以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A1は、台材1、包装フィルム2、封止部材3および被包装物4を備えている。図1は、包装体A1を斜め下方から見た斜視図である。図2は、包装体A1を斜め上方から見た斜視図である。図3は、図1のIII−III線に沿う断面における断面図である。
本発明で言う台材としては、被包装物4を適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.1mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは50g/m2〜600g/m2であり、さらに好ましくは270g/m2〜500g/m2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として略矩形状の厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
台材1は、表面11および裏面12を有しており、窓部13およびフランジ部14が形成されている。表面11および裏面12は、台材1の厚さ方向において互いに反対側を向く面である。窓部13は、台材1の一部が切り取られるなどによって形成されており、台材1の厚さ方向に貫通する孔である。窓部13の形状は特に限定されず、本実施形態においてはたとえば円形状とされている。フランジ部14は、窓部13を取り囲む環状部分であり、平板状である。上述した材質および厚さとされた台材1は、後述する包装フィルム2よりも剛性が高い。
包装フィルム2は、環状部21および収容部22を有している。環状部21は、収容部22を取り囲む環状部分であり、台材1のフランジ部14の表面11に接合されている。収容部22は、環状部21に繋がっており、台材1の表面11側から裏面12側へと窓部13を通じて膨出している。窓部13の形状は特に限定されず、本実施形態においては、ゆるやかなテーパ角を有する円錐台形状とされている。包装フィルム2のうち、少なくとも収容部22は、可撓性を有することにより屈曲自在とされている。なお、本発明で言う屈曲自在とは、典型的には、たとえば一般的な購入者の手によって容易にその形状が変形し、各所が屈曲することにより速やかに押しつぶされることが可能な程度であることを意味する。一方、包装体A1として被包装物4が収容されている場合においては、被包装物4の剛性によって補助されることにより、収容部22が自立姿勢を保つこともあり得る。本実施形態における収容部22のサイズの一例を挙げると、台材1の窓部13における開口部の直径が60mm程度であり、深さが110mm程度であり、テーパ角が2°〜5°である。なお、収容部22のサイズは、台材1および後述する包装体A1の製造方法に用いられる金型のサイズによって適宜設定可能である。
包装フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。包装フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。
包装フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
本発明においては、包装フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂が一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、包装フィルム2の特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂で包装フィルム2の強度を向上することができる。また、低融点の樹脂を供えることで台材1と包装フィルム2の接着性を強固にしつつ、高融点の樹脂によりフィルムの強度を向上できる。
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を少なくとも4以上含む多層のフィルムを使用した。
台材1と包装フィルム2とを接合するために、たとえば台材1の表面11に接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、この接着剤層が、包装フィルム2の片面に設けられていてもよい。包装フィルム2の片面に接着剤層が設けられている場合、台材1側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、10μm〜100μmである。本実施形態においては、台材1の表面11に接着剤層が設けられている場合を例として説明する。
接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されず、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、包装フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
封止部材3は、収容部22を塞いでおり、本実施形態においては包装フィルム2の環状部21に接合されている。包装フィルム2の収容部22と封止部材3とは、被包装物4を収容するための収容空間を規定している。また、包装フィルム2と封止部材3との接合部分は、良好な気密性を有することが好ましい。封止部材3の材質は特に限定されず、たとえば合成紙、普通紙、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙などの紙材、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの比較的軟質なフィルム、比較的硬質なプラスチックなどからなるシート、あるいは収容部22を封止可能な形状に成形された成型材などが適宜用いられる。なお、封止部材3が成型材からなる場合、封止部材3は、台材1に対して嵌め込まれることによって固定される構成であってもよい。以下においては、封止部材3がフィルムからなる場合を例に説明する。包装フィルム2と封止部材3とは、種々の手法によって接合され、たとえばシーラント層を介して接合されるヒートシール(熱溶着)によって接合される。このヒートシールの具体例としては、たとえば凝集剥離タイプ、層間剥離タイプおよび界面剥離タイプが挙げられる。凝集剥離タイプは、前記シーラント層が包装フィルム2側と封止部材3側とに分離されることによって開封されるタイプである。層間剥離タイプは、前記シーラント層と封止部材3とが剥離することによって開封されるタイプである。界面剥離タイプは、前記シーラント層と包装フィルム2とが剥離することによって開封されるタイプである。なお、以上の説明おける前記シーラント層は、たとえば後述する包装フィルム材料20に含まれる最外層として構成されていてもよい。前記シーラント層の厚みは、たとえば30μm〜80μm程度である。
被包装物4は、包装フィルム2の収容部22と封止部材3とによって囲まれた前記収容空間に収容されている。被包装物4の種類や数量などは限定されず、様々な態様の被包装物4を採用することができる。本実施形態においては、複数の粒状体からなる被包装物4を例として示している。
図4は、包装体A1から被包装物4を取り出す様子を示している。包装フィルム2から封止部材3を剥離させ、収容部22を開口状態とすることにより、被包装物4を取り出すことができる。被包装物4が取り出された後は、台材1と包装フィルム2との一体品は、廃棄物として廃棄されることが一般的である。この廃棄に先立ち、包装体A1の購入者は、屈曲自在である収容部22を容易に押しつぶすことができる。
次に、包装体A1の製造方法の一例について、図5〜図7を参照しつつ、以下に説明する。なお、本製造方法においては、台材1となる材料として台紙材料10を用い、包装フィルム2となる材料として包装フィルム材料20を用いる場合を例として説明する。台紙材料10および包装フィルム材料20は、台材1および包装フィルム2と同じ材質からなり、たとえば複数の台材1および複数の包装フィルム2を形成可能な大きさを有する。図5〜図7においては、1つの台材1および包装フィルム2に該当する部分を示している。また、1つのみの台材1および1つのみの包装フィルム2を形成する台紙材料10および包装フィルム材料20を用いて製造してもよい。
まず、図5に示すように台紙材料10を用意する。台紙材料10は、表面11および裏面12を有する厚紙材料であり、製造する包装体A1の収容部22の個数に対応した複数の窓部13がたとえばマトリクス状に形成されている。また、各窓部13を囲む部分がフランジ部14となっている。
次いで、金型8を用意する。金型8は、台紙材料10を保持するとともに、包装フィルム2に対して後述する脱気工程を施すためのものである。金型8は、保持部81および複数の凸部82を有している。保持部81は、台紙材料10のフランジ部14の裏面12を保持する部分であり、図中上面を向く平面を有している。複数の凸部82は、平面視において台紙材料10の複数の窓部13と一致しうる位置に設けられており、図中上方に突出している。各凸部82の形状は特に限定されず、本実施形態においては、上述した包装フィルム2の収容部22の形状に対応して円錐台形状とされている。凸部82のテーパ角は、片側がたとえば2°〜5°程度である。
