JP4839241B2 - 水切具及び建物 - Google Patents

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Description

本発明は、水切具及び建物に関する。
住宅等の建物において、外壁を伝って流下する雨水等が外壁と基礎との隙間から建物内部に浸入することを防止するために、外壁の下端部分に水切具を設ける技術が知られている。これによれば、外壁を伝って流下してきた雨水等を建物内部に浸入させることなく水切具の下端から流下させることができる。
ここで一般には、水切具は外壁にビスを用いて取り付けられる。この場合、外壁の下端部と基礎との間は狭小であり、その取り付け作業が困難であるという問題があった。また、水切具を外壁に取り付けるビスが屋外に露出していると、雨水等によりビスが錆びたり、ビスの取付間隔が不均等な箇所(ビスピッチの乱れ)が見えて建物の美観が損なわれるといった問題があった。
上記問題の対策として、例えば、在来工法において、水切具を外壁下地にビス固定し、さらにその屋外側にビスを覆うようにして外装材を取り付ける取付構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、ビスは外装材によって覆われるため、屋外側から直接見えることはない。しかし、このような在来工法による住宅の場合であれば、上記の取付構造を採り得ることは可能であるが、工業化住宅の場合には不可能である。すなわち、工業化住宅の場合には、外装材の背面側に外壁下地を予め組み付けた外壁パネルが用いられる。この場合、外装材と外壁下地との間に隙間がなく、外壁下地に水切具をビス固定することができないからである。
また、ビスを用いることなく水切具を外壁パネルに取り付けることのできる取付構造が提案されている。例えば、特許文献2の水切具は、屋外側へ延びる水切本体と、バネ性を有するバネ板により形成された水切押さえ具とを備えている。そして、この水切本体を、外装材よりも下方に突出している外壁下地の屋外側側面に当接させるとともに、水切押さえ具を基礎の天端と外壁パネルとの間に配することにより、水切本体を外壁下地の屋外側側面に押し付けて保持している。これにより、ビス止め作業をなくし施工容易性を向上させることができるものとされている。
しかし、上記特許文献2の水切具では、水切押さえ具を外壁パネルと基礎の天端との狭い間に配する取付作業が困難である。また、その取付作業が不十分である場合には、水切本体の取付状態が不安定になるという懸念がある。
特開2001−152655号公報 特開平9−13515号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、建物の美観を損なわず、かつ施工性にも優れた水切具、及びその水切具を備えた建物を提供することを主たる目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明は、外装材と外壁下地材とが予め組み付けられている外壁パネルの下端部に設けられる水切具であって、前記外壁パネルの下端部よりも下方に垂れ下がった状態で前記外壁下地材に対して取り付けられるブラケットと、上下方向に延びる水切板部を有し、その水切板部の背面側にて前記ブラケットを隠すように同ブラケットに対して取り付けられる水切本体とを備えることを特徴とする。
一般に、外壁パネルの下端部において水切具が取り付けられる部位(本発明ではブラケットが設けられる部位)は狭小である。また特に、工業化住宅等で用いられる外壁パネルは、外装材と外壁下地材とが予め組み付けられており、外壁下地材に水切具を取り付ける場合に多くの制約が生じる。そのため、水切具の取り付け作業が困難になっている。これに対し、本発明では、ブラケットによって取り付け部位が拡張されるため、その取り付け作業が容易となる。また、水切本体の水切板部の背面側にてブラケットが隠されるため、ブラケットが屋外から直接見えることはなく建物の美観が損なわれることもない。
また、前記水切本体は長尺状をなす一方、前記ブラケットは、少なくとも前記外壁下地材に対する取付代を有する長さの短尺状をなしていることが望ましい。すなわち、前述のとおり外壁パネルの下端部における水切具の取り付け部位は狭小であるが、外壁パネルに先付けされるブラケットは短尺で取り扱いが容易であるため、ブラケットについて、外壁パネルに対する取り付け作業が容易となる。また、ブラケットによって取り付け部位が拡張されているため、水切本体について、それが長尺であってもその取り付け作業が容易となる。
