JP4797159B2 - 癌転移抑制用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高転移ヒト肺癌細胞株と低転移ヒト肺癌細胞株との遺伝子の発現差の比較によって新規に見出されたヒト癌転移遺伝子に関する。具体的には、本発明は、該遺伝子又は対応のRNA、或いは該遺伝子によってコードされるタンパク質、さらにはその生体内及びヒト培養細胞内における機能を阻害又は抑制する核酸(siRNA、リボザイム及びアンチセンス核酸)又は抗体を含む癌転移抑制用組成物に関する。
本発明はまた、該遺伝子又は対応のmRNAの発現等を指標として癌転移抑制剤としての候補薬剤をスクリーニングする方法、並びにそのような核酸の発現レベルを測定することを含む癌転移の可能性を予測する方法に関する。
癌は、遺伝子と環境因子が複雑に絡んだ多因子疾患である。化学療法、放射線療法、外科療法、免疫療法などの種々の治療法が実施されているが、癌の発症メカニズムの複雑さゆえに、中期及び末期癌の治療や癌転移の抑制については必ずしも十分な効果が達成されているとはいえない。
一方、癌の早期発見と早期治療によって多くの癌患者が完治又は延命していることも事実である。癌の診断には、例えば細胞診、組織診、内視鏡、画像診断、癌マーカーによる生化学的診断などの方法が採用されており、特に早期癌の検出のために多方面からの研究が活発に行われている。
癌の治療や再発を妨げる大きな原因の1つが、癌の転移である。癌の運動能と浸潤能のために癌は原発巣から別の組織に遠隔転移し増殖する。この転移メカニズムの全体像は、ほとんど解明されていない。癌が悪性化するにつれて、また癌の摘出に際して、癌は転移し易くなり、その結果癌の再発が起こるため、癌の転移を防ぐことが、癌の早期診断法や有効な治療法の開発とともに、医療現場で重要な課題となっている。
現在、いくつかの癌転移関連遺伝子が報告されているが、そのほとんどはディファレンシャル・ディスプレー法によって発見されている。この方法は発現パターンの差異に基づいて目的遺伝子を検出するものであるが、この方法によって見出された遺伝子の多くは、多くの組織や細胞中で共通して一定量発現する遺伝子、いわゆるハウスキーピング遺伝子であった。本質的に癌転移に関わる遺伝子を特定することができるならば、癌転移を抑制する薬剤の開発に繋がることが期待される。
癌転移抑制剤として、例えばヒトVEGF受容体Flt-1を介する情報伝達を阻害する物質(特開2003-261460(特許文献1))、細胞接着阻害活性を有するペプチド(特開09-143076(特許文献2))、プリンレセプター作働機能を有するプリン系化合物(特開7-082156(特許文献3))などが知られている。また、癌転移関連遺伝子として、マウス細胞株から発見された癌転移関連遺伝子が報告されている(再表98/045431(特許文献4))。
近年、mRNAを標的とした遺伝子抑制技術の癌治療への応用が試みられようとしている。そのような遺伝子抑制技術には、例えばアンチセンス法、リボザイム、RNA干渉(RNAi)などが含まれる(関大輔ら,実験医学22巻14号(増刊), 89〜98頁, 2004年, 羊土社(非特許文献1))。このうちRNA干渉は、二本鎖RNA(dsRNA)を細胞内に導入すると、その配列特異的にmRNAが分解され、遺伝子の発現が抑制される現象をいう(A. Fireら, Nature 391:806-811, 1998(非特許文献2)。dsRNAが細胞内のダイサー(Dicer)と呼ばれるRNアーゼIIIの一種によって切断され21〜23程度の小さな二本鎖RNA(small interfering RNA; siRNA)が形成され、siRNAは一本鎖にほどかれRISC(RNA induced silencing complex)と呼ばれるタンパク質複合体に取り込まれる。RISCはsiRNAの配列に相補的なmRNAに結合し、RISCの成分の1つであるRNアーゼH活性によってmRNAを特異的に切断する。RNAiは特異性が高いため、その医療への応用のための基礎研究が急速に進行しており、その標的としてウイルス性疾患、癌、遺伝性疾患などに注目が集まっている(実験医学22巻4号「RNAiのサイエンス」2004年羊土社(非特許文献3))。
特開2003-261460 特開09-143076 特開7-082156 再表98/045431 関大輔ら,実験医学22巻14号(増刊), 89〜98頁, 2004年, 羊土社 A. Fireら, Nature 391:806-811, 1998 実験医学22巻4号「RNAiのサイエンス」, 2004年, 羊土社
上記の従来技術の背景で述べたように、癌転移のメカニズムの全体像はほとんど解明されていない。癌の転移に関わる遺伝子もいくつか報告されているが、決定的な遺伝子は見出されていない。もしそのような癌転移関連遺伝子が同定されたならば、該遺伝子を阻害又は抑制することによって癌転移が抑制され、癌治療と予後管理に良い結果をもたらすことが期待される。
本発明の目的は、新規の癌転移関連遺伝子を見出すことである。
本発明の別の目的は、癌転移関連遺伝子又は対応のRNA、或いは癌転移関連タンパク質、の機能を阻害又は抑制するための癌転移抑制用組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、癌転移を抑制する核酸を提供することである。
本発明の別の目的は、癌転移を抑制する候補薬剤をスクリーニングする方法を提供することである。
本発明の別の目的は、癌転移の可能性及び生存期間の短縮の可能性を予測する方法を提供することである。
本発明者は、ヒト高転移癌細胞株とヒト低転移癌細胞株を樹立し、ディファレンシャル・ディスプレー法によって、該細胞株間で発現に差異が生じる遺伝子を検出する過程で、癌転移に関与する極めて有力な遺伝子を見出した。この癌転移関連遺伝子を、多数の癌患者において、その発現レベルについて調べた結果、高い発現を示す集団が存在することが判明した。さらに、高発現集団と低発現集団の予後を追跡調査した結果、高発現集団の予後が不良であることが判った。これらの結果に基づいて、本発明者は、今回見出された癌転移関連遺伝子の機能を抑制することによって転移を顕著に制御できることを見出した。
上記の知見に基づいて、本発明が完成された。すなわち、本発明は、以下に記載するような特徴を有する。
本発明は、第1の態様において、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子、対応するRNA、又はその変異体のインビボにおける機能を阻害もしくは抑制する核酸を含む、癌の転移抑制用組成物を提供する。
その一の実施形態において、前記癌が、その細胞又は組織が正常細胞又は組織と比べてより高い前記ヒト癌転移関連遺伝子発現量を示すものである。
別の実施形態において、前記RNAがmRNAである。
別の実施形態において、前記変異体が、選択的スプライス型mRNAである。
別の実施形態において、前記核酸がsiRNAである。
別の実施形態において、前記siRNAが、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子によってコードされるmRNA又はその選択的スプライス型mRNA配列からの連続する19〜25ヌクレオチドのセンス鎖配列とその相補的配列であるアンチセンス鎖配列とを含むものである。
別の実施形態において、前記siRNAが、その前駆体である二本鎖RNAから、細胞内RNアーゼであるダイサー(Dicer)によるプロセシングを介して誘導されるものである。
別の実施形態において、前記核酸が、前記siRNA又はその前駆体をコードするDNA配列をプロモーターの調節下に含む発現ベクターである。
別の実施形態において、前記発現ベクターが、前記センス鎖RNA配列と前記アンチセンス鎖RNA配列とが一本鎖ループ配列を介して共有結合されているヘアピン型RNAをコードするDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写により該ヘアピン型RNAを形成し、ダイサーによりプロセシングされて前記siRNAを形成するものである。
別の実施形態において、前記発現ベクターが、前記センス鎖RNA配列をコードするDNA配列と前記アンチセンス鎖RNA配列をコードするDNA配列とを連続して含み、かつ各鎖の5'末端にプロモーターが、また各鎖の3'末端にポリT配列がそれぞれ連結されたDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写後に該センス鎖RNAと該アンチセンス鎖RNAとがハイブリダイズして前記siRNAを形成するものである。
別の実施形態において、前記発現ベクターがプラスミドベクター又はウイルスベクターである。
別の実施形態において、前記発現ベクター又はsiRNAが、正電荷リポソームと複合体形成されたものである。
別の実施形態において、前記核酸がアンチセンス核酸である。
別の実施形態において、前記核酸がリボザイムである。
本発明は、第2の態様において、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子によってコードされるmRNA又はその選択的スプライス型mRNA配列からの連続する19〜25ヌクレオチドのセンス鎖配列とその相補的配列であるアンチセンス鎖配列とを含んでなるsiRNAを提供する。
その実施形態において、前記siRNAは、前記ヒト癌転移関連遺伝子又は前記mRNAの発現を阻害又は抑制するものである。
