JP5888395B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
従来、高い付加価値を付与するため、様々な被記録媒体(用紙など)の表面処理状態について、品質を向上する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、特定の樹脂を主成分とするクリアインクからなるクリアコート層で絵図や文字を覆うことにより、絵図や文字の表面の光沢を高めることを特徴とするプリント方法が開示されている。
特許文献2には、所定のカラー用記録ヘッド及び背景用記録ヘッドを備え、カラーインクを印刷、硬化させた後、背景色インクであるホワイトインクを印刷するか、又は、背景色インクであるホワイトインクを印刷、硬化させた後、カラーインクを印刷することにより、表刷り印刷又は裏刷り印刷を行う画像記録装置が開示されている。
他方、高速で記録物を得るための技術が要求されている。例えば、特許文献3には、シングルパス方式を用いて高速多色印刷を行う場合において、第1のインクを吐出させた後、第2のインクが吐出される前に第1のインクを半硬化させることで、スジ状の欠陥の発生を低減しつつ、各色インク間でのインク滲みが少なく画質劣化の少ない良好な画像を高速で記録することが可能なインクジェット記録装置が開示されている。
特開2006−15691号公報 特開2004−306591号公報 特開2009−285854号公報
しかしながら、上記特許文献に開示の技術は、マット調を有する記録物を得ることには適していない。すなわち、上記特許文献1に開示の技術は、クリアインクを用いて絵図や文字の表面の光沢を高めることを目的としており、グロス調を有する記録物が得られるにすぎず、マット調を有する記録物を得ることはできない。また、上記特許文献2に開示の技術によっても、マット調を有する記録物を得ることは困難である。さらに、上記特許文献3には、クリアインクについて何らの記載もないことに加え、当該文献に開示の技術によってもマット調を有する記録物を得ることは困難である。
このように、従来の技術では、マット調を有する記録物を高速多色印刷により得ることができないという問題が生じる。
そこで、本発明は、シングルパス方式による高速多色印刷において、記録物をマット調にするインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。まず、上記特許文献2に開示の技術において、マット調を有する記録物を得ることが困難である原因を検討した。その結果、光硬化型のカラーインク組成物(以下、単に「カラーインク組成物」ともいう。)の転化率が30%である点、及び背景用インクであるホワイトインク組成物を含むカラーインク組成物のみを用いている点が問題であることが分かった。
次に、特許文献3に開示の技術において、マット調を有する記録物を得ることが困難である原因を検討した。その結果、カラーインク組成物のみを用いると、マット調を有する記録物を得ることは極めて困難であることが分かった。
そこで、本願発明者らは、カラーインク組成物の上から更に光硬化型のクリアインク組成物(以下、単に「クリアインク組成物」ともいう。)を吐出した場合の方が、クリアインク組成物を吐出しない場合に比して、マット性を良好とすることができることを見出した。
また、良好なマット性を安定して得るためには、画像パターンによる制約を受けないクリアインク組成物をパターニングして、カラーインク組成物に重ね塗りする(重ね打ちする)必要があることを知見した。また、カラーインク組成物の転化率を検討したところ、シングルパス方式による高速多色印刷においては、30%よりも顕著に高い50%以上の範囲が少なくとも必要であることを知見した。
本発明の位置実施形態に係るインクジェット記録装置は、被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、色材を含有している光硬化型の第1インク組成物を前記被記録媒体に吐出する第1のプリンターヘッドと、前記第1のプリンターヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記被記録媒体に着弾した前記第1インク組成物を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように硬化させる第1の照射部と、前記第1の照射部よりも前記搬送方向の下流に配置され、前記被記録媒体の前記第1インク組成物が着弾した領域を含む所定の領域に、色材を含有していない光硬化型の第2インク組成物を吐出する第2のプリンターヘッドと、前記第2のプリンターヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記所定の領域に着弾した前記第2インク組成物を光照射により硬化させる第2の照射部と、を備え、画像データに基づいて、前記第1インク組成物及び前記第2インク組成物を用いて画像が形成された前記被記録媒体の光沢度が65未満となるように、前記所定の領域に前記第2のプリンターヘッドから前記第2インク組成物を吐出する際に、前記画像データに関わらず単位面積当たりのdutyが5%〜50%の範囲のいずれかの値となるよう前記第2インク組成物を吐出することを特徴とする。
また、本発明の位置実施形態に係るインクジェット記録装置において、前記第1の照射部は、350nm〜450nmの範囲にピーク波長を持つ発光ダイオードを有することを特徴とする。
また、本発明の位置実施形態に係るインクジェット記録方法は、被記録媒体を搬送方向に搬送しながら、複数種の光硬化型のインク組成物を前記被記録媒体に着弾させて光照射により硬化することによって画像を形成するインクジェット記録方法であって、前記複数種の光硬化型のインク組成物のうち色材を含有している第1インク組成物を前記被記録媒体に吐出して着弾させる第1の吐出工程と、前記被記録媒体に着弾した前記第1インク組成物を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように硬化させる第1の硬化工程と、前記複数種の光硬化型のインク組成物のうち色材を含有していない第2インク組成物を前記被記録媒体の前記第1インク組成物が着弾した領域を含む所定の領域に吐出する第2吐出工程と、前記被記録媒体の前記所定の領域に着弾した前記第2インク組成物を光照射により硬化する第2の硬化工程と、を含み、前記第2吐出工程では、画像データに基づいて前記画像が形成された前記被記録媒体の光沢度が65未満となるように、前記画像データに関わらず単位面積当たりのdutyが5%〜50%の範囲のいずれかの値となるよう前記第2インク組成物を吐出することを特徴とする。
