JP5467259B2 - シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット - Google Patents

シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット Download PDF

Info

Publication number
JP5467259B2
JP5467259B2 JP2009044748A JP2009044748A JP5467259B2 JP 5467259 B2 JP5467259 B2 JP 5467259B2 JP 2009044748 A JP2009044748 A JP 2009044748A JP 2009044748 A JP2009044748 A JP 2009044748A JP 5467259 B2 JP5467259 B2 JP 5467259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cisplatin
pde3b
cddp
gene
strain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009044748A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009242378A (ja
Inventor
秀樹 丹沢
Original Assignee
国立大学法人 千葉大学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立大学法人 千葉大学 filed Critical 国立大学法人 千葉大学
Priority to JP2009044748A priority Critical patent/JP5467259B2/ja
Publication of JP2009242378A publication Critical patent/JP2009242378A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5467259B2 publication Critical patent/JP5467259B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、抗癌剤として知られるシスプラチンの投与効果を増強するシスプラチン効果増強剤及び当該シスプラチン効果増強剤を含む抗癌剤キットに関する。
シスプラチン(cisplatin、“CDDP”と略称される)は、多くの種類の癌において抗癌剤・化学療法の中心的な薬剤である。シスプラチン投与に起因する副作用は、ほぼ100%近くの患者に出現するが、臨床的効果は必ずしも良好とは言えない。シスプラチンの投与効果は、症例によってばらつきがあり、一部の患者に対しては全く奏功しないことが知られている。このため、多くの患者が非常に重篤な副作用に苦しんだにも拘わらず、治療効果が得られないまま癌が進行して予後不良となることがしばしばある。
したがって、シスプラチン耐性を克服できるとすれば、患者にとって非常に大きな福音となる。また、シスプラチン投与に耐性を示す患者群に特異的に発現亢進する遺伝子(薬剤耐性遺伝子)及びシスプラチン投与に感受性を示す患者群に特異的に発現亢進する遺伝子(薬剤感受性遺伝子)を同定することにより、薬剤耐性を克服した新たな効果的な抗癌剤治療法を開発することができる。
しかしながら、現在までシスプラチン耐性に関連する遺伝子が幾つか発表(Bordowら、1994(非特許文献1);Gottesmanら、1996(非特許文献2);Loeら、1996(非特許文献3);Jinら、1998(非特許文献4);Perezら、1998(非特許文献5);Hinoshitaら、2000(非特許文献6))されているものの、実際の臨床でシスプラチン耐性を克服するような治療法・治療薬が無いのが現状である。
Bordow SB, Haber M, Madafiglio J, Cheung B, MarshallGM, Norris MD. Cancer Res. Oct 1;54(19):5036-5040. 1994 Gottesman MM, Pastan I, Ambudkar SV. Curr Opin Genet Dev. Oct;6(5):610-617. 1996 Loe D. W., Deeley R. G., Cole S. P. Eur. J. Cancer, 32A: 945-957, 1996. Jin S, Scotto KW. Mol Cell Biol. Jul;18(7):4377-4384. 1998 Perez RP. Eur J Cancer. Sep;34(10):1535-1542. 1998 Hinoshita E, Uchiumi T, Taguchi K, Kinukawa N, Tsuneyoshi M, Maehara Y, Sugimachi K, Kuwano M. Clin Cancer Res. Jun;6(6):2401-2407. 2000
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、シスプラチン耐性を示す患者に投与することでシスプラチン投与効果を増強できるシスプラチン効果増強剤を提供するとともに、当該シスプラチン効果増強剤を含む抗癌剤キットを提供することを目的とする。また、本発明は、シスプラチンを投与した患者或いはシスプラチンを投与する治療方針の患者に対して投与することで、シスプラチン投与効果を増強できる癌治療方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、シスプラチン耐性に関与する遺伝子群を同定することに成功し、また、これら群のなかから特定の遺伝子に着目して、当該遺伝子産物の阻害剤を併用することにより、シスプラチンの治療効果の増強・副作用の軽減を可能にすることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)ホスホジエステラーゼIII B(PDE3B)阻害剤を有効成分とするシスプラチン効果増強剤。
(2)上記有効成分は、PDE3Bに対する選択的阻害作用を有することを特徴とする(1)記載のシスプラチン効果増強剤。
(3)上記有効成分は、シロスタゾール(cilostazol)であること特徴とする(1)記載のシスプラチン効果増強剤。
(4)ホスホジエステラーゼIII B(PDE3B)阻害剤を有効成分とするシスプラチン効果増強剤と、シスプラチンを有効成分とする抗癌剤とを含む、抗癌剤キット。
(5)上記PDE3B阻害剤は、PDE3Bに対する選択的阻害作用を有することを特徴とする(4)記載の抗癌剤キット。
(6)上記シスプラチン効果増強剤は、シロスタゾール(cilostazol)であること特徴とする(4)記載の抗癌剤キット。
(7)上記シスプラチンを一日あたりの投与量として50〜100(mg)含有することを特徴とする(4)記載の抗癌剤キット。
本発明に係るシスプラチン効果増強剤によれば、シスプラチンによる投与効果を増強することができる。したがって、本発明に係るシスプラチン効果増強剤を使用することによって、シスプラチン耐性を示していた患者に対してシスプラチンを抗癌剤として投与するといった治療方法を提供することができる。また、本発明に係るシスプラチン効果増強剤を使用することによって、シスプラチン投与効果があるものの副作用が重篤である患者に対して、シスプラチンの投与量を低減することができ、副作用を軽減することができる。
