JP6003326B2 - 針状体および針状体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、針状体および針状体の製造方法に関する。
皮膚上から薬剤を浸透させ、体内に薬剤を投与する方法である経皮吸収法は、人体に痛
みを与えることなく簡便に薬剤を投与することができる方法として用いられているが、薬
剤の種類によっては経皮吸収法で投与が困難な薬剤が存在する。これらの薬剤を効率よく
体内に吸収させる方法として、ミクロンオーダーの微小な針状体を用いて皮膚を穿孔し、
皮膚内に直接薬剤を投与する方法が注目されている。この方法によれば、投薬用の特別な
機器を用いることなく、簡便に薬剤を皮下投薬することが可能となる(特許文献1参照)。
この際に用いる微小な針状体の形状は、皮膚を穿孔するための十分な細さと先端角、お
よび皮下に薬液を浸透させるための十分な長さを有していることが必要とされ、直径は数
μmから数百μm程度(具体的には、例えば、1μm〜300μm程度)、長さは皮膚の最外層である角質層を貫通し、かつ神経層へ到達しない長さ、具体的には数十μmから数百μm程度(具体的には、例えば、10μm〜1000μm程度)のものであることが望ましいとされている。
上述した針状体の材料として種々の材料を用いることが知られており、例えば、グリコ
ーゲン、デキストリンなどの水溶性多糖類の水溶液を鋳型に充填させ、乾燥させ、針状体
を製造する方法が開示されている。(特許文献2参照)。
さらに、針状体の製造方法として、エッチング法を用いて原版を作製し、該原版から鋳型を形成し、該鋳型を用いた転写加工成型を行なうことが提案されている(特許文献3参照)。
皮膚への穿孔のみを目的とした針状体においては、針状体を皮膚に穿刺した際に針状体材料が皮膚へ溶出することは望ましくない。水溶性高分子製の針状体の場合、皮膚の水分で針状体の溶解が懸念されるため不溶化させる必要がある。水溶性高分子からなる構造体を不溶化する方法としては、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を用いて成形する方法などが開示されている。(特許文献4、5参照)。
また、生体高分子の架橋剤として50℃程度の温度かつ高湿度下で反応する酵素を用いた方法も開示されている。(特許文献6参照)。
特開昭48−93192号公報 国際公開第2006/080508号パンフレット 国際公開第2008/004597号パンフレット 特開平11−33104号公報 特表2004−532802号公報 国際公開第2008/072379号
しかし、特許文献4、5に開示されている方法では、グルタルアルデヒドは生体に有害な物質を用いるため、皮膚への穿刺を目的とした針状体を製造する場合には、安全性が問題となる。
また、特許文献6に開示されている方法では、50℃程度の温度かつ高湿度環境下で架橋反応させるため、50℃以下の低温で取り扱う必要がある生体高分子を用いることができず、使用可能な材料が制限される。
そこで本発明は、生体に有害なグルタルアルデヒドや反応条件に制限のある酵素などの架橋剤を用いずに、水に不溶であり、生体に安全であり、かつ、十分な強度と適度な柔軟性を備える針状体および針状体の製造方法を提供することを目的とする。
本課題を解決するために、請求項1に係る発明としては、基体の一方の面に突起部を備え、該突起部が皮膚を穿刺する針状体であって、少なくとも水溶性高分子と架橋剤としてゲニピンを含むことを特徴とする針状体とした。
また、請求項2にかかる発明としては、前記水溶性高分子が生体高分子であること、を特徴とする請求項1に記載の針状体とした。
また、請求項3にかかる発明としては、前記生体高分子が多糖、ペプチド、タンパク質
であること、を特徴とする請求項2に記載の針状体とした。
また、請求項4にかかる発明としては、前記生体高分子が、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むこと、を特徴とする請求項2または3に記載の針状体とした。
また、請求項5にかかる発明としては、基体の一方の面に突起部を備え、該突起部が皮膚を穿刺する針状体の製造方法であって、針状体形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型を用意する工程と、水溶性高分子と架橋剤としてゲニピンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、前記鋳型に針状体材料を充填する充填工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を架橋反応させる架橋反応工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、針状体から前記鋳型を離型する離型工程とを備えることを特徴とする針状体の製造方法とした。

本発明の針状体は、水溶性高分子に対し架橋剤として生体毒性の低いゲニピンを用いた針状体であることを特徴とする。
