JP3119813B2 - 水切装置 - Google Patents

水切装置

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JP3119813B2
JP3119813B2 JP08099117A JP9911796A JP3119813B2 JP 3119813 B2 JP3119813 B2 JP 3119813B2 JP 08099117 A JP08099117 A JP 08099117A JP 9911796 A JP9911796 A JP 9911796A JP 3119813 B2 JP3119813 B2 JP 3119813B2
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正樹 酒井
智広 山盛
英次 熊谷
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株式会社イナックス
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は建築物の外壁材の
下側位置に配置される水切装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】建築物
の外壁の構築方法として、板状の外壁材を躯体側の被施
工面に下側から上方に順次張り付けて行く工法が用いら
れている。この場合、通常は最下段の外壁材の下側位置
に水切装置を配置し、その水切装置によって外壁材と躯
体との間を水切りするとともに、その水切装置によって
最下段の外壁材の上下方向位置を規定(位置出し)する
方法が用いられている。
【0003】そのため、従来にあっては水切装置を水切
本体とスタータ金具とで構成し、そしてそのスタータ金
具を水切本体に対して特定上下方向位置に固定し、その
スタータ金具により最下段の外壁材の下端部の上下方向
位置を規定し且つこれを支持するといったことが行われ
ている。
【0004】図13は一般地用の通常の、即ち標準用の
水切装置を用いた施工例を示したもので、図において2
00はコンクリート基礎、202は土台、206は最下
段の外壁材204を上下方向に位置出しし、且つこれを
支持している水切装置である。この水切装置206は、
水切本体208とスタータ金具210とから成ってお
り、そのスタータ金具210が最下段の外壁材204の
下端部に係合して、これを上下方向に位置決めし且つ支
持している。
【0005】図13の例では、このスタータ金具210
が水切本体208とは別体をなしており、最下段の外壁
材204を張付施工するに際して、まずこのスタータ金
具210を水切本体208に釘211にて打ち付けて固
定するようにしている。尚、216は胴縁である。
【0006】ところで、図14に示しているようにスタ
ータ金具212を水切本体208に一体に形成しておく
といったことも可能である。このようにすればスタータ
金具の水切本体への固定作業を省略することが可能とな
って、その分工程数を少なくすることができる。但しこ
の場合には次のような問題を生ずる。
【0007】外壁材の固定方法としては、最下段の外壁
材から最上段の外壁材に至る各外壁材204をそれぞれ
止付金具を用いて被施工面に固定して行く方法と、それ
ぞれを釘打ちにて固定して行く方法とがある。
【0008】而して上記のようにスタータ金具212を
水切本体208に一体に形成してしまうと、止付金具を
用いる工法の場合には良いが、釘打ちにて外壁材204
を止め付けて行く場合、そのスタータ金具212が邪魔
となって外壁材204を良好に固定できなくなる。そこ
でこの場合にはスタータ金具212を一体に形成した水
切装置と、このようなスタータ金具212を設けない水
切装置との2種類の水切装置を用意しておくことが必要
となるのである。
【0009】しかるに図13に示すようにスタータ金具
210を水切本体208とは別体としておいて、これを
水切本体208を通じて釘打ち固定するようにすると、
外壁材204を止付金具で固定する場合、又は釘打ち固
定する場合の何れにおいても水切本体208は1種類だ
けで良く、部品を共通化し得て所要部品種を少なくでき
る利点が得られるのである。
【0010】しかしながら一方において、図13に示す
水切装置206の場合、スタータ金具210を釘打ち固
定する際の作業が大変となり、これが外壁材204の施
工性を悪化させるといった問題があった。
