(本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置の実施形態の概要)
まず、図2、図6を参照しながら、本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置の実施形態の概要について説明する。図2、図6は、本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置の構成例を示す図である。
本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置は、図2に示すように、底板24と、発光手段250及び受光手段251と、駆動手段30と、検知手段50と、を有して構成する。
底板24は、シート状媒体20を積載する。
発光手段250及び受光手段251は、底板24に積載されたシート状媒体20の厚さ方向で挟む位置に配置される。
駆動手段30は、底板24をシート状媒体20の厚さ方向に移動させる。
検知手段50は、底板24が第1の高さH1の時に発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第1の透過光量情報と、底板24が第1の高さH1よりも高い第2の高さH2の時に発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第2の透過光量情報と、に基づいて底板24に積層されたシート状媒体20の積載量を検知する。具体的には、図6(B)に示すように、底板24を第1の高さH1で停止し、発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第1の透過光量情報を取得する。また、図6(C)に示すように、第1の高さH1よりも高い第2の高さH2で底板24を停止し、発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第2の透過光量情報を取得する。そして、第1の透過光量情報と、第2の透過光量情報と、に基づいて底板24に積層されたシート状媒体20の積載量を検知する。
本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置は、第1の透過光量情報と、第2の透過光量情報と、に基づいて底板24に積層されたシート状媒体20の積載量を検知する。これにより、シートを積載する底板が上下に移動する場合においてシートの積載量を検知することができる。以下、添付図面を参照しながら、本発明の一態様にかかるシート状媒体積載装置について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、シート状媒体積載装置を積載装置として説明する。また、シート状媒体20を記録紙20として説明する。また、検知手段50を、積載枚数検知装置50として説明する。
(第1の実施形態)
<画像形成装置100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の画像形成装置100の構成例について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置100の構成例を示す図である。本実施形態の画像形成装置100は、例えば、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機、複合機などがあげられる。
本実施形態の画像形成装置100は、装置の略中央に画像形成部1が配置され、画像形成部1の下方に給紙部2が配置されている。給紙部2は、各段に給紙トレイ21を備えており、必要に応じて別の給紙装置22を増設することができる。画像形成部1の上方には、原稿を読取る読取部3が配置されている。画像形成部1の左側には排紙収納部4が配置され、画像形成された記録紙が排紙収納される。
画像形成部1は、所謂タンデムタイプと呼ばれる画像作成方式の構成を有し、無端ベルト状の中間転写ベルト5の上に、各色成分(通常、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:BK)の作像部6が並列配置されている。作像部6は、各々、感光体ドラム61と、その周囲に、帯電装置62、レーザ光による走査露光装置7、トナーによる現像装置63及びトナーのクリーニング装置64を備えている。
上記方式の作像プロセスでは、感光体ドラム61に形成された各色成分のトナー画像が、感光体ドラム61と同期回転する中間転写ベルト5に転写される過程で重ね合わされ、カラー画像として合成される。
また、中間転写ベルト5上に転写されたカラー画像を記録紙に転写する転写装置51と、転写された記録紙上のトナーを定着処理する定着装置8と、が排紙収納部4への処理経路に配置され、ここで転写、定着の各処理が行われる。
給紙部2においては、給紙トレイ21に未使用の記録紙が収納されており、上下に移動可能に支持された底板24が最上位の記録紙をピックアップローラ25に当接可能な位置まで上昇させる。底板24は、記録紙の厚さ方向に移動させる駆動手段によって上下に移動可能になっている。
底板24の上昇によりピックアップローラ25に当接した記録紙は、給紙ローラ26,27の回転により、給紙トレイ21から送り出され、レジストローラ23へと搬送される。レジストローラ23は、記録紙の搬送を一時止め、トナー像と記録紙の先端との位置関係が所定の位置になるタイミングで、再び回転を開始するように制御される。
読取部3では、ブック読取りとシートスルー読取りの両方の読取り動作を可能とする。ブック読取りは、原稿台(コンタクトガラス)上に載置される原稿を読取光学系で走査し、結像面に置かれたCCD(ラインイメージセンサ)で原稿画像を変換する。シートスルー読取りは、読取部3の上部に搭載されたADF(自動原稿搬送装置)36によってシート原稿を搬送しながら、読取り位置にクランプされたCCD(ブック読取りと共用)で原稿画像を変換する。なお、ADFは、原稿トレイに束ねてセットされた原稿を1枚ずつ自動搬送する。
CCDにより読込まれた画像信号は、デジタル化され、画像形成出力用データを得るため、補正・変換等の画像処理が施される。画像処理され、得られた画像形成出力用データに基づいて、走査露光装置7内のLD:レーザダイオードの発光を制御することにより、感光体ドラム61に光書込みを行い、感光体表面に静電潜像が形成される。なお、光書込みは、主・副2次元走査方式で行われ、LDからの光信号は、主走査に係わる回転ポリゴンミラーやレンズを介して、副走査方向に回転する感光体ドラム61の感光体表面に至る。