また、金型8は、複数の吸引孔84、複数の吸引孔85、吸引経路86および吸引経路87を有している。複数の吸引孔84は、各々が保持部81の上面に開口しており、吸引経路86に繋がっている。複数の吸引孔85は、各々が凸部82の頂面に開口しており、吸引経路87に繋がっている。吸引経路86は、複数の吸引孔84から脱気するための経路であり、図示しないポンプなどの吸引源に接続されている。吸引経路87は、複数の吸引孔85から脱気するための経路であり、図示しない前記ポンプに接続されている。また、吸引経路86と吸引経路87とは、同一の前記ポンプに対してたとえば図示しないバルブを介して接続されている。このバルブを開閉操作することにより、複数の吸引孔84および複数の吸引孔85の双方から脱気するモードと、複数の吸引孔85のみから脱気し複数の吸引孔84から脱気しないモードとをとることができるように構成されている。
次いで、金型8の複数の凸部82を台材1の複数の窓部13に通すようにして、台紙材料10を金型8に装着する。この際、台紙材料10の裏面12を金型8の保持部81の上面に対面させる。そして、包装フィルム材料20を金型8および台紙材料10の上方に位置させる。なお、これに先立ち、包装フィルム材料20をスムーズに変形することが容易となる程度に加熱しておくことが好ましい。
次いで、図6に示す脱気工程を行う。吸引経路86および吸引経路87を介して上述したポンプ(図示略)による吸引を開始すると、金型8および台紙材料10と包装フィルム材料20との間の空間が複数の吸引孔84および複数の吸引孔85からの吸引によって脱気される。これにより、加熱された包装フィルム材料20が金型8および台紙材料10に沿うように密着する。金型8から凸部82が突出しているため、包装フィルム材料20のうち凸部82に密着する部分は、脱気工程において延伸された部分である。ただし、図6において矢印で示す通り、凸部82の平面視寸法よりも広い領域から、包装フィルム材料20が凸部82を覆うように集められる格好となる。このため、包装フィルム材料20のうち凸部82に密着する部分は、脱気によって延伸されているものの、たとえば凸部82の平面視寸法と同一の大きさの包装フィルム材料20のみを延伸した場合と比べて、厚い態様に形成される。一方、包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分は、表面11に設けられた前記接着剤層を加熱により活性化させ、接着力を発現させる。これにより、包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分、すなわち、上述した延伸された部分とは異なる他の一部が、台紙材料10の表面11に接合される。
次いで、図7に示すように、金型8の吸引経路87に繋がる複数の吸引孔85からの吸引のみを継続し、吸引経路86に繋がる複数の吸引孔84からの吸引を停止する。そして、金型8を台紙材料10から裏面12が向く方向(図中下方)に離間させる。複数の吸引孔85からの吸引が継続されているため、包装フィルム材料20の前述した延伸された部分(凸部82に密着した部分)のうち凸部82の頂面に接する部分が、金型8の下降に伴って引き下げられる。この結果、前記延伸された部分(凸部82に密着した部分)が台紙材料10の表面11側から裏面12側へと窓部13を通じて折り返されるように引き出される格好となる。これにより、台紙材料10の表面11側から裏面12側へと窓部13を通じて膨出する収容部22が形成される。また、包装フィルム材料20のうち収容部22を囲む部分であって、台紙材料10の表面11に接合された部分は、環状部21となる。収容部22は上述した包装フィルム材料20のうち延伸された部分からなるため、相対的に薄肉となっている。包装フィルム材料20の材料選定および延伸後の厚さを適宜設定することにより、収容部22は、明瞭な可撓性を有するものとなり、屈曲自在である。
なお、上述した工程を行うために、金型8の凸部82の頂面の平面視寸法が、台紙材料10の窓部13の平面視寸法よりも小とされている。また、凸部82の根元部分の平面視寸法は、窓部13の平面視寸法と同じであるか、これよりも小とされる。本実施形態においては、凸部82の根元部分の平面視寸法は、窓部13の平面視寸法と略同じとされている。凸部82に上述したテーパ角が設けられていることにより、凸部82が下降するにつれて、凸部82の側面と窓部13との間に徐々に隙間が生じる。包装フィルム材料20のうち収容部22となる部分が表面11側から裏面12側へと折り返される際には、この隙間に折り返される部分が位置する。また、本実施形態と異なり、凸部82がテーパ角を有さない構成においては、凸部82の根元部分の平面視寸法を窓部13よりも小とすることにより、上述した隙間を確保することができる。
この後は、収容部22に被包装物4を挿入し、収容部22を覆うように封止部材3を包装フィルム材料20の環状部21に接合する。そして、複数の収容部22を互いに分割するように台紙材料10、包装フィルム材料20および封止部材3を切断することにより、複数の包装体A1が得られる。
なお、図7に示す工程においては、金型8全体を一括して台紙材料10から離間させる手法に限定されない。本工程においては、金型8のうち少なくとも凸部82を台紙材料10から離間させればよい。このため、たとえば、保持部81に対して凸部82が着脱自在となった金型8を用いてもよい。この場合、図7に示す工程に相当する工程においては、凸部82が下方に離間する一方、保持部81は、台紙材料10を保持し続けることとなる。このため、台紙材料10が不当に垂れ下がってしまうことを防止するのに適している。また、保持部81が台紙材料10および包装フィルム材料20を保持し続けるため、たとえば収容部22への被包装物4の挿入や、封止部材3の接合を容易に行うことができる。
また、図7において、包装フィルム材料20のうち凸部82の頂部に接する部分を引き下げるために、複数の吸引孔85からの吸引を維持する手法を採用しているが、これ以外の手法を採用してもよい。たとえば、図8は金型8の変形例を用いて脱気工程を実施した状態を示している。本変形例においては、凸部82の側面の頂面付近に溝部88が設けられている。溝部88は、凸部82の側面全周にわたって形成されている。また、複数の吸引孔84のみが設けられており、別系統とされた複数の吸引孔85は設けられていない。本変形例において脱気工程が実施されると、同図に示すように、包装フィルム材料20の一部が溝部88に密着するように変形する。このため、包装フィルム材料20のうち凸部82に密着する部分は、溝部88において局部的にくびれた形状となる。このくびれ形状が設けられたことにより、上述した複数の吸引孔85からの吸引を継続しなくても、凸部82を台紙材料10から離間させると、包装フィルム材料20のうち凸部82に密着していた部分が引き下げられ、図7に示す例と同様の収容部22が形成される。
図9および図10は、包装体A1の製造方法の他の例を示している。図9に示すように、本例においては、金型8に緩和面部89が形成されている。緩和面部89は、保持部81と凸部82との境界全周に設けられている。また、緩和面部89は、凸部82の境界線と保持部81の境界線とを結ぶ傾斜面からなるもの、または当該傾斜面よりも凹んだ凹面からなるものである。緩和面部89は、凸部82と保持部81との接合部が鋭利な角部となることを回避し、前記接合部の鋭角さを緩和することを目的とするものである。本例においては、傾斜面部89は凹面の一例に相当する凹曲面である。この金型8に台紙材料10を装着する際には、窓部13が緩和面部89の若干外側に位置することが好ましい。この状態で、加熱した包装フィルム材料20と金型8との間から脱気する。すると、包装フィルム材料20が、緩和面部89に沿うように延伸され、環状部21および収容部22が形成される。保持部81と凸部82との境界が鋭角な角部であると、脱気工程において包装フィルム材料20の一部がこの角部に向けて過度に延伸されてしまうおそれがある。本例においては、緩和面部89が形成されていることにより、脱気工程において包装フィルム材料20の一部が過度に延伸されることを回避することが可能であり、包装フィルム2の強度低下を抑制することができる。
図10は、図7と同様に収容部22を裏返す工程の初期段階である。台紙材料10を上昇させると、これにつれて包装フィルム材料20が環状部21から順に持ち上げられる。この際、包装フィルム材料20の一部が緩和面部89に緩やかに沿った状態であるため、包装フィルム材料20をスムーズに持ち上げることができる。緩和面部89を備えない構成において保持部81と凸部82との境界が鋭角な角部であると、この角部に起因して包装フィルム材料20に皺が生じたり引っ掛かったりするおそれがある。本例においては、このような懸念を払しょくすることが可能であり、収容部22を適切に裏返すことができる。
図11および図12は、緩和面部89の変形例を示している。図11に示す変形例においては、緩和面部89が、凸部82の境界線と保持部81の境界線とを結ぶ傾斜面からなる。図12に示す変形例においては、緩和面89が、凸部82の境界線と保持部81の境界線とを結ぶ傾斜面よりも凹んだ複数の傾斜面からなる凹面とされている。これらの変形例によっても、包装フィルム20の一部が過度に延伸されることを回避可能である。
図13および図14は、包装体A1の製造方法のさらに他の例を示している。本変形例においては、金型8に段差部891が形成されている。段差部891は、緩和面部89の図中下端と保持部81の境界との間に設けられており、緩和面部89の前記境界に対して保持部81の境界が図中下方に位置するような段差とされている。この段差部891の図中上下方向における大きさは、台紙材料10の厚さとされることが好ましい。
図13に示すように、台紙材料10を金型8に装填すると、緩和面部89と台紙材料10との間には、段差がほとんど生じない。このため、脱気工程において、包装フィルム20に意図しない屈曲形状が生じることを防止することができる。これは、緩和面部89を設けることによる過度な延伸の回避と相まって、包装フィルム2をより美麗かつ強固に仕上げるのに好ましい。また、これらの例から理解できるように、緩和面部89は、曲面または傾斜面を適宜組み合わせることによって様々な形状としてもよい。
