JP6519569B2 - 自動傾斜車両 - Google Patents

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Description

本発明は、旋回時に自動的に旋回内側へ傾斜(リーン)する自動傾斜車両に係る。
自動傾斜車両は車両傾斜装置を有し、車両は旋回時に車両傾斜装置によって自動的に旋回内側へ傾斜される。例えば、下記の特許文献1には、横方向に隔置された一対の車輪と、揺動型の車両傾斜装置と、車両傾斜装置を制御する制御装置とを含み、一対の車輪はそれぞれ対応するキャリアにより回転可能に支持された自動傾斜車両が記載されている。車両傾斜装置は、前後方向に延在する揺動軸線の周りに揺動可能な揺動部材と、揺動軸線の周りに揺動部材を揺動させるアクチュエータと、揺動軸線に対し横方向両側にて揺動部材及び対応するキャリアに枢着された一対のタイロッドとを含んでいる。
揺動部材が揺動軸線の周りに揺動すると、一対のタイロッドが互いに逆方向へ上下動するので、左右の車輪が車体に対し互いに逆方向へ上下動し、これにより車両が横方向へ傾斜する。制御装置は、運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両を安定的に走行させるための車両の目標傾斜角θtを演算し、アクチュエータによって揺動部材の揺動角を制御することにより、車両の傾斜角θが目標傾斜角θtになるように車両を傾斜させるよう構成されている。
揺動型の車両傾斜装置によれば、アクチュエータによって揺動部材を揺動軸線の周りに揺動させることにより、一対のタイロッドを互いに逆方向へ上下動させ、左右の車輪を車体に対し互いに逆方向へ上下動させることができる。よって、左右の車輪のそれぞれにアクチュエータが設けられ、各車輪が対応するアクチュエータにより車体に対し互いに逆方向へ上下動される場合に比して、自動傾斜車両の構造を単純化し、アクチュエータの制御による車両の傾斜制御を単純化することができる。
特開2013−244763号公報 特開2011−230651号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、揺動型の車両傾斜装置においては、一方の車輪が路面から上方への突き上げ荷重を受けると、その荷重は一方のタイロッドを経て揺動部材へ伝達され、更に他方のタイロッドを経て他方の車輪へ伝達される。そのため、縁石乗り上げ時のように一方の車輪に高い突き上げ荷重が作用すると、一方のタイロッドが座屈により曲げ変形することが起こり得る。特に、この問題は、揺動部材と車輪との間にサスペンションスプリングが設けられておらず、アクチュエータと車体との間にサスペンションスプリングが設けられている場合に、顕著である。
一方又は両方のタイロッドに曲げ変形が生じても、車両の傾斜角θが目標傾斜角θtになるようにアクチュエータによって揺動部材の揺動角が制御されるので、車両の傾斜角θは目標傾斜角θtに制御される。よって、車両の走行状況はタイロッドの曲げ変形の影響を受けないため、タイロッドに曲げ変形が生じて車両傾斜装置が異常になっても、運転者はそのことを認識することができない。
なお、上記特許文献2には、アクチュエータに組み込まれた電動機に故障が生じると、その故障を判定し、車両の傾斜を抑制するよう構成された自動傾斜車両が記載されている。しかし、この公開公報に記載された構成によっては、タイロッドに曲げ変形のような異常が生じても、その異常を判定することができず、従ってタイロッドの異常を運転者に認識させることはできない。
本発明の主要な課題は、揺動型の車両傾斜装置を備えた自動傾斜車両において、タイロッドの曲げ変形のような異常が生じたときには、車両傾斜装置が異常になったとの判定がなされるようにすることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、横方向に隔置された一対の車輪(12L、12R)と、車両傾斜装置(18)と、制御装置(20)とを含む自動傾斜車両(10)であって、一対の車輪は、それぞれ対応するキャリア(16L、16R)により回転可能に支持されており、車両傾斜装置(18)は、前後方向に延在する揺動軸線(24)の周りに揺動する揺動部材(26)と、揺動軸線の周りに揺動部材を揺動させるアクチュエータ(28)と、揺動軸線に対し横方向両側にて揺動部材及び対応するキャリアに枢動可能に連結された一対のタイロッド(30L、30R)とを含み、制御装置(20)は、車両の目標傾斜角(θt)を演算し、車両の傾斜角(θ)が目標傾斜角になるようにアクチュエータを制御することによって車両を傾斜させるよう構成された自動傾斜車両が提供される。なお、「横方向」及び「前後方向」は、車両についての横方向及び前後方向であり、互いに直交する方向である。
制御装置(20)は、揺動部材の揺動角速度(φd)及び車両の傾斜角速度(θd)の関係が予め設定された許容範囲を越えているときには、車両傾斜装置(18)が異常であると判定するよう構成される。
後に詳細に説明するように、タイロッドに曲げ変形のような異常が生じると、タイロッドの有効長さ、即ち揺動部材及びタイロッドの連結部とキャリア及びタイロッドの連結部との間の距離が正常時に比して小さくなる。よって、揺動部材の揺動がタイロッドを介して車輪の上下動に変換される際の変換効率が正常時の効率から変化し、揺動部材の揺動角及び車両の傾斜角の関係は、タイロッドが正常であるときの関係とは異なる関係になる。従って、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係も、タイロッドが正常であるときの関係とは異なる関係になる。更に、これらの関係の相違度合は、タイロッドの変形の度合が高いほど、換言すればタイロッドの異常の度合が高いほど、大きくなる。
