JP2019177794A - 自動傾斜車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】左右の路面の摩擦係数が異なる状況においても、車両の傾斜角を精度よく目標傾斜角に制御し、従来に比して車両の傾斜角の制御性を向上させる。【解決手段】非操舵駆動輪である左右の前輪12L、12Rと、車両傾斜装置18と、制御装置20とを含み、制御装置20は、車両10を旋回内側へ傾斜させるための車両10の目標傾斜角を演算し、車両10の傾斜角が目標傾斜角になるように車両傾斜装置18を制御する自動傾斜車両10であって、制御装置20は、左右の前輪12L、12Rに対応する位置の路面の摩擦係数の差の指標値が基準値以上であると判定されているときには、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右の前輪12L、12Rの制駆動力の差による上下力の差が車両10に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両10に与えられるように目標傾斜角を修正する。【選択図】図1
Description
本発明は、旋回時に自動的に旋回内側へ傾斜(リーン)する自動傾斜車両に係る。
自動傾斜車両は、車両傾斜装置を有し、旋回時に車両傾斜装置によって自動的に旋回内側へ傾斜される。例えば、下記の特許文献1には、横方向に隔置された非操舵駆動輪である一対の前輪と、操舵従動輪である一つの後輪と、揺動型の車両傾斜装置と、車両傾斜装置を制御する制御装置とを含み、一対の前輪はそれぞれ対応するナックルにより回転可能に支持された自動傾斜車両が記載されている。
車両傾斜装置は、前後方向に延在する揺動軸線の周りに揺動可能な揺動部材と、揺動軸線の周りに揺動部材を揺動させるアクチュエータと、一対のタイロッドとを含んでいる。一対のタイロッドは、上端にて揺動部材の外端に枢着され下端にて対応するナックルに枢着されている。左右の前輪は、車体に対し上下方向へ相対変位可能であるが、車体に対する横方向への変位及び傾斜が制限されるよう、前輪サスペンションにより車体から懸架されている。前輪サスペンションは、アクチュエータと車体との間に配設されたショックアブソーバ及びサスペンションスプリングを含んでいる。
揺動部材が揺動軸線の周りに揺動すると、一対のタイロッドが互いに逆方向へ上下動するので、一対の前輪、即ち左右の前輪が車体に対し互いに逆方向へ上下動し、これにより車両が横方向へ傾斜する。制御装置は、運転者の操舵操作量及び車速に基づいて車両を安定的に旋回させるための車両の目標傾斜角を演算し、アクチュエータによって揺動部材の揺動角を制御することにより、車両の傾斜角が目標傾斜角になるように車両を傾斜させるよう構成されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
自動車などの車両においては、車輪の制駆動力がサスペンションによって上下力に変換され、サスペンションを介して車体へ伝達される。特に、左右の路面の摩擦係数が異なる所謂またぎ路を車両が走行する際には、摩擦係数が低い側の車輪のスリップ率が高くなるため、当該車輪の制駆動力は他方の車輪の制駆動力に比して低くなる。よって、サスペンションによって変換され車体へ伝達される上下力に左右差が生じ、車両には上下力の左右差に起因するロールモーメントが作用する。
自動車などの車両においては、車輪の制駆動力がサスペンションによって上下力に変換され、サスペンションを介して車体へ伝達される。特に、左右の路面の摩擦係数が異なる所謂またぎ路を車両が走行する際には、摩擦係数が低い側の車輪のスリップ率が高くなるため、当該車輪の制駆動力は他方の車輪の制駆動力に比して低くなる。よって、サスペンションによって変換され車体へ伝達される上下力に左右差が生じ、車両には上下力の左右差に起因するロールモーメントが作用する。
特に、自動傾斜車両のトレッドは通常の乗用車などに比して小さいので、ロールモーメントは車両の傾斜角を変化させるよう作用し、そのため車両の傾斜角が目標傾斜角になるように制御されても、車両の傾斜角が目標傾斜角にならないことがある。よって、左右の路面の摩擦係数が異なる状況においては、車両の傾斜角を精度よく目標傾斜角に制御することが困難である。
本発明の主要な課題は、左右の路面の摩擦係数が異なる状況においても、車両の傾斜角を精度よく目標とする傾斜角に制御し、従来に比して車両の傾斜角の制御性を向上させることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、横方向に隔置された非操舵駆動輪である一対の車輪(12L、12R)と、車体(22)に対し一対の車輪を互いに他に対し逆の上下方向へ変位させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置(18)と、車両傾斜装置を制御する制御装置(20)と、を含み、制御装置は、車両を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角(θt)を演算し、車両の傾斜角(θ)が目標傾斜角になるように車両傾斜装置を制御するよう構成された自動傾斜車両が提供される。
