JP6515964B2 - 印刷方法 - Google Patents

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本発明は、印刷方法に関し、特に、複数のインクを用いた印刷において、ブリード抑制のための印刷方法に関する。
近年、高い耐水性、耐溶剤性や耐擦過性等を有する印字を印刷メディアの表面に形成するために、紫外線硬化インクが使用されている。この紫外線硬化インクは、重合性化合物および光重合開始剤を有し、当該インクを印刷メディア上に吐出し、紫外線照射によりインク組成物を重合させ、固化することにより印字が行われる。かかる紫外線硬化インクを複数用いて、多色印刷を行った場合、インクの硬化性の違いからブリード(インク境界線における滲み、混色)が生じる場合がある。
例えば、下記特許文献1には、複数の活性エネルギー線硬化型インクを吐出可能な記録ヘッド10と、該記録ヘッドの主走査方向の少なくとも一側に活性エネルギー線照射手段20を搭載したシリアル型インクジェット記録装置を用いて、前記複数の活性エネルギー線硬化型インクを、活性エネルギー線21に対する硬化性が低い順に記録媒体Pに付与し、各インクの付与毎に活性エネルギー線の照射を行うことにより、ブリーディングが抑制され、画像全体の硬化度が総じて高い、活性エネルギー線硬化型インクジェット記録方法が開示されている。
また、下記特許文献2には、搬送装置による記録媒体の搬送方向に沿って配列されている複数の記録ヘッドと、各記録ヘッドに対応するように、各記録ヘッドにおける搬送方向の下流側に配置されている各光照射装置とを有する画像記録装置において、各光照射装置の光エネルギーの関係は、最下流の光照射装置の光エネルギーが最大で、上流側に順次、各光照射装置の光エネルギーが小さくなるように設定することで、ドット径のばらつきおよび各インク滴の混色を押さえる技術が開示されている。
特開2007−276248号公報 特開2004−268549号公報
本発明者は、紫外線硬化インクの印刷特性の向上に関する研究・開発を行っており、ブリード対策による印刷特性の向上を検討している。
例えば、上記特許文献1および2に記載の技術においては、光エネルギー線の照射強度を工夫することにより、ブリードを抑えるもので、光照射部の制御が複雑となり、また、光強度を大きくする必要性などから、装置の高コスト化を余技なくされる。
そこで、本発明に係る具体的態様においては、インク側の硬化性に着目し、より簡易な方法で、ブリード対策を図ることを目的とする。
具体的には、複数のインク組成物に対する一連の吐出および硬化の順序を工夫することにより、印刷特性を向上させることを目的とする。
本発明に係る印刷方法は、第1色材、第1重合性化合物および第1光重合開始剤を有する第1インク組成物と、第2色材、第2重合性化合物および第2光重合開始剤を有する第2インク組成物と、を記録媒体上に吐出し、光照射により硬化させることにより印刷を行う印刷方法であって、前記第1インク組成物の光硬化性が、前記第2インク組成物の光硬化性より高く、前記第1インク組成物を吐出し、光を照射することにより、前記第1インク組成物を硬化させた後、前記第2インク組成物を吐出し、光を照射することにより、前記第2インク組成物を硬化させる工程を有する。なお、第1、第2重合性化合物は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、それぞれ2種以上の材料の混合物でもよい。同様に、第1、第2光重合開始剤も、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、それぞれ2種以上の材料の混合物でもよい。
例えば、前記光硬化性は、前記インク組成物表面に擦過痕が付かない程度に硬化されるタックフリー時間であり、前記第1インク組成物のタックフリー時間は、前記第2インク組成物のタックフリー時間より短い。
例えば、前記第1インク組成物中の第1光重合開始剤と、前記第2インク組成物中の第2光重合開始剤とは、少なくとも一種は同じ材料を有し、前記第1インク組成物中の第1光重合開始剤の量は、前記第2インク組成物中の第2光重合開始剤の量より多い。
例えば、前記第1インク組成物中の第1光重合開始剤と、前記第2インク組成物中の第2光重合開始剤とは、前記光照射において照射される光の波長範囲において、吸収スペクトルを有し、前記第1インク組成物中の第1光重合開始剤の量および前記第2インク組成物中の第2光重合開始剤の量は、それぞれ4質量%以上15質量%以下である。
例えば、前記第1インク組成物中の第1重合性化合物および前記第2インク組成物中の第2重合性化合物は、それぞれアクリル酸エステルを有し、前記第1重合性化合物中の前記アクリル酸エステルのアクリル当量は、前記第2重合性化合物中の前記アクリル酸エステルのアクリル当量より小さい。
例えば、前記第1インク組成物中の第1重合性化合物および前記第2インク組成物中の第2重合性化合物は、それぞれアクリル酸エステルを有し、前記第1重合性化合物中の前記アクリル酸エステルおよび前記第2重合性化合物中の前記アクリル酸エステルのアクリル当量は、それぞれ100以上300以下である。
例えば、前記第1インク組成物および前記第2インク組成物中の25℃における粘度は、それぞれ40mPa・s以下である。
例えば、前記光照射において照射される光の照射量は、3mJ/cm2以上40mJ/cm2以下である。
