JP6516638B2 - ピリジンメタノール化合物の製造方法及びミルタザピンの製造方法 - Google Patents
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Description
装置:液体クロマトグラフ装置及び質量分析計(Waters Corporation
製)
検出器:紫外吸光光度計(Waters Corporation製)
測定波長:240nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラ
フィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
移動相a:酢酸アンモニウム0.39gを水1000mLに添加し溶解させた混合液。
移動相b:アセトニトリル。
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI)。
検出モード:正イオンモード。
(ピリジンカルボン酸化合物)
本発明に使用するピリジンカルボン酸化合物は、特に制限されることなく、公知の方法により製造することができる。公知の方法の一例として、特許文献1に記載されているように、2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−カルボニトリルをエタノール溶媒中、水酸化カリウムにて加水分解した後、塩酸で中和してピリジンカルボン酸化合物を製造する方法が記載されている。このようにして製造されるピリジンカルボン酸化合物は、通常、その純度が85.0%以上99.5%以下であり、好適に本発明に使用することができる。
本発明に使用する水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(SDMA)は、試薬や工業品等、特に制限されることなく使用することができる。また、固体或いは有機溶媒の溶液等、その形態も特に制限されないが、SDMAの安定性や反応性、操作性等を考慮すると、有機溶媒の溶液がより好ましい。当該有機溶媒の種類としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの中でも、SDMAの溶解性や反応性を考慮すると、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンが好ましい。また、溶液の濃度は、有機溶媒の種類等によるため、一概に規定できないが、例えば、トルエン溶液の場合、溶液の全質量に対して、20質量%以上85質量%以下であり、反応性や操作性を考慮すると、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
本発明における還元工程の反応条件は、公知の条件を採用すれば良く、例えば、特許文献2に記載されているように、ピリジンカルボン酸化合物をテトラヒドロフランに懸濁、或いは、溶解させた後、SDMAを加えて40℃付近で反応させる。反応溶媒であるテトラヒドロフランは、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどの環状エーテル類等も代用できるが、反応性の観点から、テトラヒドロフランがより好ましい。また、反応温度は、SDMAの使用量や反応溶媒等の沸点等にもよるが、通常、25℃以上65℃以下である。中でも、反応時間が短く、過剰に還元された不純物の副生量が少ない点から、30℃以上50℃以下がより好ましい。なお、反応時間は、ピリジンカルボン酸化合物の残存量を、HPLC等で確認しながら適宜決定すれば良い。
本発明において、上記のようにして反応後、反応混合物に残存するSDMAを失活させ、除去するクエンチ処理を行う。クエンチ処理方法は、2通りの方法が挙げられる。
洗浄操作とは、上記クエンチ処理後の反応混合物にアルカリ金属ハロゲン化物の水溶液を加えて混合し、SDMAを失活させ水層へと溶解させた後、有機溶媒層と水層とを分離する操作である。クエンチ処理後のSDMAの残存量は微量であるため、失活により生じるアルミニウム化合物は析出せずに水層に溶解するため、クエンチ処理のように、ろ別操作等は必要としない。
脱塩処理の方法は、2通りの方法が挙げられる。第一の方法は、洗浄処理後の反応混合物(有機溶媒層)に、吸着剤を加えて混合し水を吸着させ、それにより析出するアルカリ金属ハロゲン化物を吸着剤と共にろ別して除去する方法である。吸着剤は、活性炭等の有機化合物;ポリスチレン、ポリアクリルアミド等の有機高分子化合物等の有機担体;シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリア、カルシア等の金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム、硫酸水素カルシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ウラニル、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、亜硝酸ナトリウム等の無機塩等の無機担体;および珪藻土、滑石、方解石、苦灰石、硝石、チリ硝石、沸石、黄鉄鉱、黄銅鉱、赤銅鉱、黒銅鉱、方鉛鉱、辰砂、石英、磁鉄鉱、コランダム、岩塩、蛍石、ダイアスポア、針鉄鉱、ギブス石等の鉱物等である。これらの中でも、水の吸着効率が高い点から、活性炭、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、シリカゲル、アルミナ、珪藻土、沸石が好ましい。