また、本発明の位置実施形態に係るインクジェット記録方法において、前記第1の硬化工程は、350nm〜450nmの範囲にピーク波長を持つ発光ダイオードを用いて前記光照射を行うことを特徴とする。
本発明の一実施形態で使用するラインプリンターの構成を示すブロック図である。 図1のラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。 図1のラインプリンターの他の態様における記録領域周辺の概略図である。 図1のラインプリンターの更に他の態様における記録領域周辺の概略図である。 図5は、本発明の一実施形態であるインクジェット記録方法を表すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「マット調」とは、表面の光沢を抑えた、つや消しの表面処理状態を意味する。「マット性」とは光沢度で表される指標を意味し、マット性に優れるほど光沢度は小さくなる。一方、「グロス調」とは表面の光沢を高めた表面処理状態を意味する。
また、本明細書において、「カラーインク」とは、無色透明のクリアインクを除くあらゆる有色のインクを指す。「転化率」とは、インク組成物に含まれる重合性化合物が硬化物へ転化する率を意味し、光照射によるインク組成物の硬化度と換言することができる。「半硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、ドットのブリードや混色を防止するために、本硬化の前に硬化させることを言い、一般に、半硬化における転化率は半硬化の後で行う本硬化による転化率よりも低い。「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、印刷物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。
また、本明細書において、「duty」とは、下式で算出される値であり、印字dutyないし印字率と換言することができる。
duty(%)=実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。また、「duty100%」とは単位画素当たりの単色の最大インク重量を意味する。)
なお、上記したように、良好なマット調を得るためには、ドット同士の接触が少ないドット密度でドットを形成することが好ましい。つまり、ドットは離散状態で形成することが好ましい。例えば、縦方向及び横方向に隣接しない画素に優先的にドットを形成していくことが好ましい。あるいは、上記単位面積における画素数として多すぎない(例えば16画素数以下の)画素数の単位面積を設定し、この各単位面積において所定のdutyとすることも好ましい。
また、本明細書において、「シングルパス方式」とは、インクジェット記録装置を用いて行う画像記録方式のうち、搬送方向に搬送される被記録媒体上において搬送方向に対して直交する方向に並んだ複数の吐出口が形成されたラインヘッドからインクを吐出することにより画像記録を行う方式をいう。
さらに、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
さらにまた、本明細書において、「記録装置」とは、被記録媒体上にインクジェット方式により画像を形成する装置を意味し、「インクジェット記録装置」と同義であり、例えば後述のプリンター(1)が該当する。また、記録制御装置は、記録装置を制御する装置を意味し、例えば、後述する、プリンタードライバーをインストールしたコンピューター(110)が該当する。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置に係る。
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置の一例であるラインプリンターの構成を示すブロック図である。図2は、図1のラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。図3は、図1のラインプリンターの他の態様における記録領域周辺の概略図である。図4は、図1のラインプリンターの更に他の一態様における記録領域周辺の概略図である。
〔装置構成〕
図1に示すように、本実施形態のプリンター1は、被記録媒体上に画像を形成する記録装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
ここで、本明細書における「被記録媒体上」とは、被記録媒体の表面上、及び、当該表面の上方に位置することを意味する。
上記のプリンター1(インクジェット記録装置)は、被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニット20(搬送部)と、光硬化型のカラーインク組成物を前記被記録媒体に吐出するヘッドユニット30の一部(第1のプリンターヘッド)と、前記被記録媒体に着弾した前記カラーインク組成物からなる第1の塗膜を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように半硬化させる照射ユニット40の一部(第1の照射部)と、前記第1の照射部よりも前記搬送方向の下流側に配置され、少なくとも前記第1の塗膜の一部に、光硬化型のクリアインク組成物をduty5%〜50%の条件で吐出するヘッドユニット30の一部(第2のプリンターヘッド)と、半硬化した前記第1の塗膜と少なくとも前記第1の塗膜の前記一部に着弾した前記クリアインク組成物からなる第2の塗膜とを光照射により硬化させる照射ユニット40の一部(第2の照射部)と、を備える。これに加えて、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)は、任意に、検出器群50及びコントローラー60を有する。