前記ブラケットは、前記外壁下地材にビスにより固定されることが望ましい。この場合、ビスによってブラケットを外壁下地材に強固に固定することができる。上記のとおり、ブラケットが水切板部により隠されることから、ビスに雨水等が直接かかることはない。その結果、ビスが錆びる等の不都合が抑制され、水切具の品質を好適に維持することができる。さらに、ビスピッチの乱れが生じる場合であっても、建物の美観が損なわれることがない。
前記水切本体には、前記水切板部の背面側に延びる起立部が設けられ、前記ブラケットには、前記水切板部に対向しかつ前記外壁パネルへの取り付け状態で当該外壁パネルから垂れ下がる垂下板部が設けられるともに、その垂下板部に、前記水切板部の起立部に対して結合可能とされる結合受け部が設けられているとよい。
上記構成によれば、水切本体の水切板部の背面側に設けられた起立部と、ブラケットの垂下板部に設けられた結合受け部とによって水切本体とブラケットとが結合される。この場合、水切本体の水切板部は、水切を行うのに十分な上下寸法を有しているため、その背後において十分な結合スペースが確保できる。
前記水切本体の起立部と前記ブラケットの結合受け部には、少なくとも一方の弾性変形により結合状態となる係合部がそれぞれ設けられているとよい。この場合、ブラケットに押し付けることによって水切本体を容易に取り付けることができる。
前記水切本体の起立部及び前記ブラケットの結合受け部にそれぞれ設けられた各係合部には、ブラケットに対する水切本体の着脱時において係合状態及び係合解除状態になるのを補助するための傾斜面が形成されているとよい。本構成では、水切本体及びブラケットにそれぞれ設けられた各係合部は、傾斜面に案内されながら係合状態又は係合解除状態となる。係る場合、ブラケットに対して水切本体を装着する際にその装着が容易になるばかりか、ブラケットから水切本体を離脱させる際にその離脱が容易となる。したがって、水切本体が汚れたり破損したりした場合に、その交換作業を容易に行うこともできる。
前記水切本体には、前記水切板部の背面側に上下2カ所に離間して前記起立部が設けられ、前記ブラケットには、前記起立部の位置に合わせて前記結合受け部が設けられているとよい。この場合、水切本体がブラケットに取り付けられた状態では、水切本体が上下2カ所の起立部によって支持されるため、水切本体を安定した状態で保持できる。
前記水切本体の起立部は、当該水切本体の長手方向に同一断面形状で延びる連続体にて形成されているとよい。水切本体が上記のとおり連続体で形成されることにより、当該水切本体のいずれの部位であっても、ブラケットに対する取り付けを行うことができる。また、ブラケットに対して一旦取り付けた状態で、その長手方向へのスライド移動が可能となる。したがって、水切本体の位置調整等を容易に行うことができる。
前記水切本体の水切板部には、前記ブラケットを下方から覆う下板部が設けられているとよい。この場合、水切具が建物に取り付けられた状態において、下板部によって外壁パネルと基礎との隙間が狭小化される。かかる構成では、下板部の存在によって、水切本体を外壁パネルに直接取り付けることが困難になるが、上記のとおりブラケットを先付けする構成を採用することにより、水切本体の取り付け作業に支障が生じることもない。
前記水切本体には、鼠等の小動物の侵入を阻止する大きさの多数の小穴を有する鼠返し部が設けられているとよい。これにより、水切具に、水切機能に加えて、床下等に対する鼠等の小動物の侵入を阻止する小動物侵入阻止機能を付加することができる。
上述した特徴的な構成を有する水切具が取り付けられる建物にあっては、前記外壁パネルの下端部に、前記ブラケットが互いに離間して複数取り付けられ、その複数のブラケットに架け渡すようにして前記水切本体が取り付けられているとよい。これにより、建物において、水切本体を安定した状態で保持することができる。
建物においては、次の(1),(2)のごとくブラケットが取り付けられているとよい。