本発明に係る印刷方法は、第1色材、第1重合性化合物および第1光重合開始剤を有する第1インク組成物が充填された第1吐出部と、前記第1吐出部の隣に配置された第1光照射部と、前記第1光照射部の隣に配置された第2吐出部と、前記第2吐出部の隣に配置され、且つ第2色材、第2重合性化合物および第2光重合開始剤を有する、前記第1インク組成物より光硬化性の低い第2インク組成物が充填された第2光照射部と、を有し、前記第1吐出部から吐出された前記第1インク組成物に前記第1光照射部から光を照射することにより前記第1インク組成物を硬化させた後、前記第2吐出部から吐出された前記第2インク組成物に前記第1光照射部から光を照射することにより前記第2インク組成物を硬化させる装置を用いた印刷方法である。
このように、硬化性がより高いものから順にインク組成物を吐出し、硬化させることにより、ブリードを抑制でき、印刷特性を向上させることができる。
ラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[印刷方法]
本発明の実施の形態の一つは印刷方法に係る。まず、当該印刷方法に使用する印刷装置を説明しつつ、本実施の形態を詳細に説明する。
〔印刷装置構成〕
図1は、本実施の形態で使用するラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。
本実施の形態で使用するプリンターは、インク(液体)の一例として、紫外線(UV)の照射によって硬化する紫外線硬化インクを吐出することにより、記録媒体に画像を印刷する装置である。紫外線硬化インクは、重合性化合物および光重合開始剤などの紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受け重合反応が起こることにより硬化する。紫外線硬化インクの具体的組成については後述する。例えば、プリンター1は、CMYKの4色の紫外線硬化インクと、無色透明の紫外線硬化インク(クリアインク)を用いて画像を印刷する。CMYKとは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色を意味する。
記録媒体を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるための記録領域は、図1に示すように、例えば、上流側搬送ローラ23Aおよび下流側搬送ローラ23Bと、ベルト24とを有する。搬送モータ(不図示)が回転すると、上流側搬送ローラ23Aおよび下流側搬送ローラ23Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙ローラ(不図示)によって給紙された記録媒体は、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト24が記録媒体を搬送することによって、記録媒体がプリンターヘッドセット(不図示)に対して搬送方向に移動する。印刷可能な領域を通過した記録媒体は、ベルト24によって外部へ排紙される。なお、搬送中の記録媒体は、ベルト24に静電吸着またはバキューム吸着されている。また、ここでは、便宜上、「給紙」という文言を用いたが、本実施の形態における記録媒体としては、後述の印刷メディアを用いる。
吐出部としてのプリンターヘッドセットから、記録媒体に紫外線硬化インクが吐出される。なお、本実施の形態では、紫外線硬化インクとして、画像を形成するためのカラーインクと無色透明のクリアインクを吐出する。プリンターヘッドセットを構成する各プリンターヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)は、搬送中の記録媒体に対して各色のインクを吐出することによって、記録媒体にドットを形成し、画像を記録媒体に印刷する。本実施の形態で使用するプリンターはラインプリンターであり、プリンターヘッドセットの各ヘッドは媒体幅分のドットを一度に形成することができる。即ち、図1に示すように、搬送方向の上流側から順に、ブラックの紫外線硬化インクを吐出するブラックインクヘッドK、シアンの紫外線硬化インクを吐出するシアンインクヘッドC、マゼンダの紫外線硬化インクを吐出するマゼンダインクヘッドM、イエローの紫外線硬化インクを吐出するイエローインクヘッドY、クリアインクを吐出するクリアインクヘッドCLの各ヘッドが設けられている場合、各ヘッドが紙面の奥から手前方向(搬送方向と垂直な方向)に、媒体幅分のドットを吐出可能に、複数個配置されている。よって、上流側から各ヘッドを制御し、媒体幅分の一ラインにおいて必要な箇所においてドットを形成することにより、記録媒体を搬送方向に一度走査するだけで、画像を印刷することができる。
光照射部としての光源から、記録媒体に着弾した紫外線硬化インクに向けて、紫外線が照射される。記録媒体上に形成されたドットは、光照射部からの紫外線の照射を受けることにより、硬化する。本実施の形態における光照射部は、図1に示すように、仮硬化用照射部42a〜42dおよび本硬化用照射部44を備えている。
仮硬化用照射部42a〜42dは、記録媒体に形成されたドットを仮硬化させるための紫外線を照射する。仮硬化(ピニング)とは、インクの仮止めを意味し、ドット間の滲みの防止やドット径の制御のために行なう硬化をいう。よって、ドット(液滴)の少なくとも表面等の一部分が硬化されればよい。
仮硬化用照射部42a〜42dは、それぞれ、ブラックインクヘッドK、シアンインクヘッドC、マゼンダインクヘッドM、イエローインクヘッドYの搬送方向下流側に設けられている。つまり、インク色ごとに仮硬化用照射部が設けられている。