本発明は、第3の態様において、上記siRNA或いはその前駆体をコードするDNAをプロモーターの調節下に含む発現ベクターを提供する。
その一の実施形態において、前記発現ベクターは癌の転移を阻害又は抑制するためのものである。
別の実施形態において、前記DNAが、前記siRNAを構成するセンス鎖配列と前記アンチセンス鎖配列とが一本鎖ループ配列を介して共有結合されているヘアピン型RNAをコードし、かつ細胞内で転写により該ヘアピン型RNAを形成し、ダイサーによりプロセシングされて該siRNAを形成するものである。
別の実施形態において、前記DNAが、前記siRNAを構成するセンス鎖配列をコードするDNA配列とアンチセンス鎖配列をコードするDNA配列とを連続して含み、かつ各鎖の5'末端にプロモーターが、また各鎖の3'末端にポリT配列がそれぞれ連結されており、該DNAは、細胞内で転写後に該センス鎖RNAと該アンチセンス鎖RNAとがハイブリダイズして前記siRNAを形成するものである。
別の実施形態において、前記発現ベクターがプラスミドベクター又はウイルスベクターである。
本発明は、第4の態様において、上記発現ベクター又は上記siRNAと、正電荷リポソームとの複合体を提供する。
本発明は、第5の態様において、配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質又はその変異体のインビボにおける機能を阻害もしくは抑制する抗体又はその断片を含む、癌の転移抑制用組成物を提供する。
その一の実施形態において、前記抗体がヒト抗体又はヒト化抗体である。
別の実施形態において、前記抗体がモノクローナル抗体である。
本発明は、第6の態様において、ヒト培養癌細胞を用いて、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む、癌転移抑制剤のスクリーニング方法を提供する。
その実施形態において、前記方法は、ヒト培養癌細胞を準備し、該細胞株を候補薬剤の存在下で培養し、前記ヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む。
本発明は、第7の態様において、患者由来の培養癌細胞において、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現レベルを測定するか、或いは配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質の存在レベルを測定することを含む、癌転移の可能性及び/又は生存期間の短縮の可能性を予測する方法を提供する。
別の実施形態において、前記遺伝子もしくはmRNAの発現レベル又は前記タンパク質の存在レベルが正常細胞のレベルと比べて高い場合、癌転移の可能性及び生存期間の短縮の可能性があると決定する。
別の実施形態において、前記測定が、ハイブリダイゼーション法又は免疫測定法によって行なわれる。
別の実施形態において、前記ハイブリダイゼーション法が、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、ウェスタンハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ法、又は組織マイクロアレイ法による方法である。
別の実施形態において、前記方法はRT-PCRによるcDNA合成をさらに含む。
別の実施形態において、配列番号1のヌクレオチド配列又はそれと相補的な配列、或いはその連続する15以上のヌクレオチドからなる配列、を有するDNAをプライマー又はプローブとして用いる。
別の実施形態において、前記プローブが標識されている。例えば該プローブは放射性、蛍光性または酵素性標識されている。
本発明により、癌の転移を抑制すること、癌の転移を予測すること、及び癌の転移を抑制可能な薬剤をスクリーニングすることが可能になり、その結果、癌に対する治療成績の向上、並びに転移癌による再発の防止と予後の管理のために大きく貢献することが期待できる。
1.癌転移抑制用組成物
本発明の第1の態様により、本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子、対応するRNA、又はその変異体のインビボにおける機能を阻害もしくは抑制する核酸を含む、癌の転移抑制用組成物を提供する。
1.1 ヒト癌転移関連遺伝子
本発明のヒト癌転移関連遺伝子は、次のようにして見出された。
公知の転移性肺癌細胞株NCI-H460(American Type Culture Collectionから入手)をマウスに皮下移植して肺転移を起こさせたのち、肺転移巣からの細胞の継代培養と、転移能に基づくマウスを用いたインビボ選択とによって、高転移癌細胞株LNM35を単離した(図1)。一方、NCI-H460細胞から限界希釈法により低転移癌細胞株N15を得た。また同時に、LNM35を脱メチル化剤で処理することにより、低転移癌細胞株L2D2及びL2D3Aを得た。LNM35株は、運動能、浸潤能、リンパ節転移及び肺転移のいずれにおいても、N15株、L2D2株及びL2D3A株と比べて非常に高値を示した(図1)。
高転移癌細胞株LNM35と低転移癌細胞株N15との間で、ジーンフィルターマイクロアレイ(gene filter microarray; Research Genetics社)による遺伝子発現差を検討した結果、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子を見出し、癌浸潤転移(CIM; Cancer Invasion and Metastasis)遺伝子と命名した(図2)。CIM遺伝子は、データバンク検索の結果、データベースにUnigene ID Hs.438336として登録されていたが、その機能は不明であった。
癌検体、例えば肺癌手術検体についてCIM遺伝子の発現を検討した結果、肺癌症例の約30%において、対応のmRNAの発現増加が認められた(図3)。また、腺癌を中心に約50%の頻度でCIM遺伝子の発現増強が認められた(図3)。本発明においては、癌細胞又は組織において、正常細胞又は組織と比べて、より高いCIM遺伝子発現レベルが認められる癌であれば、肺癌又は腺癌に限定されない。その他の癌として、例えば大腸癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、子宮体部・頚部癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍、甲状腺癌、血液癌(特に白血病)リンパ腫、精巣癌、骨肉腫、皮膚癌、黒色腫などが例示されるが、これらに限定されない。
本発明の組成物は、上記のような癌の転移を抑制するために有効である。転移(metastasis)は、癌細胞が、その運動能と浸潤能によって、原発巣から遠隔部位の組織に移動し、そこで増殖し新生物を形成する一連の過程をいう。転移は、癌の再発を引起すため、癌治療の大きな障害となっている。血管又はリンパ管内に浸潤した癌細胞は、種々の組織に居留して多発的に癌疾患を起こすことも知られている。本発明では、本発明の癌転移関連遺伝子が関わる限りいずれの転移も対象となるが、例えばリンパ節転移の抑制に対して有効でありうる。
本発明の組成物によって、本発明の癌転移関連遺伝子だけでなく、それに対応するRNA、及び該遺伝子又はRNAの変異体のインビボにおける機能が阻害又は抑制される。対応するRNAには、癌転移関連遺伝子によってコードされるメッセンジャーRNA(mRNA)だけでなく、mRNA前駆体なども含まれる。
前記変異体には、ヒト個体内で自然発生的に生ずるすべての変異体を含み、例えば多型性や突然変異に基づくような変異体、或いは選択的スプライシングによって形成されるような変異体(すなわち、選択的スプライス型mRNA)が含まれる。変異体は、配列番号1のヌクレオチド配列において、1以上、好ましくは1もしくは数個のヌクレオチドが置換、欠失又は付加された配列を有し、かつ癌転移に関与する機能を有するものである。本明細書において「数個」とは、10個以下、8個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下を意味する。或いは、変異体は、配列番号1のヌクレオチド配列に相補的な配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつ癌転移に関与する機能を有するものである。本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、以下のものに限定されないが、約45〜50℃で2〜6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中でのハイブリダイゼーションと、それに続く、約50〜65℃での0.2〜2×SSC/0.1〜1%SDSによる洗浄からなる(例えば、Ausubelら, Curent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, US)。或いは、変異体は、配列番号1のヌクレオチド配列と80%以上、85%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上の%同一性を有する配列を含むものである。本明細書において「%同一性」は、配列アラインメントにおいてギャップの導入が可能な公知のBLASTプログラムに基づいて決定されうる(S. F. Altschulら, J. Mol. Bio. 215:403-410, 1990)。上記の変異体は、遺伝子レベル又はタンパク質レベルで癌転移に関与する限り、本発明の組成物によって阻害又は抑制されるための対象となりうるものである。