実施例で樹立した耐性株の代表例として、Sa-3株及びSa-3R株におけるMTTアッセイの結果を示す特性図である。 実施例で樹立した耐性株の代表例として、Sa-3株及びSa-3R株におけるABCトランスポーター(MDR1、MRP1及びMRP2)について発現をRT-PCRで測定した結果を示す特性図である。 実施例で樹立した耐性株及びその親株を用いたマイクロアレイ解析の結果として同定された耐性株において特異的に発現増強する遺伝子及び発現減弱する遺伝子の個数を示すベン図である。 シスプラチン耐性に関連する遺伝子として同定された199個の遺伝子についてパスウェイ解析を行った結果として得られた4つのネットワークを示す特性図である。 実施例で特定した5つの遺伝子の代表例としてPDE3B遺伝子について行ったRT-PCRの結果を示す特性図である。 実施例で特定したPDE3B遺伝子についての臨床検体の免疫組織学的染色法を施行した結果を示す写真である。 PDE3B遺伝子についてIHCスコアの分布を求めた結果として示す特性図である。 PDE3B遺伝子について臨床指標との相関を求めた結果として示す特性図である。 PDE3B遺伝子についてsiRNAを導入し発現抑制を行った結果として示す特性図である。 PDE3B遺伝子についてシスプラチン耐性株Sa-3Rに対して、PDE3B阻害剤とシスプラチンを併用した際の効果の結果として示す特性図である。 PDE3B遺伝子について親株、シスプラチン耐性株を用いて、PDE3阻害剤であるCilostazolとシスプラチンを併用した際の効果を比較した結果として示す特性図である。 PDE3B遺伝子についてシスプラチン耐性株Sa-3Rに対して、PDE3阻害剤であるCilostazolとシスプラチンを併用した際の細胞増殖に与える影響を求めた結果として示す特性図である。 PDE3阻害剤であるCilostazolとCDDPを併用投与した動物実験における腫瘍容量の増減及び体重増減を示した特性図である。
以下、本発明に係るシスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キットに関して詳細に説明する。シスプラチンとは、白金錯体に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)として知られている。シスプラチンは、商品名ブリプラチン(ブリストル・マイヤーズ社製)及びランダ(日本化薬社製)として販売されている。本発明に係るシスプラチン効果増強剤は、このシスプラチンの投与効果を増強させるといった特徴を有している。
本発明に係るシスプラチン効果増強剤は、ホスホジエステラーゼIII B(PDE3B)阻害剤を有効成分としている。これは、シスプラチン耐性を示す患者群においては、シスプラチン感受性を示す患者群と比較してPDE3B遺伝子の発現亢進が認められ、PDE3B遺伝子産物であるPDE3Bの活性を阻害することによってシスプラチン感受性を増強できるといった新規知見に基づいている。
PDE3B阻害剤とは、PDE3Bのホスホジエステラーゼ活性を有意に低減させる物質である。本発明において、PDE3B阻害剤としては、PDE3Bのホスホジエステラーゼ活性を有意に低減させることができれば、特に限定されず如何なる物質を使用しても良い。また、本発明において、PDE3B阻害剤とは、PDE3B遺伝子の発現量を低下させる物質、PDE3B遺伝子のmRNAを阻害する物質、PDE3B遺伝子をタンパク質レベルで阻害する物質等を挙げることができる。また、PDE3B阻害剤としては、PDE3阻害薬として現在、臨床的に使用されている公知の物質を使用することができる。なお、PDE3B阻害剤としては、選択的阻害作用を有する物質、すなわちホスホジエステラーゼ活性を選択的に(特異的に)低減させる物質であることが好ましい。ここで、選択的(特異的)とは、目的とするホスホジエステラーゼ活性の低減効果を主として有することを意味し、他の酵素活性に対して影響が少ないことを意味する。
また、PDE3B阻害剤としては、PDE3B遺伝子に対するsiRNA (small interfering RNA)、アンチセンスRNA、リボザイム、これらのRNAを生成することができるすべてのベクターDNAなどが含まれる。このような核酸は、PDE3B遺伝子の発現を阻害又は抑制することができる。
PDE3B阻害剤として使用するsiRNAは、PDE3B遺伝子に対応するmRNA(すなわち、該遺伝子によってコードされるmRNA)又はその選択的スプライス型mRNAに相補的な配列を含む小さな二本鎖RNAであり、RNA-ヌクレアーゼ複合体(RNA induced silencing complex又はRISC)の形成を介して該mRNA又はその選択的スプライス型mRNAが選択的にプロセシングされる。
また、siRNAは、その前駆体である二本鎖RNA(shRNA)から、細胞内RNアーゼであるダイサー(Dicer)によるプロセシングを介して誘導されてもよい。shRNAは、siRNAのセンス鎖配列とアンチセンス鎖配列との間にループを有する二本鎖RNAであり、好ましくはその3'末端に1〜6個、好ましくは2〜4個のポリUからなるオーバーハングを含む。shRNAは、RNアーゼIIIファミリーに属するダイサーによってsiRNAにプロセシングされたのち、siRNAが一本鎖化され、そのセンス鎖RNAがRNアーゼHと複合体(RISC)を形成し、これによってsiRNA配列に相補的な配列を持つ標的mRNAが切断され、その結果、PDE3B遺伝子の発現が抑制される。
したがって、上記siRNA及びその前駆体shRNAはいずれも、本発明におけるPDE3B阻害剤として使用することができる。
本発明のsiRNAを体内に導入するときには、siRNAを患部に直接注入するか、又はsiRNAの発現が可能なベクターを使用することが好ましい。或いは、siRNA又はベクターを、リポソーム、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン及びその他の正電荷リポソーム(例えば、正電荷コレステロール)、又はマイクロカプセル、と複合体形成し、これを使用することもできる(例えば、中西守ら, 蛋白質 核酸 酵素, 44巻11号, 48〜54頁, 1999年; Clinical Cancer research 59:4325-4333, 1999; Wuら, J. Biol. Chem. 262:4429, 1987)。細胞膜が負電荷を帯びているため、正電荷リポソームが好ましく使用されるが、正電荷リポソーム-核酸複合体はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれたのち核酸は細胞質又は核へ移行すると推定される。或いは、治療用核酸を粒径約500nm以下のナノ粒子中に封入することもできる。ナノ粒子として、例えばB型肝炎ウイルスエンベロープL粒子から形成されるホローナノ粒子(hollow nanoparticles)が例示され、核酸は、エレクトロポレーションによってこの粒子内に封入され、この場合、核酸封入粒子は肝臓に送達されうる(T. Yamadaら, Nature Biotech 21(8):885-890, 2003)。核酸をリポソーム中に封入するときには、核酸を硫酸プロタミンで処理して凝縮を起こし核酸−タンパク質複合体としたのち、正電荷脂質又は高分子ミセル中に封入することもできる。
リポソーム-核酸複合体は、例えば逆相蒸発法(F. Szokaら, Biochim. Biophys. Acta, 601:559, 1980)、ボルテックス振とう法、カルシウム融合-EDTAキレート法(金田安史,実験医学22巻14号(増刊), 147〜152頁, 2004年)などの公知の方法によって製造できる。