(1)ブラケットは、隣接する2枚の外壁パネルの繋ぎ合わせ部に取り付けられているとよい。ここで、水切本体は、複数の外壁パネルを跨ぐようにして外壁パネルの下端部に取り付けられるが、その複数の外壁パネルの繋ぎ合わせ部分にブラケットが設けられることにより、各外壁パネル間で位置ずれ(ブラケット取付部位のずれ)が生じたとしても、水切本体を適正な状態で保持できる。
(2)ブラケットは、2つの水切本体の繋ぎ合わせ部に設けられ、1つのブラケットに対して2つの水切本体の端部が支持されているとよい。この場合、水切本体の端部の浮きが防止される。
[第1の実施形態]
以下に、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1の実施形態において、建物は、鉄骨軸組工法により建造された建物であり、その建物の外壁パネルに水切具が取り付けられるものとなっている。なお、図1は第1の実施形態における水切具の概要を示す斜視図、図2は水切具が建物に取り付けられている状態を示す縦断面図、図3(a)はブラケットと水切本体とが離れている状態を示す縦断面図、(b)はブラケットと水切本体とが結合されている状態を示す縦断面図である。
図2に示すように、建物10の基礎12の天端には、柱13を固定する矩形平板状の柱脚プレート14が設けられている。柱脚プレート14は、柱13ごとに複数設けられ、その複数の柱脚プレート14間に架け渡すようにして、断面L字形状のアングル15がボルト16により固定されている。アングル15は、直立辺が屋外側に位置するようにして柱脚プレート14に設けられている。
アングル15の直立辺には、外壁パネル21がボルト17により固定されている。これにより、外壁パネル21が建物10に取り付けられている。外壁パネル21は、外装材22とその背面側に取り付けられる下地フレーム23とから構成されている。下地フレーム23は、複数本の溝形鋼により構成され、そのうち下フレーム材23aの一部が外装材22の下縁よりも下方にはみ出して取り付けられている。本実施形態では、この下フレーム材23aのはみ出している部分の高さ寸法(図示の上下寸法)が10mmに設定されている。ここで、外壁パネル21は、基礎12の側面部(屋外側側面)よりも屋外側に設けられている。
そして、下フレーム材23aのはみ出し部分に水切具11が取り付けられている。水切具11は、いずれもアルミニウム製の押し出し成型品よりなるブラケット31と水切本体41とを有する構成となっており、建物10においてはそれらブラケット31と水切本体41とが一体化された状態で水切具11が外壁パネル21に取り付けられるようになっている。
以下、水切具11の詳細を図3により説明する。なお、以下の説明では、図3に示す向き、すなわち外壁パネル21に取り付けられる向きを基準として上下方向を記述する。
ブラケット31は、外壁パネル21の下フレーム材23aに固定され、かつ水切本体41を着脱可能に支持するものである。ブラケット31は断面略L字状をなす取付基部32を有しており、取付基部32の垂直部分が縦辺部32a、水平部分が横辺部32bとなっている。ブラケット31を下フレーム材23aに取り付ける場合には、取付基部32の縦辺部32a及び横辺部32bが下フレーム材23aの2辺(ウエブ及びフランジ)に当接され、その状態で縦辺部32aにて金属製のビス61(小ネジ)による締結固定が行われるようになっている。なお、取付基部32の縦辺部32aは、外装材22に干渉することなく取付基部32を下フレーム材23aのはみ出し部分に取り付けることができかつビス固定が可能となる寸法にて形成されている。また、横辺部32bの幅寸法(図示の横寸法)は縦辺部32aの高さ寸法(図示の上下寸法)よりも長く形成されている。このため、ブラケット31が下フレーム材23aに安定した状態で締結固定させることができる。
一方、水切本体41は、上下方向に水切面を形成する水切板部42を有している。この水切板部42は、少なくとも外壁パネル21(外装材22)の下端と基礎12の天端との間にできる隙間を隠すことができる長さ寸法(図示の上下寸法)を有するものであり、垂直面部42aの上端部には、背後側(水切面とは逆側)に傾斜する傾斜面部42bが形成されている。
水切本体41は長尺状に形成されている。また、ブラケット31は、水切本体41に比べて短尺に形成されている。ブラケット31は、2つの水切本体41の繋ぎ合わせ部分等で用いられるものであり、その繋ぎ合わせ部分で2つの水切本体41が共に連結できるだけの幅寸法で形成されている。