本発明によれば、横方向に隔置された非操舵駆動輪である一対の車輪(12L、12R)と、車体(22)に対し一対の車輪を互いに他に対し逆の上下方向へ変位させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置(18)と、車両傾斜装置を制御する制御装置(20)と、を含み、制御装置は、車両を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角(θt)を演算し、車両の傾斜角(θ)が目標傾斜角になるように車両傾斜装置を制御するよう構成された自動傾斜車両が提供される。
制御装置(20)は、一対の車輪に対応する位置の路面の摩擦係数の差の指標値(ΔVwfa)が基準値以上であると判定されているときには、路面の摩擦係数の差に起因して生じる一対の車輪の制駆動力の差による上下力(Fvfl、Fvfr)の差が車両に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように目標傾斜角(θt)を補正する。
上記の構成によれば、一対の車輪に対応する位置の路面の摩擦係数の差が大きく、一対の車輪の制駆動力の差による上下力(Fvfl、Fvfr)の差に起因するロールモーメントが車両に与えられる状況においては、該ロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように目標傾斜角が補正される。
よって、左右の路面の摩擦係数が異なる状況において、上下力の差に起因するロールモーメントの影響が低減されるように車両の傾斜角を制御することができるので、車両の傾斜角を精度よく目標とする傾斜角に制御し、従来に比して車両の傾斜角の制御性を向上させることができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられた符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2において、本発明の実施形態にかかる自動傾斜車両10は、非操舵駆動輪である一対の前輪12L及び12Rと、操舵従動輪である一つの後輪14とを含む定員1名の三輪車両である。前輪12L及び12Rは、車両10の横方向に互いに隔置され、それぞれ対応するキャリア16L及び16Rにより回転軸線(図示せず)の周りに回転可能に支持されている。後輪14は、前輪に対し後方に位置し、運転者によるステアリングホイール15の操作量に応じて後輪操舵装置14A(図2参照)により操舵されるようになっている。図1及び図3においては、ステアリングホイール15は実際の位置とは異なる位置に図示されている。自動傾斜車両10は、更に車両傾斜装置18及び電子制御装置20を含んでいる。
実施形態においては、図1及び図2には示されていないが、キャリア16L及び16Rは、駆動装置としてのインホイールモータを内蔵している。キャリア16L及び16Rは、それぞれ対応するリーディングアームのようなサスペンションアームにより、車体22に対し上下方向に変位可能であると共に、車体22に対する横方向への変位及び傾斜が規制されるよう、支持されている。
車両傾斜装置18は、前後方向に延在する揺動軸線24の周りに揺動する揺動部材26と、揺動軸線24の周りに揺動部材26を揺動させるアクチュエータ28と、一対のタイロッド30L及び30Rとを含んでいる。タイロッド30L及び30Rは、揺動軸線24に対し横方向両側において実質的に上下方向に延在し、それぞれ上端にてボールジョイントのようなジョイント32L及び32Rにより揺動部材26に枢動可能に連結されている。更に、タイロッド30L及び30Rは、それぞれ下端にてボールジョイントのようなジョイント34L及び34Rにより対応するキャリア16L及び16Rに枢動可能に連結されている。
揺動部材26は、揺動軸線24の周りに回転可能に支持されたボス部26Bと、ボス部26Bと一体をなしボス部26Bから互いに逆方向へ延在するアーム部26AL及び26ARとを有し、揺動軸線24の周りに揺動可能なスイングアーム部材として機能する。タイロッド30L及び30Rの上端は、それぞれアーム部26AL及び26ARの先端部に枢動可能に連結されている。
ボス部26B及びアクチュエータ28を支持する支持部材と車体22との間には、サスペンションスプリング及びショックアブソーバを含む前輪サスペンション12Sが介装されている。よって、前輪12L、12R及び車両傾斜装置18は、前輪サスペンション12Sにより車体22から懸架されている。後輪14は、サスペンションスプリング及びショックアブソーバを含む後輪サスペンション14Sにより、車体22から懸架されている。よって、前輪12L、12R及び後輪14は車両傾斜装置18と共に車体22に対し上下動することができ、それらの相対振動はショックアブソーバにより減衰される。なお、前輪サスペンション12Sは、アクチュエータ28が車体22に対し横方向へ傾動することを阻止するよう構成されている。
アクチュエータ28は、回転型のアクチュエータであり、電動機28M及び減速歯車装置28Gを含み、電動機28Mのロータの回転運動が減速歯車装置28Gによって減速されて揺動部材26へ伝達されるようになっている。なお、アクチュエータ28は、往復動型のアクチュエータであり、アクチュエータの往復動が運動変換機構により回転運動に変換されて揺動部材26へ伝達されるようになっていてもよい。
図3に示されているように、揺動部材26が揺動軸線24の周りに揺動すると、タイロッド30L及び30Rが互いに逆方向へ上下動することにより、前輪12L及び12Rが車体22に対し互いに逆方向へ上下動し、これにより車両10が横方向へ傾斜する。車両の傾斜角θ(車両10の上下方向の中心平面36が鉛直方向38に対しなす角度)の変化率、即ち車両の傾斜角速度θdは、ジャイロスコープ40により検出されるようになっている。ジャイロスコープ40により検出された車両の傾斜角速度θdを示す信号は、電子制御装置20へ入力される。