また、本実施形態の画像形成装置100は、上述した複写機能のほかに、FAX機能及びプリンタ機能を持つ。FAX機能は、FAX送信において、読取部3で原稿を読取った後、FAX信号に変換し、通信回線への送信を行う。また、FAX受信において、通信回線から送られて来るFAX信号を受け取った後、プリント出力用データへの処理を経て、画像形成部1で画像形成を行う。また、プリンタ機能は、PC等のホスト機からプリント出力を要求して送られて来る印刷データを受け取った後、プリント出力用データへの処理を経て、画像形成部1で画像形成を行う。
ところで、上記した本実施形態の画像形成装置100と同種の装置において、近年、カラー化及び高速化に伴い、給紙トレイ21に積載されている記録紙の残り枚数を正確に検知する必要性が生じている。これは、中間転写ベルト5の大型化に伴い、中間転写ベルト5上に形成できる画像数が増えたのに対して、給紙トレイ21から転写装置51までの間にストックできる記録紙の枚数が少なくなったためである(図2(A)参照)。転写装置51は、中間転写ベルト5上の画像を記録紙に転写する装置を意味する。
例えば、本実施形態の画像形成装置100でも、中間転写ベルト5上には5枚分の記録紙に転写できる画像を形成できるのに、給紙トレイ21から転写装置51までの間には3枚の記録紙しか保持することができない。3枚の記録紙は、図2(A)において、記録紙20−1、20−2、20−3として示している。このような画像形成装置100では、中間転写ベルト5上に5枚分の記録紙に転写できる画像が形成された後、給紙トレイ21から記録紙が給紙されない場合、5−3=2枚分の記録紙に転写可能な画像が未転写のまま残されてしまうことになる。その後、残った画像は、記録紙の補給をしなければ、中間転写クリーニング装置52により消去されることになり、トナーが無駄に消費されてしまうという不具合を起こすことになる。
上記の不具合は、給紙トレイ21に積載されている記録紙が残り少なくなってきたときに、その枚数を検知して、残った枚数以上の画像形成を行わないようにすれば解消できる。
そこで、本実施形態では、給紙トレイ21に積載された記録紙の少なくとも0〜3枚といった枚数を、図2(B)に示す1組の発光手段250及び受光手段251のペアによる透過光量検出方式によって検知することにしている。
1組の発光手段250及び受光手段251のペアで記録紙の枚数を検知する方式は、例えば、給紙トレイ21に記録紙をセットした場合、給紙動作を行わなくても枚数を検知することができる。即ち、画像形成動作を始める前に積載枚数が検知できる。このため、給紙トレイ21に今ある積載枚数を超える枚数の出力要求が操作パネルから指示された場合に、上記不具合をユーザに知らせる等の制御処理を画像形成動作を始める前に行うことができる。
図2は、本実施形態の積載装置の構成例を示す。図2(A)は、図1の画像形成装置100における、給紙トレイ21、中間転写ベルト5、転写装置51との関連構成の概要を示し、図2(B)は、積載枚数検知装置50を備えた積載装置の要部をより詳細に示している。
本実施形態の積載装置は、タンデムトレイ方式等と呼称されており、記録紙20を収容するための第一収容部21Aと第二収容部21Bとを記録紙20の給送方向に沿って配置され、通常は第一収容部21Aに収納された記録紙20を一枚ずつ分離給送する。そして、この第一収容部21Aでは記録紙20の有無を検出し、記録紙20がなくなった状態が検出されると駆動手段30により第一収容部21Aの底板24を最下降位置まで下降させる。そして、駆動手段30により第二収容部21Bから第一収容部21Aに記録紙20の束を横滑り状態で一度に送り込んで記録紙を補給する。このような積載装置では、極めて多量の記録紙20を連続的に給送することができ、ユーザによる記録紙20の補給作業の頻度を少なくすることができる。
本実施形態の積載装置は、図2に示すように、底板24上に積載された記録紙20の束を厚さ方向で挟む位置に発光手段250と受光手段251とを備えている。そして、発光手段250より発した光が記録紙20の束を透過し、その透過した光が受光手段251に達し、受光手段251で光量を検出することができるようになっている。また、本実施形態では、底板24の一部に切り欠き29を設け、発光手段250から発する光が切り欠き29を通して記録紙20を透過し、受光手段251で受けることができるようになっている。
発光手段250としてはLED素子、半導体レーザなどが考えられるが、白熱燈や蛍光灯等のほかの発光手段でもかまわない。発光する光の波長は、可視光でも良いが、このほかに、赤外光や紫外光等が考えられ、雑音の影響を受け難い波長を選択することが望ましい。
また、受光手段251としては、フォトトランジスタ、フォトダイオード等が考えられるが、受光した光量と受光信号との間に一定の量的関係が得られる手段であれば、どのような受光手段であってもかまわない。
また、受光手段251で受光する透過光量は、記録紙20の枚数に依存するので、受光手段251で受光した信号と記録紙20の枚数との量的関係を予め定めておく。そして、積載枚数検知装置50は、この量的関係に基づいて受光手段251の出力信号を演算し、底板24に積載された記録紙20の枚数を求め、枚数検知結果として得ることにしている。なお、枚数検知に用いる受光信号と記録紙20の枚数との量的関係については詳述する。
本実施形態の積載装置は、1組の発光手段250及び受光手段251のみで、0枚を含めて、底板24に積載された記録紙20の枚数検知を行うことができる。その結果、給紙トレイ21内の記録紙20が0枚であることを判定するためのペーパエンドセンサも必要なくなり、大幅にコストを削減することができる。
図3は、発光手段250及び受光手段251の距離と位置関係の概念図である。図3において距離C1は発光手段250と受光手段251との間の距離を示す。角度E1は、発光手段250と受光手段251とを結ぶ光軸と記録紙20との角度を示す。距離D1は、記録紙20と受光手段251との間の距離を示す。距離D2は、発光手段250と記録紙20との間の距離を示す。
図3において記録紙20の束がある場合、記録紙20の枚数が減ると受光手段251の出力が増加する。例えば、距離C1を30mm、角度E1を55度、距離D2を21.5mm、記録紙20が45kg紙で3枚の場合に、受光手段251の出力を電圧で得ると、受光手段251の出力電圧は、1.1387Vとなる。次に、記録紙20が1枚減り、2枚になると受光手段251の出力電圧は、1.7256Vとなる。そして、記録紙20が1枚になると受光手段251の出力電圧は、3.2861Vとなる。このように、記録紙20が1枚減るたびに、受光手段251の出力電圧が増加する。