搬送ユニット20は、被記録媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。搬送ユニット20は、図2、図3、及び図4に示すように、例えば、上流側搬送ローラ23A及び下流側搬送ローラー23Bと、ベルト24と、を有する。
ヘッドユニット30は、被記録媒体に向けて光硬化型インク組成物を吐出するためのものである。
照射ユニット40は、被記録媒体S上に着弾した光硬化型インク組成物のドットに向けて光を照射するものである。本実施形態における照射ユニット40は、図2に示すような態様で第1の照射部42及び第2の照射部44を備えてもよい。また、照射ユニット40は、図3に示すような態様で、第1の照射部42a、42b、42c、及び42d(「第1の照射部42a〜42d」と表記する。以下同様。)並びに第2の照射部44を備えてもよい。さらに、照射ユニット40は、図4に示すように、第1の照射部42e及び42fと第2の照射部44とを備えてもよい。
検出器群50は、ロータリー式エンコーダー(図示せず)や紙検出センサ(図示せず)等を備える。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御部であり、コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニット(各部)を制御するものである。
〔装置の動作〕
外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(各部)、即ち搬送ユニット20、ヘッドユニット30、及び照射ユニット40を制御して、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を形成する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各部を制御し、被記録媒体上に画像を形成する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各部を制御する。
プリンター1は、放射線(光)の照射により硬化する光硬化型インク組成物を吐出することにより、被記録媒体上に画像を形成する装置である。
プリンター1は、少なくとも、先に吐出されるカラーインク組成物と後に吐出されるクリアインク組成物とを用いて、画像を形成する(印刷を行う)。
ここで、図2及び図3は、カラーインク組成物が2種以上の組み合わせからなる態様である一方、図4は、カラーインク組成物が1種単独からなる態様である。このように、本実施形態におけるカラーインク組成物は、1種単独からなってもよく、2種以上の組み合わせからなってもよい。
搬送ユニット20においては、搬送モータ(図示せず)が回転すると、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙ローラー(図示せず)によって給紙された被記録媒体Sは、ベルト24によって、記録可能な領域(プリンターヘッドと対向する領域)まで搬送される。そして、この領域を通過した被記録媒体Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。
このとき、搬送ユニット20(走査部)は、被記録媒体Sをヘッドユニット30に対して相対的に搬送方向(走査方向)に走査させながらインクの吐出を行う。被記録媒体Sの搬送を行わずにヘッドユニット30を被記録媒体Sに対して移動させる走査を行いながらインクの吐出を行わせても良い。ここで、被記録媒体Sがヘッドユニット30に対して移動する走査を行う場合は被記録媒体Sが搬送されていく側が下流であり、ヘッドユニット30が被記録媒体Sに対して移動する走査を行う場合は、ヘッドユニット30が移動していく方向が上流側である。
なお、搬送中の被記録媒体Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されていてもよい。また、本明細書では便宜上、「給紙」という文言を用いているが、本実施形態における被記録媒体Sとしては、後述の被記録媒体を用いることができる。
ヘッドユニット30は、画像を形成するための光硬化型インク組成物として、カラーインク組成物及びクリアインク組成物を少なくとも吐出する。以下では、これらのインク組成物を用いた場合の具体的態様を説明する。
ヘッドユニット30は、搬送中の被記録媒体Sに対して各インクを吐出することによって、被記録媒体S上にドットを形成し、画像を形成する。プリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット30の各プリンターヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)は被記録媒体の幅相当のドットを一度に形成することができる。具体的には、図2及び3に示すように、搬送方向の上流側から順に、ブラックインクヘッドK、シアンインクヘッドC、マゼンタインクヘッドM、イエローインクヘッドY、及びクリアインクヘッドCLの各ヘッドが設けられている場合、各ヘッドが紙面の奥から手前方向(搬送方向と垂直な方向)に、被記録媒体Sの幅相当のドットを吐出できるように複数個配置されている。このように、上流側から各ヘッドを制御し、被記録媒体Sの幅に相当する一ライン中の必要な箇所でドットを形成することにより、被記録媒体Sを搬送方向に一度走査するだけで、画像を形成することができる。
なお、上記のブラックインクヘッドKは光硬化型のブラックインク組成物の吐出部である。上記のシアンインクヘッドCは光硬化型のシアンインク組成物の吐出部である。上記のマゼンタインクヘッドMは光硬化型のマゼンダインク組成物の吐出部である。上記のイエローインクヘッドYは光硬化型のイエローインク組成物の吐出部である。上記のクリアインクヘッドCLは光硬化型のクリア(無色透明)インク組成物の吐出部である。
照射ユニット40において、被記録媒体S上に形成されたドットは、照射ユニット40から光の照射を受けることにより、硬化する。第1の照射部42、42a〜42d、及び42eは、被記録媒体S上に形成された第1の塗膜に相当するドットを、その上にクリアインク組成物が着弾する前に半硬化させるための光を照射する。この第1の照射部では、半硬化を行うことができればよいため、ドット(液滴)の少なくとも一部、例えばドット表面が硬化されればよい。この半硬化を行うことにより、インクの滲みを防止することができる。
