JP2011224955A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録物 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録物におけるマット調の表面状態、即ちマット性及びマット均一性に優れた、インクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有し、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である、インクジェット記録方法である。
【選択図】なし
【解決手段】紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有し、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である、インクジェット記録方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、紫外線硬化型インク組成物を用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録物に関する。
従来、インクジェットプリント製品に高い付加価値を付与するため、マット調を有するインクジェットプリント製品、光沢調を有するインクジェットプリント製品、並びに、マット調及び光沢調を併せ持つインクジェットプリント製品の品質向上が試みられている。
例えば、特許文献1には、最表層の紫外線硬化型カラーインクの吐出量を多くすることによりマット調を有し、当該カラーインクの吐出量を少なくすることにより光沢調を有する、インクジェットプリント製品が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示の、紫外線硬化型インクを用いたインクジェットプリント製品(以下、「インクジェット記録物」という。)は、特にマット調の品質に劣るため、インクジェット記録物の表面状態に問題がある。
そこで、本発明は、インクジェット記録物におけるマット調の表面状態、即ちマット性及びマット均一性に優れた、インクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、上記のインクジェット記録方法を実施することにより得られるインクジェット記録物を提供することを目的の一つとする。
本願発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した。まず、本願発明者は、紫外線硬化型インクのドット(液滴)の直径(以下、単に「径」という。)に着目した。
マット調のインクジェット記録物を得る場合には、画像の最表層に形成されるドットの径を、隣り合うドット中心間の距離以下にすればよい。即ち、画像の最表層に形成されるドットの径を、そのドットに対応する画素の一辺の長さ以下、さらに言い換えれば内接円直径以下とすればよい。
しかし、紫外線硬化型カラーインク(以下、単に「カラーインク」ともいう。)のドットは、形成しようとする画像のパターンに依存して、その径や吐出面積率(吐出された時の単位面積当たりのドットの面積)が決まる。つまり、マット調のインクジェット記録物を得るために、画像の最表層に形成されるカラーインクのドット径を、対応する画素の一辺の長さ以下とすることが、画像パターンによっては不可能となる。
また、カラーインクを最表層とするベタ印刷により画像を形成する場合、画像パターンによっては、その最表層のドット径が画素の一辺の長さを上回る領域が発生し得る。さらに、画像パターンによっては、一つのインクジェット記録物中に、マット調の領域とグロス調の領域とが不均一に発生してしまう。このように、特許文献1に開示の技術では、画像パターンの制約に起因して、良好なマット性及びマット均一性を安定して得ることはできない。
そこで、本願発明者は、良好なマット性及びマット均一性を安定して得る目的で、画像パターンによる制約を受けない紫外線硬化型クリアインク(以下、単に「クリアインク」ともいう。)をカラーインクに重ね塗りする(重ね打ちする)という発想に至った。
クリアインクのドットは、上記のカラーインクのドットと異なり、画像パターンに関わらず、その径や吐出面積率を決めることができる。つまり、画像の最表層にクリアインクのドットを形成することにより、クリアインクのドット径を一様に、対応する画素の一辺の長さ以下とすることもできる。
そこで、本願発明者は、カラーインク及びクリアインクそれぞれのドット径に着目し、更に検討を行った。その結果、カラーインクのドット径が画素の一辺の長さを上回る場合でも、その上に、ドット径が画素の一辺の長さ以下となるようにクリアインクを形成することにより、均一状のマット調インクジェット記録物が得られることを知見した。そして、クリアインクは画像パターンの影響を受けないため、インクジェット記録物の全面に亘りマット調を形成することもできることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は下記のとおりである。
[1]
紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有し、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である、インクジェット記録方法。
[2]
前記画像上に紫外線硬化型クリアインクを塗布してグロス調の領域を形成するグロス形成工程を更に有し、前記グロス形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の21/2倍を超える長さとして、前記マット調の領域以外の少なくとも一部の領域に前記グロス調の領域を形成する工程である、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
