JP6516723B2 - 抗癌剤の抗腫瘍効果の増強剤 - Google Patents

抗癌剤の抗腫瘍効果の増強剤 Download PDF

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Description

本発明は、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させる増強剤に関する。また、本発明は、当該増強剤を使用した癌治療キット及び癌治療剤に関する。
近年、癌の治療薬や治療法の進歩によって癌患者の生存率が上昇傾向にあるが、依然として、癌は我が国において死因の第1位を占めており、現在でも、年間30万人以上の国民が癌で亡くなっている。
癌の治療法は、手術療法、放射線療法、化学療法に大別される。これらの内、化学療法は、癌患者に抗癌剤を投与する療法であり、手術療法や放射線療法の前後に、その病巣を根絶して治癒力を向上させる術前・術後の補助化学療法や、手術療法や放射線療法では治療できない全身に転移した癌の治療に利用されている。従来、代謝拮抗剤、アルキル化薬、白金製剤、トポイソメラーゼ阻害剤、分子標的薬、抗腫瘍性抗生物質等の各種抗癌剤が臨床的に実用化されており、幾つかの癌については、治癒が期待されるまでに至っている。
しかしながら、従来の抗癌剤は、一定の治療効果が認められているものの、治療効果が不十分であったり、症例によって効果にバラツキが認められたりすることもあり、化学療法による治療効果に限界があることも事実である。そこで、近年、化学療法による治療効果を向上させるために、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させる技術が種々検討され提案されている。例えば、特許文献1には、二硝酸イソソルビドによって白金製剤の抗腫瘍効果を増強できることが報告されている。また、特許文献2には、アルドケト還元酵素1Cファミリー阻害剤によって抗癌剤の抗腫瘍効果を増強できることが報告されている。更に、特許文献3には、ホスホジエステラーゼIII B阻害剤によってシスプラチンの抗腫瘍効果を増強できることが報告されている。
一方、抗癌剤では、腫瘍組織に入って細胞毒性を発揮するが、同時に正常組織にも作用することがある。このように、抗癌剤が正常組織に作用すると、本来の抗腫瘍効果が十分に発揮できないばかりか、様々な副作用を誘発することがある。そのため、抗癌剤を腫瘍組織に効率的に集積させることができれば、抗腫瘍効果の増強が期待され、更には副作用を低減する上でも有効になる。しかしながら、特許文献1〜3の技術は、抗癌剤を腫瘍組織に効率的に集積させて抗腫瘍効果を増強させるものではない。また、従来、腫瘍に対して選択的に薬物を送達するためにリポソーム等のキャリアーに薬物を内包する等のドラックデリバリーシステムが開発されており、抗癌剤の腫瘍への集積能を向上させることも可能である。しかしながら、ドラックデリバリーシステムに使用されるキャリアーを使用する場合には、抗癌剤の製剤化が煩雑になるという欠点があり、また、肝臓や腎臓などの正常組織への集積を防ぐことは難しい。
また、腫瘍組織の間質液圧は正常組織に比べて高いことが知られており、腫瘍組織において間質液圧が高いことが、薬剤が腫瘍深部に浸透できず、十分な抗腫瘍効果を発揮できない大きな原因の1つと考えられている。そのため、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させるには、腫瘍組織の間質液圧を低下させ、効率的に腫瘍組織に集積させて、腫瘍組織の深部にまで浸透させる薬剤を開発することが有効になる。
特開2011-144190号公報 特開2011-102255号公報 特開2009-242378号公報
本発明は、抗癌剤を腫瘍組織に効率的に集積させることにより抗腫瘍効果を増強させる薬剤を提供することを目的とする。また、本発明は、当該増薬剤を使用して、癌を治療するための癌治療キットを提供することを目的とする。更に、本発明は、腫瘍組織の間質液圧を低下させる薬剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、抗癌剤と共に、炭酸アパタイトを投与することによって、抗癌剤を腫瘍組織に効率的に集積させることができ、抗癌剤の抗腫瘍効果が劇的に増強されることを見出した。更に、本発明者等は、炭酸アパタイトには、腫瘍組織の間質液圧を低下させる作用があることも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 炭酸アパタイトを有効成分とする、抗癌剤の抗腫瘍効果の増強に使用される増強剤。
項2. 炭酸アパタイトが、平均粒径50nm以下のナノ粒子である、項1に記載の増強剤。
項3. 抗癌剤が、代謝拮抗剤、白金製剤、微小管作用薬、及び抗癌性抗生物質よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の増強剤。
項4. 抗癌剤が、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、及び塩酸ドキソルビシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の増強剤。
項5. 更にアルブミンを含有する、項1〜4のいずれかに記載の増強剤。
項6. 抗癌剤を含む第1製剤と、項1〜5のいずれかに記載の増強剤を含む第2製剤とを含む、癌治療キット。
項7. 抗癌剤、及び項1〜5のいずれかに記載の増強剤を含有する、癌治療剤。
項8. 炭酸アパタイトを有効成分とする、腫瘍組織の間質液圧の低下に使用される間質液圧低下剤。