本発明の別の実施形態により、本発明で使用可能な核酸として、前記siRNA又はその前駆体をコードするDNA配列をプロモーターの調節下に含む発現ベクターが含まれる。発現ベクターの1つの例は、ヘアピン型ベクターである。このベクターは、前記センス鎖RNA配列と前記アンチセンス鎖RNA配列とが一本鎖ループ配列を介して共有結合されているヘアピン型RNAをコードするDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写により該ヘアピン型RNAを形成し、ダイサーによりプロセシングされて前記siRNAを形成するベクターである。siRNAをコードするヘアピン型DNAの3'末端には、転写停止シグナル配列として、或いはオーバーハングのために、1〜6個、好ましくは1〜5個のTからなるポリT配列、例えば4個又は5個のポリT配列が連結される。ベクターDNAから転写されたsiRNA前駆体としてのショートヘアピンRNA(shRNA)は、そのアンチセンス鎖の3'末端に2〜4個のUからなるオーバーハングを有することが望ましく、オーバーハングの存在によって、センス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAはヌクレアーゼによる分解に対して安定性を増すことができる。ヒトには内在性のダイサーが1つ存在し、これが長鎖dsRNAや前駆体マイクロRNA(miRNA)をそれぞれsiRNAと成熟miRNAに変換する役割をもつ。
プラスミドベクターは一般に、上記siRNAをコードするDNA配列及びプロモーターの他に、薬剤耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)、転写停止配列、ユニーク制限部位もしくはマルチプルクローニングサイト、複製開始点などを含むことができる。
ウイルスベクターは、たとえばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター(白血病ウイルスベクターなど)、ヘルペスウイルスベクターなどを使用することができる。ウイルスベクターは、ヒトに使用する際に疾病を引き起こさないように例えば自己複製能を欠損したタイプのものが好ましい。たとえばアデノウイルスベクターの場合には、E1遺伝子及びE3遺伝子を欠失した自己複製能欠損型アデノウイルスベクター(例えばInvitrogen社のpAdeno-X)を使用することができる。ウイルスベクターの構築は、文献記載の方法を利用することができる(米国特許第5252479号、国際公開WO94/13788など)。
本発明のプラスミドベクターは、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン、正電荷コレステロールなどの正電荷リポソームと複合体を形成しカプセル化された状態で患者の体内に導入することができる(上記;中西守ら, 上記;Wuら)。また、ウイルスベクターは患部に導入し細胞感染させることによって細胞内に遺伝子導入することができる(L. Zenderら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:77797-7802; H. Xiaら, Nature Biotech. (2002), 20:1006-1010; X.F. Qin ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:183-188; G.M. Bartonら, Proc. Natl. Acad., Sci. USA (2002), 99: 14943-14945; J.D. Hommelら, Nature Med. (2003), 9:1539-1544)。特にアデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターは種々の細胞種に非常に高い効率で遺伝子導入可能であることが確認されている。このベクターはまた、ゲノム中に組み込まれることがないため、その効果は一過性であり安全性も他のウイルスベクターと比べて高いと考えられる。
また、PDE3B阻害剤として使用するアンチセンス核酸は、PDE3B遺伝子に対応するmRNAの配列、又はその部分配列に相補的な配列を含むRNA又はDNAのいずれかである。前記部分配列は、PDE3B遺伝子又はmRNAの配列において連続する約30以上、50以上、70以上、100以上、150以上、200以上又は250以上から全長以下のヌクレオチドからなる配列を含むことができる。
アンチセンス核酸のヌクレオチドは、天然のヌクレオチドに加えて、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、メチル、カルボキシメチル又はチオ基などの基を有する修飾ヌクレオチドを含むことができる。アンチセンス核酸は、周知のDNA/RNA合成技術又はDNA組換え技術を用いて合成することができる。DNA組換え技術によって合成する場合、PDE3B遺伝子の塩基配列を含むベクターDNAを鋳型にして、増幅しようとする配列を挟み込むプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行って標的配列を増幅し、必要に応じてベクター中にクローニングして、アンチセンスDNAを生成することができる。或いは、このようにして得られた増幅標的配列を有するDNAをベクターに挿入し、該ベクターを真核又は原核細胞に導入し、その転写系を利用してアンチセンスRNAを得ることができる。
本発明のアンチセンス核酸は、それがDNAであってもRNAであっても、PDE3B遺伝子又は対応のmRNAに結合することによって、転写又は翻訳を阻害又は抑制することができる。本発明のアンチセンス核酸を患者に送達するために、アンチセンス核酸を、上述したように正電荷リポソームに封入してもよいし、或いはアンチセンス核酸を、例えば強力なpol II又はpol IIIプロモーターの調節下にあるようにベクター(上述のプラスミド又はウイルスベクター)に組み込んでもよい。
さらに、PDE3B阻害剤として使用するリボザイムは、触媒活性をもつRNAであり、標的とするPDE3B遺伝子に対応するmRNAを切断する活性を有している。この切断によってPDE3B遺伝子の発現が阻害又は抑制される。リボザイムの切断可能な標的配列は、一般にはNUX(N=A,G,C,U; X=A,C,U)、例えばGUCトリプレットを含む配列であることが知られている。リボザイムには、ハンマーヘッド型リボザイムが含まれる。ハンマーヘッド型リボザイムは、センサー部位を構成するヌクレオチド配列、センサー部位にRNAが結合したときのみ安定にMg2+イオンを捕捉する空洞を形成しうる領域を含むヌクレオチド配列、及び標的RNAの切断部位周辺の配列に相補的である領域を含むヌクレオチド配列を含むことができる。
本発明のリボザイムを患者に送達するために、リボザイムをリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)に封入する、アデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターに組み込むなどの方法によってドラッグデリバリー系を構築することができる。
リボザイムは、それが発現可能なようにベクターに組み込むことができる。リボザイムを発現するためのプロモーターには、pol II又はpol IIIプロモーターが含まれる。好ましいプロモーターは、pol IIIプロモーター、例えば哺乳動物由来のtRNAプロモーター、より好ましくはtRNAValプロモーターである。
さらにまた、PDE3B阻害剤として使用する抗体は、PDE3B遺伝子によってコードされるPDE3Bタンパク質又はその変異体のインビボ機能を阻害もしくは抑制する抗体又はその機能断片を意味する。PDE3Bタンパク質に対する抗体としては、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異抗体及び合成抗体を挙げることができる。また、当該抗体の機能断片としては、Fab断片、F(ab')2断片、scFvなどが含まれる。