よって、皮膚に穿刺しても不溶であり、また、生体に安全な針状体とすることができる。また、皮膚に穿刺する際に十分な強度と適度な柔軟性を備える針状体とすることができる。
また、ゲニピンの架橋反応速度は温度に依存するが、50℃以下といった低温でも架橋反応が進行するため、低温で取り扱う必要がある水溶性高分子においても使用可能である。
また、水溶性高分子とゲニピン(色素)から形成される針状体は、青色を呈する。本発明の針状体にあっては、色彩により針状体中のゲニピンの状態(量・架橋度)を判別することができ、皮膚に穿刺するため針強度の管理が要求される針状体において生産管理に優れたものとすることができる。
図1は、本発明の針状体の斜視図である。 図2は、本発明の針状体の概略図であり、(a)は針状体の上面図、(b)は針状体の断面図である。 図3は、本発明の針状体の製造方法を説明するための模式図である。
<針状体>
図1に、本発明の針状体の斜視図を示した。本発明の針状体101は、基体103と、前記基体103の第一の面から突出する突起部105を具備する。本発明の針状体は水溶性高分子とゲニピンを含む。ゲニピンは架橋剤として作用する。
本発明の針状体材料に含まれる水溶性高分子としては、公知の水溶性高分子を用いることができる。より好ましくは水溶性高分子の中でも生体高分子を用いることができる。さらには生体高分子の中でも多糖、ペプチド、たんぱく質を好適に用いることができる。
本発明の針状体に用いられる水溶性高分子としては、例えば、具体的には、アルギン酸塩、カードラン、キチン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸、ヒアルロン酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどを挙げることができる。
次に、本発明の針状体に用いられるゲニピンについて説明する。ゲニピンは植物由来の化合物であり、生体高分子の架橋剤として知られている。また、古くから食品添加物や薬としても使用されている。アミンまたはアミノ基側鎖を有する化合物と架橋する化合物である。本発明にあっては、ゲニピンは水溶性高分子の架橋剤として作用し、得られる針状体に、不溶性と、十分な強度と適度な柔軟性を付与する。
なお、本発明に用いられる「ゲニピン」は、天然に存在する化合物に限定されず、その誘導体、類似体、立体異性体およびそれらの混合物も含む。
また、本発明の針状体は、送達物を内部に含んでいても良い。前記送達物としては、例えば、生理活性物質や化粧品組成物などが挙げられる。また、送達物として芳香を有する材料を用いた場合、使用に際して匂いを付与することが出来、美用品として用いるのに好ましい。なお、送達物は、生物製剤をも含むものとする。ここで、生物製剤とは、ヒトや動物の細胞や細胞組織等に由来する原料または材料を用いた薬物の分類をいう。
送達物は、針状体材料内に分散させ、針状体内部に内包させても良い。また、送達物を針状体表面に塗布し保持しても良い。
また、送達物を針状体で投与するにあたり、針状体が皮膚に穿刺される前あるいは皮膚に穿刺される後に、送達物を対象となる皮膚上に塗布してもよい。このとき、針状体の表または内部に送達物を配置し、かつ、対象となる皮膚表面にも送達物を塗布してもよい。
また、本発明の針状体は、体内に埋没させ使用する手法に用いられてもよい。
本発明に係る針状体の形状および配置形態を図2を用いて説明する。
図2は、本発明の針状体の概略図であり、(a)は針状体の上面図、(b)は針状体の断面図である。図2(b)は、図2(a)を線I−I´に沿って切った断面図である。図2(a)および(b)に示すように、針状体101は、基体103と、前記基体103の第一の面から突出する突起部105を具備する。
本発明に係る針状体は、基体に1つの突起部を具備してもよく、また基体に複数の突起部を具備してもよい。複数の突起部を具備する場合には、アレイ状に突起部を具備してよい。
特に、突起部は、基体上に複数林立し、アレイ状に配列していることが好ましい。ここで、「アレイ状」とは、各突起部が並んでいる状態を示すものであり、例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状に配列、ランダムに配列などのパターンを含む。
本発明の突起部の形状は、図1、図2(a)および(b)に示された形態に限定されるものではなく、用途により形状および寸法などを自由に設計してよい。例えば成形した針状体を送達物の経皮吸収を促進する目的や、経皮的に生体内の物質を生体外へ取り出す目的に用いる場合により選択される。また、皮膚穿刺性能の観点から選択される。具体的には、円錐、角錐といった錐体形状、円柱、角柱といった柱状形状、また錐体形状と柱状形状を組み合わせた鉛筆形状(胴体部が柱状であり、先端部が錐形状のもの)等の形状を選択することができる。なお、突起部の側壁には括れや段差が形成されていても良い。
