JP5578498B2 - 抗癌剤キット及び抗癌剤効果増強剤 - Google Patents

抗癌剤キット及び抗癌剤効果増強剤 Download PDF

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本発明は、抗癌剤として知られるシスプラチンの投与効果を増強するシスプラチン効果増強剤及び当該シスプラチン効果増強剤を含む抗癌剤キットに関する。
シスプラチン(cisplatin、“CDDP”と略称される)は、多くの種類の癌において抗癌剤・化学療法の中心的な薬剤である。シスプラチン投与に起因する副作用は、ほぼ100%近くの患者に出現するが、臨床的効果は必ずしも良好とは言えない。シスプラチンの投与効果は、症例によってばらつきがあり、一部の患者に対しては全く奏功しないことが知られている。このため、多くの患者が非常に重篤な副作用に苦しんだにも拘わらず、治療効果が得られないまま癌が進行して予後不良となることがしばしばある。
したがって、シスプラチン耐性を克服できるとすれば、患者にとって非常に大きな福音となる。また、シスプラチン投与に耐性を示す患者群に特異的に発現亢進する遺伝子(薬剤耐性遺伝子)及びシスプラチン投与に感受性を示す患者群に特異的に発現亢進する遺伝子(薬剤感受性遺伝子)を同定することにより、薬剤耐性を克服した新たな効果的な抗癌剤治療法を開発することができる。
しかしながら、現在までシスプラチン耐性に関連する遺伝子が幾つか発表(Bordowら、1994(非特許文献1);Gottesmanら、1996(非特許文献2);Loeら、1996(非特許文献3);Jinら、1998(非特許文献4);Perezら、1998(非特許文献5);Hinoshitaら、2000(非特許文献6))されているものの、実際の臨床でシスプラチン耐性を克服するような治療法・治療薬が無いのが現状である。
一方、シスプラチン以外にも抗癌剤としてフルオロウラシル(5-FUと略称される)が知られている。フルオロウラシルは、ピリミジン系代謝拮抗剤に分類される。フルオロウラシルは、ウラシルの代わりに癌細胞に取り込まれることで、そのDNAの合成を阻害し、抗腫瘍効果を示す。また、フルオロウラシルの投与効果は、症例によってばらつきがあり、一部の患者に対しては全く奏功しないことが知られている。したがって、シスプラチンと同様に、フルオロウラシルについても実際の臨床でシスプラチン耐性を克服するような治療法・治療薬が求められている。
Bordow SB, Haber M, Madafiglio J, Cheung B, Marshall GM, Norris MD. Cancer Res. Oct 1;54(19):5036-5040. 1994 Gottesman MM, Pastan I, Ambudkar SV. Curr Opin Genet Dev. Oct;6(5):610-617. 1996 Loe D. W., Deeley R. G., Cole S. P. Eur. J. Cancer, 32A: 945-957, 1996. Jin S, Scotto KW. Mol Cell Biol. Jul;18(7):4377-4384. 1998 Perez RP. Eur J Cancer. Sep;34(10):1535-1542. 1998 Hinoshita E, Uchiumi T, Taguchi K, Kinukawa N, Tsuneyoshi M, Maehara Y, Sugimachi K, Kuwano M. Clin Cancer Res. Jun;6(6):2401-2407. 2000
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、シスプラチンやフルオロウラシルといった抗癌剤に耐性を示す患者に投与することで抗癌剤投与効果を増強できる抗癌剤効果増強剤を提供するとともに、当該抗癌剤効果増強剤を含む抗癌剤キットを提供することを目的とする。また、本発明は、シスプラチンやフルオロウラシルといった抗癌剤を投与した患者或いはシスプラチンやフルオロウラシルといった抗癌剤を投与する治療方針の患者に対して投与することで、シスプラチンやフルオロウラシルといった抗癌剤投与効果を増強できる癌治療方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、シスプラチン耐性に関与する遺伝子群を同定することに成功し、また、これら群のなかから特定の遺伝子に着目して、当該遺伝子産物の阻害剤を併用することにより、シスプラチンやフルオロウラシルといった抗癌剤の治療効果の増強・副作用の軽減を可能にすることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)アルドケト還元酵素1Cファミリー(AKR1C)阻害剤を有効成分とする抗癌剤効果増強剤。
(2)上記有効成分は、AKR1Cに対する選択的阻害作用を有することを特徴とする(1)記載の抗癌剤効果増強剤。
(3)上記有効成分は、メフェナム酸であること特徴とする(1)記載の抗癌剤効果増強剤。
(4)シスプラチン及び/又はフルオロウラシルにおける抗癌剤効果を増強することを特徴とする(1)記載の抗癌剤効果増強剤。
(5)アルドケト還元酵素1C(AKR1C)阻害剤を有効成分とする抗癌剤効果増強剤と抗癌剤とを含む、抗癌剤キット。
(6)上記有効成分は、AKR1Cに対する選択的阻害作用を有することを特徴とする(5)記載の抗癌剤キット。
(7)上記抗癌剤効果増強剤は、メフェナム酸であること特徴とする(5)記載の抗癌剤キット。
(8)上記抗癌剤は、シスプラチン又はフルオロウラシルであることを特徴とする(5)記載の抗癌剤キット。
(9)上記シスプラチンを一日あたりの投与量として50〜100(mg)含有することを特徴とする(5)記載の抗癌剤キット。
本発明に係る抗癌剤効果増強剤よれば、シスプラチン及びフルオロウラシル等の抗癌剤の投与効果を増強することができる。したがって、本発明に係る抗癌剤効果増強剤を使用することによって、シスプラチン耐性やフルオロウラシル耐性といった抗癌剤耐性を示していた患者に対して抗癌剤を投与するといった治療方法を提供することができる。また、本発明に係る抗癌剤効果増強剤を使用することによって、シスプラチンやフルオロウラシル等の抗癌剤投与効果があるものの副作用が重篤である患者に対して、抗癌剤の投与量を低減することができ、副作用を軽減することができる。