前記マット形成工程における紫外線硬化型クリアインクのドット径が、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の20%以上50%以下である、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
[1]〜[3]の何れかに記載のインクジェット記録方法により得られる、インクジェット記録物。
[1]
紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有し、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である、インクジェット記録方法。
[2]
前記画像上に紫外線硬化型クリアインクを塗布してグロス調の領域を形成するグロス形成工程を更に有し、前記グロス形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の21/2倍を超える長さとして、前記マット調の領域以外の少なくとも一部の領域に前記グロス調の領域を形成する工程である、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
前記マット形成工程における紫外線硬化型クリアインクのドット径が、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の20%以上50%以下である、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
[1]〜[3]の何れかに記載のインクジェット記録方法により得られる、インクジェット記録物。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
ここで、本明細書において、「マット調」とは、表面の光沢を抑えた、つや消しの表面状態を意味する。「マット性」とは光沢度で表される指標を意味し、マット性に優れるほど光沢度は小さくなる。「マット均一性」とは、画像表面の凹凸が均一に形成されているか否かで表される指標を意味し、マット均一性に優れる場合には画像表面の凹凸が均一に形成されている。一方、「グロス調」とは表面の光沢を高めた表面状態を意味する。「グロス性」とは光沢度で表される指標を意味し、グロス性に優れるほど光沢度は大きくなる。
また、本明細書において、「カラーインク」とは、無色透明のクリアインクを除くあらゆる有色のインクを指す。さらに、「ドット径」は、飛行中の液滴の径ではなく着弾(付着)後に拡がった液滴の径、及び、着弾後に紫外線により照射され硬化した後の最終的なドット径を意味する。
また、本明細書において、「カラーインク」とは、無色透明のクリアインクを除くあらゆる有色のインクを指す。さらに、「ドット径」は、飛行中の液滴の径ではなく着弾(付着)後に拡がった液滴の径、及び、着弾後に紫外線により照射され硬化した後の最終的なドット径を意味する。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。以下、本実施形態の例として2つの態様を詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。以下、本実施形態の例として2つの態様を詳細に説明する。
〔第一態様〕
本実施形態の第一態様におけるインクジェット記録方法は、マット調を得るための記録方法である。当該記録方法は、紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有する。そして、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である。すなわち、画像の最表層に形成されるクリアインクのドット径を、そのドットに対応する画素の一辺の長さ以下にするよう、クリアインクを塗布して、マット調の領域を形成する。
マット調の領域は、少なくとも画像の一部の領域に形成されていればよいため、画像から外れた被記録媒体上に更に形成されていてもよい。
本実施形態の第一態様におけるインクジェット記録方法は、マット調を得るための記録方法である。当該記録方法は、紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、を有する。そして、前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である。すなわち、画像の最表層に形成されるクリアインクのドット径を、そのドットに対応する画素の一辺の長さ以下にするよう、クリアインクを塗布して、マット調の領域を形成する。
マット調の領域は、少なくとも画像の一部の領域に形成されていればよいため、画像から外れた被記録媒体上に更に形成されていてもよい。
従来は、画像形成用インク、即ちカラーインクのみを用いてマット調の調節を行っていた。しかし、その上から更にクリアインクを吐出した場合の方が、クリアインクを吐出しない場合に比して、マット性及びマット均一性を共に良好とすることができる。そして、本態様においては、クリアインクを吐出する際、クリアインクのドット径を適当に変えることにより、マット調の程度(階調)を自由に調節することができる。
クリアインクのドット径が、画素の一辺の長さ、即ちクリアインクのドット中心間の距離の20%以上50%以下となる場合のマット調が好ましい。当該ドット径が画素の一辺の長さの20%以上である場合、過度の間引き印刷によるマット性の低下を防止でき、乱反射を防止でき、且つクリアインクが小さすぎて効果が過少となることを防止できる。一方、当該ドット径が画素の一辺の長さの50%以下である場合、ドット径が大きくなり、均一性が増し、グロス向上によるマット性の低下を防止できる。より好ましくは、クリアインクのドット径が画素の一辺の長さの30〜40%となる場合のマット調である。