この仮硬化用照射部42a〜42dは、紫外線照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えている。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。仮硬化の光照射量、即ち紫外線照射エネルギーに制限はなく、インク組成によっても異なるが、例えば、50mJ/cm2以下であり、好ましくは3〜40mJ/cm2である。
本硬化用照射部44は、記録媒体に形成されたドットをほぼ完全に硬化させるための紫外線を照射する。本硬化用照射部44は、クリアインクヘッドCLよりも搬送方向下流側に設けられている。また、本硬化用照射部44の媒体幅方向の長さは媒体幅以上である。そして、本硬化用照射部44は、プリンターヘッドセットの各ヘッドによって形成されたドットに紫外線を照射する。
本実施の形態における本硬化用照射部44は、紫外線照射の光源として、LEDまたはランプ(メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等)を備えている。照射光源は特に制限されないが、照射光源は450nm以下の波長の光が好ましい。本硬化の光照射量、即ち紫外線照射エネルギーに制限はなく、インク組成によっても異なるが、例えば、100mJ/cm2以上であり、仮硬化の紫外線照射エネルギーより2〜300倍程度である。
〔印刷動作〕
図1に示すように、先ず、記録媒体がブラックインクヘッドKの下を通る際にブラックインクヘッドKからブラックインクを吐出させる。その後、記録媒体が仮硬化用照射部42aを通る際に紫外線を照射させ、ブラックインクヘッドKによって形成されたドットの仮硬化を行なう。シアンインク、マゼンダインク、イエローインクについても同様にドット形成および紫外線照射を行なう。
このように、カラーインクによるカラードットが色毎に形成された直後に、対応する仮硬化用照射部からそれぞれ紫外線照射が行なわれる。
そして、クリアインクヘッドCLによって全面にクリアインクを塗布し、本硬化用照射部44によって、記録媒体に形成されたドットに紫外線を照射して本硬化させる。
ここで、本実施の形態の特徴的構成(方法)は、光硬化性が高い順にインクを吐出・仮硬化し印刷を行なうことにある。光硬化性とは、光による硬化しやすさをいい、光硬化性が高いとは、硬化しやすいことを意味する。例えば、後述するタックフリー時間(タックフリー値)などで光硬化性を判定することができる。
よって、光硬化性の順にインクを上記印刷装置の上流からヘッドに充填することにより、ブリードを抑制することができる。K→C→M→Yの順に光硬化性が低くなる場合、即ち、後述するタックフリー時間がK<C<M<Yの場合には、図1を参照しながら詳細に説明したように、K→C→M→Yの順に一連の吐出および硬化を行えばよい。光硬化性が異なるインクセットを用いる場合には、搬送方向に沿って配列されている複数のヘッドのうちの上流側から光硬化性の高いインクを充填すればよい。また、インクの色は4色に限らない。例えば、(n+1)種のインクを用いる場合、第1のヘッドおよび光照射部、…、第nのヘッドおよび光照射部および第(n+1)のヘッドおよび光照射部が、上流側から順次並んだ装置においては、第nのヘッドに、第(n+1)のヘッドに充填されるインクより光硬化性の高いインクを充填すればよい。
特に、ラインプリンターにおいては、上述したように、記録媒体を搬送方向に一度走査するだけで、画像を印刷するため、シリアルプリンターなどと比較し、異なる色のドットが隣接する可能性が高い。よって、ブリード(滲み、混色)が生じやすく、ブリード対策がより重要になる。
このようなラインプリンターにおいても、上記のように、光硬化性高い順にインクを吐出・仮硬化することにより、ブリードを低減でき、印刷特性を向上させることができる。
上記印刷方法においては、インクジェット方式を用いることが好ましい。即ち、上述した光硬化型インク組成物を用いて記録媒体に画像形成を行う際、インクジェット記録方法を用いる。このインクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)を用いることで、優れた画像記録を行うことが可能である。
〔インク組成物〕
本実施の形態に係る印刷方法に使用されるインク組成物は、1)重合性化合物および2)光重合開始剤を少なくとも有する。
1)重合性化合物
本実施の形態におけるインク組成物に用いられる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、および3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマーおよびオリゴマーが使用可能である。
