JP6512900B2 - 発電設備 - Google Patents
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Description
前記浸透水で希釈されたドロー溶液の流れにより発電機を駆動させる発電装置を設けてある発電設備に関する。
これに対して、浸透圧に従って水等の低分子成分を浸透させる正浸透膜法が開発されている。これは逆浸透膜法と同様、特定の分子やイオンのみを透過する膜を使用し、さらにドロー溶液と呼ばれる、被処理水(フィード溶液)よりもさらに高浸透圧の溶液を用い、これらを前述の膜を介して接触させる方法である。これにより、外部圧力をかけることなく浸透圧差を駆動力にして、被処理水からドロー溶液に純水のみを取り出すことができる。したがって、純水が流入したあとのドロー溶液から純水を分離すれば、逆浸透膜法よりも省エネルギーで低コストに純水を製造することができる。
逆に、透過流束を高めるためにMWCOの大きな膜を用いた場合、通り抜ける溶質量が増大し、膜処理前後の浸透圧差が小さくなり、結果として、半透膜を通過する供給溶液の流量が低減し、発電量が低減する。
上記目的を達成するための本発明の特徴構成は、
高浸透圧のドロー溶液と低浸透圧のフィード溶液とを、浸透膜を介して接触させ、前記浸透膜のフィード溶液側からドロー溶液側に浸透水を取り出す浸透膜装置を備え、
前記浸透水で希釈されたドロー溶液の流れにより発電機を駆動させる発電装置を設けてある発電設備であって、
前記浸透膜が限外ろ過膜または精密ろ過膜であるとともに、前記ドロー溶液が分子量1000Da以上で、浸透膜でろ過可能な外部刺激応答性高分子を含有する水溶液であり、
前記浸透膜の前記フィード溶液側からドロー溶液側に取り出された浸透水で希釈されたドロー溶液を、当該ドロー溶液に外部刺激応答性高分子を二相分離可能とする外部刺激を与える外部刺激発生装置を設け、
前記外部刺激発生装置にて外部刺激を受けたドロー溶液を、外部刺激応答性高分子を高濃度に含有するドロー溶液相と、浸透水を主成分とする水相と、の二相に分離して貯留する相分離槽を設け、
分離された前記ドロー溶液相の外部刺激を除去して、前記浸透膜装置にドロー溶液として供給可能にする外部刺激除去装置を設け、
分離された前記水相を前記浸透膜装置のフィード溶液として供給するとともに、前記浸透膜装置において浸透水を取り出した後のフィード溶液をドロー溶液として再利用する点にある。
高浸透圧のドロー溶液と低浸透圧のフィード溶液とを、浸透膜を介して接触させることにより、外部圧力をかけることなく、浸透圧を利用して浸透膜のフィード溶液側からドロー溶液側に浸透水を取り出すことができるので、省エネルギーで低コストにドロー溶液側に高い透過流束を得ることができる。
前記外部刺激応答性高分子が温度応答性物質、二酸化炭素応答性物質、pH応答性物質、光応答性物質、磁場応答性物質、電場応答性物質より選ばれる少なくとも一種の物質とすることができる。
前記外部刺激応答性高分子として温度応答性物質を用いる場合、外部刺激発生装置、外部刺激除去装置を用いてドロー溶液の温度を調整することにより、ドロー溶液の浸透水吸収、二相分離、再生を繰り返し行うことができる。また、二酸化炭素応答性物質を用いる場合、ドロー溶液中の二酸化炭素濃度、pH応答性物質を用いる場合、ドロー溶液のpH、光応答性物質を用いる場合、ドロー溶液に対する光照射度、磁場応答性物質を用いる場合、ドロー溶液に対する磁場照射度、電場応答性物質を用いる場合、ドロー溶液に対する電場照射度を調整することにより、同様にドロー溶液の浸透水吸収、二相分離、再生を繰り返し行うことができ、閉サイクルで循環可能な発電装置を構成することができる。
〔構成3〕
前記外部刺激応答性高分子が下限臨界溶解温度を有する温度応答性物質であり、前記外部刺激発生装置が加熱装置であり、外部刺激除去装置が冷却装置とすることができる。
この構成によると、温度応答性物質を低温にて浸透水を吸収容易な形態でドロー溶液として浸透膜に接触させ、フィード溶液側から浸透水を取り出すとともに、外部刺激発生装置としての加熱装置による加熱により二相分離して、浸透水を吸収したドロー溶液から浸透水を取り出し、外部刺激除去装置としての冷却装置により冷却することでドロー溶液として再生させることができる。
また、前記外部刺激応答性高分子が二酸化炭素応答性物質であり、前記外部刺激発生装置が空気供給装置であり、前記外部刺激除去装置が二酸化炭素供給装置とすることができる。
この構成によると、二酸化炭素応答性物質を二酸化炭素の結合状態でドロー溶液として浸透膜に接触させ、フィード溶液側から浸透水を取り出すとともに、空気供給装置により二酸化炭素を脱気して二相分離して浸透水を吸収したドロー溶液から浸透水を取り出し、二酸化炭素供給装置により供給した二酸化炭素を結合させることによりドロー溶液として再生させることができる。