本発明での使用に適する好ましい抗体は、アナフィラキシーによる副作用を全く又はほとんど起こさないヒト抗体又はヒト化抗体、特にヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。また、抗体のクラス、サブクラスは任意のタイプのものでよい。例えば、抗体のクラスとしてIgG, IgM, IgE, IgD, IgAが含まれ、サブクラスとしてIgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA1, IgA2が含まれる。抗体はまた、ペグ化、アセチル化、グリコシル化、アミド化などによって誘導体化されていてもよい。
ヒト抗体は、例えばファージジスプレイライブラリー(pharge display library)法(T.C.Thomasら, Mol. Immunol. 33:1389-1401, 1996)又はヒト抗体産生マウスを用いる方法(I. Ishidaら, Cloning Stem Cell 4:91-102, 2002)によって製造できる。
ヒト抗体産生マウスは、例えば、ヒト人工染色体にヒト抗体産生遺伝子を含むヒト染色体断片を導入したのち、ミクロセル法を用いて例えばマウス胚性幹細胞ゲノムに人工染色体を組み込み、仮親マウスの子宮に移植し、キメラマウスを出産し、雌雄のキメラマウスの交配によって、ヒト抗体遺伝子を含み、したがってヒト抗体の産生が可能である、ホモ型の子孫マウスを作出するなどの方法によって作製することができる。このヒト抗体産生トランスジェニックマウスに、PDE3Bタンパク質を抗原として免疫したのち、脾臓を摘出し、この脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを融合してハイブリドーマを形成し、目的のモノクローナル抗体を選抜することができる。
患者への抗体又はその断片の送達は、単独か又は例えばリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)、マイクロカプセル又はナノ粒子中に抗体又はその断片を封入した形態で、通常は適当な担体(賦形剤又は希釈剤)と組み合わせて、非経口経路(例えば、静脈内投与又は局所投与)にて行うことができる。
特に、本発明においてPDE3B阻害剤としては、従来公知のPDE3B阻害剤を使用することが好ましい。従来公知のPDE3B阻害剤は、例えば、細胞内cAMP上昇による抗血小板作用及び血管拡張作用を薬理作用として慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善剤として既に臨床的に認可されているため、安全性に優れている。PDE3B阻害剤としては、例えば、シロスタミド(cilostamide(Calbiochem社))、シロスタゾール(cilostazol(Tocris社))、トレキンシン(trequinsin(Calbiochem社))、ミルリノン(milrinone(Calbiochem社))、オルプリノン、アムリノン及びカルシウム感受性増強作用を合わせて持つピモベンダンを挙げることができる。
以上のPDE3B阻害剤は、抗癌剤の投与が必要と診断された患者に対してシスプラチンと併用投与することによって、シスプラチンによる抗癌作用を大幅に増強することができる。したがって、従来シスプラチンの効果が無効であった組織型の癌腫症例や、シスプラチン耐性を示す症例に対しても、シスプラチンによる抗癌効果が期待できる。また、PDE3B阻害剤は、シスプラチンへの耐性度を低下させることから、シスプラチンの投与量を少なくしながらも従来の投与効果を期待することも可能である。よって、シスプラチンに起因する副作用を軽減したり、または全身状態等の理由からシスプラチンの使用ができない症例にも応用が可能となり、当該患者にとって有効な治療法を提供することができる。
なお、シスプラチン及びPDE3B阻害剤は、(1)双方の化合物を含む単一の医薬組成物、(2)これら化合物の一方をそれぞれ含む別個の医薬組成物、いずれの組成物として投与しても良い。また、(2)の投与例の場合、これら別個の医薬組成物を同時に投与しても良いし、逐次的に別々に投与しても良い。PDE3B阻害剤及びシスプラチンを逐次的に別々に投与する場合とは、PDE3B阻害剤またはシスプラチンを最初に投与し、次に他方を投与する投与例である。両薬剤の有効血中濃度が比較的長時間維持されるため、そのような逐次投与は、時間間隔を空けずに行ってもよいし、時間間隔を空けて行ってもよい。本発明のシスプラチン、PDE3B阻害剤は、あらゆる適切な経路で投与できる。好適な経路としては、経口、直腸内、鼻腔内、局所(口腔内および舌下を含む)、膣内、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい経路は、例えばこの組合せ薬剤のレシピエントの症状に応じて様々に変わり得ることが理解されよう。また、投与される薬剤は同じ経路で投与されても良いし異なる経路で投与されてもよい。
一例として、PDE3B阻害剤を経口投与し、シスプラチンを定法に従って静脈内投与することが好ましい。このとき、例えば、PDE3B阻害剤としてシロスタミド、シロスタゾール、トレキンシン、ミルリノン、オルプリノン、アムリノン又はピモベンダンを使用する場合、これら具体的な薬剤を通常使用している投与量で使用することができる。
具体的に、シスプラチンは、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経芽細胞腫、胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肝細胞癌、小細胞肺癌及び骨肉腫等に対する効果を確認されている。しかし、PDE3B阻害剤と併用投与することによって、具体的に卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肝細胞癌、小細胞肺癌及び骨肉腫といった症例に効果を期待できる。
従来、シスプラチンの投与方法としては、以下の7つの方法が知られている。すなわち、シスプラチンとして15〜20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし投与を繰り返す方法(A法)。シスプラチンとして50〜70mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(B法)。シスプラチンとして25〜35mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも1週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(C法)。シスプラチンとして10〜20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(D法)。シスプラチンとして70〜90mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(E法)。シスプラチンとして20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(F法)。シスプラチンとして100mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(G法)。
そして、従来、シスプラチンの投与例としては、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌にはA法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりC法を選択している。また、卵巣癌には、B法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりA法及びC法を選択している。さらに、頭頸部癌には、D法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりB法を選択している。さらにまた、非小細胞肺癌には、E法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりF法を選択している。さらにまた、食道癌には、B法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりA法を選択している。さらにまた、子宮頸癌には、A法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりE法を選択している。さらにまた、神経芽細胞腫、胃癌、小細胞肺癌には、E法を選択している。さらにまた、骨肉腫には、G法を選択している。