項9. 炭酸アパタイトを有効成分とする、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる集積促進剤。
項10. 癌患者に、有効量の炭酸アパタイト及び抗癌剤を投与する工程を含む、癌の治療方法。
項11. 癌患者に、有効量の炭酸アパタイトを投与する工程を含む、腫瘍組織の間質液圧の低下方法。
項12. 癌患者に、有効量の炭酸アパタイト及び薬剤を投与する工程を含む、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる方法。
項13. 炭酸アパタイトの、抗癌剤の抗腫瘍効果の増強に使用される増強剤の製造のための使用。
項14. 炭酸アパタイトの、腫瘍組織の間質液圧の低下に使用される間質液圧低下剤の製造のための使用。
項15. 炭酸アパタイトの、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる集積促進剤の製造のための使用。
本発明によれば、抗癌剤を腫瘍組織に効率的に集積させることができ、抗癌剤の抗腫瘍効果を格段に増強することができる。従って、本発明によって、腫瘍に対して抗癌剤の抗腫瘍効果を効率的に奏させることができ、癌患者に福音をもたらすことが期待される。
本発明において抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させる効果は、以下の作用機序に基づいて奏されていると考えられる。腫瘍組織の間質液圧は正常組織に比べて高く、このことが薬剤が腫瘍深部に浸透し難くなっている大きな原因の1つとされている。一方、後述する実施例7に示すように、炭酸アパタイトには腫瘍組織の間質液圧を低下させる作用があることが見出されている。この腫瘍組織の間質液圧の低下によって、抗癌剤が腫瘍組織の深部まで浸透することが可能になり、そのことが、抗癌剤の抗腫瘍効果の増強をもたらす一因になっていると考えられる。勿論、本発明は、前記作用機序に限定して解釈されるものではない。
更に、炭酸アパタイトは、前述する腫瘍組織の間質液圧の低下作用によって、抗癌剤以外の薬剤(例えば、癌の光線温熱療法や光線力学療法に使用される薬剤等)であっても腫瘍に集積するのを促進するため、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる集積促進剤としても利用できる。
製造例で得られた炭酸アパタイトナノ粒子(sCA(1)粒子)の粒径及び形態を走査型プローブ顕微鏡で測定した結果を示す。 製造例で得られた炭酸アパタイトナノ粒子(sCA(2)粒子)の粒径及び形態を走査型プローブ顕微鏡で測定した結果を示す。 実施例3において、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子の共存下でのヒト結腸癌細胞株(SW480)に対する抗腫瘍効果を測定した結果を示す。 実施例4において、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子の共存下でのヒト大腸癌細胞株(DLD-1)に対する抗腫瘍効果を測定した結果を示す。 実施例5において、塩酸ドキソルビシンと炭酸アパタイト粒子の共存下でのヒト大腸癌細胞株(HCT116)に対する抗腫瘍効果を測定した結果を示す。 実施例6において、腫瘍モデルマウスに5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子を投与した後に腫瘍サイズを観察した結果を示す。 実施例6において、腫瘍モデルマウスに5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子を投与した後に腫瘍組織を摘出してHE染色した結果を示す。 ドキソルビシン(DOX)はIVIS Spectrumによって蛍光波長が検出されることを示す図である。 実施例7において、腫瘍モデルマウスに塩酸ドキソルビシンと炭酸アパタイト粒子を投与した2時間後に腫瘍組織を摘出して、IVIS Spectrumによってドキソルビシンを検出した結果を示す。
1.増強剤
本発明の増強剤は、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させる目的で使用されるものであって、炭酸アパタイトを有効成分とすることを特徴とする。以下、本発明の増強剤について詳述する。
本発明で使用される「炭酸アパタイト」の組成自体は公知である。炭酸アパタイトは、水酸アパタイト(Ca10(PO46(OH)2)の水酸基(OH- ) の一部を炭酸基(CO3 2- ) にて置換した化学構造を有し、一般式Ca10-mm(PO46(CO31-nnで表すことができる。ここで、Xは、炭酸アパタイトにおけるCaを部分的に置換しうる元素であればよく、例えば、Sr、Mn、希土類元素等を挙げることができる。mは、通常0以上1以下の正数であり、好ましくは0以上0.1以下であり、より好ましくは0以上0.01以下であり、更に好ましくは0以上0.001以下である。Yは、炭酸アパタイトにおけるCO3を部分的に置換しうる単位であり、OH、F、Cl等を例示することができる。nは、通常0以上0.1以下の正数であり、好ましくは0以上0.01以下であり、より好ましくは0以上0.001以下であり、更に好ましくは0以上0.0001以下である。