また、特に、突起部による穿孔の長さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない深さ」にすると、送達物や化粧品組成物を、角質層より深い位置に送達することができる。角質層に形成された穿孔は時間と共に塞がるため、角質層下に送達された送達物や化粧品組成物は外界から角質層にバリアされた状態で生体内に保持される。このため、送達物や化粧品組成物は、角質層の新陳代謝や、スキンケアなどの洗浄により剥落することを低減でき、長期間、化粧状態を維持することができる。
また、特に、突起部による穿孔の深さを「角質層内」に留める場合、送達物や化粧品組成物を、角質層内に滞留させることが出来る。角質層はたえず新陳代謝により新規に生成されるため、角質層内の送達物や化粧品組成物は時間と共に体外へ排出される。このため、皮膚の洗浄や皮膚をピーリングすることなどにより、例えば、化粧状態および付与状態を容易に解除することができる。
特に、突起部による穿孔の深さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない長さ」に留
める場合、突起部の長さHは、具体的には、200μm以上700μm以下、より好適には200μm以上500μm以下、更に好適には、200μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましい。
また、特に、穿孔を「角質層内」に留める場合、突起部の長さHは、具体的には、30μm以上300μm以下、より好適には30μm以上250μm以下、更に好適には、30μm以上40μm以下の範囲内にあることが好ましい。
また、本発明に係る突起部を基体上にアレイ状に配列する場合、各突起部の長さは全て同一でもよく。同一でなくてもよい。突起部の長さが異なる場合、例えば、(1)アレイ状の外周のみ長い突起部とすることで、曲面に対し、好適に接触することができる、(2)アレイ状の外周のみ短い突起部とすることで、破損しやすい外周部の針状体の機械的強度を補強することができる、などの利点が挙げられる。
本発明の針状体における突起部の幅Dは、1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。突起部の幅Dは、前記範囲内で針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を皮膚内のどのくらいの深さまで形成するか等を考慮して決定することが好ましい。
突起部の幅Dは、突起部を基体面と平行に投影した際の基体と接している突起部の長さのうち最大の長さである。例えば、突起部が円錐状である場合、突起部と基体と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角錐である場合、突起部と基体と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。また、突起部が円柱である場合、突起部と基体と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角柱である場合、突起部と基体と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。
突起部が錐形状のように先端角を有する実施形態に係る針状体において、穿孔時に針状体の突起部を角質層を貫通させる場合には突起部の先端角θは5°以上30°以下、より好ましくは10°以上20°以下、の範囲内であることが望ましい。また、穿孔時に針状体の突起部を角質層内に留める場合、先端角は30°以上、より好ましくは、45°以上であることが好ましい。なお、先端角θは突起部を基体面と平行に投影した際の角度(頂角)のうち最大のものを指す。
実施形態に係る針状体において、基体は突起部の材料と同じであることが好ましい。基体と突起部とを同材料で形成することにより、基体と突起部を一体的に成形することが可能になる。
また、当該針状体を構成する基体と突起部は、同組成の材料により形成しても、異なる組成の材料により形成してもよい。基体と突起部とを同組成の組成物で形成することにより、基体と突起部を一体成形にて好適に形成することができる。
次に、本発明の針状体の製造方法について説明する。図3に、本発明の針状体の製造方法を説明するための模式図を示した。本発明の針状体の製造方法は、基体の一方の面に突起部を備える針状体の製造方法であって、針状体形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型を用意する工程と、水溶性高分子と架橋剤としてゲニピンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、前記鋳型に針状体材料を充填する充填工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を架橋反応させる架橋反応工程と、前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、針状体から前記鋳型を離型する離型工程とを備える。