AKR1C1遺伝子についてDNAアレイ解析の結果(左側)、及びCDDP耐性細胞におけるAKR1C1遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCR解析の結果(右側)を示す特性図である。 AKR1C2遺伝子についてDNAアレイ解析の結果(左側)、及びCDDP耐性細胞におけるAKR1C2遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCR解析の結果(右側)を示す特性図である。 AKR1C3遺伝子についてDNAアレイ解析の結果(左側)、及びCDDP耐性細胞におけるAKR1C3遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCR解析の結果(右側)を示す特性図である。 AKR1C4遺伝子についてDNAアレイ解析の結果(左側)、及びCDDP耐性細胞におけるAKR1C4遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCR解析の結果(右側)を示す特性図である。 CDDPに関して、AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子についてsiRNAを導入し、発現抑制を行った結果として示す特性図である。 親株(Sa-3、H-1)及びCDDP耐性株(Sa3-R、H1-R)に対してメフェナム酸とCDDPとを併用したときの腫瘍細胞抑制効果を検討した結果を示す特性図である。 AKR1C阻害剤であるメフェナム酸とCDDPを投与した動物実験およびマウスの体重増減を示した特性図である。 親株(Sa-3、H-1、KB)及びCDDP耐性株(Sa3-R、H1-R、KB-R)における5-FU耐性を評価した結果を示す特性図である。 5-FUに関して、AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子についてsiRNAを導入し、発現抑制を行った結果として示す特性図である。 CDDP耐性株(Sa3-R、H1-R)に対してメフェナム酸と5-FUとを併用したときの腫瘍細胞抑制効果を検討した結果を示す特性図である。
以下、本発明に係る抗癌剤効果増強剤及び抗癌剤キットに関して詳細に説明する。本発明に係る抗癌剤効果増強剤は、アルドケト還元酵素1Cファミリー(AKR1C)阻害剤を有効成分とするものである。ここで、本発明に係る抗癌剤効果増強剤及び抗癌剤キットにおいて、抗癌剤としては、特に限定されないが、白金等の金属錯体を形成する物質を主成分とするもの、及びピリミジン等の核酸代謝物のアナログからなる代謝拮抗物質を主成分とするもの等を挙げることができる。金属錯体を形成する抗癌剤としては、例えばシスプラチン及びカルボプラチンを挙げることができる。また、代謝拮抗物質を主成分とする抗癌剤としては、例えば、メトトレキセート、メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルオロウラシル(5-FU)及びシタラビンン等を挙げることができる。特に、本発明に係る抗癌剤効果増強剤及び抗癌剤キットにおいて、効果増強対象の抗癌剤としては、シスプラチン及び/又は5-FU系抗癌剤とすることが好ましい。なお、5-FU系抗癌剤とは、フルオロウラシル及びフルオロウラシルと同様な作用機序によって抗癌効果を示す物質を含む意味である。
シスプラチンとは、白金錯体に分類される抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)として知られている。シスプラチンは、商品名ブリプラチン(ブリストル・マイヤーズ社製)及びランダ(日本化薬社製)として販売されている。また、フルオロウラシルとは、ウラシルの拮抗物質として、商品名5-FU、カルゾナール、ベントン、ルナコール及びルナボンとして販売されている。さらに、フルオロウラシルと同様な作用機序によって抗癌効果を示す物質としては、テガフール、カペシタビン、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビン及びメトトレキサートを挙げることができる。
本発明に係る抗癌剤効果増強剤は、上述したような抗癌剤の投与効果を増強させるといった特徴を有している。
本発明に係る抗癌剤効果増強剤は、アルドケト還元酵素1Cファミリー(AKR1C)阻害剤を有効成分としている。これは、シスプラチン耐性を示す患者群においては、シスプラチン感受性を示す患者群と比較してAKR1C遺伝子の発現亢進が認められ、AKR1C遺伝子産物であるAKR1Cの活性を阻害することによってシスプラチン感受性を増強できるといった新規知見に基づいている。また、驚くべきことに、AKR1C遺伝子産物であるAKR1Cの活性を阻害した場合、シスプラチンのみならず5-FUといった他の作用機序を示す抗癌剤に対する感受性も増強できるといった知見も得られている。ここで、AKR1C遺伝子とは、AKR1Cファミリーに属する遺伝子を含む意味である。AKR1Cファミリーに属する遺伝子としては、AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子及びAKR1C4遺伝子を挙げることができる。
AKR1C阻害剤とは、AKR1Cのアルドケト還元酵素活性を有意に低減させる物質である。本発明において、AKR1C阻害剤としては、AKR1Cのアルドケト還元酵素活性を有意に低減させることができれば、特に限定されず如何なる物質を使用しても良い。また、本発明において、AKR1C阻害剤とは、AKR1C遺伝子の発現量を低下させる物質、AKR1C遺伝子のmRNAを阻害する物質、AKR1C遺伝子をタンパク質レベルで阻害する物質等を挙げることができる。また、AKR1C阻害剤としては、AKR1C阻害薬として現在、臨床的に使用されている公知の物質を使用することができる。なお、AKR1C阻害剤としては、選択的阻害作用を有する物質、すなわちアルドケト還元酵素活性を選択的に(特異的に)低減させる物質であることが好ましい。ここで、選択的(特異的)とは、目的とするアルドケト還元酵素活性の低減効果を主として有することを意味し、他の酵素活性に対して影響が少ないことを意味する。
また、AKR1C阻害剤としては、AKR1C遺伝子に対するsiRNA (small interfering RNA)、アンチセンスRNA、リボザイム、これらのRNAを生成することができるすべてのベクターDNAなどが含まれる。このような核酸は、AKR1C遺伝子の発現を阻害又は抑制することができる。
AKR1C阻害剤として使用するsiRNAは、AKR1C遺伝子に対応するmRNA(すなわち、該遺伝子によってコードされるmRNA)又はその選択的スプライス型mRNAに相補的な配列を含む小さな二本鎖RNAであり、RNA-ヌクレアーゼ複合体(RNA induced silencing complex又はRISC)の形成を介して該mRNA又はその選択的スプライス型mRNAが選択的にプロセシングされる。
また、siRNAは、その前駆体である二本鎖RNA(shRNA)から、細胞内RNアーゼであるダイサー(Dicer)によるプロセシングを介して誘導されてもよい。shRNAは、siRNAのセンス鎖配列とアンチセンス鎖配列との間にループを有する二本鎖RNAであり、好ましくはその3'末端に1〜6個、好ましくは2〜4個のポリUからなるオーバーハングを含む。shRNAは、RNアーゼIIIファミリーに属するダイサーによってsiRNAにプロセシングされたのち、siRNAが一本鎖化され、そのセンス鎖RNAがRNアーゼHと複合体(RISC)を形成し、これによってsiRNA配列に相補的な配列を持つ標的mRNAが切断され、その結果、AKR1C遺伝子の発現が抑制される。
したがって、上記siRNA及びその前駆体shRNAはいずれも、本発明におけるAKR1C阻害剤として使用することができる。