真核生物のmRNAは、遺伝子の転写の過程で、対応するイントロンとエキソンからなるmRNA前駆体からイントロンがプロセシングされ、エキソンが張り合わされて形成されるが、このとき、配列上にプロセシングを受けやすいスプライス部位が正常なスプライス部位以外に存在する場合選択的スプライス型mRNAが形成されることがある。この選択的スプライス型mRNAからタンパク合成を経て得られるタンパク質は、正常型タンパク質と一部共通の配列を有するタンパク質(イソ型タンパク質ともいう)であり、いわゆる変異体の一種であるといえる。イソ型タンパク質は、本来の正常型タンパク質と同等の機能を有する限り、本発明の組成物がインビボで機能しうる対象となりうるものである。
本発明の組成物の有効成分の1つは、核酸である。本発明の核酸は、上記のヒト癌転移関連遺伝子、対応するRNA、又はその変異体のインビボ機能を阻害もしくは抑制することができる、リボ核酸(RNA)及びデオキシリボ核酸(DNA)の両方を含む。本明細書で使用する「インビボにおける機能」は、生物学的機能又は生体機能と言い換えることができるが、癌の転移に関わるインビボでの機能のすべてを意味する。例えば、そのような機能には、転移に関連するタンパク質の生合成が含まれる。特に、本発明のヒト癌転移関連遺伝子によってコードされるタンパク質は、癌の転移過程において重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、本発明のヒト癌転移関連遺伝子、対応するRNA、又はその変異体のインビボ機能を阻害もしくは抑制することによって、癌細胞の運動能や浸潤能を特徴とする転移を有効に抑制することができる。
1.2 核酸
1.2.1 siRNA
本発明で使用可能な核酸には、例えばsiRNA (small interfering RNA)、アンチセンスRNA、リボザイム、これらのRNAを生成することができるすべてのベクターDNAなどが含まれる。このような核酸は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子の発現を阻害又は抑制することができる。
本発明で使用可能なsiRNAは、本発明のヒト癌転移関連遺伝子に対応するmRNA(すなわち、該遺伝子によってコードされるmRNA)又はその選択的スプライス型mRNAに相補的な配列を含む小さな二本鎖RNAであり、RNA-ヌクレアーゼ複合体(RNA induced silencing complex又はRISC)の形成を介して該mRNA又はその選択的スプライス型mRNAが選択的にプロセシングされる。
本発明の実施形態によれば、本発明のsiRNAは、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるmRNA又はその選択的スプライス型mRNA配列からの連続する約18〜約30、好ましくは約19〜約25、さらに好ましくは約20〜23ヌクレオチドのセンス鎖配列と、その相補的配列であるアンチセンス鎖配列とを含むことができる。ここで、センス鎖配列とは、前記mRNAの標的サイトと同一のヌクレオチド配列をいい、また、アンチセンス鎖配列とは、このセンス鎖配列に相補的なヌクレオチド配列をいう。センス鎖とアンチセンス鎖は互いに対合して二本鎖のsiRNAを形成することができる。
本発明において、本発明のsiRNAのセンス鎖配列を選択するために、例えば標的mRNAの標的サイトの選択のための公知の知識、例えば、(a)GC含量が約30〜約70%、好ましくは約50%である、(b)すべてのヌクレオチドが均等であり、またGが連続していない、(c)アンチセンス鎖の5'末端のヌクレオチドがA、Uである、などの基準を使用することができる(D.M. Dykxhoornら, Nature Rev. Mol. Cell Biol. (2003), 77:7174-7181; A. Khvorovaら, Cell (2003), 115:209-216)。
図3に、本発明のsiRNAの標的サイトを検討した結果を示したが、それによると、好ましい標的サイトは癌転移関連遺伝子のmRNA配列上の3'側のサイト、例えば#2、#5、#6、#8のサイト、に存在している。その結果選択されたsiRNAの標的となる配列の例は、配列番号1のヌクレオチド配列の965位及び1305位をそれぞれ開始位置とする下記の配列である。
si#6; GGACAACCCACATATCCAA(配列番号3)
si#5; GTGCAAAGAATCAGATTCA(配列番号4)
さらに本発明において使用可能なsiRNAが標的とする配列の別の例は、配列番号1のヌクレオチド配列の717位及び1133位をそれぞれ開始位置とする下記の配列である。
si#2; GACACCACTCTTGTGCAGT(配列番号5)
si#8; TCGGGACATGGAACCAAGA(配列番号6)
さらに本発明において使用可能なsiRNAが標的とする配列の別の例は、配列番号1のヌクレオチド配列の327位、1278位、483位、1045位をそれぞれ開始位置とする下記の配列である。
si#1; ACAAAGCAGTTGTTCCTAC (配列番号7)
si#3; ACCAAGACAGGTGACTGTA (配列番号8)
si#4; TGAAAAAGAACGAGAAGCA (配列番号9)
si#7; GTCGGTTGGTGGAAATATG (配列番号10)
さらに本発明において使用可能なsiRNAが標的とする配列の別の例を以下に列挙する。ここで、開始位置は、配列番号1のヌクレオチド配列における下記の配列の開始部位である。
開始位置: 279
GGATTATAAAGGCCCTAATCC (配列番号11)
開始位置: 332
GCAGTTGTTCCTACAGAATTG (配列番号12)
開始位置: 455
GGAATATGTTGGCCAAGAACC (配列番号13)
開始位置: 465
GGCCAAGAACCTTCTATTTGA (配列番号14)
開始位置: 544
GAAGGTCAGATGACACCATAC (配列番号15)
開始位置: 916
GCGATCCACAAGTCGATTGCT (配列番号16)
開始位置: 965
GGACAACCCACATATCCAAAT (配列番号17)
開始位置: 1070
GCTATGGCAAACATGTACATC (配列番号18)
開始位置: 1167
GGCTAAGAAGAATACTGCTAG (配列番号19)
開始位置: 1379
GGGTTGAATCTCCAGTGATCT (配列番号20)
開始位置: 752
CAGAGCATCTCCTGTGAAT (配列番号21)
開始位置: 1324
CTCATGCTGTTACTGTATA (配列番号22)
開始位置: 312
GAGCCACTATTTAAACAAA (配列番号23)
開始位置: 466
CCAAGAACCTTCTATTTGA (配列番号24)
開始位置: 570
GTGGGAATGGGAAATGGTA (配列番号25)
開始位置: 592
CTTGTAGTTTGAAACAGAA (配列番号26)
開始位置: 671
TTCAGTAGCTGAAGTTACA (配列番号27)
開始位置: 451
TTGGGAATATGTTGGCCAA (配列番号28)
開始位置: 1184
TAGAGCTTATCATCTTCAA (配列番号29)
開始位置: 659
GCATGAAATTCTTTCAGTA (配列番号30)
開始位置: 622
CAAGTACTGTGATGTACAT (配列番号31)
開始位置: 725
CTTGTGCAGTCATCCTAAA (配列番号32)
開始位置: 686
TACAACTTGTGAATATGAA (配列番号33)
開始位置: 635
GTACATATGTCATCCTGAA (配列番号34)
開始位置: 1145
CCAAGAAGAGCATATTGAA (配列番号35)
開始位置: 1219
CAGTCAGGATGGTGTCACA (配列番号36)
開始位置: 1350
GAGCCTCACTCCTGTCAAT (配列番号37)
開始位置: 1189
CTTATCATCTTCAAGACGA (配列番号38)
開始位置: 1186
GAGCTTATCATCTTCAAGA (配列番号39)
開始位置: 943
CTCAGCCAGTGCTCACTGT (配列番号40)
開始位置: 980
CAAATTGACAGATGACCAA (配列番号41)
開始位置: 395
GCAGTACCATGAAGAGAAA (配列番号42)
開始位置: 587
TACACCTTGTAGTTTGAAA (配列番号43)
しかし、本発明において、siRNAの標的となる配列は、上記の配列に限定されず、配列番号1のヒト癌転移関連遺伝子、対応するRNA又はその変異体のインビボにおける機能を阻害もしくは抑制する限り、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列において上記の配列番号3〜44の各配列を5'方向又は3'方向に1〜数塩基シフトした配列も包含されるし、或いは上記の特定の配列と異なる配列であってもよい。