また、ブラケット31と水切本体41とを一体化するための構成として、これら各部材には互いを支持するための支持構造が設けられており、以下、その支持構造を詳しく説明する。
ブラケット31において、取付基部32にはその下方に延びる支持板部34が一体に形成されており、その支持板部34に上下一対の支持アーム部35が形成されている。また、水切本体41において、水切板部42には、その背面側(すなわち、ブラケット側)に上下一対の支持アーム部43が一体に形成されている。なお以下の説明では、ブラケット31に設けられた支持アーム部35を「ブラケット側アーム部35」、水切本体41に設けられた支持アーム部43を「本体側アーム部43」と称する。
ブラケット側アーム部35は、ブラケット31の長手方向に同一断面形状で延びる連続体にて形成されている。本体側アーム部43も同様に、水切本体41の長手方向に同一断面形状で延びる連続体にて形成されている。
また、ブラケット側アーム部35と本体側アーム部43とは、各々ほぼ同じ間隔を隔てて上下に設けられている。各支持アーム部35,43の先端部には互いを係合状態とする係合部36,44が形成されている。この場合、ブラケット側アーム部35においては、上下2つの係合部36が互いに逆側(いずれも外側)に向けて傾斜する傾斜部として形成されている。すなわち、上側の係合部36は上方に向けて傾斜し、下側の係合部36は下方に向けて傾斜している。各係合部36には、内側に向けて突出する断面略台形状の係合突起部36aが形成されている。
本体側アーム部43においては、上下2つの係合部44が互いに逆側(いずれも内側)に向けて折れ曲がった折り曲げ部として形成されている。すなわち、上側の係合部44は下方に向けて折れ曲がり、下側の係合部44は上方に向けて折れ曲がっている。各係合部44は、ブラケット側アーム部35の係合部36に合わせて折り曲げ形成されており、その折り曲げにより形成された係合凹部44aに係合突起部36aが入り込む構成となっている。係合凹部44aは、ブラケット側アーム部35の係合突起部36aの形状、大きさに合わせて形成されている。
各係合部44の先端部は、互いに逆側(いずれも内側)に向けて傾斜するガイド部44bとなっている。ガイド部44bの傾斜の向きは、ブラケット側アーム部35に形成した係合部36の傾斜の向きと逆であり、このガイド部44bにより、ブラケット側アーム部35と本体側アーム部43とを結合させる際において、ブラケット側アーム部35の上下2つの係合部36の間に本体側アーム部43の上下2つの係合部44が案内されるようになっている。
ブラケット31と水切本体41とを一体化させる場合には、ブラケット31に形成されている上下一対のブラケット側アーム部35の間に、水切本体41に形成されている上下一対の本体側アーム部43を差し入れるようにして、各支持アーム部35,43の先端同士を接触させてその状態で水切本体41をブラケット31に押し付ける。これにより、ブラケット側アーム部35と本体側アーム部43との弾性変形を伴いつつ、各アーム部35,43の係合部36,44が係合される。このとき、本体側アーム部43の係合凹部44aにブラケット側アーム部35の係合突起部36aが入り込んだ状態となる。
ブラケット31と水切本体41とが一体化された図3(b)の状態では、上下一対のブラケット側アーム部35の係合部36により、同じく上下一対の本体側アーム部43の係合部44が挟まれているため、上下方向に安定した状態で水切本体41がブラケット31に支持される。また、ブラケット側アーム部35の係合部36に形成した係合突起部36aが、本体側アーム部43の係合部44に形成した係合凹部44aに入り込むため、前後方向(着脱方向)にも安定した状態で水切本体41がブラケット31に支持される。
さらに、水切本体41は、上下方向及び前後方向には安定した状態でブラケット31に支持されるが、横方向(水切本体41の長手方向)には支持されない構成となっているため、水切本体41をブラケット31に装着した状態で、同水切本体41を横方向(水切本体41の長手方向)にスライドさせることが可能となっている。