<鋳型を用意する工程>
本発明の針状体製造方法にあっては、針状体を製造するにあたり使用される鋳型の例を図3(a)に示す。鋳型201は、突起部の凹凸反転パターンの凹部203と、第一の面に形成された凹部203を有する領域からなる凹部領域205とを含む。
鋳型の形状は、針状体材料を保持できる形状を有していれば、特に形状の制約はない。具体的には、例えば、四角形、三角形、などの多角形、円形、楕円形などでよく、想定されるあらゆる形状でよい。
鋳型の第一の面についても、凹部を有していれば特に形状の制限はない。具体的には、例えば、平坦面、曲面、段構造などでもよい。また、前記鋳型の第一の面は、用いる針状体材料や製造工程状態に適した表面加工を施してよい。
鋳型の材質は、鋳型としての耐熱性や熱伝導、機械的強度、形状追従性を有していれば、特に材質上の制約はない。例えば、金属および樹脂など、例えば、(1)シリコン、(2)ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼およびチタン等の金属材料、(3)アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックス、ガラスなどのセラミックス、(4)ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂およびフッ素樹脂等の合成樹脂などを用いてよい。
また、鋳型に凹部203を形成するための手段は、それ自身公知の微細加工技術を適宜選択して用いてよく、そのような微細加工技術の例は、リソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法および精密機械加工法などを含む。また、例えばシリコン基板からリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、切削法等を用いてシリコンからなる針状体を作製し、当該シリコン製針状体を原版として、めっき法や樹脂を用いた型取り法により鋳型を作製することもできる。
針状体の凹凸反転パターンからなる凹部203を基板の第一の面に形成し、鋳型201を作製する。鋳型201の材料は、上述した何れかの材質であればよく、凹部203の形成する手段は、上述した何れかの方法を使用すればよい。
<針状体材料調製工程>
次に、針状体材料207の調製をおこなう(図3(a))。液状の針状体材料は、水溶性高分子とゲニピンを含み、水溶性高分子とゲニピンを液状とするための溶媒を含む。溶媒としては、水を用いることができ、さらには、エチレングリコール、グリセリンといった多価アルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等を用いることができる。また、これらの溶媒を混合したものも用いることができる。上記針状体材料の水溶性高分子の濃度は1〜20重量%程度であることが好ましい。上記針状体材料のゲニピンの濃度は0.001〜5重量%程度であることが好ましい。
針状体材料は、水溶性高分子とゲニピンと溶媒以外に、針状体材料を鋳型に充填可能な液状とするために、他の材料を含有させることもできる。例えば、水溶性高分子としてキトサンを用いた場合には、水に溶解させるためにギ酸、酢酸等の有機酸を含有させる。また、針状体材料調整工程にあっては、各材料を混合したあと、脱気等をおこなうこともできる。
<充填工程>
次に、図3(b)に示すように、針状体材料207を鋳型201に充填する。
当該針状体材料の充填方法についての制限は特にない。例えば、充填方法として、射出成形法、押出成形法、インプリント法、キャスティング法、インクジェット法、ディスペンサ法、スピンコート法などを用いることができる。また、凹版への針状体形成水溶液の供給に際し、凹版の周囲の環境を減圧下または真空下にしてもよい。
<架橋反応工程>
次に、鋳型201に充填された針状体材料207を架橋反応させる(図3(c))。前記針状体の架橋反応については適宜最適な条件で反応させれば良い。例えば、平温平湿度環境、高温高湿度環境などで良い。また、冷却処理、加熱処理を施しても良い。ゲニピンも一般的な架橋剤と同様、温度依存的に反応速度が速くなる。
これにより、針状体材料207を架橋させることができる。
<乾燥工程>
次に、鋳型201に充填された針状体材料207を乾燥させる。前記針状体材料の乾燥方法についての制限は特にない。例えば、加熱乾燥、通風乾燥、真空乾燥などを用いても良い。これにより、基体103と突起部105からなる針状体101が得られる。
なお、架橋反応工程及び乾燥工程は、同時もしくは一連の工程としておこなうことができる。例えば、鋳型に充填された針状体材料を並温並湿環境下で静置した場合には、架橋反応工程と乾燥工程は同時もしくは一連の工程としておこなわれる。また、鋳型に充填された針状体材料を加熱した場合にも、架橋反応工程と乾燥工程は同時もしくは一連の工程としておこなわれる。
<離型工程>