本発明のsiRNAを体内に導入するときには、siRNAを患部に直接注入するか、又はsiRNAの発現が可能なベクターを使用することが好ましい。或いは、siRNA又はベクターを、リポソーム、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン及びその他の正電荷リポソーム(例えば、正電荷コレステロール)、又はマイクロカプセル、と複合体形成し、これを使用することもできる(例えば、中西守ら, 蛋白質 核酸 酵素, 44巻11号, 48〜54頁, 1999年; Clinical Cancer research 59:4325-4333, 1999; Wuら, J. Biol. Chem. 262:4429, 1987)。細胞膜が負電荷を帯びているため、正電荷リポソームが好ましく使用されるが、正電荷リポソーム-核酸複合体はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれたのち核酸は細胞質又は核へ移行すると推定される。或いは、治療用核酸を粒径約500nm以下のナノ粒子中に封入することもできる。ナノ粒子として、例えばB型肝炎ウイルスエンベロープL粒子から形成されるホローナノ粒子(hollow nanoparticles)が例示され、核酸は、エレクトロポレーションによってこの粒子内に封入され、この場合、核酸封入粒子は肝臓に送達されうる(T. Yamadaら, Nature Biotech 21(8):885-890, 2003)。核酸をリポソーム中に封入するときには、核酸を硫酸プロタミンで処理して凝縮を起こし核酸−タンパク質複合体としたのち、正電荷脂質又は高分子ミセル中に封入することもできる。
リポソーム-核酸複合体は、例えば逆相蒸発法(F. Szokaら, Biochim. Biophys. Acta, 601:559, 1980)、ボルテックス振とう法、カルシウム融合-EDTAキレート法(金田安史,実験医学22巻14号(増刊), 147〜152頁, 2004年)などの公知の方法によって製造できる。
本発明の別の実施形態により、本発明で使用可能な核酸として、前記siRNA又はその前駆体をコードするDNA配列をプロモーターの調節下に含む発現ベクターが含まれる。発現ベクターの1つの例は、ヘアピン型ベクターである。このベクターは、前記センス鎖RNA配列と前記アンチセンス鎖RNA配列とが一本鎖ループ配列を介して共有結合されているヘアピン型RNAをコードするDNAを含み、ここで該DNAは、細胞内で転写により該ヘアピン型RNAを形成し、ダイサーによりプロセシングされて前記siRNAを形成するベクターである。siRNAをコードするヘアピン型DNAの3'末端には、転写停止シグナル配列として、或いはオーバーハングのために、1〜6個、好ましくは1〜5個のTからなるポリT配列、例えば4個又は5個のポリT配列が連結される。ベクターDNAから転写されたsiRNA前駆体としてのショートヘアピンRNA(shRNA)は、そのアンチセンス鎖の3'末端に2〜4個のUからなるオーバーハングを有することが望ましく、オーバーハングの存在によって、センス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAはヌクレアーゼによる分解に対して安定性を増すことができる。ヒトには内在性のダイサーが1つ存在し、これが長鎖dsRNAや前駆体マイクロRNA(miRNA)をそれぞれsiRNAと成熟miRNAに変換する役割をもつ。
プラスミドベクターは一般に、上記siRNAをコードするDNA配列及びプロモーターの他に、薬剤耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子など)、転写停止配列、ユニーク制限部位もしくはマルチプルクローニングサイト、複製開始点などを含むことができる。
ウイルスベクターは、たとえばアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター(白血病ウイルスベクターなど)、ヘルペスウイルスベクターなどを使用することができる。ウイルスベクターは、ヒトに使用する際に疾病を引き起こさないように例えば自己複製能を欠損したタイプのものが好ましい。たとえばアデノウイルスベクターの場合には、E1遺伝子及びE3遺伝子を欠失した自己複製能欠損型アデノウイルスベクター(例えばInvitrogen社のpAdeno-X)を使用することができる。ウイルスベクターの構築は、文献記載の方法を利用することができる(米国特許第5252479号、国際公開WO94/13788など)。
本発明のプラスミドベクターは、例えばリポフェクタミン、リポフェクチン、セルフェクチン、正電荷コレステロールなどの正電荷リポソームと複合体を形成しカプセル化された状態で患者の体内に導入することができる(上記;中西守ら, 上記;Wuら)。また、ウイルスベクターは患部に導入し細胞感染させることによって細胞内に遺伝子導入することができる(L. Zenderら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:77797-7802; H. Xiaら, Nature Biotech. (2002), 20:1006-1010; X.F. Qin ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2003), 100:183-188; G.M. Bartonら, Proc. Natl. Acad., Sci. USA (2002), 99: 14943-14945; J.D. Hommelら, Nature Med. (2003), 9:1539-1544)。特にアデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターは種々の細胞種に非常に高い効率で遺伝子導入可能であることが確認されている。このベクターはまた、ゲノム中に組み込まれることがないため、その効果は一過性であり安全性も他のウイルスベクターと比べて高いと考えられる。
また、AKR1C阻害剤として使用するアンチセンス核酸は、AKR1C遺伝子に対応するmRNAの配列、又はその部分配列に相補的な配列を含むRNA又はDNAのいずれかである。前記部分配列は、AKR1C遺伝子又はmRNAの配列において連続する約30以上、50以上、70以上、100以上、150以上、200以上又は250以上から全長以下のヌクレオチドからなる配列を含むことができる。
アンチセンス核酸のヌクレオチドは、天然のヌクレオチドに加えて、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、メチル、カルボキシメチル又はチオ基などの基を有する修飾ヌクレオチドを含むことができる。アンチセンス核酸は、周知のDNA/RNA合成技術又はDNA組換え技術を用いて合成することができる。DNA組換え技術によって合成する場合、AKR1C遺伝子の塩基配列を含むベクターDNAを鋳型にして、増幅しようとする配列を挟み込むプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行って標的配列を増幅し、必要に応じてベクター中にクローニングして、アンチセンスDNAを生成することができる。或いは、このようにして得られた増幅標的配列を有するDNAをベクターに挿入し、該ベクターを真核又は原核細胞に導入し、その転写系を利用してアンチセンスRNAを得ることができる。
本発明のアンチセンス核酸は、それがDNAであってもRNAであっても、AKR1C遺伝子又は対応のmRNAに結合することによって、転写又は翻訳を阻害又は抑制することができる。本発明のアンチセンス核酸を患者に送達するために、アンチセンス核酸を、上述したように正電荷リポソームに封入してもよいし、或いはアンチセンス核酸を、例えば強力なpol II又はpol IIIプロモーターの調節下にあるようにベクター(上述のプラスミド又はウイルスベクター)に組み込んでもよい。