また、例えば、記録紙20が45kg紙で1枚、距離D2が16mm、18m、21.5mmの場合、受光手段251の出力電圧は、それぞれ4.8816V、4.3962V、3.4419Vとなる。このように、発光手段250と記録紙20との間の距離D2が遠くなることで、減衰した発光手段250の光量が記録紙20を透過することでさらに減衰し、それにより距離D2に応じて受光手段251の出力が小さくなる。
図4は、距離D2=21.5mmで45kg紙を測定した場合の受光手段251の出力電圧の範囲を示したものである。図4には、記録紙20が1枚〜4枚の場合における受光手段251の出力電圧の範囲が示されている。
図4に示すように、発光手段250と受光手段251とのばらつきや記録紙20のばらつき等により、1枚〜4枚のそれぞれの枚数における受光手段251の出力電圧の範囲が重複し、記録紙20の詳細な枚数を検知することができない場合があることがわかる。そのため、一定の高さのみで記録紙20の枚数を検知しようとすると、枚数を誤検知してしまうことになる。
図5は、枚数検知の原理を説明するための図である。図5は、記録紙20が45kg紙で距離D2=18mmの時の受光手段251の出力から、距離D2=21.5mmの時の受光手段251の出力を引いたものを示している。図5には、1枚〜4枚までのそれぞれの枚数の境界線が引かれている。
1枚と2枚との境界線の式は、以下の式となる。
0.833×(距離D2=18mm時の出力電圧−距離D2=21.5mm時の出力電圧)+2.5
2枚と3枚との境界線の式は、以下の式となる。
0.4167×(距離D2=18mm時の出力電圧−距離D2=21.5mm時の出力電圧)+1.5
3枚と4枚との境界線境界線の式は、以下の式となる。
0.4167×(距離D2=18mm時の出力電圧−距離D2=21.5mm時の出力電圧)+1.0
図5に示すように、それぞれの枚数における境界線を引くことができ、この境界線の式を用いることで、枚数を判別することができる。このため、上述した境界線の式を用いることで、発光手段250と受光手段251とのばらつきや記録紙20のばらつき等があっても枚数検知を行うことができる。
<積載枚数検知処理動作例>
次に、図6〜図8を参照しながら、本実施形態の積載枚数検知処理動作例について説明する。
図6は、給紙トレイ21に記録紙20を積載し、その積載された記録紙20が給紙可能な状態になるまでを示した概念図である。図6(A)は、記録紙20を底板24に積載した状態を示す。図6(B)は、底板24を上昇し高さH1で停止した状態を示す。図6(C)は、底板24を上昇し高さH2の給紙可能な状態を示す。ここで図6(B)、(C)に示す高さH1、H2は給紙トレイ21の底から底板24までの高さを示している。
図7、図8は、本実施形態の積載枚数検知処理の処理動作例を示す図である。図7、図8の検知処理は、画像形成装置100の制御システムによって行われる。
まず、給紙トレイ21に記録紙20を積載するにあたって、給紙トレイ21を引き出し、給紙トレイ21に記録紙20を積載する。その積載された状態が図6(A)の状態である。そして、通常、引き出された給紙トレイ21が差し込まれると、給紙トレイ21の底板24を高さH1まで上昇させ、図6(B)の状態で底板24の上昇を停止させる(ステップS101)。この時に行われる底板24の停止動作は、例えば、底板24を駆動するモータの回転同期信号で高さH1に対応する位置を規定してモータの停止制御を行うといった方法を用いる。そして、高さH1となる図6(B)の状態で記録紙20の透過光量を受光手段251で検出し、検出値を制御システム内の記憶部に保存する(ステップS102)。次に、底板24を高さH2まで上昇させ、図6(C)の状態で底板24の上昇を停止させる(ステップS103)。この時に行われる底板24の停止動作は、例えば、底板24を駆動するモータの回転同期信号で高さH2に対応する位置を規定して、モータの停止制御を行うといった方法を用いる。そして、高さH2となる図6(C)の状態で記録紙20の透過光量を受光手段251で検出し、検出値を制御システム内の記憶部に保存する(ステップS104)。
次に、積載枚数検知装置50は、記憶部に保存された高さH1の位置における透過光量及び高さH2の位置における透過光量の各検出値に基づいて、枚数判定を行う(ステップS105)。ここで行う枚数判定は、図8に示すサブルーチンのフローに従い処理される。
図8のフローによると、0枚判定式を用いて算出された値が0より大きいか(即ち、0枚判定式>0)否かを判定する(ステップS201)。ここで、0より大きければ(S201/Yes)、記録紙0枚の条件を満たすので、積載枚数を0枚と判定する(ステップS202)。
0枚判定式を用いて算出された値が0より大きくなければ(ステップS201/No)、記録紙が積載されている場合である。このため、積載枚数が4枚以上であることを一意に判定できる3枚判定式を用いて、その演算結果として得られた値が0より小さいか(即ち、3枚判定式<0)否かを判定する(ステップS203)。ここで、0より小さければ(S203/Yes)、記録紙4枚以上の条件を満たすので、積載枚数を4枚以上と判定する(ステップS204)。
3枚判定式を用いて算出された値が0より小さくなければ(ステップS203/No)、積載記録紙が1〜3枚の場合であるから、順に一意に判定できる判定式を用いて算出した結果に適用していく。本例では、次に、積載枚数が3枚であることを判定できる2枚判定式を用いて、その演算結果として得られた値が0より小さいか(即ち、2枚判定式<0)否かを判定する(ステップS205)。ここで、0より小さければ(S205/Yes)、記録紙3枚の条件を満たすので、積載枚数を3枚と判定する(ステップS206)。
2枚判定式を用いて算出された値が0より小さくなければ(ステップS205/No)、積載記録紙が1または2枚の場合である。このため、一意に判定できる判定式として、積載枚数が2枚であることを判定できる1枚判定式を用いて、その演算結果として得られた値が0より小さいか(即ち、1枚判定式<0)否かを判定する(ステップS207)。ここで、0より小さければ(S207/Yes)、記録紙2枚の条件を満たすので、積載枚数を2枚と判定する(ステップS208)。
1枚判定式を用いて算出された値が0より小さくなければ(ステップS207/No)、残りの積載記録紙が1枚の条件を満たすことになるので、積載枚数を1枚と判定する(ステップS209)。
また、上記の判定ステップ(ステップS202,S204,S206,S208,S209)で積載枚数が判定された後、このサブルーチンの処理を終了する。