なお、傾斜角θは、揺動部材26の揺動角が0で、中心平面36が鉛直方向38と一致するときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するよう車両10が傾斜するときに正の値になる。車両10の傾斜角θは、車体22のロール角α(図示せず)と実質的に同一であるので、車体のロール角αがロール角センサにより検出され、ロール角αが傾斜角θとされてもよい。
ステアリングホイール15の回転角に等しい操舵角Stは、操舵角センサ42により検出される。電子制御装置20には、操舵角センサ42により検出された操舵角Stを示す信号及び回転角センサ46により検出された電動機28Mの回転角φmを示す信号が入力される。更に、電子制御装置20には、車輪速度センサ48L及び48Rにより検出された左右前輪の車輪速度Vwfl及びVwfrを示す信号及び車輪速度センサ50により検出された後輪の車輪速度Vwrを示す信号が入力される。なお、回転角φmは、揺動部材26の揺動角が0のときに0になり、車両10が左方向へ傾斜するよう揺動部材26が揺動するときに正の値になる。
図9に示されているように、車両10の旋回に起因して重心Gmに作用する遠心力をFyとする。図10に示されているように、左右の前輪12L及び12Rの接地点Pfl及びPfrの中点Pfと後輪14の接地点Prとを結ぶ直線を直線62とする。電子制御装置20は、遠心力Fyと重力Fgとの合力Fygが直線62へ向かう方向(本明細書においては「所定の方向」という)へ作用するよう、車両10を旋回内側へ傾斜させるための目標傾斜角θtを演算する。なお、本明細書においては、接地点Pfl及びPfr及び接地点Prを結ぶ直線により形成される三角形を三角形66と指称する。
具体的には、電子制御装置20は、図4乃至図6に示されたフローチャートに従って、左右前輪の車輪速度Vwfl、Vwfr及び後輪の車輪速度Vwrに基づいて車速Vを演算し、操舵角St及び車速Vに基づいて車両の目標横加速度Gytを演算する。更に、電子制御装置20は、重力加速度Gに対する目標横加速度Gytの比Gyt/Gに基づいて目標傾斜角θtを演算し、車両の傾斜角θが目標傾斜角θtになるようにアクチュエータ28の電動機28Mの回転角φmを制御する。従って、電子制御装置20は、車両傾斜装置18の揺動部材26の揺動角φを制御することにより、車両10を傾斜させるよう構成された制御装置として機能する。
図には示されていないが、電子制御装置20には、アクセルポジションセンサから、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み操作量であるアクセルポジションApを示す信号が入力される。電子制御装置20には、シフトポジションセンサから、運転者により操作されるシフトレバーの操作位置であるシフトポジションSpを示す信号が入力される。更に、電子制御装置20には、踏力センサから、運転者によるブレーキペダルに対する踏力Fpを示す信号が入力される。
電子制御装置20は、アクセルポジションAp及びシフトポジションSpに基づいてインホイールモータの出力及び回転方向を制御することにより、前輪12L及び12Rの駆動力を制御する。更に、電子制御装置20は、踏力Fpに基づいて制動装置54を制御することにより前輪12L、12R及び後輪14の制動力を制御する。なお、制動時には、インホイールモータによる回生が行われてもよい。
図8に示されているように、車両の横方向に見て前輪12L及び12Rの瞬間中心をOfl及びOfrとする。図示の実施形態においては、瞬間中心Ofl及びOfrはそれぞれ接地点Pfl及びPfrに対し車両の後方且つ上方に位置する。
図8において実線の矢印にて示されているように、前輪12L及び12Rにそれぞれ駆動力、即ち正の制駆動力Fwfl及びFwfrが作用しているときには、前輪12L及び12Rにはそれぞれ接地点Pfl及びPfrにおいて下向きの上下力Fvfl及びFvfrが作用する。また、図8において破線の矢印にて示されているように、前輪12L及び12Rにそれぞれ制動力、即ち負の制駆動力Fwfl及びFwfrが作用しているときには、前輪12L及び12Rにはそれぞれ接地点Pfl及びPfrにおいて上向きの上下力Fvfl及びFvfrが作用する。これらの上下力Fvfl及びFvfrは、それぞれタイロッド30L及び30Rを介して揺動部材26へ伝達される。
それぞれ瞬間中心Ofl及びOfrと接地点Pfl及びPfrとを結ぶ線分Lfl及びLfrが水平方向に対しなす角度をそれぞれθfl及びθfrとし、上向きの上下力を正の値とすると、上下力Fvfl及びFvfrはそれぞれ下記の式(1)及び(2)により表される。
Fvfl=−Fwfl・tanθfl …(1)
Fvfr=−Fwfr・tanθfr …(2)
Fvfl=−Fwfl・tanθfl …(1)
Fvfr=−Fwfr・tanθfr …(2)