また、本発明で使用される炭酸アパタイトは、生体内に投与され、抗癌剤を腫瘍組織に集積させる役割を果たすために、平均粒径が50nm以下のナノ粒子であることが好ましい。炭酸アパタイトナノ粒子の平均粒径の下限値は、上述する所期の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上である。一方、炭酸アパタイトナノ粒子の平均粒径の上限は、より好ましくは40nm以下であり、更に好ましくは30nm以下、より更に好ましくは20nm以下、一層好ましくは10nm以下である。
前記炭酸アパタイトナノ粒子の平均粒径は、後述する製造例に示すように、走査型プローブ顕微鏡を用いて観察することにより測定される。尚、平均粒径を測定するに際して、測定部位をCCDカメラで確認し、明らかに走査型プローブ顕微鏡を用いた測定に適さない巨大な粒子(例えば、粒径5μm以上)が存在する場合は、それらは測定対象範囲から除去される。本書において、粒径とは、走査型プローブ顕微鏡で測定した際に、別個の粒子として認識可能な独立した粒子の粒径を意味する。よって、複数の粒子が凝集している場合は、それらの集合体を一つの粒子と判断する。
本発明の増強剤の製剤形態については、特に制限されないが、炭酸アパタイト粒子の再凝集を抑制して前記平均粒径の状態を維持させつつ、効率的に抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させるという観点から、分散液状であることが好ましい。
本発明の増強剤において、前記炭酸アパタイトの濃度については、特に制限されず、投与方法等を勘案して後述する投与量を充足できるように適宜設定すればよい。例えば、本発明の増強剤が分散液の場合であれば、前記炭酸アパタイトの濃度として、1×108〜1×1012個/ml、好ましくは1×109〜1×1011個/ml、より1×1010〜5×1010個/ml、更に好ましくは3×109〜3×1010個/ml、より更に好ましくは6×109〜1.5×1010個/mlが挙げられる。
また、本発明の増強剤が分散液の場合、前記炭酸アパタイトを分散させる溶媒としては、薬学的に許容され、且つ炭酸アパタイトを分散できるものであることを限度として特に制限されないが、具体的には、生理食塩水、その他緩衝溶液が挙げられる。
前述する平均粒径の炭酸アパタイトの製造方法については、特に制限されないが、具体的には、炭酸アパタイト粒子が、薬学的に許容される溶媒に分散された分散液を調製する工程、及び当該分散液に対して超音波振動処理する工程を経る方法が挙げられる。
炭酸アパタイト粒子は、公知の手法に従って得ることができる。例えば、カルシウムイオン、リン酸イオン、及び炭酸水素イオンを含有する水溶液を調製してインキュベートすることによって、腫瘍作用を有する薬物を包含する炭酸アパタイト粒子を製造することができる。当該水溶液中の各イオンの濃度については、炭酸アパタイト粒子が形成される限り特に制限されず、下記を参考に適宜設定することができる。
水溶液中のカルシウムイオン濃度としては、通常0.1mM以上であり、好ましくは0.5mM以上であり、より好ましくは1mM以上が挙げられる。カルシウムイオン濃度の上限は、通常1M以下であり、好ましくは100mM以下であり、より好ましくは10mM以下が挙げられる。
水溶液中のリン酸イオン濃度としては、通常0.1mM以上であり、好ましくは0.5mM以上であり、より好ましくは1mM以上が挙げられる。リン酸イオン濃度の上限は、通常1M以下であり、好ましくは100mM以下であり、より好ましくは10mM以下が挙げられる。
水溶液中の炭酸水素イオン濃度としては、通常1.0mM以上であり、好ましくは5mM以上であり、より好ましくは10mM以上が挙げられる。炭酸水素イオン濃度の上限は通常10M以下であり、好ましくは1M以下であり、より好ましくは100mM以下が挙げられる。
カルシウムイオン、リン酸イオン及び炭酸水素イオンの供給源は、水溶液中にこれらのイオンを供給可能である限り特に制限されないが、例えば、これらのイオンの塩を水溶液に添加することができる。具体的には、カルシウムイオン源としてCaCl2を用いることができ、リン酸イオン源としてNaH2PO4・2H2Oを用いることができ、炭酸イオン源としてNaHCO3を用いることができる。
各イオン供給源の混合順序は特に限定されず、炭酸アパタイト粒子が得られる限り、いかなる混合順序で水溶液を調製してもよい。例えば、カルシウムイオンを含有する第1の溶液を調製するとともに、別途、リン酸イオン及び炭酸水素イオンを含有する第2の溶液を調製し、第1の溶液と第2の溶液とを混合して水溶液を調製することができる。
炭酸アパタイト粒子を作製するための水溶液は、その目的を損なわない範囲で、上述する各イオン供給源以外の成分を含んでもよい。例えば、水溶液中に上記組成物中に、フッ素イオン、塩素イオン、Sr、Mn等を添加することにより、炭酸アパタイトにおけるCaまたはCO3を部分的に置換してもよい。但し、フッ素イオン、塩素イオン、Sr、Mnの添加量は、形成される複合体粒子のpH溶解性、粒径範囲に著しい影響を与えない範囲内とすることが好ましい。また、炭酸アパタイト粒子を作製するための水溶液は、細胞培養用の各種培地やバッファーを利用して調製することもできる。
炭酸アパタイト粒子は、上記の各イオンを含有する水溶液のpHを6.0〜9.0の範囲に調整し、一定時間インキュベートすることによって得ることができる。炭酸アパタイト粒子を形成する際の当該水溶液のpHは、好ましくは7.0以上であり、より好ましくは7.1以上、更に好ましくは7.2以上あり、より更に好ましくは7.3以上、特に好ましくは7.4以上、最も好ましくは7.5以上である。一方、炭酸アパタイト粒子を形成する際の当該水溶液のpHは、好ましくは8.5以下であり、より好ましくは8.0以下である。
炭酸アパタイト粒子を形成する際の当該水溶液の温度条件は、通常10℃以上であり、