本発明において、以上のようにして得られた、アルカリ金属ハロゲン化物が低減された、ピリジンメタノール化合物の有機溶媒溶液から、ピリジンメタノール化合物を単離する。単離の方法は、特に制限されることなく、公知の方法を採用すれば良く、例えば、特許文献1に記載されているように、当該溶液を濃縮し、濃縮残渣をエーテル等の溶媒による再結晶で精製することにより、ピリジンメタノール化合物を単離できる。再結晶溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても良く、2種類以上の混合溶媒として使用しても良い。また、その使用量は、使用する溶媒の種類により適宜決定すれば良い。再結晶後のろ別操作や乾燥操作についても、一般的な公知の方法で実施すれば良い。乾燥操作における圧力は、常圧下、空気や窒素等の通気下、減圧下等、特に制限されないが、温度はピリジンメタノール化合物が昇華性を有するために、10℃以上100℃以下で実施することが好ましい。
本発明において、環化工程の方法は公知の方法を採用すれば良く、例えば、特許文献2に記載の方法を採用できる。15℃付近に冷却した硫酸に、20℃以下でピリジンメタノール化合物を少しずつ加え、得られた混合物を25〜30℃で反応させる。HPLC等によりピリジンメタノール化合物の消失を確認した後、水を加え、さらにアンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を加えpHを10〜11に調整する。次いで、酢酸エチルを加えて撹拌した後、分液して得られた有機溶媒層を活性炭処理して脱色する。さらに、酢酸エチルとジイソプロピルエーテルとの混合溶媒を用いた再結晶を行い、ミルタザピンをろ別、乾燥することにより、ミルタザピンを製造することができる。
HPLCによるミルタザピンの純度及びダイマー不純物の含有量は、下記の装置、条件により測定した。当該条件によるHPLC分析において、ミルタザピンの保持時間は14.0分付近、二量体不純物1は20.1分付近、二量体不純物2は20.5分付近、ピリジンメタノール化合物は5.5分付近である。なお、ミルタザピン及びピリジンメタノール化合物の純度とは、得られたクロマトグラムにおけるミルタザピン及びピリジンメタノール化合物の各ピーク面積値の、全てのピークの面積値の合計に対する百分率で示した値である。また、二量体不純物1及び2の含有量は、各不純物のピーク面積値の、全てのピークの面積値の合計に対する百分率で示した値である。
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ2489)
検出波長:240nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリカゲルが充填されたもの。
移動相及び送液方法:以下に示す移動相A及びBを用い、試料注入後の経過時間に従い、両者の混合比を下記表2に示す様に制御し、送液した。
移動相A:リン酸水素二ナトリウム12水和物7.2gを水1000mLに溶解し、リン酸を加えてpH7.4とした。
移動相B:アセトニトリル
流量:毎分1.0mL
カラム温度:40℃付近の一定温度
撹拌翼、温度計を取り付けた5Lの四口フラスコに、1−(3−シアノピリジル−2)−4−メチル−2−フェニルピペラジン300.0g(1077.9mmol)、25質量%水酸化カリウムのエタノール溶液6000mLを加え撹拌し、100℃付近に加温した。100℃付近で4時間反応した後、25℃付近まで冷却し水6000mLを加えた。エタノールを減圧下、濃縮し得られた懸濁液に、ジクロロメタン2000mLを加え15分間撹拌した後、分液した。この抽出操作を2回繰り返した。さらに、得られた水層に2N塩酸水溶液を加えてpH7に中和した。次いで、クロロホルム1500mLを加え15分間撹拌した後、分液した。得られた有機溶媒層を混合した後、減圧下、濃縮し得られた残渣に、エタノール1000mLを加え70℃付近に加温した。得られた溶液を25℃付近まで冷却し、同温度付近で7時間程撹拌した。同温度付近で2時間程撹拌した。析出した固体をろ別し、得られた湿体を80℃で10時間減圧乾燥して、ピリジンカルボン酸化合物164.7g(553.8mmol)を得た(純度99.90%、製造収率:51.4%)。