なお、一つのインクジェット記録物中のクリアインクのドット径は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、一つのインクジェット記録物中のクリアインクのドット径は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)の孔径を大きくする程、発生ドット数は同じでもドット径を一層大きくすることができる。また、クリアインクの吐出量を多くするか、あるいは同じ箇所に複数回吐出すると、トータルの発生ドット数は同じでもドット同士の融合によって、ドット径を大きくすることができる。
一方、本態様の特徴として、カラーインクのドット径は特に限定されることはなく、画像パターンに応じて任意に選択することができる。そのため、従来技術とは異なり、本態様のインクジェット記録方法によれば、任意の画像パターンに任意のマット調を付与することができる。
後述の実施例において、クリアインクのドット径を種々変化させた具体例を説明する(実施例1〜4、比較例1〜3)。ここで、実施例1〜2及び比較例1〜3においてはカラーインクのドット径は1種に統一しているが、2種以上存在する場合についても1種の場合と同様のことがいえる。
一方、後述の実施例3〜4においては、単一でなく複数のドット径からなるカラーインクを塗布し、その後カラーインクのドット径とは異なるドット径を有するクリアインクを塗布することにより、マット調を得るための記録を行っている。当該記録の際のクリアインクの最適なドット径は、マット調を得るために最適な径である一方、カラーインクの画像形成にとって最適なドット径とは異なる径であることが多い。
また、一画素に吐出するインクドット数を変えることにより、ドット径を変えることができる。つまり、小さな径のインクドットを一画素に少数吐出すると最小ドット径になり、吐出されるドット数を増やしていくとより大きなドット径を形成できる。
ドット径を変える方法としては、一インクドット当たりのインク量を異ならせることによりドット径を変える方法も挙げられる。この方法は、カラーインクとクリアインクとの関係において、クリアインクのノズル列からクリアインクを吐出させる駆動信号を、カラーインクのノズル列を駆動させるための駆動信号とは異なるものとして、別途、駆動信号を生成して駆動することにより、互いに異なるインク量のインクドットを吐出させるものである。
〔第二態様〕
本実施形態の第二態様におけるインクジェット記録方法は、マット調及びグロス調を共に得るための記録方法である。当該記録方法は、上記第一態様におけるマット形成工程に加えて、被記録媒体上に塗布された紫外線硬化型カラーインクによる画像上に、紫外線硬化型クリアインクを塗布してグロス調の領域を形成するグロス形成工程を更に有し、グロス形成工程は、紫外線硬化型クリアインクのドット径を、紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の21/2倍を超える長さとして、上記マット調の領域以外の少なくとも一部の領域にグロス調の領域を形成する工程である。すなわち、ドット径を変化させることによりマット調及びグロス調を調節する。
本実施形態の第二態様におけるインクジェット記録方法は、マット調及びグロス調を共に得るための記録方法である。当該記録方法は、上記第一態様におけるマット形成工程に加えて、被記録媒体上に塗布された紫外線硬化型カラーインクによる画像上に、紫外線硬化型クリアインクを塗布してグロス調の領域を形成するグロス形成工程を更に有し、グロス形成工程は、紫外線硬化型クリアインクのドット径を、紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の21/2倍を超える長さとして、上記マット調の領域以外の少なくとも一部の領域にグロス調の領域を形成する工程である。すなわち、ドット径を変化させることによりマット調及びグロス調を調節する。
ドット径を変化させることとは、具体的に言えば、マット調を形成する場合にはドットに対応する画素の内接円直径以下のドット径とすることである一方、グロス調を形成する場合にはドットに対応する画素の対角線長を上回るドット径とすることである。
従来は、画像形成用インク、即ちカラーインクのみでマット調の調節を行っていた。しかし、その上から更にクリアインクを吐出した場合の方が、クリアインクを吐出しない場合に比して、よりマット調とすることができる。そして、本態様においては、クリアインクを吐出する際、クリアインクのドット径を適当に変えることにより、マット調及びグロス調の程度を自由に調節することができる。
詳細にいえば、本願発明者は、マット調及びグロス調といったインクジェット記録物の表面状態を調節するために、クリアインクの存在ドット数(吐出されるドット数)を一定にしつつ、クリアインクのドット径を変化させた、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を実施した(なお、クリアインクの吐出ドット量を変化させると、ドット径も変化する。)。すると、画素の対角線長(ドット中心間の距離の21/2倍)を超える大きな径のドットは、その下地(例えば、カラーインクで形成された画像)を均一に埋めるためグロス調を形成する一方、画素の一辺の長さ以下である小さな径のドットはその下地を部分的に埋めないためマット調を形成することを見出した。
このようにして、本態様によれば、画像パターンを変えることなく、一つのインクジェット記録物中にマット調の領域とグロス調の領域とを任意に設けることができる。
好ましいマット性を得るためのクリアインクのドット径は、上記第一態様で説明したとおりである。他方、クリアインクのドット径が画素の対角線長の1倍〜2倍となる場合のグロス性が好ましく、より好ましくは1.25倍〜1.5倍となる場合のグロス性である。上記の範囲内の場合、グロス調を確保し、且つ過度の打ち込みによる硬化性劣化や滲みを防止することができる。
ヘッドの孔径を大きくする程、発生ドット数は同じでもドット径を一層大きくすることができる。また、クリアインクの吐出量を多くするか、あるいは同じ箇所に複数回吐出すると、トータルの発生ドット数は同じでもドット同士の融合によって、ドット径を大きくすることができる。
