JP6517580B2 - 基礎換気構造 - Google Patents

Description

本発明は、建物の基礎換気構造に関する。

建物の多くは、換気台輪や基礎パッキンと呼ばれる部材を基礎の上面に複数並べ、それらの上に土台を配置することにより、基礎と土台との間に換気用のスリットが設けられている。こうすることで、基礎に開口部を形成することなく、建物の外と建物の床下とを連通させ、床下を換気することができる。
係る建物においては、虫や小動物がスリットから床下に侵入するのを防ぐため、例えば、特許文献１に示すように、基礎と躯体との間に網状の換気部材を挟み込むといったことが行われてきた。

特開平５−１７１７０４号公報

近年、施工の手間やコストを低減するため、建物を構成する部材を工場でできるだけ組み立ててユニット化しておき、施工現場ではユニット化した部材を取り付けるだけとする等、施工現場での作業をできるだけ簡略化することが求められている。また、防火上、網状の換気部材を金網とすることも求められている。
しかしながら、特許文献１に示したような換気部材は、施工現場において、金網を丸めたり、取り付け作業を行ったりする必要があるため、施工現場での手間を増やしてしまうことになる。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、施工現場での手間を増やすことなく、基礎と躯体との間の換気用のスリットに、虫や小動物の侵入を防止するための金網を設けることを目的とする。

上記課題を解決するため、請求項１に記載の発明は、例えば図１〜３に示すように、建物の基礎１０と、当該基礎１０の上に、換気用部材２０を介して前記基礎１０との間に隙間２０ｂを形成するように、かつ、側面４０ａが前記基礎１０の外周面１０ａよりも外側に出るように設けられた建物の外周部４０と、当該外周部４０の下面における前記基礎１０の外周面１０ａよりも外側に出た部分に設けられた水切り部材５０と、を備えた建物１の基礎換気構造１ａにおいて、前記水切り部材５０は、前記外周部の下面から下方に延びる支持部５２と、前記支持部５２の下部に固定されるとともに前記基礎１０の存在する方向へ延びる水平部５３ｃと、前記水平部５３ｃにおける前記支持部５２と前記基礎１０側の端部との間から上方へ延びる当接部５３ｄと、を備えた水切り本体５１と、前記当接部５３ｄの前記基礎１０側から前記基礎１０の存在する方向へ水平に延びる底部５５ａと、前記底部５５ａを鉛直方向に貫通する開口部５５ｂと、前記開口部５５ｂ及び前記底部５５ａの上面全体を覆う金網５６と、前記底部５５ａにおける前記基礎１０から離れた方の端部から上方に延び、前記当接部５３ｄの前記基礎１０に近い側において当該当接部５３ｄに当接する壁部５５ｄと、前記底部５５ａにおける前記基礎１０側の端部から上方に延びる第二の壁部５５ｃと、前記壁部５５ｄの上端部から前記基礎１０の存在する方向と反対の方向に延びる固定部５５ｅ、を備え、虫等の侵入を防ぐ防虫部５４と、を有し、前記防虫部５４は、前記底部５５ａにおける前記基礎１０から離れた方の端部が、前記水平部５３ｃにおける前記当接部５３ｄより前記基礎１０側に突出した部位の上に載置されるとともに、前記固定部５５ｅが前記当接部５３ｄの上端に固定されていることを特徴とする。

請求項１に記載の発明によれば、水切り部材５０が防虫部５４を有するため、下面に水切り部材５０を備えた外周部４０を基礎１０の上に設ける、或いは基礎１０の上に設けられた外周部４０の下面に水切り部材５０を取り付けるだけで虫などの侵入を防ぐ防虫部５４を設けることができ、施工現場での手間を増やすことなく、隙間２０ｂに虫等が侵入するのを防ぐことができる。
また、防虫部５４には金網５６が備えられているので、耐火性能を有しつつ、基礎１０と建物の外周部４０との間にできる隙間２０ｂへの通気を確保することができる。
また、金網５６を底部５５ａに載置する際、壁部５５ｃ，５５ｄが金網５６をガイドするので、金網５６を取り付ける際の位置決めを容易に行うことができる。また、壁部５５ｃ，５５ｄが金網５６の水平方向への移動を規制するので、金網５６が開口部５５ｂからずれて虫や小動物の侵入抑制機能が損なわれてしまうのを防ぐことができる。
また、時間がたって底部５５ａが傾いてくるのを抑えることができる。

請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の基礎換気構造１ａにおいて、例えば図１〜３に示すように、前記壁部５５ｄおよび前記第二の壁部５５ｃの少なくとも一方の壁部には、シーリング材で他方の壁部に向かって突出するように形成され、前記金網５６を固定する延出部５７を有することを特徴とする。