前記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩またはエステル、ウレタン、アミドおよびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、前記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、硬化時の塗膜の伸び性が高く、かつ低粘度であるため、インクジェット記録時の射出安定性が得られやすいという観点から、重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。さらに塗膜の硬さが増すという観点から、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格および不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。前記重合性化合物が前記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させ、かつ、上記のエポキシ基含有ポリマーをインク組成物中に効果的に溶解させることができる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、上記においては、(メタ)アクリレートを例示したが、単なるアクリレートも同様に有用である。
2)光重合開始剤
本実施の形態におけるインク組成物に含まれる重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、ラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤を使用することができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、およびアルキルアミン化合物が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントンおよびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、およびユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
3)色材
本実施の形態におけるインク組成物として、色材をさらに含んでもよい。前記色材は、顔料および染料のうち少なくとも一方である。
(顔料)
本実施の形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlack S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Special Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントヴァイオレット 19等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、顔料はその平均粒径が10〜200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度のものである。
光硬化型インク組成物における色材の添加量は、0.1〜25質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%程度の範囲である。
(染料)
本実施の形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料および塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
また、本発明の光硬化型インク組成物は、色材を含まないクリアインクにも適用可能である。
また、上記顔料は、分散剤または界面活性剤で媒体中に分散させて用いることができる。好ましい分散剤としては、後述するものの他、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
4)調整剤(その他の成分)
本実施の形態におけるインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。例えば、界面活性剤を含んでも良い。
界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社)を挙げることができる。
また、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加することにより、インク組成物の保存安定性が向上する。重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系重合禁止剤のIRGASTAB UV10、UV22(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社)などを用いることができる。
さらに、分散剤、重合促進剤、スリップ剤、浸透促進剤および湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤を含んでも良い。その他の添加剤としては、例えば定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤および増粘剤が挙げられる。
〔印刷メディア〕
印刷メディア(記録媒体)としては、非吸収メディアであれば特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂材料を用いることができる。また、これらの基材の表面に処理層(コート層)などを有していてもよい。
インクの粘度は、インクジェットで吐出する観点において、25℃において、40mPa・s以下であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、32mPa・s以下である。40mPa・sを超える場合は、インクジェットヘッドから吐出されるドットにおいて、ドットが細長く尾を引く状態や、ドットが複数個に分かれて飛散する状態等、のドット形状に不具合を与え、画質に悪影響を与える場合がある。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されるものではない。