第二態様において、上述以外のマット調の関する部分の態様は、第一態様と同様であればよい。
このように、本実施形態によれば、インクジェット記録物におけるマット調の表面状態、即ちマット性及びマット均一性に優れた、インクジェット記録方法が得られる。また、本実施形態のインクジェット記録方法の場合、SML(Small・Middle・Large)マルチドットの低Dutyパターン印刷、即ち間引き印刷の場合よりも、マット性及びマット均一性が共に優れた良好なマット調を形成できる。
[インクジェット記録物]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録物に係る。当該インクジェット記録物は、上述した実施形態のインクジェット記録方法を実施することにより得られる。詳細にいえば、上述した実施形態のうち第一態様の記録方法により得られるインクジェット記録物は、その少なくとも一部の面がマット調である。また、上述した実施形態のうち第二態様の記録方法により得られるインクジェット記録物は、その少なくとも一部の面がマット調であり、且つその他の少なくとも一部の面がグロス調である。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録物に係る。当該インクジェット記録物は、上述した実施形態のインクジェット記録方法を実施することにより得られる。詳細にいえば、上述した実施形態のうち第一態様の記録方法により得られるインクジェット記録物は、その少なくとも一部の面がマット調である。また、上述した実施形態のうち第二態様の記録方法により得られるインクジェット記録物は、その少なくとも一部の面がマット調であり、且つその他の少なくとも一部の面がグロス調である。
本実施形態のインクジェット記録物は、上記の記録方法に従い、下記の被記録媒体上に下記の紫外線硬化型インク組成物を塗布して硬化させることにより得られる。
〔紫外線硬化型インク組成物〕
本実施形態における紫外線硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、光硬化型モノマー等の光重合性化合物、及び光重合開始剤を少なくとも含む。インク組成物がカラーインクである場合、このインク組成物はさらに顔料を含む。このようなインク組成物として、例えば、特開2006−274025号公報、特開2008−75067号公報、特開2006−103142号公報、及び特開2009−91399号公報に記載されたインク組成物が利用可能である。以下、インク組成物を構成する各成分を詳細に説明する。
本実施形態における紫外線硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、光硬化型モノマー等の光重合性化合物、及び光重合開始剤を少なくとも含む。インク組成物がカラーインクである場合、このインク組成物はさらに顔料を含む。このようなインク組成物として、例えば、特開2006−274025号公報、特開2008−75067号公報、特開2006−103142号公報、及び特開2009−91399号公報に記載されたインク組成物が利用可能である。以下、インク組成物を構成する各成分を詳細に説明する。
(光重合性化合物)
本実施形態のインク組成物に用いられる光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
本実施形態のインク組成物に用いられる光重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
前記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、前記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、硬化時の塗膜の伸び性が高く、かつ低粘度であるため、インクジェット記録時の射出安定性が得られやすいという観点から、光重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。さらに塗膜の硬さが増すという観点から、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。上記の光重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。前記光重合性化合物が前記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させ、かつ、上記のエポキシ基含有ポリマーをインク組成物中に効果的に溶解させることができる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(光重合開始剤)
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記光重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記光重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前述の光重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
(色材)
本実施形態のインク組成物として、色材をさらに含んでもよい。前記色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方である。
本実施形態のインク組成物として、色材をさらに含んでもよい。前記色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方である。
(1.顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
(2.染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