本発明のsiRNAは、上に例示したようなsiRNAの標的となる配列に基づいて、周知の化学合成技術を用いて合成することができる。例えば、慣用のDNA/RNA自動合成装置を使用して化学的に合成するか、或いは、siRNA関連の受託合成会社(たとえばフナコシ株式会社、Dharmacon社、Ambion社など)に合成を委託することも可能であろう。
本発明の実施形態によれば、本発明のsiRNAは、その前駆体である二本鎖RNA(shRNA)から、細胞内RNアーゼであるダイサー(Dicer)によるプロセシングを介して誘導されてもよい。
shRNAは、siRNAのセンス鎖配列とアンチセンス鎖配列との間にループを有する二本鎖RNAであり、好ましくはその3'末端に1〜6個、好ましくは2〜4個のポリUからなるオーバーハングを含む。shRNAは、RNアーゼIIIファミリーに属するダイサーによってsiRNAにプロセシングされたのち、siRNAが一本鎖化され、そのセンス鎖RNAがRNアーゼHと複合体(RISC)を形成し、これによってsiRNA配列に相補的な配列を持つ標的mRNAが切断され、その結果、癌転移関連遺伝子の発現が抑制される。
したがって、本発明の上記siRNA及びその前駆体shRNAはいずれも、本発明の組成物の有効成分として使用することができる。
選択されたsiRNAは、臨床使用の際にいわゆるオフターゲット(off-target)効果を示さないことが望ましい。オフターゲット効果とは、標的遺伝子以外に、使用したsiRNAに部分的にホモロジーのある別の遺伝子の発現を抑制する作用をいう。オフターゲット効果を避けるために、候補siRNAについて、予めジーンチップなどを利用して交差反応がないことを確認するか、或いはGenBank(米国NCBI)などのデータベースを利用して配列同一性のない又はほとんどないことを確認することができる。
本発明のsiRNAを体内に導入するときには、siRNAを患部に直接注入するか、又はsiRNAの発現が可能なベクターを使用することが好ましい。或いは、siRNA又はベクターを、リポソーム、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン及びその他の正電荷リポソーム(例えば、正電荷コレステロール)、又はマイクロカプセル、と複合体形成し、これを使用することもできる(例えば、中西守ら, 蛋白質 核酸 酵素, 44巻11号, 48〜54頁, 1999年; Clinical Cancer research 59:4325-4333, 1999; Wuら, J. Biol. Chem. 262:4429, 1987)。細胞膜が負電荷を帯びているため、正電荷リポソームが好ましく使用されるが、正電荷リポソーム-核酸複合体はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれたのち核酸は細胞質又は核へ移行すると推定される。或いは、治療用核酸を粒径約500nm以下のナノ粒子中に封入することもできる。ナノ粒子として、例えばB型肝炎ウイルスエンベロープL粒子から形成されるホローナノ粒子(hollow nanoparticles)が例示され、核酸は、エレクトロポレーションによってこの粒子内に封入され、この場合、核酸封入粒子は肝臓に送達されうる(T. Yamadaら, Nature Biotech 21(8):885-890, 2003)。核酸をリポソーム中に封入するときには、核酸を硫酸プロタミンで処理して凝縮を起こし核酸−タンパク質複合体としたのち、正電荷脂質又は高分子ミセル中に封入することもできる。
リポソーム-核酸複合体は、例えば逆相蒸発法(F. Szokaら, Biochim. Biophys. Acta, 601:559, 1980)、ボルテックス振とう法、カルシウム融合-EDTAキレート法(金田安史,実験医学22巻14号(増刊), 147〜152頁, 2004年)などの公知の方法によって製造できる。
1.2.2 発現ベクター
本発明の別の実施形態により、本発明で使用可能な核酸として、前記siRNA又はその前駆体をコードするDNA配列をプロモーターの調節下に含む発現ベクターが含まれる。
発現ベクターの1つの例は、ヘアピン型ベクターである。このベクターは、前記センス鎖RNA配列と前記アンチセンス鎖RNA配列とが一本鎖ループ配列を介して共有結合されているヘアピン型RNAをコードするDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写により該ヘアピン型RNAを形成し、ダイサーによりプロセシングされて前記siRNAを形成するベクターである。
siRNAをコードするヘアピン型DNAの3'末端には、転写停止シグナル配列として、或いはオーバーハングのために、1〜6個、好ましくは1〜5個のTからなるポリT配列、例えば4個又は5個のポリT配列が連結される。ベクターDNAから転写されたsiRNA前駆体としてのショートヘアピンRNA(shRNA)は、そのアンチセンス鎖の3'末端に2〜4個のUからなるオーバーハングを有することが望ましく(図4)、オーバーハングの存在によって、センス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAはヌクレアーゼによる分解に対して安定性を増すことができる。ヒトには内在性のダイサーが1つ存在し、これが長鎖dsRNAや前駆体マイクロRNA(miRNA)をそれぞれsiRNAと成熟miRNAに変換する役割をもつ。
本発明における前記ループ配列の例は、5'-UUCAAGAGA-3'、5'-CUUCCUGUCA-3'、5'-UUCCAG-3'などであるが、これらに限定されない。
本発明の上記発現ベクターは、上記ヘアピン型DNAの5'側にプロモーターを含むことができる。プロモーターの例は、pol IIIプロモーター、例えばヒトもしくはマウス由来のU6プロモーター又はH1プロモーター、pol IIプロモーター、或いはサイトメガロウイルスプロモーターである。
本発明の発現ベクターの別の例は、タンデム型ベクターである。このベクターは、前記siRNAを構成するセンス鎖RNA配列をコードするDNA配列とアンチセンス鎖RNA配列をコードするDNA配列とを連続して含み、かつ各鎖の5'末端にプロモーターが、また各鎖の3'末端にポリT配列がそれぞれ連結されたDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写後に該センス鎖RNAと該アンチセンス鎖RNAとがハイブリダイズして前記siRNAを形成するベクターである。
タンデム型ベクターにおけるプロモーターの例は、pol IIIプロモーター、例えばヒトもしくはマウス由来のU6プロモーター又はH1プロモーター、或いはサイトメガロウイルスプロモーターである。
また、ポリT配列は、1〜6個、好ましくは1〜5個のTからなるポリT配列、例えば4個又は5個のポリT配列である。
本発明のタンデム型ベクターは、細胞内に導入されたのち、センス鎖とアンチセンス鎖に相当するRNAに転写され、互いにハイブリダイズして目的のsiRNAを生成することができる。
本発明の実施形態により、上記ヘアピン型及びタンデム型ベクターは、プラスミドベクター又はウイルスベクターである。
プラスミドベクターは、後述の実施例に記載の手法又は文献記載の方法を用いて調製してもよいし、或いは市販のベクター系、たとえばpiGENETMU6系ベクター及びpiGENETMH1系ベクター(タカラバイオ株式会社)を利用することもできる(T.R. Brummelkampら, Science (2002), 296:550-553; N.S. Leeら, Nature Biotech. (2002), 20:500-505;M. Miyagishiら, Nat. Biotechnol. (2002), 20:497-500; P.J. Paddisonら, Genes & Dev. (2002), 16:948-958; T. Tusch, Nature Biotech (2002), 20:446-448; C.P. Paulら, Nature Biotech.(2002), 20:505-508; 多比良和誠ら編、RNAi実験プロトコル、羊土社、2003年)。
プラスミドベクターは一般に、本発明のsiRNAをコードするDNA配列及びプロモーターの他に、薬剤耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)、転写停止配列、ユニーク制限部位もしくはマルチプルクローニングサイト、複製開始点などを含むことができる。
ウイルスベクターは、たとえばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター(白血病ウイルスベクターなど)、ヘルペスウイルスベクターなどを使用することができる。ウイルスベクターは、ヒトに使用する際に疾病を引き起こさないように例えば自己複製能を欠損したタイプのものが好ましい。たとえばアデノウイルスベクターの場合には、E1遺伝子及びE3遺伝子を欠失した自己複製能欠損型アデノウイルスベクター(例えばInvitrogen社のpAdeno-X)を使用することができる。ウイルスベクターの構築は、文献記載の方法を利用することができる(米国特許第5252479号、国際公開WO94/13788など)。