次に、包装体A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、被包装物4を収容しうる容積を有する空間を収容部22によって構成することが可能である。また、包装フィルム2の環状部21と封止部材3とが接合された接合部分は、たとえば気密性を高めるのに適している。一方、収容部22が屈曲自在であることにより、包装体A1から被包装物4を取り出した後は、たとえば包装体A1の購入者の手によって収容部22を容易に押しつぶすことができる。したがって、被包装物4を収容するのに適した収容空間を確保しつつ、廃棄物の減容化を図ることができる。また、包装フィルム2と台材1とが接合されていることにより、収容部22を屈曲自在としても台材1のフランジ部14により剛性を担保可能であり、包装体A1の開封性を良好とすることができる。さらに、店頭等において収容部22が台材1から持ち出されることを防止することができる。
特に、台材1が厚紙からなる場合、台材1と封止部材3とを気密性が高い態様で接合することは困難である。これに対し、上述した材質からなる包装フィルム2および封止部材3によれば、互いの接合部分において気密性を十分に高めることができる。
包装フィルム2の一部が延伸されることによって収容部22が形成されていることは、収容部22を屈曲自在とするのに適している。また、台材1が収容部22よりも剛性が高いことにより、屈曲自在である収容部22を台材1によって適切に保持することができる。
図6を参照して説明したとおり、収容部22は、包装フィルム材料20のうち平面視において凸部82よりも大きな部分が延伸されることによって形成される。このため、収容部22が平面視におけるサイズ(たとえば底面積)に対して深さが深い、いわゆる深絞りの形態であっても、包装フィルム材料20のもともとの厚さに比較して収容部22の厚さが不当に薄くなってしまうことを回避することができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、深絞りの収容部22を有する包装体A1を適切に製造することができる。また、包装フィルム材料20のうち包装体A1の包装フィルム2となる部分以外の部分は、製造工程において切断され、廃棄対象物となりうる。包装フィルム材料20のもともとの厚さが厚いほど、この廃棄対象物の重量が増えてしまう。本実施形態の製造方法によれば、同じ厚さの収容部22を製造する場合に、包装フィルム材料20のもともとの厚さをより薄くすることが可能であり、前記排気対象物を軽量化することができる。
図15〜図51は、本発明の変形例または他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図15は、包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、台材1に3つの窓部13が設けられており、包装フィルム2に3つの収容部22が形成されている。3つの窓部13および3つの収容部22は、たとえば直列に配置されている。本変形例から理解されるように、1つの台材1に対して複数の収容部22が設けられた構成であってもよい。また、本変形例においては、隣り合う収容部22どうしを分離可能なように、台材1および包装フィルム2さらには封止部材3にミシン目を設けておいてもよい。このミシン目にそって台材1、包装フィルム2および封止部材3を切断することにより、開封しようとする収容部22と保存すべき収容部22とを分割することができる。開封しようとする収容部22からは被包装物4が取り出され、他の収容部22は、密閉状態を維持したまま適所に保存される。この変形例は、後述する実施形態にも適用可能である。
図16および図17は、包装体A1の他の変形例を示している。これらの変形例においては、台材1のフランジ部14の幅が、図1および図2に示す包装体A1と異なっている。また、これらの変形例においては、被包装物4は、上述した粒状体であってもよいし、粉体や液体であってもよい。フランジ部14は、比較的狭幅とされており、かつ周方向において略一定となっている。これらの変形例におけるフランジ部14の幅は、台材1と包装フィルム2との接合強度や包装フィルム2と封止部材3との接合強度を適切に確保する観点から、5mm以上であることが好ましい。
また、図16に示す変形例においては収容部22の形状が図1および図2に示す包装体A1における収容部22と略同一または類似した有底略円筒形状であるのに対し、図17に示す変形例においては、収容部22は、略直方体形状とされている。これらの変形例から理解されるように、収容部22の形状やフランジ部14の形状および幅は、被包装物4の性状等に応じて適宜設定することができる。
図18は、本発明の第2実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A2は、収容部22のサイズおよび形状が上述した包装体A1と異なっている。ただし、包装体A1と包装体A2とを相違させる主要な点は、後述するように互いの製造方法が異なることにある。
本実施形態においては、収容部22は、包装体A1における収容部22と比べて比較的浅い形状とされている。また、明瞭な底面を有さず、全体がドーム状とされている。包装体A2における収容部22のサイズの一例を挙げると、台材1の窓部13における開口部の直径が60mm程度であり、深さが50mm程度である。なお、包装体A1における収容部22が相対的に深く、包装体A2における収容部22が相対的に浅い関係は、常に維持されるものではない。互いの製造方法における条件を適宜設定することにより、包装体A1における収容部22と包装体A2における収容部22とが、同程度の深さとすることができ、さらに、包装体A1における収容部22の方が包装体A2における収容部22よりも浅い構成とすることも可能である。
次いで、包装体A2の製造方法の一例について、図19および図20を参照しつつ、以下に説明する。
図19は、包装体A2の製造に用いられる金型8に台紙材料10を載置し、その上方に加熱された包装フィルム材料20を配置した状態を示している。本実施形態に用いられる金型8は、保持部81および凹部83を有している。保持部81は、上述したとおり台紙材料10のフランジ部14の裏面12を保持する平面を有する部分である。凹部83は、保持部81に囲まれており、図中下方に凹んだ部分である。すなわち、凹部83は、保持部81に台紙材料10のフランジ部14が保持された状態において、台紙材料10の裏面12が向く方向に凹んでいる。また、金型8は、複数の吸引孔84を有している。これらの吸引孔84は、保持部81の上面および凹部83の内面に開口しており、1つの吸引経路86に繋がっている。
図20は、本実施形態における脱気工程を示している。この脱気工程においては、複数の吸引孔84によって金型8および台紙材料10と包装フィルム材料20との間が脱気される。この脱気工程においては、包装フィルム材料20が金型8に密着する際の挙動が、上述した包装体A1の製造方法における挙動と異なる。脱気によって包装フィルム材料20が金型8および台紙材料10に接近すると、包装フィルム材料20は、台紙材料10のフランジ部14の表面11に接する。表面11には上述した接着剤層が設けられているため、包装フィルム材料20とフランジ部14とが接合される。一方、包装フィルム材料20のうち平面視において窓部13と重なる部分は、フランジ部14の表面11には接合されない。そして、この包装フィルム材料20のうち窓部13と重なる部分が、複数の吸引孔84からの吸引力により、凹部83に沿うように延伸される。この延伸された部分が、図18に示す収容部22となる。このような包装体A1と包装体A2の製造方法の相違から理解されるように、仮に本実施形態における収容部22と上述した包装体A1における収容部22とを同じサイズとした場合、本実施形態における収容部22は、包装体A1における収容部22よりも、包装フィルム材料20のより小さい部分が延伸されることにより形成される。この結果、本実施形態の収容部22は、相対的に薄い構成となる。
このような実施形態によっても、被包装物4を収容するのに適した収容空間を確保しつつ、廃棄物の減容化を図ることができる。また、図20に示す脱気工程の後は、台紙材料10および包装フィルム材料20を図示された状態で金型8に保持させたまま、被包装物4の挿入および封止部材3の接合を行うことができる。特に、屈曲自在である収容部22を金型8によって保持した状態であれば、被包装物4の挿入などをより安定して行うことができる。
上述した包装体A1の製造方法および包装体A2の製造方法によって得られた包装フィルム2の収容部22の厚みについて、実施例を参照しつつ以下に説明する。
図5〜図8に示した製造方法(包装体A1)と、図19および図20に示した製造方法(包装体A2)とについて、同一の包装フィルム材料20(厚み100μm)を用意し、同一の形状の収容部22を形成した。収容部22の形状は、底面の直径が60mm、高さが100mmの有底略円筒形状である。その結果を表1に示す。厚みt1a,t1b、t1cは、図5〜図8に示した製造方法(包装体A1)によって得られた収容部22の厚みの測定結果であり、厚みt2a,t2b,t2cは、図19および図20に示した製造方法(包装体A2)によって得られた収容部22の厚みの測定結果である。厚みt1a,t2aは、収容部22の底面の測定結果である。厚みt1b,t2bは、収容部22のうち底面から約30mmの部分(以下、下側面)の測定結果である。厚みt1c,t2cは、収容部22のうち環状部21から約30mmの部分(以下、上側面)の測定結果である。厚みt1a,t1b、t1c,t2a,t2b,t2cのそれぞれについて、円周方向に異なる4箇所において3回ずつ測定した。
