以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づく組み合わせ容器包装体を示している。本実施形態の組み合わせ容器包装体A1は、内容物Ctが充填された内容器B1および外容器C1を備えている。内容物Ctが充填された内容器B1は、内容器包装体を構成している。
図1は、内容物Ctが充填された内容器B1を外容器C1に装填する状態を示す分解斜視図である。図2は、装填後の組み合わせ容器包装体A1に係る図1のII−II線に沿う断面図である。
組み合わせ容器包装体A1は、内容物Ctについての包装体である。内容物Ctは、内容器B1に収容されるものであれば特に限定されず、様々な固体および液体が採用され得る。また、内容物Ctとしては、日用品、食品、医薬品、工業用品などが挙げられる。たとえば、内容物Ctが食品である場合、粉末調味料などの粉粒体や、油などの液体が内容物Ctの一例として挙げられる。
内容器B1は、内容物Ctが直接充填されており、外容器C1に収容されることによって詰替え用として使用されることが意図されている。内容器B1は、台材1および包装フィルム2を備えている。
本発明で言う台材としては、内容物Ctを適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.1mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは50g/m2〜600g/m2であり、さらに好ましくは270g/m2〜500g/m2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として略長矩形状の厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
台材1は、フランジ部11、窓部11aおよび垂下脚部14を有している。上述した材質および厚さとされた台材1は、後述する包装フィルム2よりも剛性が高い。また、台材1には、内容物Ctの商品名や商品情報が印刷されていてもよい。
窓部11aは、台材1の一部が切り取られるなどによって形成されており、台材1の厚さ方向に貫通する孔である。窓部11aの形状は特に限定されず、本実施形態においてはたとえば長矩形状とされている。フランジ部11は、窓部11aが形成されることにより、環状とされた部分であり、平板状である。フランジ部11には、包装フィルム2の一部が接合されている。
垂下脚部14は、フランジ部11に対して窓部11aとは反対側の外端縁から延出しており、フランジ部11の厚さ方向においてカップ部22側に垂れている。本実施形態においては、2つの垂下脚部14がカップ部22を挟んで互いに反対側に設けられている。各垂下脚部14は、平面視長矩形状とされた台材1の長辺に対応する位置に配置されている。そして垂下脚部14の高さは、満杯状態のカップ部22の深さと略同一とされている。このため、図2から理解されるとおり、垂下脚部14は、箱部4の底部に常時当接する。このような垂下脚部14は、本発明の脚部12の一例に相当する。
図3は、外容器C1に装填される以前の内容器B1の一態様を示している。本態様においては、2つの垂下脚部14が、フランジ部11の上方に重ねられている。この状態において図中上方を向く垂下脚部14の片面は、たとえば内容物Ctの商品名称や拡販ロゴなどを印刷するための領域として利用することができる。
包装フィルム2は、環状部21およびカップ部22を有している。環状部21は、カップ部22を取り囲む環状部分であり、台材1のフランジ部11の図中上面に接合されている。カップ部22は、内容物Ctを収容する部位であり、包装フィルム2が部分的に延伸されることにより内容物Ctを収容可能な形態とされている。
本実施形態においては、図2に示すように、カップ部22は、台材1の図中上面側から図中下面側へと窓部11aを通じて膨出している。カップ部22の形状は特に限定されず、本実施形態においては、ゆるやかなテーパ角を有する角錐台形状とされている。包装フィルム2のうち、少なくともカップ部22は、可撓性を有することにより屈曲自在とされている。なお、屈曲自在とは、典型的には、たとえば一般的な購入者の手によって容易にその形状が変形し、各所が屈曲することにより速やかに押しつぶされることが可能な程度であることを意味する。一方、カップ部22に内容物Ctが収容されている場合においては、内容物Ctによって補助されることにより、カップ部22が自立姿勢を保つこともあり得る。本実施形態のカップ部22においては、テーパ角がたとえば2°〜15°である。なお、カップ部22のサイズおよび形状は、内容物Ctに応じて台材1および後述する内容器B1の製造方法に用いられる金型のサイズおよび形状によって適宜設定可能である。