上記の構成によれば、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係が予め設定された許容範囲を越えているときには、車両傾斜装置が異常であると判定される。よって、タイロッドにある基準値以上の曲げ変形のような異常が生じ、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係が予め設定された許容範囲を越えると、車両傾斜装置が異常であると判定することができる。
なお、上述のように、タイロッドに曲げ変形のような異常が生じると、揺動部材の揺動角及び車両の傾斜角の関係も、タイロッドが正常であるときの関係とは異なる関係になる。しかし、揺動部材の揺動角及び車両の傾斜角の関係は、タイロッドが正常であっても、路面にカント(横方向の傾斜)があるときには、タイロッドが正常であり車両が水平路にて走行するときの関係とは異なる関係になる。よって、揺動部材の揺動角及び車両の傾斜角の関係が予め設定された許容範囲を越えると、車両傾斜装置が異常であると判定される場合には、路面にカントがある状況において、タイロッドが正常であるにも拘らず車両傾斜装置が異常であると誤判定される虞がある。
上記の構成によれば、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係に基づいて車両傾斜装置の異常が判定されるので、タイロッドが正常であるにも拘らず、路面のカントに起因して車両傾斜装置が異常であると誤判定されることを防止することができる。
〔発明の態様〕
本発明の一つの態様においては、制御装置(20)は、揺動部材の揺動角速度(φd)及び車両の傾斜角速度(θd)の差の指標値により揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係を判定するよう構成される。
タイロッドに曲げ変形のような異常が生じると、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の差の指標値は、タイロッドが正常であるときの指標値とは異なる値になる。更に、これらの差の指標値の相違度合は、タイロッドの変形の度合が高いほど、換言すればタイロッドの異常の度合が高いほど、大きくなる。
上記態様によれば、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係は、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の差の指標値により判定される。よって、タイロッドにある基準値以上の曲げ変形のような異常が生じ、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の差の指標値が予め設定された許容範囲を越えると、車両傾斜装置が異常であると判定することができる。
なお、「揺動部材の揺動角速度及び車体の傾斜角速度の差の指標値」は、「揺動部材の揺動角速度が車体の傾斜角速度に換算された値及び車体の傾斜角速度の差」及び「揺動部材の揺動角速度及び車体の傾斜角速度が揺動部材の揺動角速度に換算された値の差」の何れかである。
本発明の他の一つの態様においては、制御装置(20)は、揺動部材の揺動角速度(φd)及び車両の傾斜角速度(θd)の比の指標値により揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係を判定するよう構成される。
タイロッドに曲げ変形のような異常が生じると、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の比の関係は、タイロッドが正常であるときの関係とは異なる関係になる。更に、これらの比の関係の相違度合は、タイロッドの変形の度合が高いほど、換言すればタイロッドの異常の度合が高いほど、大きくなる。
上記態様によれば、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係は、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の比の指標値により判定される。よって、タイロッドにある基準値以上の曲げ変形のような異常が生じ、揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の比の指標値が予め設定された許容範囲を越えると、車両傾斜装置が異常であると判定することができる。
なお、「揺動部材の揺動角速度及び車体の傾斜角速度の比」は、揺動部材の揺動角速度に対する車体の傾斜角速度の比及び車体の傾斜角速度に対する揺動部材の揺動角速度の比の何れであってもよい。
更に、本発明の他の一つの態様においては、車両の傾斜角速度(φd)はジャイロセンサ(40)により検出されるよう構成される。