【0011】ところで、寒冷地においては図15に示す
ような水切装置214が用いられる。この水切装置21
4は、水切本体208に板状の目隠し部218を一体に
形成したものである。寒冷地においては、胴縁216を
設けた上で水切装置214,外壁材204を固定して外
壁材204の内側に空気層を通気可能に形成することが
多く、しかも寒冷地においてはコンクリート基礎200
が高いため、そこで水切本体208の下端開放部を通じ
て外壁材204の内側部分に虫が入り込んだり或いは同
部が見えてしまうのを防止するため、遮蔽用の板状の目
隠し部218を設けたものを用いているのである。
【0012】このため、従来にあっては通常地用の水切
装置と寒冷地用の水切装置との2種類が必要とされてお
り、所要部品の種類が多い問題があった。
【0013】図16はバルコニー等の出張り部分にオー
バーハング状に用いられる(以下バルコニー式とする)
水切装置を示したもので、この水切装置220もまた、
下側から外壁材204の内側部分が見えてしまうのを防
止する等のために板状の目隠し部221が水切本体20
8に一体に形成されている。尚、図16において222
はバルコニー等の出張り部分、224は桁である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願の発明は以上の事情
を背景としてなされたもので、部品の共通化を図り、以
て水切装置に要するコストを低減するとともに施工性を
改善することを目的とするものである。而して本願の発
明は、躯体側の外壁材の被施工面に止め付けられる上下
方向の板状の被固定部及び該被固定部の下端側より該被
施工面から離れる外向き方向に延出する水切部を有する
水切本体と、該水切本体に固定され、最下段の外壁材の
下端部を上下方向に位置決めし且つ支持するスタータ部
材とを備えた水切装置において、該スタータ部材を前記
水切本体とは別体となすとともに該スタータ部材を、前
記外壁材の下端部を支持する支持部と該水切本体への固
定部とを有する形態となす一方、該水切本体における前
記水切部の上面に上向きの突出片を形成し、該突出片と
前記板状の被固定部との間に上向き開口状の差込溝を形
成して、該スタータ部材を該差込溝に差込み状に固定す
るようになし、且つ該スタータ部材には前記固定部の下
端近傍部位に段違い部を形成し、該段違い部の下側部分
を挿入部として該挿入部を前記差込溝に挿入するととも
に、該段違い部を前記突出片の上端への載置部となした
ことを特徴とする(請求項1)。
【0015】本願の更に別の発明は、躯体側の外壁材の
被施工面に止め付けられる上下方向の板状の被固定部及
び該被固定部の下端側より該被施工面から離れる外向き
方向に延出する水切部を有する水切本体と、該水切本体
に固定され、最下段の外壁材の下端部を上下方向に位置
決めし且つ支持するスタータ部材とを備えた水切装置に
おいて、前記水切部の内側において前記水切本体より内
向き方向に延び、前記外壁材の内側空間と該水切部の下
部空間とを実質上遮蔽するための目隠し部を該水切本体
とは別体となして、該目隠し部の側に被係合部を、また
該水切本体側に該被係合部を脱着可能に係合させる係合
部を設け、それらの係合に基づき該目隠し部を該水切本
体に固定するようになしたことを特徴とする(請求項
)。
【0016】本願の更に別の発明は、請求項におい
て、前記係合部を差込溝となし、前記被係合部を該差込
溝内部に差し込まれる差込部となしたことを特徴とする
(請求項)。
【0017】本願の更に別の発明は、請求項におい
て、前記係合部としての差込溝及び被係合部としての差
込部に差込量を規定する位置決め手段を設けたことを特
徴とする(請求項)。
【0018】本願の更に別の発明は、請求項におい
て、前記差込溝が弾性差込溝とされており、前記位置決
め手段が該差込溝に形成された部分的な凹陥部と、前記
差込部に形成され、該凹陥部内に弾性的に嵌まり込む部
分的な膨出部とから成っていることを特徴とする(請求
)。
【0019】本願の更に別の発明は、請求項におい
て、前記係合部及び被係合部の一方が鉤状に屈曲した溝
であり、他方が対応する形状の鉤状に屈曲した突起であ
ることを特徴とする(請求項)。
【0020】本願の更に別の発明は、請求項2,3,
4,5,6の何れかにおいて、前記目隠し部には先端側
所定長さ部分を除去するための切込みが設けられている
ことを特徴とする(請求項)。
【0021】本願の更に別の発明は、請求項2,3,
4,5,6,7の何れかにおいて、前記水切部を外向き
