでいても良い。前記送達物としては、例えば、生理活性物質や化粧品組成物などが挙げられる。また、送達物として芳香を有する材料を用いた場合、使用に際して匂いを付与することが出来、美用品として用いるのに好ましい。なお、送達物は、生物製剤をも含むものとする。ここで、生物製剤とは、ヒトや動物の細胞や細胞組織等に由来する原料または材料を用いた薬物の分類をいう。また、本発明の針状体においては、送達物を針状体表面に塗布し保持しても良い。
また、送達物を針状体で投与するにあたり、針状体が皮膚に穿刺される前あるいは皮膚に穿刺される後に、送達物を対象となる皮膚上に塗布してもよい。このとき、針状体の表または内部に送達物を配置し、かつ、対象となる皮膚表面にも送達物を塗布してもよい。
また、本発明の針状体は、水に対して不溶性とすることもできる。本発明の針状体において、「針状体が水溶媒に不溶性であること」とは、「針状体にpH7.5リン酸緩衝溶液(PBS)に24時間浸漬した後、針状体の減少した体積が浸漬前の体積の5%以下であること」をいう。
また、本発明の針状体は、体内に埋没させ使用する手法に用いられてもよい。
本発明に係る針状体の形状および配置形態を図2を用いて説明する。
図2は、本発明の針状体の概略図であり、(a)は針状体の上面図、(b)は針状体の断面図である。図2(b)は、図2(a)を線I−I´に沿って切った断面図である。図2(a)および(b)に示すように、針状体101は、基体103と、前記基体103の第一の面から突出する突起部105を具備する。
本発明に係る針状体は、基体に1つの突起部を具備してもよく、また基体に複数の突起部を具備してもよい。複数の突起部を具備する場合には、アレイ状に突起部を具備してよい。
特に、突起部は、基体上に複数林立し、アレイ状に配列していることが好ましい。ここで、「アレイ状」とは、各突起部が並んでいる状態を示すものであり、例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状に配列、ランダムに配列などのパターンを含む。
本発明の突起部の形状は、図1、図2(a)および(b)に示された形態に限定されるものではなく、用途により形状および寸法などを自由に設計してよい。例えば成形した針状体を送達物の経皮吸収を促進する目的や、経皮的に生体内の物質を生体外へ取り出す目的に用いる場合により選択される。また、皮膚穿刺性能の観点から選択される。具体的には、円錐、角錐といった錐体形状、円柱、角柱といった柱状形状、また錐体形状と柱状形状を組み合わせた鉛筆形状(胴体部が柱状であり、先端部が錐形状のもの)等の形状を選択することができる。なお、突起部の側壁には括れや段差が形成されていても良い。
また、特に、突起部による穿孔の長さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない深さ」にすると、送達物や化粧品組成物を、角質層より深い位置に送達することができる。角質層に形成された穿孔は時間と共に塞がるため、角質層下に送達された送達物や化粧品組成物は外界から角質層にバリアされた状態で生体内に保持される。このため、送達物や化粧品組成物は、角質層の新陳代謝や、スキンケアなどの洗浄により剥落することを低減でき、長期間、化粧状態を維持することができる。
また、特に、突起部による穿孔の深さを「角質層内」に留める場合、送達物や化粧品組成物を、角質層内に滞留させることが出来る。角質層はたえず新陳代謝により新規に生成されるため、角質層内の送達物や化粧品組成物は時間と共に体外へ排出される。このため、皮膚の洗浄や皮膚をピーリングすることなどにより、例えば、化粧状態および付与状態を容易に解除することができる。
特に、突起部による穿孔の深さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない長さ」に留
める場合、突起部の長さHは、具体的には、200μm以上700μm以下、より好適には200μm以上500μm以下、更に好適には、200μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましい。
また、特に、穿孔を「角質層内」に留める場合、突起部の長さHは、具体的には、30μm以上300μm以下、より好適には30μm以上250μm以下、更に好適には、30μm以上40μm以下の範囲内にあることが好ましい。
また、本発明に係る突起部を基体上にアレイ状に配列する場合、各突起部の長さは全て同一でもよく。同一でなくてもよい。突起部の長さが異なる場合、例えば、(1)アレイ状の外周のみ長い突起部とすることで、曲面に対し、好適に接触することができる、(2)アレイ状の外周のみ短い突起部とすることで、破損しやすい外周部の針状体の機械的強度を補強することができる、などの利点が挙げられる。
本発明の針状体における突起部の幅Dは、1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。突起部の幅Dは、前記範囲内で針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を皮膚内のどのくらいの深さまで形成するか等を考慮して決定することが好ましい。
突起部の幅Dは、突起部を基体面と平行に投影した際の基体と接している突起部の長さのうち最大の長さである。例えば、突起部が円錐状である場合、突起部と基体と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角錐である場合、突起部と基体と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。また、突起部が円柱である場合、突起部と基体と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角柱である場合、突起部と基体と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。