上記態様によれば、車両の傾斜角速度はジャイロセンサにより検出される。よって、車両の傾斜角が検出される場合のように、検出された車両の傾斜角を微分して車両の傾斜角速度を演算する必要性を排除することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられる名称及び/又は符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた名称及び/又は符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明による自動傾斜車両の第一の実施形態を、前輪位置における縦断面にて切断して示す解図的背面図である。 本発明による自動傾斜車両の第一の実施形態を示す解図的平面図である。 左旋回時における第一の実施形態を、前輪位置における縦断面にて切断して示す背面図である。 第一の実施形態における車両の傾斜角制御ルーチンを示すフローチャートである。 第一の実施形態における車両傾斜装置の異常判定制御ルーチンを示すフローチャートである。 第二の実施形態における車両傾斜装置の異常判定制御ルーチンを示すフローチャートである。 第一の実施形態において、揺動部材の揺動角速度φdに基づいて車両の基準傾斜角速度θdreを演算するためのマップ、及び車両傾斜装置の異常判定における許容範囲を示す図である。 車両傾斜装置が正常な状態にて車両が直進走行しているときに、左前輪が縁石に乗り上げることにより、左側のタイロッドが曲げ変形した状況を示す図である。 左側のタイロッドが曲げ変形した状態にて車両が直進走行する状況を示す図である。 第二の実施形態において、車両傾斜装置の異常判定における許容範囲を示す図である。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の幾つかの実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1及び図2において、本発明の第一の実施形態にかかる自動傾斜車両10は、非操舵駆動輪である一対の前輪12L及び12Rと、操舵従動輪である一つの後輪14とを含む三輪車両である。前輪12L及び12Rは、車両10の横方向に互いに隔置され、それぞれ対応するキャリア16L及び16Rにより回転軸線(図示せず)の周りに回転可能に支持されている。後輪14は、前輪に対し後方に位置し、図1及び図2には示されていないが、運転者によるステアリングホイール15の操作量に応じて操舵機構により操舵されるようになっている。図1、図3及び後述の図8、図9においては、ステアリングホイール15は実際の位置とは異なる位置に図示されている。自動傾斜車両10は、更に車両傾斜装置18及び電子制御装置20を含んでいる。
第一の実施形態においては、図1及び図2には示されていないが、キャリア16L及び16Rは、駆動装置としてのインホイールモータを内蔵している。キャリア16L及び16Rは、それぞれ対応するリーディングアームのようなサスペンションアームにより、車体22に対し上下方向に変位可能であると共に、車体22に対する横方向への変位が規制されるよう、支持されている。インホイールモータの出力は、運転者によるアクセルペダル(図示せず)の操作量に応じて電子制御装置20により制御される。前輪12L、12R及び後輪14の制動力は、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の操作量に応じて電子制御装置20により制御される。
車両傾斜装置18は、前後方向に延在する揺動軸線24の周りに揺動する揺動部材26と、揺動軸線24の周りに揺動部材26を揺動させるアクチュエータ28と、一対のタイロッド30L及び30Rとを含んでいる。タイロッド30L及び30Rは、揺動軸線24に対し横方向両側において実質的に上下方向に延在し、それぞれ上端にてボールジョイントのようなジョイント32L及び32Rにより揺動部材26に枢動可能に連結されている。更に、タイロッド30L及び30Rは、それぞれ下端にてボールジョイントのようなジョイント34L及び34Rにより対応するキャリア16L及び16Rに枢動可能に連結されている。
揺動部材26は、揺動軸線24の周りに回転可能に支持されたボス部26Bと、ボス部26Bと一体をなしボス部26Bから互いに逆方向へ延在するアーム部26AL及び26ARとを有している。タイロッド30L及び30Rの上端は、それぞれアーム部26AL及び26ARの先端部に枢動可能に連結されている。図1及び図2には示されていないが、ボス部26B及びアクチュエータ28を支持する支持部材と車体22との間には、サスペンションスプリング及びショックアブソーバが介装されている。後輪14は、サスペンションスプリング及びショックアブソーバを含む後輪サスペンションにより、車体22から懸架されている。よって、前輪12L、12R及び後輪14は車両傾斜装置18と共に車体22に対し上下動することができ、それらの相対振動はショックアブソーバにより減衰される。
アクチュエータ28は、回転型のアクチュエータであり、電動機28M及び減速歯車装置28Gを含み、電動機28Mのロータの回転運動が減速歯車装置28Gによって減速されて揺動部材26へ伝達されるようになっている。なお、アクチュエータ28は、往復動型のアクチュエータであり、アクチュエータの往復動が運動変換機構により回転運動に変換されて揺動部材26へ伝達されるようになっていてもよい。
図3に示されているように、揺動部材26が揺動軸線24の周りに揺動すると、タイロッド30L及び30Rが互いに逆方向へ上下動することにより、前輪12L及び12Rが車体22に対し互いに逆方向へ上下動し、これにより車両10が横方向へ傾斜する。車両の傾斜角θ(車両10の上下方向の中心平面36が鉛直方向38に対しなす角度)の変化率、即ち車両の傾斜角速度θdは、ジャイロスコープ40により検出されるようになっている。ジャイロスコープ40により検出された車両の傾斜角速度θdを示す信号は、電子制御装置20へ入力される。
なお、傾斜角θは、揺動部材26の揺動角が0で、中心平面36が鉛直方向38と一致するときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するよう車両10が傾斜するときに正の値になる。傾斜角速度θdは、車両10の傾斜角が左方へ変化するときに正の値になる。更に、車両10の傾斜角θは、車体22のロール角α(図示せず)と実質的に同一であるので、車体のロール角αがロール角センサにより検出され、傾斜角速度θdがロール角αの時間変化率として演算されてもよい。