さらに、AKR1C阻害剤として使用するリボザイムは、触媒活性をもつRNAであり、標的とするAKR1C遺伝子に対応するmRNAを切断する活性を有している。この切断によってAKR1C遺伝子の発現が阻害又は抑制される。リボザイムの切断可能な標的配列は、一般にはNUX(N=A,G,C,U; X=A,C,U)、例えばGUCトリプレットを含む配列であることが知られている。リボザイムには、ハンマーヘッド型リボザイムが含まれる。ハンマーヘッド型リボザイムは、センサー部位を構成するヌクレオチド配列、センサー部位にRNAが結合したときのみ安定にMg2+イオンを捕捉する空洞を形成しうる領域を含むヌクレオチド配列、及び標的RNAの切断部位周辺の配列に相補的である領域を含むヌクレオチド配列を含むことができる。
本発明のリボザイムを患者に送達するために、リボザイムをリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)に封入する、アデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターに組み込むなどの方法によってドラッグデリバリー系を構築することができる。
リボザイムは、それが発現可能なようにベクターに組み込むことができる。リボザイムを発現するためのプロモーターには、pol II又はpol IIIプロモーターが含まれる。好ましいプロモーターは、pol IIIプロモーター、例えば哺乳動物由来のtRNAプロモーター、より好ましくはtRNAValプロモーターである。
さらにまた、AKR1C阻害剤として使用する抗体は、AKR1C遺伝子によってコードされるAKR1Cタンパク質又はその変異体のインビボ機能を阻害もしくは抑制する抗体又はその機能断片を意味する。AKR1Cタンパク質に対する抗体としては、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異抗体及び合成抗体を挙げることができる。また、当該抗体の機能断片としては、Fab断片、F(ab')2断片、scFvなどが含まれる。
本発明での使用に適する好ましい抗体は、アナフィラキシーによる副作用を全く又はほとんど起こさないヒト抗体又はヒト化抗体、特にヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。また、抗体のクラス、サブクラスは任意のタイプのものでよい。例えば、抗体のクラスとしてIgG, IgM, IgE, IgD, IgAが含まれ、サブクラスとしてIgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA1, IgA2が含まれる。抗体はまた、ペグ化、アセチル化、グリコシル化、アミド化などによって誘導体化されていてもよい。
ヒト抗体は、例えばファージジスプレイライブラリー(pharge display library)法(T.C.Thomasら, Mol. Immunol. 33:1389-1401, 1996)又はヒト抗体産生マウスを用いる方法(I. Ishidaら, Cloning Stem Cell 4:91-102, 2002)によって製造できる。
ヒト抗体産生マウスは、例えば、ヒト人工染色体にヒト抗体産生遺伝子を含むヒト染色体断片を導入したのち、ミクロセル法を用いて例えばマウス胚性幹細胞ゲノムに人工染色体を組み込み、仮親マウスの子宮に移植し、キメラマウスを出産し、雌雄のキメラマウスの交配によって、ヒト抗体遺伝子を含み、したがってヒト抗体の産生が可能である、ホモ型の子孫マウスを作出するなどの方法によって作製することができる。このヒト抗体産生トランスジェニックマウスに、AKR1Cタンパク質を抗原として免疫したのち、脾臓を摘出し、この脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを融合してハイブリドーマを形成し、目的のモノクローナル抗体を選抜することができる。
患者への抗体又はその断片の送達は、単独か又は例えばリポソーム(好ましくは、正電荷リポソーム)、マイクロカプセル又はナノ粒子中に抗体又はその断片を封入した形態で、通常は適当な担体(賦形剤又は希釈剤)と組み合わせて、非経口経路(例えば、静脈内投与又は局所投与)にて行うことができる。
特に、本発明においてAKR1C阻害剤としては、従来公知のAKR1C阻害剤を使用することが好ましい。従来公知のAKR1C阻害剤は、例えば、メフェナム酸、ロキソプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、アスピリン、イブプロフェン等を挙げることができる。特にAKR1C阻害剤としては、メフェナム酸を使用することが好ましい。メフェナム酸は、シクロオキシゲナーゼの酵素活性を阻害することにより、プロスタグランジンの生合成を抑制し、鎮痛、解熱、坑炎症作用を示す薬剤として既に臨床的に認可されているため、安全性に優れている。メフェナム酸は、商品名ポンタール、オコーナー、ノイリトールC、バファメリチンM、マイカサール及びミルレスト等として市販されている。
以上のAKR1C阻害剤は、抗癌剤の投与が必要と診断された患者に対してシスプラチンや5-FU等の抗癌剤と併用投与することによって、抗癌剤による抗癌作用を大幅に増強することができる。したがって、従来、抗癌剤の効果が無効であった組織型の癌腫症例や、抗癌剤耐性を示す症例に対しても、抗癌剤による抗癌効果が期待できる。また、AKR1C阻害剤は、抗癌剤への耐性度を低下させることから、抗癌剤の投与量を少なくしながらも従来の投与効果を期待することも可能である。よって、抗癌剤に起因する副作用を軽減したり、または全身状態等の理由から抗癌剤の使用ができない症例にも応用が可能となり、当該患者にとって有効な治療法を提供することができる。
なお、抗癌剤及びAKR1C阻害剤は、(1)双方の化合物を含む単一の医薬組成物、(2)これら化合物の一方をそれぞれ含む別個の医薬組成物、いずれの組成物として投与しても良い。また、(2)の投与例の場合、これら別個の医薬組成物を同時に投与しても良いし、逐次的に別々に投与しても良い。AKR1C阻害剤及び抗癌剤を逐次的に別々に投与する場合とは、AKR1C阻害剤または抗癌剤を最初に投与し、次に他方を投与する投与例である。両薬剤の有効血中濃度が比較的長時間維持されるため、そのような逐次投与は、時間間隔を空けずに行ってもよいし、時間間隔を空けて行ってもよい。本発明の抗癌剤、AKR1C阻害剤は、あらゆる適切な経路で投与できる。好適な経路としては、経口、直腸内、鼻腔内、局所(口腔内および舌下を含む)、膣内、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい経路は、例えばこの組合せ薬剤のレシピエントの症状に応じて様々に変わり得ることが理解されよう。また、投与される薬剤は同じ経路で投与されても良いし異なる経路で投与されてもよい。
一例として、AKR1C阻害剤を経口投与し、シスプラチン等の抗癌剤を定法に従って静脈内投与することが好ましい。
具体的に、シスプラチンは、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、神経芽細胞腫、胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肝細胞癌、小細胞肺癌及び骨肉腫等に対する効果を確認されている。しかし、AKR1C阻害剤と併用投与することによって、具体的に卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、食道癌、子宮頸癌、胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肝細胞癌、小細胞肺癌及び骨肉腫といった症例に効果を期待できる。