また、ブラケット側アーム部35及び本体側アーム部43の各係合部36,44には、ブラケット31に対する水切本体41の着脱時において係合状態及び係合解除状態になるのを補助するための傾斜面(図3(a)に示すF1,F2)が形成されているため、この傾斜面に案内されながら各係合部36,44が係合状態又は係合解除状態となる。したがって、ブラケット31に対して水切本体41を装着する際にその装着が容易になるばかりか、ブラケット31から水切本体41を離脱させる際にその離脱が容易となるようになっている。
水切本体41において、水切板部42の下端部付近にはその背後に延びる下面板部46が一体に形成されている。下面板部46は、その端部と基礎12との隙間において床下換気が行える程度の長さ寸法(奥行寸法)に設定されている。下面板部46には、鼠返し取付部47が一体に形成されている。鼠返し取付部47は、下面板部46に対して垂直に立ち上がる立ち上がり部47aと、その上端より背面側(ブラケット側)へ延びる固定部47bとを有している。固定部47bには、鋼板製の鼠返し板部48が設けられている。鼠返し板部48には、図1に示すように、外壁パネル21の延びる方向に所定間隔をおいて断面矩形状の通気孔48aが複数形成されている。これにより、床下の湿った空気が通気孔48aを通って屋外へ排出され好適に床下換気が行われる。
次に、水切具11の建物10への取付け手順について、図1、図2、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4はブラケット31の配置例を示す平面図、図5は水切本体41のブラケット31への取付け手順を示す斜視図である。また、ここでは建物10の直線部への取付け手順を例に説明する。
まずは、図1及び図2に示すように、ブラケット31の取付基部32を下フレーム材23aのはみ出し部分の屋外側角部に当接させて、縦辺部32aの左右2箇所にてビス61によりブラケット31を下フレーム材23aに取り付ける。このとき、ブラケット31は、下フレーム材23aのはみ出し部分、すなわち比較的狭小な部位に取り付けられるが、水切本体41に比べて相当に小さい部材であるため、その取り扱いが容易であり、取り付け作業の煩わしさが解消されている。
ここで、下フレーム材23aには複数のブラケット31が取り付けられ、その際、以下の(1)〜(3)のいずれかに相当する部位にブラケット31がそれぞれ取り付けられる。なお、図4は、外壁パネル21に対するブラケット31の取付位置を示す平面図である。
(1)2枚の外壁パネル21の繋ぎ合わせ部分(図4の31A)。
(2)2つの水切本体41の繋ぎ合わせ部分(図4の31B)。
(3)ブラケット31の設置間隔が所定間隔L以下となる部位(図4の31C)。
上記(3)の所定間隔Lは、例えば500mmである。
そして、ブラケット31が取り付けられた後、図5に示すように、複数の水切本体41をそれぞれブラケット31に押し付けて取り付けていく。このとき、ブラケット31が外壁パネル21の下端部よりも下方に垂れ下がっていることで、水切本体41の取付部位が拡張されている。そのため、水切本体11が取り付け易くなっている。また、ブラケット31に対する水切本体41の取り付け作業は押し付け動作のみでよいため、長尺の水切本体41を両手で支えた状態であっても、その取り付けを容易に行うことができる。
複数の水切本体41の取り付けに際し、後に取り付けられる水切本体41は、先に取り付けられた水切本体41の端部に対して若干の隙間を有した状態で取り付けられる(図5の実線の状態)。そして、その取り付け後、水切本体41を横方向(水切本体41の長手方向)にスライドさせることで、各水切本体41の端部同士が隙間なく当接するようになっている。この状態では、各水切本体41の両端部及び中間部が複数のブラケット31によって支持されている。また、水切本体41同士の繋ぎ合わせ部分に配されたブラケット31は、2つの水切本体41に跨ってそれら両水切本体41を支持している。
なお、水切本体41同士の繋ぎ合わせ部分には、本体側アーム部43間に嵌合されてその繋ぎ合わせ部分を連結する断面略コ字状のジョイナー(図示略)が取り付けられてもよい。
以上の取付け手順により水切具11が下地フレーム23に取り付けられる。また、上記した建物10の直線部だけでなく、出隅部や入隅部等においても、ブラケット31を所定位置に配置させることにより、ほぼ同様の取付手順により取り付けられる。例えば、出隅部であれば、平面視においてL字状の水切本体41が出隅部の角に取り付けられることとなる。