且つ下向き方向に傾斜しつつ延出する傾斜部と、該傾斜
部の先端より垂下する垂下部とを有する形態となし、該
水切部の内側且つその上部と下部とに第一の前記係合部
と第二の前記係合部とを形成する一方、前記目隠し部
を、該第一の係合部から内方に延出する第一板状部と、
該第一板状部の端部に形成されて、該第一の係合部に脱
着可能に係合される第一の前記被係合部と、該第一板状
部より立ち下がる立下り部と、該立下り部より外向き方
向に延びる第二板状部と、第二板状部の端部に形成さ
れ、前記第二の係合部に脱着可能に係合される第二の前
記被係合部とを有する形態となしたことを特徴とする
(請求項)。
【0022】
【作用及び発明の効果】上記請求項1の発明は、スター
タ部材を水切本体とは別体となし、これを水切本体に形
成した差込溝に差込み状に固定するようになしたもの
で、本発明によれば、外壁材を止付金具を用いて固定す
る場合又は釘打ちにて固定する場合の何れにおいても水
切本体を共通の部品として用いることができ、所要部品
種を少なくし得て、水切装置に要するコストを低減する
ことができるとともに、水切本体に対してスタータ部材
を固定するに際して従来のようにスタータ部材を釘打ち
にて固定する必要はなく、単にこれを水切本体の差込溝
に挿入するだけで簡単に取付固定することができる。従
って本発明によれば、外壁材の張付施工作業を容易化す
ることができる。
【0023】また請求項1の発明は、水切部の上面に上
向きの突出片を形成してその突出片と水切本体における
板状の被固定部との間に上記上向きの差込溝を形成する
ようになしたもので、本発明によれば、差込溝形成のた
めに設けた突出片が水切部の上面に位置しているため、
即ち最下段の外壁材とは干渉することのない低い位置に
位置しているため、外壁材を釘打ちにて固定する場合に
おいても、その最下段の外壁材が突出片に当って良好に
固定ができなくなるといったことを確実に回避できる。
【0024】請求項の発明は更に、スタータ部材に段
違い部を形成してそれより下側部分を上記差込溝内に挿
入し、そしてその段違い部を、その差込溝を形成する突
出片の上端に載置固定するようになしたもので、本発明
によれば、その段違い部によって差込溝への差込量を規
定でき、スタータ部材の水切本体に対する上下方向固定
位置を確実に一定位置に位置決めでき、ひいては最下段
の外壁材の上下方向位置を正確に位置出しすることがで
きる。
【0025】次に請求項の発明は、水切部の内側にお
いて内向き方向に延び、水切部の下端開放部と外壁材の
内側部分とを実質上遮蔽する目隠し部を水切本体とは別
体となし、そして目隠し部に被係合部を、水切本体側に
係合部を形成して、それらの係合に基づいて目隠し部を
水切本体に固定するようになしたもので、本発明によれ
ば、水切本体に対して目隠し部を固定することにより、
寒冷地用の水切装置或いはバルコニー式の水切装置を構
成することが可能となる。
【0026】即ち本発明によれば、水切本体を一般地用
の標準の水切装置,寒冷地用の水切装置,バルコニー式
の水切装置の何れにも共通に用いることが可能となり、
所要部品の種類を少なくでき、水切装置に要するコスト
を低減することができる。また目隠し部を水切本体に装
着するに際して、目隠し部の被係合部を水切本体の係合
部に係合させるだけで目隠し部を取り付けることがで
き、その取付性も良好である利点を有する。
【0027】請求項の発明は、上記係合部を差込溝と
なし、被係合部を差込部となしたもので、本発明によれ
ば、目隠し部の差込部を水切本体の差込溝に差し込むだ
けで簡単に目隠し部を水切本体に装着することができ
る。
【0028】請求項の発明は、差込溝と差込部に差込
量を規定する位置決め手段を設けたもので、本発明によ
れば、その位置決め手段によって目隠し部の差込量、即
ち目隠し部の延び出し長さを調整できる利点が得られ
る。
【0029】請求項の発明は、差込溝に形成した凹陥
部と目隠し部の差込部に形成した膨出部とで位置決め手
段を構成したもので、本発明によれば、その膨出部を凹
陥部に嵌め込むだけで簡単に目隠し部の延び出し長さを
規定することができる。
【0030】請求項の発明は、係合部及び被係合部の
一方を鉤状溝に、他方を対応する形状の鉤状突起となし
たもので、このようにすることによっても係合部と被係
合部とを簡単に係合させ、目隠し部を水切本体に対して
固定状態とすることができる。
【0031】請求項の発明は、上記目隠し部に先端側