表1に示すように、底面、下側面、上側面のいずれの部分においても、図5〜図8に示した製造方法(包装体A1)による厚みt1a,t1b、t1cの方が、図19および図20に示した製造方法(包装体A2)による厚みt2a,t2b,t2cよりも厚い。特に、底面においては厚みt1aが、包装フィルム材料20の厚みの97%程度であり、ほとんど延伸されていない。これは、図6に示すように、包装フィルム材料20のうち金型8の凸部82の頂面に接した部分は、延伸される前にこの頂面に保持されるため、ほとんど厚みが減じられないものと考えられる。一方、厚みt2aは、包装フィルム材料20の半分以下の厚みに減じられている。
下側面および上側面においては、厚みt1b,t1cは相応に延伸されているものの、包装フィルム材料20の厚みの57%〜68%程度の厚みとなっている。これは、図6において、包装フィルム材料20が凸部82に沿うように延伸される際に、平面視における凸部82よりも広い領域から包装フィルム材料20が凸部82へと集められる挙動となっていることによると考えられる。これに対し、厚みt2b,t2cは、厚みt1b,t1cよりも明確に薄い。特に、上側面における厚みt2cは、平均して12.8%にまで延伸されており、最小値は10.3%となった。これは、図20に示すように、包装フィルム材料20が金型8の保持部81に保持されると、その後において延伸される部分が平面視において凹部83と重なる部分のみとなることによると考えられる。さらに、凹部83の開口部(窓部13付近)が角部形状となっており、包装フィルム材料20が強く拘束される。これにより、上側面における厚みt2bが顕著に減じられたと考えられる。
また、表1における標準偏差は、各計測個体の底面、下側面および上側面の上述した4箇所の測定値の標準偏差である。厚みt1a,t1b、t1cの標準偏差が、厚みt2a,t2b,t2cの標準偏差よりも小さい値となっている。これは、図5〜図8に示した製造方法(包装体A1)の方が、図19および図20に示した製造方法(包装体A2)よりも円周方向における厚みのばらつきが生じにくいことを示している。
これらの実施例から、図5〜図8に示した製造方法(包装体A1)は、脱気工程における延伸前後の厚さの比(延伸比)が相対的に小さい。このため、深絞りの収容部22をもともとの包装フィルム材料20の厚さをそれほど厚くすることなく製造することが可能である。これにより、包装体A1を廃棄する際の廃棄重量を減少させることが可能であるとともに、製造工程において包装フィルム材料20のうち切断片となって廃棄される重量も減少させることに繋がる。
図19および図20に示した製造方法(包装体A2)は、延伸比が相対的に大きいため深絞りしようとすると包装フィルム材料20の厚さをある程度厚くする必要があり、限界となる延伸比もそれほど高くならない傾向がある。ただし、この製造方法によれば、より薄肉の収容部22を作りやすいといえる。収容部22が薄肉であれば廃棄時に潰しやすいという利点がある。あるいは、被包装物4の手触り感をより高めることが可能であるため、薄肉の収容部22が商品アピールに繋げられる場合がある。
図21〜図23は、本発明の第3実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A3は、延伸阻害層28を備えており、これ以外の構成は、上述した包装体A1と共通または類似している。図21は、包装体A3を斜め下方から見た斜視図である。図22は、包装体A3を斜め上方から見た斜視図である。図23は、図21のXXIII−XXIII線に沿う断面における断面図および要部拡大断面図である。
本実施形態における収容部22のサイズの一例を挙げると、台材1の窓部13における開口部の直径が75mm程度であり、深さが80mm程度であり、テーパ角が2°〜15°である。なお、収容部22のサイズは、台材1および後述する包装体A3の製造方法に用いられる金型のサイズによって適宜設定可能である。
延伸阻害層28は、収容部22の少なくとも一部に積層され、且つ収容部22に固定されており、積層部材5の一例に相当する。本実施形態においては、延伸阻害層28は、包装体A3の製造工程において、包装フィルム2となる包装フィルム材料の延伸を阻害する機能を果たす層である。すなわち、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が設けられている領域は、この領域に隣接する他の領域よりも包装フィルム2の延伸度合いが小となっている。図23に示すように、延伸阻害層28は、包装フィルム2の適所に積層されており、少なくともその一部が収容部22に重なっている。本実施形態においては、延伸阻害層28は、環状部21と収容部22との境界に重なっており、より具体的には、環状部21と収容部22との境界のすべてに重なっている。また、本実施形態においては、延伸阻害層28は、包装フィルム2のうち台材1に接する側の面に積層されている。
延伸阻害層28は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはその混合物から形成される。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合物が挙げられ。ウレタン系樹脂としては、ポリエステルまたはポリエーテルとイソシアネートとの重合物が挙げられる。また、延伸阻害層28には必要に応じて、滑剤や粒子等を添加してもよい。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィン等の合成ワックスやワセリン等の天然ワックスが挙げられる。粒子としては、例えば、シリカ、タルク、雲母、酸化チタン等の無機粒子やポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン等の有機粒子が挙げられる。
延伸阻害層28は、通常、上述のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはその混合物を主成分として調整された印刷インキをグラビア印刷等の公知の印刷手法によって包装フィルム2上に単層或いは二層以上の複層として設けられる。印刷インキは、顔料や染料が含まれている有色インキ(黒色インキ、白色インキを含む)でも、含まれていない無色インキ(通常、ニスとも呼ばれる)でもよく、また、紫外線硬化型のインキでもよい。延伸阻害層28の厚みは通常0.1μm〜10μm、好ましくは0.2μm〜5μmである。このように、延伸阻害層28としては、上述した包装フィルム材料20の延伸を意図した程度に阻害しうるものであれば種々の材質からなる層を用いることができる。なお、図23に示す延伸阻害層28は一例であり、その構成は種々に設定される。図23においては、包装フィルム2の収容部22における外面に延伸阻害層28が設けられているが、延伸阻害層28は、包装フィルム2の収容部22における外面および内面のいずれか一方、もしくは双方に設けられてもよい。また、延伸阻害層28が包装フィルム2の片面に設けられる場合であっても、上述したように二層以上の複層によって構成してもよい。
図24は、包装体A3から被包装物4を取り出す様子を示している。包装フィルム2から封止部材3を剥離させ、収容部22を開口状態とすることにより、被包装物4を取り出すことができる。被包装物4が取り出された後は、台材1と包装フィルム2との一体品は、廃棄物として廃棄されることが一般的である。この廃棄に先立ち、包装体A3の購入者は、屈曲自在である収容部22を容易に押しつぶすことができる。
次に、包装体A3の製造方法の一例について、図25および図26を参照しつつ、以下に説明する。なお、本製造方法は、図5〜図7を参照して説明した包装体A1の製造方法と類似しており、適宜説明を省略する。まず、図25に示すように台紙材料10および金型8を用意する。
次いで、金型8の複数の凸部82を台材1の複数の窓部13に通すようにして、台紙材料10を金型8に装着する。この際、台紙材料10の裏面12を金型8の保持部81の上面に対面させる。そして、包装フィルム材料20を金型8および台紙材料10の上方に位置される。包装フィルム材料20には、複数の凸部82に対応した複数の延伸阻害層28が積層されている。各延伸阻害層28は、平面視において各凸部82の外縁と重なる大きさ、形状および位置に設定させる。本実施形態においては、各延伸阻害層28は、平面視円環形状である。また、延伸阻害層28は、包装フィルム材料20の図中下面に積層されている。そして、包装フィルム材料20は、スムーズに変形することが容易となる程度に加熱しておくことが好ましい。
次いで、脱気工程を行う。吸引経路86および吸引経路87を介して上述したポンプ(図示略)による吸引を開始すると、金型8および台紙材料10と包装フィルム材料20との間の空間が複数の吸引孔84および複数の吸引孔85からの吸引によって脱気される。これにより、加熱された包装フィルム材料20が金型8および台紙材料10に沿うように延伸されながら密着する。この際、包装フィルム材料20は、全体的に延伸され、特に、延伸阻害層28によって囲まれた領域24が、凸部82の形状に沿うように相当な度合いで延伸される。一方、包装フィルム材料20のうち延伸阻害層28が積層された領域25は、延伸阻害層28によって延伸が所望の度合いに阻害される。これにより、円環形状の延伸阻害層28が積層された領域25は、その大きさ、形状および位置が変化される度合いが比較的小であり、この領域25が凸部82の根元部分を取り囲む位置に密着する。