包装フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。包装フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。
包装フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
本発明においては、包装フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂が一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、包装フィルム2の特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂で包装フィルム2の強度を向上することができる。また、低融点の樹脂を供えることで台材1と包装フィルム2の接着性を強固にしつつ、高融点の樹脂によりフィルムの強度を向上できる。
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を少なくとも4以上含む多層のフィルムを使用した。
台材1と包装フィルム2とを接合するために、たとえば台材1の片面に接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、この接着剤層が、包装フィルム2の片面に設けられていてもよい。包装フィルム2の片面に接着剤層が設けられている場合、台材1側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、10μm〜100μmである。本実施形態においては、台材1の片面(図中上面)に接着剤層が設けられている場合を例として説明する。
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、包装フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
封止部材3は、カップ部22を塞いでおり、本実施形態においては、包装フィルム2の環状部21に接合されている。包装フィルム2のカップ部22と封止部材3とは、内容物Ctを収容するための収容空間を規定している。また、包装フィルム2と封止部材3との接合部分は、良好な気密性を有することが好ましい。封止部材3には、内容物Ctの商品名や商品情報が適宜印刷されていてもよい。
封止部材3の材質は特に限定されず、たとえば合成紙、普通紙、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙などの紙材、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの比較的軟質なフィルム、比較的硬質なプラスチックなどからなるシート、あるいはカップ部22を封止可能な形状に成形された成型材などが適宜用いられる。なお、封止部材3が成型材からなる場合、封止部材3は、台材1に対して嵌め込まれることによって固定される構成であってもよい。以下においては、封止部材3がフィルムからなる場合を例に説明する。
包装フィルム2と封止部材3とは、種々の手法によって接合され、たとえば接着剤や粘着剤等を介在させて接合され、或いはシーラント層を介してヒートシール(熱溶着)によって接合される。このヒートシールの具体例としては、たとえば凝集剥離タイプ、層間剥離タイプおよび界面剥離タイプが挙げられる。凝集剥離タイプは、前記シーラント層が包装フィルム2側と封止部材3側とに分離されることによって開封されるタイプである。層間剥離タイプは、前記シーラント層と封止部材3とが剥離することによって開封されるタイプである。界面剥離タイプは、前記シーラント層と包装フィルム2とが剥離することによって開封されるタイプである。なお、以上の説明おける前記シーラント層は、たとえば後述するフィルム材料20に含まれる最外層として構成されていてもよい。前記シーラント層の厚みは、たとえば30μm〜80μm程度である。
内容物Ctは、包装フィルム2のカップ部22と封止部材3とによって囲まれた前記収容空間に収容されている。内容物Ctの種類や数量などは限定されず、様々な態様の内容物Ctを採用することができる。本実施形態においては、粉粒体あるいは顆粒体からなる内容物Ctを例として示している。
ここで、内容器B1の製造方法の一例について図4〜図6を参照しつつ以下に説明する。なお、以降の説明においては、1つの内容器B1を製造する場合を例に説明するが、これとは異なり、たとえば複数の内容器B1を一括して製造してもよい。