突起部が錐形状のように先端角を有する実施形態に係る針状体において、穿孔時に針状体の突起部を角質層を貫通させる場合には突起部の先端角θは5°以上30°以下、より好ましくは10°以上20°以下、の範囲内であることが望ましい。また、穿孔時に針状体の突起部を角質層内に留める場合、先端角は30°以上、より好ましくは、45°以上であることが好ましい。なお、先端角θは突起部を基体面と平行に投影した際の角度(頂角)のうち最大のものを指す。
また、当該針状体を構成する基体と突起部は、同組成の材料により形成しても、異なる組成の材料により形成してもよい。基体と突起部とを同組成の組成物で形成することにより、基体と突起部を一体成形にて好適に形成することができる。なお、本発明の針状体を異なる材料で作製する場合には、少なくとも針状体の突起部は水溶性高分子とグリセリンを含む必要がある。
次に、本発明の針状体の製造方法について説明する。まずは、水に対して不溶性を示す針状体の製造方法について説明する。
図3、図4に本発明の針状体の製造方法の説明図を示した。
本発明の針状体の製造方法は、針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程と、水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程と、鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、針状体材料を前記鋳型から離型し針状体前駆体を得る離型工程と、針状体前駆体を不溶化する不溶化工程とを備える。
<鋳型の製造工程>
本発明の針状体製造方法において、針状体を製造するにあたり使用される鋳型の例を図3(a)に示す。鋳型201は、突起部の凹凸反転パターンの凹部203と、第一の面に形成された凹部203を有する領域からなる凹部領域205とを含む。
鋳型の形状は、針状体材料を保持できる形状を有していれば、特に形状の制約はない。具体的には、例えば、四角形、三角形、などの多角形、円形、楕円形などでよく、想定されるあらゆる形状でよい。
鋳型の第一の面についても、凹部を有していれば特に形状の制限はない。具体的には、例えば、平坦面、曲面、段構造などでもよい。また、前記鋳型の第一の面は、用いる針状体材料や製造工程状態に適した表面加工を施してよい。
鋳型の材質は、鋳型としての耐熱性や熱伝導、機械的強度、形状追従性を有していれば、特に材質上の制約はない。例えば、金属および樹脂など、例えば、(1)シリコン、(2)ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼およびチタン等の金属材料、(3)アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックス、ガラスなどのセラミックス、(4)ポリアタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂およびフッ素樹脂等の合成樹脂などを用いてよい。前記鋳型の凹部203と凹部領域205は、それぞれ2つ以上の材質を用いてもよい。
鋳型に凹部203を形成するための手段は、それ自身公知の微細加工技術を適宜選択して用いてよく、そのような微細加工技術の例は、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法および精密機械加工法などを含む。また、例えばシリコン基板からリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、切削法等を用いてシリコンからなり、基体の一方の面に突起部を備える針状体を作製し、当該シリコン製針状体を原版として、めっき法や樹脂を用いた型取り法により鋳型を作製することもできる。
<針状体材料調製工程>
次に、図3(a)に示すように、針状体材料207の調製をおこなう。なお、本発明の針状体の製造方法において、「鋳型の製造工程」と「針状体材料調製工程」の順番はどちらを先におこなったとしてもかまわない。
本発明の針状体材料は、可塑剤のグリセリンと水溶性高分子を含んでいれば良い。前記水溶性高分子としては、より好ましくは生体高分子であれば良く、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいれば良い。
グリセリンと水溶性高分子は、溶媒に溶解および/または分散され、成形可能な液状とされる。溶媒としては、水を用いることができ、さらには、エチレングリコール、グリセリンといった多価アルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等を用いることができる。また、これらの溶媒を混合したものも用いることができる。また、針状体材料は、水溶性高分子とグリセリンと溶媒以外に、針状体材料を鋳型に充填可能な液状とするために、他の材料を含有させることもできる。例えば、水溶性高分子としてキトサンを用いた場合には、キトサンを水に溶解させるためにギ酸、酢酸等の有機酸を含有させる必要がある。また、針状体材料調整工程にあっては、各材料を混合したあと、脱気等をおこなってもよい。
なお、針状体材料中の水溶性高分子の濃度は、針状体材料に対し1重量%以上20重量%の範囲内であることが好ましい。また、針状体材料中のグリセリンの濃度は、針状体材料に対し0.01重量%以上15重量%以下の範囲内であることが好ましい。
<充填工程>
次に、図3(b)に示すように、針状体材料207を鋳型201に充填する。