包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分は、表面11に設けられた前記接着剤層を加熱により活性化させ、接着力を発現させる。これにより、包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分が、台紙材料10の表面11に接合される。
次いで、図26に示すように、金型8の吸引経路87に繋がる複数の吸引孔85からの吸引のみを継続し、吸引経路86に繋がる複数の吸引孔84からの吸引を停止する。そして、金型8を台紙材料10から裏面12が向く方向(図中下方)に離間させる。これにより、台紙材料10の表面11側から裏面12側へと窓部13を通じて膨出する収容部22が形成される。また、包装フィルム材料20のうち収容部22を囲む部分であって、台紙材料10の表面11に接合された部分は、環状部21となる。
この後は、収容部22に被包装物4を挿入し、収容部22を覆うように封止部材3を包装フィルム材料20の環状部21に接合する。そして、複数の収容部22を互いに分割するように台紙材料10、包装フィルム材料20および封止部材3を切断することにより、複数の包装体A3が得られる。
次に、包装体A3の作用について説明する。
本実施形態によれば、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が積層された領域は、これ以外の領域と比較して延伸が阻害される。このため、図25に示した収容部22が形成される脱気工程においては、たとえば、包装フィルム2のうち平面視において延伸阻害層28によって囲まれた領域が選択的に延伸される。これにより、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が積層された領域の厚さが減肉してしまうことを抑制可能であり、この領域が破れの起点などになることを防止することができる。従って、所定部分のフィルム強度を維持することで破れ等の発生を抑制し、包装体A3の見映えを向上させるとともに被包装物4を適切に保護することができる。
発明者らは、延伸阻害層28としてNT−ハイラミック(ウレタン系インキ、大日精化株式会社製、品番「795K2墨」)を所定領域に約0.5μmの厚みでグラビア印刷により印刷した、平均厚み100μmのフィルム材料を包装フィルム材料20とし、凸部82が円錐台形状(図25参照。底部断面直径75mm、高さ77.5mm、片側のテーパ角6°)の金型8を用いて包装体A3を作成した。この場合、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が設けられた領域の厚さが平均70μm程度であったのに対し、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が形成されていない領域の厚さは平均50μm程度に減肉していた。
包装フィルム2は、収容部22を囲む環状部21を有しており、この環状部21が台材1に接合されている。すなわち、この境界を挟んで、台材1に接合された環状部21と積極的な接合などがなされていない収容部22とが隣接している。本実施形態とは異なり、延伸阻害層28が設けられていない構成の場合、図25に示した脱気工程を経ると、包装フィルム2の収容部22のうち、台材1の窓部13に隣接する部分が、顕著に延伸され、薄くなりやすい。そして、図23の要部拡大図に示すように、収容部22のうち窓部13に隣接する部分は、台材1の端面(窓部13の内端面)に接する。これらは互いに接合された関係ではないため、収容部22のうち窓部13に隣接する部分が、台材1の端面(窓部13の内端面)と擦れることによって破られてしまうおそれがある。また、包装体A3の製造工程や搬送中、さらには店頭での陳列中等において、このような箇所には、応力が集中しやすく、破れの起点となりやすい。本実施形態によれば、環状部21と収容部22との境界に延伸阻害層28が重なっていることにより、この境界において包装フィルム2が減肉することを回避することが可能である。これは、包装フィルム2の破れ等を防止するのに適している。特に、図23に示すように、延伸阻害層28が包装フィルム2の収容部22における外面に設けられていることにより、台材1の窓部13の内端面が、延伸阻害層28に直接触れることとなり、包装フィルム2には直接触れない。これにより、包装フィルム2の保護効果をさらに高めることができる。また、環状部21と収容部22との境界のすべてに延伸阻害層28が重なっている構成は、破れ等の防止により好適である。
延伸阻害層28は、印刷により設けられており、フィルム厚みに比して非常に薄いため、上述した包装フィルム2の延伸を意図する程度に阻害する一方、包装フィルム材料20を用いて環状部21および収容部22を有する包装フィルム2を形成する工程を不当に乱すおそれは小さい。
図27〜図29は、包装体A3の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図27に示す変形例においては、収容部22の平面視寸法が矩形状とされている。また、これに伴って、延伸阻害層28が矩形環状とされている。図28に示す変形例においては、3つの収容部22を備えている。これらの収容部22は、平面視において円形状のもの、矩形状のもの、および六角形状のものを含んでいる。また、3つの収容部22に対応して、3つの延伸阻害層28が備えられている。各延伸阻害層28の形状は、収容部22の形状に対応している。これらの変形例から理解されるように、収容部22の形状や個数は特に限定されず、収容する被包装物4の種類などに応じて、適宜設定される。また、延伸阻害層28の形状や個数は、収容部22の形状や個数に基づいて適切に設定される。
図29に示す変形例においては、延伸阻害層28の密度が不均一とされている。同図においては、延伸阻害層28に濃淡色を付している。これは、濃色である部分ほど延伸阻害層28の密度が高く、淡色である部分ほど延伸阻害層28の密度が低いことを表している(換言すれば、延伸阻害層28がいわゆるグラデーションにより設けられている)。具体的には、環状部21と収容部22との境界23から離間するにつれて、延伸阻害層28の密度が小となっている。この密度の不均一は、たとえば延伸阻害層28をいわゆる網点方式の印刷によって、粗密を生じさせることにより実現できる。あるいは、延伸阻害層28の厚さを不均一とすることにより、密度の不均一を実現してもよい。このような延伸阻害層28を備えた構成によれば、延伸阻害層28によって包装フィルム2の延伸を阻害する度合いを、部分的に調整することができる。さらに、収容部22のすべてに重なる延伸阻害層28を設けてもよい。このような延伸阻害層28においては、顕著な延伸が予想される箇所の密度を相対的に高くする一方、ほとんど延伸が生じないと想定される箇所の密度を相対的に低くすればよい。延伸阻害層28は、印刷によって設けられているので、このような密度の不均一を適切に設定することができ、フィルム厚みを所望の厚みにコントロールすることができる。
図30〜図32は、本発明の第4実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A4は、台材1、包装フィルム2、封止部材3、被包装物4および積層部材5を備えている。図30は、包装体A4を斜め下方から見た斜視図である。図31は、包装体A4を斜め上方から見た斜視図である。図32は、図30のXXXII−XXXII線に沿う断面における断面図である。
本実施形態の台材1は、表面11および裏面12を有しており、窓部13、フランジ部14および一対の延出片15が形成されている。表面11および裏面12は、台材1の厚さ方向において互いに反対側を向く面である。上述した材質および厚さとされた台材1は、後述する包装フィルム2よりも剛性が高い。
窓部13は、台材1の一部が切り取られるなどによって形成されており、台材1の厚さ方向に貫通する孔である。窓部13の形状は特に限定されず、本実施形態においてはたとえば長矩形状とされている。本実施形態の窓部13の周縁は、一対の対向辺13aおよび一対の対向辺13bを含んでいる。一対の対向辺13aは、互いに離間して対向しており、一対の対向辺13bよりも長い。一対の対向辺13bも、互いに離間して対向しており、一対の13aに対して略直角である。本実施形態においては、窓部13は、一対の対向辺13aが延びる方向を長手方向とする形状である。なお、窓部13の周縁が長辺としての一対の対向辺13aを含む形状としては、長矩形状の他に、たとえば一対の対向辺13aとこれらに繋がる一対の半円形状部分とを有する角丸長方形状であってもよい。
一対の延出片15は、窓部13の周縁からフランジ部14に対して交差する方向に延出しており、より具体的には、台材1の表面11から裏面12へと向かう方向に延出している。本実施形態の一対の延出片15は、一対の対向辺13aの各々から延出している。延出片15の形状は特に限定されないが、本実施形態においては、延出片15は、対向辺13aが延びる方向を長手方向とする長矩形状である。また、延出片15は、対向辺13aの長手方向中央に重なる位置に設けられており、図示された例においては、延出片15の長手方向中央と対向辺13aの長手方向中央とが、互いに略一致している。なお、本実施形態においては、延出片15は、積層部材5を兼ねている。積層部材5の詳細については、後述する。
台材1には、被包装物4の商品名や商品情報が印刷されていてもよい。このような印刷のための領域としては、一対の延出片15を用いることができる。