図2に示す態様において、第1の照射部42は、イエローインクヘッドYの搬送方向下流側に設けられている。一方、図3に示す態様において、第1の照射部42a〜42dはそれぞれ、ブラックインクヘッドK、シアンインクヘッドC、マゼンタインクヘッドM、及びイエローインクヘッドYの搬送方向下流側に設けられている。つまり、図3に示す態様においては、インク色ごとに第1の照射部が設けられている。また、図4に示す態様において、第1の照射部42eは、1種類のカラーインク組成物用のインクヘッドCOLORの搬送方向下流側に設けられている。また、図4に示す態様においては、第1の照射部42eの他、クリアインクヘッドCLの搬送方向下流側にも第1の照射部42fが設けられている。これにより、クリアインクを迅速に硬化することにより、カラーインク及びクリアインクのブリードを確実に抑制することができる。なお、図4においても42fを設けずクリアインクに第2の照射部44のみを照射する形態としてもよい。
第1の照射部42、42a〜42d、42e、及び42fは、光照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備えている。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。
第2の照射部44は、前記被記録媒体に着弾した前記カラーインク組成物及び前記クリアインク組成物を光照射により硬化させる。換言すれば、第2の照射部44は、被記録媒体S上に形成されたドット(第1の塗膜、及びクリアインク組成物による第2の塗膜)をほぼ完全に硬化させるための光を照射する。第2の照射部44は、クリアインクヘッドCLよりも搬送方向下流側に設けられている。また、被記録媒体Sの幅方向における第2の照射部44の長さは被記録媒体Sの幅以上である。そして、第2の照射部44は、ヘッドユニット30の各ヘッドによって形成されたドットに光を照射する。
第2の照射部44は、光照射の光源として、LED又はランプを備えている。当該ランプとして、特に限定されないが、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、及び高圧水銀ランプが挙げられる。本硬化の光照射エネルギーに制限はなく、インク組成によっても異なるが、紫外線照射エネルギーとして好ましくは10以上10,000mJ/cm2以下の範囲であり、好ましくは50以上6,000mJ/cm2以下の範囲である。紫外線照射エネルギーが上記の範囲内であると、硬化を十分に行うことができる。
なお、プリンター1が、図4に示すように、クリアインクヘッドCLと第2の照射部44との間に、第1の照射部42fをさらに備える場合、カラーインク及びクリアインクのブリードが抑制される。
検出器群50に備えられ得るロータリー式エンコーダーは、上流側搬送ローラー23Aや下流側搬送ローラー23Bの回転量を検出する。ロータリー式エンコーダーの検出結果に基づいて、被記録媒体Sの搬送量を検出することができる。また、検出器群50に備えられ得る紙検出センサは、給紙中の被記録媒体Sの先端の位置を検出する。
なお、コントローラー60を構成する各部の動作については、上述のとおりである。
コンピューター110は、プリンタードライバーをインストールするものである。プリンタードライバーは、表示装置(図示せず)にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データ(画像形成データ)に変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの「コンピューターが読み取り可能な被記録媒体」に記録されている。あるいは、このプリンタードライバーは、インターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
そして、コンピューター110は、プリンター1に画像を形成させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
上記で説明してきた本実施形態のプリンター1(インクジェット記録装置)の種類として、ラインプリンターの他にシリアルプリンターが挙げられる。これらの中でもラインプリンターにおいては、被記録媒体に対してプリンターヘッドを所定の方向に一度走査(シングルパス)するだけで画像が形成される。被記録媒体が所定の搬送方向に搬送される場合、相対的に、その搬送方向の逆方向にプリンターヘッドが走査される。換言すれば、ラインプリンターにおいては、記録の際にプリンターヘッドの下方を被記録媒体が一度しか通過しない。これは、一般にシングルパスプリントと称される。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該記録方法は、上記実施形態のインクジェット記録装置を用いて行われるものであって、被記録媒体を搬送方向に搬送させながら、複数種の光硬化型のインク組成物を前記被記録媒体に着弾させて形成した塗膜(ドット)を光照射により硬化することによって、画像を形成するものである。その際、当該記録方法は、下記の各工程を実施することにより行われる。図5は、本実施形態のインクジェット記録方法を表すフローチャートである。
〔インクジェット記録方法の各工程〕
図5に示すように、上記の各工程は、第1の塗膜形成工程(S1)と、第1の硬化工程(S2)と、第2の塗膜形成工程(S3)と、第2の硬化工程(S4)と、を含む。以下、各工程を詳細に説明する。
なお、各工程において、対応するインクジェット記録装置の部位の項で既に説明した内容は省略する。
(第1の塗膜形成工程)
上記の第1の塗膜形成工程(S1)においては、複数種の光硬化型のインク組成物のうち光硬化型のカラーインク組成物を被記録媒体に吐出して着弾させることにより、前記被記録媒体上に第1の塗膜を形成する。