上記のごとく建物10に取り付けられた水切具11によれば、図2に示すように、外装材22の表面と水切板部42の表面とが略面一になっている。そのため、外装材22の下縁から流下する雨水等が水切板部42を伝って、その下端から流下される。これにより雨水等の水分が外壁パネル21と基礎12との間から建物10内へ浸入することを抑制することができる。
また、水切板部42に形成された傾斜面部42bは、外装材22の下縁付近まで延びている。そのため、傾斜面部42bによりビス61が隠され、屋外側から直接見えなくなっている。
鼠返し板部48の屋内側端部は、基礎12に接触することなく、基礎12の天端上方に至るまで延びている。また、基礎12の天端と鼠返し部48とに形成される隙間は鼠等の小動物が通過できない程度となっており、床下への鼠等の小動物の侵入が抑制されるようになっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す有利な効果が得られる。
水切本体41をブラケット31に取り付けた状態で、ブラケット31が水切本体41(詳しくは水切板部42)により隠れるようにした。これにより、ブラケット31が屋外から直接見えることはなく建物10の美観が損なわれることはない。
ブラケット31をビス61により外壁パネル21に取り付けた。これにより、ブラケット31を外壁パネル21に強固に取り付けることができる。また、上記のとおり、ブラケット31が水切本体41により隠れるため、ビス61に雨水等が直接かかることはない。その結果、ビス61が錆びる等の不都合が抑制され、水切具11の品質を好適に維持することができる。さらに、ビスピッチの乱れ(本実施形態ではブラケット31の左右両端にビス61が取り付けられている)が、屋外から見えることもないため、建物10の美観が損なわれることもない。
ブラケット側アーム部35を、ブラケット31の長手方向に同一断面形状で延びる連続体として形成した。本体側アーム部43も同様に、水切本体41の長手方向に同一断面形状で延びる連続体として形成した。これにより、ブラケット31に対する水切本体41の取り付けや位置調節を容易に行うことができる。具体的には、水切本体41をブラケット31が取り付けられている高さに位置合わせさえすれば、ブラケット31のどこにでも取り付けることができ、また、ブラケット31に装着した状態で水切本体41を横方向(水切本体41の長手方向)にスライドさせて位置調整を行うことができる。
ブラケット側アーム部35及び本体側アーム部43の各係合部36,44に、傾斜面(図3(a)に示すF1,F2)を形成した。これにより、ブラケット31からの水切本体41が脱着可能となり、水切本体41が汚れたり破損したりした場合には、その交換作業を容易に行うことができる。
水切本体41の水切板部42に、ブラケット31を下方から覆う下面板部46を設けるとともに、その下面板部46に複数の通気孔48aを有する鼠返し板部48を設けた。これにより、床下換気の効果を損なうことなく、鼠等の小動物の侵入を阻止することができる。また、ブラケット31を外壁パネル21に先付けする構成としたため、水切本体41の取り付け作業に支障が生じることもない。
外壁パネル21の下端部に、短尺状のブラケット31を互いに離間して複数取り付け、その複数のブラケット31に架け渡すようにして水切本体41を取り付けた。これにより、水切本体41を安定した状態で保持することができる。
また、ブラケット31の取り付け箇所を、隣接する2枚の外壁パネル21の繋ぎ合わせ部分としたことにより、水切具31の取り付け時点で、外壁パネル21間で位置ずれが生じていたり、水切具31の取り付け後に、地震や経年変化等により外壁パネル21間で位置ずれが生じたりしたとしても、水切本体41を適正な状態で保持できる。さらに、2つの水切本体41の繋ぎ合わせ部分にも取り付けたことにより、水切本体41の端部の浮きが防止される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6には、本実施形態における水切具71構成を示す。以下、第1の実施形態と同一の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図6に示すように、水切具71は、大別してブラケット81と水切本体91とを有している。ブラケット81は、その取付基部82が下フレーム材23aの屋外側角部に当接され、その状態で横辺部82bにてビス61により下フレーム材23aに取り付けられている。その横辺部82bには、奥行方向(図示の横方向)に離間して下方へ延びる一対の支持アーム部84が一体に形成されている。同様にして、水切本体91に形成されている下面部92には、奥行方向(図示の横方向)に離間して上方へ延びる一対の支持アーム部93が一体に形成されている。