好ましくは25℃以上、より好ましくは37℃以上である。一方、温度条件の上限は通常80℃以下であり、好ましくは70℃以下である。
炭酸アパタイト粒子を形成するための当該水溶液のインキュベート時間は、通常1分〜24時間であり、好ましくは10分〜1時間である。粒子形成の有無は、例えば、顕微鏡下で観察することによって確認することができる。
斯して炭酸アパタイト粒子を含む分散液が形成されるが、当該炭酸アパタイト粒子は平均粒径が50nm超である。そこで、当該炭酸アパタイト粒子を微細化処理して平均粒径を50nm以下にすることによって、前述する平均粒径の炭酸アパタイト粒子を得ることができる。
また、上述の通り、炭酸アパタイト粒子は、各種のイオン供給源となる物質を水、培地、又はバッファー等の溶媒に溶解させることによって得られるが、そのようにして得られる炭酸アパタイト粒子の分散液は、浸透圧、緩衝能、無菌性等の観点から必ずしも生体への投与(血管内投与)に適していない。よって、炭酸アパタイト粒子が分散した溶媒を生体への投与に適した溶媒(例えば、生理食塩水)に置換するためには、通常、遠沈によって当該炭酸アパタイト粒子を溶媒から分離し、回収して溶媒を置き換える操作が必要である。しかしながら、このような操作を行うと炭酸アパタイト粒子同士が凝集し、粒子が巨大化するため、却って生体への投与には適さない状態へと変化してしまう。そこで、凝集した炭酸アパタイト粒子の分散媒を生体への投与に適した薬学的に許容される溶媒に置換した上で、後述する微細化処理を行うことにより、所望の平均粒径の炭酸アパタイトナノ粒子を、薬学的に許容される溶媒中に分散させた状態で得ることができる。
炭酸アパタイト粒子の平均粒径を50nm以下に微細化する方法としては、好ましくは超音波振動処理が挙げられる。ここで、超音波振動処理とは、いわゆる菌体破砕等に用いられる超音波破砕機やホモジナイザー等の超音波振動子を直接試料に接触させて超音波をかける処理ではなく、一般に精密機器や試験管等の洗浄に用いられる超音波振動子と洗浄槽とが一体となった超音波洗浄器を用いた処理である。超音波洗浄器の洗浄槽(水槽)に液体(例えば、水)を入れ、そこに、炭酸アパタイト粒子を薬学的に許容される溶媒中に分散させた分散液を収容した容器(例えば、プラスチック製のチューブ)を浮かべ、精密機器を洗浄する要領で液体を介して当該分散液に超音波をかける処理を意味する。これによって、簡便且つ効率的に炭酸アパタイト粒子を微細化することができる。
超音波振動処理に使用可能な装置は、上記超音波洗浄器のように、水などの溶媒を介して間接的に炭酸アパタイト粒子を収容した容器に超音波振動を与えることが可能であるものであれば特に制限されない。汎用性及び取り扱い性の良さという観点から、超音波振動子及び恒温槽を備えた超音波洗浄器を用いることが好ましい。
上記の超音波振動処理の条件は、所望の平均粒径に制御可能である限り特に制限されない。例えば、水槽の温度は、5〜45℃の温度から適宜選択することができ、好ましくは10〜35℃であり、より好ましくは20〜30℃である。超音波振動処理の高周波出力は、例えば、10〜500Wの範囲で適宜設定することができ、好ましくは20〜400W、より好ましくは30〜300Wであり、更に好ましくは40〜100Wである。発振周波数は、通常10〜60Hzであり、好ましくは20〜50Hzであり、より好ましくは30〜40Hzである。超音波振動処理期間は、例えば、30秒〜30分であり、好ましくは1〜20分、より好ましくは3〜10分の範囲で適宜設定することができる。
超音波振動処理を行う際に用いる、炭酸アパタイト粒子を含む分散液を包含する容器の種類は、炭酸アパタイト粒子の平均粒径を所望の範囲に微細化することが可能である限り制限されず、分散液の容量や使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1〜1000ml容量のプラスチック製チューブを用いることができる。
また、超音波振動処理は、炭酸アパタイト粒子を含む分散液にアルブミンを添加して行ってもよい。これは、アルブミンと炭酸アパタイト粒子とが共存する環境で超音波振動処理を行うことにより、より微細な粒径を有する炭酸アパタイトナノ粒子が得られ、粒子の再凝集を抑制することも可能となるためである。また、アルブミンが含まれていると、微細化された炭酸アパタイトナノ粒子の再凝集を抑制することもできる。炭酸アパタイト粒子を含む分散液にアルブミンを添加する場合、そのアルブミンの添加量については、特に制限されないが、前記炭酸アパタイト粒子の微細化及び/又は再凝集抑制の観点から、例えば、0.1〜500mg/ml、好ましくは1〜100mg/ml、より好ましくは1〜10mg/mlが挙げられる。このように、炭酸アパタイト粒子を微細化するために添加されたアルブミンは、炭酸アパタイト粒子と共に、本発明の増強剤に含有させた状態で生体内に投与できる。