積載枚数の判定結果を得ることにより、積載枚数検知処理のフローを終えるが、画像形成装置の制御システムは、検知した積載枚数(残量)によって、記録紙20の残量に応じた制御処理(後述する残量表示、停止制御等の処理)を行う。
図8のフローでは0枚、1枚、2枚、3枚、4枚以上の枚数が判定でき、判定方法としては、例えば、3枚判定式、2枚判定式の演算結果が正であり、1枚判定式の演算結果が負であれば、その枚数は2枚となる。以下に、ある媒体の演算処理の一例を示す。
0枚判定式:高さH2の出力電圧−3.80
1枚判定式:高さH1時の出力電圧−{0.833×(高さH1時の出力電圧−高さH2時の出力電圧)+2.5}
2枚判定式:高さH1時の出力電圧−{0.4167×(高さH1時の出力電圧−高さH2時の出力電圧)+1.5}
3枚判定式:高さH1時の出力電圧−{0.4167×(高さH1時の出力電圧−高さH2時の出力電圧)+1.0}
例えば、ある45kg紙のようなシート状媒体が1枚である場合、高さH1=18mmの時の受光手段251の出力が4.2576V、高さH2=21.5mmの時の受光手段251の出力が3.3123Vとなる。そこで、それぞれの式に値を代入すると、
0枚判定式:3.3123−3.80=−0.4877<0
3枚判定式:4.2576−{0.4167×(4.2576−3.3123)+1.0}=2.8637>0
2枚判定式:4.2576−{0.4167×(4.2576−3.3123)+1.5}=2.3637>0
1枚判定式:4.2576−{0.833×(4.2576−3.3123)+2.5}=0.9702>0
となり、シート状媒体の枚数が1枚であることがわかる。
また、例えば、ある45kg紙のようなシート状媒体が2枚である場合、高さH1=18mmの時の受光手段251の出力が2.1824V、高さH2=21.5mmの時の受光手段251の出力が1.6985Vとなる。そこで、それぞれの式に値を代入すると、
0枚判定式:1.6985−3.80=−2.1015<0
3枚判定式:2.1824−{0.4167×(2.1824−1.6985)+1.0}=0.9808>0
2枚判定式:2.1824−{0.4167×(2.1824−1.6985)+1.5}=0.4808>0
1枚判定式:2.1824−{0.833×(2.1824−1.6985)+2.5}=−0.721<0
となり、シート状媒体の枚数が2枚であることがわかる。
そして、例えば、ある45kg紙のようなシート状媒体が3枚である場合、高さH1=18mmの時の受光手段251の出力が1.4038V、高さH2=21.5mmの時の受光手段251の出力が1.1067Vとなる。そこで、それぞれの式に値を代入すると、
0枚判定式:1.1067−3.80=−2.6933<0
3枚判定式:1.4038−{0.4167×(1.4038−1.1067)+1.0}=0.2800>0
2枚判定式:1.4038−{0.4167×(1.4038−1.1067)+1.5}=−0.220<0
となり、シート状媒体の枚数が3枚であることがわかる。
このように、上述した0〜3枚判定式を用いることで、シート状媒体の枚数を判定することができる。なお、上記例では、3枚までを判定式で判定する方法を説明したが、判定する枚数は何枚であってもかまわない。そして、演算処理は高さH1と高さH2の受光手段251の出力差から枚数判定をする方法や、高さH1と高さH2の受光手段251の出力比率から枚数判定をする方法など色々考えられるが、別にどのような演算処理であってもかまわない。また、上述した図7では、底板24の停止する高さがH1→H2の順番であったが、別に、H2→H1の順番であってもかまわないし、必ずしも、高さH2で給紙できる状態でなくてもかまわない。
また、上記実施形態では、記録紙20を例に説明したが、記録紙20に限定せず、様々なシート状媒体を用いることが可能である。シート状媒体としては、第二原図、OHP等も適用可能である。
なお、第二原図をH1とH2が18mm、21.5mmの組み合わせで測定すると、受光手段251の出力電圧が3.0696Vと2.1755Vとなる。また、H1とH2が16mm、18mmにして測定すると、受光手段251の出力電圧が3.2476V、3.0696Vと大きくなる。そこで、H1とH2が16mm、18mmの場合の判定式を持つなど、H1とH2の複数のそれぞれの高さの組み合わせに応じて判定式を切り替え、枚数判定の検知精度を高めるようにしても良い。
<本実施形態の画像形成装置100の作用・効果>
本実施形態の画像形成装置100は、記録紙20を積載する底板24と、底板24に積載された記録紙20の厚さ方向で挟む位置に配置される発光手段250及び受光手段251と、底板24を記録紙20の厚さ方向に移動させる駆動手段30と、を有して構成する。そして、積載枚数検知装置50は、底板24を第1の高さH1で停止し、発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第1の透過光量情報を取得する。また、第1の高さH1よりも高い第2の高さH2で底板24を停止し、発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される第2の透過光量情報を取得する。そして、第1の透過光量情報と、第2の透過光量情報と、に基づいて底板24に積層された記録紙20の積載量を検知する。これにより、本実施形態の画像形成装置100は、記録紙20を積載する底板24が上下に移動する場合において記録紙20の積載量を検知することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、図9に示すように、受光手段251から出力される値を増幅する増幅回路A1と、増幅回路A1で増幅する増幅率を調整する増幅率制御部A2と、を有し、増幅率制御部A2は、受光手段251から出力される値に応じて増幅率を変更する。これにより、受光手段251から出力される値を増幅し、受光検知範囲を広げることができる。以下、図9〜図11を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
図9は、受光手段251に増幅回路A1を接続した構成例を示す図である。本実施形態では、増幅回路A1と増幅率制御部A2とを備えており、増幅率制御部A2で増幅回路A1の増幅率を変更するようにしている。また、増幅率制御部A2を接続せずに、一定倍率で増幅する場合も考えられる。そして、受光手段251の出力を増幅することで、そのダイナミックレンジを広くすることができ、精度良く枚数検知を行うことができる。