上記式(1)及び(2)から解るように、制駆動力Fwfl及びFwfrの大きさが同一であり且つ角度θfl及びθfrが同一であれば、上下力Fvfl及びFvfrの大きさも互いに同一である。しかし、左右の前輪12L及び12Rのインホイールモータが発生する駆動トルクが同一であっても、左右の前輪に対応する位置の路面の摩擦係数が異なる場合には、制駆動力Fwfl及びFwfrの大きさが異なるので、上下力Fvfl及びFvfrの大きさも互いに異なる値になる。同様に、制動装置54により左右の前輪12L及び12Rに付与される制動力が同一であっても、左右の前輪に対応する位置の路面の摩擦係数が異なる場合には、制駆動力Fwfl及びFwfrの大きさが異なるので、上下力Fvfl及びFvfrの大きさも互いに異なる値になる。
上下力Fvfl及びFvfrの大きさが互いに異なる場合には、それぞれタイロッド30L及び30Rを介して揺動部材26へ伝達される力が異なるので、揺動部材26には揺動軸線24の周りに余分なロールモーメントが作用する。そのため、車両の傾斜角θが目標傾斜角θtになるように電子制御装置20によって車両傾斜装置18を制御しても、車両の傾斜角θを精度よく目標傾斜角θtに制御することが困難である。
この問題に対処すべく、電子制御装置20は、図5及び図6に示されたフローチャートに従って、車輪速度Vwfl及びVwfrの差が基準値以上であるか否かの判定により、左右前輪12L及び12Rに対応する位置の路面の摩擦係数の差が基準値以上であるか否かを判定する。電子制御装置20は、車輪速度Vwfl及びVwfrの差が基準値以上であると判定しているときには、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右前輪の制駆動力の差による上下力Fvfl及びFvfrの差が車両に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように目標傾斜角θtを補正する。
また、電子制御装置20は、図12に示されているように、車両10の重心Gmを通る垂線64が、三角形66(図2及び図10参照)の範囲外又は所定の余裕マージンを通る場合には、図13に示されているように、垂線64が余裕マージンの内側を通るよう、目標傾斜角θtを低減修正する。よって、垂線64が三角形66の斜辺よりも所定の余裕マージンの距離だけ内側を通るときの車両の傾斜角を最大許容傾斜角θamaxとすると、目標傾斜角θtは、その大きさが最大許容傾斜角θamaxを越えないよう、必要に応じて修正される。なお、所定の余裕マージンは、種々の部材の製造公差などを考慮して予め設定される。また、図13においては、図12に示された重心Gm、中心平面38及び垂線64の位置が、それぞれ符号Gm′、38′及び64′にて示されている。
更に、電子制御装置20は、図7に示されたフローチャートに従って、操舵角St及び車速Vに基づいて後輪14の目標舵角δrtを演算する。電子制御装置20は、後輪14の舵角δrが目標舵角δrtになるように、後輪操舵装置14Aを制御する。
特に、電子制御装置20は、車輪速度Vwfl及びVwfrの差が基準値以上であると判定しているときには、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右前輪の制駆動力の差によるヨーモーメントに対抗するヨーモーメントが車両に与えられるように目標舵角δrtを補正する。
なお、図1においては、電子制御装置20及びジャイロスコープ40などのセンサは、車両10の外に図示されているが、車両10に搭載されている。電子制御装置20は、例えばCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含んでいてよい。図4乃至図6に示されたフローチャートに対応する制御プログラムは、ROMに格納されており、車両10の傾斜角θなどは同制御プログラムに従ってCPUにより制御される。ROMには、1名乗車状態について予め求められた車両10の質量M(正の定数)及び車両の重心Gmの高さの標準値Hgs(正の定数)も格納されている。更に、図4乃至図6に示されたフローチャートによる制御を行うマイクロコンピュータは、図7に示されたフローチャートによる後輪の舵角の制御を行うマイクロコンピュータ及び車輪の制駆動力を制御するマイクロコンピュータとは別のマイクロコンピュータであってもよい。
<車両の傾斜角制御ルーチン>
次に、図4乃至図6に示されたフローチャートを参照して実施形態における車両の傾斜角制御ルーチンについて説明する。なお、図4乃至図6に示されたフローチャートによる傾斜角の制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
次に、図4乃至図6に示されたフローチャートを参照して実施形態における車両の傾斜角制御ルーチンについて説明する。なお、図4乃至図6に示されたフローチャートによる傾斜角の制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
まず、ステップ10においては、ジャイロスコープ70により検出された車両の傾斜角速度θdが積分されることにより、車両10の傾斜角θが演算される。なお、ジャイロスコープ70が車両10の傾斜角θを示す信号を出力する場合には、傾斜角速度θdの積分は不要である。
ステップ20においては、車輪速度Vfl、Vfr及びVrに基づいて車速Vが演算され、操舵角St及び車速Vに基づいて図11に示されたマップが参照されることにより、車両10の目標横加速度Gytが演算される。なお、図11に示されているように、目標横加速度Gytは、操舵角Stの絶対値が大きいほど大きさが大きくなり、車速Vが高いほど大きくなるよう演算される。