次に、針状体101から鋳型201を離型する。前記針状体の離型方法についての制限は特にない。これにより、図3(d)に示す水溶性高分子とゲニピンからなる針状体を得る。
上述した製造方法によれば、先行技術の問題点である生体に有害なグルタルアルデヒドや温度制限のある酵素などの架橋剤を用いることなく、水に不溶であり、生体に安全であり、かつ、十分な強度と適度な柔軟性を備えた針状体を得ることが出来る。
以上より、本発明の針状体の製造方法を実施することができる。
なお、本発明の針状体及び針状体の製造方法は上記実施の形態に限定されず、当業者が類推することのできる他の工程、修飾および変更を含む製造方法から製造して得た針状体においても、本発明の範囲に含まれる。
<実施例1>
以下、本発明の針状体の製造方法の一例を実施例にて説明する。当然のことながら、本発明の針状体の製造方法は下記実施例に限定されず、当業者が類推できる更なる工程を含んでもよく、一部変更しても、省略してもよい。そのような製造方法も、本発明の範囲内である。
1.鋳型の作製
まず、精密機械加工を用いて、シリコン基板に正四角錐(高さ:120μm、底面:38μm×38μm)が、1mm間隔で、10列10行の格子状に100本配列した突起部を形成した。100本の突起部は、一辺が約9mmの正方形領域内に配置された。
次に、前記シリコン基板で形成された針状体を、シリコーン樹脂で突起部の凹凸反転パターンを転写し、鋳型とした。
2.針状体材料の調整
次に、針状体材料の調整を行った。
水に、キトサン5重量%、酢酸2.5重量%、ゲニピン0.1重量%となるように溶解後、真空下で脱気を行った。
3.針状体の転写成形
次に、当該鋳型上にキトサン水溶液を供給し、スピンコート法によって、凹部に充填し
た。これを、並温並湿環境下で静置して乾燥させた後、鋳型上から剥離し、基体と突起部からなる針状体を得た。
得られた針状体は、青色を呈し、指の力のみで基体を曲げることができる程度の十分な柔軟性と強度を備えていた。前記針状体を室温にて水に30分浸漬し突起部の形状を光学顕微鏡で確認したところ、浸漬後も形状を保持しており、水に対して不溶であることが確認できた。
<実施例2>
針状体材料の調整においてゲニピンの重量%濃度を増加させて、上述した実施例1と同様の製造方法にて針状体を製造した。具体的には、ゲニピン濃度を0.5重量%濃度で実施した。
実施例2で得られた針状体は、実施例1で製造して得られた針状体と比較し、より濃い青色を呈し、強度が増した針状体であったが、指の力で曲げられる程度の柔軟性は保持していた。このように、ゲニピンは架橋剤であり、かつ、色素であることから、本発明の水溶性高分子とゲニピンを含む針状体は、針状体の品質の重要なパラメーターである針状体及び突起部の強度といった管理を針状体の色味によっておこなうことができる可能性がある。
以上より、本発明の生体に皮膚に穿刺しても不溶であり、また、生体に安全な針状体を製造することができた。
本発明の針状体は、微細な針状体を必要とする様々な分野に利用可能である。例えば、MEMSデバイス、光学部材、試料冶具、創薬、化粧品、医療用途、美容用途などに用いる針状体として応用が期待できる。
101・・・針状体
103・・・基体
105・・・突起部
201・・・鋳型
203・・・凹部
205・・・凹部領域
207・・・針状体材料

Claims (5)

  1. 基体の一方の面に突起部を備え、該突起部が皮膚を穿刺する針状体であって、
    少なくとも水溶性高分子と架橋剤としてゲニピンを含むことを特徴とする針状体。
  2. 前記水溶性高分子が生体高分子であること、を特徴とする請求項1に記載の針状体。
  3. 前記生体高分子が多糖、ペプチド、タンパク質であること、を特徴とする請求項2に記載の針状体。
  4. 前記生体高分子が、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コラーゲン、ゼラチンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むこと、を特徴とする請求項2または3に記載の針状体。
  5. 基体の一方の面に突起部を備え、該突起部が皮膚を穿刺する針状体の製造方法であって、
    針状体形状の凹凸反転パターンからなる凹部を有する鋳型を用意する工程と、
    水溶性高分子と架橋剤としてゲニピンを含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、
    前記鋳型に針状体材料を充填する充填工程と、
    前記鋳型に充填した前記針状体材料を架橋反応させる架橋反応工程と、
    前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させる乾燥工程と、
    針状体から前記鋳型を離型する離型工程と
    を備えることを特徴とする針状体の製造方法。
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