従来、シスプラチンの投与方法としては、以下の7つの方法が知られている。すなわち、シスプラチンとして15〜20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし投与を繰り返す方法(A法)。シスプラチンとして50〜70mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(B法)。シスプラチンとして25〜35mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも1週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(C法)。シスプラチンとして10〜20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(D法)。シスプラチンとして70〜90mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(E法)。シスプラチンとして20mg/m2(体表面積)を1日1回、5日間連続投与し、少なくとも2週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(F法)。シスプラチンとして100mg/m2(体表面積)を1日1回投与し、少なくとも3週間休薬し、これを1クールとし、投与を繰り返す方法(G法)。
そして、従来、シスプラチンの投与例としては、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍、前立腺癌にはA法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりC法を選択している。また、卵巣癌には、B法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりA法及びC法を選択している。さらに、頭頸部癌には、D法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりB法を選択している。さらにまた、非小細胞肺癌には、E法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりF法を選択している。さらにまた、食道癌には、B法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりA法を選択している。さらにまた、子宮頸癌には、A法を標準的用法・用量とし、患者の状態によりE法を選択している。さらにまた、神経芽細胞腫、胃癌、小細胞肺癌には、E法を選択している。さらにまた、骨肉腫には、G法を選択している。
ここで、シスプラチンとAKR1C阻害剤を併用投与することによって、シスプラチン投与効果を増強できるため、上記7つの方法(A法〜G法)において、シスプラチンの投与量を大幅に低減しても優れた抗癌効果を達成することができる。具体的に、A法において投与量を7〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、B法において投与量25〜35mg/m2(体表面積)とすることができ、C法において投与量を10〜20mg/m2(体表面積)とすることができ、D法において投与量を5〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、E法において投与量を35〜45mg/m2(体表面積)とすることができ、F法において投与量を7〜10mg/m2(体表面積)とすることができ、G法において投与量を40〜50mg/m2(体表面積)とすることができる。
一方、5-FUは、胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮体癌及び卵巣癌に対する自覚的並びに他覚的症状の緩解効果を有している。また、5-FUは、他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用することで、食道癌、肺癌及び頭頸部腫瘍に対する治療効果を有している。さらに、5-FUは、レボホリナートとの持続静注併用療法により結腸及び直腸癌に対する治療効果を有している。
従来、5-FUの投与方法としては、単独で使用する場合、以下の4つの方法が知られている。なお、年齢、症状により適宜増減する。
1)フルオロウラシルとして、通常成人1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。以後5〜7.5mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
2)フルオロウラシルとして、通常成人1日5〜15mg/kgを隔日に1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
3)フルオロウラシルとして、通常成人1日5mg/kgを10〜20日間連日1日1回静脈内に注射又は点滴静注する。
4)フルオロウラシルとして、通常成人1日10〜20mg/kgを週1回静脈内に注射又は点滴静注する。また、必要に応じて動脈内に通常成人1日5mg/kgを適宜注射する。
また、5-FUを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用する場合、フルオロウラシルとして、通常成人1日5〜10mg/kgを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用し、上記方法に準じ、又は間歇的に週1〜2回用いる。
さらに、頭頸部癌に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合、他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、通常、成人にはフルオロウラシルとして1日1000mg/m2(体表面積)までを、4〜5日間連日で持続点滴する。投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。本剤単独投与の場合には併用投与時に準じる。
さらにまた、結腸・直腸癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法の場合、以下の3つの投与方法が知られている。
1)通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして600mg/m2(体表面積)を22時間かけて持続静注する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
2)通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人2600mg/m2(体表面積)を24時間持続静注する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
3)通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして通常成人400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400〜3000mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。