本発明のプラスミドベクターは、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン、正電荷コレステロールなどの正電荷リポソームと複合体を形成しカプセル化された状態で患者の体内に導入することができる(中西守ら, 上記;Wuら, 上記)。また、ウイルスベクターは患部に導入し細胞感染させることによって細胞内に遺伝子導入することができる(L. Zenderら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:77797-7802; H. Xiaら, Nature Biotech. (2002), 20:1006-1010; X.F. Qin ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:183-188; G.M. Bartonら, Proc. Natl. Acad., Sci. USA (2002), 99: 14943-14945; J.D. Hommelら, Nature Med. (2003), 9:1539-1544)。特にアデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターは種々の細胞種に非常に高い効率で遺伝子導入可能であることが確認されている。このベクターはまた、ゲノム中に組み込まれることがないため、その効果は一過性であり安全性も他のウイルスベクターと比べて高いと考えられる。
1.2.3 アンチセンス核酸
本発明の組成物の有効成分としての別の核酸は、アンチセンス核酸である。このアンチセンス核酸は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子に対応するmRNAの配列、又はその部分配列、に相補的な配列を含むRNAか、或いは配列番号1のヌクレオチド配列、又はその部分配列、に相補的な配列を含むDNAのいずれかである。
前記部分配列は、前記ヒト癌転移関連遺伝子又はmRNAの配列において連続する約30以上、50以上、70以上、100以上、150以上、200以上又は250以上から全長以下のヌクレオチドからなる配列を含むことができる。
アンチセンス核酸のヌクレオチドは、天然のヌクレオチドに加えて、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、メチル、カルボキシメチル又はチオ基などの基を有する修飾ヌクレオチドを含むことができる。
アンチセンス核酸は、周知のDNA/RNA合成技術又はDNA組換え技術を用いて合成することができる。DNA組換え技術によって合成する場合、配列番号1の配列を含むベクターDNAを鋳型にして、増幅しようとする配列を挟み込むプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行って標的配列を増幅し、必要に応じてベクター中にクローニングして、アンチセンスDNAを生成することができる。或いは、このようにして得られた増幅標的配列を有するDNAをベクターに挿入し、該ベクターを真核又は原核細胞に導入し、その転写系を利用してアンチセンスRNAを得ることができる。
本発明のアンチセンス核酸は、それがDNAであってもRNAであっても、ヒト癌転移関連遺伝子又は対応のmRNAに結合することによって、転写又は翻訳を阻害又は抑制することができる。
本発明のアンチセンス核酸を患者に送達するために、アンチセンス核酸を、上述したように正電荷リポソームに封入してもよいし、或いはアンチセンス核酸を、例えば強力なpol II又はpol IIIプロモーターの調節下にあるようにベクター(上述のプラスミド又はウイルスベクター)に組み込んでもよい。
1.2.4 リボザイム
本発明の組成物の有効成分である別の核酸は、リボザイムである。リボザイムは、触媒活性をもつRNAであり、本発明の標的ヒト癌転移関連遺伝子に対応するmRNAを切断する活性を有している。この切断によって該遺伝子の発現が阻害又は抑制される。
リボザイムの切断可能な標的配列は、一般にはNUX(N=A,G,C,U; X=A,C,U)、例えばGUCトリプレットを含む配列であることが知られている。本発明の標的ヒト癌転移関連遺伝子の配列番号1の配列によってコードされる対応のmRNA配列には、上記の候補トリプレットがいくつか存在している。それゆえ、候補トリプレットを含む切断すべきmRNA配列部分に相補的な配列を含むリボザイムは、標的mRNAの切断のために使用することができる。このようなリボザイムには、ハンマーヘッド型リボザイム(非特許文献1、特に図2)が含まれる。ハンマーヘッド型リボザイムは、センサー部位を構成するヌクレオチド配列、センサー部位にRNAが結合したときのみ安定にMg2+イオンを捕捉する空洞を形成しうる領域を含むヌクレオチド配列、及び標的RNAの切断部位周辺の配列に相補的である領域を含むヌクレオチド配列を含むことができる。
本発明のリボザイムを患者に送達するために、リボザイムをリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)に封入する(特開平9-216825号公報)、アデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターに組み込む(特表2002-542805)などの方法によってドラッグデリバリー系を構築することができる。
リボザイムは、それが発現可能なようにベクターに組み込むことができる。リボザイムを発現するためのプロモーターには、pol II又はpol IIIプロモーターが含まれる。好ましいプロモーターは、pol IIIプロモーター、例えば哺乳動物由来のtRNAプロモーター、より好ましくはtRNAValプロモーターである(S. Kosekiら, J. Virol., 73:1868-1877, 1999)。
1.3 抗体
本発明はさらに、配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質又はその変異体のインビボ機能を阻害もしくは抑制する抗体又はその断片を含む、癌の転移抑制用組成物を提供する。
本発明の前記標的タンパク質は、上記ヒト癌転移関連遺伝子によってコードされるタンパク質であり、ヒト癌の転移に関与するタンパク質である。したがって、癌細胞内に発現された該タンパク質の機能を阻害又は抑制することによって、結果として癌の転移を抑制することができる。このための癌転移抑制剤は、前記標的タンパク質に対する抗体である。このような抗体には、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')2断片、scFv、二重特異抗体、合成抗体などが含まれる。抗体の特性及び構造については、小関至ら, 実験医学22巻14号(増刊)125〜130頁, 2004年に記載されており、その開示は本発明のために使用できる。
本発明での使用に適する好ましい抗体は、アナフィラキシーによる副作用を全く又はほとんど起こさないヒト抗体又はヒト化抗体、特にヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。また、抗体のクラス、サブクラスは任意のタイプのものでよい。例えば、抗体のクラスとしてIgG, IgM, IgE, IgD, IgAが含まれ、サブクラスとしてIgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA1, IgA2が含まれる。抗体はまた、ペグ化、アセチル化、グリコシル化、アミド化などによって誘導体化されていてもよい。
ヒト抗体は、例えばファージジスプレイライブラリー(pharge display library)法(T.C.Thomasら, Mol. Immunol. 33:1389-1401, 1996)又はヒト抗体産生マウスを用いる方法(I. Ishidaら, Cloning Stem Cell 4:91-102, 2002)によって製造できる。
ヒト抗体産生マウスは、例えば、ヒト人工染色体にヒト抗体産生遺伝子を含むヒト染色体断片を導入したのち、ミクロセル法を用いて例えばマウス胚性幹細胞ゲノムに人工染色体を組み込み、仮親マウスの子宮に移植し、キメラマウスを出産し、雌雄のキメラマウスの交配によって、ヒト抗体遺伝子を含み、したがってヒト抗体の産生が可能である、ホモ型の子孫マウスを作出するなどの方法によって作製することができる(例えば、再表02/092812、国際公開WO 98/24893、WO 96/34096など)。このヒト抗体産生トランスジェニックマウスに、本発明の標的ヒト癌転移関連タンパク質を抗原として免疫したのち、脾臓を摘出し、この脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを融合してハイブリドーマを形成し、目的のモノクローナル抗体を選抜することができる。
ファージディスプレイライブラリー法は、未処置のヒトリンパ細胞から直接手に入れた免疫グロブリン遺伝子のライブラリーから、目的の抗体をコードするDNAをスクリーニングし、このDNAと、抗体鎖との間に、ファージ粒子を用いて物理的会合を確立し、これによって、標的に親和性をもつ抗体を提示するファージを親和性スクリーニングによって富化することを含む。この方法を用いて、標的に対する結合親和性をもつ抗体を、通常の手法によって大量に合成することができる(例えば、特表2003-527832)。