ここで、受光手段251は、得られた光量を電圧として出力している。このとき、増幅回路A1としてオペアンプを利用した非反転増幅回路等が考えられる。しかし、この増幅回路A1は必ずしもオペアンプを使ったものでなくてもよく、電圧を増幅できるものであればどのような増幅回路A1であってもかまわない。
受光手段251の出力電圧をA/Dコンバータ等でデジタル値に変換して枚数判定を行う場合、A/Dコンバータには分解能があるため、例えば、分解能10bitのA/Dコンバータで+5VをA/D変換すれば、1bitあたり約5mVとなる。
また、複数の媒体を測定するときには、媒体枚数が多くなるほど、媒体を透過する光量が小さくなるため、受光手段251の出力電圧が小さくなる。そこで、微小な電圧を測定するには高分解能のA/Dコンバータを用いればよいが、A/Dコンバータの分解能は有限であるため、認識できる電圧には限界がある。例えば、上記の10bitのA/Dコンバータの例で媒体を透過した光を受光手段251で検出し、その出力電圧が1mVであった場合、A/Dコンバータでは0bitとなり、1mVを検出できない。
そこで、例えば1mVを検出するために、受光手段251の出力電圧をオペアンプ等の増幅回路A1により5倍に設定すれば、1mVを検出することができる。しかし、受光手段251の出力電圧が5Vとなると、5V×5倍=25Vとなり、例えば、絶対最大定格+5VのA/Dコンバータを使用していれば、A/Dコンバータの絶対最大定格を超えてしまい、A/Dコンバータを破壊してしまう可能性がある。
そのため、受光手段251の出力電圧に応じて、その出力を増幅率制御部A2で制御し、増幅回路A1の増幅率を動的に変え、受光手段251の出力電圧を増幅する。これにより、受光手段251の出力電圧が微小であっても、A/Dコンバータで電圧を検出でき、それにより多くの媒体を高精度に枚数検知を行うことができる。
すなわち、受光手段251の出力をVfとし、そのVfに応じて増幅率制御部A2を調整し段階的に増幅率Aを変更する。その後、A倍に増幅後の出力Vgを測定することで、Vg/Aにより元の電圧Vfを求めることができる。ここで、段階的に変える倍率は、例えば、
0.16>Vfの場合、増幅率A=25
0.16≦Vf<0.8の場合、増幅率A=5
0.8≦Vfの場合、増幅率A=1(増幅無し)
のようにすればよいが、必ずしもこの倍率にしなければならないというわけではない。
図10は、Vfに応じて増幅率Aを決定し、その増幅率Aで増幅後の電圧VgよりVfを求める手順の一例を示す図である。本実施形態では、図10の処理でVfを求めた後に、図7、図8の処理動作を行い、枚数判定を行うことになる。
まず、受光手段251の出力Vfを測定する(ステップS301)。次に、Vfを増幅する必要があるか判定する(ステップS302)。増幅する必要がある場合は(ステップS302/Yes)、増幅回路A1の増幅率Aを決定し(ステップS303)、受光手段251に増幅回路A1を接続する(ステップS304)。その後、A倍に増幅された出力Vgを測定し(ステップS305)、Vg/AよりVfを求める(ステップS306)。
図11は、増幅率の段階的変化を示す図である。受光手段251の出力VfがVf<K1であったとする。この時、倍率をL1にする。同様に受光手段251の出力VfがK1≦Vf<K2の場合は、倍率をL2にし、K2≦Vfの場合は、増幅無しにする。このように電圧に応じて複数の増幅率を予め決めておき、受光手段251の出力Vfに応じて増幅率を段階的に変えていく。図11では、2通りの増幅率の例を示したが、必ずしも、増幅率が2通り必要というわけではなく、必要に応じて何通りあってもかまわない。
記録紙20が複数枚あり受光手段251の出力電圧が0.001Vであったとすると、前述の分解能10bitのA/Dコンバータでは0bitとなってしまい、受光手段251の出力電圧が0Vであると認識されてしまう。そこで、増幅率制御部A2で倍率を25倍に設定し、増幅回路A1を用いて受光手段251の出力電圧を5倍にすると0.025Vとなる。これをA/D変換すると0.025Vと認識でき、25で割る演算処理をする、すなわち、0.025/25=0.001より0.001Vと認識できる。
これにより、A/Dコンバータ分解能から判定できる電圧値以下の電圧であっても、上記のような処理を施すことにより、A/Dコンバータ分解能から判定できる電圧値以下の電圧を認識でき、より多くの媒体を高精度に枚数検知することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、増幅回路A1で増幅した値を補正する。具体的には、図12に示すように、第1の光量L1で発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される値を増幅回路A1で増幅した第1の値Va2を取得する(ステップS401〜S405)。また、第2の光量L2で発光手段250が発光した状態で受光手段251から出力される値を増幅回路A1で増幅した第2の値Vb2を取得する(ステップS406〜S410)。そして、第1の値Va2と、第2の値Vb2と、に応じて増幅回路A1で増幅した値を補正する(ステップS411,S412)。これにより、増幅回路A1のばらつきを補正することができる。以下、図12を参照しながら、本実施形態の処理動作例について詳細に説明する。
図12は、増幅回路A1で電圧を増幅した際の電圧補正を説明するための図である。受光手段251より得られた透過光量を電圧に変換し透過光量を得る場合について説明する。
まず、増幅回路A1を接続せずにVa1=0.8Vに調整する。その後、受光手段251の出力をA=5倍にする増幅回路A1を接続し、得られた電圧をVa2とする。ここで、増幅回路A1に使われる抵抗等の素子等にばらつきや、増幅回路A1にオペアンプを使用した際のオフセット入力電圧等の影響がなければ、正確にA=5倍された電圧Va2=4.0Vを得ることができる。
しかし、例えば、非反転増幅回路で1kΩと4kΩとの抵抗で倍率を5倍に設定し、1kΩの抵抗の誤差が+10%、4kΩの抵抗の誤差が−10%であれば、それぞれ実際の抵抗の大きさが0.9kΩ、4.4kΩとなる。このため、非反転増幅回路の倍率が(3.6/1.1)+1≒4.27倍となり増幅回路A1の出力が約3.418Vとなる。さらに、入力オフセット電圧の影響があり、例えば、入力オフセット電圧がVIO=−0.1Vであった場合、増幅後の出力電圧はVa2=(0.8−0.1)×4.27=2.989Vとなり、4.0Vを得ることができない。