本発明の増強剤は、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強させる目的で使用される。本発明の増強剤において、抗腫瘍効果の増強させる抗癌剤の種類については、特に制限されないが、腫瘍細胞内に取り込まれて抗腫瘍効果を発揮できるものが好ましく、例えば、代謝拮抗剤、白金製剤、アルキル化薬、微小管作用薬、抗癌性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤等が挙げられる。代謝拮抗剤としては、具体的には、5-フルオロウラシル、メソトレキセート、ドキシフルリジン、テガフール、シタラビン、ゲムシタビン等が挙げられる。白金製剤としては、具体的には、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン等が挙げられる。アルキル化薬としては、具体的には、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、塩酸ニムスチン等が挙げられる。微小管作用薬としては、具体的には、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン等が挙げられる。抗癌性抗生物質としては、具体的には、塩酸ドキソルビシン、マイトマイシン、塩酸アムルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン等が挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤としては、具体的には、イリノテカン、塩酸ノギテカン等が挙げられる。
これらの抗癌剤は、1種単独で使用する場合であっても、また2種以上組み合わせて使用する場合であっても、本発明の増強剤による抗腫瘍効果の増強対象とすることができる。これらの抗癌剤の中でも、好ましくは代謝拮抗剤、白金製剤、微小管作用薬、抗癌性抗生物質、更に好ましくは5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、塩酸ドキソルビシンが挙げられる。
また、本発明の増強剤において治療対象となる癌種については、化学療法の対象となる癌であることを限度として特に制限されないが、具体的には、大腸癌、結腸癌、胃癌、直腸癌、肝癌、膵癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮頚癌、頭頚部癌、胆管癌、胆嚢癌、口腔癌等の固形癌;白血病、悪性リンパ腫等の血液癌が挙げられる。これらの中でも、固形癌は、本発明の増強剤における治療対象として好適である。
本発明の増強剤の投与方法については、特に制限されず、全身投与であっても、また局所投与であってもよい。本発明の増強剤は、全身投与により投与しても、抗癌剤を腫瘍組織に対して特異的に蓄積させるという卓越した効果があるので、好ましい投与方法として全身投与が挙げられる。全身投与としては、具体的には、血管内(動脈内又は静脈内)投与、皮下投与、皮下投与、腹膜内投与等が挙げられ、好ましくは血管内投与、更に好ましくは動静脈内投与である。なお、血管内投与には、血管内注射のみならず、持続点滴も含まれる。なお、本発明の増強剤の投与方法は、腫瘍効果の増強対象となる抗癌剤の投与方法と同一であってもよく、また異なってもよい。本発明の増強剤の投与方法が、腫瘍効果の増強対象となる抗癌剤と同一である場合には、本発明の増強剤と抗癌剤を混合した状態で投与してもよく、またそれぞれを別々に投与してもよい。
本発明の増強剤の投与量については、腫瘍効果の増強対象となる抗癌剤の種類、患者の性別、年齢、症状などに応じて適宜決定されるため、一概に決定することはできないが、例えば、炭酸アパタイト量換算で1回あたり10mg〜1g/kg(体重)程度であればよい。
また、本発明の増強剤の投与タイミングについては、特に制限されないが、腫瘍効果の増強対象となる抗癌剤の投与と同時又はその前後24時間以内であればよく、抗癌剤の投与と同時又はその前後12時間以内が好ましく、抗癌剤の投与と同時又はその前後8時間以内が更に好ましい。また、本発明の増強剤の投与前に炭酸アパタイト粒子が凝集することを回避するという観点から、超音波振動処理後速やかに投与することが好ましい。例えば、超音波振動処理後1分以内、好ましくは30秒以内の投与が好ましい。但し、上述するように、アルブミンを添加することによって炭酸アパタイトナノ粒子の凝集を抑制する場合は、超音波振動処理後、数分〜数十分経過後に投与することも可能である。
2.癌治療キット、癌治療剤
本発明の癌治療キットは、前記増強剤を抗癌剤と同一又は異なる投与方法で投与して癌を治療する場合に使用されるものであり、抗癌剤を含む第1製剤と、前記増強剤を含む第2製剤とを含むことを特徴とする。
また、本発明の癌治療剤は、前記増強剤を抗癌剤と同一の投与方法で投与して癌を治療する場合に使用されるものであり、抗癌剤及び前記増強剤を同一製剤中に含むことを特徴とする(但し、抗癌剤が炭酸アパタイトに内包されている場合を除く)。
本発明の癌治療キット及び癌治療剤の構成や使用態様等については、前記「1.増強剤」の欄に示す通りである。
3.間質液圧低下剤
炭酸アパタイトには腫瘍組織の間質液圧を低下させる作用があるので、本発明は、炭酸アパタイトを利用した間質液圧低下剤を提供する。具体的には、本発明の間質液圧低下剤は、腫瘍組織の間質液圧を低下させる目的で使用されるものであって、炭酸アパタイトを有効成分とすることを特徴とする。
本発明の間質液圧低下剤に使用される炭酸アパタイトの組成、平均粒径、製造方法、投与方法、投与量、適用対象等については、前記「1.増強剤」の場合と同様である。また、本発明の間質液圧低下剤は、癌患者における腫瘍組織の間質液圧を低下させることができ、抗癌剤、診断薬、造影剤、癌の光線温熱療法や光線力学療法に使用される薬剤(例えば、インドシアニングリーン、5−アミノレブリン酸等)等を腫瘍深部まで浸透させることが可能になる。
4.集積促進剤
炭酸アパタイトには、各種薬剤を腫瘍組織に集積するのを促進する作用があるので、本発明は、炭酸アパタイトを利用した集積促進剤を提供する。具体的には、本発明の集積促進剤は、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる目的で使用されるものであって、炭酸アパタイトを有効成分とすることを特徴とする。