所定部分を除去するための切込みを設けたもので、本発
明によれば、その切込部において目隠し部を所定長さ部
分除去することで、目隠し部の延び出し長さを施工現場
において簡単に調整することができる。
【0032】請求項の発明は、上記水切部を傾斜部と
垂下部とを有する形態となして、その内側の上部と下部
とに第一,第二の係合部を形成する一方、目隠し部を第
一板状部と立下り部及び第二板状部とを有する形態とな
してその第一板状部と第二板状部とに第一,第二の被係
合部を形成し、それらを上記第一,第二の係合部に係合
固定するようになしたもので、本発明の水切装置は、特
にバルコニー式の水切装置として好適に用いることがで
きる。
【0033】尚、ここで第一の係合部は水切部の上端
部、即ち傾斜部の上端部に、また第二の係合部は水切部
の下端部、即ち垂下部の下端部にそれぞれ形成すること
ができ、また係合部は上記鉤状の溝或いは突起若しくは
差込溝等とすることができ、また被係合部はこれに対応
する鉤状突起又は鉤状溝又は差込部等とすることができ
る。更に切込部の位置は、被固定部の直下の位置とする
ことができる。
【0034】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図1〜図3は本例の水切装置を用いた外壁材
の張付施工例を示したもので、図中10はコンクリート
基礎、12は土台、14A,14Bは土台12上に立設
された柱及び間柱(以下単に柱とする)で、16は防水
紙18を介して柱14A,14Bに固定された縦胴縁で
あり、これら縦胴縁16を介して外壁材20が張付固定
されている。
【0035】これら外壁材20のうち最下段の外壁材2
0の更に下側位置には、本例の水切装置22が配置され
ている。尚外壁材20はセラミック製且つ板状のもの
で、上下合决り構造となっている。即ち、各外壁材20
には上辺部に沿って嵌合突条24が、また下辺部に沿っ
て嵌合凹部26がそれぞれ形成されており、上段の外壁
材20と下段の外壁材20とがそれら嵌合突条24と嵌
合凹部26とにおいて嵌合させられるようになってい
る。
【0036】図4に示しているように上記水切装置22
は、金属製の水切本体28と、同じく金属製のスタータ
金具30とから成っている。水切本体28は、図3及び
図4に示しているように縦胴縁16に釘打ち固定される
上下方向の板状の被固定部32と、被固定部32の下端
部に設けられた水切部34とから成っており、更にその
水切部34は、被固定部32の下端から外向き方向に且
つ下向き方向に傾斜しつつ延びる傾斜部36と、傾斜部
36の先端から垂下する垂下部38とから成っている。
この垂下部38の下端部には、その内側位置において内
向き方向の折曲げ部42を有する断面L字形状のL字状
片40が一体形成されている。
【0037】一方、水切部34の傾斜部36の上面に
は、被固定部32の近傍位置において上向きの突出片4
4が一体形成されており、この突出片44と板状の被固
定部32との間に、所定深さの且つ上向き開口形状の差
込溝46が形成されている。
【0038】他方、上記スタータ金具30は水切本体2
8とは別体をなしており、その上部が外壁材20の支持
部48として、また下部が水切本体28への固定部53
として構成されている。而して支持部48は、外壁材2
0の嵌合凹部26に係合して外壁材20の下端部を支持
する係合爪50と、内方(図4中右方)に延びるアーム
51とを有しており、そのアーム51が、水切本体28
における板状の被固定部32に当接させられるようにな
っている。尚、アーム51の後端位置は後述の挿入部5
4の後面位置と同一位置とされている。
【0039】固定部53の下部はL字状に形成されてい
てそこに段違い部52と、段違い部52の下側に下向き
の挿入部54とが形成されており、その挿入部54が、
上記水切本体28における差込溝46内に挿入され、ま
た段違い部52が突出片44の上端に載置されるように
なっている。
【0040】本例においてスタータ金具30は、挿入部
54を差込溝46に挿入することで水切本体28に固定
され、そしてその固定状態において支持部48のアーム
51及び挿入部54がそれぞれ水切本体28における被
固定部32の外面に当接させられ、以てスタータ金具3
0の前後方向の位置が規定される。また段違い部52と
突出片44との当接により、即ち段違い部52が突出片
44の上端に載置されることで、上下方向位置が規定さ
れる。
【0041】このスタータ金具30は、最下段の外壁材