まず、厚紙材料10を用意する。厚紙材料10は、内容器B1の台材1となるものであり、本例においては上述した台紙からなる。厚紙材料10は、フランジ部11および垂下脚部14(図示略)となるべき部分を有しており、窓部11aが形成されている。窓部11aは、厚紙材料10の一部が切断により切り取られたものである。なお、厚紙材料10は、台材1となる部分の外側に余白部分を有するものであってもよい。
図4に示すように、金型8を用意する。金型8は、厚紙材料10を保持するとともに、フィルム材料20に対して後述する脱気工程を施すためのものである。金型8は、保持部81および凸部82を有している。保持部81は、厚紙材料10のフランジ部11となる部分の裏面10bを保持する部分であり、図中上面を向く平面を有している。凸部82は、平面視において厚紙材料10の窓部11aと一致しうる位置に設けられており、図中上方に突出している。凸部82の形状は特に限定されず、本実施形態においては、上述した包装フィルム2のカップ部22の形状に対応して角錐台形状とされている。凸部82のテーパ角は、片側がたとえば2°〜5°程度である。
また、金型8は、複数の吸引孔84、複数の吸引孔85、吸引経路86および吸引経路87を有している。複数の吸引孔84は、各々が保持部81の上面に開口しており、吸引経路86に繋がっている。複数の吸引孔85は、各々が凸部82の頂面に開口しており、吸引経路87に繋がっている。吸引経路86は、複数の吸引孔84から脱気するための経路であり、図示しないポンプなどの吸引源に接続されている。吸引経路87は、複数の吸引孔85から脱気するための経路であり、図示しない前記ポンプに接続されている。また、吸引経路86と吸引経路87とは、同一の前記ポンプに対してたとえば図示しないバルブを介して接続されている。このバルブを開閉操作することにより、複数の吸引孔84および複数の吸引孔85の双方から脱気するモードと、複数の吸引孔85のみから脱気し複数の吸引孔84から脱気しないモードとをとることができるように構成されている。
次いで、金型8の凸部82を台材1の窓部11aに通すようにして、厚紙材料10を金型8に装着する。この際、厚紙材料10の裏面10bを金型8の保持部81の上面に対面させる。そして、フィルム材料20を金型8および厚紙材料10の上方に位置させる。なお、フィルム材料20は、スムーズに変形することが容易となる程度に加熱しておくことが好ましい。
次いで、図5に示すように脱気工程を行う。吸引経路86および吸引経路87を介して上述したポンプ(図示略)による吸引を開始すると、金型8および厚紙材料10とフィルム材料20との間の空間が複数の吸引孔84および複数の吸引孔85からの吸引によって脱気される。これにより、加熱されたフィルム材料20が金型8および厚紙材料10に沿うように延伸されながら密着する。この際、フィルム材料20は、全体的に延伸され、特に、凸部82の側面に沿う部分が相当な度合いで延伸される。
フィルム材料20のうち厚紙材料10の表面10aに接した部分は、表面10aに設けられた前記接着剤層を加熱により活性化させ、接着力を発現させる。これにより、フィルム材料20のうち厚紙材料10の表面10aに接した部分が、厚紙材料10の表面10aに接合される。
次いで、図6に示すように、金型8の吸引経路87に繋がる複数の吸引孔85からの吸引のみを継続し、吸引経路86に繋がる複数の吸引孔84からの吸引を停止する。そして、金型8を厚紙材料10から裏面10bが向く方向(図中下方)に離間させる。複数の吸引孔85からの吸引が継続されているため、フィルム材料20の前述した延伸された部分(凸部82に密着した部分)のうち凸部82の頂面に接する部分が、金型8の下降に伴って引き下げられる。この結果、フィルム材料20の前記延伸された部分(凸部82に密着した部分)が厚紙材料10の表面10a側から裏面10b側へと窓部11aを通じて折り返されるように引き出される格好となる。これにより、厚紙材料10の表面10a側から裏面10b側へと窓部11aを通じて膨出するカップ部22が形成される。また、フィルム材料20のうちカップ部22を囲む部分であって、厚紙材料10の表面10aに接合された部分は、環状部21となる。カップ部22は上述したフィルム材料20のうち延伸された部分からなるため、相対的に薄肉となっている。フィルム材料20の材料選定および延伸後の厚さを適宜設定することにより、カップ部22は、明瞭な可撓性を有するものとなり、屈曲自在である。なお、本図に示すフィルム材料20を裏返すことによってカップ部22を形成する工程は、金型8を利用する手法のほかに、たとえば厚紙材料10およびフィルム材料20を金型8から離脱させた後に、手作業によって行ってもよい。
この後は、カップ部22に内容物Ctを挿入し、カップ部22を覆うように封止部材3をフィルム材料20の環状部21に接合する。そして、厚紙材料10、フィルム材料20および封止部材3の余剰部分を適宜切断する。また、垂下脚部14を所望の方向に折り返す。これより、内容物Ctが充填された内容器B1、すなわち内容器包装体が得られる。