水切本体91に形成されている屋内側の支持アーム部93には、基礎12側へ延びる鼠返し取付部94が一体に形成され、その鼠返し取付部94に鼠返し板部95が設けられている。
これら両支持アーム部84,93が互いに係合されることで、水切本体91がブラケット81に取り付けられる。
本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、建物10の美観が損なわれないことや水切本体41の位置調整が容易である等の優れた効果が得られる。加えて、ビス61が両支持アーム部84,93に囲まれるため、雨水等がかかることはなく、防錆効果を向上させることができる。
[別の実施形態]
以上説明した第1及び第2の実施形態に限らず、例えば、以下に別例として示した形態で実施することもできる。
上記各実施形態では、水切本体41,91の背面側に、その長手方向に延びる連続体として支持アーム部43,93(起立部)を設けたが、これを変更し、同支持アーム部43,93を支柱状に設けてもよい。この場合、支柱状の支持アーム部43,93は、水切本体41,91の背面側に所定間隔を隔てて複数設けられる。又は、支持アーム部43,93を、水切本体41,91の短手方向に延びる連続体として形成することも可能である。この水切本体41,91側の変更に合わせて、ブラケット31,81側の支持アーム部35,84の形状を変更するとよい。
上記各実施形態では、ブラケットと水切本体とに、それぞれ起立部としての支持アーム部35,43等を設け、その支持アーム部35,43等によってブラケットと水切本体とを一体的に結合したが、これを次のように変更する。例えば、図7に示す水切具101では、ブラケット111の構成が、上述したブラケット35等とは相違しており、起立部としての支持アーム部35に代えて本体支持部113が設けられている。つまり、ブラケット111は、縦辺部112a及び横辺部112bからなる取付基部112と、その取付基部112の横辺部112bから下方に延設される本体支持部113とを有する構成となっている。そして、本体支持部113の底面部113aを水切本体41の下面板部46に当接させ、その当接部位にてビス62による締め付け固定を行っている。ブラケット111に水切本体41を組み付ける際には、水切本体41の位置決め突起部49が本体支持部113に当たることにより、水切本体41について奥行方向(図示の横方向)の位置決めが行われるようになっている。なおここでは、汎用性を高めるべく第1の実施形態の水切本体41をそのまま使用したが、その支持アーム部43は不要であるため、支持アーム部43を無くした構成に変更することも可能である。
上記各実施形態では、下フレーム材23aに対してブラケット31,81をビス61により取り付けたが、これに限定されず、例えば、取付基部32,82を下フレーム材23aの屋外側角部に当接させて接着固定してもよい。
第1の実施形態では、水切本体41の下面板部46に別体の鼠返し板部48を設けたが、下面板部46に一体に設けてもよい。
上記各実施形態では、水切具を、いずれもアルミニウム製の押し出し成型品よりなるブラケット(ブラケット31等)と水切本体(水切本体41等)とから構成したが、いずれも又は一方を樹脂製により構成してもよい。
工場にてブラケット(ブラケット31等)を外壁パネル21に先付けし、その外壁パネル21を現場に運搬した後、現場にて、先付けしたブラケットに水切本体(水切本体41等)を取り付けてもよい。
本発明の水切具が取り付けられる建物は、鉄骨軸組工法により建造された建物10に限定されない。外装材22の背面に外壁下地が予め組み付けられている外壁パネル21を建物構造体に組み付けてなる建物であればよい。したがって、外壁下地も上記実施の形態のように溝形鋼の下地フレーム23でなくてもよく、木材からなる外壁下地などであってもよい。