20の上下方向位置を位置出しする作用をなすもので、
上記のように予め上下方向位置が定められた状態で水切
本体28に固定され、そしてそのスタータ金具30にお
ける支持部48の係合爪50に対して最下段の外壁材2
0の下辺部の係合凹部26が係合支持されることで、最
下段の外壁材20の上下方向位置が規定される。
【0042】最下段の外壁材20は、次にその上端部が
中間の止付金具57(図2参照)にて躯体側に固定さ
れ、そして次にその上側に第2段目の外壁材20が配置
され、その第2段目の外壁材20の下端部が最下段の外
壁材20の上端部に合决り嵌合されるとともに、中間の
止付金具57の係合爪に係合されて支持される。またそ
の第2段目の外壁材20の上端部が更に上側に配置され
た別途の止付金具57によって躯体側に固定される。以
下同様のことが下方から上方に繰り返され、順次外壁材
20が躯体側に張付固定されて行く。
【0043】以上は止付金具にて外壁材20を躯体側に
固定して行く金具止め工法の場合であるが、このような
止付金具57を用いずに、外壁材20を釘打ちにて躯体
側に固定して行く工法も用いられる。この場合、最下段
の外壁材20を躯体側に固定するに際してスタータ金具
30が邪魔となるが、本例においてはスタータ金具30
が水切本体28とは別体に構成されているため、このス
タータ金具30を水切本体28から外すことによってそ
のまま、即ち同じ水切本体28を用いて外壁材20を釘
打ちにて躯体側に張付固定することができる。
【0044】本例においては、スタータ金具30の固定
用の差込溝46を形成する突出片44が、最下段の外壁
材20と干渉することのない低い位置に形成されている
ため、スタータ金具30を外すだけでそのまま最下段の
外壁材20を、同じ水切本体28を用いて良好に躯体側
に張付固定することができるのである。
【0045】上記のように本例においては、外壁材20
を金具止め工法(止付金具を用いる工法)にて張付施工
する場合、スタータ金具30を水切本体28に固定する
が、その際スタータ金具30は、挿入部54を水切本体
28の差込溝46に差し込むだけで簡単に水切本体28
に取り付けることができ、ひいては外壁材20の張付作
業を容易なものとすることができる。
【0046】また本例においては外壁材20を金具止め
工法にて躯体側に固定する場合、或いは釘止め工法にて
躯体側に固定する場合の何れにおいても水切本体28を
共通に用いることができ、従って本例によれば水切装置
に要するコストを低減することができる。
【0047】更に本例においては段違い部52の、突出
片44への載置固定に基づいてスタータ金具30の差込
溝46への差込量を規定でき、容易にスタータ金具30
の上下方向位置を規定できるとともに、挿入部54とア
ーム51との被固定部32への当接に基づいて前後方向
位置を正確に位置出しすることができる。
【0048】次に図5は寒冷地用、つまり通気用の水切
装置の例を示したもので、この水切装置58の場合(但
しスタータ金具は図示が省略されている)、水切部34
の上端部且つ内側に、板状の被固定部32を下向きに延
長した形態の延出部60を介してコ字形状部61が一体
に形成されている。コ字形状部61の内側には係合部
(第一の係合部)としての弾性差込溝62が形成されて
おり、この差込溝62内部に目隠し部となる板状の目隠
し板64が差し込まれ、固定されるようになっている。
【0049】即ちこの目隠し板64の端部(図5中左端
部)は差込部(第一の被係合部)65とされていて、そ
の差込部65の端部に膨出部66が形成されており、ま
た一方差込溝62には溝の深さ方向に沿って複数の凹陥
部68が形成されており、それら膨出部66と凹陥部6
8との弾性嵌合に基づいて、目隠し板64の差込量が規
定されるようになっている。
【0050】上記のように本例においては目隠し板64
を、詳しくは目隠し板64の差込部65を差込溝62に
差し込むだけで、簡単に水切装置58に目隠し部を形成
することができ、水切装置58を寒冷地用、即ち通気用
の水切装置として用いることができる(図示は省略する
が、目隠し板64には通気孔が形成されている)。また
一方、目隠し板64を取り外すことによって通常の水切
装置、即ち一般地の標準用の水切装置として使用するこ
ともできる。
【0051】本例によれば、水切装置を寒冷地用の水切
装置として又は標準用の水切装置として構成する場合の
何れにおいても水切本体28を共通の部品として用いる
ことができ、所要部品の種類を少なくし得て、水切装置