ここで、シスプラチンとPDE3B阻害剤を併用投与することによって、シスプラチン投与効果を増強できるため、上記7つの方法(A法〜G法)において、シスプラチンの投与量を大幅に低減しても優れた抗癌効果を達成することができる。具体的に、A法において投与量を7〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、B法において投与量25〜35mg/m2(体表面積)とすることができ、C法において投与量を10〜20mg/m2(体表面積)とすることができ、D法において投与量を5〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、E法において投与量を35〜45mg/m2(体表面積)とすることができ、F法において投与量を7〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、G法において投与量を40〜50mg/m2(体表面積)とすることができる。
このように、如何なる投与方法においても、シスプラチンの投与量を低減できることから、シスプラチンに起因する副作用を軽減することができる。シスプラチンに起因する副作用としては、具体的に、主なものは嘔気・嘔吐、食欲不振、全身けん怠感、脱毛、白血球減少、貧血、血小板減少、BUN上昇、クレアチニン・クリアランス値低下、血清クレアチニン上昇を挙げることができる。また、シスプラチンに起因する重大な副作用としては、急性腎不全、汎血球減少等の骨髄抑制、ショックやアナフィラキシー様症状、聴力低下・難聴・耳鳴(1.7%)、うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲、脳梗塞、血栓性微小血管症、心筋梗塞、溶血性貧血、間質性肺炎等が挙げられる。シスプラチンとPDE3B阻害剤の併用投与によって、これら副作用の発症を防止することができ、また、これら副作用を軽減することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明に係る技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<耐性株の樹立>
先ず、本実施例ではシスプラチン耐性株を樹立した。具体的には、和歌山県立医科大学医学部歯科口腔外科講座から提供された口腔扁平上皮癌由来細胞株(H-1株及びSa-3株)に対して、シスプラチン(以下、CDDPと称する場合もある)濃度を0.1μg/mlの低濃度から段階的にCDDPを持続的に接触させることによって、シスプラチンに対して耐性を有する細胞株を樹立した。H-1株から樹立したシスプラチン耐性株をH-1R株と命名し、Sa-3株から樹立したシスプラチン耐性株をSa-3R株と命名した。
また、中咽頭扁平上皮癌由来細胞株(KB株)に対しても同様にCDDP処理を行い、シスプラチン耐性株を樹立した。KB株から樹立したシスプラチン耐性株をKBR株と命名した。
これらシスプラチン耐性株(H-1R株、Sa-3R株及びKBR株)について、シスプラチンに対して感受性を示す各親株に対する相対的な耐性度を検討した。具体的には、各耐性株及び各親株をそれぞれCDDPで処理し(CDDPの濃度を0.05〜10μg/mlとした)、その後、MTTアッセイを行ない、各耐性株及び各親株について50%生存(死滅)濃度(IC50)を求めた。H-1株とH-1R株の相対的な耐性度は約10倍、Sa-3株とSa-3R株の相対的な耐性度は約7.5倍、KB株とKBR株の相対的な耐性度は8.6倍であった。これらの3種類の細胞株は凍結解凍を行っても、さらに、1月間CDDP無添加培養を行っても耐性は変わらなかった。
図1に代表例としてSa-3株及びSa-3R株におけるMTTアッセイの結果を示す。なお、他の耐性株とその親株においても、図1に示したプロファイルと同様なプロファイルを示した。
なお、基本的な形態、増殖速度、およびコロニー形成能については、耐性株及び親株において大きな変化は認められず、ほぼ同様の性状を保っていた。
また、樹立した耐性株が遺伝子学的にもCDDP耐性を示すことを証明するため、薬剤耐性機構のうちABCトランスポーター遺伝子の発現状況をRT-PCR法によって解析した。ABCトランスポーター(ATP-binding cassette)は、細胞膜に存在し、薬物の輸送に関わっており、特に薬剤耐性との関連について多く報告されている。CDDP耐性と関連があるといわれるABCトランスポーター(MDR1、MRP1及びMRP2)について発現を検討した。なお、比較の対象としてGAPDHをRT-PCRによって検出した。RT-PCRの結果、本例で樹立した各耐性株においては、3種類のABCトランスポーターで強発現が認められた。図2に代表例としてSa-3株及びSa-3R株におけるRT-PCRの結果を示す。この結果から、本例で樹立した各耐性株は遺伝子学的もCDDPに対する耐性を有する細胞株であることが明かとなった。なお、従前のCDDP耐性に関連する報告では、耐性株の耐性度は2倍程度であり、実験誤差範囲ともいえる程度の低耐性しか保有していない細胞株であった。本実施例で樹立した耐性株は5〜10倍と、従前の細胞株と比較して高い薬剤耐性を有し、解析に非常に有用であると考えられた。
<マイクロアレイ解析>
次に、本実施例では、耐性株及びその親株を用いたマイクロアレイ解析によって、耐性株において特異的に発現増強している遺伝子及び耐性株において特異的に発現減弱している遺伝子を同定した。具体的にマイクロアレイ解析では、マイクロアレイとして54675種類のプローブが固定化されたAffymetrix U133 Plus 2.0を使用した。また、マイクロアレイ解析には、解析ソフトウェアとしてGeneChip Operating Software 1.1 (Affymetrix社製)及びGeneSpring 6.1(Silicon Genetics社製)を使用した。
マイクロアレイ解析としては、先ず、耐性株Sa-3R株についてその親株Sa-3株と比較して1.5倍以上の発現が観察された遺伝子群、耐性株H-1R株についてその親株H-1株と比較して1.5倍以上の発現が観察された遺伝子群、及び耐性株KBR株についてその親株KB株比較して1.5倍以上の発現が観察された遺伝子群を特定した。そして、これら3つの群に共通する遺伝子群を、シスプラチン耐性株において特異的に発現増強している遺伝子群(164遺伝子)として同定した(図3参照)。
一方、耐性株Sa-3R株についてその親株Sa-3株と比較して1.5倍以下の発現が観察された遺伝子群、耐性株H-1R株についてその親株H-1株と比較して1.5倍以下の発現が観察された遺伝子群、及び耐性株KBR株についてその親株KB株比較して1.5倍以下の発現が観察された遺伝子群を特定した。そして、これら3つの群に共通する遺伝子群を、シスプラチン耐性株において特異的に発現減弱している遺伝子群(35遺伝子)として同定した(図3参照)。
これら合計199遺伝子は、癌細胞においてシスプラチン耐性に関連する遺伝子として同定できたこととなる。
<パスウェイ解析>