ステアリングホイール15の回転角に等しい操舵角Stは、操舵角センサ42により検出される。電子制御装置20には、操舵角センサ42により検出された操舵角Stを示す信号及び車速センサ44により検出された車速Vを示す信号が入力され、回転角センサ46により検出された電動機28Mの回転角φmを示す信号が入力される。なお、回転角φmは、揺動部材26の揺動角が0のときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するよう揺動部材26が揺動するときに正の値になる。
電子制御装置20は、図4に示されたフローチャートに従って、車両10の目標傾斜角θtを演算し、車両の傾斜角θが目標傾斜角θtになるようにアクチュエータ28の電動機28Mの回転角φmを制御する。従って、電子制御装置20は、揺動部材26の揺動角φを制御することにより車両10を傾斜させるよう構成された制御装置として機能する。
また、電子制御装置20は、図5に示されたフローチャートに従って、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両10の傾斜角速度θdを求め、車両傾斜装置18が正常であるときの揺動角速度φdに対応する車両10の傾斜角速度θdとして基準傾斜角速度θdreを演算する。基準傾斜角速度θdreは、揺動部材26の揺動角速度φdが車両10の傾斜角速度に換算された値である。更に、電子制御装置20は、傾斜角速度θdと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreが予め設定された許容範囲を越えているときには、車両傾斜装置18が異常であると判定し、警報装置48を作動させる。
なお、図1においては、電子制御装置20及びジャイロスコープ40などのセンサは、車両10の外に図示されているが、車両10に搭載されている。電子制御装置20は、例えばCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータであってよい。図4及び図5に示されたフローチャートに対応する制御プログラムは、ROMに格納されており、車両10の傾斜角θなどは同制御プログラムに従ってCPUにより制御される。
次に、図4に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態における車両の傾斜角制御ルーチンについて説明する。なお、図4に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
まず、ステップ10においては、操舵角センサ42により検出された操舵角Stを示す信号及び車速センサ44により検出された車速Vを示す信号が読み込まれる。
ステップ20においては、操舵角St及び車速Vに基づいて当技術分野において公知の要領にて車両10の推定横加速度Gyhが演算され、更に推定横加速度Gyhと車両の質量Mとの積として、旋回により車両の重心(図示せず)に作用する遠心力Fyが演算される。
ステップ30においては、車両10の重心に作用する遠心力Fyと重力との合力が、前輪12L及び12Rの接地点の中点と後輪14の接地点とを結ぶ線に向けて作用するよう、車両10を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角θtが演算される。
ステップ40においては、ジャイロスコープ40により検出された車両10の傾斜角速度θdを示す信号が読み込まれ、傾斜角速度θdが積分されることにより、車両10の傾斜角θが演算される。なお、ジャイロスコープ40が車両10の傾斜角θを示す信号を出力する場合には、傾斜角速度θdの積分は不要である。
ステップ50においては、車両10の傾斜角θと車両の目標傾斜角θtとの偏差θ−θtの絶対値が基準値θ0(正の定数)よりも小さいか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには車両の傾斜角θの修正は不要であるので、傾斜角制御はステップ10へ戻り、否定判別が行われたときには傾斜角制御はステップ60へ進む。
ステップ60においては、車両10の傾斜角θと車両の目標傾斜角θtとの偏差θ−θtを0にするための揺動部材26の目標揺動角φtが演算されると共に、目標揺動角φtを達成するためのアクチュエータ28の電動機28Mの目標回転角φmtが演算される
ステップ70においては、電動機28Mの回転角φmが目標回転角φmtになるよう電動機28Mが制御され、これにより揺動部材26の揺動角φが目標揺動角φtになるよう制御される。
以上の説明から解るように、ステップ10〜30において、車両10を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角θtが演算され、ステップ40において、ジャイロスコープ40により検出された車両10の傾斜角速度θdに基づいて車両10の傾斜角θが演算される。更に、ステップ50〜70において、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θtとの偏差θ−θtの大きさが基準値θ0以下になるよう、目標揺動角φtを達成するためのアクチュエータ28の電動機28Mが制御されることによって、揺動部材26の揺動角φが制御される。
次に、図5に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態における車両傾斜装置の異常判定制御ルーチンについて説明する。なお、図5に示されたフローチャートによる制御も、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