そこで、本実施形態では、上記と同様に第二の電圧を測定する。例えば、Vb1=0.5Vの場合、Vb2=(0.5−0.1)×4.27=1.708Vとなる。
そして、本実施形態では、第一の電圧測定で得られた値と、第二の電圧測定で得られた値と、を基に増幅回路A1の真の倍率を求めるとA=4.27となり、入力オフセット電圧はVIO=−0.1となる。これらの処理を図12に示す。
まず、増幅回路A1の接続をOFFにし(ステップS401)、出力電圧がVa1になるように発光手段250の光量を調整し、発光手段250の光量をL1にする(ステップS402)。
次に、増幅回路A1の接続をONにする(ステップS403)。増幅回路A1の倍率は、Atとする。そして、発光手段250を光量L1で発光し(ステップS404)、電圧測定を行い、電圧Va2を得る(ステップS405)。
次に、上記のステップS401〜405と同様に増幅回路A1の接続をOFFにし(ステップS406)、出力電圧がVb1になるように発光手段250の光量を調整し、発光手段250の光量をL2にする(ステップS407)。
次に、増幅回路A1の接続をONにする(ステップS408)。増幅回路A1の倍率は、Atとする。そして、発光手段250を光量L2で発光し(ステップS409)、電圧測定を行い、電圧Vb2を得る(ステップS410)。
次に、ステップS401〜S405の第一の電圧測定で得られた値と、ステップS406〜S410の第二の電圧測定で得られた値と、を基に以下の式で増幅回路A1の真の倍率Aを求める(ステップS411)。
A=(Va2−Vb2)/(Va1−Vb1)
また、以下の式で補正電圧計算を行い、入力オフセット電圧dを求める(ステップS412)。
d=(Va2/A)−Va1
本実施形態では、図12に示す処理を行うことで、増幅回路A1の真の倍率A=4.27を求めることができる。また、入力オフセット電圧d=−0.1を求めることができる。その結果、増幅回路A1のばらつきを補正することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態は、シート状媒体の種類に応じて判定式を切り替える。これにより、様々な種類のシート状媒体の枚数判定を行い、積載量を検知することができる。以下、図13を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
図13は、シート状媒体の種類に応じて判定式を切り替える方法を説明する図である。
シート状媒体の種類によって受光手段251の出力が異なるため、シート状媒体の種類に応じて判定式を切り替える必要がある。例えば、普通紙、第二原図のみを給紙するのであれば、それぞれの媒体に応じて枚数判定をするための演算方法があればよい。しかし、それらに加えてOHPも給紙する場合には、普通紙、第二原図に加えてOHPの枚数判定をするための演算方法も必要になる。そこで、シート状媒体の種類に応じた演算方法を備え、その中から、枚数判定の対象とするシート状媒体の種類に応じた演算方法を適用する。これにより、シート状媒体の種類に応じた演算方法を用いて積載量を検知することができる。
図13では、まず、給紙トレイ21に積載されたシート状媒体が普通紙か否かを判定する(ステップS501)。普通紙である場合は(ステップS501/Yes)、普通紙用の判定式を用いて、図7、図8の処理を行うようにする(ステップS502)。
また、給紙トレイ21に積載されたシート状媒体が第2原図である場合は(ステップS503/Yes)、第2原図用の判定式を用いて、図7、図8の処理を行うようにする(ステップS504)。
また、給紙トレイ21に積載されたシート状媒体がOHPである場合は(ステップS505/Yes)、OHPの判定式を用いて、図7、図8の処理を行うようにする(ステップS506)。
本実施形態では、図13に示す処理を行うことで、シート状媒体の種類に応じて判定式を切り替えて図7、図8の処理を行うことができる。
なお、上記処理動作例では、普通紙、第二原図、OHPの場合について説明したが、それ以外の媒体についての判定式があってもかまわない。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態は、受光手段251から得られた出力値に応じて判定式を切り替える。これにより、受光手段251から得られた出力値に応じた判定式を用いて積載量を検知することができる。以下、図14を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
図14は、受光手段251の出力値に応じて判定式を切り替える方法を説明する図である。
1つの境界線の判定式で枚数判定を行うと、枚数判定が厳しいものとなる場合がある。そこで、例えば、2枚と3枚との境界線の判定式を受光手段251の出力電圧が0V以上1V未満、1V以上のように閾値を決め、受光手段251の出力電圧に応じて判定式を切り替える。具体的には、2枚と3枚の境界線の式(即ち、2枚判定式)を受光手段251の出力電圧が0V以上1V未満の場合の判定式D2と、受光手段251の出力電圧が1V以上の場合の判定式D1と、を予め容易する。そして、受光電圧測定で得られた受光手段251の出力電圧Vdに応じて判定式D2を用いるか、判定式D1を用いるかを切り替える。これにより、精度良く枚数判定を行うことができる。なお、受光電圧測定で得られた受光手段251の出力電圧Vdは、高さH1の時の出力電圧を用いても、高さH2の時の出力電圧を用いても良い。但し、高さH2の時の出力電圧を用いることが好ましい。なお、上記の例では、受光電圧測定で得られた受光手段251の出力電圧Vdに応じて2枚判定式D2を用いるか、2枚判定式D1を用いるかを切り替える場合について説明した。しかし、0枚判定式、3枚判定式、1枚判定式についても同様に、受光電圧測定で得られた受光手段251の出力電圧Vdに応じた判定式を用いるようにすることも可能である。
図14では、受光電圧測定を行い、受光手段251の出力電圧Vdを得る(ステップS601)。次に、出力電圧Vdが閾値未満(即ち、Vd<閾値)か否かを判定する(ステップS602)。閾値未満でない場合は(ステップS602/No)、判定式D1を用いて図7、図8の処理を行う(ステップS603)。
また、閾値未満である場合は(ステップS602/Yes)、判定式D2を用いて図7、図8の処理を行う(ステップS604)。
本実施形態では、図14に示す処理を行うことで、受光手段251の出力値に応じて判定式を切り替えて図7、図8の処理を行うことができる。
また、紙は時間がたつと黄色く変色するものもある。このような変化があった場合、透過光量も変化する。その際、判定式を切り替える電圧を1Vとするよりも、例えば、その電圧を1.1Vにすることでより精度良く枚数検知を行うことができる。