に要するコストを低減することができる。
【0052】加えて本例においては、上記膨出部66と
凹陥部68との弾性嵌合に基づいて、目隠し板64の差
込み深さを規定することができることから、例えば地域
によって縦胴縁16のサイズ、具体的には縦胴縁16の
図2中左右方向の厚みが異なる場合において、その目隠
し板64の差込み深さを規定することにより、つまり目
隠し板64にて構成される目隠し部の延出長さをコント
ロールすることにより、容易に縦胴縁16の厚みの変化
に対して対応することができる。尚、70は従来のスタ
ータ金具を載置させて上下方向の位置決めをなす位置決
め突起であり、被固定部32に一体に形成されている。
【0053】次に図6は寒冷地用として好適な水切装置
の他の例を示したもので、この例では水切部34の内側
にコ字形状部61を上下に一定間隔をおいて2段に設け
ており、それぞれの差込溝62に対して目隠し板64を
差込み可能としている。尚、本例においてもスタータ金
具は図示が省略されている。本例の水切装置72は、上
記第二の実施例の水切装置58の利点に加えて以下のよ
うな利点を有している。
【0054】寒冷地用の水切装置を用いて外壁材20の
張付施工を行う場合、軒天部において割付け、即ち位置
出しを行う場合がある。この場合、水切装置の上下方向
位置をコントロールする必要が生じる場合があるが、こ
の場合において目隠し部の位置によってはその目隠し部
がコンクリート基礎等に当ってしまって正確な上下位置
調整ができなくなる場合が生ずる。しかるに本例におい
てはその目隠し部、つまり目隠し板64の上下方向位置
を変更することができるため、そのような場合にも支障
なく対応することができる。
【0055】尚、本例においては図6に示しているよう
に目隠し板64の左右方向一端に膨出部66を設ける一
方、反対側端から一定距離離れた位置に他の膨出部74
を設けており、従ってその差込み方向を左右逆方向とす
ることによって、目隠し板64にて構成される目隠し部
の延出長さを調節できる利点も併せ有している。
【0056】次に、図7は図4に示す第一の実施例と図
5に示す第二の実施例とを組み合わせた形態の水切装置
76を示したもので、この水切装置76は、上記図4に
示す第一の実施例の水切装置22の利点と図5に示す第
二の実施例の水切装置58の利点とを併せ有している。
【0057】次に図8は、図7に示す水切装置76と同
種の水切装置の変形例を示したもので、この水切装置7
7の場合、水切部34の上端部且つ内側に、傾斜部36
の上端部下面から下向きに延び出させた延出部60を介
してコ字形状部61を一体に設けている。
【0058】また一方、目隠し板64の左右方向一端側
に第一の被係合部としての厚肉の差込部78を形成して
その差込部78の端部に膨出部80を形成し、そして差
込部78を差込溝62内に弾性的に差し込むとともに、
膨出部80を差込溝62の複数の凹陥部68の何れかに
弾性嵌合させることによって、目隠し板64の差込み深
さ、つまり目隠し部の延出長さLを調整するようにして
いる。
【0059】一方、水切本体28における板状の被固定
部32には、その下端部に厚肉部84を形成し、その厚
肉部84と水切部34における傾斜部36の上面に上向
き突出状に設けた突出片44との間に差込溝46を形成
し、そこにスタータ金具30における段違い部82の下
側の挿入部54を挿入するようにしている。尚、本例に
おいては水切部34の内側且つ下部に、詳しくは垂下部
38の下端部に、上記L字状片に代えて上向きの曲起し
形状の係合部(第二の係合部)86を形成している。
尚、図8において88は目隠し板64に設けた通気孔で
ある。
【0060】次に図9は図8に示す水切本体28及びス
タータ金具30を用いてバルコニー式水切装置を構成し
た例を示したもので、図示のようにこの水切装置90の
場合、目隠し板92の形態が異なっている。即ち、本例
において目隠し板92は、第一板状部94と、その先端
より立ち下がる立下り部96及びその下端より外方に延
び出す第二板状部98とを備えており、その第一板状部
94の厚肉の差込部(第一の被係合部)78において差
込溝62内に差し込まれて固定され、また第二板状部9
8の先端部のL字状の被係合部(第二の被係合部)10
0において、水切部34の垂下部38における係合部
(第二の係合部)86に係合・固定されている。ここで
第二板状部98は、水切部34の垂下部38の下端と同
一位置に位置させられている。