図32によく表れているように、台材1のフランジ部14の表面11および一対の延出片15のうち表面11に繋がる面に、包装フィルム2が接合されている。すなわち、一対の延出片15は、包装フィルム2の収容部22の一部に積層され、且つ接合された部材となっており、本発明における積層部材5を構成している。本実施形態においては、上述した通り、延出片15が対向辺13aの中央に位置している。このため、収容部22のうち長辺である対向辺13aから深さ方向に広がる部分に、一対の延出片15が接合された構成となっている。また、本実施形態においては、延出片15は、収容部22の外面に接合されている。
被包装物4は、包装フィルム2の収容部22と封止部材3とによって囲まれた前記収容空間に収容されている。被包装物4の種類や数量などは限定されず、様々な態様の被包装物4を採用することができる。本実施形態においては、粉体あるいは顆粒体からなる被包装物4を例として示している。
次いで、包装体A4の製造方法の一例について説明する。本製造方法は、図5〜図7を参照して説明した包装体A1の製造方法と類似している。なお、以降の説明においては、1つの包装体A4を製造する場合を例に説明するが、これとは異なり、たとえば複数の包装体A4を一括して製造してもよい。
図33は、包装体A4の製造方法に用いられる台紙材料10を示す平面図である。台紙材料10は、包装体A4の台材1となるものであり、本例においては上述した台紙からなる。台紙材料10は、フランジ部14および一対の延出片15を有しており、窓部130が形成されている。窓部130は、台紙材料10の一部が切断により切り取られたものである。窓部130の周縁は、一対の対向辺13bを含んでいる。また、台材1がいまだ形成されていない状態においては、窓部130の周縁は、一対の延出片15の外縁を含んでいる。一対の延出片15とフランジ部14との間には、一対の折り曲げ線130aが設けられている。折り曲げ線130aは、フランジ部14に対して一対の延出片15を折り曲げるために設けられている。折り曲げ線130aは、たとえばミシン目線や押し罫線によって構成される。あるいは、折り曲げ線130aは、折り曲げることが想定された仮想線であってもよい。台紙材料10を用意した後は、台紙材料10の一対の折り曲げ線130aを折り曲げる。これにより、台紙材料10に台材1と同様の一対の対向辺13aが形成される。なお、台紙材料10は、台材1となる部分の外側に余白部分を有するものであってもよい。
次いで、図34に示すように、金型8を用意する。次いで、金型8の複数の凸部82を台材1の複数の窓部13に通すようにして、台紙材料10を金型8に装着する。この際、台紙材料10の裏面12を金型8の保持部81の上面に対面させる。また、一対の延出片15を凸部82に沿うように起立させておく。そして、包装フィルム材料20を金型8および台紙材料10の上方に位置させる。なお、包装フィルム材料20は、スムーズに変形することが容易となる程度に加熱しておくことが好ましい。
次いで、図35に示すように脱気工程を行う。これにより、加熱された包装フィルム材料20が金型8および台紙材料10に沿うように延伸されながら密着する。この際、包装フィルム材料20は、全体的に延伸され、特に、凸部82の側面に沿う部分が相当な度合いで延伸される。また、包装フィルム材料20のうち凸部82に沿う部分のなかでも、対向辺13aの中央付近が最も延伸の度合いが大きいことが、発明者らの試験によって判明している。
包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分は、表面11に設けられた前記接着剤層を加熱により活性化させ、接着力を発現させる。これにより、包装フィルム材料20のうち台紙材料10の表面11に接した部分が、台紙材料10の表面11に接合される。また、一対の延出片15のうち表面11に繋がる面には、前記接着剤層が設けられている。これにより、包装フィルム材料20と一対の延出片15とが積層されるように接合される。
次いで、図36に示すように、金型8の吸引経路87に繋がる複数の吸引孔85からの吸引のみを継続し、吸引経路86に繋がる複数の吸引孔84からの吸引を停止する。そして、金型8を台紙材料10から裏面12が向く方向(図中下方)に離間させる。複数の吸引孔85からの吸引が継続されているため、包装フィルム材料20の前述した延伸された部分(凸部82に密着した部分)のうち凸部82の頂面に接する部分が、金型8の下降に伴って引き下げられる。この結果、包装フィルム材料20の前記延伸された部分(凸部82に密着した部分)と一対の延出片15とが台紙材料10の表面11側から裏面12側へと窓部13を通じて折り返されるように引き出される格好となる。これにより、収容部22が形成される。
この後は、収容部22に被包装物4を挿入し、収容部22を覆うように封止部材3を包装フィルム材料20の環状部21に接合する。そして、台紙材料10、包装フィルム材料20および封止部材3の余剰部分を適宜切断することにより、包装体A4が得られる。
次に、包装体A4の作用について説明する。
本実施形態によれば、図30〜図32に示すように、収容部22の一部に積層部材5としての延出片15が積層され、且つ接合されている。これにより、まず、収容部22の強度を延出片15によって補強することができる。本実施形態のように、包装フィルム2の一部が延伸されることによって収容部22が形成されている場合、収容部22が減肉していることが一般的である。この減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。また、延出片15に商品情報等を印刷することにより、包装体A4全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。
また、図34〜図36に示した製造方法によって製造された包装体A4においては、収容部22のうち台材1の窓部13に近い部分が顕著に減肉される。延出片15は、窓部13から延出しているため、収容部22のうち窓部13に近い部分を適切に補強することができる。特に、窓部13および収容部22が一対の対向辺13aを長辺とする形状である場合、一対の対向辺13aの中央付近において、収容部22の減肉が最大となる傾向があることが、発明者らの試験によって判明した。この点、一対の延出片15は、一対の対向辺13aの中央に重なる位置に設けられており、さらに延出片15と対向辺13aとが、互いの中央が略一致する構成とされている。このような構成は、収容部22の減肉部分を補強するのに好適である。
積層部材5を構成する一対の延出片15は、台材1の一部として形成されている。このため、積層部材5を構成するための専用の別部材を用意する必要がない。また、図33に示すように、台紙材料10においては、廃棄される分量を一対の延出片15に相当する分量だけ削減することが可能である。
図35に示す製造工程によれば、包装フィルム材料20を不当に破断すること無く、収容部22を比較的深い形状に仕上げることが可能である。そして、図36に示す製造工程を経ることにより、包装体A4においては図32に示すように、封止部材3が包装フィルム2の環状部21に接合される構成となる。包装フィルム2と封止部材3とは、比較的気密性を高く接合しやすいという利点があり、被包装物4の保護に好ましい。また、一対の延出片15が収容部22の外面に接合される。たとえば、被包装物4の種類などによって台材1と接触させることが好ましくない場合などには、このような構成が適している。
図37は、本発明の第5実施形態に包装体を示している。本実施形態の包装体A5は、二対の延出片15を有している。図38は、包装体A5の製造に用いられる台紙材料10を示している。台紙材料10は、一対の折り曲げ線130aおよび一対の折り曲げ線130bと二対の延出片15とを有している。一対の折り曲げ線130bにおいて折り曲げることにより、一対の対向辺13bが現出する。
本実施形態においても、図37に示すように、台材1の全体形状および窓部13は、平面視長矩形状である。窓部13の周縁は、長辺としての一対の対向辺13aと短辺としての対向辺13bとを有している。そして、一対の延出片15が一対の対向辺13aから延出しており、他の一対の延出片15が一対の対向辺13bから延出している。また、二対の延出片15は、互いの干渉を避けるために、包装体A4における延出片15よりも傾斜角が大きい台形状とされている。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。特に、収容部22のうち一対の対向辺13a付近の部分に加えて、一対の対向辺13b付近の部分を補強することができる。また、包装体A5全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。また、本実施形態から理解される通り、延出片15の個数は特に限定されない。この点は、後述する実施形態についても同様である。さらに、図38から理解されるように、台紙材料10の形成において廃棄される分量をより削減することができる。
図39は、本発明の第6実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A6は、台材1、包装フィルム2および封止部材3の形状が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1および封止部材3の全体形状と窓部13は、略正方形状である。これに対応して、収容部22も平面視略正方形状である。台材1は、一対の対向辺13aから延出する一対の延出片15を有している。なお、本実施形態においては、一対の対向辺13aと一対の対向辺13bとは、略同じ長さである。なお、本実施形態においても、上述した包装体A6と同様に、二対の延出片15を有する構成であってもよい。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。また、包装体A6全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。