そこで、判定式を切り替える電圧を1.1Vに変更し、受光手段251の出力電圧が0V以上1.1V未満、1.1V以上のように、判定式を切り替える電圧を任意に調整できるようにする。これにより、より精度良く枚数検知を行うことができる。ここでは、紙が黄色く変色したために、透過光量が想定している範囲を超えてしまった場合の例を示したが、必要に応じて判定式を切り替える電圧を調整できるようにしてもかまわない。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態は、図15に示すように、外部光検出手段40と、外部光除去手段41と、を有し、発光手段250より発光された光以外の外部から入射した外部光の影響を除去するようにしている。これにより、外部光を除去し、誤検知を防止することができる。以下、図15を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
図15は、外部光を除去するための構成例を示す図である。図15(A)に示すように発光手段250より発せられる光以外に、外部からの光が受光手段251に入射すると、受光手段251の得る光量が大きくなり、その外部光の影響により精度良く枚数検知を行うことができない。
そこで、本実施形態では、図15(B)に示すように、フォトトランジスタ等の外部から入射する光量を検出する外部光検出手段40と、外部光を除去する外部光除去手段41と、を有して構成している。本実施形態では、外部から入射している光量を外部光検出手段40で検出する。そして、外部光除去手段41は、外部光検出手段40で検出した光量を基に、枚数検知の演算方法を変えたり、受光手段251の出力値に一定倍率を乗じる演算処理をする等の補正を行い、外部光の影響を除去する。これにより、外部から入射する光の影響を取り除くことができる。
このように、外部光の影響を除去することができれば、手差しトレイのように外部光が入射する状況であっても、その影響を受けること無しに精度良く枚数検知を行うことができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。
第7の実施形態は、図16に示すように、温度、湿度を測定し、その測定した温度、湿度に応じた影響を除去するようにしている。これにより、温度、湿度に応じた影響を除去し、誤検知を防止することができる。以下、図16を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
検出対象である記録紙20の周囲温度の変化は、記録紙20を伸び縮みさせるので、透過光量を受ける受光手段251の検出値にも変化が現れる。温度と透過光量の間には、温度が上昇すると、透過光量が増加するといった一定の量的関係が存在し、この関係に従って、受光手段251の検出値が温度の上昇に応じて変化するので、その影響により、精度良く枚数検知を行うことができない。
そこで、本実施形態では、記録紙20の周囲温度を温度センサ等で測定する。そして、測定温度が、一定の温度を超えた場合に、例えば、受光手段251が検出した光量検出値に対し、予めこの温度条件に対応する値として、実験的に求めておいた値の補正倍率を乗じる演算をする等の補正処理を行う。これにより、温度による影響を取り除くことができる。また、周囲温度による影響を除去するためのほかの方法としては、測定温度に応じて、演算方法を変更することも可能である。このようにすることで、例えば、高温環境で記録紙20が伸びる等の変化があっても、その影響を受けること無しに、精度良く枚数検知を行うことができる。上記においては、高温の場合について説明したが、必ずしも高温である必要はなく、例えば、低温など、記録紙20の特性が変化する場合において、この方法を適用すればよい。
ところで、上記した温度変化への対応は、測定温度が一定の温度以上になった場合に、光量検出値に対し、所定の補正倍率を掛けて補正を行うか、あるいは演算方法を変更する例を示した。しかし、補正や演算方法の変更を必要とする温度範囲は、必ずしも一定ではなく、設置環境等によって、適応する温度範囲が異なる。
そこで、温度変化によって光量検出値に対する補正や演算方法の変更が必要となる温度範囲の設定を任意に調整し、それぞれの温度に適応できるようにする。このように、温度範囲の設定を任意に調整し得るようにすることで、設置環境、装置の特性等に応じた設定によって、より精度良く枚数検知を行うことが可能になる。
また、検出対象である記録紙20の周囲における湿度の変化は、記録紙20を伸び縮みさせるので、透過光量を受ける受光手段251の検出値にも変化が現れる。即ち、湿度と透過光量の間には、湿度が高くなると、記録紙20が水分を吸い込んで伸びるので、透過光量が増加するといった一定の量的関係が存在する。この関係に従い、受光手段251の検出値が湿度に応じて変化するので、その影響により、精度良く枚数検知を行うことができない。
そこで、本実施形態では、記録紙20の周囲の湿度を湿度センサ等で測定する。そして、測定湿度が、一定の湿度を超えた場合に、例えば、受光手段251が検出した光量検出値に対し、予めこの湿度条件に対応する値として、実験的に求めておいた補正倍率値を乗じる演算をする等の補正処理を行う。これにより、湿度による影響を取り除くことができる。また、周囲の湿度による影響を除去するためのほかの方法としては、測定湿度に応じて、演算方法を変更することも可能である。このようにすることで、例えば、高湿の環境で記録紙20が伸びる等の変化があっても、その影響を受けること無しに、精度良く枚数検知を行うことができる。上記においては、高湿の場合について説明したが、必ずしも高湿である必要はなく、例えば、低湿など、記録紙20の特性が変化する場合において、この方法を適用すればよい。
ところで、上述した湿度変化への対応は、測定湿度が一定の湿度以上になった場合に、光量検出値に対し、所定の補正倍率を掛けて補正を行うか、あるいは演算方法を変更する例を示した。しかし、補正や演算方法の変更を必要とする湿度範囲は、必ずしも一定ではなく、設置環境等によって、適応する湿度範囲が異なる。そこで、湿度変化によって光量検出値に対する補正や演算方法の変更が必要となる湿度範囲の設定を任意に調整し得るようにして、それぞれの湿度に適応できるようにする。このように、湿度範囲の設定を任意に調整し得るようにすることで、設置環境、装置の特性等に応じた設定によって、より精度良く枚数検知を行うことが可能になる。