【0061】図10はバルコニー式水切装置として好適
な他の形態例を示したものである。この例の水切装置1
02では、被固定部32の下端部に、被固定部32にお
ける他部と等しい肉厚の迫出し部104を形成して、こ
の迫出し部104と突出片44とで差込溝46を形成し
ている。また目隠し板92を、第一板状部94と、その
内端より立ち下がる立下り部96及び立下り部96より
外方に延びる第二板状部98とを有する形態となし、そ
の第一板状部94と第二板状部98とを補強部105に
て連結・補強している。
【0062】この目隠し板92における第一板状部94
と第二板状部98の各先端部には、鉤状に屈曲した形状
の突起及び溝からなる第一の被係合部106と第二の被
係合部108とが形成されており、それらが水切本体2
8における水切部34の内側上端部と下端部とにそれぞ
れ形成された、鉤状に屈曲する形の溝と突起とからなる
第一の係合部110及び第二の係合部112に対してそ
れぞれ脱着可能に係合・固定されている。
【0063】図11は図10における水切本体28及び
スタータ金具30を用いて寒冷地用の水切装置116を
構成した例を示している。この例では、板状の目隠し板
64の一端部に鉤状に屈曲する形状の溝からなる第二の
被係合部108を形成して、この第二の被係合部108
を水切本体28側の第二の係合部112に係合・固定す
るようにしている。ここで目隠し板64には、先端側
(図中右側)所定長さ部分を除去するための切込み11
4が設けられている。
【0064】図12は図11の水切装置116の施工例
を示したもので、図に示しているようにこの水切装置1
16の場合、コンクリート基礎10の前面が予定された
位置よりも前側に突き出した状態で形成されている場
合、切込み114において目隠し板64を一部切断・除
去することで、コンクリート基礎10の出張りに対して
容易に且つ現場において対応することができる。
【0065】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である水切装置を用いた外壁
材の施工例を示したものである。
【図2】図1の施工構造の要部断面図である。
【図3】図1及び図2の施工構造の一部切欠き要部斜視
図である。
【図4】図1ないし図3における水切装置を水切本体と
スタータ金具とに分解して示す図である。
【図5】本発明の他の実施例の水切装置の図である。
【図6】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図7】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図8】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図9】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図10】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図11】本発明の更に他の実施例の水切装置の図であ
る。
【図12】図11の水切装置の施工例を示す図である。
【図13】従来の水切装置を施工状態において示す図で
ある。
【図14】図13の水切装置においてスタータ金具を一
体に形成した場合の例を示す図である。
【図15】図13とは異なる形態の従来の水切装置の例
を施工状態で示す図である。
【図16】図13及び図15とは異なる形態の従来の水
切装置を施工状態で示す図である。
【符号の説明】
10 コンクリート基礎 12 土台 14A,14B 柱 16 縦胴縁 20 外壁材 22,58,72,76,77,90,102,116
水切装置 28 水切本体 30 スタータ金具 32 被固定部 34 水切部 36 傾斜部 38 垂下部 44 突出片 46 差込溝 48 支持部 52,82 段違い部 53 固定部 54 挿入部 60 延出部 62 差込溝(第一の係合部) 64,92 目隠し板 66,74,80 膨出部 68 凹陥部 78 差込部(第一の被係合部) 86 係合部(第二の係合部) 94 第一板状部 96 立下り部 98 第二板状部 100 被係合部(第二の被係合部) 106 第一の被係合部 108 第二の被係合部 110 第一の係合部 112 第二の係合部 114 切込み