本発明において、ヒト癌転移関連タンパク質の変異体は、ヒト個体内で自然発生的に生ずるすべての変異体を含み、例えば多型性や突然変異に基づくような変異体、或いは選択的スプライシングによる変異体を含む。変異体は、配列番号2のアミノ酸配列において、1以上、好ましくは1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加された配列を有し、かつ癌転移に関与する機能(すなわち、インビボにおける機能)を有するものである。本明細書において「数個」とは、10個以下、8個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下を意味する。或いは、変異体は、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上の%同一性を有する配列を含むものである。本明細書において「%同一性」は、配列アラインメントにおいてギャップの導入が可能な公知のBLASTプログラムに基づいて決定されうる(例えばS. F. Altschulら, J. Mol. Bio. 215:403-410, 1990など)。
本発明の抗体又はその断片は、単独で、或いは抗癌剤(化学療法剤、放射性物質など)などの薬剤を結合させた形態で、癌に対する治療剤として用いることができる。抗癌剤には、例えばタキソール、シタラビン、シスプラチン、エトポシド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、放射性インジウム、テクネチウム、イッテルビウムなどの放射性金属などが含まれるが、これらに限定されない。抗体への抗癌剤の結合は、例えばリンカーを介して共有結合によって、或いは金属イオンとの配位結合によって、抗体定常領域の任意の部位に抗癌剤を結合することを含む方法によって行うことができる。
患者への抗体又はその断片の送達は、単独か又は例えばリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)、マイクロカプセル又はナノ粒子中に抗体又はその断片を封入した形態で、通常は適当な担体(賦形剤又は希釈剤)と組み合わせて、非経口経路(例えば、静脈内投与又は局所投与)にて行うことができる。
1.4 治療用組成物
本発明の組成物中の核酸の用量は、siRNA、アンチセンス核酸、又はリボザイムに換算すると、以下のものに限定されないが、1投与単位あたり、1nM〜100μM、好ましくは10nM〜50μM、より好ましくは100nM〜20μMである。
本発明の組成物中の抗体又はその断片の用量は、以下のものに限定されないが、1投与単位あたり、約1〜約100mg/ml、約5〜約70mg/ml、約10〜50mg/mlである。
しかし、上記の用量又は投与量は、患者の状態、年齢、性別、重篤度などに応じて変化しうるものであり、専門医の判断により用量又は投与量が決定されるべきである。
本発明の組成物は、通常、製薬上許容可能な担体(すなわち、賦形剤又は希釈剤)、例えば滅菌された水、生理食塩水、緩衝液、非水性液体(例えば、アーモンド油、植物油、エタノールなど)などを含むことができる。該組成物にはさらに、製薬上許容可能な安定剤(例えばメチオニンなどのアミノ酸類)、保存剤(p-ヒドロキシ安息香酸メチル、ソルビン酸)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム)、乳化剤(例えばレシチン、アラビアガム)、懸濁化剤(例えばセルロース誘導体)などを含有させることができる。
好ましい医薬製剤は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤などである。
本発明の組成物の投与方法は、非経口投与、例えば静脈内投与、局所投与などを含む。局所投与には、外科手術又は内視鏡下で患部に直接注射する方法などが含まれる。また、専門医が決定した治療計画に基づいて、一定の時間間隔、例えば1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、1年又は2年などの間隔で、患者に対して、本発明の組成物を1〜数回に分けて投与することができる。
2.癌転移抑制剤のスクリーニング
本発明はさらに、ヒト培養癌細胞を用いて、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む、癌転移抑制剤のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、本発明の方法は、ヒト培養癌細胞を準備し、該細胞株を候補薬剤の存在下で培養し、前記ヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む。
ヒト培養癌細胞、好ましくはヒト培養転移性癌細胞、の細胞株には、例えば公知の転移性ヒト肺癌細胞株(MeWo; 悪性黒色腫、MDA-MB-435; 乳癌、LNCaPあるいはPC-3; 前立腺癌など)、高転移性ヒト肺癌細胞株LNM35(後述の実施例)などが含まれ、本発明において使用できる。
本発明の方法において、前記ヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現の阻害又は抑制の程度は、候補薬剤を添加しない対照との比較実験によって判定できる。発現レベルは、癌細胞株から周知の方法(例えばフェノール/クロロホルム抽出及びエタノール沈殿、オリゴdTセルロースカラムクロマトグラフィーなど)で得た総RNA又はmRNA又はポリA(+)RNAについて、或いは逆転写酵素-PCR (RT-PCR)法によってRNAから合成されたcDNAについて、蛍光又は放射性標識したプローブを用いるハイブリダイゼーション法(例えばノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレイ、組織マイクロアレイなど)によって決定することができる。或いは、発現レベルは、前記ヒト癌転移関連遺伝子によってコードされるタンパク質(配列番号2)の細胞内レベルを、該タンパク質に対する抗体又はその断片を用いる免疫測定法、ウエスタンハイブリダイゼーションなどによって測定することによって間接的に決定することができる。
前記プローブは、配列番号1のヌクレオチド配列又はそれと相補的な配列、或いはその連続する例えば約20以上、約30以上、50以上、70以上、100以上、150以上、200以上、250以上のヌクレオチドからなる配列、を有するDNAである。プローブは、蛍光又は放射性標識を結合した標識プローブとするのが好ましい。蛍光性標識には、例えばフルオレサミン、ローダミン、それらの誘導体、Cy3、Cy5などが含まれる、放射性標識には、例えば放射性リン又はイオウ原子が含まれる。
ハイブリダイゼーションは、低ハイブリダイゼーション、中ハイブリダイゼーション又は高ハイブリダイゼーション条件によって、好ましくは高ハイブリダイゼーション条件によって行うことができる。例えば、約45〜50℃で2〜6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中でのハイブリダイゼーションと、それに続く、約50〜65℃での0.2〜2×SSC/0.1〜1%SDSによる洗浄からなる(例えば、Ausubelら, Curent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, US)。或いは、60〜65℃で6×SSC、Denhardt’s溶液、0.2%SDS中でのハイブリダイゼーションののち、60〜65℃での0.2×SSC、0.1%SDSによる洗浄からなる。
候補薬剤は、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸(DNA又はRNA)などを含むが、これらに限定されない。
免疫測定法は、抗原−抗体反応を利用する分析法であり、例えば酵素結合抗体法(例えばELISA)、蛍光抗体法、固相法、均一法、サンドイッチ法などを適宜組み合わせた方法によって行うことができる。これらの方法は、当業界で周知であり、その慣用技術を本発明で使用できる。
ヒト培養(転移性)癌細胞において、前記ヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現が、候補薬剤の存在によって、候補薬剤無添加の対照と比べて、有意に阻害又は抑制される場合、該候補薬剤は癌転移抑制剤として同定しうる。
RT-PCRによるcDNA合成は、例えば、Taqポリメラーゼなどの耐熱性ポリメラーゼの存在下でmRNA又はポリA(+)RNAを鋳型に、前記癌転移遺伝子の5'末端及び3'末端プラーマーを用いるPCRによって行うことができる。プライマーのサイズは、約15〜30ヌクレオチド、好ましくは17〜25ヌクレオチドである。
候補薬剤のスクリーニングはまた、ヒト培養癌細胞、好ましくは転移性癌細胞、の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制を調べることによっても見出すことができる。
癌細胞のインビトロにおける運動能アッセイあるいは浸潤能アッセイは、例えばトランスウェルチャンバー培養システムを用いて行うことができる。運動能アッセイにおいては、例えば24ウェル細胞培養プレートに径8マイクロンの小孔を有するテレフタル酸ポリエチレン膜を有するインサート(ベクトンディキンソン社製)を挿入し、インサート内部の無血清細胞培地に転移性癌細胞株を接種し、24時間培養した後、小孔を通過し膜下層に移動した細胞数をカウントする事によって行うことができる。浸潤能アッセイでは、同様のシステムを使用するが、細胞を接種する以前に膜上部をマトリゲルによって覆っておくことにより、計測することができる。