なお、図6に示す工程においては、金型8全体を一括して厚紙材料10から離間させる手法に限定されない。本工程においては、金型8のうち少なくとも凸部82を厚紙材料10から離間させればよい。このため、たとえば、保持部81に対して凸部82が着脱自在となった金型8を用いてもよい。この場合、図5に示す工程に相当する工程においては、凸部82が下方に離間する一方、保持部81は、厚紙材料10を保持し続けることとなる。このため、厚紙材料10が不当に垂れ下がってしまうことを防止するのに適している。また、保持部81が厚紙材料10およびフィルム材料20を保持し続けるため、たとえばカップ部22への内容物Ctの挿入や、封止部材3の接合を容易に行うことができる。
また、図6において、フィルム材料20のうち凸部82の頂部に接する部分を引き下げるために、複数の吸引孔85からの吸引を維持する手法を採用しているが、これ以外の手法を採用してもよい。たとえば、凸部82の側面の頂面付近に溝部が設けられていてもよい。この溝部は、たとえば凸部82の側面全周にわたって形成される。上述した脱気工程においては、フィルム材料20のうち凸部82に密着する部分が、前記溝部において局部的にくびれた形状となる。このくびれ形状が設けられたことにより、上述した複数の吸引孔85からの吸引を継続しなくても、凸部82を厚紙材料10から離間させると、フィルム材料20のうち凸部82に密着していた部分が引き下げられ、図5に示す例と同様のカップ部22が形成される。
図7および図8は、内容器B1の製造方法の他の例を示している。図7に示すように、本例においては、金型8に曲面部83が形成されている。曲面部83は、保持部81と凸部82との境界全周に設けられた凹曲面である。この金型8に厚紙材料10を装着する際には、窓部11aが曲面部83の若干外側に位置することが好ましい。この状態で、加熱したフィルム材料20と金型8との間から脱気する。すると、フィルム材料20が、曲面部83に沿うように延伸され、環状部21およびカップ22が形成される。保持部81と凸部82との境界が鋭角な角部であると、脱気工程においてフィルム材料20の一部がこの角部に向けて過度に延伸されてしまうおそれがある。本例においては、曲面83が形成されていることにより、脱気工程においてフィルム材料20の一部が過度に延伸されることを回避することが可能であり、包装フィルム2の強度低下を抑制することができる。
図8は、図6と同様にカップ部22を裏返す工程の初期段階である。厚紙材料10を上昇させると、これにつれてフィルム材料20が環状部21から順に持ち上げられる。この際、フィルム材料20の一部が曲面部83に緩やかに沿った状態であるため、フィルム材料20をスムーズに持ち上げることができる。曲面部83を備えない構成において保持部81と凸部82との境界が鋭角な角部であると、この角部に起因してフィルム材料20に皺が生じたり引っ掛かったりするおそれがある。本例においては、このような懸念を払しょくすることが可能であり、カップ部22を適切に裏返すことができる。
図1および図2に戻り、外容器C1は、内容物Ctが充填された内容器B1を収容するために用いられるものであり、本実施形態においては、箱部4および蓋部5を有している。
箱部4は、内容器B1を収容する部位であり、内容器B1の包装フィルム2(カップ部22)よりも硬質な材質によって形成されている。箱部4の材質は、意図した硬さを実現しうるものであれば特に限定されないが、たとえばポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、などの合成樹脂、あるいは厚紙等が挙げられる。また、箱部4は、略矩形状の台材1に対応して、平面視略矩形状である。ただし、箱部4の形状は特に限定されず、矩形状以外の多角形状や円形および楕円形などであってもよい。また、箱部4の形状は内容器B1の台材1の形状に対応した形状が好ましいが、内容器B1を収容および保持可能であれば、その形状は特に限定されない。
蓋部5は、内容器B1を外部から遮蔽する状態と、外部に露出させた状態とをとらせるためのものである。蓋部5の材質は特に限定されないが、たとえば上述した箱部4と同様のものが用いられる。また、蓋部5と箱部4は一体的に構成されていても、別体として構成されていてもよい。本実施形態においては、蓋部5は、箱部4に対して回動可能に取り付けられている。
外容器C1に内容物Ctが充填された内容器B1を装填する際は、カップ部22を箱部4の内方に進入させる。本実施形態においては、しかる後に2つの垂下脚部14の下端が箱部4の底部に当接する。これにより、フランジ部11が箱部4の奥方(図中下方)に移動することが規制される。かかる機能が、本発明において垂下脚部14(脚部12)が発揮すべき機能である。