ステップ30においては、車両10を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角θtが、下記の式(3)に従って演算される。なお、下記の式(3)における重力加速度Gは正の定数であってよい。
θt=tan−1(Gyt/G) (3)
θt=tan−1(Gyt/G) (3)
ステップ40においては、図5及び図6に示されたフローチャートに従って、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右前輪の制駆動力の差による上下力Fvfl及びFvfrの差が車両に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように目標傾斜角θtが補正される。この目標傾斜角θtの補正については、後に図5及び図6に示されたフローチャートを参照して詳細に説明する。
ステップ50においては、車両の目標傾斜角θtの大きさが最大許容傾斜角θamaxを越えているときには、大きさが最大許容傾斜角θamaxになるよう目標傾斜角θtが修正される。なお、目標傾斜角θtの大きさが最大許容傾斜角θamax以下であるときには、即ち車両10の重心Gmを通る垂線64が三角形66の図には示されていない余裕マージンよりも内側を通る場合には、車両の目標傾斜角θtは修正されない。
ステップ80においては、車両10の傾斜角θと車両の目標傾斜角θtとの偏差θ−θtの絶対値が基準値θ0(正の定数)よりも小さいか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには車両の傾斜角θの修正制御は不要であるので、傾斜角の制御は一旦終了し、否定判別が行われたときには傾斜角の制御はステップ100へ進む。
ステップ100においては、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θtとの偏差θ−θtを0にするための揺動部材36の目標揺動角φtが演算されると共に、目標揺動角φtを達成するための傾斜アクチュエータ38の電動機38Mの目標回転角φmtが演算される。
ステップ110においては、電動機38Mの回転角φmが目標回転角φmtになるよう電動機38Mが制御されることにより、揺動部材36の揺動角φが目標揺動角φtになるよう制御され、これにより車両10の傾斜角θが目標傾斜角θtになるよう制御される。
図5に示されているように、ステップ42においては、例えば操舵角センサ42により検出された操舵角Stの絶対値が基準値St0(正の定数)以上であるか否かの判別により、車両が旋回中であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ44へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ43へ進む。
ステップ43においては、図には示されていないが、操舵角Stに基づいて車両10の旋回半径Rvが演算され、旋回半径Rv、前輪のトレッドTr及び車輪速度Vwfl、Vwfrに基づいて、等価車輪速度Vwfla及びVwfraが演算される。等価車輪速度Vwfla及びVwfraは、左右前輪12L及び12Rがそれらの接地点の中点Pf(図2及び図10参照)にあると仮定したときの車輪速度である。
ステップ44においては、等価車輪速度Vwfla及びVwfraの差ΔVwfa(=Vwfra−Vwfla)の絶対値が基準値ΔVwf0(正の定数)以上であるか否かの判別、即ち左右前輪に対応する路面の摩擦係数の差が基準値以上であり、車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、車両の目標傾斜角θtの補正は不要であるので傾斜角の制御は一旦終了し、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ45へ進む。等価車輪速度Vwfla及びVwfraの差ΔVwfaは、左右の前輪に対応する位置の路面の摩擦係数の差の指標値である。
ステップ45においては、例えば左右の前輪12L及び12Rのインホイールモータが駆動トルク発生しているか否かの判別により、車両が駆動中であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、車両は非駆動中(制動中を含む)であるので、傾斜角の制御はステップ60へ進み、図6に示されたフローチャートによる傾斜角の制御が行われ、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ46へ進む。
ステップ46においては、例えば操舵角θに基づいて車両が左旋回中であるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ52へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ47へ進む。
ステップ47においては、等価車輪速度Vwfraが等価車輪速度Vwflaよりも高いか否かの判別により、旋回外輪側、即ち右輪側の路面の摩擦係数が低いか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ50へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ48へ進む。