第1の実施形態における水切具の概要を示す斜視図。 水切具が建物に取り付けられている状態を示す縦断面図。 (a)はブラケットと水切本体とが離れている状態を示す縦断面図、(b)はブラケットと水切本体とが結合されている状態を示す縦断面図。 ブラケットの配置例を示す平面図。 水切本体のブラケットへの取付け手順を示す斜視図。 (a)は第2の実施形態を示す縦断面図。 別の実施形態を示す縦断面図。
符号の説明
10…建物、11…水切具、12…基礎、21…外壁パネル、22…外装材、23…外壁下地としての下地フレーム、23a…下フレーム材、31…ブラケット、34…垂下板部としての支持板部、35…結合受け部としてのブラケット側支持アーム部、36…係合部、36a…係合突起、41…水切本体、42…水切板部、43…起立部としての本体側支持アーム部、44…係合部、44a…係合凹部、44b…ガイド部、46…下面板部、48…鼠返し板部、61…ビス、F1…傾斜面、F2…傾斜面。

Claims (11)

  1. 外装材と、該外装材の下端よりも下方にはみ出した状態で前記外装材の背面側に設けられる外壁下地材とが予め組み付けられてなる外壁パネルの下端部に設けられる水切具であって、
    前記外壁パネルの下端部よりも下方に垂れ下がった状態で前記外壁下地材において前記外装材の下端からはみ出した部分に対して取り付けられるブラケットと、
    上下方向に延びる水切板部を有し、その水切板部の背面側にて前記ブラケットを隠すように同ブラケットに対して取り付けられる水切本体と、
    前記水切本体の屋内側端部に設けられ、前記水切本体の取付状態において建物の基礎に接触することなく前記基礎の天端上方に至るまで延びて前記天端との間に隙間を形成する鼠返し板部と、
    前記水切本体の水切板部に設けられ、前記ブラケットを下方から覆う下板部と、
    を備え
    前記水切本体の取付状態において、前記下板部の屋内側端部と前記基礎の屋外側の側面との間に隙間が形成されており、前記鼠返し板部は前記下板部に設けられていることを特徴とする水切具。
  2. 前記基礎の天端と前記鼠返し板部とにより形成される前記隙間は、前記水切本体の取付状態において小動物が通過できない程度に形成されている請求項1に記載の水切具。
  3. 前記鼠返し板部は、小動物の侵入を阻止する大きさの多数の通気孔を有する請求項1又は2に記載の水切具。
  4. 前記水切本体には、前記水切板部の背面側に延びる起立部が設けられ、
    前記ブラケットには、前記水切板部に対向しかつ前記外壁パネルへの取り付け状態で当該外壁パネルから垂れ下がる垂下板部が設けられるともに、その垂下板部に、前記水切板部の起立部に対して結合可能とされる結合受け部が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の水切具。
  5. 前記水切本体の起立部と前記ブラケットの結合受け部には、少なくとも一方の弾性変形により結合状態となる係合部がそれぞれ設けられている請求項4に記載の水切具。
  6. 前記水切本体の起立部及び前記ブラケットの結合受け部にそれぞれ設けられた各係合部には、ブラケットに対する水切本体の着脱時において係合状態及び係合解除状態になるのを補助するための傾斜面が形成されている請求項5に記載の水切具。
  7. 前記水切本体には、前記水切板部の背面側に上下2カ所に離間して前記起立部が設けられ、
    前記ブラケットには、前記起立部の位置に合わせて前記結合受け部が設けられている請求項5に記載の水切具。
  8. 前記水切本体の起立部は、当該水切本体の長手方向に同一断面形状で延びる連続体にて形成されている請求項4乃至7のいずれかに記載の水切具。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載の水切具が取り付けられる建物であって、
    前記外壁パネルの下端部に、前記ブラケットが互いに離間して複数取り付けられ、その複数のブラケットに架け渡すようにして前記水切本体が取り付けられている建物。
  10. 前記ブラケットは、隣接する2枚の外壁パネルの繋ぎ合わせ部に取り付けられている請求項に記載の建物。
  11. 前記ブラケットは、2つの前記水切本体の繋ぎ合わせ部に設けられ、1つのブラケットに対して2つの水切本体の端部が支持されている請求項9又は10に記載の建物。
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