次に、組み合わせ容器包装体A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、垂下脚部14の下端が箱部4に当接することにより、フランジ部11が箱部4の深さ方向奥方(図1および図2における下方)に移動することが規制されている。これにより、フランジ部11が内容物Ctの重み等によって、箱部4からずれ落ちることを防止することができる。したがって、外容器C1によって内容器B1を適切に保持することが可能であり、内容物Ctを取り出す時の開口状態を良好に確保することができる。また、包装フィルム2が屈曲自在であることから包装フィルム2のみでは自立することなどが困難なカップ部22を垂下脚部14によって自立させることにより、内容物Ctの量が少なくなったとしても内容物Ctを取り出しやすく、また内容物Ctを使いきった際に、内容器B1の嵩を減少させ、廃棄負担を軽減することができる。
また、フランジ部11の外側に設けられる垂下脚部14の高さは、窓部11aの寸法になんら規制されない。このため、平面視長矩形状とされた台材1の長辺と同程度の幅方向寸法を有しつつ、満杯状態のカップ部22の深さと略同一の高さを有する垂下脚部14を設定することが可能である。これにより、フランジ部11の高剛性化を図るとともに、内容器B1が外容器C1に装填された以降、内容物Ctが使い切られるまでの期間において、内容器B1の自立姿勢を維持することができる。
図9〜図17は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図9は、組み合わせ容器包装体A1の変形例を示している。本変形例においては、4つの垂下脚部14が台材1の4辺に対応する位置に設けられている。また、各垂下脚部14は、台材1の長辺寸法または短辺寸法と略同一である幅方向寸法とされ、且つその高さが満杯状態のカップ部22の深さと略同一である。これにより、内容器B1は、4つの垂下脚部14によってカップ部22を四方から囲む4つの側板部を有する箱状に仕上げられる。
このような変形例によっても、外容器C1によって内容器B1を適切に保持することが可能である。また、4つの垂下脚部14によって箱状の形態を実現することによって、内容物Ctの重量がより重い場合などであっても、確実に内容器B1の自立姿勢を維持することができる。なお、これら4つの垂下脚部14は各々隣り合う垂下脚部14と接合されていてもよい。
図10および図11は、本発明の第2実施形態に基づく組み合わせ容器包装体を示している。本実施形態の組み合わせ容器包装体A2は、内容器B2および外容器C2を備えている。内容器B2においては、台材1が固定脚部13を有している。
固定脚部13は、フランジ部11から窓部11a内方に延出しており、且つ包装フィルム2の後述するカップ部22に接合されることによって固定されている。本実施形態においては、2つの固定脚部13がカップ部22を挟んで互いに反対側に設けられている。また、2つの固定脚部13は、平面視長矩形状とされた台材1の2つの短辺に対応する位置に配置されている。図11に示すように、各固定脚部13は、カップ部22の外面に接合されている。また、固定脚部13の下端は、カップ部22の下端に到達しており、内容器B1が外容器C2に装填された状態において、箱部4の底部に当接している。固定脚部13は、カップ部22が満杯の状態から空の状態に至るまでの少なくともいずれかの時点において、外容器C2の箱部4に当接することにより、フランジ部11が箱部4の奥方(図中下方)に移動することを規制するように自立しており、本発明における脚部12の一例である。特に、本実施形態の固定脚部13の下端は、カップ部22が満杯の状態から空の状態に至るまでの略すべての時点において、箱部4の底部に当接することが意図されている。
図12は、内容器B2の台材1の形成に用いられる厚紙材料10を示す平面図である。同図において、表面10aに上述した接着剤層が設けられている。本実施形態においては、未だ折り曲げなどがなされていない厚紙材料10においては、2つの固定脚部13の下端となる部分が互いに一致している。
外容器C2に内容物Ctが充填された内容器B2を装填する際は、カップ部22を箱部4の内方に進入させる。本実施形態においては、しかる後に2つの固定脚部13の下端が箱部4の底部に当接する。これにより、フランジ部11が箱部4の奥方(図中下方)に移動することが規制される。かかる機能が、本発明において固定脚部13(脚部12)が発揮すべき機能である。このような実施形態によっても、外容器C2によって内容器B2を適切に保持することが可能であり、内容物Ctを取り出す時の開口状態を良好に確保することができる。