(溶剤)
本実施形態のインク組成物は、溶剤(溶媒、希釈剤)を含んでもよい。なお、本実施形態のインク組成物は、全硬化型、即ち、インク組成物の大部分が、重合し、硬化するものであるため、溶剤も光重合性化合物であることが好ましい。
本実施形態のインク組成物は、溶剤(溶媒、希釈剤)を含んでもよい。なお、本実施形態のインク組成物は、全硬化型、即ち、インク組成物の大部分が、重合し、硬化するものであるため、溶剤も光重合性化合物であることが好ましい。
例えば、前記溶剤としては、前述の光重合性化合物を用いることができる。
(調整剤(その他の成分))
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。例えば、界面活性剤を含んでもよい。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。例えば、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社から入手可能)を挙げることができる。
また、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤を添加することにより、インク組成物の保存安定性が向上する。重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系重合禁止剤のIRGASTAB UV10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社から入手可能)などを用いることができる。
さらに、分散剤、重合促進剤、スリップ剤、浸透促進剤及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤を含んでも良い。その他の添加剤としては、例えば定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤及び増粘剤が挙げられる。
〔被記録媒体〕
本実施形態における被記録媒体としては、非吸収性の被記録媒体であれば特に制限はないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩ビフィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、及びポリエチレンなどの樹脂材料、ガラス、並びに金属を用いることができる。
本実施形態における被記録媒体としては、非吸収性の被記録媒体であれば特に制限はないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩ビフィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、及びポリエチレンなどの樹脂材料、ガラス、並びに金属を用いることができる。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1〜2、比較例1〜3]
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記する。)フィルム(ルミラー#125E20、東レ株式会社製)を用意し、そこに720dpiで構成されるヘッドユニットを備えた評価記録装置を用いてベタ印刷を行った。当該記録装置の特徴を下記に列挙する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記する。)フィルム(ルミラー#125E20、東レ株式会社製)を用意し、そこに720dpiで構成されるヘッドユニットを備えた評価記録装置を用いてベタ印刷を行った。当該記録装置の特徴を下記に列挙する。
使用したヘッドユニットは、2個のプリンタヘッドで構成されたノズル解像度720dpiであり、走査方向720dpiの記録方法にて印刷可能な記録装置であった。画素の一辺の長さは1/720(約35.3)μmであり、この画素の対角線長は、(1/720)×21/2(約49.9)μmであった。
毎分30mでPETフィルムを搬送し、搬送方向に対して720×720dpiの解像度でドットを記録した。吐出重量は14ngであった。硬化用光源は、出力240W/cmの高圧水銀ランプを使用した。硬化エネルギーは、300mJ/cm2とした。
PETフィルム上にカラーインク(ブラック)を塗布した。塗布した状態(ドットパターン)は、図5(後述)に示すように、カラーインクで画素内が一様に埋まった状態であった。その後、実施例1〜2及び比較例1〜2については、下記表1に示したドット径のクリアインクを更に塗布した。インクを全て塗布した後、硬化を行い、画像を形成した(インクジェット記録物を得た。)。
〔測定・評価項目〕
(1.マット性)
コニカミノルタ製の光沢計GM−60を使用した。20°光沢を読み取ることにより、光沢度を測定し、マット性を評価した。評価基準は下記のとおりである。結果を下記表1に示す。
AA 光沢度;X≦25
A 光沢度;25<X≦60
B 光沢度;60<X≦85
C 光沢度;X>85
(1.マット性)
コニカミノルタ製の光沢計GM−60を使用した。20°光沢を読み取ることにより、光沢度を測定し、マット性を評価した。評価基準は下記のとおりである。結果を下記表1に示す。
AA 光沢度;X≦25
A 光沢度;25<X≦60
B 光沢度;60<X≦85
C 光沢度;X>85
(2.マット均一性)
目視にて評価を行った。評価基準は下記のとおりである。結果を下記表1に示す。
A 画像表面の凹凸が30cmの高さからの目視で目立たない。
B 画像表面の凹凸が30cmの高さからの目視で目立つ。
目視にて評価を行った。評価基準は下記のとおりである。結果を下記表1に示す。
A 画像表面の凹凸が30cmの高さからの目視で目立たない。
B 画像表面の凹凸が30cmの高さからの目視で目立つ。
図1〜2は、本発明の実施例であるインクジェット記録物の一部(4×4の画素部分)を示す概略図である。一方、図3〜5は、本発明の比較例であるインクジェット記録物の一部(4×4の画素部分)を示す概略図である。なお、格子状に示されているのが4×4の画素部分であり、略円形に示されているのがインクのドットである。
図5(比較例3)は、画素の対角線長を越えるドット径を有するカラーインクのドットで各画素にドットが形成されており、カラーインクのドットによってグロス調になっている状態である。この状態(図5)の上に重ねて、クリアインクのドットを形成したのが図1〜4(実施例1〜2、比較例1〜2)である。
上記表1より、カラーインクのドットが図5のようにグロス調である場合でも、その上にクリアインクのドットを図1〜2のように形成することにより、優れたマット調インクジェット記録物が得られることを明らかにした。その理由は、クリアインクのドットが画像パターンに影響を受けないからである。そのため、インクジェット記録物の全面にマット調を形成することもできる。具体的にいえば、図5に示された画像の上に、画素の内接円直径以下のドット径のクリアインクのドットで各画素にドットを形成することによりマット調が付与される(図1〜2)。
また、上記には示していないが更なる試験を行った。まず、クリアインクのドット径を更に小さくし、画素の一辺の長さ(内接円直径)の20%のドット径を有するクリアインクを用いた点以外は実施例1と同様にして画像を形成した。すると、実施例1と同じ評価結果が得られた。次に、クリアインクのドット径を更に小さくし、画素の一辺の長さの5%のドット径を有するクリアインクを用いた点以外は実施例1と同様にして画像を形成した。すると、マット性が低下してBランクとなることが確認された。このような試験を種々行った結果、ドット径が画素の一辺の長さの20〜50%であるクリアインクの場合に、得られるインクジェット記録物のマット性が最も高いことを明らかにした(図1等)。
比較例1(図3)においては、クリアインクのドットが互いに接触しておらず、比較例3(図5)に比してマット調であった。しかし、比較例1の評価効果(マット性)は、実施例1や2と比較して顕著に劣っていた。また、クリアインクのドット径のばらつきが大きく、ドット密度のばらつきも大きいいわゆる間引き印刷であるため、平滑性、即ちマット均一性も実施例1や2と比較して顕著に劣っていた。
比較例2(図4)は、比較例3(図5)に示したカラーインクのドットの上に、このドット径と同じ大きさのドット径を有するクリアインクを吐出したものである。比較例2における最表層のドットの形成状態は、比較例3のそれと同じであったため、結果として比較例2及び比較例3のマット性は互いに同じ評価結果であった。
[実施例3〜4]
実施例3においては、カラーインクのドット径として、49.9μmのものに加えて25.2μm及び5.5μmのものを追加した点以外は、実施例1と同様にして画像を形成した(インクジェット記録物を得た)。なお、実施例3において使用したクリアインクのドットは、マット性評価がAAのドットである。
実施例3においては、カラーインクのドット径として、49.9μmのものに加えて25.2μm及び5.5μmのものを追加した点以外は、実施例1と同様にして画像を形成した(インクジェット記録物を得た)。なお、実施例3において使用したクリアインクのドットは、マット性評価がAAのドットである。
また、実施例4においては、カラーインクのドット径を、49.9μmのものに加えて25.2μm及び5.5μmのものを追加した点以外は、実施例2と同様にして画像を形成した(インクジェット記録物を得た)。なお、実施例4において使用したクリアインクのドットは、マット性評価がAのドットである。
ここで、実施例3、4における各インク径は、下記の関係にある。
カラーインクの大ドット径>実施例4のクリアインクのドット径>カラーインクの中ドット径>実施例3のクリアインクのドット径>カラーインクの小ドット径
カラーインクの大ドット径>実施例4のクリアインクのドット径>カラーインクの中ドット径>実施例3のクリアインクのドット径>カラーインクの小ドット径
カラーインクの大ドットの存在領域は画像中、色の濃い部分に相当する。カラーインクの小ドットの存在領域は画像中、色の薄い部分に相当する。カラーインクの中ドットは、両者の中間部分に相当し、階調性を滑らかにする役割、即ちトーンを変える役割を果たす。実施例3及び4における評価結果を下記表2に示す。
上記表2より、下地のカラーインクのドット径を2種以上としても、1種単独の場合(実施例1〜2)の場合と同等の評価結果が得られることが分かった。
Claims (4)
- 紫外線硬化型カラーインクを被記録媒体上に塗布して画像を形成する画像形成工程と、
少なくとも前記画像の一部に紫外線硬化型クリアインクを塗布してマット調の領域を形成するマット形成工程と、
を有し、
前記マット形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離以下として、少なくとも前記画像の一部の領域に前記マット調の領域を形成する工程である、インクジェット記録方法。 - 前記画像上に紫外線硬化型クリアインクを塗布してグロス調の領域を形成するグロス形成工程を更に有し、
前記グロス形成工程は、前記紫外線硬化型クリアインクのドット径を、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の21/2倍を超える長さとして、前記マット調の領域以外の少なくとも一部の領域に前記グロス調の領域を形成する工程である、請求項1に記載のインクジェット記録方法。 - 前記マット形成工程における紫外線硬化型クリアインクのドット径が、前記紫外線硬化型クリアインクのドット中心間の距離の20%以上50%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録方法により得られる、インクジェット記録物。
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