なお、前記温度応答性物質は、ポリアクリルアミド誘導体とすることができる。
温度応答性物質としては、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドやその共重合体に例示されるポリアクリルアミド誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールに例示されるポリエチレングリコール誘導体等が挙げられるが、ポリアクリルアミド誘導体を用いると、温度応答性が高く相分離も容易であるので好ましい。
なお、前記二酸化炭素応答性物質は、ポリアミン誘導体とすることができる。
二酸化炭素応答性物質としては、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやその共重合体に例示されるポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンに例示されるポリイミン等のポリアミン誘導体が二酸化炭素応答性の高い物質として好適に用いられる。
発電設備は、図1に示すように、高浸透圧のドロー溶液と低浸透圧のフィード溶液を、浸透膜11を介して接触させ、浸透膜11のフィード溶液側11aからドロー溶液側11bに浸透水を取り出す浸透膜装置1を設けて構成してある。
ここで、浸透膜11が限外ろ過膜であるとともに、ドロー溶液が分子量1000Da(分子量をMWを記載する場合がある)以上の外部刺激応答性高分子を含有する水溶液であり、具体的には、温度応答性物質としてポリアクリルアミド誘導体等の感温性高分子を含有する水溶液である。
浸透膜装置1は、浸透膜11を備えた装置本体10を備える。装置本体10における浸透膜11の一方面側(フィード溶液側)11aには、発電用のフィード溶液を供給するフィード溶液供給路12を備えるとともに、浸透膜11に接触して浸透水を取り出したのちのフィード溶液を濃縮排水として排出する濃縮排水排出路13を備える。一方、装置本体10における浸透膜11の他方面側(ドロー溶液側)11bには、均一な溶液状態となっているドロー溶液を供給するドロー溶液供給路14を備えるとともに、浸透膜11に接触して浸透水を受け入れて、希釈されたドロー溶液を排出するドロー溶液排出路15を設けて構成してある。
ドロー溶液排出路15から排出されるドロー溶液は外部刺激発生装置2に供給される。外部刺激発生装置2では、工場排熱等で通常廃棄される利用困難な低品位の排熱を用いて、浸透水を受け入れたドロー溶液を、たとえば60℃程度にまで加熱する熱交換器を加熱装置21として備える。分子量8000Daのポリジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)を10%含有する水溶液からなるドロー溶液にあっては、下限臨界溶解温度は35℃程度となり、60℃に加熱することによりポリジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)が不溶化して明確な二相に分離することができた。
相分離槽3は、相分離槽本体30にドロー溶液回収路31を接続されるとともに、外部刺激発生装置2で二相に分離されたドロー溶液を、ドロー溶液回収路31から受け入れ、温度応答性物質を高濃度に含有する下側のドロー溶液相と、浸透水を主成分とする上側の水相と、の二相に分離して貯留する。また、相分離槽本体30内部には相分離された水相を収集して貯留する水相貯留部32と、ドロー溶液相を収集して貯留するドロー溶液相貯留部33とを備え、水相貯留部32には水相排出路34が接続されるとともに、ドロー溶液相貯留部33にはドロー溶液排出路35が接続されている。これにより、相分離槽3ではドロー溶液相と水相とをより精度よく分離し、それぞれを個別に取り出し可能に構成される。
分離されたドロー溶液相は、ドロー溶液排出路35および外部刺激除去装置4並びにドロー溶液供給路14を介して、浸透膜装置1のドロー溶液側11bにドロー溶液として供給される。外部刺激除去装置4としては、空冷式、水冷式、ヒートポンプ式等種々形態の冷却装置41が採用される。ここで、ドロー溶液相は、下限臨界溶解温度未満、すなわち60℃から50℃未満まで冷却され、より均一に混合した溶液となりドロー溶液として再生される。
また、浸透膜として限外ろ過膜(Synder社SPE1膜)、ドロー溶液として分子量8000のポリジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)の約20%水溶液を使用すると(MW/MWCO=8)、初期浸透圧717mmol/kgに対する透過流束は平均で17LMH(L/m2/h)程度得られた。