図13および図14は、組み合わせ容器包装体A2の変形例を示している。本変形例においては、2つの固定脚部13が、平面視長矩形状とされた台材1の2つの長辺に対応する位置に設けられている。図15は、本変形例の台材1を形成するために用いられる厚紙材料10を示している。本変形例の厚紙材料10においては、2つの固定脚部13は、厚紙材料10(台材1)の長手方向において、互いにずれた位置に設けられている。これにより、各固定脚部13の高さは、最大で窓部11aの短辺方向寸法に設定することができる。本変形例においては、図14に示すように、固定脚部13の高さは、カップ部22の深さと略同一に設定されている。
このような変形例によっても、外容器C2によって内容器B2を適切に保持することが可能である。また、平面視において扁平な形状の台材1であっても、長辺側に設けた固定脚部13の高さをより高く設定することが可能である。
図16〜図18は、組み合わせ容器包装体A2の変形例を示している。本変形例の組み合わせ容器包装体A2は、2つの固定脚部13が台材1の長辺側に設けられているものの、固定脚部13の高さは、カップ部22の深さよりも小とされている。図17は、封止部材3が未だ開封されておらずカップ部22が内容物Ctによって満杯の状態である。本状態においては、カップ部22は、固定脚部13によらず、満杯の内容物Ctによってある程度の剛性が確保されている。この結果、固定脚部13の下端は箱部4の底部に当接していないものの、カップ部22が自立した格好となっている。すなわち、本変形例においては、少なくともカップ部22が満杯の状態においては、固定脚部13は、カップ部22を自立させるのに直接的には寄与していない。
図18は、封止部材3が開封され、ある程度の量の内容物Ctが使用された後の状態を示している。本状態においては、内容物Ctの減少とともにカップ部22が部分的に屈曲し、それに応じて固定脚部13が下降している。そして、固定脚部13の下端が箱部4の底部に当接している。これ以降に内容物Ctが使用されても、固定脚部13によって自立姿勢が維持されるため、カップ部22に大きな変形は生じない。このように、本変形例においては、カップ部22が満杯の状態においては、固定脚部13はカップ部22の自立に直接的には寄与せず、内容物Ctがある程度使用された以降において、固定脚部13がカップ部22を自立させる機能を果たす。
このような変形例によっても、外容器C2によって内容器B2を適切に保持することが可能である。また、固定脚部13の高さは、満杯状態のカップ部22の深さよりも小であるが、幅寸法(図中左右方向寸法)は、窓部11aの長辺寸法に近い大きさとすることができる。このような固定脚部13は、フランジ部11の高剛性化に適しており、外容器C2によって内容器B2をより確実に保持できる。
図19は、組み合わせ容器包装体A2の他の変形例を示している。本変形例においては、箱部4に支持部40が設けられている。支持部40は、内容器B2が外容器C2に装填された状態において、箱部4の底部よりも上方であって固定脚部13の下端に当接する位置に配置されている。図示された支持部40は、箱部4の内側面から内方に突出したリブ状であるが、支持部40はこれに限定されず、固定脚部13の下端と適切に当接することにより、フランジ部11を支持しうる構成であればよい。
このような変形例によっても、外容器C2によって内容器B2を適切に保持することが可能である。また、固定脚部13の高さをカップ部22の深さと一致させなくても、カップ部22が満杯の状態から空の状態に至るすべての時点において、固定脚部13の下端を支持部40に当接させることが可能であり、フランジ部11を常時支持することができる。
本発明に係る組み合わせ容器包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る組み合わせ容器包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。また、上述した実施形態およびその変形例は、可能な範囲で各々組み合わせて用いることもできる。
以上に述べた実施形態およびその変形例においては、カップ部22の底面を剥離可能な接着面としてもよい。これにより、内容器B1,B2を外容器C1,C2に対してより安定させることができる。このような接着面を構成する接着層としては、特に限定されず従来公知の構成が用いられるが、たとえば再剥離再接着可能な室温で粘着性を示す感圧型粘着剤(溶剤タイプのアクリル系粘着剤など)からなる層が挙げられる。特に、図7〜図10に示す例においては、内容物Ctの残量に応じて箱部4の高さが調整可能とされている。この箱部4の高さ調整の過程等においても、カップ部22の底面が箱部4に接着されていることにより、カップ部22が箱部4に対してずれてしまうことなどを適切に回避することができる。