まず、ステップ110においては、回転角センサ46により検出された電動機28Mの回転角度φmを示す信号が読み込まれる。
ステップ120においては、電動機28Mの回転角度φmに基づいて揺動部材26の揺動角φが演算され、揺動角φ及び前サイクルの揺動角φfに基づいて揺動部材26の揺動角速度φdが演算される。
ステップ130においては、ジャイロスコープ40により検出された車両の傾斜角速度θdを示す信号が読み込まれる。なお、ジャイロスコープ40が車両の傾斜角θを示す信号を出力する場合には、車両の傾斜角θを示す信号が読み込まれ、車両の傾斜角θ及び前サイクルの車両の傾斜角θfに基づいて車両の傾斜角速度θdが演算されてよい。
ステップ140においては、揺動部材26の揺動角速度φdに基づいて図7において実線にて示されたマップが参照されることにより、車両10の基準傾斜角速度θdreが演算される。
ステップ150においては、傾斜角速度θdと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreが予め設定された第一の基準値θ1(正の定数)よりも大きいか、又は差θd−θdreが予め設定された第二の基準値θ2(負の定数)よりも小さいか否かの判別が行われる。差θd−θdreは、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両の傾斜角速度θdの差の指標値である。否定判別が行われたときには、車両傾斜装置18は正常であるので、異常判定制御はステップ110へ戻り、肯定判別が行われたときには、車両傾斜装置18は異常であるので、異常判定制御はステップ160へ進む。なお、第二の基準値θ2の絶対値及び第一の基準値θ1は互いに同一であってよく、また互いに異なっていてもよい。
ステップ160においては、車両傾斜装置18が異常であると判定され、警報装置48が作動される。なお、警報装置48が発する警報は、警報音、警報メッセージのような聴覚警報、警報ランプ、モニタへの警報表示のような視覚警報、ステアリングホイール15の振動のような触覚警報、又はこれらの組合せであってよい。
以上の説明から解るように、ステップ110及び120において、揺動部材26の揺動角速度φdが演算され、ステップ130において、車両の傾斜角速度θdが読み込まれる。ステップ140において、揺動角速度φdに基づいて車両10の基準傾斜角速度θdreが演算され、ステップ150において、傾斜角速度θdと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreに基づいて車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。更に、車両傾斜装置18が異常であると判別されたときには、ステップ160において、警報装置48が作動されることにより、車両の乗員に車両傾斜装置18が異常である旨の警報が発せられる。
<車両傾斜装置18が正常である場合の作動>
車両傾斜装置18が正常である状況にて車両10が左旋回する場合には、図3に示されているように、揺動部材26が車両の後方から見て時計回り方向へ揺動される。よって、左前輪12Lが車体22に対し上方へ移動されると共に右前輪12Rが車体22に対し下方へ移動され、これにより車両10が左方へ傾斜せしめられる。なお、車両10が右旋回する場合には、図には示されていないが、揺動部材26が車両の後方から見て反時計回り方向へ揺動され、これにより車両10が右方へ傾斜せしめられる。
車両10が何れの方向へ旋回する場合にも、前述のように操舵角St及び車速Vに基づいて車両の目標傾斜角θtが演算される。更に、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θtとの偏差θ−θtの大きさが基準値θ0以下になるよう、アクチュエータ28の電動機28Mが制御されることによって、揺動部材26の揺動角φが制御される。よって、車両10の重心に作用する遠心力Fyと重力との合力が所定の方向へ作用するよう、車両10を旋回内側へ傾斜させることができる。
車両傾斜装置18が正常であるときには、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に伴って図7において実線にて示された直線(車両10の基準傾斜角速度θdreを示す線)に沿って変化する。揺動部材26の揺動角φは、上述のように偏差θ−θtの大きさが基準値θ0以下になるよう制御される。よって、タイロッド30L及び30Rの曲げ変形量が予め設定された許容範囲内であれば、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に対し図7においてハッチングにて示された許容範囲内にて変化する。
<車両傾斜装置18が異常である場合の作動>
図8に示されているように、車両傾斜装置18が正常な状態にて車両10が直進走行しているときに、左前輪12Lが縁石50に乗り上げることにより、左前輪12Lに突き上げ荷重が作用し、タイロッド30Lが座屈により曲げ変形したとする。ステアリングホイール41は直進位置にあり、揺動部材26の揺動角φは0に制御されるので、ジョイント32Lの枢点とジョイント34Lの枢点との間の距離は、タイロッド30Lが正常であるときの距離よりも小さくなる。