次に、本実施例では、シスプラチン耐性に関連する遺伝子として同定された199個の遺伝子についてパスウェイ解析を行い、199個の遺伝子で如何なるネットワークが形成されるかを検討した。具体的に、パスウェイ解析には、ソフトウェアとしてIngenuity Pathway Analysis(Ingenuity systems社製)を使用した。その結果、199個の遺伝子のうち50個の遺伝子が4つのネットワークを形成しており、これら4つのネットワークが更に大きな1つのネットワークを形成していることが判明した。パスウェイ解析の結果として得られた4つのネットワークを図4に示す。図4に示したネットワークを構成する50個の遺伝子は、耐性株におけるCDDP耐性という表現型に強く関連する遺伝子であると結論づけた。
<臨床試験用耐性候補遺伝子絞込み>
次に、本実施例では、臨床検体によって抗癌剤の奏功率を予測しえる候補遺伝子を、この50個の遺伝子から検索した。まず、RT-PCRによってmRNAの発現を確認することで、50遺伝子中で耐性株において発現している遺伝子のなかから、当該遺伝子に対する阻害剤が存在する遺伝子(PDE3B)を選出した。なお、PDE3B遺伝子について行ったRT-PCRの結果を代表例として図5に示す。図5に示すように、PDE3B遺伝子は、親株と比較して耐性株において特異的に発現していることが判る。
<臨床試験>
PDE3Bに対する抗体として抗ヒトPDE3Bヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz社製)を準備した。in vivoでのタンパク発現を確認するため、シスプラチン投与に結果、完全寛解した症例(CR症例:Complete Response症例)、部分寛解した症例(PR症例:Partial Response症例)及び不変の症例(NC症例:No Change症例)由来の臨床検体を用いて、免疫組織学的染色法により発現状態を調べた。免疫組織学的染色法は、ホルマリンで固定されたパラフィン包埋組織を厚さ4μmの切片にし、脱パラフィン処理と脱水処理した後、0.3% H2O2と30分間反応させて内因性ペルオキシダーゼを除去し、1.5%ブロッキング血清(Santa Cruz Biotechnology社製)で非特異的なタンパクとの反応を阻害した。その後、1:100倍希釈抗体Lin7Cモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology)を室温・湿潤状態で30分間反応させた。リン酸緩衝液で3回洗浄し、Envision reagent (Dako社製)と反応させた後、3,3 -diaminobenzidine tetrahydrochloride(Dako社製)によって発色させ検出した。最終に、対比のためにヘマトキシリン染色を施した。
免疫組織学的染色法における染色性の評価にはIHCスコアを用いた。IHCスコアは、対物レンズ40倍で観察し、1視野の中の全細胞数のうち陽性細胞の百分率と染色性の強度(例えば3段階(弱、中及び強)に評価して、それぞれに1〜3の整数を割り当てる)とを掛け合わせた数の総和である。これを無作為に抽出した10視野で行い、その平均値としてIHCスコアを算出する。IHCスコアは、染色強度と染色範囲を示す優れたスコアとして、現在、一般的に用いられている染色度判定方法である。
PDE3B遺伝子について臨床検体の免疫組織学的染色法を施行した結果の代表例を図6に示した。シスプラチンに耐性である臨床検体症例において、PDE3Bタンパクの発現亢進が確認できた。
また、シスプラチン投与に対するNC症例を10症例、PR症例を22症例及びCR症例16症例を用いてIHCスコアを求め、IHCスコアの分布を上述した遺伝子について求めた。PDE3B遺伝子についてIHCスコアの分布を求めた結果を図7に示した。図7に示すように、上記の遺伝子について、IHCスコアとシスプラチン投与の奏功評価とが相関していることが明かとなった。
また、臨床指標とPDE3Bタンパク発現の相関性を図8に示す。図8に示したように、NC症例でのPDE3Bタンパク発現は80%であり、シスプラチン耐性症例群(NC症例)で著しい発現率が確認された。なお図8中のNACは、Neo Adjuvant Chemotherapy(術前化学療法)の略称であり、内訳のCR(Complete Response:著効)、PR(Partial Response:有効)、NC(No Change:不変)はそれぞれ術前化学療法(NAC)による効果を示す。このため、シスプラチン耐性症例群(NC症例)の80%以上の症例に、PDE3B遺伝子阻害剤によるシスプラチン効果増強作用が見込まれた。
<PDE3Bの発現抑制>
上述の実験により、PDE3Bの発現亢進とシスプラチン耐性との相関が示唆されたため、シスプラチン耐性株Sa-3R用いてPDE3Bの発現抑制を行った。具体的には、PDE3B遺伝子が高発現している耐性株Sa-3Rを用いて、siRNAを導入してCDDP耐性の変動を検討した。導入試薬には、DhaemaFECT (Dharmacon社)を使用した。Sa-3RにPDE3B遺伝子のsiRNA(GEヘルスケア社)を導入し、48時間後に2×103/100μl medium/wellの割合で96wellプレートに細胞を移した。同時にCDDPを添加したmedium 10μlを混合し(CDDPの終濃度は0.04〜10μg/mlになるよう調整した)、72時間インキュベートした後にMTS assayにて細胞の生存率を評価した。MTS溶液(Promega社)を、10μl/wellの割合で混合した後4時間インキュベートし、プレートリーダーにて490nmの波長で計測した。コントロールには無処理の細胞、導入試薬を添加した細胞(Vehicle)、non-target si RNA(siNT)を用いた。図9に示すようにsiRNAを導入した細胞では、コントロール群に比較してCDDPへの耐性が低下した。PDE3B遺伝子の発現を抑制することにより、CDDPに対する感受性が増加したと考えられた。
<PDE3B阻害剤>
さらに、PDE3B遺伝子の阻害剤であるcilostamide(Calbiochem社)、cilostazol(Tocris社)、trequinsin(Calbiochem社)、milrinone(Calbiochem社)について、CDDPと併用することによりCDDP耐性株に対して併用作用を示すか検討した。阻害剤の溶媒として、DMSOを使用し阻害剤を溶解した。実験では一環してmedium中のDMSO濃度が、0.1%になるよう調整し、阻害剤を混合した。各阻害剤の濃度は、cilostamide 10nm、50nm、cilostazol 10μM、50μM、trequinsin 1μM、10μM、milrinone 25μM、100μMとした。実験は、CDDP耐性株Sa-3Rを24wellプレートに2.5×104/300μl medium/wellでまき、翌日に阻害剤を5μg/mlの割合で添加したmediumを100μl/wellずつ混合した。その1時間後にCDDPを添加したmediumを100μl/wellずつ混合(CDDPの終濃度は0、5、10μg/mlになるよう調整した)し72時間培養したものをMTT assayで評価した。MTT溶液(sigma社)は、50μl/wellずつ混合し、4時間インキュベートした。その後、mediumをデカントしStop溶液(0.04N HCL含有イソプロパノール)を300μl/wellずつ加え4時間以上室温でインキュベートした。プレートリーダーでの測定波長は、570nmにて行った。阻害剤は、DMSOに溶解しているため、コントロールには同量のDMSOを添加したものと無処理のSa-3Rの2種類を用いた。図10に示したように、ほぼ全ての阻害剤で併用効果が認められたが、他の群に比較してCilostazol 50μMを添加した群で、特に強い細胞増殖抑制効果を認めた。