請求項２に記載の発明によれば、延出部５７が金網５６の上方への移動を規制するので、虫や小動物が金網５６を押しのけて開口部５５ｂに侵入してしまうのを防ぐことができる。

請求項３に記載の発明は、請求項２に記載の基礎換気構造１ａにおいて、前記壁部５５ｄは、前記第二の壁部５５ｃの存在する方向に倒されていることを特徴とする。

本発明によれば、施工現場での手間を増やすことなく、基礎と躯体との間の換気用のスリットに、虫や小動物の侵入を防止するための金網を設けることができる。

本発明の実施形態に係る基礎換気構造の縦断面図である。 図１の基礎換気構造を構成する水切り部材の一部を示した縦断面図である。 図２の水切り部材を構成する防虫部の平面図である。

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図１は本実施形態に係る建物１の基礎換気構造１ａの縦断面図、図２は図１の基礎換気構造１ａ構成する一部の部材を示した縦断面図、図３は図２の一部を示した平面図である。

建物１は、図１に示すように、基礎１０と、複数の換気台輪２０（換気用部材）と、躯体３０と、外壁パネル４０（建物の外周部）と、水切り部材５０と、で構成されている。なお、本実施形態では、躯体３０と外壁パネル４０とを別部材としたが、外壁パネルで躯体を構成する建物であってもよい。

基礎１０は、基礎本体１１と、複数のアンカーボルト１２と、で構成されている。
基礎本体１１は、地面の上に平面視枠状となるように、かつ上面が水平となるように形成されている。
各アンカーボルト１２は、基礎本体１１に、鉛直方向に延びるように、かつ、基礎本体１１の延設方向に沿って間隔を空けて並ぶように打ち込まれている。各アンカーボルト１２の頭部は基礎本体１１の上面から突出している。

換気台輪２０は、箱状に形成された部材である。換気台輪２０には、鉛直方向に貫通するボルト穴２０ａが形成されている。また、換気台輪２０には、水平方向に貫通するスリット２０ｂ（隙間）が複数形成されている。各換気台輪２０は、ボルト穴２０ａに基礎１０のアンカーボルト１２の頭部を通し、かつスリット２０ｂが基礎１０の延設方向と直交する方向（図１の左右方向）に延びた状態で基礎本体１１の上面に載置され、ナットで留められている。

躯体３０は、ＡＬＣパネル３１、柱３２等で構成されている。
ＡＬＣパネル３１は、建物の床を構成する部材で、複数の換気台輪２０の上に設けられている。
柱３２は、ＡＬＣパネル３１の上に鉛直上方へ延びるように設けられている。

外壁パネル４０は、躯体３０の側面に固定されている。外壁パネルの側面のうち、建物の外周面となる側面４０ａは、基礎１０の外周面１０ａよりも外側に出ている。すなわち、外壁パネル４０の下面の少なくとも一部（本実施形態では全体）が基礎１０に遮蔽されることなく、水切り部材５０を取り付け可能となっている。

水切り部材５０は、外壁パネル４０の下面のうち基礎１０の外周面１０ａよりも外側に位置する部分に、外壁パネル４０の幅方向（図１の紙面に直交する方向）に延設されている。水切り部材５０は、水切り本体５１と、防虫部５４とで構成されている。

水切り本体５１は、支持部５２と、カバー部５３とで構成されている。
支持部５２は、外壁パネル４０の下面から鉛直下方に延設された垂下部５２ａと、垂下部５２ａの外側を向く面に固定された係合部５２ｂと、で構成されている。

カバー部５３は、図２に示すように、鉛直部５３ａと、水平部５３ｃと、当接部５３ｄと、で構成されている。
鉛直部５３ａは、垂下部５２ａの基礎１０側とは反対側に、垂下部５２ａと略平行に延設されている。鉛直部５３ａの基礎１０側の面には、被係合部５３ｂが設けられ、支持部５２の係合部５２ｂと係合している。
水平部５３ｃは、鉛直部５３ａの下端部から基礎１０側へと水平に延設されている。
当接部５３ｄは、水平部５３ｃにおける基礎１０側の端部を除く上面に、支持部５２と当接するように設けられている。これにより、カバー部５３が支持部５２から外れにくくなっている。

防虫部５４は、フレーム５５と、金網５６と、延出部５７と、で構成されている。
本実施形態のフレーム５５は、板金を折り曲げ加工することにより一体加工されており、底部５５ａと、第一壁部５５ｃと、第二壁部５５ｄと、固定部５５ｅと、からなる。