ステップ48においては、正の値である車両の目標傾斜角θtが低減補正され、ステップ49においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが正の値δcに設定される。なお、目標傾斜角θtの補正量及び値δcの演算については、後に説明する。
ステップ50においては、正の値である車両の目標傾斜角θtが増大補正され、ステップ51においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが負の値−δcに設定される。
ステップ52においては、等価車輪速度Vwflaが等価車輪速度Vwfraよりも高いか否かの判別により、旋回外輪側、即ち左輪側の路面の摩擦係数が低いか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ55へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ53へ進む。
ステップ53においては、負の値である車両の目標傾斜角θtが増大補正され(θtの絶対値が低減補正され)、ステップ54においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが負の値−δcに設定される。
ステップ55においては、負の値である車両の目標傾斜角θtが低減補正され(θtの絶対値が増大補正され)、ステップ56においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが正の値δcに設定される。
図6に示されたフローチャートのステップ66、67及び72は、それぞれ上記ステップ46、47及び52と同様に実行される。ステップ67において、否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ70へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ68へ進む。
ステップ68においては、正の値である車両の目標傾斜角θtが増大補正され、ステップ69においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが負の値−δcに設定される。
ステップ70においては、正の値である車両の目標傾斜角θtが低減補正され、ステップ71においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが正の値δcに設定される。
ステップ72において、否定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ75へ進み、肯定判別が行われたときには、傾斜角の制御はステップ73へ進む。
ステップ73においては、負の値である車両の目標傾斜角θtが低減補正され(θtの絶対値が増大補正され)、ステップ74においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtがふ正の値δc正の値δcに設定される。
ステップ75においては、負の値である車両の目標傾斜角θtが増大補正され(θtの絶対値が低減補正され)、ステップ76においては、後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが負の値−δcに設定される。
なお、ステップ48などにおける目標傾斜角θtの増大補正及び低減補正においては、等価車輪速度の差ΔVwfaの絶対値が大きいほど補正量の絶対値が大きくなるよう、補正量は等価車輪速度の差ΔVwfaに基づいて演算される。同様に、ステップ49などにおける後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtの設定においては、等価車輪速度の差ΔVwfaの絶対値が大きいほど補正量Δδrtの絶対値が大きくなるよう、補正量Δδrtは等価車輪速度の差ΔVwfaに基づいて演算される。
以上の説明から解るように、ステップ10において、ジャイロスコープ40により検出された車両10の傾斜角速度θdに基づいて車両10の傾斜角θが演算される。ステップ20及び30において、車両10を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角θtが演算される。更に、ステップ50〜80において、車両10の傾斜角θと目標傾斜角θtとの偏差θ−θtの大きさが基準値θ0以下になり、揺動部材36の揺動角φが目標揺動角φtになるよう、傾斜アクチュエータ38の電動機38Mが制御される。
特に、ステップ20において、操舵角St及び車速Vに基づいて車両10の目標横加速度Gytが演算され、ステップ30において、重力加速度Gに対する目標横加速度Gyの比Gy/Gに基づいて目標傾斜角θtが演算される。よって、車両10の旋回による遠心力Fyと重力Fgとの合力Fygが所定の方向へ作用するよう、車両10を旋回内側へ傾斜させて、車両を安定的に旋回させることができる。
また、ステップ40において、図5及び図6に示されたフローチャートに従って、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右前輪の制駆動力の差による上下力Fvfl及びFvfrの差が車両に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように目標傾斜角θtが補正される。よって、路面の左右の摩擦係数が異なる走行路を車両が走行する状況においても、遠心力Fyと重力Fgとの合力Fygが所定の方向(図10参照)へ作用するよう、車両10の傾斜角を制御することができる。