(実施例1)
下記表1に示すように、インク組成物を調整した。なお、下記表1中、タックフリー時間の項では、395nmのLEDを70mW/cm2照射した。
Figure 0006515964
即ち、重合性化合物として、N−ビニルカプロラクタムを40質量%、光重合開始剤として、IRGACURE 819およびIRGACURE 369を、それぞれ5質量%、各種調整剤として、BYK UV3500を0.1質量%、IRGASTAB UV10を0.2質量%、色材としてC.I.ピグメントレッド122を3質量%の割合で添加し、さらに重合性化合物としてトリプロピレングリコールジアクリレートを用い、全量を100質量%となるようインクA−1を調整した。この際、トリプロピレングリコールジアクリレートは、46.7質量%となる。
同様に、インクA−2を調整した。インクA−1との違いは、光重合開始剤として、IRGACURE 819およびIRGACURE 369を、それぞれ4質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントイエロー180を3質量%の割合で添加した点のみで、他の添加剤は同様の割合で添加され、さらに重合性化合物としてトリプロピレングリコールジアクリレートを用い、全量を100質量%となるようインクA−2を調整した。この際、トリプロピレングリコールジアクリレートは、48.7質量%となる。
同様に、インクA−3を調整した。インクA−1との違いは、光重合開始剤として、IRGACURE 819を3.1質量%、IRGACURE 369を4質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントブルー15:3を3質量%の割合で添加した点のみで、他の添加剤は同様の割合で添加され、さらに重合性化合物としてトリプロピレングリコールジアクリレートを用い、全量を100質量%となるようインクA−3を調整した。この際、トリプロピレングリコールジアクリレートは、49.6質量%となる。
同様に、インクA−4を調整した。インクA−1との違いは、光重合開始剤として、IRGACURE 819およびIRGACURE 369を、それぞれ2.4質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントブラック7を3質量%の割合で添加した点のみで、他の添加剤は同様の割合で添加され、さらに重合性化合物としてトリプロピレングリコールジアクリレートを用い、全量を100質量%となるようインクA−4を調整した。この際、トリプロピレングリコールジアクリレートは、51.9質量%となる。
また、上記インク組成物A−1〜A−4について、タックフリー時間[sec]を測定した。タックフリー時間とは、インク組成物の光硬化性を示すパラメータであり、具体的には、硬化させたインクの表面を荷重100gをかけながら綿棒で擦っても、擦過痕がつかない程度まで硬化する照射時間をいう。したがって、タックフリー時間が小さい程、光硬化性が高いと言える。上記インク組成物A−1〜A−4について、各インク組成物をバーコーター(RK Print Coat Instruments Ltd.社製ハンドコーター BarNo.2)を用いて、記録媒体上に塗布し、その塗膜に対し、光源としてピーク波長395nmのLED(Phoseon社製)を用いて、70mW/cm2の強度で光照射を行い、インク組成物の硬化の程度を所定の時間ごとに調べた。この際、インク膜厚は、12μm程度とした。その結果、各インク組成物のタックフリー時間は、A−1では、13s、A−2では、28s、A−3では、59s、A−4では、85sであった。なお、各インク組成物の25℃における粘度[mPa・s]は、A−1では、32、A−2では、28、A−3では、31、A−4では、32であった。
上記インク組成物(A−1〜A−4)から2色を選択し、第1ヘッドから吐出された第1インクに光を照射することにより、第1インクの仮硬化(10mJ/cm2)を行い、次いで、第2ヘッドから吐出された第2インクに光を照射することにより、第2インクの仮硬化(10mJ/cm2)を行い、その後、本硬化(300mJ/cm2)を行った。第1インクと第2インクを記録媒体の搬送方向に長辺を有し、短辺が隣接するよう配置された矩形状にそれぞれベタ印刷し、これらの境界をルーペおよび目視観察し、当該境界におけるブリードの状態を下記のレベルA〜Cに基づき評価した。その結果を下記表2に示す。
A:ルーペにて観察の結果、2色が混ざり合うことなく境界がはっきりしているレベル。
B:ルーペにて観察の結果、2色が混ざり合っていることが確認され、境界がややぼやけて見えるが、目視においては、混色は確認されないレベル。
C:目視においても、2色が混ざり合っていることが確認され、境界線がはっきりしないレベル。
Figure 0006515964
上記表2に示すように、タックフリー時間が小→大の順に一連の吐出および硬化(この場合、仮硬化)をさせた、実施例1:A−1→A−2、実施例2:A−1→A−3、実施例3:A−1→A−4、実施例4:A−2→A−4および実施例5:A−3→A−4については、ブリード評価:AまたはBの良好な結果が得られた。タックフリー時間が大→小の順に一連の吐出および硬化をさせた、比較例1:A−2→A−1、比較例2:A−3→A−2、比較例3:A−4→A−1については、ブリード評価:Cであった。特に、実施例1〜4においては、ブリード評価:Aであり、タックフリー時間が小→大の順に一連の吐出および硬化をさせることで、ブリードが改善することが判明した。