撹拌翼、温度計を取り付けた300mLの四口フラスコに、製造例1で得られたピリジンカルボン酸化合物10.0g(33.6mmol)、テトラヒドロフラン45mLを加え懸濁させ、10℃に冷却した。窒素雰囲気下にて、70%SDMAのトルエン溶液34.0g(117.7mmol)を滴下した後、40℃付近で5時間反応させた。反応終了後、35質量%ロッシェル塩水溶液54.0g(67.0mmol)を加えた後、有機溶媒層と水層を分液した。有機溶媒層に25質量%塩化ナトリウム水溶液25mLを加えて25℃付近で30分間撹拌して洗浄した後、分液を行った。分液により得られた水層に含まれるピリジンメタノール化合物の量は、理論収量に対して、1.1%であった。一方、分液により得られた有機溶媒層を減圧下で濃縮し、残渣を得た。この残査にテトラヒドロフラン75mLを加え、25℃付近で30分間撹拌した後、不溶物をろ別した。得られたテトラヒドロフラン溶液を減圧濃縮し、残渣に酢酸イソプロピル70mLを加え、60℃付近に加熱した。残渣が溶解した後、ヘプタン70mLを50℃以上で滴下した。得られた溶液を5℃付近まで冷却し、同温度付近で2時間程撹拌した。析出した固体をろ別し、得られた湿体を40℃で12時間減圧乾燥して、ピリジンメタノール化合物7.6g(26.9mmol)を得た。(純度:99.90%、製造収率:80.0%)。
アルカリ金属ハロゲン化物の種類、及び/或いは、その水溶液の濃度を変えたこと以外は実施例1と同様の方法でピリジンメタノール化合物を得た。製造条件及び結果を表3に示した。
水、或いは、他の無機塩の水溶液で洗浄したこと以外は実施例1と同様の方法でピリジンメタノール化合物を得た。製造条件及び結果を表3に示した。
実施例1と同様にして、反応、クエンチ、洗浄を行い、有機溶媒層を得た。この有機溶媒層に硫酸マグネシウム5.0gを加え、25℃で30分間撹拌した。次いで、不溶物をろ別し、得られた溶液を減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸イソプロピル70mLを加え、60℃付近に加熱した。残渣が溶解した後、ヘプタン70mLを50℃以上で滴下した。得られた溶液を5℃付近まで冷却し、同温度付近で2時間程撹拌した。析出した固体をろ別し、得られた湿体を40℃で12時間減圧乾燥して、ピリジンメタノール化合物7.4g(26.2mmol)を得た(純度:99.90%、製造収率:78.0%)。
塩化ナトリウム水溶液による洗浄後、脱塩処理を実施しなかったこと以外実施例1と同様の方法で、ピリジンメタノール化合物7.6g(26.9mmol)を得た。(純度:99.90%、製造収率:80.0%)。
撹拌翼、温度計を取り付けた100mLの四口フラスコに、窒素雰囲気下、濃度が96.3質量%の硫酸18.0g(176.4mmol)を加え、15℃付近に冷却した。次いで、実施例1で得られたピリジンメタノール化合物5.0g(17.6mmol)を、内温35℃以下で20分間かけて少しずつ加えた。得られた混合物を55℃に加温し、7時間反応させた(二量体不純物1:0.04%、二量体不純物2:0.06%)。
参考例1で得られたピリジンメタノール化合物を使用したこと以外は実施例9と同様の方法で実施し、ミルタザピン3.7g(13.9mmol、製造収率:79.0%)を得た(純度:99.85%、二量体不純物1:0.05%、二量体不純物2:0.05%)。なお、反応終了時点の結果は、二量体不純物1:0.06%、二量体不純物2:0.08%であった。
比較例4で得られたピリジンメタノール化合物を使用したこと以外は実施例9と同様の方法で実施し、ミルタザピン3.6g(13.6mmol、製造収率:77.1%)を得た(純度:99.78%、二量体不純物1:0.11%、二量体不純物2:0.15%)。なお、反応終了時点の結果は、二量体不純物1:0.13%、二量体不純物2:0.18%であった。
Claims (3)
- 2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンカルボン酸と水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムとを反応させて2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールを製造する方法において、2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンカルボン酸と水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムとの反応混合物をアルカリ金属ハロゲン化物の水溶液で洗浄する工程、及び、洗浄工程を経た前記反応混合物を濃縮することにより水を留去して得られた残渣に有機溶媒を加えて、ピリジンメタノール化合物を溶解させ、不溶なアルカリ金属ハロゲン化物をろ別して除去する工程
を含んでなる2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールの製造方法。 - 請求項1に記載の方法で2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールを得た後、該2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールと硫酸とを反応させてミルタザピンを得ることを特徴とするミルタザピンの製造方法。
- アルカリ金属ハロゲン化物の水溶液の濃度が、(飽和濃度−17)質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の2−(4−メチル−2−フェニル−1−ピペラジニル)−3−ピリジンメタノールの製造方法。
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