図16では、温湿度測定を行い、記録紙20の周囲の温度、湿度を得る(ステップS701)。次に、測定した温度、湿度を基に補正演算が必要か否かを判定し(ステップS702)、補正演算が必要な場合は(ステップS702/Yes)、補正演算を行う(ステップS703)。
本実施形態では、図16に示す処理を行うことで、温度、湿度に応じた影響を除去し、誤検知を防止することができる。
なお、記録紙20の湿度に対する性質は、履歴現象を伴うので、この点を考慮して補正を行うことにより、さらに精度を高めることができる。履歴現象は、例えば、紙は湿気を吸収する速度は速いが、湿気を出す速度は遅い。また、一度、吸湿や脱湿を行うと、元の水分量に戻るためには時間がかかるという現象を指す。このため、例えば、湿度センサによる測定湿度と実効湿度とに違いが生じ、透過光量の検出値等の補正に影響を与える。そこで、湿度センサで測定した湿度を随時記録し、その湿度の変化に合った処理を施すことで、湿度の変化の影響を除去するための補正を適正に行うことを可能とし、より精度良く枚数判定を行うことができる。なお、湿度の変化に合った処理を行うために、例えば、履歴が把握されている現在の測定湿度から実効湿度を得るという方法を用いることができる。即ち、測定湿度と実効湿度の関係は、予め実験により各種の履歴現象パターンにおける測定湿度と実効湿度を関係付けるデータとして求めておく。そして、記録した湿度の変化によって把握される現在の現象を実験で求めておいたパターンに当てはめ、実効湿度を得るといった方法による。実効湿度が得られれば、この湿度値により適正な補正を行うことができる。
図17では、湿度測定を行い(ステップS802)、その測定した湿度を随時記録する(ステップS803)。次に、随時記録した湿度を基に補正演算が必要か否かを判定し(ステップS805)、補正演算が必要な場合は(ステップS805/Yes)、補正演算を行う(ステップS806)。
本実施形態では、図17に示す処理を行うことで、湿度に応じた影響を除去し、誤検知を防止することができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。
第8の実施形態は、図18、図19に示すように積載枚数検知装置50で検知した記録紙20の枚数を表示部55や外部接続機器81に通知したり、積載枚数検知装置50に設定する情報を入力部56や外部接続機器81から設定したりする。これにより、ユーザビリティを向上させることができる。以下、図18、図19を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。
図18は、積載枚数検知装置50に表示部55、入力部56、コンピュータ等の外部接続機器81を接続した構成例を示す図である。
積載枚数検知装置50は、積載枚数検知装置50で検知した記録紙20の枚数を表示部55や外部接続機器81を介してユーザに通知する。例えば、積載枚数検知装置50は、積載枚数検知装置50で検知した記録紙20の枚数が3枚等の予め設定した少数枚になった場合に、表示部55や外部接続機器81を介して記録紙20の枚数が少数であることをユーザに通知する。これにより、記録紙20の枚数が少数になった時点で注意を促すメッセージをユーザに通知し、それに応じた処理をユーザが行うことができる。さらに、演算処理の方法を変更する際や補正を加える際に、入力部56や外部接続機器81より演算処理の方法を入力することで、簡単に、かつ、迅速に演算処理の方法を変更することができる。また、現在の演算処理の方法について確認したい場合は、図18に示すように、積載枚数検知装置50に表示部55や外部接続機器81を接続することで、表示部55や外部接続機器81から演算処理を確認することができる。また、現在の演算処理の方法について確認でき、補正を加えているか否か等の確認をすることができる。なお、現在の演算処理の方法を表示するのみではなく、積載枚数検知装置50に元々内蔵されている演算処理の方法を表示するようにしても良い。
図19は、画像形成装置100にコンピュータ等の外部接続機器81を接続した構成例を示す図である。
シート状媒体の枚数を表示部55や外部接続機器81よりユーザに通知できるようにすれば、ユーザが枚数を知りたいときに、枚数を容易に確認することができる。例えば、給紙トレイ21に積載されているシート状媒体の枚数が画像形成枚数よりも少ない場合は、画像形成動作を開始せずに表示部55や外部接続機器81からシート状媒体の枚数が少数であることをユーザに通知する。また、自動原稿送り装置(ADF)36に積載されたシート状媒体の枚数と、給紙トレイ21に積載されているシート状媒体の枚数と、を比較する。そして、給紙トレイ21に積載されているシート状媒体の枚数が自動原稿送り装置(ADF)36に積載されたシート状媒体の枚数よりも少ない場合に、シート状媒体の枚数が少数であることをユーザに通知する。これにより、画像形成動作を開始させてしまうことを未然に防ぐことができる。その結果、余分な画像形成を行ってしまうことを未然に防ぎ、トナーを無駄に消費し、シート状媒体に転写できなかった余分な画像を中間転写クリーニング装置52で消去するという非生産的な動作を防止することができる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した本実施形態の画像形成装置100を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に一時的、あるいは、永続的に記録しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。リムーバブル記録媒体は、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種記録媒体があげられる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトからコンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介してコンピュータに有線で転送することになる。
プログラムの形態としては、クラウド等によるネット上のサーバからの利用もありえる。一部のプログラムのみをコンピュータに転送して利用する形態もありえる。
また、上記実施形態の画像形成装置100を構成する各部は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に処理を実行するだけに限定するものでない。例えば、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に処理を実行するように構築することも可能である。