この第1の塗膜形成工程(S1)は、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)におけるヘッドユニット30で行われる。より具体的にいえば、当該工程は、搬送方向の上流側に位置するヘッドで行われる。第1の塗膜形成工程(S1)は、例えば、図2及び3に示す態様においては、ブラックインクヘッドK、シアンインクヘッドC、マゼンタインクヘッドM、及びイエローインクヘッドYで行われ、図4に示す態様においては、カラーインクヘッドCOLORで行われる。
また、カラーインク組成物の液滴重量は、特に限定されないが、1ng〜20ngであることが好ましく、カラーインク組成物の解像度は、特に限定されないが、720dpi×720dpi〜1440dpi×1440dpiであることが好ましい。
カラーインク組成物のdutyは、特に限定されないが、60%以上が好ましく、60%〜100%がより好ましく、70%〜100%がさらに好ましい。dutyが上記範囲内であると、記録物の下地(被記録媒体)が見えない程度に、カラー色が濃くなり、埋まりが良好なものとなる。
さらに、カラーインク組成物を被記録媒体上に塗布(印刷)する際の膜厚は、良好な硬化性が得られるため、5〜10μmが好ましい。
(第1の硬化工程)
上記の第1の硬化工程(S2)においては、前記第1の塗膜を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように半硬化させる。
この第1の硬化工程(S2)は、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)における照射ユニット40の第1の照射部42(図2)、42a〜42d(図3)、及び42e(図4)で行われる。
本明細書における転化率は、赤外吸収(IR)分光法(Infrared spectroscopy)により測定された値を用いる。すなわち、IR分光法によりインク組成物中の二重結合量を測定すると、転化率が高いほど重合反応が進行するため二重結合量は少なくなるので、転化率はその二重結合が減少した割合で表される。カラーインク組成物の転化率が50%未満であると、カラーインク組成物の硬化が不十分であるため、カラーインク組成物とクリアインク組成物とが混じり合ってマット調を有する記録物を製造し難くなる。
第1の硬化工程(S2)における上記の転化率として、カラーインクとクリアインクの交じり合いが抑制されるため、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。なお、第1の硬化工程はカラーインクとクリアインクの混色を防止するためのものであるから、転化率の上限は特に限られるものではなく、本硬化と同等の転化率まで硬化させてもよい。ただし、カラーインクの転化率が高すぎると硬化したカラーインクの上にクリアインクを吐出したときに、クリアインクのハジキが発生する場合がある。したがって、半硬化によるカラーインクの転化率を95%以下とする必要がある。
第1の硬化工程(S2)は、光照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いることができる。上述のとおり、LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。
第1の硬化工程(S2)におけるLEDは、好ましくは350nm〜450nmの範囲、より好ましくは380nm〜450nmの範囲にピーク波長を持つ。LEDが上記範囲内にピーク波長を持つと、コストの低下という有利な効果が得られる。
半硬化の光照射エネルギーに制限はなく、インク組成によっても異なるが、紫外線照射エネルギーとして好ましくは300mJ/cm2以下であり、より好ましくは5〜200mJ/cm2である。紫外線照射エネルギーが上記範囲内であると、ブリードが抑制され、かつ、カラーインク上にさらにインクを塗布した際に、塗布されたインクのハジキが抑制される。
(第2の塗膜形成工程)
上記の第2の塗膜形成工程(S3)においては、前記複数種の光硬化型のインク組成物のうち光硬化型のクリアインク組成物をduty5%〜50%の条件で少なくとも前記第1の塗膜の一部に吐出して着弾させることにより、少なくとも前記第1の塗膜の前記一部上に第2の塗膜を形成する。
この第2の塗膜形成工程(S3)は、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)におけるヘッドユニット30で行われる。より具体的にいえば、図2、図3、及び図4に示す態様において、当該工程は、搬送方向の下流側に位置するクリアインクヘッドCLで行われる。
クリアインク組成物のdutyは、5%〜50%であり、5%〜40%が好ましく、5%〜30%がより好ましい。dutyが上記範囲内であると、記録物のマット性が良好なものとなる。
また、クリアインク組成物を被記録媒体上に塗布(印刷)する際の膜厚は、良好な硬化性が得られるため、3〜15μmが好ましい。
(第2の硬化工程)
上記の第2の硬化工程(S4)においては、半硬化した前記第1の塗膜と前記第2の塗膜とを光照射により硬化させて画像を形成する。
この第2の硬化工程(S4)は、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)における照射ユニット40の第2の照射部44で行われる。
〔光硬化型インク組成物〕
本実施形態における光硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、光硬化型モノマー等の重合性化合物、及び光重合開始剤を少なくとも含み、放射線の照射に起因して重合反応が起こることにより硬化する。上記放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線、紫外線(UV)、可視光線、及び赤外線が挙げられる。中でも、X線等と比較し安全性面で放射線の取り扱いが比較的簡単なこと、並びに、可視光及び赤外線に反応するインク組成物については取り扱いの注意が煩雑なことから、紫外線(UV)が好ましい。