本発明の集積促進剤に使用される炭酸アパタイトの組成、平均粒径、製造方法、投与方法、投与量、適用対象等については、前記「1.増強剤」の場合と同様である。また、本発明の集積促進剤において、腫瘍に集積させる薬剤の種類については、腫瘍組織に集積させることによって所望の作用や目的を発揮できるものであることを限度として特に制限されないが、例えば、抗癌剤、診断薬、造影剤、癌の光線温熱療法や光線力学療法に使用される薬剤(例えば、インドシアニングリーン、5−アミノレブリン酸等)等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されて解釈されるものではない。
製造例:炭酸アパタイトナノ(sonicated carbonate apatite; sCA)粒子の製造
(1)DMEM溶液を用いた炭酸アパタイトナノ粒子(sCA)の製造
100mlの蒸留水に、1.35gのDMEM粉末及び0.37gのNaHCO3を順に添加して完全に溶解させ、1NのHClを用いてpHを7.5に調整した。このDMEM溶液(100ml)を直径0.2μmのフィルターでろ過し、1mlDMEM溶液当たり、4μlのCaCl2(1M)を混合し、37℃の水浴中で30分間インキュベートした。その後、15000rpm×5分で遠沈し、得られたペレットを蒸留水、細胞培養液又は生理食塩水等の細胞や生体に投与可能な水溶液に分散させ、炭酸アパタト粒子分散液を得て、これを10分間超音波振動処理にかけることにより、炭酸アパタイトナノ粒子(以下、「sCA(1)粒子」とする)を得た。超音波振動処理は、超音波振動機能を有するウォーターバスを用いて、20℃に設定した水に、プラスチック容器に収容した、炭酸アパタイト粒子分散液を浮かべ、高周波出力55W、発振周波数38kHzの条件で10分間行った。尚、顕微鏡を用いた粒径の測定を行う場合には、遠沈後にsCA(1)粒子を蒸留水に分散させた。細胞実験に用いる場合は、上記の遠沈を行う必要はないか、あるいは、遠沈後にsCA(1)粒子をDMEM溶液に分散させて調製した。動物実験に用いる場合は、遠沈後にsCA(1)粒子を生理食塩水に分散させて調製した。
(2)バッファーを用いた炭酸アパタイトナノ粒子(sCA)の製造
100mlの蒸留水に、0.37gのNaHCO3、90μlのNaH2PO4・2H2O(1M)、及び180μlのCaCl2(1M)をこの順で添加して溶解させ、1NのHClでpHを7.5に調整した。これを直径0.2μmのフィルターでろ過した。斯して得られた溶液を、以下「バッファーA」と表記する。得られたバッファーA1ml当たりに4μlのCaCl2(1M)を混合し、37℃の水浴中で30分間インキュベートした後、15000rpm×5分で遠沈し、得られたペレットを、蒸留水、細胞培養液又は生理食塩水等の細胞や生体に投与可能な水溶液に分散させ、炭酸アパタイト粒子分散液を得て、これを10分間超音波振動処理にかけることにより、炭酸アパタイトナノ粒子(以下、「sCA(2)粒子」とする)を得た。超音波振動処理は、超音波振動機能を有するウォーターバスを用いて、20℃に設定した水に、プラスチック容器に収容した、炭酸アパタイト粒子分散液を浮かべ、高周波出力55W、発振周波数38kHzの条件で10分間行った。尚、顕微鏡を用いた粒径の測定を行う場合には、遠沈後にsCA(1)粒子を蒸留水に分散させた。細胞実験に用いる場合は、遠沈後にsCA(1)粒子をDMEM溶液に分散させて調製した。動物実験に用いる場合は、遠沈後にsCA(1)粒子を生理食塩水に分散させて調製した。
(3)炭酸アパタイトナノ粒子(sCA)の粒径及び形態の測定
実施例1で作製したsCA(1)粒子及びsCA(2)粒子の粒径及び形態等をマイクロカンチレバー(OMCL−AC240TS−RS,オリンパス社製)を備えた走査型プローブ顕微鏡(SPM−9500,島津製作所製)をダイナミックモードで使用して測定した。測定は、超音波振動処理後30秒以内に2回ずつ実施した。カバーガラスの表面に約10μlのサンプル水溶液を滴下し、5分の真空乾燥後、CCDカメラにて、平滑面を選択し、1〜5平方μmの範囲について測定した。その結果を以下の表1に示す。また、測定範囲について得られた2次元解析画像及び粒子の大きさのその数の分布を示すグラフを図1及び2に示す。図1はsCA(1)粒子であり、図2はsCA(2)粒子である。これらの結果から、超音波振動処理によって、炭酸アパタイト粒子の粒径が10nm以下にすることが可能であることが確認された。
実施例1:5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
ヒト大腸癌細胞株(HCT116)を96ウェルプレートに均等に播種し(1×104細胞/ウェル)、一晩培養した。培養は、10%のウシ胎仔血清を添加したDMEM培地を用い、5%CO2、37℃の条件で行った。次いで、前記製造例の(1)でDMEM溶液38μlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を100μlの細胞培養液に分散させ、各ウェルに添加して、5%CO2、37℃の条件で24時間培養を行った。その後、5-フルオロウラシルを各種濃度となるように添加し、5%CO2、37℃の条件で培養を行った。5-フルオロウラシル添加後、24、48及び72時間の時点で細胞数を計測し、IC50(癌細胞の50%が死滅する5-フルオロウラシル濃度)を求めた。また、比較のために、sCA粒子を添加しないこと以外は、同条件で試験を行い、IC50を求めた。