当該針状体材料の充填方法についての制限は特にない。例えば、充填方法として、射出成形法、押出成形法、インプリント法、キャスティング法、インクジェット法、ディスペンサ法、スピンコート法、また、遠心力を利用して充填する方法などを用いることができる。また、凹版への針状体形成水溶液の供給に際し、凹版の周囲の環境を減圧下または真空下にしてもよい。
<乾燥工程>
次に、図3(c)に示すように、鋳型201に充填された針状体材料207を乾燥させる。前記針状体材料の乾燥方法についての制限は特にない。例えば、加熱乾燥、通風乾燥、真空乾燥などを用いることができる。乾燥により、針状体前駆体102が得られる。
<離型工程>
次に、図3(d)に示すように、針状体前駆体102から鋳型201を離型する。前記針状体の離型方法についての制限は特になく、公知の物理的手段を用いることができる。
<不溶化工程>
次に、針状体前駆体102を不溶化する。針状体前駆体を不溶化する不溶化工程は、図4(e−1)に示すような加熱をおこなう工程、もしくは図4(e−2)に示すような水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程によりおこなうことができる。
上記加熱をおこなう工程の加熱方法についての制限は特にない。図4(e−1)にあっては、針状体前駆体102をホットプレート(加熱装置)211上に載置し、加熱している。加熱装置としては、ホットプレート以外にも、オーブン、赤外線照射装置、電子線照射装置などを用いることができる。なお、上記加熱をおこなう工程の加熱温度は、80℃以上であれば良い。より好ましくは90℃以上200℃以下の範囲内であることが好ましい。
また、図4(e−2)に示すような、水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程により不溶化工程をおこなう場合には、水含有親水性有機溶媒として、適宜最適な組成の溶媒を用いれば良く、酸もしくはアルカリを含んでいても良い。また、有機溶媒も適宜選択してよい。具体的には、水含有親水性有機溶媒として、アセトン、メタノール、エタノール、酢酸エチルなどを用いてもよい。
なお、図4(e−1)に示すような加熱をおこなう工程、もしくは図4(e−2)に示すような水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程は併用することもできる。例えば、図4(e−2)に示すような水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程において、水含有親水性有機溶媒を加熱することにより、不溶化を促進することができる。
以上により、図4(f)に示す基体103と突起部105からなる不溶化した針状体101が得られる。
上述した製造方法によれば、先行技術の問題点である脆性の増加や変形を抑制でき、水に不溶であり、生体に低負荷であり、かつ、十分な柔軟性を備えた水溶性高分子とグリセリンから成る針状体を得ることができる。
次に、水に対して不溶性を示さない針状体の製造方法について説明する。
水に対して不溶性を示さない針状体を製造するにあっては、不溶化工程を省略すればよい。すなわち、水に対して不溶性を示さない針状体の製造方法で説明した、針状体前駆体を針状体とすればよい。
具体的には、前記針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程(図3(a))と、水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程(図3(a))と、前記鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程(図3(b))と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程(図3(c))と、前記針状体材料を前記鋳型から離型し針状体を得る離型工程(図3(d))を備えればよい。
以上より、本発明の針状体の製造方法を実施することができる。
なお、本発明の針状体及び針状体の製造方法は上記実施の形態に限定されず、当業者が類推することのできる他の工程、修飾および変更を含む製造方法から製造して得た針状体においても、本発明の範囲に含まれる。
<実施例1>
以下、本発明の針状体の製造方法の一例を実施例にて説明する。
1.鋳型の作製
まず、精密機械加工を用いて、シリコン基板に正四角錐(高さ:120μm、底面:38μm×38μm)が、1mm間隔で、10列10行の格子状に100本配列した突起部を形成した。100本の突起部は、一辺が約9mmの正方形領域内に配置された。
次に、前記シリコン基板で形成された針状体を、シリコーン樹脂で突起部の凹凸反転パターンを転写し、シリコーン樹脂からなる鋳型を作製した。
2.針状体材料の調製
次に、針状体材料の調整をおこなった。
水に、キトサン、酢酸、グリセリンを溶解後、真空下で脱気をおこない、針状体材料を調製した。このとき、針状体材料に対し、キトサン5重量%、酢酸2.5重量%、グリセリン7.5重量%として調製した。
3.針状体の転写成形(充填工程、乾燥工程、離型工程)
次に、インクジェット法によって、当該鋳型上にキトサン水溶液を供給し凹部に充填した。これを、並温並湿環境下で静置して乾燥させた後、鋳型上から剥離し、針状体前駆体(針状体)を得た。
4.針状体前駆体の不溶化
次に、得られた針状体前駆体の不溶化をおこなった。得られた針状体前駆体をオーブンに入れ、140℃で30分間加熱処理をおこなった。以上により、針状体を作製した。
得られた実施例1の不溶化処理前の針状体(前駆体)および不溶化処理後の針状体は、ピンセットの力で容易に基体部を曲げることができる程度の十分な柔軟性と強度を備えている様子が確認された。