図9に示されているように、タイロッド30Lが曲げ変形した状態にて車両10が直進走行する場合には、ステアリングホイール41は直進位置にあるので、車両10が傾斜しないよう、揺動部材26は車両の後方から見て反時計回り方向へ揺動される。そのため、それぞれジョイント32L及び32Rの枢点とジョイント34L及び34Rの枢点を結ぶ線分が、それぞれ揺動軸線24とジョイント32L及び32Rの枢点とを結ぶ線分に対しなす角度が、タイロッド30Lが正常であるときの角度とは異なる。更に、揺動部材26の揺動に伴いジョイント34Lの枢点がジョイント32Lの枢点の周りに回転するときの半径は、タイロッド30Lが正常であるときの半径よりも小さい。
よって、揺動部材26の揺動がタイロッド30L及び30Rを介して車体22に対する前輪12L及び12Rの互いに逆方向への変位に変換される効率が、タイロッド30L及び30Rが正常であるときの効率とは異なる。従って、揺動部材26の揺動角φに対する車両10の傾斜角θの関係が、車両傾斜装置18が正常である場合とは異なるだけでなく、揺動部材26の揺動角速度φdに対する車両10の傾斜角速度θdの関係も、車両傾斜装置18が正常である場合とは異なる。更に、上記二つの関係の相違度合は、タイロッド30L又は30Rの変形度合が高いほど大きくなる。
タイロッド30L又は30Rの曲げ変形量が予め設定された許容範囲を越えると、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に伴って図7においてハッチングにて示された許容範囲外にて変化する。よって、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両10の傾斜角速度θdの関係が、図7においてハッチングにて示された許容範囲外であるか否かの判定により、車両傾斜装置18が異常であるか否かを判定することができる。
第一の実施形態によれば、ステップ140において、揺動角速度φdに基づいて車両10の基準傾斜角速度θdreが演算される。ステップ150において、傾斜角速度θdと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreが予め設定された第一の基準値θ1よりも大きいか、又は差θd−θdreが予め設定された第二の基準値θ2よりも小さいか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには、ステップ160において、車両傾斜装置18が異常であると判定され、警報装置48が作動される。
従って、第一の実施形態によれば、タイロッド30L又は30Rに予め設定された基準値以上の曲げ変形のような異常が生じると、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両10の傾斜角速度θdの差の指標値が予め設定された許容範囲を越えていると判定される。よって、車両傾斜装置18が異常であると判定することができ、警報装置48の作動によって、車両の乗員に車両傾斜装置18が異常であることを認識させることができる。
特に、第一の実施形態によれば、傾斜角速度θdと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreに基づいて、従って揺動角速度φdと傾斜角速度θdとの差の指標値に基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。よって、車両傾斜装置18の異常判別が揺動角φdと傾斜角θとの関係に基づいて行われる場合に生じる誤判定、即ち車両傾斜装置18は正常であるにも拘わらず路面のカントに起因して車両傾斜装置18が異常であると判定されることを回避することができる。
なお、車両10の傾斜角速度θdを揺動部材26の揺動角速度に換算するための係数をKaとして、差の指標値φd−Kaθd又はKaθd−φdに基づいて車両傾斜装置18が異常であるか否かの判定が行われてもよい(第一の修正例)。同様に、揺動角速度φdを車両10の傾斜角速度θdに換算するための係数をKbとして、差の指標値Kbφd−θd又はθd−Kbφdに基づいて車両傾斜装置18が異常であるか否かの判定が行われてもよい(第二の修正例)。
[第二の実施形態]
図6は、本発明による自動傾斜車両10の第二の実施形態における車両傾斜装置の異常判定制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、図6において、図5に示されたステップと同一のステップには、図5において付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
第二の実施形態にかかる自動傾斜車両10の構造は、上述の第一の実施形態にかかる自動傾斜車両10の構造と同一である。但し、電子制御装置20のマイクロコンピュータのROMには、図4及び図6に示されたフローチャートに対応する制御プログラムが格納されている。第二の実施形態における車両の傾斜角制御は、第一の実施形態の場合と同様に、図4に示されたフローチャートに従って実行される。更に、図6と図5との比較から解るように、第二の実施形態における車両傾斜装置の異常判定制御は、ステップ140及び150に代えてステップ145及び155が実行される点を除き、第一の実施形態の場合と同様に実行される。
ステップ145においては、揺動部材26の揺動角速度φdの絶対値が基準値φd0(正の定数)未満であるか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、異常判定制御はステップ110へ戻り、否定判別が行われたときには、異常判定制御はステップ155へ進む。