底部５５ａは、図３に示すように、帯状に形成されている。底部５５ａの短手方向の幅は、外壁パネル４０に取り付けられた水切り本体５１の当接部５３ｄと基礎１０の外周面１０ａとの距離よりも僅かに（数ｍｍ程度）短くなっている。底部５５ａには、複数の開口部５５ｂが、底部５５ａの延設方向に沿って並ぶように形成されている。底部５５ａの水切り本体５１側の端部は、水平部５３ｃの基礎１０側端部に載置されている。これにより、底部５５ａが下から支えられ、底部５５ａが時間の経過とともに傾くのが防止されている。また、水平部５３ｃに載置された底部５５ａの下面は、基礎１０の上面と略面一になっている。上述したように、底部５５ａの基礎１０側端部は基礎１０に届かないので、防虫部５４の基礎１０側の端部は基礎１０に固定されていないことになる。このため、底部５５ａの基礎１０側の端と基礎１０の上面の端との間に、虫が通ることができない程度の僅かな隙間が形成される。

第一壁部５５ｃは、底部５５ａの基礎１０側端部から鉛直上方に延設されている。
第二壁部５５ｄは、底部５５ａの水切り本体５１側端部から鉛直上方に延設されている。
固定部５５ｅは、第二壁部５５ｄの上端部から、基礎１０から離れる方向に水平に延び、当接部５３ｄの上面に固定されている。本実施形態では、両面テープおよびリベットを用いて固定している。

金網５６は、開口部５５ｂを含む底部５５ａの上面全体を覆う帯状に形成され、底部５５ａの上面に載置されている。
延出部５７は、第一壁部５５ｃおよび第二壁部５５ｄの互いに向かい合う面に、それぞれ相対する壁部５５ｃ，５５ｄの方向に突出するように設けられ、金網５６を固定している。本実施形態の延出部５７は、シーリング材を塗布して硬化させたものとなっている。

このように構成された本実施形態の基礎換気構造１ａは、耐火性能を有し、虫や小動物のスリット２０ｂへの侵入を防ぎつつも、床下の換気を行うことができる。
また、工場において、水切り本体５１に防虫部５４を取り付け、更に、防虫部５４を備えた水切り部材５０を外壁パネル４０の下面に取り付けておくことにより、施工現場では外壁パネル４０を躯体３０に取り付けるだけで本実施形態の基礎換気構造１ａを構成することができるので、施工現場での手間が大幅に軽減される。
また、底部５５ａの基礎１０側の端と基礎１０の上面の端との間に僅かな隙間が形成されるようにしているため、施工の際に誤差が生じても、水切り部材５０が基礎１０に当たって破損することがない。

以上のように、本実施形態では、図１〜３に示したように、建物の基礎１０と、当該基礎１０の上に、換気台輪２０（換気用部材）を介して基礎１０との間にスリット２０ｂ（隙間）を形成するように、かつ、側面４０ａが基礎１０の外周面１０ａよりも外側に出るように設けられた外壁パネル４０（建物の外周部）と、当該外壁パネル４０の下面における基礎１０の外周面１０ａよりも外側に出た部分に設けられた水切り部材５０と、を備えた建物１の基礎換気構造１ａにおいて、水切り部材５０は、下端部から基礎１０まで延び、虫等の侵入を防ぐ防虫部５４を有し、防虫部５４は、鉛直方向に貫通する開口部５５ｂと、開口部５５ｂを覆う金網５６と、を備えているものとした。

こうすることで、水切り部材５０が防虫部５４を有するため、下面に水切り部材５０を備えた外壁パネル４０を基礎１０の上に設ける、或いは基礎１０の上に設けられた外壁パネル４０の下面に水切り部材５０を取り付けるだけで虫などの侵入を防ぐ防虫部５４を設けることができ、施工現場での手間を増やすことなく、スリット２０ｂに虫等が侵入するのを防ぐことができる。
また、防虫部５４には金網５６が備えられているので、耐火性能を有しつつ、基礎１０と建物の外壁パネル４０との間にできるスリット２０ｂへの通気を確保することができる。

また、本実施形態では、図１〜３に示したように、水切り部材５０は、水切り本体５１に防虫部５４を取り付けてなるものとした。
こうすることで、水切り部材５０を構成する水切り本体５１と防虫部５４とは、組み立て段階では別部材となるので、水切り本体５１を、金網５６を設ける必要のない箇所に取り付けるものと共通化することができ、施工のコストを低減することができる。

また、本実施形態では、図１に示したように、防虫部５４における基礎１０側の端部は、基礎１０に固定されていないものとした。
こうすることで、建物１が揺れて、基礎１０と外壁パネル４０とが相対移動したときに水切り部材５０が破損するのを防止できる。