ここで、5-FUとAKR1C阻害剤を併用投与することによって、5-FU投与効果を増強できるため、上記方法において、5-FUの投与量を大幅に低減しても優れた抗癌効果を達成することができる。具体的に、5-FUの投与量を通常成人1日2.5〜10mg/kg、或いは50〜1500mg/m2(体表面積)とすることができる。
このように、如何なる投与方法においても、シスプラチンや5-FUといった抗癌剤の投与量を低減できることから、抗癌剤に起因する副作用を軽減することができる。例えば、シスプラチンに起因する副作用としては、具体的に、主なものは嘔気・嘔吐、食欲不振、全身けん怠感、脱毛、白血球減少、貧血、血小板減少、BUN上昇、クレアチニン・クリアランス値低下、血清クレアチニン上昇を挙げることができる。また、シスプラチンに起因する重大な副作用としては、急性腎不全、汎血球減少等の骨髄抑制、ショックやアナフィラキシー様症状、聴力低下・難聴・耳鳴(1.7%)、うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲、脳梗塞、血栓性微小血管症、心筋梗塞、溶血性貧血、間質性肺炎等が挙げられる。
シスプラチンとAKR1C阻害剤の併用投与によって、これら副作用の発症を防止することができ、また、これら副作用を軽減することができる。また、5-FUに起因する副作用としては、食欲不振、下痢・軟便、全身倦怠感、悪心・嘔吐、白血球減少、口内炎、色素沈着、脱毛を挙げることができる。さらに、5-FUに起因する重大な副作用としては、激しい下痢(脱水症状)、出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎;汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等の骨髄機能抑制;ショック、アナフィラキシー様症状;白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、四肢末端のしびれ感、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状;うっ血性心不全、心筋梗塞、安静狭心症;急性腎不全等の重篤な腎障害;間質性肺炎;AST(GOT)、ALT(GPT)、Al−P、γ−GTPの上昇等;消化管潰瘍、重症な口内炎;急性膵炎;意識障害を伴う高アンモニア血症;肝動脈内投与において、肝・胆道障害(胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等);手足症候群(手掌・足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等);嗅覚障害(長期投与症例に多い);類薬(テガフール製剤)で劇症肝炎等の重篤な肝障害、肝硬変、心室性頻拍、ネフローゼ症候群、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、溶血性貧血等が挙げられる。5-FUとAKR1C阻害剤の併用投与によって、これら副作用の発症を防止することができ、また、これら副作用を軽減することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明に係る技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<耐性株の樹立>
先ず、本実施例ではシスプラチン耐性株を樹立した。具体的には、和歌山県立医科大学医学部歯科口腔外科講座から提供された口腔扁平上皮癌由来細胞株(H-1株及びSa-3株)に対して、シスプラチン(以下、CDDPと称する場合もある)濃度を0.1μg/mlの低濃度から段階的にCDDPを持続的に接触させることによって、シスプラチンに対して耐性を有する細胞株を樹立した。H-1株から樹立したシスプラチン耐性株をH-1R株と命名し、Sa-3株から樹立したシスプラチン耐性株をSa-3R株と命名した。
また、中咽頭扁平上皮癌由来細胞株(KB株)に対しても同様にCDDP処理を行い、シスプラチン耐性株を樹立した。KB株から樹立したシスプラチン耐性株をKBR株と命名した。
これらシスプラチン耐性株(H-1R株、Sa-3R株及びKBR株)について、シスプラチンに対して感受性を示す各親株に対する相対的な耐性度を検討した。具体的には、各耐性株及び各親株をそれぞれCDDPで処理し(CDDPの濃度を0.05〜10μg/mlとした)、その後、MTTアッセイを行ない、各耐性株及び各親株について50%生存(死滅)濃度(IC50)を求めた。H-1株とH-1R株の相対的な耐性度は約10倍、Sa-3株とSa-3R株の相対的な耐性度は約7.5倍、KB株とKBR株の相対的な耐性度は8.6倍であった。これらの3種類の細胞株は凍結解凍を行っても、さらに、1月間CDDP無添加培養を行っても耐性は変わらなかった。
なお、基本的な形態、増殖速度、およびコロニー形成能については、耐性株及び親株において大きな変化は認められず、ほぼ同様の性状を保っていた。
また、樹立した耐性株が遺伝子学的にもCDDP耐性を示すことを証明するため、薬剤耐性機構のうちABCトランスポーター遺伝子の発現状況をRT-PCR法によって解析した。ABCトランスポーター(ATP-binding cassette)は、細胞膜に存在し、薬物の輸送に関わっており、特に薬剤耐性との関連について多く報告されている。CDDP耐性と関連があるといわれるABCトランスポーター(MDR1、MRP1及びMRP2)について発現を検討した。なお、比較の対象としてGAPDHをRT-PCRによって検出した。RT-PCRの結果、本例で樹立した各耐性株においては、3種類のABCトランスポーターで強発現が認められた。この結果から、本例で樹立した各耐性株は遺伝子学的もCDDPに対する耐性を有する細胞株であることが明かとなった。なお、従前のCDDP耐性に関連する報告では、耐性株の耐性度は2倍程度であり、実験誤差範囲ともいえる程度の低耐性しか保有していない細胞株であった。本実施例で樹立した耐性株は5〜10倍と、従前の細胞株と比較して高い薬剤耐性を有し、解析に非常に有用であると考えられた。
<マイクロアレイ解析及びリアルタイムPCR解析>
次に、本実施例では、耐性株及びその親株を用いたマイクロアレイ解析によって、耐性株において特異的に発現増強している遺伝子及び耐性株において特異的に発現減弱している遺伝子を同定した。マイクロアレイとして25000種類のプローブが固定化されたヒト全遺伝子型DNAチップ(3D-Gene;Human Oligo chip 25K;東レ(株))を使用した。
耐性株(Sa-3R、H-1R、KBR)とその親株(Sa-3、H-1、KB)のそれぞれの細胞から、定法により、RNAを抽出・精製して純度を検定するとともにRNA分子が分解されていないことを検証した。精製したRNA(1μg)を出発材料として、first strand cDNA合成をReverse Transcription Master Mixを用いて行い、次いで、second strand cDNA合成をSecond Strand Master Mixを用いて行った。これらの合成したcDNAをcDNA Filter cartridgeを使用して精製した。次に、精製したcDNA(1μg)からIVT Master Mix(In Vitro Transcription Master Mix)を使用して、aRNAを合成し、aRNA Filter Cartrigeで精製した。更に、aRNAの純度を検定した後、Cy3及びCy5の蛍光標識を用いて標識化を行い、最終的に標識サンプルをフラグメント化して、DNAチップ(3D-Gene Human Oligo chip 25K)でハイブリダイゼーションを行った。なお、画像解析と数値化は、定法に従って実施した。