図40は、本発明の第7実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A7は、包装フィルム2が3つの収容部22を有している。また、台材1には、3つの窓部13が形成されている。台材1には、3つの収容部22に対応して三対の延出片15が形成されている。なお、1つの収容部22に二対の延出片15が形成されていてもよい。なお、各収容部22の形状は、包装体A5における収容部22の形状に限定されず、様々な形状としうる。また、3つの収容部22が互いに異なる形状であってもよい。また各収容部22に対応する延出片15の形状や個数は、互いに異なっていてもよい。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。また、包装体A7全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。
図41は、本発明の第8実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A8においては、台材1が1つの延出片15を有している。延出片15は、くびれ部15aおよび拡大領域部15bを有している。くびれ部15aは、対向辺13aに繋がる部分であり、たとえば上述した実施形態における延出片15と比べて、対向辺13aに対する大きさ(幅)が小とされている。拡大領域部15bは、くびれ部15aの先端に繋がっており、くびれ部15aよりも面積が大とされた部位である。
図42は、包装体A8の製造に用いられる台紙材料10を示している。この台紙材料10においては、拡大領域部15bが窓部130の過半を占める程度の大きさとされており、拡大領域部15bが窓部130のほぼ中央に位置している。同図に示す台紙材料10から形成される台材1においては、拡大領域部15bの大きさが窓部130を一回り小さくした程度の大きさであり、図41に示すように、拡大領域部15bが収容部22の側部の相当部分を覆う構成となっている。また、拡大領域部15bの形状は特に限定されないが、本実施形態においては、所謂花型形状とされている。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。また、包装体A8全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。特に、拡大領域部15bを設けることにより、印刷領域を格段に増大させることができる。また、図42から理解されるように、台紙材料10を形成する際に廃棄される分量を、顕著に削減することができる。
図43は、本発明の第9実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A9は、台材1、包装フィルム2および封止部材3の形状が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、台材1および封止部材3の全体形状と窓部13は、略円形状である。これに対応して、収容部22も平面視略円形状である。台材1は、窓部13の周縁から延出する複数の延出片15を有している。複数の延出片15は、窓部13の周縁の全周にわたって設けられている。各延出片15は、台紙材料10において隣接する延出片15との干渉を回避するために、略三角形状とされている。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。特に、本実施形態によれば、複数の延出片15によって、収容部22の根元部分を略全周にわたって補強することができる。また、包装体A9全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。
図44および図45は、本発明の第10実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A10は、積層部材5が台材1とは別体として構成されている点が、上述した実施形態と異なっている。また、包装体A10は、積層部材5を備える点以外の構成および製造方法が、図18〜図20に示した包装体A2と共通し、あるいは類似している。
台材1の全体形状はたとえば矩形状であり、窓部13はたとえば平面視円形状である。収容部22は、略ドーム形状であり、底部22aを有している。積層部材5は、底部22aの外面に積層され、且つ接合されている。本実施形態においては、積層部材5は台材1とは別体とされているため、積層部材5の材質は様々に設定可能である。台材1の材質となりうる台紙、所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。また、積層部材5は、金属製であってもよい。なお、本実施形態においては、積層部材5が台材1と同一の材質によって構成されている場合を例に説明する。このような例においては、台材1の窓部13を形成する際に生じる余剰部分を用いて積層部材5を形成可能であり、廃棄物の削減を図ることができる。また、積層部材5の外面は、たとえば被包装物4の原材料や使用上の注意などの商品情報を印刷するための領域と用いることができる。
図46は、包装体A10の製造方法の一例を示している。まず、金型8に台紙材料10および積層部材5を載置し、その上方に加熱された包装フィルム材料20を配置する。本実施形態に用いられる金型8は、保持部81および凹部83を有している。保持部81は、上述したとおり台紙材料10のフランジ部14の裏面12を保持する平面を有する部分である。凹部83は、保持部81に囲まれており、図中下方に凹んだ部分である。すなわち、凹部83は、保持部81に台紙材料10のフランジ部14が保持された状態において、台紙材料10の裏面12が向く方向に凹んでいる。また、金型8は、複数の吸引孔84を有している。これらの吸引孔84は、保持部81の上面および凹部83の内面に開口しており、1つの吸引経路86に繋がっている。凹部83の底面は、積層部材5を安定して保持すべく、周囲部分よりも若干凹んだ平面とされている。
次いで、脱気工程を行う。この脱気工程においては、複数の吸引孔84によって金型8および台紙材料10と包装フィルム材料20との間が脱気される。脱気によって包装フィルム材料20が金型8および台紙材料10に接近すると、包装フィルム材料20は、台紙材料10のフランジ部14の表面11に接する。表面11には上述した接着剤層が設けられているため、包装フィルム材料20とフランジ部14とが接合される。一方、包装フィルム材料20のうち平面視において窓部13と重なる部分は、フランジ部14の表面11には接合されない。そして、この包装フィルム材料20のうち窓部13と重なる部分が、複数の吸引孔84からの吸引力により、凹部83に沿うように延伸される。この延伸された部分が、図41および図42に示す収容部22となる。仮に本実施形態における収容部22と上述した包装体A4における収容部22とを同じサイズとした場合、本実施形態における収容部22は、包装体A4における収容部22よりも、包装フィルム材料20のより小さい部分が延伸されることにより形成される。この結果、本実施形態の収容部22は、相対的に薄い構成となる。特に、収容部22の底部22aが、最も薄い部分となりやすい。この底部22aは、凹部83の底面に配置された積層部材5と積層され、且つ接合される。なお、積層部材5には、たとえば台材1の裏面12に設けられた接着剤層と同様の接着剤層が設けられていることが好ましい。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。特に、図46に示した製造方法によって製造された包装体A10においては、収容部22のうち底部22aが顕著に減肉されることが、発明者らの試験によって判明した。本実施形態によれば、積層部材5によって減肉された底部22aを適切に補強することができる。また、積層部材5が台材1と別体であることにより、収容部22の補強などの目的に適した材質を、より自由に選定できるという利点がある。また、包装体A10全体を大型化すること無く、印刷のための領域を拡大することができる。
図47および図48は、本発明の第11実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A11においては、積層部材5は、台材1とは別体とされており、所謂インモールドラベルと称されるものである。ただし、包装体A11全体としては、上述した包装体A4に類似した構成となっており、包装体A4における一対の延出片15を有していない点が包装体A4と相違する。
インモールドラベルとしての積層部材5は、矩形や円形等、種々の形状に形成された枚葉タイプのものであって、たとえばラベル基材と、該ラベル基材の表側に形成されたニス層と、該ラベル基材に形成された印刷層と、該ラベル基材の裏側に形成された接着剤層とを備えている。前記印刷層は、前記ラベル基材の表側と裏側のどちらに印刷されていてもよいが、表側に印刷される場合は前記ラベル基材と前記ニス層との間に、裏側に印刷される場合は前記ラベル基材と前記接着剤層との間に、それぞれ設けられる。