インク組成物がカラーインク組成物である場合、このインク組成物はさらに色材を含む。上記のカラーインク組成物として、特に限定されないが、例えば、CMYKの4色の光硬化型インク組成物が挙げられる。上記のCMYKとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色を意味する。また、このようなインク組成物として、例えば、特開2006−274025号公報、特開2008−75067号公報、特開2006−103142号公報、及び特開2009−91399号公報に記載されたインク組成物が利用可能である。以下、インク組成物を構成する各成分を詳細に説明する。
(重合性化合物)
インク組成物に用いられる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
前記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、前記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、硬化時の塗膜の伸び性が高く、かつ低粘度であるため、インクジェット記録時の射出安定性が得られやすいという観点から、重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。さらに塗膜の硬さが増すという観点から、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。前記重合性化合物が前記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させることができる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(光重合開始剤)
インク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
(色材)
本実施形態におけるインク組成物は、色材をさらに含み得る。前記色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方である。
(1.顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメント ブラック 7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しくは、ブラックインクとして使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4等(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
ホワイトインクとして使用される白色顔料としては、例えば白色無機顔料や白色有機顔料、白色の中空樹脂粒子を用いることができる。白色無機顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸や合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、及び酸化亜鉛等の金属化合物、並びにタルク及びクレイ等が挙げられる。特に酸化チタンは隠蔽性、着色性、及び分散粒径が好ましい白色顔料として知られている。
白色有機顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。白色有機顔料の具体的な商品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。白色の中空樹脂粒子としては、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている、実質的に有機重合体で作られた熱可塑性を示す粒子などが挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ホワイト 6,18,21等が挙げられる。
また、イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント イエロー 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,150,151,153,154,167,172,180等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント レッド 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,144,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245、及びC.I.ピグメント ヴァイオレット 19,23,32,33,36,38,43,50等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメント ブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66、及びC.I.Vat Blue 4,60等が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、及びC.I.ピグメント ブラウン 3,5,25,26、及びC.I.ピグメント オレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
(2.染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
(溶剤)
本実施形態におけるインク組成物は、溶剤(溶媒、希釈剤)を含んでもよい。なお、本実施形態におけるインク組成物は、その大部分が重合し硬化するもの、即ち全硬化型であるため、溶剤も重合性化合物であることが好ましい。
例えば、前記溶剤としては、前述の重合性化合物を用いることができる。
(調整剤(その他の成分))
本実施形態におけるインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。例えば、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)から入手可能)を挙げることができる。