細胞増殖抑制効果が最も顕著であったCilostazolに関して親株(Sa-3、H-1)およびCDDP耐性株に対してCDDPとの併用効果をさらに検索した。実験は、親株(Sa-3、H-1)およびCDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)を24wellプレートに2.5×104/300μl medium/wellでまき、翌日に阻害剤を5μg/mlの割合で添加したmediumを100μl/wellずつ混合した。その1時間後にCDDPを添加したmediumを100μl/wellずつ混合(CDDPの終濃度は各細胞株の条件により0〜20μg/mlになるよう調整した)し、72時間培養したものをMTT assayで評価した。MTT溶液(sigma社)は、50μl/wellずつ混合し、4時間インキュベートした。その後、mediumをデカントしStop溶液(0.04N HCL含有イソプロパノール)を300μl/wellずつ加え4時間以上室温でインキュベートした。プレートリーダーでの測定波長は、570nmにて行った。阻害剤は、DMSOに溶解しているため、コントロールには同量のDMSOを添加したものと無処理の親株(Sa-3、H-1)およびCDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)の2種類を用いた。親株(Sa-3、H-1)に対しては、Cilostazol50μMとCDDPを併用した場合でもコントロール群に比較して、腫瘍細胞抑制効果は認められなかった。一方、図11に示したように、CDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)では、Cilostazol50μMとCDDPを併用した群ではコントロール群と比較して、強い細胞増殖抑制効果を認めた。
この結果CilostazolはPDE3B遺伝子が強発現している耐性癌細胞に対してのみ、CDDP増強作用を示すことが判明した。このため、正常組織に対するCDDP効果の増強作用は非常に低く、Cilostazol併用による副作用はほとんど無いことが推測された。
<CilostazolとCDDP併用によるCDDP耐性株増殖能の抑制>
CDDP耐性株Sa-3RにおいてCilostazol 50μMとCDDP 5μg/mlを併用した際の、細胞数の変化を確認した。実験方法は、耐性株Sa-3Rを1×105/1ml medium/3cm dishに撒き、翌日に2μl/0.5ml mediumの阻害剤入りmediumを添加し、その1時間後に5μg/0.5ml medium CDDP入りmediumを添加した。その後、24時間(Day1)〜120時間(Day5)培養したものをトリプシン処理し、細胞数を計測した。阻害剤入りmediumを添加する際に、前日予め同条件でまいた細胞をトリプシン処理、計測しその細胞数をDay0とした。阻害剤はDMSOに溶解して用いるため、コントロールには同量のDMSOを添加したものと無処理のSa-3Rの2種を用いた。図12に示すように、Cilostazol 50μMとCDDP 5μg/mlを併用した群では、DMSOを添加したSa-3Rと無処理のSa-3Rに比較して、細胞増殖抑制が増強された。
<In vivoにおけるCilostazolとCDDP併用によるCDDP耐性株増殖能の抑制>
In vivoにおけるCilostazolとCDDP併用効果を検討するため、ヌードマウス(近交系BALB/c ヌードマウス:チャールズリバー社)を使用し実験を行った。動物実験に際しては、Canadian Council on Animal Care (CCAC)の基準に準じて行った。マウスは全例♀で、4週齢で購入し6週齢より実験に供した。予備実験を行い、上記<耐性株の樹立>で得られたCDDP耐性株の中から腫瘍の生着率の高いH-1株及びH1-R株を本実験に使用した。
すなわち、H-1株又はH1-R株を1×107/200μl PBSに希釈した細胞溶解液を準備し、29G針(マイジェクター:TERUMO)を用いてマウスの両側腹部に皮下注した。なお、1体のマウスに対して左側にH-1株、右側にH1-R株を接種した。腫瘍を接種したマウスを3日ごとに観察し、主に腫瘍接種14日前後に腫瘍容量が100〜300mm3になったものを実験群とした。腫瘍容量の評価は、腫瘍の(長径×短径2)/2とした。
Cilostazolの投与経路として、経口投与を行った。具体的には、大塚製薬より供与されたMF(コントロール様飼料:オリエンタル酵母)及びMF+0.3% Cilostazolを用いて、Cilostazol投与群と非投与群とに分けて実験を行った。実験期間中、飼料・水分の摂取制限はおこなっていない。
これらCilostazol投与群及び非投与群に対するCDDPの投与は、2mg/kgの用量で週1回腹腔内注射(1クール)にて行った。実験期間中4クールの投与を行った。腫瘍容量を測定することでCilostazolとCDDPの併用による腫瘍体積の減少効果を評価した。また、体重を測定してその増減からCilostazolとCDDPの併用による毒性を評価した。
図13(A)に腫瘍容量の測定結果を示し、図13(B)に体重の測定結果を示した。なお図13(A)はCDDP単独投与群(n=5:図13(A)において実線)及びCDDP+Cilostazol投与群(n=5:図13(A)において破線)における腫瘍体積の増大を示す。CDDPは2mg/kg/weekの投与計画を1クールとして、計4クール投与した。図13(A)に示すように、CDDP耐性株由来の腫瘍はCDDP単独投与によって増殖抑制されず、腫瘍体積の増大が認められた。これに対して、CDDPとCilostazolの併用投与によれば、CDDP耐性株由来の腫瘍の体積は有意に減少しており、CDDP耐性株はCDDPとCilostazolの併用により増殖抑制されることが明らかとなった。
なお、図13(A)からは、腫瘍体積の減少効果は、4クール目のCDDP投与後、数日で現れることが分かる。また、CDDP+Cilostazol投与群においても、CDDPの効果が無くなると、腫瘍体積がCDDP単独投与群と同様まで増大している。このことからも、Cilostazolは、CDDPによる腫瘍細胞増殖抑制効果を増強する作用を有することが理解できる。なお、Cilostazolは、抗血小板薬であり、血小板の働きをおさえて、血液凝固を抑制することが知られている。よって、Cilostazolを単独で投与しても腫瘍細胞の増殖を抑制するものではなく、上述したCDDP耐性株の増殖抑制という結果は、CDDPとCilostazolの併用投与によるものと結論付けられる。
さらに、図13(B)に示すように、CDDP単独投与(図13(B)において実線)及びCDDPとCilostazolの併用投与(図13(B)において破線)のいずれにおいても体重の増減は認められなかった。この結果から、CDDPとCilostazolを併用しても、毒性はCDDP単独投与と同様に僅少であると評価することができる。
<結果のまとめ>
以上のように、先ず<マイクロアレイ解析>の結果から、シスプラチン耐性に関連する遺伝子として信頼性の高い199個の遺伝子を同定することができたに絞り込めた。また、<パスウェイ解析>の結果から、シスプラチン耐性に関連する遺伝子として更に信頼性の高い51個の遺伝子を絞り込めた。さらに、<臨床試験>の結果から、51個の遺伝子に含まれるPDE3B遺伝子については、その発現量からシスプラチン投与の効果を判定できることが示唆された。また<PDE3Bの発現抑制>により機能的にもPDE3B遺伝子は、シスプラチン耐性に関与していることが支持された。PDE3B阻害剤による実験<PDE3B阻害剤>、<CilostazolとCDDP併用によるCDDP耐性株増殖能の抑制>の結果より、PDE3B阻害剤とシスプラチンを併用することにより、シスプラチンへの感受性が増強された。特にCilostazolはすでに抗血小板剤として広く臨床応用されており、生体への安全性も確認されている。また<In vivoにおけるCilostazolとCDDP併用によるCDDP耐性株増殖能の抑制>から、動物実験でもCDDPとCilostazolの併用によりCDDP単剤に比較して、腫瘍増殖抑制効果が認められた。またCDDPとCilostazol併用による体重減少は認められず、毒性の点からも有効であると考えられた。