特に、実施形態においては、ステップ43において、等価車輪速度Vwfla及びVwfraが演算され、ステップ44において、等価車輪速度Vwfla及びVwfraの差ΔVwfaの絶対値が基準値ΔVwf0以上であるか否かの判別により、車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かの判別が行われる。よって、左右の前輪12L及び12Rの旋回半径の相違による車輪速度の誤差成分を排除して車輪速度差を演算し、これに基づいて車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かを正確に判別することができる。
更に、ステップ48などにおける目標傾斜角θtの増大補正及び低減補正においては、補正量は等価車輪速度の差ΔVwfaに基づいて演算される。よって、目標傾斜角θtの補正量が左右前輪の車輪速度Vwfl及びVwfrの差に基づいて演算される場合に比して、補正量を正確に演算することができる。
同様に、ステップ49などにおける後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtの設定においては、補正量Δδrtは等価車輪速度の差ΔVwfaに基づいて演算される。よって、目標舵角δrtの補正量Δδrtが左右前輪の車輪速度Vwfl及びVwfrの差に基づいて演算される場合に比して、補正量Δδrtを正確に演算することができる。
また、ステップ80において、車両10の重心Gmを通る垂線64が、三角形66の範囲外を通る場合には、垂線64が三角形66の余裕マージンよりも内側を通るよう、車両の目標傾斜角θtが修正される。よって、仮に車両の傾斜角θが最大許容傾斜角θamaxに等しい目標傾斜角θtになるよう制御されている状態にて車両が停止しても、車両は安定して停止することができる。
<後輪の転舵角制御ルーチン>
次に、図7に示されたフローチャートを参照して実施形態における後輪の転舵角制御ルーチンについて説明する。なお、図7に示されたフローチャートによる転舵角の制御も、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
次に、図7に示されたフローチャートを参照して実施形態における後輪の転舵角制御ルーチンについて説明する。なお、図7に示されたフローチャートによる転舵角の制御も、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに所定の時間毎に繰返し実行される。
まず、ステップ210においては、車両10のホイールベースをLとして、車両10の目標横加速度Gyt及び車速Vに基づいて、下記の式(4)に従って後輪14の目標転舵角δrtが演算される。
δrt=tan−1(L・Gyt/V2) …(4)
δrt=tan−1(L・Gyt/V2) …(4)
なお、図10に示されているように、車両10のホイールベースLは、左右の前輪12L及び12Rの接地点Pfl及びPfrの中点Pfと後輪14の接地点Prとの距離である。また、後輪14の転舵角δrは、車両の中点Pfと後輪14の接地点Prとを結ぶ直線62に対し、後輪14の回転中心平面が回転軸線の位置においてなす角度であり、目標転舵角δrtは転舵角δrの目標値である。図10においては、明瞭化の目的で、各車輪は傾斜していない状態にて図示されている。
ステップ220においては、図5のステップ49など又は図6のステップ69などにおいて設定された補正量Δδrtが後輪14の目標転舵角δrtに加算されることにより、目標転舵角δrtが補正される。
ステップ230においては、後輪14の目標転舵角δrtの絶対値が制限値δrmax(正の定数)を越えているか否かの判別、即ち後輪14の転舵角δrの大きさが制限されるべきであるか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには転舵角の制御はステップ250へ進み、肯定判別が行われたときには傾斜角の制御はステップ240へ進む。
ステップ240においては、後輪14の目標転舵角δrtが下記の式(5)に従って演算される。なお、下記の式(5)において、signδrtは車両10の左旋回方向を正とする目標転舵角δrtの符号を意味する。
Δrt=δrmax・signδrt (5)
Δrt=δrmax・signδrt (5)
ステップ250においては、後輪14の転舵角δrが目標転舵角δrtになるよう後輪操舵装置14Aが制御される。
以上の説明から解るように、ステップ210において、車両10の目標横加速度Gyt及び車速Vに基づいて後輪14の目標転舵角δrtが演算され、ステップ250において後輪14の転舵角δrが目標転舵角δrtになるよう制御される。よって、後輪14の転舵角δrを運転者の操舵操作量を示す操舵角St及び車速Vに応じて制御することができる。
特に、図5及び図6に示されたフローチャートに従って、路面の摩擦係数の差に起因して生じる左右前輪の制駆動力の差により車両に与えるヨーモーメントに対抗するヨーモーメントが車両に与えられるように後輪14の目標舵角δrtの補正量Δδrtが設定される。
そして、ステップ220において、補正量Δδrtが後輪14の目標転舵角δrtに加算されることにより、目標転舵角δrtが補正される。