前記ラベル基材は、プラスチックフィルムや紙、合成紙、発泡樹脂シート、不織布等の種々のフィルム乃至シート又はこれらの積層体から形成できるが、特にプラスチックフィルムから形成されることが好ましい。プラスチックフィルムの材質としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等、種々の公知のものが使用できる。また、収容部22の成形時の熱によって収縮しない未延伸フィルムであってもよいし、熱収縮する延伸フィルムであってもよい。また、プラスチックフィルムの厚さは、通常10μm〜100μmであるが、好ましくは10μm〜50μm、特に好ましくは10μm〜30μmという薄手のものである。このような薄手のものであれば、凸型の金型を用いた製造方法の場合に、収容部22を反転させる際にも同時に反転させることが容易となる。また、このような薄手のプラスチックフィルムを使用すると収容部の形状に対する追従性にも優れる。
前記印刷層は一層であっても二層以上であってもよく、その形成方法も種々の方法であってよいが、通常、例えばグラビア印刷やフレキソ印刷、凸輪印刷等の印刷手法により形成される。また、使用するインキはそれらの印刷手法に対応したものを採用すればよい。また、金属箔を転写した層を単独あるいは上記印刷手法によって形成した印刷層と合わせて使用してもよい。
前記ニス層は、主として、複数の積層部材5を重ね合わせた際における前記接着剤層との間のブロッキングを防止することと、表印刷の場合は前記印刷層の保護を主たる目的として形成される。前記ニス層は、前記印刷層の上にその形状に合わせて積層してもよいが、積層部材5の表面全体に前記ニス層を形成してもよい。該ニス層も前記印刷層と同様に印刷手法によって形成することができ、従って、前記印刷層と前記ニス層を同一印刷ライン上で連続して形成することができる。その場合、前記印刷層のインキと前記ニス層のニスは何れもUV硬化型のものを使用することが好ましい。
前記接着剤層は感熱接着剤から形成されている。該感熱接着剤には50℃〜80℃の範囲で活性化するものを用いることが好ましく、特に60℃〜70℃の範囲で活性化するものが特に好ましい。高い温度、例えば90℃〜100℃程度で活性化して所定の接着力を生じる感熱接着剤では、収容部22を成形するときの包装フィルムの蓄熱温度で活性化し難い。一方、低過ぎる温度、例えば30℃〜40℃で活性化するものの場合にはその保管、管理が困難である。
感熱性接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、熱可塑性エラストマー(合成ゴム系、エチレン−αオレフィン等のオレフィン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー)等のベース樹脂に、石油系、テルペン系、テルペンフェノール系、クロマン−インデン系等の粘着付与剤、ワックスや滑剤等の添加剤(ワックスとしては例えば高級脂肪酸系、ポリエチレン系等、滑剤としては例えばアミド系等)が配合されたものが挙げられる。感熱性接着剤は、ホットメルトコーター、押し出しラミネーター等によって加熱溶融して塗工される接着剤である。ベース樹脂は、一種単独で又は二種以上併用できる。好ましくは、感熱接着剤のベース樹脂は、エチレン系共重合体とオレフィン系エラストマーとを含み、より好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体とオレフィン系エラストマーとを含む。かかる感熱接着剤は、比較的低い温度で活性化する。また、ベース樹脂がエチレン系共重合体(好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体)とオレフィン系エラストマーとを含む場合、その含有比は特に限定されない。感熱接着剤中のエチレン系共重合体の含有量は例えば20〜60重量%(好ましくは25〜55重量%)で、同様にオレフィン系エラストマーの含有量は例えば10〜50重量%(好ましくは15〜45重量%)で、同様に粘着付与剤の含有量は例えば1〜40重量%(好ましくは5〜35重量%)である。また、ベース樹脂がエチレン系共重合体(好ましくはエチレン−酢酸ビニル共重合体)とオレフィン系エラストマーとを含むもので融点が80℃程度と低いものが好ましい。なお、上述した包装体A10における積層部材5にインモールドラベルとしての構成を適用してもよい。
本実施形態の積層部材5は、収容部22の側部外面に接合されている。積層部材5の外面には、たとえば商品名称やロゴマーク等が上述した印刷の手法によって表れている。なお、本実施形態においては、1つの積層部材5が、収容部22の側部外面に設けられているが、2つ以上の積層部材5が収容部22の側部外面や底部外面に設けられていてもよい。
包装体A11の製造方法においては、たとえば図34に示す金型8の凸部82の側面に、積層部材5を予め保持させておく。そして、図35および図36に示す包装体A4の製造方法と同様の工程を経ることにより、図47および図48に示す包装体A11が得られる。なお、図36に示す工程を経ることにより、図35において収容部22の内面に設けられた積層部材5が、収容部22が反転されることに伴って収容部22の外面に設けられる。このような製造方法を経る場合、積層部材5としては、上述したように、反転に適した薄手のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。なお、図36に示す反転を伴わない場合、積層部材5は、収容部22の内面に設けられた構成であってもよい。さらに、図46に示した凹型の金型8を用いた製造方法を採用してもよい。
本実施形態によれば、積層部材5を設けることによって、比較的大面積の印刷領域を確保することができる。また、インモールドラベルとしての積層部材5は、包装フィルム材料20と異なり、金型8の凸部82などに密着するように顕著に収縮する性質は求められない。このため、積層部材5は、多彩な印刷を施す媒体として、包装フィルム材料20よりも殊のほか好ましい仕様のものを採用することができる。したがって、包装体A11は、大面積とされた積層部材5に鮮やかな印刷が施された外観が達成され、販売促進効果が期待できる。
図49は、本発明の第12実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A12は、包装体A11におけるインモールドラベルとしての積層部材5に加えて、包装体A4における一対の延出片15(積層部材5)を備えている。すなわち、包装体A12は、複数種類の積層部材5を備えた構成とされている。なお、延出片15の構成は、包装体A4における構成に限定されず、包装体A5,A6などに示す構成をはじめ様々な構成を取りうる。また、たとえば、図49に示す積層部材5とは反対側に、包装体A8における延出片15が設けられた構成としてもよい。
本実施形態によれば、インモールドラベルによる印刷態様の多彩化と、延出片15による包装フィルム2の補強とを実現することができる。
図50および図51は、本発明の第13実施形態に基づく包装体を示している。本実施形態の包装体A13は、延伸阻害層28(積層部材5)を備えている。すなわち、包装体A13は、包装体A12と同様に、複数種類の積層部材5を備えた構成とされている。包装体A13のその他の構成および製造方法は、上述した包装体A4と同様であるとして、以下に説明する。ただし、延伸阻害層28以外の構成は、上述した包装体A5〜A13の構成を適宜採用できることはもちろんである。延伸阻害層28は、図21〜図23に示した包装体A3の延伸阻害層28と同様の構成である。
包装体A13の製造方法においては、たとえば図34および図35に示す製造方法と同様の製造方法が採用され、この製造方法に用いられる包装フィルム材料20に予め延伸阻害層28が設けられる。延伸阻害層28が設けられる位置および大きさは、図35に示す脱気工程における包装フィルム材料20の延伸度合いを考慮して設定される。
本実施形態によっても、減肉による収容部22の強度低下を、積層部材5としての延出片15によって抑制することができる。さらに、包装フィルム2のうち積層部材5としての延伸阻害層28が積層された領域は、これ以外の領域と比較して延伸が阻害される。このため、収容部22が形成される脱気工程においては、包装フィルム2のうち延伸阻害層28が積層された領域の厚さが減肉してしまうことを抑制可能である。このように、積層部材5としての延出片15と延伸阻害層28との機能が相まって、収容部22の強度をさらに高めることができる。
図52は、収容部22の変形例を示している。本変形例においては、収容部22に突出部22bが形成されている。突出部22bは、収容部22の一部が外側に突出した部位である。図示された例においては、突出部22bは、底部22aから突出する態様となっている。ただし、突出部22bの形状や大きさ、個数、および設けられる箇所は特に限定されない。たとえば、積層部材5を備える構成においては、積層部材5を避けた位置に突出部22bが設けられることが好ましい。突出部22bを有する収容部22を製造するには、たとえば図5に示した金型8を、突出部22bに対応した部位が形成された凸部82を有する形状とすればよい。
突出部22bを備える例においては、被包装物4を取り出すための開封において、たとえば図示された切断線CLにおいて突出部22bを切断することにより、被包装物4を取り出すことができる。このような取り出し形態を実現するには、被包装物4は、突出部22bが切断されることによって生じる開口よりも粒径が小さい粉体、顆粒体、あるいは液体などが好ましい。本発明においては、収容部22が可撓性を有することにより屈曲自在であることから、突出部22bの開口が小さくても、液体や粘性体等の被包装物4を絞り出すことができる。
本発明に係る包装体および包装体の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る包装体および包装体の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。