これらの結果から、シスプラチン耐性の症例に対してPDE3B阻害剤を併用することにより各種シスプラチン耐性の癌腫に対するシスプラチンの投与効果を増強する有用な手法が開発できたと評価できる。

Claims (3)

  1. シロスタゾール(cilostazol)を有効成分とするシスプラチン効果増強剤。
  2. シロスタゾール(cilostazol)を有効成分とするシスプラチン効果増強剤と、シスプラチンを有効成分とする抗癌剤とを含む、抗癌剤キット。
  3. 上記シスプラチンを一日あたりの投与量として50〜100(mg)含有することを特徴とする請求項記載の抗癌剤キット。
JP2009044748A 2008-03-13 2009-02-26 シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット Expired - Fee Related JP5467259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009044748A JP5467259B2 (ja) 2008-03-13 2009-02-26 シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008064581 2008-03-13
JP2008064581 2008-03-13
JP2009044748A JP5467259B2 (ja) 2008-03-13 2009-02-26 シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009242378A JP2009242378A (ja) 2009-10-22
JP5467259B2 true JP5467259B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=41304720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009044748A Expired - Fee Related JP5467259B2 (ja) 2008-03-13 2009-02-26 シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5467259B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101476349B1 (ko) * 2012-03-30 2014-12-24 에스케이케미칼주식회사 실로스타졸 및 은행잎 추출물을 유효성분으로 포함하는 난청 예방 또는 치료용 약학적 조성물
EP3108890B1 (en) 2014-02-20 2022-12-28 Hirofumi Yamamoto Enhancer of anti-tumor effect of anti-cancer agent
IL306091A (en) * 2021-05-11 2023-11-01 Regeneron Pharma Methods of treating liver diseases with phosphodiesterase 3B inhibitors

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2003208228A1 (en) * 2002-03-06 2003-09-16 Cellegy Pharmaceuticals, Inc Formulations and methods of using nitric oxide mimetics in cancer treatment
WO2008047947A1 (fr) * 2006-10-20 2008-04-24 National University Corporation Chiba University Procédé de détermination de l'effet d'une administration de cisplatine et kit permettant de déterminer l'effet d'une administration de cisplatine

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009242378A (ja) 2009-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9556431B2 (en) ShRNA molecules and methods of use thereof
WO2015149056A1 (en) Inhibition of bruton's tyrosine kinase (btk) in the lung to treat severe lung inflammation and lung injury
JP7392954B2 (ja) トリプルネガティブ乳癌の治療方法
US10894989B2 (en) Treatment of angiogenesis disorders
JP5341081B2 (ja) 肝細胞癌処置用医薬組成物および医薬キット
US20150216891A1 (en) Nucleic acids targeting tctp for use in the treatment of chemo-or hormone- resistant cancers
JP2023123748A (ja) 転移性癌の診断及び治療の方法
JP5467259B2 (ja) シスプラチン効果増強剤及び抗癌剤キット
WO2013026059A1 (en) Inhibition of oncogenic kras-induced gm-csf production and function
JP2011063612A (ja) 開腹手術後の癒着の予防剤
US9623109B2 (en) Methods of killing cells and use of same in prevention and treatment of cancer
JP5762103B2 (ja) 頭頸部癌及び食道癌用抗癌剤及び増強剤
US20210379088A1 (en) Cancer regression by inducing a regeneration-like response
JP5611953B2 (ja) 癌の処置における治療標的としてのチロシンキナーゼ受容体tyro3
JP5578498B2 (ja) 抗癌剤キット及び抗癌剤効果増強剤
WO2005089800A1 (ja) hsHRD3を含む医薬組成物
WO2006016574A1 (ja) RNAiを利用した抗腫瘍剤
US20100239596A1 (en) Grp78 and tumor angiogenesis
JP4797159B2 (ja) 癌転移抑制用組成物
CN118019548A (zh) 用于治疗癌症的方法
WO2009113436A1 (ja) Fgfr3遺伝子阻害剤の放射線照射併用による放射線の抗癌作用増強法および副作用軽減法
CN113853216A (zh) 治疗去势抵抗性前列腺癌的方法
US20050222063A1 (en) Methylenetetrahydrofolate reductase inhibitors and use thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130930

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130930

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5467259

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees