JP3895576B2 - 通気工法用水切り材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅などの建物において、床下や壁内への通気を図るようにした建築工法に使用する水切り材に関する。
【0002】
【従来の技術】
通気工法の建物の基礎構造では、床下への通気の為に、布基礎と土台との間に通気間隙が形成され、また、壁にも、通気用の間隙が形成されている。しかし、通気工法では、このような間隙が存在する為、床下への鼠の侵入や、壁内への虫の侵入、特に蜂の巣作りなどを防がなければならない。この為、通気工法用の水切り材には、水切り材本体に、防鼠部と、防虫部とが一体に連設形成されている。そして、従来の水切り材では、防鼠部は、水切り材本体の前垂れ部の下端から水平方向に、鼠が通過できない孔を有する板を連設して構成し、また、防虫部は、水切り材本体の取付部から、虫が通過できない孔を有する板を突設させて構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記のような従来の通気工法用水切り材では、防鼠部や防虫部の長さに応じて、使用可能な建物基礎構造の形態が一義的に定まってしまい、種々の形態の建物基礎構造に対応できないという問題がある。即ち、防鼠部の長さは、布基礎との間の間隙寸法によって特定され、寸法が異なったものには使用できない。更に、防鼠部の端が布基礎に突き当たるように設置される為、布基礎の表面仕上りに不陸があれば、布基礎との間に間隙ができたり、水切り材本体に変形が生じて、外観体裁を損なったりする。また、防虫部の長さは、壁の通気間隙によって一義的に特定され、通気間隙の異なったものには、使用できない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑み、建物の通気型基礎構造の形態の変化に対応でき、一つの水切り材で種々の形態の基礎構造に使用できる通気工法用水切り材を提供するにある。更に、本発明は、製造が簡単で、廉価に提供可能な通気工法用水切り材を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の通気工法用水切り材の技術的手段は、取付部、雨水案内部及び前垂れ部を有する水切り材本体と、鼠が通過できない通気孔を有する防鼠部とを備えた通気工法用水切り材であって、全体が、1枚の金属板から作られた板金加工製であり、防鼠部は、水切り材本体の前垂れ部の下端で折返した板金を、雨水案内部の裏に位置する第1の折曲箇所で下方へ折曲げて形成され、更に、第1の折曲箇所の下方において、これよりも水切り材本体の前垂れ部から遠ざかるように横方へ折曲げて形成されていることにある。
【0006】
また、本発明は、取付部、雨水案内部及び前垂れ部を有する水切り材本体と、鼠が通過できない通気孔を有する防鼠部と,虫が通過できない通気孔を有する防虫部とを備えた通気工法用水切り材であって、全体が、1枚の金属板から作られた板金加工製であり、防鼠部は、水切り材本体の前垂れ部の下端で折返した板金を、雨水案内部の裏に位置する第1の折曲箇所で下方へ折曲げて形成され、更に、第1の折曲箇所の下方において、これよりも水切り材本体の前垂れ部に接近して位置する第2の折曲箇所で更に水切り材本体の前垂れ部から遠ざかるように横方へ折曲げて形成され、防虫部は、水切り材本体の取付部の上端で折返した板金を、取付部の中ほどに位置する第3の折曲箇所で更に水切り材本体の取付部に対して非直角に折曲げて形成されていることにある。また、防虫部には、折曲箇所を2箇所に形成すると共に、根本に段部を形成してもよい。
【0008】
に、折曲箇所に、折曲げを容易にするための加工を施してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の水切り材の実施の形態を、図面の実施例に基づいて説明する。図1〜図4には、第1実施例が示されている。水切り材本体1は、互に連設された、取付部2と、傾斜した雨水案内部3と、前垂れ部4とからなる。そして、この本体1には、更に防鼠部5と防虫部6とが一体に連設されている。
【0010】
この水切り材は、図示のように、鋼板などの金属板を折曲げた板金加工によって制作されている。即ち、防鼠部5は、前垂れ部4の下端で板を折返して、前垂れ部4及び雨水案内部3を2重板構造とし、雨水案内部3の基端近くで、下方に折曲げて、防鼠部5を形成している。更に、防鼠部5は、その下端で更に水平に折曲げている。なお、防鼠部5には、図2に示されるような、鼠が通過できない大きさの多数の通気孔10が穿設されている。
【0011】
また、防虫部6は、取付部2の上端で、板を折返し、取付部2の上半部を2重板構造とし、取付部2の中ほどで板を略水平方向に折曲げて、防虫部6を形成している。なお、防虫部6には、図3に示されるように、虫が通過できない大きさの多数の通気孔11が穿設されている。
【0012】
防鼠部5の上下端の折曲箇所12、13、及び防虫部6の基端の折曲箇所14では、図示のように、折曲げ量の調節が可能である。この折曲げ調節を簡単に行えるように、各折曲箇所12、13、14に孔を設けたり、溝付け加工などを施すことも可能である。このように折曲箇所12、13、14では、折曲げ調節が可能であるので、建物の基礎構造の形態に合わせて、防鼠部5の水平端15を布基礎に、また防虫部6の先端を土台に常に当接させることができ、基礎構造の形状が変っても、使用に影響は出ない。
【0013】
図4に、第1実施例の水切り材の使用状態が示されている。図中、20は布基礎、21は土台である。22は床下通気間隙で、布基礎20と土台21との間の箇所に基礎パッキンを挟み込むことによって形成されている。23は外装材、24は柱である。25は壁の通気間隙で、外装材23と柱24との間の適所に胴縁を挟み込むことによって形成されている。このような構成の建物基礎構造に対して、水切り材が取付けられるのであるが、防鼠部5や防虫部6が折曲調節可能であるので、どのような形状の建物基礎構造に対しても使用可能である。即ち、図示例では、防鼠部5の水平端15は、基礎パッキンに当接させるような使用形態であるが、基礎パッキンの位置に変動があっても、折曲箇所12、13での折曲げ量を調節することによって対応できる。また、防虫部6でも、通気間隙25の寸法に変動があっても、折曲箇所14での折曲げ量を変えることによって、防虫部6の先端16を常に土台21に当接させるように調節可能である。
【0014】
図5は第2実施例であり、これでは、防虫部6が取付部2の表の側に設けられている。従って、その取付使用形態は図6のようになり、防虫部6の先端16は外装材23に当接するようになる。また、この実施例では、防鼠部5の水平端15は土台21に当接するように使用されている。26は仕上げ施工された化粧モルタル層である。
【0015】
図7は第3実施例である。これでは防虫部6の2箇所に折曲箇所14、17が設けられているので、折曲げ調節可能範囲が広い。なお、通気孔11は折曲箇所17の両側全面に形成されている。また、防虫部6の根本に段部18が設けられているので、これを胴縁取付け時の当りとして利用することができる。
【0016】
本発明は前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。特に、水切り材の材質、水切り材本体に対する防鼠部や防虫部の取付位置及びその形状などは自由である。
【0017】
【発明の効果】
本発明の水切り材は、その防鼠部が折曲箇所によって折曲げ調節可能であるから、どのような形態の床下通気型の建物基礎構造に対しても使用可能であり、実用上、極めて便利である他、布基礎の施工時に発生した不陸による影響を受けず、また、その変形が水切り材本体には現れないので、外観体裁がよいという利点がある。また、防鼠部には、2箇所に折曲箇所があるので、折曲げ調節可能範囲が広い。更に、本発明の水切り材は、板金加工製で、1枚の金属板から作られるので、製造コストを下げて、廉価に提供可能である。
【0018】
請求項2のものでは、前記の請求項1の発明の効果に加え、その防虫部が、取付部の中ほどに位置する第3の折曲箇所で非直角に折曲げて形成されていて、折曲箇所によって折曲げ調節可能であるから、壁の通気間隙寸法の影響を受けず、施工上、非常に都合がよい。また、防鼠部の第2の折曲箇所の位置は、第1の折曲箇所よりも前垂れ部に接近しているので、折曲調節可能範囲が広い。このように防鼠部と防虫部とが共に、折曲箇所によって折曲げ調節可能であるから、床下通気部と壁内通気部との両方の構造の影響を受けず、利用可能範囲が一層広くなり、実用上、非常に便利である。
【0019】
請求項3のものでは、防虫部に2箇所の折曲箇所があるので、折曲げ調節可能範囲が広く、また、段部を胴縁取付け時の当りとして利用できるので、施工上の利点が多い。
【0022】
請求項のものは、折曲箇所での折曲げを小さな力で行うことができるので、施工時の作業性に富むという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水切り材の第1実施例の側面図。
【図2】防鼠部の正面図。
【図3】防虫部の平面図。
【図4】第1実施例の使用状態の断面図。
【図5】第2実施例の側面図。
【図6】第2実施例の使用状態の断面図。
【図7】第3実施例の側面図。
【符号の説明】
1 水切り材本体
2 取付部
3 雨水案内部
4 前垂れ部
5 防鼠部
6 防虫部
10、11 通気孔
12、13、14、17 折曲箇所
15 防鼠部の端
16 防虫部の端
18 段部

Claims (4)

  1. 取付部、雨水案内部及び前垂れ部を有する水切り材本体と、鼠が通過できない通気孔を有する防鼠部とを備えた通気工法用水切り材であって、
    全体が、1枚の金属板から作られた板金加工製であり、
    防鼠部は、水切り材本体の前垂れ部の下端で折返した板金を、雨水案内部の裏に位置する第1の折曲箇所で下方へ折曲げて形成され、更に、第1の折曲箇所の下方において、これよりも水切り材本体の前垂れ部から遠ざかるように横方へ折曲げて形成されている通気工法用水切り材。
  2. 取付部、雨水案内部及び前垂れ部を有する水切り材本体と、鼠が通過できない通気孔を有する防鼠部と,虫が通過できない通気孔を有する防虫部とを備えた通気工法用水切り材であって、
    全体が、1枚の金属板から作られた板金加工製であり、
    防鼠部は、水切り材本体の前垂れ部の下端で折返した板金を、雨水案内部の裏に位置する第1の折曲箇所で下方へ折曲げて形成され、更に、第1の折曲箇所の下方において、これよりも水切り材本体の前垂れ部に接近して位置する第2の折曲箇所で更に水切り材本体の前垂れ部から遠ざかるように横方へ折曲げて形成され、
    防虫部は、水切り材本体の取付部の上端で折返した板金を、取付部の中ほどに位置する第3の折曲箇所で更に水切り材本体の取付部に対して非直角に折曲げて形成されている通気工法用水切り材。
  3. 防虫部には、折曲箇所が2箇所に形成され、かつ、根本に段部が形成されている請求項2記載の通気工法用水切り材。
  4. 折曲箇所に、折曲げを容易にするための加工が施されている請求項1乃至3のいずれかに記載の通気工法用水切り材。
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