そして、ステップ220において、補正量Δδrtが後輪14の目標転舵角δrtに加算されることにより、目標転舵角δrtが補正される。
従って、路面の左右の摩擦係数が異なる走行路を車両が走行する状況において、左右前輪の制駆動力の差に起因する不必要なヨーモーメントが車両に作用することを防止し、車両を安定的に走行させることができる。また、運転者は不必要なヨーモーメントを打ち消すよう操舵する必要がないので、運転者の操舵負担を軽減することができる。
また、ステップ230において、後輪14の目標転舵角δrtの絶対値が制限値δrmaxを越えていると判別されると、ステップ240においては、後輪14の目標転舵角δrtの大きさが制限値δrmaxに制限される。よって、後輪14の転舵角δrの大きさが過剰になることを確実に防止することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の実施形態においては、等価車輪速度Vwfla及びVwfraの差ΔVwfaの絶対値が基準値ΔVwf0以上であるか否かの判別により、左右前輪に対応する路面の摩擦係数の差が基準値以上であり、車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かの判別が行われる。しかし、例えば車速V及び左左右前輪の車輪速度Vwfl、Vwfrに基づいてスリップ率が演算され、スリップ率に基づいて右前輪に対応する路面の摩擦係数の差が基準値以上であるか否かの判別が行われてもよい。換言すれば、左右の前輪に対応する位置の路面の摩擦係数の差の指標値は、スリップ率であってもよい。
また、上述の実施形態においては、前輪12L及び12Rの瞬間中心Ofl及びOfrはそれぞれ接地点Pfl及びPfrに対し車両の後方且つ上方に位置しているが、車両の後方且つ上方に位置していなくてもよい。例えば、瞬間中心Ofl及びOfrはそれぞれ接地点Pfl及びPfrに対し車両の前方且つ上方に位置していてもよい。その場合には、前輪の制駆動力により発生される上下力は実施形態の上下力とは逆の方向に作用するので、車両の目標傾斜角θtの増大補正は低減補正になり、低減補正は増大補正になる。
また、上述の実施形態においては、車両10が駆動中である場合及び非駆動中である場合の両方について、車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かの判別が行われ、必要に応じて目標傾斜角θtが補正される。しかし、車両の目標傾斜角θtの補正が必要であるか否かの判別及び目標傾斜角θtの補正は、車両10が駆動中である場合及び非駆動中である場合の一方についてのみ行われるよう修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、左右前輪に対応する路面の摩擦係数の差が基準値以上であるときには、左左右前輪の制駆動力差に起因して車両に与えられるヨーモーメントに対抗するヨーモーメントが車両に与えられるように後輪14の目標舵角δrtが補正される。しかし、後輪14の目標舵角δrtの補正は省略されてもよい。
更に、上述の各実施形態においては、後輪は一つであるが、左右の前輪よりもトレッドが小さい二つの後輪が設けられてもよく、後輪も駆動輪であってもよい。更に、操舵輪は実施形態の前輪12L、12Rが後輪になるよう、一対の車輪12L、12Rよりも前方に位置していてもよい。その場合には、一対の車輪の制駆動力の差に起因する不必要なヨーモーメントが車両に作用することを防止するための操舵輪の舵角の修正方向は実施形態における修正方向とは逆の方向になる。
10…自動傾斜車両、12L,12R…前輪、12S…前輪サスペンション、14…後輪、14S…後輪サスペンション、14A…後輪操舵装置、16L,16R…キャリア、18…車両傾斜装置、20…電子制御装置、22…車体、26…揺動部材、28…アクチュエータ、30L,30R…タイロッド、40…ジャイロスコープ、42…操舵角センサ、46…回転角センサ、48fl,48fr,50…車輪速度センサ、54…制動装置
Claims (1)
- 横方向に隔置された非操舵駆動輪である一対の車輪と、車体に対し前記一対の車輪を互いに他に対し逆方向へ変位させることにより車両を傾斜させるよう構成された車両傾斜装置と、前記車両傾斜装置を制御する制御装置と、を含み、前記制御装置は、車両を旋回内側へ傾斜させるための車両の目標傾斜角を演算し、車両の傾斜角が前記目標傾斜角になるように前記車両傾斜装置を制御するよう構成された自動傾斜車両において、
前記制御装置は、前記一対の車輪に対応する位置の路面の摩擦係数の差の指標値が基準値以上であると判定されているときには、路面の摩擦係数の差に起因して生じる前記一対の車輪の制駆動力の差による上下力の差が車両に与えるロールモーメントに対抗するロールモーメントが車両に与えられるように前記目標傾斜角を補正するよう構成された自動傾斜車両。
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WO2023120575A1 (ja) * | 2021-12-21 | 2023-06-29 | ヤマハ発動機株式会社 | 傾斜車両 |
-
2018
- 2018-03-30 JP JP2018068625A patent/JP2019177794A/ja active Pending
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