ステップ155においては、揺動角速度φdに対する傾斜角速度θdの比θd/φdが、予め設定された第一の基準値R1(正の定数)よりも大きいか、又は第二の基準値R2(R1よりも小さい正の定数)よりも小さいか否かの判別が行われる。比θd/φdは、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両の傾斜角速度θdの比の指標値である。否定判別が行われたときには、車両傾斜装置18は正常であるので、異常判定制御はステップ110へ戻り、肯定判別が行われたときには、車両傾斜装置18は異常であるので、異常判定制御はステップ160へ進む。
なお、車両傾斜装置18が正常であるときの揺動角速度φdに対する車両10の傾斜角速度θdの比をR0(θdre/θdに等しい正の定数)とし、ΔR1及びΔR2を正の定数として、基準値R1及びR2はそれぞれR0+ΔR1及びR0−ΔR2であってよい。この場合、ΔR1及びΔR2は異なる値であってもよく、同一の値であってもよい。
以上の説明から解るように、ステップ110及び120において、揺動部材26の揺動角速度φdが演算され、ステップ130において、車両の傾斜角速度θdが読み込まれる。ステップ155において、揺動角速度φd及び傾斜角速度θdの比の指標値θd/φdに基づいて車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。更に、車両傾斜装置18が異常であると判別されたときには、ステップ160において、警報装置48が作動されることにより、車両の乗員に車両傾斜装置18が異常である旨の警報が発せられる。
<車両傾斜装置18が正常である場合の作動>
車両傾斜装置18が正常である状況にて車両10が旋回する場合には、揺動部材26が第一の実施形態の場合と同様に揺動され、これにより車両10が旋回内側へ傾斜せしめられる。
車両10が旋回する際には、第一の実施形態の場合と同様に、操舵角St及び車速Vに基づいて車両の目標傾斜角θtが演算される。更に、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θtとの比θd/φdが第一の基準値R1以下で第二の基準値R2以上になるよう、アクチュエータ28の電動機28Mが制御されることによって、揺動部材26の揺動角φが制御される。よって、車両10の重心に作用する遠心力Fyと重力との合力が所定の方向へ作用するよう、車両10を旋回内側へ傾斜させることができる。
車両傾斜装置18が正常であるときには、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に伴って図10において実線にて示された直線(車両10の基準傾斜角速度θdreを示す線)に沿って変化する。揺動部材26の揺動角φは、上述のように比θd/φdが第一の基準値R1以下で第二の基準値R2以上になるよう制御される。よって、タイロッド30L及び30Rの曲げ変形量が予め設定された許容範囲内であれば、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に対し図10においてハッチングにて示された許容範囲内にて変化する。
<車両傾斜装置18が異常である場合の作動>
前述のように、タイロッド30L又は30Rに基準値以上の曲げ変形が生じると、揺動部材26の揺動角速度φdに対する車両10の傾斜角速度θdの関係が、車両傾斜装置18が正常である場合とは異なる。更に、この関係の相違度合は、タイロッド30L又は30Rの変形度合が高いほど大きくなる。
タイロッド30L又は30Rの曲げ変形量が予め設定された許容範囲を越えると、車両10の傾斜角速度θdは揺動部材26の揺動角速度φdの変化に伴って図10においてハッチングにて示された許容範囲外にて変化する。よって、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両10の傾斜角速度θdの関係が、図10においてハッチングにて示された許容範囲外であるか否かの判定により、車両傾斜装置18が異常であるか否かを判定することができる。
第二の実施形態によれば、ステップ155において、揺動角速度φdに対する傾斜角速度θdの比θd/φdが、予め設定された第一の基準値R1よりも大きいか、又は第二の基準値R2よりも小さいか否かの判別が行われる。そして、肯定判別が行われたときには、ステップ160において、車両傾斜装置18が異常であると判定され、警報装置48が作動される。
従って、第二の実施形態によれば、タイロッド30L又は30Rに予め設定された基準値以上の曲げ変形のような異常が生じると、揺動部材26の揺動角速度φd及び車両10の傾斜角速度θdの比の関係が予め設定された許容範囲を越えていると判定される。よって、車両傾斜装置18が異常であると判定することができ、警報装置48の作動によって、車両の乗員に車両傾斜装置18が異常であることを認識させることができる。
特に、第二の実施形態によれば、揺動角速度φdに対する傾斜角速度θdの比θd/φdに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。よって、車両傾斜装置18の異常判別が揺動角φdと傾斜角θとの関係に基づいて行われる場合に生じる誤判定、即ち車両傾斜装置18は正常であるにも拘わらず路面のカントに起因して車両傾斜装置18が異常であると判定されることを回避することができる。
また、第二の実施形態によれば、揺動部材26の揺動角速度φdの絶対値が基準値φd0未満であるときには、車両傾斜装置18は正常であるか否かの判定は行われない。よって、揺動部材26の揺動角速度φdが0であるときに比θd/φdが演算されることを防止することができ、また車両傾斜装置18は正常であるにも拘わらず、揺動角速度φd及び/又は車両10の傾斜角θの検出誤差などに起因して車両傾斜装置18が異常であると判定されることを防止することができる。