また、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加することにより、インク組成物の保存安定性が向上する。重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系重合禁止剤のIRGASTAB UV−10、及びヒンダードフェノール系重合禁止剤のIRGASTAB UV−22(以上、チバ社(Ciba Inc.)から入手可能)などを用いることができる。
また、本実施形態におけるインクには、顔料分散性を高める観点から、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂等の一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アビシア社製やLUBRIZOL社製のソルスパーズシリーズ(Solsperse36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
さらに、本実施形態におけるインクは、重合促進剤、スリップ剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤を含んでも良い。その他の添加剤としては、例えば定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
[被記録媒体]
上記実施形態に係るインク組成物は、上記のインクジェット記録方法を実施することにより、被記録媒体上に画像を形成するために用いられ得る。
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。上記のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、シングルパス方式による高速多色印刷において、クリアインク組成物のパターニングにより、記録物をマット調にするインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔顔料〕
・C.I.ピグメント ブラック 7(SPECIAL BLACK 250、デグサ社製)
・C.I.ピグメント レッド 122(CINQUASIA MAGENTA RT−355D、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
〔分散剤〕
・Solsperse36000(LUBRIZOL社製)
〔光重合開始剤〕
・DAROCUR TPO(BASF社製)
・IRGACURE 819(BASF社製)
〔重合性化合物〕
・N−ビニルカプロラクタム(BASF社製)
・フェノキシエチルアクリレート(V#192、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製)
・トリプロピレングリコールジアクリレート(V#310HP、大阪有機化学工業社製)〔重合禁止剤〕
・IRGASTAB UV−22(Ciba社製)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(BYK Japan KK製)
〔被記録媒体〕
・PETフィルム(ルミラーE20#125、東レ社(Toray Industries, Inc.)製)
[実施例1〜5、比較例1〜8]
〔顔料分散液の調製〕
顔料(ブラック又はマゼンタ)15質量%、分散剤1.2質量%に、フェノキシエチルアクリレート(V#192、大阪有機化学工業社製)を加えて全体を100質量%とし、混合撹拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、実施例および比較例で使用するカラーインク組成物に用いる顔料分散液を得た。
〔紫外線硬化型インク組成物の製造〕
表1に示す材料を表1に示す組成比で、スターラーを用いて混合し、紫外線硬化型インク組成物1(ブラックインク組成物)、2(マゼンタインク組成物)、及び3(クリアインク組成物)を製造した。なお、表1中の数値の単位は質量%である。
Figure 0005888395
〔記録物の製造〕
図4に示すラインプリンターを用いて記録物を製造した。図4に示すラインプリンターを説明すると、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bと、ベルト24と、を備える。被記録媒体Sは、ベルト24によって、記録可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト24が被記録媒体Sを搬送することによって、被記録媒体SがカラーインクヘッドCOLOR及びクリアインクヘッドCLに対して搬送方向に移動する。記録可能な領域において記録された被記録媒体Sは、その記録可能な領域を通過した後、ベルト24によって外部へ排紙される。また、第1の照射部42e及び42fが、それぞれ、カラーインクヘッドCOLOR及びクリアインクヘッドCLの搬送方向下流側に設けられている。さらに、第2の照射部44が、第1の照射部42fよりも搬送方向下流側に設けられている(この第1の照射部42fにより、クリアインク及びカラーインクのブリードを一層抑えることができる。)。なお、上記カラーインクヘッドCOLORは、実施例5においてはマゼンタインクヘッドであり、その他の実施例及び比較例においてはブラックインクヘッドである。
上記のラインプリンターを用いて、液滴重量16ng、解像度720dpi×720dpiの条件で、ブラック又はマゼンタのカラーインク組成物を、PETフィルム上に吐出し着弾させた。その後、波長395nmにピーク波長を有するLED(Firefly、Phoseon社製)を用いて、各実施例及び比較例の転化率となるような紫外線照射エネルギーで半硬化させた。
なお、各実施例及び比較例の転化率は、IR分光計で計測しつつ、紫外線照射エネルギーを適宜変化させることにより制御した。具体的にいえば、照射エネルギーは照度(mJ/cm2)及び時間(秒)の積で算出される値であるため、照度及び時間を適宜変化させつつ転化率を制御した。
続いて、液滴重量16ng、解像度720dpi×720dpi、及び下記表2に示すdutyの条件でクリアインク組成物を、カラーインクの着弾したPETフィルム上に吐出し着弾させた。その後、波長395nmにピーク波長を有するLED(Firefly、Phoseon社製)を用いて、20mJ/cm2の紫外線照射エネルギーで半硬化させた。