(1) 先の実施形態では、外部刺激応答性高分子として温度応答性物質を用いたが、他に、ポリアミン誘導体のような二酸化炭素応答性物質、キトサンゲルのようなpH応答性物質、液晶材料としても利用されている光応答性物質、磁場応答性物質、電場応答性物質を用いることもできる。以下、二酸化炭素応答性物質を用いた例を示す。
たす部位については、図面に同一の符号を付して説明を省略する。
ドロー溶液排出路15から排出されるドロー溶液は外部刺激発生装置2に供給される。外部刺激発生装置2では、コンプレッサー等を用いて、浸透水を受け入れたドロー溶液に、空気を散気供給する空気供給装置22を備える。空気供給装置は、ドロー溶液排出路15から排出されるドロー溶液を受けて一時貯留する曝気槽22aを備えるとともに、曝気槽22a内に一時貯留されるドロー溶液に、たとえばコンプレッサーからの空気を供給する散気装置22bを備え、分子量8000Daのポリジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)を10%含有する水溶液からなるドロー溶液にあっては、60℃においてコンプレッサーからの空気を0.1L/分で滞留時間30分程度接触させる構成とすることで、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)が不溶化して明確な二相に分離することができた。
相分離槽3で分離されたドロー溶液相が供給される外部刺激除去装置4としては、排ガス等を利用したバブリング式二酸化炭素供給装置、加圧式二酸化炭素供給等種々形態の二酸化炭素供給装置42が採用される。図2においては、二相分離したドロー溶液相を受け入れる曝気槽42aおよび曝気槽42a内に一時貯留されるドロー溶液に二酸化炭素を曝気する散気装置42bを備え、二酸化炭素曝気によりドロー溶液に二酸化炭素を結合させるバブリング式二酸化炭素供給装置として記載している。ここで、ドロー溶液相は、二酸化炭素供給により、より均一に混合した溶液となりドロー溶液として再生される。
10 :装置本体
11 :浸透膜
11a :フィード溶液側
11b :ドロー溶液側
12 :フィード溶液供給路
13 :濃縮排水排出路
14 :ドロー溶液供給路
15 :ドロー溶液排出路
2 :外部刺激発生装置
21 :加熱装置
22 :空気供給装置
22a :曝気槽
22b :散気装置
3 :相分離槽
30 :相分離槽本体
31 :ドロー溶液回収路
32 :水相貯留部
33 :ドロー溶液相貯留部
34 :水相排出路
35 :ドロー溶液排出路
4 :外部刺激除去装置
41 :冷却装置
42 :二酸化炭素供給装置
6 :発電装置
61 :発電機
Claims (6)
- 高浸透圧のドロー溶液と低浸透圧のフィード溶液とを、浸透膜を介して接触させ、前記浸透膜のフィード溶液側からドロー溶液側に浸透水を取り出す浸透膜装置を備え、
前記浸透水で希釈されたドロー溶液の流れにより発電機を駆動させる発電装置を設けてある発電設備であって、
前記浸透膜が限外ろ過膜または精密ろ過膜であるとともに、前記ドロー溶液が分子量1000Da以上で、浸透膜でろ過可能な外部刺激応答性高分子を含有する水溶液であり、
前記浸透膜の前記フィード溶液側からドロー溶液側に取り出された浸透水で希釈されたドロー溶液を、当該ドロー溶液に外部刺激応答性高分子を二相分離可能とする外部刺激を与える外部刺激発生装置を設け、
前記外部刺激発生装置にて外部刺激を受けたドロー溶液を、外部刺激応答性高分子を高濃度に含有するドロー溶液相と、浸透水を主成分とする水相と、の二相に分離して貯留する相分離槽を設け、
分離された前記ドロー溶液相の外部刺激を除去して、前記浸透膜装置にドロー溶液として供給可能にする外部刺激除去装置を設け、
分離された前記水相を前記浸透膜装置のフィード溶液として供給するとともに、前記浸透膜装置において浸透水を取り出した後のフィード溶液をドロー溶液として再利用する発電設備。 - 前記外部刺激応答性高分子が温度応答性物質、二酸化炭素応答性物質、pH応答性物質、光応答性物質、磁場応答性物質、電場応答性物質より選ばれる少なくとも一種の物質である請求項1に記載の発電設備。
- 前記外部刺激応答性高分子が下限臨界溶解温度を有する温度応答性物質であり、前記外部刺激発生装置が加熱装置であり、外部刺激除去装置が冷却装置である請求項1に記載の発電設備。
- 前記外部刺激応答性高分子が二酸化炭素応答性物質であり、前記外部刺激発生装置が空気供給装置であり、前記外部刺激除去装置が二酸化炭素供給装置である請求項1に記載の発電設備。
- 前記温度応答性物質が、ポリアクリルアミド誘導体である請求項2または3に記載の発電設備。
- 前記二酸化炭素応答性物質が、ポリアミン誘導体である請求項2または4に記載の発電設備。
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