(実施例2)
下記表3に示すように、インク組成物を調整した。なお、下記表3中、タックフリー時間の項では、395nmのLEDを70mW/cm2照射した。
Figure 0006515964
即ち、重合性化合物として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを30質量%、光重合開始剤として、IRGACURE 819およびIRGACURE 369を、それぞれ4質量%、各種調整剤として、BYK UV3500を0.1質量%、IRGASTAB UV10を0.2質量%、色材としてC.I.ピグメントレッド122を3質量%の割合で添加し、さらに重合性化合物としてN−ビニルカプロラクタムを用い、全量を100質量%となるようインクB−1を調整した。この際、N−ビニルカプロラクタムは、58.7質量%となる。
同様に、インクB−2を調整した。インクB−1との違いは、重合性化合物として、ジプロピレングリコールジアクリレートを30質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントイエロー180を3質量%の割合で添加した点のみである。
同様に、インクB−3を調整した。インクB−1との違いは、重合性化合物として、ポリプロピレングリコールジアクリレート(PO:7)を30質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントブルー15:3を3質量%の割合で添加した点のみである。
同様に、インクB−4を調整した。インクB−1との違いは、重合性化合物として、インステアリルアクリレートを30質量%添加し、色材としてC.I.ピグメントブラック7を3質量%の割合で添加した点のみである。
また、上記インク組成物B−1〜B−4について、タックフリー時間[sec]を測定した。上記インク組成物B−1〜B−4についての測定結果は、インク組成物B−1では、18s、B−2では、24s、B−3では、65s、B−4では、102sであった。また、各インク組成物の25℃における粘度[mPa・s]は、B−1では、29、B−2では、31、B−3では、34、B−4では、35であった。
上記インク組成物(B−1〜B−4)から2色を選択し、実施例1と同様に、第1ヘッドから吐出された第1インクに光を照射することにより、第1インクの仮硬化(10mJ/cm2)を行い、次いで、第2ヘッドから吐出された第2インクに光を照射することにより、第2インクの仮硬化(10mJ/cm2)を行い、その後、本硬化(300mJ/cm2)を行った。第1インクと第2インクを記録媒体の搬送方向に長辺を有し、短辺が隣接するよう配置された矩形状にそれぞれベタ印刷し、これらの境界をルーペおよび目視観察し、当該境界におけるブリードの状態を上記レベルA〜Cに基づき評価した。その結果を下記表4に示す。
Figure 0006515964
上記表4に示すように、タックフリー時間が小→大の順に一連の吐出および硬化をさせた、実施例6:B−1→B−2、実施例7:B−1→B−3、実施例8:B−2→B−3および実施例9:B−3→B−4については、ブリード評価:AまたはBの良好な結果が得られた。タックフリー時間が大→小の順に一連の吐出および硬化をさせた、比較例5:B−3→B−1および比較例6:B−4→B−2については、ブリード評価:Cであった。特に、実施例6〜8においては、ブリード評価:Aであり、タックフリー時間が小→大の順に一連の吐出および硬化をさせることで、ブリードが改善することが判明した。
(タックフリー時間とインク組成)
上記実施例1および2においては、タックフリー時間が小→大の順に一連の吐出および硬化をさせることで、ブリードが改善することが判明したが、ここでは、タックフリー時間とインク組成について検討する。
表1に示すように、インク組成物A−1〜A−4については、光重合開始剤(IRGACURE 819、IRGACURE 369)の総量が、少なくなるにしたがってタックフリー時間が大きくなっていることが分かる。
また、表3に示すように、インク組成物B−1〜B−4については、重合性化合物として異なる成分を用いることでタックフリー時間が変化することが分かる。インク組成物B−1〜B−4については、重合性化合物として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(PO:7)およびインステアリルアクリレートそれぞれ同量(30質量%)用いている。これらについて、アクリル当量を算出すると、順に、113、121、268および324となる。
アクリル当量とは、分子量/アクリル基の個数である。アクリル当量が小さいほど、単位重量当りの官能基数(反応部位、重合部位、二重結合部)が多くなり、硬化しやすくなる。なお、実施例1に示すトリプロピレングリコールジアクリレートのアクリル当量は、150である。
以上から、次の事項が分かる。
(1)実施例1(表1)から明らかなように、光重合開始剤(IRGACURE 819およびIRGACURE 369)の総量が大きくなるにしたがって、タックフリー時間が小さくなる。即ち、光硬化性が高くなる。