また、本実施形態では、図１，３に示したように、防虫部５４は、水平に延びる底部５５ａと、底部５５ａの基礎１０側の端部から鉛直上方に延びる第一壁部５５ｃと、水切り本体５１側の端部から鉛直上方に延びる第二壁部５５ｄと、を有し、底部５５ａに開口部５５ｂが形成され、金網５６は底部５５ａの上面全体を覆うように形成されているものとした。
こうすることで、金網５６を底部５５ａに載置する際、壁部５５ｃ，５５ｄが金網５６をガイドするので、金網５６を取り付ける際の位置決めを容易に行うことができる。また、壁部５５ｃ，５５ｄが金網５６の水平方向への移動を規制するので、金網５６が開口部５５ｂからずれて虫や小動物の侵入抑制機能が損なわれてしまうのを防ぐことができる。

また、上記実施形態では、図１，２に示したように、第一壁部５５ｃおよび第二壁部５５ｄの少なくとも一方の壁部は、他方の壁部に向かって突出し、金網５６を固定する延出部５７を有することを特徴とする。
こうすることで、延出部５７が金網５６の鉛直上方への移動を規制するので、虫や小動物が金網５６を押しのけて開口部５５ｂに侵入してしまうのを防ぐことができる。

また、上記実施形態では、図１，２に示したように、水切り本体５１は、外周部４０の下面から下方に延びる支持部５２と、支持部５２に固定されるとともに、基礎１０の方向へ延びる水平部５３ｃと、を有し、底部５５ａの水切り本体５１側の端部は、水平部５３ｃに載置されていることを特徴とする。
こうすることで、時間がたって底部５５ａが傾いてくるのを抑えることができる。

以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、水切り本体５１と防虫部５４とを別々の部材とし、水切り本体５１に防虫部５４を取り付けることで水切り部材５０を構成したが、例えば水切り本体５１の水平部５３ｃを上記実施形態よりも基礎１０側まで延長し、その延長した部分に開口部５５ｂを形成するとともに金網５６を貼り付けることで、防虫部５４を一体形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、延出部５７をシーリング材で形成したが、壁部５５ｃ，５５ｄを変形させる（例えば凸部を打ち出す、金網５６側に倒す）ことにより設けてもよい。

１ 建物
１ａ 基礎換気構造
１０ 基礎
１０ａ 外周面
１１ 基礎本体
１２ アンカーボルト
２０ 換気台輪（換気用部材）
２０ａ ボルト穴
２０ｂ スリット（隙間）
３０ 躯体
３１ ＡＬＣパネル
３２ 柱
４０ 外壁パネル（外周部）
４０ａ 側面
５０ 水切り部材
５１ 水切り本体
５２ 支持部
５２ａ 垂下部
５２ｂ 係合部
５３ カバー部
５３ａ 鉛直部
５３ｂ 被係合部
５３ｃ 水平部
５３ｄ 当接部
５４ 防虫部
５５ フレーム
５５ａ 底部
５５ｂ 開口部
５５ｃ 第一壁部
５５ｄ 第二壁部
５５ｅ 固定部
５６ 金網
５７ 延出部

Claims (2)

1. 建物の基礎と、当該基礎の上に、換気用部材を介して前記基礎との間に隙間を形成するように、かつ、側面が前記基礎の外周面よりも外側に出るように設けられた建物の外周部と、当該外周部の下面における前記基礎の外周面よりも外側に出た部分に設けられた水切り部材と、を備えた建物の基礎換気構造において、
   前記水切り部材は、
   前記外周部の下面から下方に延びる支持部と、前記支持部の下部に固定されるとともに前記基礎の存在する方向へ延びる水平部と、前記水平部における前記支持部と前記基礎側の端部との間から上方へ延びる当接部と、を備えた水切り本体と、
   前記当接部の前記基礎側から前記基礎の存在する方向へ水平に延びる底部と、前記底部を鉛直方向に貫通する開口部と、前記開口部及び前記底部の上面全体を覆う金網と、前記底部における前記基礎から離れた方の端部から上方に延び、前記当接部の前記基礎に近い側において当該当接部に当接する壁部と、前記底部における前記基礎側の端部から上方に延びる第二の壁部と、前記壁部の上端部から前記基礎の存在する方向と反対の方向に延びる固定部と、を備え、虫等の侵入を防ぐ防虫部と、を有し、
   前記防虫部は、
   前記底部における前記基礎から離れた方の端部が、前記水平部における前記当接部より前記基礎側に突出した部位の上に載置されるとともに、前記固定部が前記当接部の上端に固定されていることを特徴とする基礎換気構造。
2. 請求項１に記載の基礎換気構造において、
   前記壁部および前記第二の壁部の少なくとも一方の壁部には、シーリング材で他方の壁部に向かって突出するように形成され、前記金網を固定する延出部を有することを特徴とする基礎換気構造。

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