また、不溶化処理後の針状体を室温にて水に30分浸漬し突起部の形状を光学顕微鏡で確認したところ、浸漬後も形状を保持しており、水に対して不溶であることが確認できた。実施例1で作製された不溶化処理後の針状体のpH7.5リン酸緩衝溶液(PBS)に24時間浸漬する前の針状体の体積と24時間浸漬した後の体積を測定したところ、実施例1で作製された不溶化処理後の針状体の減少した体積は浸漬前の体積の5%以下であった。また、不溶化処理後の針状体についてガスクロマトグラフィ質量分析(GC/MS)をおこなった結果、針状体中にグリセリンが含有されていることが確認された。
<実施例2>
「1.鋳型の作製」、「2.針状体材料の調製」、「3.針状体の転写成形(充填工程、乾燥工程、離型工程)」については、<実施例1>と同様にして、針状体前駆体(針状体)を作製した。
4.針状体前駆体の不溶化
次に、得られた針状体前駆体の不溶化をおこなった。針状体前駆体を濃度70質量%のエタノール水溶液に浸漬し、不溶化工程をおこなった。以上により、針状体を作製した。
実施例1の針状体と同様に、得られた実施例2の不溶化処理前の針状体(前駆体)および不溶化処理後の針状体は、ピンセットの力で容易に基体部を曲げることができる程度の十分な柔軟性と強度を備えている様子が確認された。
また、不溶化処理後の針状体を室温にて水に30分浸漬し突起部の形状を光学顕微鏡で確認したところ、浸漬後も形状を保持しており、水に対して不溶であることが確認できた。実施例2で作製された不溶化処理後の針状体のpH7.5リン酸緩衝溶液(PBS)に24時間浸漬する前の針状体の体積と24時間浸漬した後の体積を測定したところ、実施例2で作製された不溶化処理後の針状体の減少した体積は浸漬前の体積の5%以下であった。また、得られた針状体についてガスクロマトグラフィ質量分析(GC/MS)をおこなった結果、針状体中にグリセリンが含有されていることが確認された。
<比較例>
「2.針状体材料の調製」において、グリセリンを添加しなかった以外は、<実施例2>と同様にして、針状体前駆体(針状体)を作製した。得られた比較例の不溶化処理前の針状体(前駆体)および不溶化処理後の針状体は、ピンセットの力で容易に基体部を曲げることができる程度の十分な柔軟性は確認されなかった。
以上より、本発明の生体に低負荷であり、水に対して不溶であり、十分な柔軟性を有する針状体を製造することができた。
本発明の針状体は、微細な針状体を必要とする様々な分野に利用可能である。例えば、MEMSデバイス、光学部材、試料冶具、創薬、化粧品、医療用途、美容用途などに用いる針状体として応用が期待できる。
101・・・針状体
102・・・針状体前駆体(針状体)
103・・・基体
105・・・突起部
201・・・鋳型
203・・・凹部
205・・・凹部領域
207・・・針状体材料
209・・・水含有親水性有機溶媒
211・・・ホットプレート(加熱装置)

Claims (8)

  1. 基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体の製造方法であって、
    前記針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程と、
    水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、
    前記鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程と、
    前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、
    前記針状体材料を前記鋳型から離型し針状体前駆体を得る離型工程と、
    前記針状体前駆体を不溶化する不溶化工程と
    を備え、
    前記基体および前記突起部が水溶性高分子とグリセリンを含む
    ことを特徴とする針状体の製造方法。
  2. 前記不溶化工程が、加熱をおこなう工程もしくは水含有親水性有機溶媒に浸漬する工程であること、を特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
  3. 前記不溶化工程の加熱をおこなう工程が、80℃以上の温度で加熱する工程であること、を特徴とする請求項2に記載の針状体の製造方法。
  4. 基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体の製造方法であって、
    前記針状体の突起部形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型の製造工程と、
    水溶性高分子と可塑剤としてグリセリンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、
    前記鋳型に前記針状体材料を充填する充填工程と、
    前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、
    前記針状体材料を前記鋳型から離型し針状体を得る離型工程と
    を備え、
    前記基体および前記突起部が水溶性高分子とグリセリンを含む
    ことを特徴とする針状体の製造方法。
  5. 前記水溶性高分子が、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の針状体の製造方法。
  6. 基体の少なくとも一方の面に林立した複数の突起部を備え、皮膚に穿刺する針状体であって、
    前記基体及び前記突起部が少なくとも水溶性高分子とグリセリンを含む
    ことを特徴とする針状体。
  7. 水に対して不溶性であることを特徴とする請求項6記載の針状体。
  8. 前記水溶性高分子が、キチン、キトサン、キトサン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の針状体。
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