その後、水銀ランプを用いて200mJ/cm2の紫外線照射エネルギーで本硬化させた。ここで、エネルギー値は、紫外線照度計(UM−A25、受光部UM−400、コニカミノルタ社(Konica Minolta Holdings, Inc.)製)を用いて測定した値である。
このようにして、PETフィルム上に、カラーインク組成物及びクリアインク組成物がこの順に重ね塗り印刷された記録物を製造した。
[評価項目]
マット性を評価するために、二乗平均平方根粗さ(Rq)及び20°光沢の測定及び評価を行った。
〔二乗平均平方根粗さ(Rq)〕
まず、レーザーマイクロスコープ VK−9710(キーエンス社(Keyence Corporation)製)を用いて、画像が形成されたPETフィルムの表面粗さを測定した。続いて、このVK−9710に付属している解析ソフトを用いて、二乗平均平方根粗さRqを算出した。
算出したRqの数値に基づいて下記のとおりに評価した。A及びBが実用上使用可能な基準である。結果を下記の表2及び表3に示す。
A:2.0以上
B:1.0以上2.0未満
C:1.0未満
〔光沢度〕
コニカミノルタ社製の光沢計GM−60を使用した。20°光沢を読み取ることにより、光沢度を測定し、マット性を評価した。光沢度の評価基準は下記のとおりである。A及びBが実用上使用可能な基準である。結果を下記の表2及び表3に示す。
A:30未満
B:30以上65未満
C:65以上
Figure 0005888395
Figure 0005888395
上記の結果より、転化率が50%以上95%以下であるカラーインク組成物の塗膜を形成し、クリアインク組成物をduty5%〜50%の条件でこの塗膜上に吐出すると、記録物のマット性が顕著に優れることが明らかとなった。
なお、ブラック又はマゼンタのカラーインク組成物のdutyを40%程度まで低くした点以外は、上記実施例と同様の条件で実験を行った。その結果、凹凸(Rq)は上記実施例と同等レベルまで再現することができた反面、記録物の下地(PETフィルム)が見える程、色が薄くなってしまい、埋まらないことを確認した。一方、ブラック又はマゼンタのカラーインク組成物のdutyを60%にしたところ、記録物の下地が見えず埋まりが良好であることを確認した。
1…プリンター、20…搬送ユニット、23A…上流側搬送ローラー、23B…下流側搬送ローラー、24…ベルト、30…ヘッドユニット、40…照射ユニット、42a…第1の照射部、42b…第1の照射部、42c…第1の照射部、42d…第1の照射部、42e…第1の照射部、42f…第1の照射部、44…第2の照射部、50…検出器群、60…コントローラー、110…コンピューター、K…ブラックインクヘッド、C…シアンインクヘッド、M…マゼンタインクヘッド、Y…イエローインクヘッド、CL…クリアインクヘッド、COLOR…カラーインクヘッド、S…被記録媒体、S1…第1の塗膜形成工程、S2…第1の硬化工程、S3…第2の塗膜形成工程、S4…第2の硬化工程。

Claims (4)

  1. 被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
    色材を含有している光硬化型の第1インク組成物を前記被記録媒体に吐出する第1のプリンターヘッドと、
    前記第1のプリンターヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記被記録媒体に着弾した前記第1インク組成物を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように硬化させる第1の照射部と、
    前記第1の照射部よりも前記搬送方向の下流に配置され、前記被記録媒体の前記第1インク組成物が着弾した領域を含む所定の領域に、色材を含有していない光硬化型の第2インク組成物を吐出する第2のプリンターヘッドと、
    前記第2のプリンターヘッドよりも前記搬送方向の下流に配置され、前記所定の領域に着弾した前記第2インク組成物を光照射により硬化させる第2の照射部と、
    を備え、
    画像データに基づいて、前記第1インク組成物及び前記第2インク組成物を用いて画像が形成された前記被記録媒体の光沢度が65未満となるように、前記所定の領域に前記第2のプリンターヘッドから前記第2インク組成物を吐出する際に、前記画像データに関わらず単位面積当たりのdutyが5%〜50%の範囲のいずれかの値となるよう前記第2インク組成物を吐出するインクジェット記録装置。
  2. 前記第1の照射部は、350nm〜450nmの範囲にピーク波長を持つ発光ダイオードを有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 被記録媒体を搬送方向に搬送しながら、複数種の光硬化型のインク組成物を前記被記録媒体に着弾させて光照射により硬化することによって画像を形成するインクジェット記録方法であって、
    前記複数種の光硬化型のインク組成物のうち色材を含有している第1インク組成物を前記被記録媒体に吐出して着弾させる第1の吐出工程と、
    前記被記録媒体に着弾した前記第1インク組成物を光照射により転化率が50%以上95%以下となるように硬化させる第1の硬化工程と、
    前記複数種の光硬化型のインク組成物のうち色材を含有していない第2インク組成物を前記被記録媒体の前記第1インク組成物が着弾した領域を含む所定の領域に吐出する第2吐出工程と、
    前記被記録媒体の前記所定の領域に着弾した前記第2インク組成物を光照射により硬化する第2の硬化工程と、
    を含み、
    前記第2吐出工程では、画像データに基づいて前記画像が形成された前記被記録媒体の光沢度が65未満となるように、前記画像データに関わらず単位面積当たりのdutyが5%〜50%の範囲のいずれかの値となるよう前記第2インク組成物を吐出するインクジェット記録方法。
  4. 前記第1の硬化工程は、350nm〜450nmの範囲にピーク波長を持つ発光ダイオードを用いて前記光照射を行う、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
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