フロントページの続き (56)参考文献 実開 平2−149038(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/64 E04F 19/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 躯体側の外壁材の被施工面に止め付けら
    れる上下方向の板状の被固定部及び該被固定部の下端側
    より該被施工面から離れる外向き方向に延出する水切部
    を有する水切本体と、該水切本体に固定され、最下段の
    外壁材の下端部を上下方向に位置決めし且つ支持するス
    タータ部材とを備えた水切装置において該スタータ部材
    を前記水切本体とは別体となすとともに該スタータ部材
    を、前記外壁材の下端部を支持する支持部と該水切本体
    への固定部とを有する形態となす一方、該水切本体にお
    ける前記水切部の上面に上向きの突出片を形成し、該突
    出片と前記板状の被固定部との間に上向き開口状の差込
    溝を形成して、該スタータ部材を該差込溝に差込み状に
    固定するようになし、且つ該スタータ部材には前記固定
    部の下端近傍部位に段違い部を形成し、該段違い部の下
    側部分を挿入部として該挿入部を前記差込溝に挿入する
    とともに、該段違い部を前記突出片の上端への載置部と
    なしたことを特徴とする水切装置。
  2. 【請求項2】 躯体側の外壁材の被施工面に止め付けら
    れる上下方向の板状の被固定部及び該被固定部の下端側
    より該被施工面から離れる外向き方向に延出する水切部
    を有する水切本体と、該水切本体に固定され、最下段の
    外壁材の下端部を上下方向に位置決めし且つ支持するス
    タータ部材とを備えた水切装置において前記水切部の内
    側において前記水切本体より内向き方向に延び、前記外
    壁材の内側空間と該水切部の下部空間とを実質上遮蔽す
    るための目隠し部を該水切本体とは別体となして、該目
    隠し部の側に被係合部を、また該水切本体側に該被係合
    部を脱着可能に係合させる係合部を設け、それらの係合
    に基づき該目隠し部を該水切本体に固定するようになし
    たことを特徴とする水切装置。
  3. 【請求項3】 請求項において、前記係合部を差込溝
    となし、前記被係合部を該差込溝内部に差し込まれる差
    込部となしたことを特徴とする水切装置。
  4. 【請求項4】 請求項において、前記係合部としての
    差込溝及び被係合部としての差込部に差込量を規定する
    位置決め手段を設けたことを特徴とする水切装置。
  5. 【請求項5】 請求項において、前記差込溝が弾性差
    込溝とされており、前記位置決め手段が該差込溝に形成
    された部分的な凹陥部と、前記差込部に形成され、該凹
    陥部内に弾性的に嵌まり込む部分的な膨出部とから成っ
    ていることを特徴とする水切装置。
  6. 【請求項6】 請求項において、前記係合部及び被係
    合部の一方が鉤状に屈曲した溝であり、他方が対応する
    形状の鉤状に屈曲した突起であることを特徴とする水切
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項2,3,4,5,6の何れかにお
    いて、前記目隠し部には先端側所定長さ部分を除去する
    ための切込みが設けられていることを特徴とする水切装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項2,3,4,5,6,7の何れか
    において、前記水切部を外向き且つ下向き方向に傾斜し
    つつ延出する傾斜部と、該傾斜部の先端より垂下する垂
    下部とを有する形態となし、該水切部の内側且つその上
    部と下部とに第一の前記係合部と第二の前記係合部とを
    形成する一方、前記目隠し部を、該第一の係合部から内
    方に延出する第一板状部と、該第一板状部の端部に形成
    されて該第一の係合部に脱着可能に係合される第一の前
    記被係合部と、該第一板状部より立ち下がる立下り部
    と、該立下り部より外向き方向に延びる第二板状部と、
    第二板状部の端部に形成され、前記第二の係合部に脱着
    可能に係合される第二の前記被係合部とを有する形態と
    なしたことを特徴とする水切装置。
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