なお、この光重合開始剤は、照射される光の波長範囲において、吸収スペクトルを有することが多く、総量として、表1のインクA−4に示す4.8質量%以上、より好ましくは5質量%以上用いることが好ましい。また、溶解性の観点から15質量%以下とすることが好ましい。
(2)実施例2(表3)から明らかなように、重合性化合物として、アクリル酸エステルを用いる場合には、アクリル当量の小さいものを用いることで、タックフリー時間を小さくできる。
なお、ここでは、アクリル当量として示したが、分子量/官能基数をパラメータとして、アクリル酸エステル以外の重合性化合物についてもタックフリー時間の調整を行うことができる。
(3)また、インク組成物の特性として、重合性化合物として、アクリル酸エステルを用いる場合は、アクリル当量は、100以上300以下であることが望ましい。また、インク組成物の粘度としては、25℃において、40mPa・s以下であることが望ましい。また、仮硬化において照射される光の照射量は、3mJ/cm2以上40mJ/cm2以下であることが望ましい。
よって、上記条件を満たすよう、インク組成を調整することで、タックフリー時間を制御でき、インク組成物の光硬化性を調整することができる。
23A 上流側搬送ローラ、23B 下流側搬送ローラ、24 ベルト、42a 仮硬化用照射部、42b 仮硬化用照射部、42c 仮硬化用照射部、42d 仮硬化用照射部、44 本硬化用照射部。

Claims (10)

  1. 色材、第1重合性化合物および光重合開始剤を有する第1インク組成物と、色材、第2重合性化合物および光重合開始剤を有する第2インク組成物と、を少なくとも用いて、ラインプリンターを用いて1回の走査によりインク組成物を記録媒体上に吐出して印刷を行う印刷方法であって、
    前記第1重合性化合物および前記第2重合性化合物が、それぞれアクリル酸エステルを有し、
    前記第1インク組成物の光硬化性が、前記第2インク組成物の光硬化性より高く、
    前記第1インク組成物がマゼンタインクであり前記第2インク組成物がイエローインクであるか、又は、
    前記第1インク組成物がマゼンタインクであり前記第2インク組成物がシアンインクであるか、又は、
    前記第1インク組成物がイエローインクであり前記第2インク組成物がシアンインク組成物であり、
    前記第1重合性化合物中の前記アクリル酸エステルのアクリル当量は、前記第2重合性化合物中の前記アクリル酸エステルのアクリル当量より小さく、
    前記第1インク組成物中の前記色材および前記第2インク組成物中の前記色材が、顔料であり、
    前記第1インク組成物を前記記録媒体に吐出し、光を照射することにより前記第1インク組成物を仮硬化させた後、
    前記第2インク組成物を前記記録媒体に吐出し、光を照射することにより前記第2インク組成物を仮硬化させた後、
    光を照射することにより、前記第1インク組成物と前記第2インク組成物とを本硬化させる、印刷方法。
  2. 前記光硬化性は、前記インク組成物表面に擦過痕が付かない程度に硬化されるタックフリー時間であり、
    前記第1インク組成物のタックフリー時間は、前記第2インク組成物のタックフリー時間より短い、請求項1記載の印刷方法。
  3. 前記第1インク組成物が充填された第1吐出部と、第1インク組成物の仮硬化を行う第1光照射部と、前記第2インク組成物が充填された第2吐出部と、第2インク組成物の仮硬化を行う第2光照射部と、を記録媒体の搬送方向の上流側から、この順番で有するラインプリンターを用いて行う、請求項1又は2に記載の印刷方法。
  4. 前記本硬化の光照射において照射される光の照射量は、100mJ/cm以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷方法。
  5. 前記本硬化の光照射において照射される光の照射量は、前記第1インク組成物又は第2インク組成物の仮硬化の光照射において照射される光の照射量のそれぞれ2〜300倍である請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷方法。
  6. 前記第2インク組成物の仮硬化と前記本硬化の間にクリアインクを塗布する工程を有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の印刷方法。
  7. 前記第1インク組成物および前記第2インク組成物の25℃における粘度は、それぞれ40mPa・s以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷方法。
  8. 前記第1インク組成物の仮硬化および前記第2インク組成物の仮硬化において照射される光の照射量は、それぞれ、50mJ/cm2以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷方法。
  9. 前記第1インク組成物の仮硬化および前記第2インク組成物の仮硬化の光照射をそれぞれ、発光ダイオードにより行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷方法。
  10. 前記第1インク組成物中の前記光重合開始剤および前記第2インク組成物中の前記光重合開始剤が、アシルホスフィン化合物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷方法。
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