更に、第二の実施形態によれば、第一の実施形態における基準傾斜角速度θdreの演算及び基準値R1及びR2の演算は不要であり、それぞれ第一又は第二の修正例における補正係数Ka又はKbの演算は不要である。よって、第一の実施形態及びその修正例に比して、電子制御装置20の演算負荷を低減することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一の実施形態においては、傾斜角速度θと基準傾斜角速度θdreとの差θd−θdreに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。しかし、基準傾斜角速度θdreと傾斜角速度θとの差θdre−θdに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われるよう修正されてよい。
また、上述の第二の実施形態においては、揺動角速度φdに対する傾斜角速度θdの比θd/φdに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。しかし、傾斜角速度θdに対する揺動角速度φdの比φd/θdに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われるよう修正されてもよい。
また、第一及び第二の実施形態においては、それぞれステップ150及び155において肯定判別が行われたときには、車両傾斜装置18が異常であると判定され、警報装置48が作動される。しかし、ステップ150及び155における肯定判別が所定の複数回行われたときに、車両傾斜装置18が異常であると判定され、警報装置48が作動されるよう修正されてもよい。
また、第一の実施形態においては、第一の基準値θ1は正の定数であり、第二の基準値θ2は負の定数である。第一の基準値θ1及び第二の基準値θ2の少なくとも一方が、揺動角速度φdに応じて可変設定されてもよい。
同様に、第二の実施形態においては、第一の基準値R1及び第二の基準値R2は正の定数である。しかし、第一の基準値R1及び第二の基準値R2の少なくとも一方が、揺動角速度φdに応じて可変設定されてもよい。
また、第一の実施形態においては、傾斜角速度θd及び揺動角速度φdの差の指標値に基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。しかし、傾斜角速度θdの変化率θdd及び揺動角速度φdの変化率φddの差θdd−φddの指標値又はφdd−θddの指標値に基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われよう修正されてもよい。
同様に、第二の実施形態においては、揺動角速度φd及び傾斜角速度θdの比の指標値θd/φdに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われる。しかし、揺動角速度φdの変化率φddに対する傾斜角速度θdの変化率θddの比θdd/φdd又は傾斜角速度θdの変化率θddに対する揺動角速度φdの変化率φddの比φdd/θddに基づいて、車両傾斜装置18が異常であるか否かの判別が行われるよう修正されてもよい。
10…自動傾斜車両、12L,12R…前輪、16L,16R…キャリア、18…車両傾斜装置、20…電子制御装置、22…車体、24…揺動軸線、26…揺動部材、28…アクチュエータ、30L,30R…タイロッド、40…ジャイロスコープ、42…操舵角センサ、44…車速センサ、46…回転角センサ、48…警報装置

Claims (4)

  1. 横方向に隔置された一対の車輪と、車両傾斜装置と、制御装置とを含む自動傾斜車両であって、前記一対の車輪は、それぞれ対応するキャリアにより回転可能に支持されており、前記車両傾斜装置は、前後方向に延在する揺動軸線の周りに揺動する揺動部材と、前記揺動軸線の周りに前記揺動部材を揺動させるアクチュエータと、前記揺動軸線に対し横方向両側にて前記揺動部材及び対応する前記キャリアに枢動可能に連結された一対のタイロッドとを含み、前記制御装置は、車両の目標傾斜角を演算し、車両の傾斜角が前記目標傾斜角になるように前記アクチュエータを制御することによって車両を傾斜させるよう構成された自動傾斜車両において、
    前記制御装置は、前記揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係が予め設定された許容範囲を越えているときには、前記車両傾斜装置が異常であると判定するよう構成された自動傾斜車両。
  2. 請求項1に記載の車両の自動傾斜車両において、前記制御装置は、前記揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の差の指標値により前記揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係を判定するよう構成された自動傾斜車両。
  3. 請求項1に記載の車両の自動傾斜車両において、前記制御装置は、前記揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の比の指標値により前記揺動部材の揺動角速度及び車両の傾斜角速度の関係を判定するよう構成された自動傾斜車両。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の車両の自動傾斜車両において、車両の傾斜角速度はジャイロセンサにより検出されるよう構成された自動傾斜車両。
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