上記のヒト全遺伝子型DNAチップ(25000クローン)を用いての解析結果から、CDDPに対する耐性株において特異的に発現亢進しているCDDP耐性関連発現増強遺伝子を特定した。これらCDDP耐性関連発現増強遺伝子のなかからAKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子及びAKR1C4遺伝子についてリアルタイム-PCR法で詳細に検討を加えた。
CDDP耐性関連遺伝子群に関するプライマー設計は、ロッシュ社から提供されている設計ソフトを用いて各種遺伝子の塩基配列から最適化を行い、プライマーを合成した。次に、各種CDDP耐性細胞からRNAを抽出・精製した後、定法に従ってcDNAを合成した。cDNAを鋳型として上記の特異的プライマーを用いてリアルタイムPCRをロッシュ社製のLight Cycler 1.5装置で実施した。
リアルタイムPCRの反応組成は、まず、逆転写反応系で、5xTranscriptor RT緩衝液、Protector RNase inhibitor、Deoxynucleotide Mix、Reverse Transcriptase及びOligo(dT) primerにtotal RNA(200ng/ml)を加えて55℃で30分反応させた。次に、リアルタイムPCR反応系において、Master Mix、forwardプライマー、reverseプライマー及びプローブとDNAを加え、PCR反応を行った。反応条件は、95℃で5分の後、95℃で10秒及び60℃で25秒を1サイクルとして45サイクル実施し、最後に、50℃で30秒とする反応条件とした。
AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子について、DNAアレイでの解析結果及びリアルタイムPCRでの解析結果をそれぞれ図1〜4に示した。なお、図1〜4において、左側にDNAアレイの解析結果を示し、右側にリアルタイムPCRでの解析結果を示した。図1〜4に示すように、リアルタイムPCRでの結果から、CDDP耐性関連発現増強遺伝子群のAKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子に関しては、リアルタイムPCR測定結果もDNAアレイでの解析結果と相関していることが分かった。
<AKR1C family(1,2,3,4)の発現抑制>
AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子及びAKR1C4遺伝子からなるファミリー(以下、AKR1C family(1,2,3,4)と記す。)の発現亢進とシスプラチン耐性との相関が示唆されたため、シスプラチン耐性株H-1Rを用いてAKR1C family(1,2,3,4)の発現抑制を行った。具体的には、AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子が高発現している耐性株H-1Rを用いて、siRNAを導入してCDDP耐性の変動を検討した。導入試薬には、DhaemaFECT (Dharmacon社)を使用した。H-1RにAKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子のsiRNA(GEヘルスケア社)を導入し、48時間後に2×103/100μl medium/wellの割合で96wellプレートに細胞を移した。同時にCDDPを添加したmedium 10μlを混合し(CDDPの終濃度は0.04〜20μg/mlになるよう調整した)、72時間インキュベートした後にMTS assayにて細胞の生存率を評価した。MTS溶液(Promega社)を、10μl/wellの割合で混合した後4時間インキュベートし、プレートリーダーにて490nmの波長で計測した。
コントロールにはnon-target si RNA(siNT)を用いた。図5に示すようにsiRNAを導入した細胞では、コントロール(non-target si RNA(siNT))に比較してCDDPへの耐性が低下した。AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子の発現を抑制することにより、CDDPに対する感受性が増加したと考えられた。
<AKR1C阻害剤とCDDPとの併用効果>
上述した解析結果から、Sa-3、H-1、KB 3株に比較してCDDP耐性株で共通して発現上昇を確認した遺伝子としてAKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子及びAKR1C4遺伝子が同定された。これらAKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子及びAKR1C4遺伝子の産物であるアルドケト還元酵素については、阻害剤としてメフェナム酸(商品面;ポンタール)が知られている。そこで、メフェナム酸とCDDPとを親株(Sa-3、H-1)及びCDDP耐性株に作用させることで、メフェナム酸とCDDPとの併用効果を検証した。
メフェナム酸の溶媒としてDMSOを使用し、メフェナム酸を溶解した。実験は、親株(Sa-3、H-1)及びCDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)を24wellプレートに2.5×104/300μl medium/wellでまき、翌日にメフェナム酸を5μg/ml、7.5μg/ml、10μg/mlの割合で添加したmediumを100μl/wellずつ混合した。その後、さらに翌日にCDDPを添加したmediumを100μl/wellずつ混合(CDDPの終濃度は各細胞株の条件により0〜20μg/mlになるよう調整した)し、72時間培養したものをMTS assayで評価した。MTS溶液(promega社)は、40μl/wellずつ混合し、4時間インキュベートした。その後、プレートリーダーでの測定波長は490nmにて行った。
メフェナム酸はDMSOに溶解しているため、コントロールには同量のDMSOを添加した親株(Sa-3、H-1)及びCDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)を用いた。結果を図6に示す。
図6から分かるように、親株(Sa-3、H-1)に対しては、メフェナム酸100μM、メフェナム酸150μM及びメフェナム酸200μMとCDDPを併用した場合でもコントロールに比較して、腫瘍細胞抑制効果は認められなかった。一方、図6から分かるように、CDDP耐性株(Sa3-R、H-1R)では、メフェナム酸100μM、メフェナム酸150μM及びメフェナム酸200μMとCDDPを併用した群ではコントロールと比較して、強い細胞増殖抑制効果が認められ、メフェナム酸200μMとコントロール群とで有意差も認められた。
<In vivoにおけるメフェナム酸とCDDP併用によるCDDP耐性株増殖能の抑制>
In vivoにおけるメフェナム酸とCDDP併用効果を検討するため、ヌードマウス(近交系BALB/c ヌードマウス:チャールズリバー社)を使用し実験を行った。動物実験に際しては、Canadian Council on Animal Care (CCAC)の基準に準じて行った。