上記のアッセイにおいて、無血清細胞培地に薬剤などを添加しておく事により、転移性癌細胞の運動能及び/又は浸潤能を阻害又は抑制する候補物質が、癌転移抑制剤として同定しうる。
3.癌転移の可能性及び生存期間の短縮の可能性の予測
本発明はさらに、患者由来の培養癌細胞において、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子又は対応するmRNAの発現レベルを測定するか、或いは配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質のレベルを測定することを含む、癌転移の可能性及び生存期間の短縮の可能性を予測する方法を提供する。
本発明においては、癌及び癌細胞の種類は、特に限定されないものとする。
また、上記方法では、前記遺伝子もしくはmRNA(又はRT-PCRによって合成されたcDNA)の発現レベル又は前記タンパク質の存在レベルが正常細胞のレベルと比べて高い場合、癌転移の可能性及び生存期間の短縮の可能性があると決定する。
前記発現レベル又は存在レベルの測定は、ハイブリダイゼーション法又は免疫測定法によって行うことができる。これらの方法の具体的説明としては、上記で説明した方法をそのまま適用することができる。
本発明の方法では、配列番号1のヌクレオチド配列又はそれと相補的な配列、或いはその連続する15以上のヌクレオチドからなる配列、を有するDNAをプライマー又はプローブとして用いることができる。また、プローブは、放射性又は蛍光性標識されることが好ましい。
本発明で使用されるプローブ、プライマー及び抗体については、上記の説明をそのまま適用することができる。
本発明の方法によって、癌患者において転移の可能性を予測することができる。また、本発明の方法は、癌患者の予後の管理のために使用することができる。転移の可能性を早期に検出することによって、癌に対する治療計画を適切に立てることが可能になると考えられる。
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。しかし、この実施例は、単に例示のためのものであり、本発明を制限する意図はない。
高転移ヒト肺癌細胞株(LNM35)の樹立
NCI-H460細胞(American Type Culture Collectionから入手)1×107細胞/100μl(RPMI 1640細胞培地)を、SCIDマウス(静岡実験動物研究所より購入)に皮下移植した。移植して 45 日後に、癌細胞の肺転移を確認し、さらに肺転移巣からの癌細胞を別のマウスの皮下に移植し、肺転移巣からの癌細胞を、培養培地(10%ウシ血清添加RPMI 1640)中で初代培養を行った。この細胞を、別のマウスの皮下に移植し、同様に、肺転移巣からの癌細胞を培養した。さらに、2度のin vivo selection後の細胞をマウスの皮下に移植し、腋窩リンパ節からの癌細胞を培養培地(10%ウシ血清添加RPMI 1640)中で初代培養を行った。引き続いて96ウェルプレートを用いた限界希釈法により、クローニングを行い、高転移株のNCI-H460-LNM35を得た。
これとは別に、親株であるNCI-H460細胞から限界希釈法により低転移株N15を得た。
さらに、LNM35株を、上記と同じ培養培地中、脱メチル化剤(5-アザ-2'−デオキシシチジン)(1iMで24時間)で処理することにより、低転移株L2D2及びL2D3Aを得た。
上記の手順で得たLNM35株、N15株、L2D2株及びL2D3A株について、細胞の運動能アッセイ及び浸潤能アッセイによる転移能、並びにマウスへの皮下移植による腋窩のリンパ節及び肺への転移能の強さを調べた。
運動能アッセイは前述のとおりの手順で行った。
浸潤能アッセイは前述のとおりの手順で行った。
リンパ節及び肺への転移はそれぞれ、重量及び腫瘤の数によって判定した。
その結果、図1に示すように、LNM35株は、運動能、浸潤能がともに最も高値を示し、またリンパ節及び肺への転移も高値を示したことから、高転移癌細胞株であることを確認した。一方、N15株、L2D2株及びL2D3A株はいずれも、非常に低い運動能、浸潤能、リンパ節転移、肺転移を示したことから、低転移癌細胞株であることを確認した。
新規の癌転移関連遺伝子の検出
Gene Filter(登録商標)マイクロアレイ(Research Genetics社製)を用いて、LNM35株とN15株との間で遺伝子発現差を示す特定の遺伝子の検出について検討した。
具体的に、このマイクロアレイは 5mgの総RNAを鋳型とし、逆転写酵素SuperScript II (Invitrogen社製) を用いた逆転写反応により作成されたprobeを用いてハイブリダイゼーションが行われ、引き続いて2M of urea, 0.1 % of SDS, 50mM of Na phosphate buffer (pH 7.0), 150mM of NaCl, 1mM of MgCl2と0.2% AlkPhos DIRECT blocking reagent (Amersham Bioscience社製)による洗浄が行われた。Imaging Plateにその信号は写され、BAS5000 phosphoimager (Fuji Photo Film社製)を用いてimageは読み取られ, ArrayGauge software (Fuji Photo Film社製)によりその解析が行われた。
その結果、図2に示すように、2細胞株間で発現差を認め、現在まで遺伝子として単離されていない新規遺伝子を同定した。この遺伝子は、データベース検索により、Unigene ID Hs.438336としてデータベースに登録されているが、その機能については全く不明であることが判明した。
CIM遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号1として、また、該遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2として示した。
下記の実施例では、この機能未知の遺伝子が癌転移に関与する遺伝子であることを見出し、癌浸潤転移(cancer invasion and metastasis(CIM))遺伝子と名づけた。
ヒト肺癌手術検体及び肺癌細胞株におけるCIM遺伝子の発現
ヒト肺癌患者からの原発性肺癌手術検体を入手し、これらの癌検体を、SCLC(小細胞癌),AD(腺癌), SQ(扁平上皮癌), LA (大細胞癌)に分類した。
ノーザンブロット分析(プローブとしてCIM遺伝子のcodon53から156に相当するDNA断片を使用し、Klenow酵素により放射性リンを用いて標識する。これを、ナイロン膜に転写されたRNAと約16時間ハイブリダイズし、その後、室温で10分間、2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)で洗浄し、それに続いて、65℃で30分間、2×SSC/1%SDSで洗浄を行う。さらに、室温で10分間、0.1×SSCによる洗浄を行い、Imaging plateあるいはX線フィルムを用いて信号が検出される。)により、各検体でのCIM遺伝子の発現を、正常肺での発現を対照として比較した。また、上記のように分類された種々の肺癌細胞株についても同様にノーザンブロット分析を行った。
その結果、肺癌症例約30%においてCIM mRNAの発現増加が認められた。また、LNM35株とN15株を含む肺癌細胞株においては、腺癌を中心にして約50%頻度でCIM遺伝子発現の増強を認めた。
CIM遺伝子のRNAi発現ベクターの構築
CIM mRNAに相補的に結合する19ヌクレオチドのsiRNAとして機能するRNA分子をH1プロモーターの制御下で発現するプラスミドベクターpH1-RNAneo(図4)を構築した。
このRNA分子は、ヘアピン型の二本鎖RNAであり、下記の配列を有する。
5'-UGACGUAGGCUACAGGGCAUUCAAGAGAUGCCCUGUAGCCUACGUCAUU-3'(配列番号44)
また、上記のRNA分子を発現するDNAは、下記の配列を有する。
5'-GATCCCC(N19)ttcaagaga(anti-N19)TTTTTGGAAA-3' (配列番号45)
3'-GGG(N19)aagttctct(anti-N19)AAAAACCTTTTCGA-5'(配列番号46)
N19は、CIM遺伝子のセンス鎖に対応するDNA配列、anti-N19は、そのアンチセンス鎖に対応するDNA配列である。
発現ベクターは、以下の手順に従って構築した。 ヒトH1プロモーターをPCR法により増幅し、プラスミドベクターpIRES-neo (Clontech)の制限酵素HindIII断片と連結することによりpH1-RNAneoが構築された。上記配列番号45及び46(これも確認して頂く様お願い申し上げます)のDNA配列がpH1-RNAneoの制限酵素Bgl II及びHind III断片に連結されることにより、siRNAとして機能するRNA分子を発現するベクターが構築された。
CIM RNAiの標的部位の検討
CIM mRNAのORF上の数個のサイト(#1〜#8)を選択し、各標的サイトに特異的に結合するsiRNAを発現するプラスミドを、実施例4の手順に従って構築した。
構築されたプラスミドによってLNM35株を形質転換し、一過性に、及び安定クローンとしてLNM35形質転換体を作製した。
ノーザンブロット分析により、各形質転換体についてCIM遺伝子の発現を調べた。