得られた結果を表2に示す。この結果から、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子を共存させた場合には、5-フルオロウラシル単独の場合に比して、IC50が低下していた。特に、5-フルオロウラシル添加後24時間では、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子を共存させた場合のIC50は顕著に低くなっていた。この結果から、炭酸アパタイト粒子は、5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強することが明らかとなった。
実施例2:5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、及びドセタキセルの抗腫瘍効果の増強
ヒト大腸癌細胞株(HCT116)を24ウェルプレートに均等に播種し(1×104細胞/ウェル)、一晩培養した。培養は、10%のウシ胎仔血清を添加したDMEM培地を用い、5%CO2、37℃の条件で行った。次いで、前記製造例の(1)でDMEM溶液1mlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を2mlの細胞培養液に分散させ、各ウェルに添加して、5%CO2、37℃の条件で24時間培養を行った。その後、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン又はドセタキセルを各種濃度となるように添加し、5%CO2、37℃の条件で培養を行った。各抗癌剤の添加後、48時間の時点で細胞数を計測し、IC50(癌細胞の50%が死滅する5-フルオロウラシル濃度)を求めた。また、比較のために、抗癌剤を添加しないこと以外は、同条件で試験を行い、IC50を求めた。
得られた結果を表3に示す。この結果から、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン又はドセタキセルと共に、炭酸アパタイト粒子を共存させた場合には、これらの抗癌剤単独の場合に比して、IC50が低下していた。とりわけ、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、及びドセタキセルに対して、炭酸アパタイト粒子は抗腫瘍効果を顕著に増強できていた。即ち、この結果から、炭酸アパタイト粒子は、各種抗癌剤の抗腫瘍効果を増強する作用があることが明らかとなった。
実施例3:ヒト結腸癌細胞に対する5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
ヒト結腸癌細胞株(SW480)を24ウェルプレートに均等に播種し(1×104細胞/ウェル)、一晩培養した。培養は、10%のウシ胎仔血清を添加したDMEM培地を用い、5%CO2、37℃の条件で行った。次いで、前記製造例の(1)でDMEM溶液1mlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を2mlの細胞培養液に分散させ、各ウェルに添加して、5%CO2、37℃の条件で24時間培養を行った。その後、5-フルオロウラシルを0.1、0.25、0.5、1、2、及び10μg/mlとなるように添加し、5%CO2、37℃の条件で72時間培養を行い、培養後の生細胞数を計測した。また、比較のために、5-フルオロウラシル又はsCA粒子を添加しないこと以外は、同条件で試験を行い、培養後の生細胞数を計測した。5-フルオロウラシルを添加しなかった条件での72時間培養後の生細胞数を100%として細胞生存率を算出した。
得られた結果を図3に示す。この結果からも、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子を共存させた場合には、5-フルオロウラシル単独又は炭酸アパタイト粒子単独の場合に比して、細胞生存率が低くなっており、炭酸アパタイト粒子が5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強したことが確認された。
実施例4:ヒト大腸癌細胞に対する5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
ヒト結腸癌細胞株の代わりにヒト大腸癌細胞株(DLD-1)を使用したこと以外は、実施例3と同様の方法で試験を行い、細胞生存率を測定した。
得られた結果を図4に示す。この結果からも、実施例3の場合と同様に、炭酸アパタイト粒子が5-フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強したことが確認された。
実施例5:ヒト大腸癌細胞に対する塩酸ドキソルビシンの抗腫瘍効果の増強
ヒト大腸癌細胞株(HCT116)を24ウェルプレートに均等に播種し(1×104細胞/ウェル)、一晩培養した。培養は、10%のウシ胎仔血清を添加したDMEM培地を用い、5%CO2、37℃の条件で行った。次いで、前記製造例の(1)でDMEM溶液1mlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を2mlの細胞培養液に分散させたものをsCA(0.5)、前記製造例の(1)でDMEM溶液1mlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を1mlの細胞培養液に分散させたものをsCA(1.0)、及び前記製造例の(1)でDMEM溶液1mlから調製される量に相当するsCA(1)粒子を0.5mlの細胞培養液に分散させたものをsCA(2.0)とし、各ウェルに250μlずつ添加して、5%CO2、37℃の条件で24時間培養を行った。その後、塩酸ドキソルビシン1000nmol/lの溶液を250μl添加し、5%CO2、37℃の条件で24時間培養を行った。次いで、培養後の細胞を回収し、FACSにて塩酸ドキソルビシンが発する蛍光を測定した。また、比較のために、sCA(1)粒子を添加しないこと以外は、同条件で試験を行った。
得られた結果を図5に示す。この結果から、塩酸ドキソルビシンと炭酸アパタイト粒子を共存させた場合には、塩酸ドキソルビシン単独の場合に比して、細胞に取り込まれた塩酸ドキソルビシン量が増加しており、炭酸アパタイト粒子によって塩酸ドキソルビシンの細胞内への取り込みが促進されていることが明らかとなった。
実施例6:腫瘍モデルマウスにおける抗腫瘍効果の増強(1)
7週齢のBALB/cAヌードマウス(日本クレア社製)の背部左右に、ヒト大腸癌細胞であるHCT116株を皮下注射し、固形腫瘍を有するモデルマウスを作製した。腫瘍が5〜6mmの大きさに達した時点でマウスをランダムに、5-FU単独投与群と、5-FU及びsCA粒子投与群の2グループに分けた。腫瘍が5〜6mmの大きさに達した時点を0日として、0日、2日、7日、8日、9日、及び10日に、表4に示す態様で薬物投与を行った。15日に、マウスから腫瘍を摘出し、ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)した。
得られた結果を図6及び7に示す。この結果、5-フルオロウラシルと炭酸アパタイト粒子の双方を投与した場合には、5-フルオロウラシルを単独で投与した場合に比べて、腫瘍サイズが小さくなっており(図6)、更に、腫瘍組織中で死滅している癌細胞数が多くなっていた(図7)。
実施例7:腫瘍モデルマウスにおける抗腫瘍効果の増強(2)
7週齢のBALB/cAヌードマウス(日本クレア社製)の背部左右に、ヒト大腸癌細胞であるHT29株(5×106個)を皮下注射し、マウス皮下固形腫瘍モデルを作製した。腫瘍の直径が約10mmになった時点で、マウスをランダムに、表5に示す2群に別けて薬物投与を行った。薬物投与から2時間後に、マウスから腫瘍を摘出し、IVIS Spectrumを用いた蛍光イメージングによって腫瘍に蓄積している塩酸ドキソルビシンの検出を行った。なお、ドキソルビシン(DOX)は、IVIS Spectrumによって蛍光波長が検出されることが確認されている(図8)。
得られた結果を図9に示す。図9に示されているように、塩酸ドキソルビシン単独投与群では、腫瘍において僅かにしかドキソルビシンが検出されなかったが、塩酸ドキソルビシン及びsCA粒子投与群では、ドキソルビシンが腫瘍に集積していた。即ち、本結果から、投与後2時間という短時間であっても、sCA粒子は塩酸ドキソルビシンを腫瘍に効率的に集積させ得ることが明らかとなった。
実施例8:腫瘍組織における間質液圧の低下
7週齢のBALB/cAヌードマウス(日本クレア社製)の背部左右に、ヒト大腸癌細胞であるHT29株(5×106個)を皮下注射し、マウス皮下固形腫瘍モデルを作製した。腫瘍の直径が約10mmになった時点で、前記で調製したsCA(2)粒子(前記製造例の(2)においてバッファーA 50mlから調製される量に相当)を含む生理食塩水200μlを尾静脈投与した。sCA(2)粒子の投与2.5〜4時間後に1.6Fr圧カテーテル付きの生体内圧カテーテル計測システム(transonic science, Inc)を用いて、腫瘍内の間質液圧を測定した(測定対象腫瘍数3つ、n=39)。また、コントロールとして、sCA(2)粒子の投与前の腫瘍内の間質液圧についても測定した(測定対象腫瘍数5つ、n=30)。
得られた結果を表6に示す。この結果から、炭酸アパタイト粒子には、腫瘍内の間質液圧を低下させる作用があることが明らかとなった。この結果を踏まえると、前記実施例6及び7においてマウス皮下固形腫瘍モデルで認められた抗腫瘍効果の増強は、炭酸アパタイト粒子による腫瘍内の間質液圧の低減作用が寄与していることが示唆された。

Claims (9)

  1. 炭酸アパタイトを有効成分とする、抗癌剤の抗腫瘍効果の増強に使用される増強剤(但し、炭酸アパタイト粒子中に抗癌剤が内包されている場合を除く)
  2. 炭酸アパタイトが、平均粒径50nm以下のナノ粒子である、請求項1に記載の増強剤。
  3. 抗癌剤が、代謝拮抗剤、白金製剤、微小管作用薬、及び抗癌性抗生物質よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の増強剤。
  4. 抗癌剤が、5-フルオロウラシル、シスプラチン、オキサリプラチン、ドセタキセル、及び塩酸ドキソルビシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の増強剤。
  5. 更にアルブミンを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の増強剤。
  6. 抗癌剤を含む第1製剤と、請求項1〜5のいずれかに記載の増強剤を含む第2製剤とを含み、前記増強剤中に前記抗癌剤を内包させることなく使用される、癌治療キット。
  7. 抗癌剤、及び請求項1〜5のいずれかに記載の増強剤を含有する、癌治療剤(但し、炭酸アパタイト粒子中に抗癌剤が内包されている場合を除く)。
  8. 炭酸アパタイトを有効成分とする、腫瘍組織の間質液圧の低下に使用される間質液圧低下剤(但し、炭酸アパタイト粒子中に抗癌剤が内包されている場合を除く)
  9. 炭酸アパタイトを有効成分とする、薬剤の腫瘍組織への集積を促進させる集積促進剤(但し、炭酸アパタイト粒子中に抗癌剤が内包されている場合を除く)
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