マウスは全例♀で、4週齢で購入し6週齢より実験に供した。予備実験を行い、腫瘍の生着率の高い、H-1R(CDDP耐性株)を選択した。すなわち1×107/200μl PBSに希釈した細胞溶解液を、29G針(マイジェクター:TERUMO)を用いてマウスの側腹部に皮下注した。
主に腫瘍接種14日前後に腫瘍容量が100〜300mm3以上になったものを実験群とした。腫瘍容量の評価は、腫瘍の(長径×短径2)/2とした。
メフェナム酸の投与経路として、経口投与を行った。具体的には、メフェナム酸の成人に対する最大投与量は1日1500mgであり、マウスの体重、1日の摂取飼料を考慮し、エサ4gに対し、メフェナム酸(MP biomedicals社)500μg加え、0.0125%メフェナム酸Freeze-dry foodを作製した。実験期間中、水分の摂取制限はおこなっていない。
CDDPの投与経路として、2mg/kgの用量で週1回腹腔内投与(1クール)を行った。実験期間中4クールの投与を行った。CDDP及びメフェナム酸による毒性の評価として、体重の増減を測定した。図7に動物実験の結果を示した。(A)は各群における腫瘍体積の増大を示す。“control”は何も処置していない群(n=5)を示し、“Mefenamic acid”はAKR1C阻害剤の投与のみ行った群(n=5)を示し、“CDDP”は抗癌剤のみ投与した群(n=5)を示し、“CDDP+Mefenamic acid”はCDDP(抗癌剤)とAKR1C阻害剤を併用した群(n=5)を示している。図7に示した結果から、AKR1C阻害剤とCDDPを併用した場合、AKR1C阻害剤投与或いはCDDP投与を単独で行った場合と比較して、腫瘍細胞の増殖を有意に抑制できることが明らかとなった。(B)は、マウスの体重の推移を示す。“control”群、“Mefenamic acid”投与群、“CDDP” 投与群、と“CDDP+Mefenamic acid”投与群で、体重増減の有意な変化は、認められなかった。
<AKR1C阻害剤と5-FUとの併用効果>
上述したように樹立したCDDP耐性細胞株(Sa-3R、H-1R及びKBR)に種々の濃度で5-FUを作用させ、5-FUに対する感受性を検討した。その結果を図8及び表1に示す。
Figure 0005578498
図8及び表1に示すように、上述したように樹立したCDDP耐性細胞株はCDDPのみならず、5-FUにも耐性を示すことが明らかとなった。したがって、この細胞株群(親株(Sa-3、H-1及びKB)、耐性株(Sa-3R、H-1R及びKBR))は、白金製剤と5-FUの交叉耐性に関する研究にも有用であることが確認された。
そこで、5-FUについてもAKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子が高発現している耐性株H-1Rを用いて、siRNAを導入して5-FU耐性の変動を検討した。方法はCDDPの併用の時と同様である(5-FUの終濃度は各細胞株の条件により0〜400μg/mlになるよう調整した)。
結果を図9に示した。図9に示すように、siRNAを導入した細胞では、コントロール(non-target si RNA(siNT))に比較して5-FUへの耐性が低下した。AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子の発現を抑制することにより、5-FUに対する感受性が増加したと考えられた。
また、5-FUについてもメフェナム酸との併用効果についても実験を行った。方法はCDDPの併用の時と同様である(5-FUの終濃度は各細胞株の条件により0〜400μg/mlになるよう調整した)。
結果を図10に示した。図10に示すように、CDDP耐性株(Sa-3R、H-1R)では、メフェナム酸100μM、メフェナム酸150μM及びメフェナム酸200μMと5-FUとを併用した群では、コントロールと比較して、強い細胞増殖抑制効果が認められ、メフェナム酸200μMとコントロール群とで有意差も認められた。
<結果のまとめ>
マイクロアレイ解析の結果から、CDDP耐性に関連する信頼性の高い遺伝子として、AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子を同定することができた。同定されたAKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子に対して、定量的リアルタイムPCR法にてmRNAの発現確認を行い、リアルタイムPCR測定結果もDNAアレイでの解析結果と相関していた。
AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子が高発現している耐性株H-1Rを用いて、siRNAによるAKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子発現の抑制を試みた。siRNAを導入した耐性株では、コントロール(non-target si RNA(siNT))に比較してCDDPへの耐性が低下した。AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子の発現を抑制することにより、CDDPに対する感受性が増加したと考えられた。
CDDP耐性株Sa-3R、H-1R及び親株Sa-3、H-1に対してAKR1Cの阻害剤であるメフェナム酸とCDDPとの併用したときの作用を検討した。AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子が高発現しているCDDP耐性株では、メフェナム酸とCDDPとの併用により強い腫瘍細胞抑制効果が認められた。さらに、in vivoにおける結果からも、メフェナム酸とCDDP併用による腫瘍増殖抑制効果が動物実験レベルで実証された。またCDDPとメフェナム酸併用による体重減少は認められず、毒性の点からも有効であると考えられた。
この細胞株群(親株、耐性株)は、CDDPだけでなく5-FUにも交叉耐性であった。そこで、同様に、AKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子が高発現している耐性株H-1Rを用いて、siRNAによるAKR1C1、AKR1C2、AKR1C3、AKR1C4遺伝子発現の抑制を行ったところ、5-FUへの耐性が低下した。さらに、耐性株Sa-3R、H-1Rに対してメフェナム酸と5-FUを併用したときの作用を検討したところ、メフェナム酸と5-FUとを併用により腫瘍細胞抑制効果が認められた。
これらの結果から、AKR1C1遺伝子、AKR1C2遺伝子、AKR1C3遺伝子、AKR1C4遺伝子は重要なCDDP耐性遺伝子であることが示唆された。さらにAKR1C阻害剤であるメフェナム酸とCDDP若しくは5-FUを併用することにより、CDDPや5-FUの作用が増強されることが認められた。シスプラチン耐性や5-FU耐性といった抗癌剤耐性の症例に対して、抗癌剤とAKR1C阻害剤を併用することにより抗癌剤耐性の癌腫に対する抗癌剤の投与効果を増強する有用な手法が開発できたと評価できる。

Claims (2)

  1. メフェナム酸を有効成分とするシスプラチン及び/又はフルオロウラシルの抗癌剤効果増強剤。
  2. メフェナム酸とシスプラチン又はフルオロウラシルとを含む抗癌剤キット。
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