その結果、図5に示すように、#5, #6, #2, #8の配列を標的とするRNAiが効果的であることが判明した。さらに、有効なsiRNAを発現する発現ベクターを構築し、LNM35形質転換体を作製し、内因性のCIM遺伝子の発現抑制を確認した。
有効なsiRNAとして機能するRNA分子の標的となる配列の例は、以下に示す配列番号1中のヌクレオチド配列である。
si#5 GTGCAAAGAATCAGATTCA (配列番号4)
si#6 GGACAACCCACATATCCAA (配列番号3)
si#2 GACACCACTCTTGTGCAGT (配列番号5)
si#8 TCGGGACATGGAACCAAGA (配列番号6)
LNM35-siRNA-CIM細胞株におけるsiRNAによる細胞運動能及び浸潤能の抑制
CIM遺伝子に対するsiRNAを恒常的に発現するLNM35-siRNA-CIM細胞株(#5-11, #6-4, #6-11, #6-12)について、in vitroにおける細胞運動能及び浸潤能を、実施例1に記載した各アッセイ手順を用いて測定した。
その結果、図6に示すように、LNM35-siRNA-CIM細胞株のいずれもが、細胞運動能及び浸潤能の低下を示した。
LNM35-siRNA-CIM細胞株におけるsiRNAによるリンパ節転移の抑制
マウスに対して、LNM35-siRNA-CIM細胞株(#5-11, #6-11, #6-12)1x107細胞を皮下移植し、移植後40日目に解剖を行い、リンパ節転移の有無の視認とその重量の測定を行った。
その結果、図7に示すように、siRNAを用いたCIM遺伝子抑制細胞株では、対照としてのLNM35株、LNM35-siGFP1及びLNM35-siGFP2と比べて、転移能の有意の低下が観察された。
定量的RT-PCR法によるCIM遺伝子発現と臨床病理学的因子との関連
48人の肺癌患者からの手術検体の各々から抽出されたRNAを鋳型としてM-MLV (Moloney Murine Leukemia Virus) 逆転写酵素を用いて作成されたcDNAを使用し、定量的PCR法によりCIM遺伝子発現と臨床病理学的因子との関連を調べた。
その結果、図8に示すように、肺癌検体の約40検体が、正常レベルより高いCIM遺伝子発現を示し、特に7検体がとくに高い発現を示すことが判明した。また、CIM遺伝子の発現が高い一群の患者とその他の患者を比較すると、CIM遺伝子の高い発現とリンパ節転移との間には有意な相関が認められた。
CIM遺伝子発現と予後
手術後の肺癌(非小細胞癌)患者(計72名、男性46名、女性26名)について、CIM遺伝子発現の程度と生存の確率との関係を追跡した。
その結果を図9及び図10に示した。
図9は、NSCLC患者のKaplan-Meier曲線(多変量解析による臨床研究、名古屋大学出版会、浜島信之著)を示す。K-M曲線のlog-rank testによって、CIM遺伝子の高発現群に有意な生存期間の短縮を認めた。
図10は、COX regression analysisによる単変量解析と多変量解析(多変量解析による臨床研究、名古屋大学出版会、浜島信之著)を示す。そのどちらにおいても、CIM遺伝子の高発現は予後不良と有意な相関関係を示した。
本発明により、癌転移の抑制と、転移の可能性の予測ができるため、癌の治療と予後の管理に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
転移性ヒト肺癌細胞株NCI-H460からの高転移株LMN35及び低転移株N15、L2D2、L2D3Aの樹立を示す。 ジーンフィルターマイクロアレイ(Research Genetics社)によるLNM35株とN15株間での遺伝子発現差の検討からのヒト癌転移関連遺伝子CIMの検出を示す。 肺癌手術検体と肺癌細胞株におけるCIM 遺伝子の発現解析結果を示す。図中、SCLCは小細胞癌、ADは腺癌、SQは扁平上皮癌、LAは大細胞癌を表す。 CIM遺伝子のRNAi発現べクターの構造を示す。 CIM mRNA上のCIM RNAiの標的部位と、LNM35形質転換体でのCIM遺伝子の発現抑制効果の検討結果を示す。図中、VCは 陰性対照を表し、EtBrは エチジウムブロマイド を表しRNA量の均等性を示している。 LNM35-siRNA-CIM細胞株(#5-11, #6-4, #6-11, #6-12)でのCIM遺伝子の抑制によるインビトロでの細胞運動能及び浸潤能の抑制を示す。ここで、例えば#6-4は、si#6(配列番号3)の配列を含むsiRNAを発現する細胞株を意味し、他の株も同様である。 LNM35-siRNA-CIM細胞株(#5-11, #6-11, #6-12)を移植したマウス用いたCIM遺伝子の抑制による、インビボでのリンパ節転移能の抑制を示す。 定量的RT-PCR法によるCIM遺伝子発現と臨床病理学的因子との関連を示す。図から、CIM遺伝子の発現が高い一群の患者とその他の患者を比較すると、CIM遺伝子の高い発現とリンパ節転移との間には有意な相関が認められる。図中、NLは正常肺における発現、pTは病理学的T因子、pNは病理学的N因子、pStageは病理学的病期をそれぞれ表す。 NSCLC患者におけるCIM遺伝子発現と予後に関するKaplan-Meier曲線を示す。 COX regression analysisによる単変量解析と多変量解析の結果を示す。図から、CIM遺伝子の高発現は予後不良と有意な相関関係があることが判る。図中、pStage, HR, 95%CI, p-valueはそれぞれ、病理学的病期、ハザード比、95%信頼区間、p値を表す。
配列番号44:ヘアピン型siRNA
配列番号45:ヘアピン型siRNAをコードするセンスDNA
配列番号46:ヘアピン型siRNAをコードするアンチセンスDNA

Claims (15)

  1. 配列番号1のヌクレオチド配列又はその配列と90%以上の同一性を有するヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子の発現を阻害もしくは抑制する核酸を含む、癌の転移抑制用組成物であって、該核酸が、配列番号3〜6、8、10、16〜19、21、29、32、35、36、38〜41のヌクレオチド配列を含むsiRNA又はそのヘアピン型前駆体RNA、或いは、該siRNA又はそのヘアピン型前駆体RNAをコードするDNAを含む発現ベクターからなる群から選択されるものである、前記組成物
  2. 前記癌が、その細胞又は組織が正常細胞又は組織と比べてより高い前記ヒト癌転移関連遺伝子発現量を示すものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記癌が肺癌である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記転移がリンパ節転移である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記核酸が、配列番号3〜6、8及び10のいずれかのヌクレオチド配列を含むsiRNAである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記発現ベクターがプラスミドベクター又はウイルスベクターである、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記核酸が、正電荷リポソームと複合体形成されたものである、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 配列番号3〜6、8、10、16〜19、21、29、32、35、36、38〜41のいずれかのヌクレオチド配列を含むsiRNA。
  9. 配列番号2のアミノ酸配列又はその配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質に対する抗体又はそのFab断片、F(ab’) 断片若しくはscFvを含む、癌の転移抑制用組成物。
  10. 前記抗体がヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項に記載の組成物。
  11. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項又は10に記載の組成物。
  12. ヒト培養癌細胞を用いて、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子の発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む、癌転移抑制剤のスクリーニング方法。
  13. ヒト培養癌細胞を準備し、該細胞株を候補薬剤の存在下で培養し、前記ヒト癌転移関連遺伝子の発現の阻害又は抑制について、或いはヒト培養癌細胞の運動能及び/又は浸潤能の阻害又は抑制について、候補薬剤をスクリーニングすることを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 患者由来の培養癌細胞において、配列番号1のヌクレオチド配列を含むヒト癌転移関連遺伝子の発現レベルを測定するか、或いは配列番号2のアミノ酸配列を含むヒト癌転移関連タンパク質の存在レベルを測定し、該レベルが正常細胞でのレベルと比べて高い場合、予後不良であると決定することを含む、癌患者の予後を予測する方法。
  15. 前記測定を、ハイブリダイゼーション法又は免疫測定法によって行う、請求項14に記載の方法。
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